JP3542798B2 - 化学処理方法及び化学処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被成膜物に成膜された状態の成膜金属を所定パターンにエッチングする化学処理法方法及び化学処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
長尺でかつ可撓性を有するキャリアテープに半導体チップを実装する実装技術として、TAB(Tape Automated Bonding)技術が古くから注目されている。TAB技術は、キャリアテープの可撓性を利用して立体的な実装を行えることや同一のキャリアテープ上に複数個の半導体チップを搭載できること等の理由から非常に有用な技術となっている。
【0003】
上記TAB技術に適用されるキャリアテープには、半導体チップとの電気的な接続を可能とするために金及び銅等の金属からなる種々の配線パターンが形成されるが、このキャリアテープには、接着剤を介さずにスパッタリング等により金属膜をテープに直接形成する「2層キャリアテープ」と、接着剤を介して金属箔をテープ上に貼り付ける「3層キャリアテープ」とがある。2層キャリアテープは、3層キャリアテープに比べて、接着剤を用いないため電気的特性に優れ半導体チップの高速化にも対応可能であり、現在、キャリアテープの主流となりつつある。
【0004】
ところで、この2層キャリアテープにおいては、テープと金属膜との間に下地金属を介在させて、テープと金属膜との密着性を高めている。表1に、下地金属として主に適用される金属と各下地金属の主な特性とを示した。
【0005】
【表1】
【0006】
表1に示す通り、銅,ニッケルクロム系金属,ニッケルバナジウム系金属及びクロム系金属の各下地金属は、共に、機械的特性、化学的安定性、電気的通電性等の観点から判断して充分な初期強度を具備する。これら各下地金属のうち、銅,ニッケルクロム系金属及びニッケルバナジウム系金属は、高温環境及び高湿環境下においては不安定であり劣化しやすく、また、シアン系処理液を用いた金のめっき処理にも適さない。しかしながら、これら三つの各下地金属は、所定パターンにエッチングし易いという特性を有する。
【0007】
一方、クロム系金属は、上記三つの下地金属に比べ温度環境及び湿度環境に対して耐性を有し、更にはシアン系処理液を用いた金のめっき処理も良好に行えるという利点はあるが、エッチングに際しては特殊のエッチング手法を要する。例えば特許文献1では、過マンガン酸カリウムを含有した処理液を用い、液温を5〜10℃の低温に保持するという特殊な温度条件下で、クロム膜のエッチングを行っている。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−125346号公報(段落番号0025,0026)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1のように、クロム系金属は、特殊な手法を用いながら過マンガン酸カリウムの処理液でエッチングすることが可能であり、また、フェリシアン化カリウムを含有した処理液でもエッチングできることも知られてはいる。しかしながら、これら過マンガン酸カリウム,フェリシアン化カリウム等の処理液は、廃液処理に際して環境に負荷を与え、更には、最近ますます廃液処理の規制の厳しい6価クロムを生成し、クロム系金属のエッチングには種々の悪条件が重なる。そのため、クロム系金属はエッチングに適さない。また、クロム系金属以外にもエッチングに適さない金属は存在し、これら金属に対して簡単にエッチングを行える化学処理方法が求められている。
【0010】
そこで、本発明は、特にクロムを簡単にエッチングできる化学処理方法及び化学処理装置を提供する。
【0013】
請求項1に記載の発明は、
被成膜物に成膜された状態の成膜金属を所定パターンにエッチングする化学処理方法であって、
電解液で、前記成膜金属を陰極にして前記成膜金属を電解還元する陰極電解還元工程と、
前記陰極電解還元工程の後に、酸性処理液に前記成膜金属を浸漬する酸浸漬工程と、
を備え、
前記陰極電解還元工程では前記成膜金属の一部が前記電解液に浸され、前記酸浸漬工程では前記成膜金属の全部が前記酸性処理液に浸されることを特徴とする。
【0014】
請求項1に記載の発明では、陰極電解還元工程において、成膜金属の全てを電解液に浸す必要がなく、成膜金属の一部が電解液に浸されればよい。従って、陰極電解還元工程では、使用する電解液が少なくて済み、使用する電解液の量を節約できる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の化学処理方法において、
前記電解液は、酸基を含む酸性処理液及びハロゲンイオンを含むアルカリ処理液のうちのいずれかであることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明は、
請求項2に記載の化学処理方法において、
前記酸基を含む酸性処理液は、塩酸、硫酸、カルボン酸、フッ化水素及びリン酸のうちのいずれかであることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明は、
請求項2に記載の化学処理方法において、
前記ハロゲンイオンを含むアルカリ処理液は、塩化ナトリウム、塩化カリウム及びヨウ化カリウムのうちのいずれかであることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明は、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化学処理方法において、
前記酸浸漬工程の前記酸性処理液は、ハロゲンイオンを含むことを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明は、
請求項5に記載の化学処理方法において、
前記ハロゲンイオンは、塩素イオンであることを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明は、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の化学処理方法において、
前記成膜金属を構成する金属は、クロム、チタン、タングステン、パラジウム及びモリブデンのうちのいずれか一の金属であることを特徴としており、特に成膜金属がクロムで構成されている場合には、6価クロムの生成を防止できる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化学処理方法において、
前記成膜金属を構成する金属は、クロム、チタン、タングステン、パラジウム及びモリブデンのうちの少なくとも一の金属を含む合金であることを特徴としており、特に成膜金属がクロムの合金から構成されている場合には、6価クロムの生成を防止できる。
【0022】
請求項9に記載の発明は、
被成膜物に成膜された状態の成膜金属を所定パターンにエッチングする化学処理方法であって、
ハロゲンイオンを含む酸性処理液に前記成膜金属を浸漬し、前記酸性処理液中で前記成膜金属を陰極にして前記成膜金属を電解還元し、前記成膜金属の電解還元を停止し、前記成膜金属を前記酸性処理液中に浸漬させておき、前記成膜金属を所定パターンにエッチングすることを特徴とする。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、ハロゲンイオンを含む酸性処理液中に成膜金属を浸漬した状態で、成膜金属を陰極にして成膜金属を電解還元することにより、成膜金属の表面に形成される酸化物を還元することができ、成膜金属の電解還元を停止して成膜金属を酸性処理液中に浸漬させておくことにより、還元された成膜金属を所定パターンにエッチングできる。つまり、請求項9に記載の発明では、成膜金属の酸化物の還元と、還元後の成膜金属のエッチングとを、ハロゲンイオンを含む同一の酸性処理液中で行うことができる。
【0024】
請求項10に記載の発明は、
請求項9に記載の化学処理方法において、
前記ハロゲンイオンは、塩素イオンであることを特徴とする。
【0025】
請求項11に記載の発明は、
請求項9又は10に記載の化学処理方法において、
前記成膜金属を構成する金属は、クロム、チタン、タングステン、パラジウム及びモリブデンのうちのいずれか一の金属であることを特徴としており、特に成膜金属がクロムで構成されている場合には、6価クロムの生成を防止できる。
【0026】
請求項12に記載の発明は、
請求項9〜11のいずれか一項に記載の化学処理方法において、
前記成膜金属を構成する金属は、クロム、チタン、タングステン、パラジウム及びモリブデンのうちの少なくとも一の金属を含む合金であることを特徴としており、特に成膜金属がクロムの合金から構成されている場合には、6価クロムの生成を防止できる。
【0029】
請求項13に記載の発明は、
被成膜物に成膜された状態の成膜金属を所定パターンにエッチングする化学処理装置であって、
電解液で、前記成膜金属を陰極にして前記成膜金属を電解還元する陰極電解還元装置と、
前記陰極電解還元装置の処理の後に、酸性処理液に前記成膜金属を浸漬する酸浸漬装置と、
を備え、
前記陰極電解還元装置では前記成膜金属の一部が前記電解液に浸され、前記酸浸漬装置では前記成膜金属の全部が前記酸性処理液に浸されることを特徴とする。
【0030】
請求項13に記載の発明では、陰極電解還元装置において、成膜金属の全てを電解液に浸す必要がなく、成膜金属の一部が電解液に浸されればよい。従って、陰極電解還元装置では、使用する電解液が少なくて済み、使用する電解液の量を節約できる。
【0031】
請求項14に記載の発明は、
請求項13に記載の化学処理装置において、
前記電解液は、酸基を含む酸性処理液及びハロゲンイオンを含むアルカリ処理液のうちのいずれかであることを特徴とする。
【0032】
請求項15に記載の発明は、
請求項14に記載の化学処理装置において、
前記酸基を含む酸性処理液は、塩酸、硫酸、カルボン酸、フッ化水素及びリン酸のうちのいずれかであることを特徴とする。
【0033】
請求項16に記載の発明は、
請求項14に記載の化学処理装置において、
前記ハロゲンイオンを含むアルカリ処理液は、塩化ナトリウム、塩化カリウム及びヨウ化カリウムのうちのいずれかであることを特徴とする。
【0034】
請求項17に記載の発明は、
請求項13〜16のいずれか一項に記載の化学処理装置において、
前記酸浸漬装置の前記酸性処理液は、ハロゲンイオンを含むことを特徴とする。
【0035】
請求項18に記載の発明は、
請求項17に記載の化学処理装置において、
前記ハロゲンイオンは、塩素イオンであることを特徴とする。
【0036】
請求項19に記載の発明は、
請求項13〜18のいずれか一項に記載の化学処理装置において、
前記成膜金属を構成する金属は、クロム、チタン、タングステン、パラジウム及びモリブデンのうちのいずれか一の金属であることを特徴としており、特に成膜金属がクロムで構成されている場合には、6価クロムの生成を防止できる。
【0037】
請求項20に記載の発明は、
請求項13〜19のいずれか一項に記載の化学処理装置において、
前記成膜金属を構成する金属は、クロム、チタン、タングステン、パラジウム及びモリブデンのうちの少なくとも一の金属を含む合金であることを特徴としており、特に成膜金属がクロムの合金から構成されている場合には、6価クロムの生成を防止できる。
【0038】
請求項21に記載の発明は、
被成膜物に成膜された状態の成膜金属を所定パターンにエッチングする化学処理装置であって、
ハロゲンイオンを含む酸性処理液に前記成膜金属を浸漬し、前記酸性処理液中で前記成膜金属を陰極にして前記成膜金属を電解還元し、前記成膜金属の電解還元を停止し、前記成膜金属を前記酸性処理液中に浸漬させておき、前記成膜金属を所定パターンにエッチングする電解装置を備えることを特徴とする。
【0039】
請求項21に記載の発明によれば、電解装置を備えるため、ハロゲンイオンを含む酸性処理液中に成膜金属を浸漬した状態で、成膜金属を陰極にして成膜金属を電解還元することにより、成膜金属の表面に形成される酸化物を還元することができ、成膜金属の電解還元を停止して成膜金属を酸性処理液中に浸漬させておくことにより、還元された成膜金属を所定パターンにエッチングできる。つまり、請求項10に記載の発明では、成膜金属の酸化物の還元と、還元後の成膜金属のエッチングとを、ハロゲンイオンを含む同一の酸性処理液中で行うことができる。
【0040】
請求項22に記載の発明は、
請求項21に記載の化学処理装置において、
前記ハロゲンイオンは、塩素イオンであることを特徴とする。
【0041】
請求項23に記載の発明は、
請求項21又は22に記載の化学処理装置において、
前記成膜金属を構成する金属は、クロム、チタン、タングステン、パラジウム及びモリブデンのうちのいずれか一の金属であることを特徴としており、特に成膜金属がクロムで構成されている場合には、6価クロムの生成を防止できる。
【0042】
請求項24に記載の発明は、
請求項21〜23のいずれか一項に記載の化学処理装置において、
前記成膜金属を構成する金属は、クロム、チタン、タングステン、パラジウム及びモリブデンのうちの少なくとも一の金属を含む合金であることを特徴としており、特に成膜金属がクロムの合金から構成されている場合には、6価クロムの生成を防止できる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0044】
まず、本発明の化学処理方法を第一及び第二の化学処理方法に分けてそれぞれ説明する。図1は、本実施の形態に係る化学処理方法を構成する各工程での被成膜物上の金属膜の状態を示す図面である。
【0045】
[第一の化学処理方法]
まず、被成膜物110の片面上にスパッタリング等により所定膜厚のクロム膜120を成膜し、更に成膜金属としてのクロム膜120上にスパッタリング等により所定膜厚の銅膜130を成膜する。これにより、被処理物100を得る(図1(a))。被成膜物110としては、ポリイミド、ガラスエポキシ、BTレジン及びポリエステル等からなるキャリアテープ並びにシリコン等からなる半導体ウェーハが適用可能である。
【0046】
その後、銅膜130上にフォトレジスト140を塗布して(図1(b))、フォトマスク150を介して露光し(図1(c))、所定の現像液により現像する。これにより、銅膜130上に所定のレジストパターンを形成する(図1(d))。
【0047】
その後、図1(d)に示す被処理物100を所定の処理液中に浸漬して銅膜130のウェットエッチング処理を行い(以下「銅ウェットエッチング処理」といい、この処理を行う工程を以下「銅ウェットエッチング工程」という。)、被処理物100を洗浄する。これにより、銅膜130がレジストパターンに従う所定パターンにエッチングされた被処理物100を得る(図1(e))。
【0048】
その後、図1(e)に示す被処理物100を陰極にして、所定の処理液を用いてクロム膜120を発生期の水素で電解還元する(以下「陰極電解還元処理」といい、この処理を行う工程を以下「陰極電解還元工程」という。)。
【0049】
この陰極電解還元処理の処理液としては電解液であればよい。「電解液」は、特に限定はしないが、酸基を含む酸性処理液やハロゲンイオンを含むアルカリ性処理液などが好適である。
【0050】
「酸基を含む酸性処理液」としては、塩酸、硫酸、カルボン酸、フッ化水素、リン酸などが適用可能であり、これら酸性処理液のうち、1種類の酸性処理液を陰極電解還元処理の処理液として用いてもよいし、2種類以上の酸性処理液を混合してその混合液を陰極電解還元処理の処理液として用いてもよい。
【0051】
「ハロゲンイオンを含むアルカリ性処理液」としては、塩化ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液、ヨウ化カリウム水溶液などが適用可能であり、これらアルカリ性処理液のうち、1種類のアルカリ性処理液を陰極電解還元処理の処理液として用いてもよいし、2種類以上のアルカリ性処理液を混合してその混合液を陰極電解還元処理の処理液として用いてもよい。
【0052】
図2(a)(b)に、陰極電解還元処理の原理を模式的に図示した。陰極電解還元処理では、図2(a)に示す通り、被処理物100の全てを処理液中に浸してもよいし、図2(b)に示す通り、被処理物100の一部を処理液中に浸してもよい。
【0053】
ウェットエッチング工程などにより、クロム膜120は、処理液中では自己の膜の表面に酸化クロム膜を形成して不働態化する。このため、陰極電解還元工程において、酸化クロム膜を金属クロムに還元する。その後、陰極電解還元処理後の被処理物100を純水で洗浄する。
【0054】
その後、被処理物100を所定の処理液中に所定時間だけ浸漬してクロム膜120の浸漬処理(ウェットエッチング処理)を行う(以下「酸浸漬処理」といい、この処理を行う工程を以下「酸浸漬工程」という。)。
【0055】
この酸浸漬処理の処理液としては酸性処理液を用いればよく、(株)ムラタ製SAS(商品名)を好適に用いることができる。
酸浸漬処理の処理液としての「酸性処理液」はハロゲンイオンを含むのが好ましく、ハロゲンイオンのなかでも塩素イオンを含むのがより好ましい。
【0056】
なお、酸浸漬処理の処理液は、前述の陰極電解還元処理に用いる処理液よりも濃度が濃いものを用いる。
【0057】
図2(c)に、酸浸漬処理の原理を模式的に図示した。この酸浸漬処理を経ることで、被処理物100のクロム膜120を所定のパターンにエッチングできる(図1(f))。
【0058】
その後、図1(f)に示す被処理物100を純水で洗浄し、所定の処理液を用いて被処理物100に残るフォトレジスト140を剥離する。その後、フォトレジスト140を剥離した被処理物100を洗浄し乾燥させる。以上の各工程を経ることで、被成膜物110に成膜されたクロム膜120及び銅膜130を、レジストパターンに従う所定パターンにエッチングできる(図1(g))。
【0059】
以上のように第一の化学処理方法によれば、陰極電解還元工程と酸浸漬工程とをこの順で経るといった簡単な工程の組み合わせで、被成膜物110上に成膜されたクロム膜120を所定のパターンにエッチングできる。また、第一の化学処理方法によれば、6価クロムの生成をも防止できる。この場合、各処理液の廃液処理を容易に行えるという利点がある。
【0060】
更に、6価クロムの生成を防止できることも含めて、陰極電解還元工程及び酸浸漬工程における各処理液としてシアン系化合物を使用しなくてもクロム膜120のエッチングを行えるので、従来に比較して廃液処理に係る手間を大幅に減らせる。また、陰極電解還元処理及び酸浸漬処理での処理液として、塩酸,NaCl溶液及び(株)ムラタ製SAS等といった比較的安価な塩素系薬品が適用可能であり、これらの処理液を用いてもクロム膜120のエッチングを行えるので、クロムのエッチングに係るコストを大幅に抑制できる。
【0061】
なお、本第一の化学処理方法では、図1(f)に示す被処理物100を純水で洗浄した後にその被処理物100からフォトレジスト140を剥離したが、図1(d)に示す被処理物100を銅ウェットエッチング処理した後にその被処理物100からフォトレジスト140を剥離し、アルカリ性の電解液を処理液として陰極電解還元処理を行ってもよい。この場合には、陰極電解還元処理でアルカリ性の電解液を処理液として用いるため、陰極電解還元処理と同時に、銅膜130上に残ったフォトレジスト140の残渣を除去できる。そのため、図1(g)の次に続いて一般に行われる電解めっきあるいは無電解めっき等の表面処理工程において実施されるフォトレジスト140の残渣除去(ディスカム)処理を省略することができ、そのディスカム処理に必要な化学薬品を削除することができる。
【0062】
[第二の化学処理方法]
上記第一の化学処理方法と同様の処理を施して、図1(e)に示す被処理物100を得る。その後、被処理物100を所定の処理液中に浸漬し、この状態において、被処理物100を陰極にして同処理液でクロム膜120を所定時間電解還元し、その後、同処理液中でクロム膜120の電解還元を停止する。(以下単に「酸電解処理」といい、この処理を行う工程を以下「酸電解工程」という。)。
【0063】
この酸電解処理の処理液としては、ハロゲンイオンを含む酸性処理液を用いればよく、好ましくは塩素イオンを含む酸性処理液を用いればよく、(株)ムラタ製SASを好適に用いることができる。
【0064】
図3に、酸電解処理の原理を模式的に図示した。
【0065】
酸電解処理では、クロム膜120の電解還元によりクロム膜120の表面に形成される酸化クロム膜を還元でき、その後、クロム膜120の電解還元を停止するとクロム膜120を所定のパターンにエッチングできる(図1(f))。
【0066】
なお、「クロム膜120を電解還元してクロム膜120の電解還元を停止する」方法としては、(1)被処理物100を処理液中に浸漬した状態において、被処理物100を電極と対向する位置から電極と対向しない位置に移動させたり、(2)被処理物100を処理液中に浸漬した状態において、被処理物100を電極と対向する位置に配置したまま電源から電極に所定時間電流を流して、所定時間が経過したら電源から電流を流すのを停止したり、(3)被処理物100を処理液中に浸漬した状態において、被処理物100を電極と対向する位置に配置したまま、電源から電極にパルス電流を流したりするなどの方法がある。
【0067】
被処理物100の被成膜物110がキャリアテープである場合には上記(1)の方法が有用であり(後述の[適用例2],[適用例4]参照)、被処理物100の被成膜物110が半導体ウェーハである場合には上記(2),(3)の方法が有用である(後述の[適用例6]参照)。
【0068】
その後、第一の化学処理方法と同様の処理を施して、図1(g)に示す被処理物100を得る。
【0069】
以上のように第二の化学処理方法では、酸電解処理といった簡単な工程を経ることで、被成膜物110上に成膜されたクロム膜120を所定のパターンにエッチングでき、更に6価クロムの生成も防止できる。また、第二の化学処理方法では、第一の化学処理方法のように、陰極電解還元処理と酸浸漬工程との二工程(各工程間の洗浄処理を含む。)分に係る処理を、酸電解処理の一工程分の処理で行えるので、処理の用に供する手間を省くことができる。
【0070】
なお、上記第一及び第二の化学処理方法では、クロム膜120をエッチングする際の例を例示したが、本発明はクロムに限らず、チタン、タングステン、パラジウム及びモリブデン等を適用した場合にも、本発明の化学処理方法によれば、これら金属を所定のパターンにエッチングできる。
更に、クロム、チタン、タングステン、パラジウム及びモリブデンを少なくとも一つ含む合金でも所定のパターンにエッチングできる。合金としてニッケル−クロム合金が一般に使用される。
【0071】
次に、上記第一及び第二の化学処理方法を用いる各種化学処理装置、詳しくは第一の化学処理方法に係る陰極電解還元処理及び酸浸漬処理に用いる各種装置と、第二の化学処理方法に係る酸電解処理に用いる各種装置との適用例を[適用例1]〜[適用例6]に分けてそれぞれ説明する。
【0072】
なお、[適用例1]〜[適用例4]では、被成膜物としてのキャリアテープ上に成膜した成膜金属をエッチングするための装置を示し、[適用例5]及び[適用例6]では、被成膜物としての半導体ウェーハ上に成膜した成膜金属をエッチングするための装置を示す。また、キャリアテープ及び半導体ウェーハ上には、共に、成膜金属としてクロム膜が成膜され、クロム膜上には、銅膜及びレジスト膜がこの順で所定パターンにエッチングされた状態で成膜されている(図1(e)に示す状態)ものとしてそれぞれ説明を行う。
【0073】
[適用例1]
適用例1では、上記第一の化学処理方法を用いる装置であって、キャリアテープを縦にした(テープ幅方向を垂直にした)状態で搬送する所謂「縦型搬送式」の装置の例を示す。図4は、縦型搬送式の化学処理装置を示す概略の側面断面図であり、図5は、図4に示す化学処理装置を構成する陰極電解還元装置の概略の正面断面図である。
【0074】
図4に示す通り、化学処理装置30は、キャリアテープC1に対して陰極電解還元処理を行う陰極電解還元装置31と、キャリアテープC1の洗浄を行う洗浄装置32,34と、キャリアテープC1に対して酸浸漬処理を行う酸浸漬装置33と、を具備する。
【0075】
なお、図4中において陰極電解還元装置31の左端には、キャリアテープC1を繰り出す繰り出し装置(図示略)が設けられ、洗浄装置34の右端には、キャリアテープC1を巻き取る巻き取り装置(図示略)が設けられている。
【0076】
図4及び図5に示す通り、陰極電解還元装置31は箱状の外部処理槽31aを備え、外部処理装置31a内の略中央部には内部処理槽31bが設けられている。外部処理槽31aの底部は、内部処理槽31bの底部を兼ねている。内部処理槽31bの各側壁は、外部処理槽31aの各側壁よりもやや低くなっている。
【0077】
内部処理槽31bの底部には、供給管31cの一端が接続されている。供給管31cの途中には、ポンプ31d、熱交換器31e及びフィルタ31fが介在しており、供給管31cの他端がタンク31gに接続されている。タンク31gには、処理液31hが貯留されている。処理液31hは、上記第一の化学処理方法の陰極電解還元処理で用いる処理液と同様の処理液が用いられている。外部処理槽31aと内部処理槽31bとの間の底部には、排出管31i,31jの一端が接続されており、排出管31i,31jの他端はタンク31gに接続されている。
【0078】
ポンプ31dを作動させると、タンク31g内の処理液31hは、熱交換器31e及びフィルタ31fを介して供給管31cを流通し、内部処理槽31cに供給される。処理液31hが内部処理槽31bに所定量供給されると、処理液31hは、内部処理槽31bの各側壁を超えて内部処理槽31b外に溢れ出る(オーバーフローする)。つまり、内部処理槽31bからオーバーフローした処理液31hは、外部処理槽31aの各側壁と内部処理槽31bの各側壁との間に形成されたオーバーフロー部31kにオーバーフローする。オーバーフロー部31kに溢れ出た処理液31hは、各排出管31i,31jを流通してタンク31gに回収される。以後、上記の通りに、処理液31hが各部材を順次繰り返し循環する。
【0079】
外部処理槽31a及び内部処理槽31bの各側壁のうち、キャリアテープC1が通過する側壁の所定箇所には、図4及び図5に示す通り、縦長の溝からなるスリット31l,31mが設けられている。各スリット31l,31mは、キャリアテープC1の幅及び厚さよりも大きな幅及び長さを有している。なお、内部処理槽31b内の処理液31hは、スリット31mからもオーバーフロー部31kに流出する。
【0080】
内部処理槽31bの内部には、電極31nが設けられている。内部処理槽31b内において、電極31nは、キャリアテープC1の片面、詳しくは成膜物を成膜した面に対向している。電極31nは、電源装置31xの正極に接続されている。
【0081】
外部処理槽31aの各側壁のうち、キャリアテープC1を搬入する側の側壁とキャリアテープC1を搬出する側の側壁との外側には、電極ローラ31y,31zがそれぞれ設けられている。各電極ローラ31y,31zは、キャリアテープC1の片面、詳しくはクロム膜及び銅膜を成膜した面に接触している。また、各電極ローラ31y,31zは、電源装置31xの負極に接続されている。
【0082】
洗浄装置32,34及び酸浸漬装置33は、上記陰極電解還元装置31と略同様の構成を備えるものである。
【0083】
洗浄装置32は箱状の外部処理槽32aを備え、外部処理槽32aの略中央部には内部処理槽32bが設けられている。内部処理槽32bの底部には供給管32cが接続され、外部処理槽32bの底部には排出管32i,32jがそれぞれ接続されている。タンク32gには、キャリアテープC1の洗浄を行うための純水32hが貯留されている。
【0084】
ポンプ32dが作動すると、タンク32g内の純水32hは、熱交換器32e及びフィルタ32fを介して供給管32c内を流通し内部処理槽32b内に供給される。その後、タンク32g内の純水32hは、内部処理槽32bの各側壁からオーバーフロー部32kにオーバーフローして、各排出管32i,32jを流通してタンク32gに回収され、以下同様に循環する。
【0085】
また、外部処理槽32a及び内部処理槽32bの各側壁のうち、キャリアテープC1が通過する側壁にはスリット32l,32mがそれぞれ設けられており、キャリアテープC1が、各スリット32l,32mをそれぞれ通過するとともに、内部処理槽32b内の純水32hに浸漬しながら搬送されるようになっている。
【0086】
酸浸漬装置33は箱状の外部処理槽33aを備え、外部処理槽33aの略中央部には内部処理槽33bが設けられている。内部処理槽33bの底部には供給管33cが接続され、外部処理槽33bの底部には排出管33i,33jがそれぞれ接続されている。タンク33gには、処理液33hが貯留されている。処理液33hは、上記第一の化学処理方法の酸浸漬処理で用いる処理液と同様の処理液が用いられている。
【0087】
ポンプ33dが作動すると、タンク33g内の処理液33hは、熱交換器33e及びフィルタ33fを介して供給管33c内を流通し内部処理槽33b内に供給される。その後、タンク33g内の処理液33hは、内部処理槽33bの各側壁からオーバーフロー部33kにオーバーフローして、各排出管33i,33jを流通してタンク33gに回収され、以下同様に循環する。
【0088】
また、外部処理槽33a及び内部処理槽33bの各側壁のうち、キャリアテープC1が通過する側壁にはスリット33l,33mがそれぞれ設けられており、キャリアテープC1が、各スリット33l,33mをそれぞれ通過するとともに、内部処理槽33b内の処理液33hに浸漬しながら搬送されるようになっている。
【0089】
洗浄装置34は箱状の外部処理槽34aを備え、外部処理槽34aの略中央部には内部処理槽34bが設けられている。内部処理槽34bの底部には供給管34cが接続され、外部処理槽34bの底部には排出管34i,34jがそれぞれ接続されている。タンク34gには、キャリアテープC1の洗浄を行うための純水34hが貯留されている。
【0090】
ポンプ34dが作動すると、タンク34g内の純水34hは、熱交換器34e及びフィルタ34fを介して供給管34c内を流通し内部処理槽34b内に供給される。その後、タンク34g内の純水34hは、内部処理槽34bの各側壁からオーバーフロー部34kにオーバーフローして、各排出管34i,34jを流通してタンク34gに回収され、以下同様に循環する。
【0091】
また、外部処理槽34a及び内部処理槽34bの各側壁のうち、キャリアテープC1が通過する側壁にはスリット34l,34mがそれぞれ設けられており、キャリアテープC1が、各スリット34l,34mをそれぞれ通過するとともに、内部処理槽34b内の純水34hに浸漬しながら搬送されるようになっている。
【0092】
各装置31〜34の両側には、キャリアテープC1を間に挟んだ状態で互いに隣接して逆回転する搬送ローラ(図示略)が設けられており、各搬送ローラが回転することで、キャリアテープC1は搬送される。なお、陰極電解還元装置31の両側には、上記の通り電極ローラ31y,31zが設けられているが、キャリアテープC1を間に介在させた各電極ローラ31y,31zの反対側にバックアップローラ(図示略)が設けられている。
【0093】
次に、化学処理装置30の作用について説明する。
各電極ローラ31y,31z、各バックアップローラ及び各搬送ローラが所定の方向に回転すると、キャリアテープC1は、繰り出し装置から順次搬送方向に繰り出され、各装置31〜34の内部処理槽31b〜34b内をそれぞれ通過して巻き取り装置に巻き取られる。
【0094】
このとき、各装置31〜34では以下の処理が行われる。
陰極電解還元装置31では、内部処理槽31b内に処理液31hが満たされており、更に電極ローラ31y,31z及び電極31n間に電圧が印加されている。この状態において、キャリアテープC1は、各スリット31l,31mを通過するとともに内部処理槽31bを通過する。キャリアテープC1は、内部処理槽31bを通過する際に、陰極電解還元処理される。つまり、キャリアテープC1の金属膜を成膜した面には、外部処理槽31aの外部において各電極ローラ31y,31zが接触しているから、内部処理槽31b内でクロム膜の表面に形成された酸化クロム膜が還元される。
【0095】
洗浄装置32では、内部処理槽32b内に純水32hが満たされており、キャリアテープC1は、各スリット32l,32mを通過するとともに、内部処理槽32b内を通過して純水32hにより洗浄される。
【0096】
酸浸漬装置33では、内部処理槽33b内に処理液33hが満たされており、キャリアテープC1は、各スリット33l,33mを通過するとともに、内部処理槽33b内で酸浸漬処理される。つまり、キャリアテープC1は、内部処理槽33b内の処理液33hに浸漬しながら搬送され、キャリアテープC1上に成膜されたクロム膜が所定パターンにエッチングされる。
【0097】
洗浄装置34では、内部処理槽34b内に純水34hが満たされており、キャリアテープC1は、各スリット34l,34mを通過するとともに、内部処理槽34b内を通過して純水34hにより洗浄される。なお、洗浄装置34により洗浄されたキャリアテープC1は、乾燥装置(図示略)を通過して乾燥され、巻き取り装置に巻き取られる。
【0098】
以上により、キャリアテープC1上に成膜されたクロム膜を所定パターンにエッチングできる。この場合、6価クロムの生成も防止できる。
【0099】
なお、陰極電解還元装置31での陰極電解還元処理では、図4及び図5に示すように、内部処理槽31bに処理液31hを完全に満たしてキャリアテープC1の全体を処理液31hに浸してもよいが、内部処理槽31bに処理液31hを完全には満たさずにキャリアテープC1のうち金属膜を成膜した面の一部が処理液31hに浸されてもよい。
【0100】
[適用例2]
適用例2では、上記第二の化学処理方法を用いる装置であって、適用例1と同様の縦型搬送式の化学処理装置を例示する。図6は、化学処理装置を示す概略の側面断面図である。図6に示す通り、化学処理装置40は、キャリアテープC2に対して酸電解処理を行う電解装置41と、キャリアテープC2の洗浄を行う洗浄装置42と、を具備する。
【0101】
なお、化学処理装置40においては、図4に示す化学処理装置30と同様、図6中の電解装置41及び洗浄装置42の両端に繰り出し装置(図示略)及び巻き取り装置(図示略)が設けられており、電解装置41及び洗浄装置42の各装置41,42の両側に搬送ローラ(図示略)が設けられている。
【0102】
電解装置41は、図4及び図5に示す陰極電解還元装置31と略同様の構成を備えるものであるが、電解装置41では、外部処理槽41lの片側(繰り出し装置側)にのみ電極ローラ41y及びこれを支持するバックアップローラ(図示略)が設けられており、上記第二の化学処理方法の酸電解処理で用いる処理液と同様の処理液41hがタンク41gに貯留されていることが陰極電解還元装置31と異なっている。
【0103】
洗浄装置42は、図4に示す洗浄装置32,34と略同様の構成を備えるものであり、タンク42g内の純水42hが、ポンプ42dの作動により熱交換器42e及びフィルタ42fを介して供給管42c及び内部処理槽42bを流通し、オーバーフロー部42kから各排出管42i,42jへと順に循環する。
【0104】
次に、化学処理装置40の作用について説明する。
電極ローラ41y、バックアップローラ及び各搬送ローラが所定方向に回転すると、キャリアテープC2は、電解装置41及び洗浄装置42の各内部処理槽41b,42b内をそれぞれ通過して巻き取られる。
【0105】
このとき、各装置41,42では以下の処理が行われる。
電解装置41では内部処理槽41b内に処理液41hが満たされ、内部処理槽41bからオーバーフローした処理液41hは、オーバーフロー部41kから各排出管41i,41jを流通しタンク41gに回収され、更にポンプ41dの作動によりタンク41gから熱交換器41e及びフィルタ41fを介して供給管41cを流通し内部処理槽41bへと順次循環している。また、電解装置41では、電源装置41xにより電極ローラ41y及び電極41n間に電圧が印加されている。
【0106】
この状態において、キャリアテープC2は、各スリット41l,41mを通過するとともに内部処理槽41b内を通過する。キャリアテープC2は、内部処理槽41bを通過する際に、酸電解処理される。つまり、キャリアテープC2の金属膜を成膜した面には、外部処理槽41aの外部において電極ローラ41yが接触しているから、キャリアテープC2においては電極41nと対向しているときにクロム膜の表面に形成された酸化クロム膜が還元される。その後、キャリアテープC2の搬送に伴い、還元されたクロム膜の領域が電極41nと対向する領域から外れると、クロム膜の電解還元が停止した状態となり、キャリアテープC2上のクロム膜が内部処理槽41b内の処理液41hにより所定パターンにエッチングされる。
【0107】
洗浄装置42では、内部処理槽42b内に純水42hが満たされており、キャリアテープC2は、各スリット42l,42mを通過するとともに、内部処理槽42b内を通過して純水42hにより洗浄される。なお、洗浄装置42により洗浄されたキャリアテープC2は、乾燥装置(図示略)を通過して乾燥され、巻き取り装置に巻き取られる。
【0108】
以上により、キャリアテープC2上に成膜されたクロム膜を所定パターンにエッチングできる。この場合、6価クロムの生成も防止できる。
【0109】
[適用例3]
適用例3では、上記第一の化学処理方法を用いる装置であって、キャリアテープを水平に寝かせた状態で搬送する所謂「水平搬送式」の装置の例を示す。図7は、水平搬送式の化学処理装置を示す概略の側面断面図である。
【0110】
図7に示す通り、化学処理装置50は、キャリアテープC3に対して陰極電解還元処理を行う陰極電解還元装置51と、キャリアテープC3の洗浄を行う洗浄装置52,54と、キャリアテープC3に対して酸浸漬処理を行う酸浸漬装置53と、を具備する。
【0111】
なお、化学処理装置50においては、図4〜図6に示す化学処理装置30,40と同様、図7中の陰極電解還元装置51の左端及び洗浄装置54の右端に繰り出し装置(図示略)及び巻き取り装置(図示略)が設けられている。
【0112】
陰極電解還元装置51は処理槽51aを備え、処理槽51aには処理液51bが貯留されている。処理液51bは、上記第一の化学処理方法の陰極電解還元処理で用いる処理液と同様の処理液が用いられている。処理槽51aの底部には流通管51cの端が接続されている。流通管51cの途中には、ポンプ51d、熱交換器51e及びフィルタ51fが介在している。ポンプ51dが作動すると、処理槽51a内の処理液51bは、流通管51cを流通し、熱交換器51e及びフィルタ51fを介して処理槽51a内に戻る。陰極電解還元装置51では、このような処理液51bの循環系が形成されている。
【0113】
処理槽51aの上方には、二つの電極ローラ51g,51hが設けられており、各電極ローラ51g,51hは電源装置51iの負極に接続されている。各電極ローラ51g,51hの下側には、各電極ローラ51g,51hを支持するバックアップローラ51j,51kがそれぞれ設けられている。また、処理槽51a内には、キャリアテープC3の搬送方向を変更する搬送ローラ51lが設けられている。
【0114】
キャリアテープC3は、電極ローラ51g及びバックアップローラ51j間に挟まれ、処理槽51a内で搬送ローラ51lに巻回され、電極ローラ51h及びバックアップローラ51k間に挟まれている。なお、キャリアテープC3の金属膜を成膜した面が各電極ローラ51g,51hに接触している。
【0115】
処理槽51a内には、二つの電極51m,51nが設けられている。各電極51m,51nは、電源装置51iの正極に接続されているとともに、キャリアテープC3に対向するように設けられている。なお、各電極51m,51nは、処理槽51a内においてキャリアテープC3の金属膜を成膜した面に対向する。
【0116】
洗浄装置52は処理槽52aを備え、処理槽52aには純水52bが貯留されている。処理槽52aの底部には流通管52cの端が接続されている。流通管52cの途中には、ポンプ52d、熱交換器52e及びフィルタ52fが介在している。ポンプ52dが作動すると、処理槽52a内の純水52bは、流通管52cを流通し、熱交換器52e及びフィルタ52fを介して処理槽52a内に戻る。洗浄装置52では、このような純水52bの循環系が形成されている。
【0117】
処理槽52aの上方には、四つの搬送ローラ52g,52h,52i,52jが設けられ、搬送ローラ52g,52hと搬送ローラ52i,52jとが、キャリアテープC3の搬送方向の上流側と下流側とにそれぞれ対になって設けられている。また、処理槽52a内にも、キャリアテープC3の搬送方向を変更する搬送ローラ52lが設けられている。
【0118】
キャリアテープC3は、搬送ローラ52g,52h間に挟まれ、処理槽52a内で搬送ローラ52lに巻回され、搬送ローラ52i,52j間に挟まれている。洗浄装置52では、このようなキャリアテープC3の搬送系が形成されている。
【0119】
酸浸漬装置53は処理槽53aを備え、処理槽53aには処理液53bが貯留されている。処理液53bは、上記第一の化学処理方法の酸浸漬処理で用いる処理液と同様の処理液が用いられている。処理槽52aの底部には流通管53cの端が接続されている。流通管53cの途中には、ポンプ53d、熱交換器53e及びフィルタ53fが介在している。ポンプ53dが作動すると、処理槽53a内の処理液53bは、流通管53cを流通し、熱交換器53e及びフィルタ53fを介して処理槽53a内に戻る。酸浸漬装置53では、このような処理液53bの循環系が形成されている。
【0120】
処理槽53aの上方には、四つの搬送ローラ53g,53h,53i,53jが設けられ、搬送ローラ53g,53hと搬送ローラ53i,53jとが、キャリアテープC3の搬送方向の上流側と下流側とにそれぞれ対になって設けられている。また、処理槽53a内にも、キャリアテープC3の搬送方向を変更する搬送ローラ53lが設けられている。
【0121】
キャリアテープC3は、搬送ローラ53g,53h間に挟まれ、処理槽53a内で搬送ローラ53lに巻回され、搬送ローラ53i,53j間に挟まれている。
【0122】
洗浄装置54は、上記洗浄装置52と同様の構成を備えるものである。すなわち、処理槽54aには純水54bが貯留されており、流通管54c、ポンプ54d、熱交換器54e、フィルタ54f及び処理槽54aからなる循環系並びに処理槽54a上方の四つの搬送ローラ54g,54h,54i,54j及び処理槽54a内の搬送ローラ54lからなる搬送系は、洗浄装置52のそれと同様の構成となっている。
【0123】
なお、各装置51〜54の処理槽51a,52a,53a,54a内では、攪拌子(図示略)等により各液51b,52b,53b,54bが攪拌される。
【0124】
次に、化学処理装置50の作用について説明する。
各電極ローラ51g,51h、各バックアップローラ51j,51k及び各搬送ローラ(符号略)が所定の方向に回転すると、キャリアテープC3は、繰り出し装置から順次搬送方向に繰り出され、各装置51〜54の内部処理槽31b〜34b内をそれぞれ通過して巻き取り装置に巻き取られる。側面視すると、図7の通り、キャリアテープC3はジグザグに搬送される。
【0125】
このとき、各装置51〜54では以下の処理が行われる。
陰極電解還元装置51では、処理槽51a内に処理液51bが満たされており、更に電極ローラ51g,51h及び電極51m,51n間に電圧が印加されている。この状態において、キャリアテープC3は、処理槽51a内を通過して陰極電解還元処理される。つまり、キャリアテープC3の金属膜を成膜した面には、処理槽51aの外部において各電極ローラ51g,51hが接触しているから、クロム膜の表面に形成された酸化クロム膜が、各電極51m,51nの影響を受けて還元される。
【0126】
洗浄装置52では、処理槽52a内に純水52bが満たされており、キャリアテープC3は、処理槽52a内を通過して純水52bにより洗浄される。
【0127】
酸浸漬装置53では、処理槽53aに処理液53bが満たされており、キャリアテープC3は、処理槽53a内を通過して酸浸漬処理される。つまり、キャリアテープC3は、処理槽53a内の処理液53bに浸漬しながら搬送され、クロム膜が所定パターンにエッチングされる。
【0128】
洗浄装置54では、処理槽54a内に純水54bが満たされており、キャリアテープC3は、処理槽54a内を通過して純水54bにより洗浄される。なお、洗浄装置54により洗浄されたキャリアテープC3は、乾燥装置(図示略)を通過して乾燥され、巻き取り装置に巻き取られる。
【0129】
以上により、キャリアテープC3上に成膜されたクロム膜を所定パターンにエッチングできる。この場合、6価クロムの生成も防止できる。
【0130】
[適用例4]
適用例4では、上記第二の化学処理方法を用いる装置であって、適用例3と同様の水平搬送式の化学処理装置を例示する。図8は、化学処理装置を示す概略の側面断面図である。図8に示す通り、化学処理装置60は、キャリアテープC4に対して酸電解処理を行う電解装置61と、キャリアテープC4の洗浄を行う洗浄装置62と、を具備する。
【0131】
なお、化学処理装置60においては、図7に示す化学処理装置50と同様、図8中の電解装置61及び洗浄装置62の両端に繰り出し装置(図示略)及び巻き取り装置(図示略)が設けられている。
【0132】
電解装置61は処理槽61aを備え、処理槽61aには処理液61bが貯留されている。処理液61bは、上記第二の化学処理方法の酸電解処理で用いる処理液と同様の処理液が用いられている。電解装置61は、図7に示す陰極電解還元装置51同様の循環系を有し、供給管61c、ポンプ61d、熱交換器61e、フィルタ61f及び処理槽61bからなる循環系により、処理液61bは各部材間を循環する。
【0133】
処理槽61aの上方には電極ローラ61gが設けられており、電極ローラ61gは電源装置61iの負極に接続されている。電極ローラ61gの下側には、電極ローラ61gを支持するバックアップローラ61hが設けられている。電極ローラ61g及びバックアップローラ61hは、キャリアテープC4の搬送方向の上流側に設けられている。また、キャリアテープC4の搬送方向の下流側には、互いに隣接する二つの搬送ローラ61j,61kが設けられている。更に、処理槽61a内にも、キャリアテープC4の搬送方向を変更する搬送ローラ61lが設けられている。
【0134】
キャリアテープC4は、電極ローラ61g及びバックアップローラ61h間に挟まれ、処理槽61a内で搬送ローラ61lに巻回され、二つの搬送ローラ61j,61k間に挟まれている。なお、キャリアテープC4の金属膜を成膜した面が電極ローラ61gに接触している。
【0135】
処理槽61a内には、電極61mが設けられている。電極61mは、電源装置61iの正極に接続されている。この電極61mは、処理槽61a内において搬送ローラ61lに巻回される前のキャリアテープC4の金属膜を成膜した面に対向している。
【0136】
洗浄装置62は、図7に示す上記洗浄装置52と同様の構成を備えるものである。すなわち、処理槽62aには純水62bが貯留されており、流通管62c、ポンプ62d、熱交換器62e、フィルタ62f及び処理槽62aからなる循環系並びに処理槽62a上方の四つの搬送ローラ62g,62h,62i,62j及び処理槽62a内の搬送ローラ62lからなる搬送系は、上記洗浄装置52のそれと同様の構成となっている。
【0137】
次に、化学処理装置60の作用について説明する。
電極ローラ61g、バックアップローラ61h及び各搬送ローラ(符号略)が所定の方向に回転すると、キャリアテープC4は、繰り出し装置から搬送方向に順次繰り出され、各装置61,62の処理槽61b,62b内をそれぞれ通過して巻き取り装置に巻き取られる。側面視すると、図8の通り、キャリアテープC4はジグザグに搬送される。
【0138】
このとき、各装置61,62では以下の処理が行われる。
電解装置61では、処理槽61a内に処理液61bが満たされており、更に電極ローラ61g及び電極61m間に電圧が印加されている。この状態において、キャリアテープC4は、処理槽61a内を通過して酸電解処理される。
【0139】
つまり、キャリアテープC4の金属膜を成膜した面には、処理槽61aの外部において電極ローラ61gが接触しているから、クロム膜の表面に形成された酸化クロム膜が電極61mに対向しているとき、当該酸化クロム膜は、電極61mの影響を受けて還元される。その後、キャリアテープC4の搬送に伴い、還元されたクロム膜は、搬送ローラ61lを通過しながら搬送されるが、還元されたクロム膜が電極61mと対向する領域から外れると、クロム膜の電解還元が停止した状態となり、クロム膜は処理液61bにより所定パターンにエッチングされる。
【0140】
洗浄装置62では、処理槽62a内に純水62bが満たされており、キャリアテープC4は、処理槽62a内を通過して純水62bにより洗浄される。なお、洗浄装置62により洗浄されたキャリアテープC4は、乾燥装置(図示略)を通過して乾燥され、巻き取り装置に巻き取られる。
【0141】
以上により、キャリアテープC4上に成膜されたクロム膜を所定パターンにエッチングできる。この場合、6価クロムの生成も防止できる。
【0142】
なお、[適用例1]〜[適用例4]では、片面に金属膜を成膜したキャリアテープC1,C2,C3,C4に対する処理を開示したが、両面に金属膜を成膜したキャリアテープに対しても上記と同様に処理できる。この場合、処理液を満たす処理槽内において電極をキャリアテープの両面にそれぞれ対向させ、各電極を電源装置の正極に接続する。
【0143】
また、[適用例1]の陰極電解還元装置31では、内部処理槽31bに処理液31hを満たして陰極電解還元処理を行ったが、この構成に代えて、供給管31cに通じるシャワーノズルを、キャリアテープC1の金属膜を成膜した面に対向するように内部処理槽31b内に設け、シャワーノズルからキャリアテープC1に向けて処理液31hを噴出する構成にしてもよい。
【0144】
酸浸漬装置33においても、陰極電解還元装置31と同様に、シャワーノズルを内部処理槽33b内に設けて、シャワーノズルからキャリアテープC1に向けて処理液33hを噴出する構成にしてもよい。
【0145】
キャリアテープC1の両面に金属膜が成膜された場合には、陰極電解還元装置31及び酸浸漬装置33の各内部処理槽31b,33b内に、シャワーノズルをキャリアテープC1の両面に対向するようにそれぞれ設けて、各シャワーノズルからキャリアテープC1に向けて処理液31h,33hを噴出すればよい。
【0146】
更に、[適用例3]の陰極電解還元装置51でも、処理槽51aに処理液51bを満たして陰極電解還元処理を行ったが、この構成に代えて、流通管51cに通じるシャワーノズルを、キャリアテープC3の金属膜を成膜した面に対向するように処理槽51a内に設け、シャワーノズルからキャリアテープC3に向けて処理液51bを噴出する構成にしてもよい。
【0147】
酸浸漬装置53においても、陰極電解還元装置51と同様に、シャワーノズルを処理槽53a内に設けて、シャワーノズルからキャリアテープC3に向けて処理液53bを噴出する構成にしてもよい。
【0148】
キャリアテープC3の両面に金属膜が成膜された場合には、陰極電解還元装置51及び酸浸漬装置53の各処理槽51a,53a内に、シャワーノズルをキャリアテープC3の両面に対向するようにそれぞれ設けて、各シャワーノズルからキャリアテープC3に向けて処理液51b,53bを噴出すればよい。
【0149】
[適用例5]
適用例5では、上記第一の化学処理方法を用いる装置であって、半導体ウェーハ上の成膜金属を所定パターンにエッチングする際に用いられる化学処理装置の例を示す。この化学処理装置は、半導体ウェーハ上の成膜金属に対して陰極電解還元処理を行う陰極電解還元装置と、陰極電解還元処理の後に半導体ウェーハ上の成膜金属に対して酸浸漬処理を行う酸浸漬装置と、を具備する。
【0150】
まず、陰極電解還元装置について説明する。
図9は、陰極電解還元装置71の縦断側面図である。図9に示す通り、支持台1の上にはカップ2が設けられている。カップ2の下部は開口とされており、カップ2は開口面を下向きにして支持台1の上に設けられている。支持台1は上下に移動可能であり、カップ2は装置本体に固定されている。従い、カップ2が装置本体に固定された状態で、支持台1は上下方向に移動する。
【0151】
支持台1内には、吸引路3が形成されている。吸引路3は、下方の管路3aを経て図示略の吸引手段(例えば、真空ポンプ)に接続されている。支持台1の上部には、上方に開口する多数の吸引口3b,3b,…が形成されている。吸引口3b,3b,…の周囲は外側に向かって上から下に傾斜し、支持台1において傾斜係合面1aが形成されている。傾斜係合面1aは、カップ2との合体時において後述するガイドリング9の傾斜係合面9bと係合し、支持台1とカップ2とを位置合わせするのに有効になる。
【0152】
カップ2内の上部には、網状のアノード電極4が設けられている。アノード電極4は、電源装置19の陽極5に接続されている。カップ2の下部には、弾性を有するバイトンゴムからなる環板状の密閉シート6が、カップ2の開口面を囲むように設けられている。密閉シート6の下面には、板状のカソード電極7,7,7が三つ設けられている。各カソード電極7は、互いに等間隔をあけて(中心角120゜)離間しており、電源装置の陰極8に接続されている。
【0153】
また、密閉シート6の下側には、ガイドリング9が重ねて一体化されている。また、カップ2の下部には、等間隔(中心角120゜)ずつ離間する3箇所に位置合わせ用凸部2a,2a,2aが形成されている。そして、各位置合わせ用凸部2aに対応して、密閉シート6に位置合わせ用通し孔6a,6a,6aがそれぞれ形成され、カソード電極7,7,7に位置合わせ用通し孔7a,7a,7aがそれぞれ形成され、ガイドリング9上部に位置合わせ用凹部9a,9a,9aがそれぞれ形成されている。
【0154】
各位置合わせ用凸部2aが、位置合わせ用通し孔6a,6a,6a及び位置合わせ用通し孔7a,7a,7aをそれぞれ貫通し、更に位置合わせ用凹部9a,9a,9aにそれぞれ係合して、密閉シート6及びカソード電極7,7,7は、カップ2に固定されている。なお、ガイドリング9の内周側には、外側に向かって上から下に傾斜する傾斜係合面9bが形成されており、傾斜係合面9bは、支持台1の傾斜係合面1aと係合するようになっている。
【0155】
上記の通りのカップ2、密閉シート6、カソード電極7,7,7及びガイドリング9が一体化された状態においては、カソード電極7,7,7は、ガイドリング9の内側に3〜4mm程度が露出しているだけで、他の部分は密閉シート6とガイドリング9とで完全に覆われた状態となっている。従い、各カソード電極7において、先端部のみが処理液12に接触し、その他の部分は処理液12と全く接触しない。なお、ガイドリング9の下面と支持台1との間には、Oリング10が介在している。
【0156】
半導体ウェーハW1は、自己の側縁部において密閉シート6と支持台1との間に挟まれた状態で支持台1に支持されており、更に接続端子(図示略)を介して各カソード電極7の先端部に接続されている。
【0157】
タンク13は、カップ2よりも下側に配置されている。タンク13内には、カップ2内に流入する処理液12が貯留されている。処理液12は、上記第一の化学処理方法の陰極電解還元処理で用いる処理液と同様の処理液が用いられている。タンク13の上方には、タンク13内の処理液12を汲み上げるためのポンプ14が配置されている。ポンプ14とカップ2の下部との間には供給路15が設けられている。ポンプ14により汲み上げられたタンク13内の処理液12は、供給路15を通過してカップ2内に流入するようになっている。
【0158】
排出路16は、カップ2の上部の略中央部に設けられている。排出路16には、カップ2の外部においてリリーフバルブ17が接続されている。戻り路18は、排出路16とリリーフバルブ17の間の通路から分岐して、タンク13に接続されている。
【0159】
次に、酸浸漬装置について説明する。
図10は、酸浸漬装置72の縦断側面図である。図10に示す通り、支持台81の上にはカップ82が設けられている。カップ82の下部は開口とされており、カップ82は開口面を下向きにして支持台81の上に設けられている。カップ82の下部には、弾性を有するバイトンゴムからなる環板状の密閉シート(図示略)が、カップ82の開口面を囲むように設けられており、この密閉シートの下側にガイドリングが重ねて一体化されている。つまり酸浸漬装置72では、支持台81とカップ82との間に上記密閉シート及びガイドリングが介在した構成となっている。支持台81は上下に移動可能であり、カップ82は装置本体に固定されている。従い、カップ82が装置本体に固定された状態で、支持台81は上下方向に移動する。
【0160】
支持台81内には、吸引路83が形成されている。吸引路83には、下方の管路83aを経て図示略の吸引手段(例えば、真空ポンプ)に接続されている。支持台81の上部には、上方に開口する多数の吸引口83b,83b,…が形成されている。全ての吸引口83b,83b,…は、カップ82により覆われている。なお、カップ82の下部と支持台81との間には、上記密閉シート及びガイドリングの他にOリング84が介在している。
【0161】
半導体ウェーハW1は、自己の側縁部においてカップ82の下部と支持台1との間に挟まれた状態で支持台1に支持される。
【0162】
タンク85は、カップ82よりも下側に配置されている。タンク85内には、カップ82内に流入する処理液86が貯留されている。処理液86は、上記第一の化学処理方法の酸浸漬処理で用いる処理液と同様の処理液が用いられている。タンク85の上方には、タンク85内の処理液86を汲み上げるためのポンプ87が配置されている。ポンプ87とカップ82との間には供給路88が設けられている。ポンプ87により汲み上げられたタンク85内の処理液86は、供給路88を通過してカップ82内に流入するようになっている。
【0163】
排出路89は、カップ82の上部の略中央部に設けられている。排出路89には、カップ82の外部においてリリーフバルブ90が接続されている。戻り路91は、排出路89とリリーフバルブ90の間の通路から分岐して、タンク85に接続されている。
【0164】
次に、図9及び図10に示す陰極電解還元装置71及び酸浸漬装置72の作用を説明する。
まず、陰極電解還元装置71において、カップ2から下方に支持台1を下降させて支持台1とカップ2とを分離する。その後、半導体ウェーハW1を支持台1の支持面上にセットする。このとき、金属膜が上を向くように半導体ウェーハW1をセットする。そして、管路3aに接続された前記吸引手段を作動させて各吸引口3bに吸引力を作用させ、半導体ウェーハW1を支持台1上に吸着固定する。
【0165】
続いて、半導体ウェーハW1を固定した状態でOリング10を備える支持台1を上昇させて支持台1の傾斜係合面1aとガイドリング9の傾斜係合面9bとを係合させ、支持台1とカップ2とを位置合わせする。これにより、カップ2の内部を密閉シート6とOリング10とで完全に密閉する。この状態においては、半導体ウェーハW1の周縁部は密閉シート6の下面に密着し、半導体ウェーハW1の金属膜がカソード電極7,7,7に接続される。
【0166】
その後、ポンプ14を駆動し、供給路15を介してタンク13内の処理液12をカップ2内に供給する。すると、処理液12は、半導体ウェーハW1の上方からカップ2内に流入し、時間の経過とともにカップ2内に溜まる。この段階では、リリーフバルブ17は未だ閉じており、カップ2内のエアーは、排出路16から戻り路18を経てタンク13内に送出されて外部に開放され、配管系にはエアーが無くなる。また、半導体ウェーハW1の表面で発生するガスも、カップ2内のエアーと同様に外部に開放される。
【0167】
その後、カップ2内に流入した処理液12がアノード電極4を充分に浸し排出路16を介して戻り路18にまで達したら、半導体ウェーハW1に対して陰極電解還元処理を行う。つまり、アノード電極4と各カソード電極7との間に電源装置19により所定の時間だけ電流を流し、半導体ウェーハW1のクロム膜を陰極にして処理液12中でクロム膜を電解還元して、クロム膜の表面に形成された酸化膜(酸化クロムの膜)が還元される。
【0168】
所定の時間だけ電流を流し陰極電解還元処理を終えたら、リリーフバルブ17を開けて、排出路16及び戻り路18を大気に開放する。すると、戻り路18内の処理液12は、戻り路18を通過してタンク13に回収される。また、タンク13がカップ2よりも下方に配置されていることから、カップ2内の処理液12も、供給路15及びポンプ14を通過してタンク13に回収される。その後、支持台1を下降させて支持面上への半導体ウェーハW1の吸着固定を解除する。これにより、陰極電解還元装置71による陰極電解還元処理を終了する。
【0169】
その後、搬送ロボット等の搬送手段(図示略)により半導体ウェーハW1を洗浄装置(図示略)に搬送し、洗浄装置により半導体ウェーハW1の洗浄を行う。洗浄処理が終了したら、半導体ウェーハW1を図10に示す酸浸漬装置72に搬送する。
【0170】
酸浸漬装置72では、カップ82から下方に支持台81を下降させて支持台81とカップ82とを分離する。その後、半導体ウェーハW1を支持台81の支持面上にセットする。このとき、金属膜が上を向くように半導体ウェーハW1をセットする。そして、管路83aに接続された前記吸引手段を作動させて各吸引口83bに吸引力を作用させ、半導体ウェーハW1を支持台81上に吸着固定する。
【0171】
続いて、半導体ウェーハW1を固定した状態でOリング84を備える支持台81を上昇させて、支持台81とカップ82とを位置合わせする。これにより、カップ82の内部を完全に密閉する。
【0172】
その後、ポンプ87を駆動し、供給路88を介してタンク85内の処理液86をカップ82内に供給する。すると、処理液86は、半導体ウェーハW1の上方からカップ82内に流入し、時間の経過とともにカップ82内に溜まる。この段階では、リリーフバルブ90は未だ閉じており、カップ82内のエアーは、排出路89から戻り路91を経てタンク85内に送出されて外部に開放され、配管系にはエアーが無くなる。また、半導体ウェーハW1の表面で発生するガスも、カップ82内のエアーと同様に外部に開放される。
【0173】
カップ82内に所定量の処理液86が溜まったら、タンク85からの処理液86の供給を止めて、半導体ウェーハW1に対して酸浸漬処理を行う。つまり、カップ82内の処理液86中に半導体ウェーハW1を所定時間だけ浸漬する。これにより、半導体ウェーハW1のクロム膜は、所定のパターンにエッチングされる。
【0174】
その後、リリーフバルブ90を開けて、排出路89及び戻り路91を大気に開放する。すると、戻り路91内の処理液86は、戻り路91を通過してタンク85に回収される。また、タンク85がカップ82よりも下方に配置されていることから、カップ82内の処理液86も、供給路88及びポンプ87を通過してタンク85に回収される。その後、支持台81を下降させて支持面上への半導体ウェーハW1の吸着固定を解除する。これにより、酸浸漬装置72による酸浸漬処理を終了する。
【0175】
以上により、半導体ウェーハW1上に成膜されたクロム膜を所定パターンにエッチングできる。この場合、6価クロムの生成も防止できる。
【0176】
[適用例6]
適用例6では、上記第二の化学処理方法を用いる装置であって、適用例5と同様の半導体ウェーハ上の成膜金属を所定のパターンにエッチングする化学処理装置の例を示す。図11は、化学処理装置に備わる電解装置80の概略断面図である。なお、電解装置80は、図9に示す陰極電解還元装置71と略同様の構成及び作用を備えるものであり、電解装置80では、陰極電解還元装置71と同様の部材に図9と同様の符号を付しその部材の説明を省略し、電解装置80の作用も簡単な説明にとどめる。図11に示す電解装置80では、処理液95として上記第二の化学処理方法の酸電解処理で用いる処理液と同様の処理液がタンク13に貯留されている。
【0177】
電解装置80の作用について説明する。
図9に示す陰極電解還元装置71による陰極電解還元処理の場合と同様に、半導体ウェーハW2を所定の位置にセットして、支持台1とカップ2とを合体させカップ2内に処理液95を供給する。カップ2内に所定量の処理液95が溜まったら、半導体ウェーハW2に対して酸電解処理を行う。
【0178】
つまり、アノード電極4と各カソード電極7との間に電源装置19により所定の時間だけ電流を流し、半導体ウェーハW2のクロム膜を陰極にして処理液95中で電解還元する。これにより、クロム膜の表面に形成される酸化クロム膜が還元される。そして、電源装置19から電流を流すのを止めてクロム膜の電解還元を停止させ、半導体ウェーハW2を酸性の処理液95に浸漬し続ける。これにより、半導体ウェーハW2のクロム膜は、所定のパターンにエッチングされる。
【0179】
なお、カップ2内に所定量の処理液95を溜めた状態において、電源装置19からアノード電極4と各カソード電極7との間にパルス電流を流して酸化クロム膜の還元と還元後のクロム膜のエッチングとを行うようにしてもよい。この場合には、パルス電流のパルス波形に合わせるように、酸化クロム膜の還元と還元後のクロム膜のエッチングとが繰り返し交互に行われる。
【0180】
その後、処理液95をタンク85に回収し、半導体ウェーハW2の支持台81への吸着固定を解除して、電解装置80による酸電解処理を終了する。
【0181】
以上により、半導体ウェーハW2上に成膜されたクロム膜を所定パターンにエッチングできる。この場合、6価クロムの生成も防止できる。
【0182】
上述のように第一及び第二の化学処理方法並びに[適用例1]〜[適用例6]に示した各種装置によれば、キャリアテープ又は半導体ウェーハ上のクロム膜を所定パターンにエッチングできる。そして、これら化学処理方法及び化学処理装置は、キャリアテープ及びフレキシブル基板等の各種基板に配線パターン及びバンプ等を形成する際、シリコン等の半導体ウェーハにIC及びLSI等の回路パターン等を形成する際、又はIC及びLSI等にバンプを形成する際にも適用可能であって、特に被成膜物に成膜されたクロムを所定パターンにエッチングする技術分野において広く適用可能である。
【0183】
また、[適用例1]〜[適用例6]に示す装置では、クロム膜をエッチングする例を示したが、これに限定されず、チタン、タングステン、パラジウム、モリブデンあるいはクロム、チタン、タングステン、パラジウム、モリブデンを少なくとも一つ含む合金等を適用した場合にも、[適用例1]〜[適用例6]に示す装置でこれら金属を所定のパターンにエッチングできる。合金として、好ましくはニッケル−クロム合金が使用される。
【0184】
また、[適用例1]〜[適用例6]に示す各装置において、処理液の循環系及び供給系の途中に隔膜を介在させてもよい。この場合、クロム膜のエッチングの際に、仮に6価クロムが生成されたとしても、処理液の回収の際に隔膜により6価クロムが廃液となって外部に流れ出すのを防止できる。
【0185】
次に、上記した第一及び第二の化学処理方法に関して、発明者自らが行った種々の実験を[実験1]〜[実験6]としてそれぞれ示し、各実験の結果及び考察を示す。
【0186】
[実験1]
実験1では、上記化学処理方法に係る銅ウェットエッチング処理、陰極電解還元処理及び酸浸漬処理に変更を加えた場合と各処理において各種条件を変えた場合との銅膜及びクロム膜のエッチング状況を試験した。この実験1の結果を表2に示す。
【0187】
【表2】
【0188】
なお、表2中において、実験No.1及び実験No.2の被処理物(試料)には、ポリイミドからなるテープの断片上にクロムと銅とをこの順で成膜したものを使用し、実験No.3〜実験No.8の被処理物(試料)には、ポリイミドからなるテープの断片上にクロムを成膜し、クロム膜上に所定パターンにエッチングされた銅を成膜したものを使用した。また、表2中において、(A)は陰極電解還元処理を行わずに銅ウェットエッチング処理と酸浸漬処理との各処理を同じ処理液で同時に行ったことを示す。(B)は銅ウェットエッチング処理と陰極電解還元処理及び/又は酸浸漬処理とを個別にそれぞれ行った(銅ウェットエッチング処理の後に、陰極電解還元処理及び/又は酸浸漬処理を行った)ことを示し、陰極電解還元処理及び/又は酸浸漬処理による結果のみを示す。(C)は陰極電解還元処理に代えて、被処理物を陽極にして所定の処理液中で電解を行い、クロム膜を溶解する処理を示す。更に、表2中右上の「Cu剥離」及び「Cr剥離」の各項目において、銅膜及びクロム膜のエッチングの可否を「○」又は「×」で示すが、「○」又は「×」の判定は、各処理後のポリイミドのテープ断片を目視により透視することができたか否かで判断した。
【0189】
実験No.1及び実験No.2から、銅膜を所定パターンにエッチングすることはできたが、クロム膜のエッチングはできなかった。つまり、銅ウェットエッチング処理と酸浸漬処理とを同じ処理液を用いて同時に行っても、銅膜と同時にクロム膜を所定パターンにエッチングできない。
実験No.3〜実験No.6から、浸漬、陽極電解及び陰極電解還元の各処理を単独で行っても、クロム膜のエッチングはできなかった。
【0190】
実験No.7から、被処理物に対して、陰極電解還元処理及び酸浸漬処理の各処理を行ったときクロム膜をエッチングできた。詳しくは、被処理物を陰極にして塩素イオンを含む処理液((株)ムラタ製SAS)中で電解還元し、その後、被処理物を同処理液中に浸漬したとき、クロム膜を所定パターンにエッチングできた。なお、実験No.7の各条件において、「処理液濃度(vol%)50/50」「電流密度(A/dm2)5/」「温度(℃)30/30」「時間(sec)2/8及び5/8」とは、陰極電解還元工程においては、処理液の濃度を50体積%と,電流密度を5A/dm2と,処理液の温度を30℃と,処理時間を2秒及び5秒としたことを示し、酸浸漬工程においては、処理液の濃度を50体積%と,処理液の温度を30℃と,処理時間を8秒としたことを示す。
【0191】
実験No.8から、還元剤として重亜硫酸ソーダを処理液中に添加しても、クロム膜のエッチングはできなかった。つまり、クロム膜の表面に形成する酸化クロム膜を還元するための陰極電解還元工程を経ずに、酸化クロム膜の還元のために単に還元剤を添加して浸漬を行っても、クロム膜のエッチングはできない。
【0192】
[実験2]
実験2では、実験1の実験No.7の結果をより詳しく検証するために、実験1の実験No.7の各種条件を変えた場合のクロム膜のエッチング状況を試験した。この実験2の結果を表3に示す。なお、被処理物(試料)には、ポリイミドからなるテープの断片上にクロムを成膜し、クロム膜上に所定パターンにエッチングされた銅を成膜したものを使用した。
【0193】
【表3】
【0194】
なお、表3中右上の「Cr剥離」の項目において、「○」はクロム膜をエッチングできることを意味するが、これは、各処理後のポリイミドのテープ断片を目視により透視することができたことで判断した。
【0195】
実験No.1から、1A/dm2の比較的小さい電流密度で陰極電解還元処理を行ってもクロム膜を所定パターンにエッチングできた。なお、実験No.2から、実験No.1に比較して電流密度を大きくする(電流密度5A/dm2)と処理時間が短くて済んだ。
実験No.3及び実験No.6から、5vol%の比較的小さい処理液濃度で酸浸漬処理及び陰極電解還元処理を行ってもクロム膜を所定パターンにエッチングできた。
【0196】
実験No.3〜実験No.8から、酸浸漬処理及び陰極電解還元処理において処理液の濃度を大きくすると処理時間が短くて済んだ。つまり、処理液の濃度と処理速度との間には相関があると言える。
【0197】
[実験3]
実験3では、実験1の実験No.7及び実験2を踏まえ、陰極電解還元工程において酸性処理液(塩素イオンを含む。)の影響を受けてクロム膜の表面のクロムの還元が起こるか否かを検証した。具体的には、陰極電解還元工程において酸性処理液(塩素イオンを含む。)に代えて、塩素イオンを含む中性処理液(NaCl溶液)を用いて陰極電解還元処理を行い、その後、酸浸漬工程を省略した場合又は酸浸漬工程を経た場合のクロム膜のエッチング状況を試験した。この実験3の結果を表4に示す。なお、被処理物(試料)には、ポリイミドからなるテープの断片上にクロムを成膜し、クロム膜上に所定パターンにエッチングされた銅を成膜したものを使用した。
【0198】
【表4】
【0199】
なお、表4中右上の「Cr剥離」の項目において、クロム膜のエッチングの可否を「○」又は「×」で示すが、「○」又は「×」の判定は、各処理後のポリイミドのテープ断片を目視により透視することができたか否かで判断した。
【0200】
実験No.1から、塩素イオンを含む中性処理液(NaCl溶液)を用いた陰極電解還元処理だけではクロム膜をエッチングできなかった。実験No.1をコントロール実験とした場合、実験No.2から、塩素イオンを含む中性処理液(NaCl溶液)を用いた陰極電解還元処理と塩素イオンを含む酸性処理液((株)ムラタ製SAS)を用いた浸漬処理とをこの順で行うと、確かにクロム膜を所定のパターンにエッチングできた。
【0201】
そして、実験No.2から、酸性処理液(塩素イオンを含む。)に代えて中性処理液(塩素イオンを含む。)を用いた陰極電解還元処理を行ってもクロム膜を所定のパターンにエッチングできることがわかった。つまり、陰極電解還元工程では、特に塩素イオンを含む酸性溶液に限らず、塩素イオンを含む中性処理液でも適用可能である。これにより、処理液中でのクロム膜の表面(酸化クロム)は、酸性処理液(塩素イオンを含む。)の影響を受けて還元されるのではなく、処理液中の水素の影響を受けて還元されると考えられる。
【0202】
[実験4]
実験4では、陰極電解還元工程における処理液のpH依存性を検証した。具体的には、陰極電解還元工程において、酸性処理液に代えて塩素イオンを含む中性処理液であるNaCl溶液にNaOHを加えてpHを5、7、9、10と変化させた処理液を用いて陰極電解還元処理を行い、その後、酸浸漬工程を経た場合のクロム膜のエッチング状況を試験した。この実験4の結果を表5に示す。なお、被処理物(試料)には、ポリイミドからなるテープの断片上にクロムを成膜し、クロム膜上に所定パターンにエッチングされた銅を成膜したものを使用した。
【0203】
【表5】
【0204】
なお、表5中右上の「Cr剥離」の項目において、「○」はクロム膜をエッチングできることを意味するが、これは、各処理後のポリイミドのテープ断片を目視により透視することができたことで判断した。
【0205】
実験No.1〜実験No.4から、pHが中性からアルカリ性でも確実にクロム膜をエッチングできるとの結果が得られた。
【0206】
[実験5]
実験5では、陰極電解還元工程における処理液として電解処理液を適用した場合に、クロム膜をエッチングできるか否かを検証した。具体的には、陰極電解還元工程において、水酸化ナトリウム水溶液(NaOH)、硫酸ナトリウム水溶液(Na2SO4)、クエン酸ナトリウム水溶液の3種類の電解処理液を用いて陰極電解還元処理を行い、その後、酸浸漬処理を行った場合のクロム膜のエッチング状況を試験した。この実験5の結果を表6に示す。なお、被処理物(試料)には、マスキングテープの断片上にクロムを成膜したものを使用した。
【0207】
【表6】
【0208】
実験No.1〜実験No.4から、陰極電解還元処理の処理液として、いずれの電解処理液を用いてもクロム膜をエッチングできた。
【0209】
[実験6]
実験6では、酸浸漬工程における処理液として塩酸,硫酸及びNaCl溶液(中性)の各処理液を適用した場合に、処理液中に6価クロムが存するか否かを検出した。なお、クロム(3価クロム及び6価クロムを含む。)の検出にはフレーム原子吸光法を、6価クロムの検出にはジフェニルカルバジド吸光光度法を用いた(JIS−K−0102)。また、被処理物(試料)には、ポリイミドからなるテープの断片上にクロムを成膜し、クロム膜上に所定パターンにエッチングされた銅を成膜したものを使用した。この実験6の結果を表7に示す。
【0210】
【表7】
【0211】
なお、表7中において、(D)は各処理液中の3価クロム及び6価クロムを示す。
【0212】
表7から、塩酸,硫酸及びNaCl溶液(中性)の全処理液中においてクロムを検出した。しかしながら、硫酸中において6価クロムを検出したにもかかわらず、塩酸及びNaCl溶液の各処理液中においては6価クロムを全く又はほとんど検出しなかった。なお、酸浸漬工程において処理液として中性のNaCl溶液を適用した場合には、クロム膜を所定のパターンにエッチングできなかった(データ略)。このことを踏まえて、実験6から、酸浸漬工程においては処理液として塩素イオンを含む酸性処理液を用いると、6価クロムを全く又はほとんど生成しないと考えられる。
【0213】
次に、上記化学処理方法の具体的な実施例を実施例1及び実施例2によってそれぞれ説明する。
【実施例1】
厚さ25μmのポリイミドフィルムの片面に、スパッタリング法により500Åの金属クロムをコーティングし、引き続き、同法により1μmの銅をコーティングした。その後、これらクロム膜及び銅膜がコーティングされたポリイミドフィルムの片面に、更に7μmの銅をコーティングして、銅の膜厚が8μmのフィルムキャリアテープを準備した。次いで、このフィルムキャリアテープに対して、フォトレジストドライフィルムを用い所定の方法により所定の回路パターンを作製し、エッチングレジスト膜を生成した。
【0214】
次いで、下記(1)の条件下において、浸漬法による銅膜のエッチング処理を行い、所定の回路パターンを具備するフィルムキャリアテープを得た。このとき、クロム膜のクロムはエッチングされずに残渣としてポリイミドフィルム表面に残っていた。
(1)エッチング条件
なお、ここでのエッチング処理の間は、被処理物を揺動しながらエッチング液を攪拌した。
【0215】
次いで、下記(2)の条件下において、クロム膜に対し陰極電解還元処理を行い、クロム膜の表面を活性化させた(還元した)。
(2)陰極電解還元処理条件
【0216】
引き続き、下記(3)の条件下において、酸浸漬処理によるクロム膜のクロムのエッチング処理を行い、クロムを除去した。
(3)酸浸漬処理条件
【0217】
【実施例2】
実施例1同様のポリイミドフィルムの片面に対して、銅膜のエッチング処理が終了する迄、実施例1と同様の処理を行った。なお、実施例1と同様に、銅膜のエッチング処理後においては、クロム膜のクロムはエッチングされずに残渣としてポリイミドフィルム表面に残っていた。
【0218】
次いで、下記(4)の条件下において、クロム膜に対する陰極電解還元処理と酸浸漬処理とを同時に行った。つまり、処理液中に被処理物を浸漬した状態で所定時間陰極電解還元をおこなった。このとき、クロム膜の表面が活性化され(還元され)、直ぐにクロムは処理液中に溶解してポリイミドフィルム上から除去された。すなわち、クロム膜の表面の活性化(還元)とクロム膜のエッチングとが同一工程の処理液中で行われた。
(4)陰極電解還元処理及び酸浸漬処理の条件
【0219】
【発明の効果】
本発明によれば、簡単にクロムを所定パターンにエッチングできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】化学処理方法を構成する各工程での被成膜物上の金属膜の状態を示す図面である。
【図2】(a)(b)陰極電解還元処理(c)酸浸漬処理の原理を模式的に示す図面である。
【図3】酸電解処理の原理を模式的に示す図面である。
【図4】[適用例1]に係る化学処理装置の側面断面図である。
【図5】[適用例1]に係る陰極電解還元装置の正面断面図である。
【図6】[適用例2]に係る化学処理装置の側面断面図である。
【図7】[適用例3]に係る化学処理装置の側面断面図である。
【図8】[適用例4]に係る化学処理装置の側面断面図である。
【図9】[適用例5]に係る陰極電解還元装置の断面図である。
【図10】[適用例5]に係る酸浸漬装置の断面図である。
【図11】[適用例6]に係る電解装置の断面図である。
【符号の説明】
100 被処理物
110 被成膜物
120 クロム膜
130 銅膜
140 フォトレジスト
150 フォトマスク
30,40,50,60 化学処理装置
31,51,71 陰極電解還元装置
33,53,72 酸浸漬装置
41,61,80 電解装置
Claims (24)
- 被成膜物に成膜された状態の成膜金属を所定パターンにエッチングする化学処理方法であって、
電解液で、前記成膜金属を陰極にして前記成膜金属を電解還元する陰極電解還元工程と、
前記陰極電解還元工程の後に、酸性処理液に前記成膜金属を浸漬する酸浸漬工程と、
を備え、
前記陰極電解還元工程では前記成膜金属の一部が前記電解液に浸され、前記酸浸漬工程では前記成膜金属の全部が前記酸性処理液に浸されることを特徴とする化学処理方法。 - 請求項1に記載の化学処理方法において、
前記電解液は、酸基を含む酸性処理液及びハロゲンイオンを含むアルカリ処理液のうちのいずれかであることを特徴とする化学処理方法。 - 請求項2に記載の化学処理方法において、
前記酸基を含む酸性処理液は、塩酸、硫酸、カルボン酸、フッ化水素及びリン酸のうちのいずれかであることを特徴とする化学処理方法。 - 請求項2に記載の化学処理方法において、
前記ハロゲンイオンを含むアルカリ処理液は、塩化ナトリウム、塩化カリウム及びヨウ化カリウムのうちのいずれかであることを特徴とする化学処理方法。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の化学処理方法において、
前記酸浸漬工程の前記酸性処理液は、ハロゲンイオンを含むことを特徴とする化学処理方法。 - 請求項5に記載の化学処理方法において、
前記ハロゲンイオンは、塩素イオンであることを特徴とする化学処理方法。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の化学処理方法において、
前記成膜金属を構成する金属は、クロム、チタン、タングステン、パラジウム及びモリブデンのうちのいずれか一の金属であることを特徴とする化学処理方法。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の化学処理方法において、 前記成膜金属を構成する金属は、クロム、チタン、タングステン、パラジウム及びモリブデンのうちの少なくとも一の金属を含む合金であることを特徴とする化学処理方法。
- 被成膜物に成膜された状態の成膜金属を所定パターンにエッチングする化学処理方法であって、
ハロゲンイオンを含む酸性処理液に前記成膜金属を浸漬し、前記酸性処理液中で前記成膜金属を陰極にして前記成膜金属を電解還元し、前記成膜金属の電解還元を停止し、前記成膜金属を前記酸性処理液中に浸漬させておき、前記成膜金属を所定パターンにエッチングすることを特徴とする化学処理方法。 - 請求項9に記載の化学処理方法において、
前記ハロゲンイオンは、塩素イオンであることを特徴とする化学処理方法。 - 請求項9又は10に記載の化学処理方法において、
前記成膜金属を構成する金属は、クロム、チタン、タングステン、パラジウム及びモリブデンのうちのいずれか一の金属であることを特徴とする化学処理方法。 - 請求項9〜11のいずれか一項に記載の化学処理方法において、
前記成膜金属を構成する金属は、クロム、チタン、タングステン、パラジウム及びモリブデンのうちの少なくとも一の金属を含む合金であることを特徴とする化学処理方法。 - 被成膜物に成膜された状態の成膜金属を所定パターンにエッチングする化学処理装置であって、
電解液で、前記成膜金属を陰極にして前記成膜金属を電解還元する陰極電解還元装置と、
前記陰極電解還元装置の処理の後に、酸性処理液に前記成膜金属を浸漬する酸浸漬装置と、
を備え、
前記陰極電解還元装置では前記成膜金属の一部が前記電解液に浸され、前記酸浸漬装置では前記成膜金属の全部が前記酸性処理液に浸されることを特徴とする化学処理装置。 - 請求項13に記載の化学処理装置において、
前記電解液は、酸基を含む酸性処理液及びハロゲンイオンを含むアルカリ処理液のうちのいずれかであることを特徴とする化学処理装置。 - 請求項14に記載の化学処理装置において、
前記酸基を含む酸性処理液は、塩酸、硫酸、カルボン酸、フッ化水素及びリン酸のうちのいずれかであることを特徴とする化学処理装置。 - 請求項14に記載の化学処理装置において、
前記ハロゲンイオンを含むアルカリ処理液は、塩化ナトリウム、塩化カリウム及びヨウ化カリウムのうちのいずれかであることを特徴とする化学処理装置。 - 請求項13〜16のいずれか一項に記載の化学処理装置において、
前記酸浸漬装置の前記酸性処理液は、ハロゲンイオンを含むことを特徴とする化学処理装置。 - 請求項17に記載の化学処理装置において、
前記ハロゲンイオンは、塩素イオンであることを特徴とする化学処理装置。 - 請求項13〜18のいずれか一項に記載の化学処理装置において、
前記成膜金属を構成する金属は、クロム、チタン、タングステン、パラジウム及びモリブデンのうちのいずれか一の金属であることを特徴とする化学処理装置。 - 請求項13〜19のいずれか一項に記載の化学処理装置において、
前記成膜金属を構成する金属は、クロム、チタン、タングステン、パラジウム及びモリブデンのうちの少なくとも一の金属を含む合金であることを特徴とする化学処理装置。 - 被成膜物に成膜された状態の成膜金属を所定パターンにエッチングする化学処理装置であって、
ハロゲンイオンを含む酸性処理液に前記成膜金属を浸漬し、前記酸性処理液中で前記成膜金属を陰極にして前記成膜金属を電解還元し、前記成膜金属の電解還元を停止し、前記成膜金属を前記酸性処理液中に浸漬させておき、前記成膜金属を所定パターンにエッチングする電解装置を備えることを特徴とする化学処理装置。 - 請求項21に記載の化学処理装置において、
前記ハロゲンイオンは、塩素イオンであることを特徴とする化学処理装置。 - 請求項21又は22に記載の化学処理装置において、
前記成膜金属を構成する金属は、クロム、チタン、タングステン、パラジウム及びモリブデンのうちのいずれか一の金属であることを特徴とする化学処理装置。 - 請求項21〜23のいずれか一項に記載の化学処理装置において、
前記成膜金属を構成する金属は、クロム、チタン、タングステン、パラジウム及びモリブデンのうちの少なくとも一の金属を含む合金であることを特徴とする化学処理装置。
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