JP3542778B2 - 肥料散布機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、茶園等の耕作地に肥料を散布する肥料散布機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の肥料散布機としては、トラクタのように作業者が乗り込んで、耕作地を走行させながら、円錐先細の散布ホッパーから肥料を耕作地に投下,散布するものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の肥料散布機では、散布ホッパー内の肥料の重量や振動の影響で、散布ホッパーの下部出口付近で肥料が緻密になって、肥料詰まりがしばしば発生していた。このため、作業者は、その都度、散布作業を中断し、散布ホッパーを木切れ等で突付いて、肥料詰まりを解消していた。
【0004】
また、上記従来の肥料散布機では、作業者が、通常20キログラム程度の肥料が入っている肥料袋(ポリ袋)から、上記散布ホッパーに肥料を投入する必要がある。この投入は、作業者が、肥料散布機の走行を停止させて、散布ホッパー側に移動し、ポリ袋の口を開いて、散布ホッパーに肥料を投入しなければならない。この投入作業は、能率が悪いばかりでなく、農業従事者の高齢化もあって重労働となっていた。
【0005】
そこで、この発明の目的は、散布ホッパーの詰まりを防ぐことができ、かつ、散布ホッパーへの肥料供給のための作業中断を回避できて、効率よく肥料を散布できる肥料散布機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の肥料散布機は、散布ホッパーに肥料を投入し、この肥料を上記散布ホッパーから耕地に散布する肥料散布機において、
肥料を備蓄し、この備蓄した肥料を上記散布ホッパーに投入する備蓄ホッパーを備え、
この備蓄ホッパーは、
上記散布ホッパーへ投入する肥料の分量を調節できる調節手段を有し、
上記調節手段は、
上記備蓄ホッパーを傾斜させるとともに、この傾斜の角度を調節できる傾斜手段と、
上記傾斜手段が上記備蓄ホッパーを傾斜させる傾斜角度に応じて、上記備蓄ホッパーから上記散布ホッパーに投入する肥料の分量を増減させる増減手段とを備えることを特徴としている。
【0007】
この請求項1の発明では、備蓄ホッパーに備蓄した肥料を、散布ホッパーに投入するから、散布ホッパーへの肥料供給のための作業中断を回避できる。また、上記備蓄ホッパーは、調節手段によって、上記散布ホッパーへ投入する肥料の分量を調節できるから、散布ホッパーの散布量に合わせて、備蓄ホッパーから散布ホッパーに肥料を供給することで散布ホッパーの詰まりを回避できる。したがって、この発明によれば、効率よく肥料を散布できる。
【0008】
また、請求項1の発明では、上記傾斜手段で、備蓄ホッパーの傾斜角度を調節することにより、増減手段でもって、上記備蓄ホッパーから散布ホッパーに投入する肥料の分量を調節できる。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の肥料散布機において、
上記増減手段は、
上記傾斜手段が上記備蓄ホッパーを傾斜させる傾斜角度の大小に応じて、上記備蓄ホッパーの開閉扉の開度を増減させる扉開閉手段を有することを特徴としている。
【0010】
この請求項2の発明では、傾斜手段が備蓄ホッパーを傾斜させる傾斜角度の大小に応じて、扉開閉手段が開閉する備蓄ホッパーの開閉扉の開度を増減させることができる。これにより、上記備蓄ホッパーの傾斜角度に応じて、備蓄ホッパーから散布ホッパーへの肥料投入量を調節できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0012】
図1に、この発明の肥料散布機の実施形態を側方から見た様子を示す。この肥料散布機は、フレーム1の下端に取りつけられた走行装置2で、茶園を跨いで走行しながら、散布ホッパー3の下端から両畝間に肥料を散布するものである。
【0013】
この散布ホッパー3は、上部ストレート部3Aと下方に向かって狭まったテーパ部3Bと下端散布口3Cからなる。この散布ホッパー3は、リンク5でフレーム1の後側の柱1Aに取りつけられている。リンク5は、2つのアーム6,7からなる。このアーム6の一端は、散布ホッパー3の上部に取りつけられて上下に延びるブラケット8の下端部に軸支され、他端は上記柱1Aの中間部分に固定されたブラケット10に軸支されている。また、アーム7の一端は、上記ブラケット8の上端部に軸支され、他端は上記柱1Aの上端部分に固定されたブラケット11に軸支されている。
【0014】
上記柱1Aの上端からはさらにもう1つのフレーム12が延在しており、このフレーム12の中間部分に固定されたブラケット13に、油圧シリンダ15の後端が軸支されている。また、上記油圧シリンダ15のロッド15Aの先端は、上記アーム6の中間部に固定されたブラケット17に軸支されている。
【0015】
上記散布ホッパー3は、ギアボックス20から下方に延びている回転軸21とこの回転軸21の下端部に取り付けられた散布円盤22を備える。上記ギアボックス20は、図2に示す駆動用油圧モータ19で駆動される。
【0016】
この散布円盤22は、散布ホッパー3の下端散布口3C内に配置されている。また、この散布円盤22の上側に隣接して回転軸21に撹拌爪23が固定されている。
【0017】
また、上記散布ホッパー3の上には備蓄ホッパー30が配置されている。この備蓄ホッパー30は、上方に向かって広がった投入口30Aを有し、肥料を備蓄するとともに、上記散布ホッパー3に肥料を供給するものである。
【0018】
次に、この肥料散布機を後方から見た様子を示す図2と要部拡大図である図3を参照して、備蓄ホッパー30を傾動させる機構を説明する。
【0019】
図2に示すように、上記散布ホッパー3と備蓄ホッパー30は、左右に一対配置されている。この備蓄ホッパー30は、散布ホッパー3のフレーム3Dの上に配置され、側方外側の下端30Bが軸受31でフレーム3Dに軸支されている。また、この備蓄ホッパー30の底部30Cの中間部分にブラケット32が固定され、このブラケット32に、傾斜手段である傾動油圧シリンダ33のロッド先端33Aが軸支されている。一方、この傾動油圧シリンダ33の基端は、フレーム3Dの横方向の中間部に固定されたブラケット35に軸支されている。また、図3に詳細に示すように、上記軸受31の内方に隣接した箇所で散布ホッパー3のフレーム3Eに、アーム36の一端36Aが軸支され、このアーム36の他端36Bに、ロッド37の一端を軸支している。このアーム36とロッド37がリンク39をなす。このリンク39が扉開閉手段(増減手段)を構成している。図3に、一点鎖線で詳細に示すように、このロッド37は、備蓄ホッパー30の側方外側の下端部に設けられた開閉扉38の中間部分に固定された連結板43を貫通している。このロッド37の連結部37Aには、連結板43を挟んでナット40,41が螺合され、外側のナット41と連結板43との間にスプリング42が介在されている。このスプリング42は、連結板43,開閉扉38を閉方向に付勢している。また、図3に詳細に示すように、上記アーム36の他端36Bよりもやや中央寄りの位置に、備蓄ホッパー30の底部30Cに当接するストッパー突起45が固定されている。
【0020】
上記構成の肥料散布機によれば、肥料を散布しないときには、図1に一点鎖線で示すように、油圧シリンダ15を収縮させて、アーム6,7を畳んだ姿勢にして、散布ホッパー3および備蓄ホッパー30を待機位置にしておく。
【0021】
一方、肥料を散布するときには、図1に実線で示すように、油圧シリンダ15を伸長させて、アーム6,7を横に張り出させ、散布ホッパー3および備蓄ホッパー30を走行装置2の背後に配置させる。そして、上記駆動用油圧モータ19でギアボックス20を介して回転軸21を回転させ、撹拌爪23と散布円盤22を回転させながら、図2,図1に示すように、散布口3Cから肥料4を下方の茶園9へ向かってシャワー状に撒き散らす。なお、上記油圧シリンダ15の伸長寸法を制御することで、散布ホッパー3を、実線で示した最下降位置から所定の量だけ上昇させて、散布範囲を調節することもできる。また、油圧シリンダ15を収縮させることにより、全長を短くして、茶園端での機械旋回時に茶園にホッパー3,備蓄ホッパー30を当てることがなく、茶園,肥料散布機の双方を傷めることがない。
【0022】
次に、図2と図3を参照して、備蓄ホッパー30から散布ホッパー3へ肥料を供給する動作を説明する。図2に示すように、傾動油圧シリンダ33を伸長させることで、散布ホッパー3に対して、備蓄ホッパー30を傾ける。これにより、アーム36は他端36Bがロッド37に引っ張られて、一端36Aを回動中心として、1点鎖線で描かれた位置から実線で描かれた位置へ回動する。この回動により、開閉扉38は、連結板43に連結されたロッド37の連結部37Aによって、スプリング42の付勢力に逆らって、図2に1点鎖線で示すように、蝶番部38Aを中心にして押し開かれた姿勢になる。これにより、開閉扉38を通して、備蓄ホッパー30から散布ホッパー3へ肥料を供給できる。
【0023】
また、上記傾動油圧シリンダ33を収縮させることで、備蓄ホッパー30を図2,図3に示す実線で描いた水平姿勢に戻し、開閉扉38を閉めて、散布ホッパー3への肥料供給を停止する。
【0024】
この実施形態によれば、上記傾動油圧シリンダ33を伸長させる寸法を調節することで、備蓄ホッパー30の傾斜角度および備蓄ホッパー30の傾斜に連動して開く開閉扉38の開度を調節でき、散布ホッパー3へ供給する肥料の投入量を加減できる。
【0025】
したがって、この実施形態によれば、備蓄ホッパー30に備蓄した肥料を、備蓄ホッパー30から散布ホッパー3に投入するから、散布ホッパー3への肥料供給のための作業中断を回避できる。
【0026】
また、上記備蓄ホッパー30は、油圧シリンダ33によって、上記散布ホッパー3へ投入する肥料の分量を調節できるから、散布ホッパー3の散布量に合わせて、備蓄ホッパー30から散布ホッパー3に肥料を供給でき、散布ホッパー3の詰まりを回避できる。したがって、この実施形態によれば、効率よく肥料を散布できる。また、この実施形態では、左右両側の備蓄ホッパー30を傾動させて、両側の散布ホッパー3から肥料を散布することもできるが、片側の備蓄ホッパー30だけを傾動させて、片側の散布ホッパー3だけから肥料を散布することもできる。これにより、茶園の端で内側の領域に肥料を散布済みであって、外側の領域だけに肥料を散布したい場合に対応できる。
【0027】
一例として、この備蓄ホッパー30の容量は、例えば、肥料20キログラム入りのポリ袋を8袋分だけ備蓄でき、走行作業の途中で一旦停止する必要がなくなった。また、たとえば、大農家で行われているバルク施肥方法のように、ポリ袋に分包されていない肥料を、一度に大量に、備蓄ホッパー30に投入することが可能であり、作業の能率が上がり労力を軽減できる。また、この場合、廃棄物としてのポリ袋も発生せず、環境対策にもなる。
【0028】
尚、上記実施形態では、上記備蓄ホッパー30から散布ホッパー3へ供給する肥料の分量を調節するために、油圧シリンダ33を用いて、備蓄ホッパー30の傾きを調節した。上記実施形態では、茶園に肥料を散布する肥料散布機について説明したが、本発明は、茶園に肥料を散布する肥料散布機に限らず、耕作地に肥料を散布する肥料散布機に一般的に適用できるのは勿論である。
【0029】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1の発明の肥料散布機は、備蓄ホッパーに備蓄した肥料を、散布ホッパーに投入するから、散布ホッパーへの肥料供給のための作業中断を回避できる。また、上記備蓄ホッパーは、調節手段によって、上記散布ホッパーへ投入する肥料の分量を調節できるから、散布ホッパーの散布量に合わせて、備蓄ホッパーから散布ホッパーに肥料を供給することで散布ホッパーの詰まりを回避できる。したがって、この発明によれば、効率よく肥料を散布できる。
【0030】
また、請求項1の発明は、傾斜手段で、備蓄ホッパーの傾斜角度を調節することにより、増減手段でもって、備蓄ホッパーから散布ホッパーに投入する肥料の分量を調節できる。
【0031】
また、請求項2の発明は、傾斜手段が備蓄ホッパーを傾斜させる傾斜角度の大小に応じて、上記備蓄ホッパーの開閉扉は、開閉手段で、その開度が増減させられる。これにより、上記備蓄ホッパーの傾斜角度に応じて、備蓄ホッパーから散布ホッパーへの肥料投入量を調節できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の肥料散布機の実施形態を側方から見た模式図である。
【図2】上記実施形態を後方から見た模式図である。
【図3】上記実施形態において備蓄ホッパーを傾動させる機構を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
1…フレーム、1A…柱、2…走行装置、3…散布ホッパー、4…肥料、
5…リンク、6,7,36…アーム、8…ブラケット、9…茶園、
10,11,13,17,32,35…ブラケット、
12…フレーム、15…油圧シリンダ、
19…駆動用油圧モータ、20…ギアボックス、21…回転軸、
22…散布円盤、23…撹拌爪、30…備蓄ホッパー、31…軸受、
33…傾動油圧シリンダ、37…ロッド、43…連結板、
45…ストッパー突起。
Claims (2)
- 散布ホッパーに肥料を投入し、この肥料を上記散布ホッパーから耕地に散布する肥料散布機において、
肥料を備蓄し、この備蓄した肥料を上記散布ホッパーに投入する備蓄ホッパーを備え、
この備蓄ホッパーは、
上記散布ホッパーへ投入する肥料の分量を調節できる調節手段を有し、
上記調節手段は、
上記備蓄ホッパーを傾斜させるとともに、この傾斜の角度を調節できる傾斜手段と、
上記傾斜手段が上記備蓄ホッパーを傾斜させる傾斜角度に応じて、上記備蓄ホッパーから上記散布ホッパーに投入する肥料の分量を増減させる増減手段とを備えることを特徴とする肥料散布機。 - 請求項1に記載の肥料散布機において、
上記増減手段は、
上記傾斜手段が上記備蓄ホッパーを傾斜させる傾斜角度の大小に応じて、上記備蓄ホッパーの開閉扉の開度を増減させる扉開閉手段を有することを特徴とする肥料散布機。
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