JP3542335B2 - 微細気泡発生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、淡水或は海水中に発生する汚濁質等を取り除く水中懸濁質除去に用いる気泡発生装置に係り、詳細には、汚濁質等が混入した淡水或は海水中に空気を送り込んで気泡を発生させ、気泡に汚濁質を付着させて浮上させ、付着して上部に上昇した気泡を取り除くことで水中の懸濁質を浄化する泡沫浮遊選別を行うための気泡発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
淡水或は海水中に発生した懸濁質を除去する方法として、浄化する水中に気泡を発生させて気泡に懸濁質を付着させ、懸濁質が付着した状態で浮上した気泡を除去する泡沫浮遊分離法が用いられた。例えば、観賞魚等の淡水魚或は海水魚の飼育においては、飼育槽内の飼育水が、魚に与えた餌の残りや飼育魚の排泄する糞等の分解或は溶解によって発生する懸濁質を含み汚濁してしまう。そして、飼育槽の汚濁水は、飼育魚に悪影響を及ぼし、放置しておくと飼育魚の生命に関わる事態となるので、飼育水は定期的に交換するか、懸濁質を取除かなければならない。しかしながら、飼育水を定期的に交換する方法は、比較的短い期間毎に行わなければならず、交換するのが手間のかかる仕事であった。
【0003】
そこで、飼育水交換の手間を少しでも解消するために、飼育水を汲み上げ、濾過材を通して懸濁質を濾過し、再び飼育槽内に戻してあげる方法や、飼育水中に気泡を発生させ、気泡に懸濁質を付着させ、懸濁質の付着した気泡を除去することで、効率よく懸濁質のみを除去する泡沫浮遊分離法が採用されていた。
この泡沫浮遊分離法を用いるには、懸濁液中に微細な気泡と比較的大きな気泡とを発生させ、発生した微細気泡と比較的大きな気泡とを懸濁液中に浮遊させて懸濁質を付着浮上させる必要がある。
【0004】
そこで、発明者は、この微細気泡及び比較的大きな気泡を発生させるために、図9に表すような、微細気泡発生装置を提供した。
即ち、微細気泡発生装置110は、駆動モータである駆動部111が駆動軸112を下方へ向け水槽101の上部フレーム102上に固定され、駆動軸112には中空のパイプである回転筒113を駆動軸112に固定する。従って、回転筒113は駆動軸112が回転することで回転する。回転筒113は、下端が水槽101の下部に位置するよう水槽101内に挿入される。そして、水槽101内の懸濁液に浸からない上端には、吸気口114が穿設され、回転筒113下端と導通され、開口される下端が排気口115を形成する。又、回転筒113の排気口115には、上下に対向する円盤状の板状体間に、板状体中心から放射状に羽根板が固定された攪拌フィン116が取付けられ、排気口115から排気される外気が、攪拌フィン116の上下に対向した円盤状の板状体間から水槽内へ排出可能に形成される。
【0005】
従って、回転筒113が駆動軸112の回転に伴って回転されると、攪拌フィン116付近に負圧が生じ、吸気口114から外気が吸い込まれ、排気口115、攪拌フィン116から水槽101内に供給されることとなる。
しかしながら、回転筒113の回転によって発生した負圧によって水槽101内に外気が供給されても、外気は気泡にはなるものの、微細気泡は発生し難く、又、攪拌フィン116の回転に伴い水槽101内の懸濁水も回転してしまうので、水槽内に大きな渦が発生してしまう。
【0006】
そこで、攪拌フィン116同様、上下に対向する円盤状の板状体間に、板状体中心から放射状に羽根板が固定された構造で、攪拌フィン116を内部に位置できる大きさのステータ117を、攪拌フィン116を包含するように設ける。そして、ステータ117は回転させずに、水槽101内で固定させる。即ち、ステータ117の上部には、回転筒113を内包する固定筒118を、駆動部111に回転しないように固定する。このように固定することで、ステータ117は攪拌フィン116を包含した状態で回転せずに位置する。従って、攪拌フィン116が回転されて供給された外気は、供給された後攪拌フィン116及びステータ117の羽根板によって細かく砕かれ、微細気泡を発生する。更に、ステータ117が回転しないので、ステータ117の羽根板が回転を邪魔して懸濁水の回転を抑制する。
【0007】
このように、形成される従来例の微細気泡発生装置110によって発生される微細気泡は、懸濁水中で懸濁質を付着し、発生後も微細気泡が破壊されずに付着した汚濁物質を水槽101上部に集合しやすい微少な径からなり、詳細には、発生される微細気泡中には直径0.5mm以下の気泡Bを多く含むように発生されるが、直径2mmより小径な気泡Bであれば懸濁質を付着して上昇し、且つ、上昇後も破裂することなく懸濁水中に浮遊出来る。又、気泡Bの径が大きいと、上昇後破裂してしまい、付着していた懸濁質が再び懸濁水中に溶融して、懸濁質を効率よく除去することが困難であると共に、破裂しなくとも、懸濁水中を横方向へよく移動して浮遊することなく、その浮力により直ちに浮上してしまい、懸濁水中で広く懸濁質を除去できない。一方、微細気泡は、上昇し難く、横方向へ広い範囲によく広がり、懸濁水中の懸濁質を効率よく付着可能である。又、微細気泡だけでは、よく浮遊する一方で、上昇し難いので、懸濁水中に広く拡散してしまい集泡が困難であるが、微細気泡と共に比較的大きな気泡が適度に発生されることで、比較的大きな気泡が浮上することによって懸濁水中に水流が発生され、微細気泡が発生した付近に浮遊してくると、上昇流によって或は大きな気泡に付着する等して上昇することとなり、懸濁質を効率よく除去可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、従来例に表す微細気泡発生装置によって懸濁質を懸濁水上部に集めることは可能となる。
しかしながら、従来例によると、例えば、実施される水槽が深いと、回転筒の長さを長くしなければならない。そして、回転筒が長くなると、回転筒が上部でのみ支えられているので、下部が振動して回転時にぶれが生じ、破損し易いという問題点を有した。
【0009】
更に、大きな飼育槽内に設置して用いるために大量の微細気泡を発生可能とするには、大型の微細気泡発生装置が必要となり、装置が大きくなると共に重量が増大してしまい、装置を設置する際には装置の重量及び振動に耐えるだけの飼育槽の強度を要するという問題点を有した。
【0010】
更に又、懸濁水内に気泡として供給する気体がオゾン等回転駆動部を形成する金属に悪影響を及ぼす気体の場合には、気泡となったオゾン等の気体が上方へ浮上する過程で回転駆動部を形成する金属に付着して腐食を早めてしまうという問題点を有した。
【0011】
又、水槽上部から下部にかけて微細気泡発生装置が載置されるので、例えば、観賞魚を飼育する水槽内に設置する場合等は、見かけが悪くなるという問題点を有した。
【0012】
そこでこの発明は、これら問題点に鑑み、水槽内の外観を損なわず、水槽に重量による負担をかけず、且つ、深い水槽にも簡便に実施可能な微細気泡発生装置を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明は、
【0014】
水槽底部に設けられ、複数の羽根板が回転軸に対し放射状に設けられ、複数の羽根板を上下から円板により挟み回転軸に固定することで回転可能な攪拌部を形成してなる攪拌フィンと、攪拌フィンの下部に設けられ、攪拌フィンを回転させる駆動部と、一端が攪拌部の回転中心に位置されると共に攪拌フィンの回転放射方向へ開口される供給口を形成し、他端が水槽内の攪拌部へ供給する気体に開口される吸気孔を形成する供給管とからなり、水槽内に供給される気体は、攪拌フィンの回転に伴い供給管の供給口から回転フィンの回転放射方向へ向けて供給されることを特徴とする微細気泡発生装置、
【0015】
及び
【0016】
水槽外部に設けられ、水槽内部側に設けられる従動部に回転駆動力を提供する駆動部と、水槽内部に設けられ、一端は駆動部から駆動力を受領して回転可能な従動部を形成し、他端は複数の羽根板が回転軸に対し放射状に設けられ、複数の羽根板を上下から円板により挟み回転軸に固定することで回転可能な攪拌部を形成し、駆動部からの駆動力により水槽内で回転する攪拌フィンと、一端が攪拌フィンの攪拌部中心に位置されると共に攪拌フィンの回転放射方向へ開口される供給口を形成し、他端が水槽外に開口される吸気孔を形成し、水槽外部の気体を水槽内の攪拌部へ供給可能な供給管とからなり、水槽外部の気体は、攪拌フィンの回転に伴い供給管の供給口から攪拌フィンの回転放射方向へ向けて供給されることを特徴とする微細気泡発生装置、
【0017】
及び、
【0018】
一方の端部が閉塞され他方の端部が開口された円筒形状からなり、開口された側面には水槽底面に取付可能なフランジ部が設けられる蓋体と、水槽底面の蓋体外部に設けられ、先端部には蓋体円筒面の円周方向に沿って磁極が交互になるよう複数の磁石が並設されるアウターマグネット部を形成し、基端部にはアウターマグネット部を蓋体円筒軸と回転軸を同じくして回転させるモータ部を形成する駆動部と、基端部は蓋体内に設けられ蓋体の円筒内面に沿って複数の磁石を磁極が交互になるよう複数設けられるインナーマグネット部を形成してアウターマグネット部の回転に連れて回転され、先端部は蓋体から水槽内に突設され、回転軸に対し放射状に設ける複数の羽根板を上下から円板により挟持固定される攪拌部を形成する攪拌フィンと、一端が開口されて攪拌フィンの攪拌部中心に位置されると共に攪拌フィンの回転放射方向へ開口される供給口を形成し、他端は水槽外に開口される吸気孔を形成し、水槽外部の気体を水槽内の攪拌部へ供給可能な供給管とからなり、水槽外部の気体は、攪拌フィンの回転に伴い供給管の供給口から攪拌フィンの回転放射方向へ向けて供給されることを特徴とする微細気泡発生装置、
【0019】
及び、
【0020】
一方の端部が閉塞され他方の端部が開口された円筒形状からなり、開口された側面には水槽底面に取付可能なフランジ部を設けられる蓋体と、水槽底面の蓋体外部に設けられ、先端部には蓋体円筒面の円周方向に沿って磁極が交互になるよう複数の磁石が並設されるアウターマグネット部を形成し、基端部にはアウターマグネット部を蓋体円筒軸と回転軸を同じくして回転させるモータ部を形成する駆動部と、基端部は蓋体内に設けられ蓋体の円筒内面に沿って複数の磁石を磁極が交互になるよう複数設けられるインナーマグネット部を形成してアウターマグネット部の回転に連れて回転され、先端部は蓋体から水槽内に突設され、回転軸に対し放射状に設ける複数の羽根板を上下から円板により挟持固定される攪拌部を形成する攪拌フィンと、一端が開口されて攪拌フィンの攪拌部中心に位置されると共に攪拌フィンの回転放射方向へ開口される供給口を形成し、他端は水槽外に開口される吸気孔を形成し、水槽外部の気体を水槽内の攪拌部へ供給可能な供給管と、板状体からなる邪魔板を攪拌フィンの攪拌を邪魔するよう攪拌フィンの回転外側に攪拌フィンの回転放射状となるよう複数立設し、邪魔板相互の上下を固定板により連結固定することで攪拌フィンを内包し、上部固定板の中央には供給管が挿通される固定孔が穿設されてなるステータとからなり、攪拌フィンの回転に伴い、水槽外部の気体が供給管の供給口から攪拌フィンの回転放射方向へ向けて供給されることを特徴とする微細気泡発生装置、
及び、
一方の端部が閉塞され他方の端部が開口された円筒形状からなり、開口された側面には水槽底面に取付可能なフランジ部を設けられる蓋体と、水槽底面の蓋体外部に設けられ、先端部には蓋体円筒面の円周方向に沿って磁極が交互になるよう複数の磁石が並設されるアウターマグネット部を形成し、基端部にはアウターマグネット部を蓋体円筒軸と回転軸を同じくして回転させるモータ部を形成する駆動部と、基端部は蓋体内に設けられ蓋体の円筒内面に沿って複数の磁石を磁極が交互になるよう複数設けられるインナーマグネット部を形成してアウターマグネット部の回転に連れて回転され、先端部は蓋体から水槽内に突設され、回転軸に対し放射状に設ける複数の羽根板を上下から円板により挟持固定される攪拌部を形成する攪拌フィンと、一端が開口されて攪拌フィンの攪拌部中心に位置されると共に攪拌フィンの回転放射方向へ開口される供給口を形成し、他端は水槽外に開口される吸気孔を形成し、水槽外部の気体を水槽内の攪拌部へ供給可能な供給管と、板状体からなる邪魔板を攪拌フィンの攪拌を邪魔するよう攪拌フィンの回転外側に攪拌フィンの回転放射状となるよう複数立設し、邪魔板相互の上下を固定板により連結固定することで攪拌フィンを内包し、上部固定板の中央には供給管が挿通される固定孔が穿設され、且つ、 固定孔周囲部には攪拌フィン上部の内外を貫通する通水孔が穿設されてなるステータとからなり、攪拌フィンの回転に伴い、水槽外部の気体が供給管の供給口から攪拌フィンの回転放射方向へ向けて供給され、且つ、通水孔によりステータ上部からステータ内を経てステータの邪魔板外方への水流を発生可能であることを特徴とする微細気泡発生装置、
【0021】
を提供する。そして、この発明の作用は以下の通りである。
駆動部が回転すると、複数の羽根板からなる攪拌部が回転して水槽内を攪拌し、攪拌部付近には負圧が発生する。
すると、供給管の一端が攪拌フィンの攪拌部の回転中心に開口しており、他端が水槽外に開口しているので、負圧によって外気が供給管内を通り水槽内へ吸引される。
そして、吸引された気体は、回転している攪拌部の羽根板によって攪拌されて分断され、大きな気泡と共に微細気泡を発生する。
【0022】
蓋体によって水槽内外が分離される場合には、蓋体が水槽底面に取付けられて水槽内外を分離し、分離された水槽外部には、駆動部が設けられ、更に、分離された水槽内部には、駆動部が駆動すると回転駆動可能に攪拌フィンが設けられる。
【0023】
駆動部が駆動すると、分離された水槽内部では攪拌フィンの基端部である従動部が駆動部によって回転駆動される。従動部が回転すると、攪拌フィンの先端部である攪拌部も回転するので、攪拌部を形成する羽根板が回転する。そして、羽根板の回転によって水槽内は攪拌され、攪拌部付近に負圧を発生する。
すると、発生した負圧により、攪拌部中心に開口した供給管から水槽外部の気体が吸引される。吸引された気体は、回転している攪拌部の羽根板によって攪拌されて分断され、大きな気泡と共に微細気泡を発生する。
【0024】
蓋体がフランジ部を形成する円筒形からなり、駆動部がアウターマグネット部及びモータ部からなり、攪拌フィンがインナーマグネット部及び攪拌部からなる場合には、蓋体のフランジ部が水槽底面に取付けられ、駆動部は水槽外に位置され、攪拌フィンは水槽内の底部に位置される。
駆動部のモータ部が回転してアウターマグネット部が回転する。すると、蓋体内に設けられた攪拌フィンのインナーマグネット部が回転され、攪拌フィンの先端部に形成する攪拌部も回転する。
攪拌部が回転すると、攪拌部の回転に伴い、水槽内の攪拌部付近に負圧を生ずる。
【0025】
すると、供給管は、一端が攪拌フィンの攪拌部中心に、他端が水槽外に夫々開口されているので、攪拌部付近に生じた負圧によって水槽外の気体が供給管を経由し水槽内に吸引されて供給される。
水槽内に吸引された気体は、攪拌部に設けた羽根板の回転によって攪拌されて分断され、大きな気泡と共に微細気泡を発生する。
攪拌フィンの回転外方にステータを設けた場合には、水槽内の液体が攪拌フィンの回転に伴って起こる連れ回りが、ステータによって抑制されることとなる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1はこの発明の実施の形態を水槽に実施した状態を表す説明図であり、図2は図1の一部拡大断面説明図であり、図3は気泡の状態を表す説明図であり、図4は第2の実施の形態を表す説明図であり、図5は第3の実施の形態を表す説明図であり、図6は第4の実施の形態を表す説明図であり、図7は第4の実施の形態を表す拡大断面説明図であり、図8は第5の実施の形態である。
【0027】
1は、この発明の実施の形態である微細気泡発生装置である。微細気泡発生装置1は、図1に表すように、水槽Tの底面に設置される。水槽Tは、円筒形状からなり、水槽T内には汚濁水である飼育水Wを所定量満たしてなる。水槽T上部には、微細気泡発生装置1によって発生した気泡と共に飼育水W中の汚濁物質を除去する泡沫分離部T1が設けられ、発生した気泡Bと共に汚濁物質を除去可能である。水槽Tの底面には微細気泡発生装置1を取付けるための取付孔を穿設した取付部T2を設ける。この実施の形態では、水槽Tは、魚などを飼育している飼育水槽(図示せず)の外部に設け、給水口T3から飼育水槽(図示せず)から飼育水Wを引き込んで泡沫分離処理して浄化し、浄化された飼育水Wを排水口T4から再び飼育水槽(図示せず)へ戻すよう形成する実施の形態を説明するが、水槽Tが飼育水槽を形成しても良い。即ち、飼育水槽に微細気泡発生装置1を取付けるように形成する実施の形態であっても良い。尚、水槽Tの形状は円筒形状でなくとも良く、実施の場所や製造の都合によって箱形等他の形状としても良い。
【0028】
微細気泡発生装置1は、水槽Tの飼育水W中に微細気泡B1を含む気泡Bを発生させ、大きな気泡B2の浮力によって大量の気泡Bを飼育水W上部へ浮上させ、気泡Bを泡沫分離部T1へ押し上げて供給し、泡沫分離部T1内に気泡Bに付着して回収された汚濁物質を除去可能である。
【0029】
以下、微細気泡発生装置1の詳細を説明する。
微細気泡発生装置1は、一方の端部が閉塞された円筒形状からなる蓋体2と、蓋体2の水槽T外側に設ける駆動部3と、水槽T内から蓋体2の円筒部内に設置される攪拌フィン4と、攪拌フィン4の上部から水槽T内へ外気を供給可能な供給管5と、攪拌フィン4の外方に設けられるステータ6とからなる。
【0030】
蓋体2は、水槽T底面に固定して水槽T内外を水密状態に分離可能である。蓋体2は、円筒体21の一方の開口を密閉固定して蓋体下面22を形成し、円筒体21の上端縁部に鍔状のフランジ部23を形成してなる。そして、フランジ部23は水槽T底面に設けた取付部T2に水密に固定する。この時、水密に固定するために取付部T2とフランジ部23との間にパッキン等を挟み水密状態を形成しても良く、樹脂等によって水密状態を形成しても良い。この実施の形態では、泡沫分離によって浄化する対象が飼育水Wなので、蓋体2は水密状態に水槽Tに取付ければ足りるが、浄化対象が工場排水や工作機械の切削油等他の液体である場合には、少なくも、浄化対象の液体が漏洩しないように取付ければ足りる。
【0031】
駆動部3は、駆動部3が駆動することで従動する従動部である攪拌フィン4に回転駆動力を提供する。駆動部3は、モータ部31と、アウターマグネット部32とからなる。モータ部31は、駆動軸が蓋体底面22の中央下部に位置するよう水槽T底面に固定され、供給される電力によって回転する。アウターマグネット部32は、蓋体2の円筒体21径より稍径大の円周上に磁極が交互になるよう磁石を並設して形成し、磁石が蓋体2の円筒体21に下方から被さるように設置され、並設する磁石の回転中心にモータ部31の駆動軸が連結されてなる。従って、モータ部31が駆動して駆動軸が回転すると、アウターマグネット部32は、蓋体2の円筒体21の周りで回転する。
【0032】
攪拌フィン4は、駆動部3の駆動によって回転する従動部であり、インナーマグネット部41と、攪拌部42とからなり、蓋体2の水槽T内部側に設置する。攪拌フィン4のインナーマグネット部41は、蓋体2の円筒体21内に設けられ、蓋体2の円筒体21外に設置されたアウターマグネット部32の各磁石と対峙するように、複数の磁石を磁極が交互になるようフィン回転軸43の一端に並設固定する。フィン回転軸43の他端は、円筒体21上部開口から水槽内に突設され、攪拌部42が固定される。攪拌部42は、フィン回転軸43の上端に円板45を中心を同じくして固定し、更に、フィン回転軸43の軸に対して放射方向に複数の羽根板44を設置し、更に複数の羽根板44の上部を円板45で挟みフィン回転軸43に固定してなる。即ち、軸に放射状に設置された複数の羽根板44を上下から円板45で挟んでフィン回転軸43に固定してなる。そして、羽根板44上部の円板45中央には、攪拌部42へ外気を吸引するために供給管5の先端を開口させる開孔46を穿設する。
【0033】
ステータ6は、邪魔板61と、下部固定板62と、上部固定板63とからなる。ステータ6の邪魔板61は、羽根板44同様にフィン回転軸43の軸に対して放射方向に、且つ、羽根板44に対しフィン回転軸43とは反対側に複数設置される。そして、複数の邪魔板61は、各邪魔板61下部がドーナツ状の円板からなる下部固定板62によって連結固定され、更に、下部固定板62の下面を水槽T底面に固定することで水槽T底面に固定する。又、複数の邪魔板61上部は、円盤状の板体である上部固定板63によって連結固定される。上部固定板63の中央には、供給管5を固定するための固定孔64を穿設すると共に、他の位置には通水孔65を穿設する。通水孔65は、攪拌フィン4が回転すると、上部固定板63の上部から攪拌フィン4の回転中心からの放射方向へ水流を生成し、気泡Bをより効率よく発生可能である。従って、通水孔65は、適宜な大きさ及び量を設ければ良く、更には、固定孔64の一部を開口する等して形成しても良い。
【0034】
供給管5は、筒状体からなる。供給管5は、先端を攪拌部42に穿設した開孔46に開口して供給口51を形成し、他端を水槽T底面から水槽T外を経て水槽Tより上方へ開口して吸気口52を形成する。このように、先端部である供給口51を水槽T底部に開口し、他端である吸気口52を水槽Tより上方に開口することで、水槽T内の飼育水Wは供給管5を経由して水槽T外へ溢れ出すことはない。そして、水槽T底面で水槽T内から水槽T外へ貫通する貫通箇所はパッキング等によって水密に密閉される。勿論コーキング材等によって水密状態を保持しても良い。
【0035】
上述のように形成する第1の実施の形態の作用を説明する。
水槽T内には、飼育水Wが所定位置まで満たされている。そして、水槽T内に満たされた飼育水Wは、給水口T3及び排水口T4によって飼育水槽(図示せず)と飼育水Wの交換を行っており、この交換は、常に少量ずつ交換しても良く、或は、所定時間水槽T内で浄化後に一気に交換するようにしても良い。この実施の形態では、常に少量ずつ交換するように形成する。
【0036】
駆動部3のモータ部31に電力が供給されてモータ部31が回転駆動すると、モータ部31の回転軸に固定されたアウターマグネット部32が回転される。アウターマグネット部32は、蓋体2の円筒体21外で回転することとなる。
すると、アウターマグネット部32と蓋体2の円筒体21を挟んで対峙するインナーマグネット部41は、アウターマグネット部32の各磁石の磁極と異なる磁極の磁石がアウターマグネット部32と対峙したときには引力が発生し、同極が対峙したときには斥力が発生するので、アウターマグネット部32の回転に伴ってインナーマグネット部41も回転を開始し、アウターマグネット部32の回転と同期して従属回転する。インナーマグネット部41が回転することで、フィン回転軸43によって連結固定されている攪拌部42も回転する。
【0037】
攪拌フィン4の攪拌部42が回転すると、羽根板44によって攪拌フィン4付近の飼育水Wが攪拌されて負圧が生ずる(この負圧は、攪拌フィン4付近の飼育水Wが攪拌フィン4から遠ざかる方向に急激に移動されるよう攪拌によって作用され生ずるものと思われる)。攪拌フィン4の周りに負圧が生ずると、供給管5の吸気口52から吸引された外気が、供給管5を経由して供給口51から水槽内に吸引される。そして、吸引された外気は、攪拌フィン4の攪拌部42によって攪拌されることとなり、その結果、図3に表すように、細かい気泡、即ち微細気泡B1と、比較的大きな気泡B2とにされ、飼育水W内に供給されることとなる。
【0038】
攪拌フィン4が回転を続けると、水槽T内の飼育水W全体も連れ回りを起こそうとするが、ステータ6が攪拌フィン4の回転外側に固定設置されているため、ステータ6の邪魔板61が水槽T内の飼育水Wの連れ回りを抑制して整流機能を果たす。又、攪拌フィン4が回転しステータ6が制止しているので、羽根板44と邪魔板61との間で吸引された外気が細かく砕かれることとなる。
【0039】
尚、この実施の形態で使用される飼育水Wは海水のような塩分濃度の濃くない淡水なので、飼育水Wに比較的径小な微細気泡B1を発生しにくいと共に、発生された気泡Bが比較的早期に上昇し破裂してしまう。そこで、攪拌フィン16で発生する微細気泡B1は、飼育水W中で汚濁物質を付着し、発生後も微細気泡B1が破壊されずに付着した汚濁物質を水槽T上部に集合しやすい微少な径からなり、詳細には、発生される微細気泡B1中には直径0.5mm以下の気泡Bを多く含むように発生される微細気泡発生装置1であることが望ましいが、直径2mmより小径な気泡Bであれば汚濁物質を付着して上昇し、且つ、上昇後も破裂することなく泡沫分離部T1下部に集合され、微細気泡B1を含む飼育水Wの含有汚濁物質濃度を水槽2下部に比し濃くすることが可能なので、直径2mm以下の気泡Bを発生可能であれば汚濁物質を除去するための微細気泡発生装置1として機能する。そして、より小径な微細気泡B1が含まれる気泡Bを発生させる微細気泡発生装置1を用いることで、更に効率よく浄化させることができる。尚、詳述しないが、飼育水Wは淡水に限定されるものではなく、家庭用排水等他の汚濁水でも良い。
【0040】
尚、気泡Bの径が大きいと、上昇後破裂してしまい、付着していた汚濁物質が再び汚濁水中に戻り、汚濁水Wの泡沫分離部T1下部に汚濁物質を効率よく集めることが困難であると共に、図3に表すように、破裂しなくとも、飼育水W中を横方向へよく移動して浮遊することなく、その浮力により直ちに浮上してしまい、飼育水W中で広く汚濁物質を除去できない。一方、微細気泡B1は、図3に表すように、上昇し難く、横方向へ広い範囲によく広がり、飼育水W中の汚濁物質を効率よく付着可能である。
【0041】
又、微細気泡B1だけでは、よく浮遊する一方で、上昇し難いので、飼育水W中に広く拡散してしまい飼育水W上部への集泡が困難であるが、微細気泡B1と共に比較的大きな気泡B2が適度に発生されるので、比較的大きな気泡B2が浮上することによって微細気泡発生装置1上部に下方から上方への水流が発生され、微細気泡B1が微細気泡発生装置1の上部へ浮遊してくると、上昇流によって、或は大きな気泡B2に付着する等して上昇することとなる。
【0042】
このように、発生された微細気泡B1は飼育水W中に広く拡散されて浮遊し、飼育水W中の汚濁物質を付着する。そして、飼育水W中の微細気泡発生装置1上部で比較的大きな気泡B2の浮上によって、或は、同気泡B2に付着して、比較的大きな気泡B2と共に上昇する。
【0043】
上昇した気泡Bは、飼育水W上部、即ち、泡沫分離部T1下部に位置してやがて積層される。
更に気泡Bが積層されると、やがて、泡沫分離部T1の中央に設け排泡孔T5から泡沫分離部T1内へ集泡される。そして、泡沫分離部T1内に集泡された気泡Bは、分離棚T6を逆ロート状に傾斜させて設けることにより、気泡Bに汚濁物質と共に付着して集泡された水分のみが分離棚T6の傾斜に沿って水槽T内面側へ移動し、水槽T内面と逆ロート状に形成した分離棚T6との間に設ける回収間隙T7から再び水槽T内の飼育水Wへ戻される。この現象は、順次排泡孔T5から新しい気泡Bが集泡されるので、泡沫分離部T1内の気泡B密度が上昇し、集泡された気泡B相互が結び付いて順次一つの大きな気泡Bを形成していくので、更には、気泡相互の境界膜がなくなりるので、付着していた水分が大きくなり気泡膜から離脱するものと考えられる。
【0044】
この時、戻される水分は、汚濁物質が気泡Bに付着して泡沫分離部T1に残るので、浄化されて再び水槽Tへ戻され、飼育水Wは浄化される。
一方、泡沫分離部T1に残った気泡Bは、順次水槽T内から排泡孔T5を経由して新たな気泡Bが集泡されてくるので、やがて泡沫分離部T1内には収まりきらなくなり、泡沫分離部T1上部に設ける廃棄口T8から気泡Bが溢れるように廃棄されることとなる。
【0045】
次いで、第2の実施の形態を図4に基づき説明する。
第2の実施の形態の蓋体2、攪拌フィン4、供給管5、及び、ステータ6は、第1の実施の形態同様である。
【0046】
第2の実施の形態の駆動部3は、図4に表すように、複数の界磁コイル33と、励磁制御部34とからなる。各界磁コイル33は、攪拌フィン4に設けた各インナーマグネット部41と対向するように、蓋体2の円筒体21表面に固定される。励磁制御部34は、界磁コイル33に所定の周期で逆極となる電圧を印加して励磁電流を通電可能であり、通電された界磁コイル33は所定周期で、発生する磁界の方向を逆向きにする動作を繰返すこととなる。そして、更に、励磁制御部34は、隣り合う界磁コイル33相互が異なる方向に磁界を発生するように円圧を印加して励磁電流を通電可能であり、隣り合う界磁コイル33相互が所定の周期で常に逆方向の磁界を発生することとなる。
その他は第1の実施の形態同様である。
【0047】
このように形成する第2の実施の形態の作用を説明する。
励磁制御部34が所定周期で順次逆極の電圧を印加することで、界磁コイル33相互の発生する磁界の方向は逆向きとなる。そして、隣り合う界磁コイル33は、夫々逆極の電圧を印加されるので、励磁電流によって発生する磁界の方向は隣り合う界磁コイル33毎に異なる。
このように界磁コイル33が励磁されると、界磁コイル33と対向して蓋体2の内部に位置される攪拌フィン4のインナーマグネット部41は、モータの原理によって回転される。
【0048】
インナーマグネット部41が回転すると、第1の実施の形態同様、攪拌部42も回転し、以下第1の実施の形態同様の作用を呈する。
【0049】
以下に、第3の実施の形態を図5に基づき説明する。第3の実施の形態は、第1及び第2の実施の形態におけるステータ6を、微細気泡発生装置1には設けずに、水槽T内壁から水槽中心方向へ板状体を固定して邪魔板61として設けた実施の形態であり、それ以外は第1の実施の形態同様である。勿論、第2の実施の形態に邪魔板61を設け、それ以外を第2の実施の形態同様にしても良い。
従って、第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、ステータ6が整流作用を呈して連れ回りを抑止したが、第3の実施の形態では、邪魔板61によってステータ6同様に連れ回りを抑制可能となる。
【0050】
次いで、第4の実施の形態を図6及び図7に基づき説明する。
第4の実施の形態における微細気泡発生装置1は、駆動部3と、攪拌フィン4と、供給管5と、ステータ6とからなり、家庭用等の比較的小さな水槽T内に設置した例を表す。水槽Tの上部には濾過装置T9が設けられ、濾過装置T9内に揚水された飼育水を濾過して再び水槽T内に戻すことが可能である。濾過装置T9への揚水は、漏斗を上下逆にした形状からなり微細気泡発生装置1の上方に位置される集泡器T10と、集泡器T10の上部に設置され集泡器T10から集泡した気泡Bを飼育水Wと共に汲上げる揚水ポンプT11とによって行われ、集泡器T10内に集泡された気泡Bが濾過装置T9に揚水される。
微細気泡発生装置1の駆動部3は、モータ部31が水中モータからなり、供給される電力によって回転軸35を回転可能である。駆動部3は、回転軸35を駆動部3上部から上方に突出させて設け、垂直軸を回転軸として回転可能に設置される。
攪拌フィン4は、インナーマグネット部41を有さず、駆動部3の回転軸35が攪拌部42のフィン回転軸43となるように固定されてなり、駆動部3が回転することで回転可能である。攪拌フィン4の攪拌部42を形成する羽根板44、円板45、及び、開孔46は、第1の実施の形態と同様に形成されるので、攪拌部42は、第1の実施の形態同様に飼育水W中で回転可能である。
ステータ6は、第1の実施の形態同様に邪魔板61が攪拌部42の回転外側で、下部固定板62及び上部固定板3とに挟まれて固定されてなり、下部固定板62の下端が駆動部3に固定される。従って、ステータ6の邪魔板61と攪拌部42の羽根板44との位置関係は第1の実施の形態同様となる。
供給管5は、第1の実施の形態と同様に、一端が攪拌部42の開孔46に開口され、他端は水槽Tの外で水槽Tより高い位置に開口するように設ける。従って、供給管5も第1の実施の形態同様である。
ステータ6は、第1の実施の形態同様、複数の邪魔板61を下部固定板62及び上部固定板63によって放射状になるよう挟持固定してなる。そして、ステータ6は、ステー64によって全体がモータ部31と固定され、攪拌フィン4との相対位置が第1の実施の形態と同じになるよう設置する。このように形成する第4の実施の形態は、水槽Tの底部に設置可能となり、家庭用等汎用の水槽Tに実施できる。
【0051】
以下、このように形成する第4の実施の形態の作用を説明する。
駆動部3に電力が供給されてモータ部31の回転軸35(フィン回転軸43と一体)が回転する。
回転軸35(フィン回転軸43と一体)が回転すると、回転軸35(フィン回転軸43と一体)と固定された攪拌フィン4が回転する。
攪拌フィン4が回転することで、第1の実施の形態同様、微細気泡B1及び大きな気泡B2を含む気泡Bが発生し、微細気泡B1は浮力が弱いので水槽T内の飼育水W中を横方向へ広く浮遊し、比較的浮力の大きな気泡B2は上方へ浮上する。微細気泡B1は、横方向に広がって飼育水W中の汚濁物質を広く付着し浮遊する。
この時、微細気泡発生装置1は集泡器T10の下方に位置しているので、上方へ浮上する大きな気泡B2は集泡器T10によって集泡されることとなる。その際水槽内では、大きな気泡B2の浮上によって上方へ向かう水流が出来るので、この水流付近に移動してきた微細気泡B1は、この水流にのって上昇し、集泡器T10によって大きな気泡B2と共に集泡される。
集泡器T10によって集泡された気泡Bは、揚水ポンプT11によって飼育水Wと共に汲上げられ、濾過装置T9に排出される。濾過装置T9では、揚水された汚濁物質を付着した気泡Bから汚濁物質を濾過し、飼育水Wを浄化して再び水槽T内へ戻す。
そして、このような飼育水Wの循環を繰返すことで、飼育水Wは浄化されることとなる。
【0052】
次いで、第5の実施の形態を図8に基づき説明する。
第5の実施の形態である微細気泡発生装置1は、図8に表すように、第1の実施の形態同様水槽T底部の外部に駆動部3を設置し、水槽T内に攪拌フィン4及びステータ6を設置してなる。そして、微細気泡発生装置1は、第1乃至第3の実施の形態と異なり、駆動部3及び攪拌フィン4を分離される蓋体2を設ず、攪拌フィン4を回転させる回転軸35を、水槽Tの底部に予め穿設された軸孔T12を貫通して設ける。
駆動部3は、モータ部31からなり、モータ部31が軸孔T12の水槽T外部に取付けられ、モータ部31の回転軸35が軸孔T12を貫通して水槽T内部に位置するよう取付けられる。36は、フランジ部材である。フランジ部材36は、その中心にモータ部31の回転軸35を貫通可能な軸孔37を穿設してなり、回転軸35を軸孔37へ貫通させ、取付モータ部31を水槽Tの底部へ水密に取付けるための部材である。軸孔37は、オイルシールを形成してなり、回転軸35と水密に接すると共に、回転軸35が回転可能に設ける。
攪拌フィン4は、第4の実施の形態と同様に、モータ部31の回転軸35先端に取付けられる。攪拌フィン4のその他は、第1の実施の形態同様である。
供給管5の吸気口52は、吸気管53の先端(図示せず)を第1の実施の形態同様水槽外部に開口して形成する。供給管5の供給口51は、第1の実施の形態と異なり、回転軸35の攪拌フィン4側に開口してなる。
【0053】
詳細には、供給管5は、予めフランジ部材36内にモータ部31の回転軸35まで穿設した連通孔38と、回転軸35を中空に形成し回転軸35内に一端がフランジ部材36内の連通孔38に開口すると共に、他端が回転軸35先端に取付けた攪拌フィン4に開口する供給口51を形成するよう予め穿設する連通孔39と、吸気管53とからなる。そして吸気管5は、吸気管53の吸気口52と異なる他端をフランジ部材36の連通孔38に連結することで、供給口51及び吸気口52とを連通して外気或は外部に設ける他の気体を水槽T内に供給可能に形成してなる。
ステータ6は、特に図示しないが、供給管5が上部から吸気しないので、上部固定板63には供給管5を固定する固定孔64を設けないが、それ以外は第1の実施の形態同様である。
【0054】
そして、第5の実施の形態の作用は、供給管5が、外気或は外部に設ける他の気体を水槽T内に供給する際、回転軸35を経由して供給する以外は、他の実施の形態同様である。
従って、第5の実施の形態では、駆動部3が水槽T外部に位置し、攪拌フィン4が攪拌部を形成すると共に駆動部3から駆動力を受領して回転する受動部を形成し、回転軸35に設けた攪拌フィン4を回転駆動させ、攪拌フィン4の回転で負圧を発生させ、この負圧によって供給管5の吸気口52から吸気し、供給管5、吸気管53、連通孔38、及び、連通孔39を経由して供給口51から吸気した気体を供給して微細気泡を発生する。
このように、第5の実施の形態によれば、モータ部31を水槽T底部の外側に位置させることが出来、水槽T内ではステータ6が水槽T底部に位置しているだけなので、観賞用の水槽等に実施したときに外観を損なうことがない。
【0055】
尚、第5の実施の形態では、供給管5を駆動部3のフランジ部材32内、回転軸35を経由して攪拌フィン4に供給するよう形成したが、第1の実施の形態のように、攪拌フィン4の上部に吸気口52が開口するように形成しても良い。
又、これら実施の形態では、浄化する汚濁水は飼育水Wであるが、飼育水に限定されるものではなく、家庭排水等他の汚濁水でも良く、更には、工場排水や工作機械に使用して汚濁した切削油等でも良い。そして、供給管5を経由して水槽T内に供給される気体は、これら実施の形態では外気(空気)であるが、浄化する対象である汚濁水によっては、オゾン等他の気体或は他の気体と空気との混合気体が望ましい場合もあり、これらの気体を水槽T内に供給する場合には、供給管5の吸気口52は、これら気体の発生装置と接続される等して水槽T内に供給することも可能である。
【0056】
更に又、気泡Bを大量に発生できるので、発生した泡沫によって除去又は分離させたい汚濁水中の物質が、沈殿法や限外濾過では分離効率の悪い低濃度のタンパク質や酵素の場合にも実施可能である。そして、除去又は分離する物質が界面活性の乏しい物質の場合に、汚濁水中に界面活性剤を添加し、除去又は分離する物質と界面活性剤とで疎水性の錯体を形成させて吸着を容易にするようにしても良い。この場合には、界面活性剤を適宜選択することで、除去又は分離させたい物質を特定することも出来、更に金属の等の場合には他の物質を添加することで除去物質と添加した物質とで疎水性の錯体を形成させ除去可能であり、界面活性剤の場合同様添加する他の物質を適宜選択することで特定の物質を除去又は分離することも可能である。
【0057】
更に又、攪拌フィン4の回転数を制御可能に形成し、供給管5から供給出来る気体量を供給弁(図示せず)等により制御可能にすることで、発生する気泡Bの量を制御可能となり、気泡Bの量をより多くすると共に、気泡B中の微細気泡B1量を多くし大きな気泡B2量を少なく或は無くすることが出来る。そして、水槽T内の浄化する液体によっては、汚濁水W中に大量の気泡Bを発生して、微細気泡B1がその量によって強制的に上部に位置されるよう形成して、汚濁物質を付着した微細気泡B1を上部から強制的に排出することも可能である。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、駆動部と従動部とが蓋体によって水槽底面で完全に分離させることが出来、水槽内に広く拡散されて浮遊し汚濁物質を付着する微細気泡を含む気泡を水槽下部で発生できるので、回転する部分が水槽を貫通せず、回転部と水槽との回転を伴うシールが不要で水密状態を容易に保てると共に、水槽底部側で設置可能なので、深い水槽に実施することが出来、水槽の深さによらずに実施可能となる。
更に、発生させる気泡を形成する気体が、金属を腐食させる作用の強いオゾン等でも、腐食による影響が大きい回転軸部やベアリング等が供給された気体より下方或は水槽外部に位置するので、大きな気泡となって気体が付着しないので、腐食等の影響を帯びにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を水槽に実施した状態を表す説明図
【図2】図1の一部拡大断面説明図
【図3】この発明の実施の形態の気泡の状態を説明する説明図
【図4】第2の実施の形態を表す説明図
【図5】第3の実施の形態を表す説明図
【図6】第4の実施の形態を表す説明図
【図7】第4の実施の形態の拡大断面説明図
【図8】第5の実施の形態を表す断面説明図
【図9】従来例図
【符号の説明】
B 気泡
B1 微細気泡
B2 大きな気泡
W 飼育水
T 水槽
T1 泡沫分離部
T2 取付部
T3 給水口
T4 排水口
T5 排泡孔
T6 分離棚
T7 回収間隙
T8 廃棄口
T9 濾過装置
T10 集泡器
T11 揚水ポンプ
T12 軸孔
1 微細気泡発生装置
2 蓋体
21 円筒体
22 蓋体底面
23 フランジ部
3 駆動部
31 モータ部
32 アウターマグネット部
33 界磁コイル
34 励磁制御部
35 回転軸
36 フランジ部材
37 軸孔
38 連通孔
39 連通孔
4 攪拌フィン
41 インナーマグネット部
42 攪拌部
43 フィン回転軸
44 羽根板
45 円板
46 孔
5 供給管
51 供給口
52 吸気口
53 吸気管
6 ステータ
61 邪魔板
62 下部固定板
63 上部固定板
64 固定孔
65 通水孔

Claims (2)

  1. 一方の端部が閉塞され他方の端部が開口された円筒形状からなり、開口された側面には水槽底面に取付可能なフランジ部を設けられる蓋体と、
    水槽底面の蓋体外部に設けられ、先端部には蓋体円筒面の円周方向に沿って磁極が交互になるよう複数の磁石が並設されるアウターマグネット部を形成し、基端部にはアウターマグネット部を蓋体円筒軸と回転軸を同じくして回転させるモータ部を形成する駆動部と、
    基端部は蓋体内に設けられ蓋体の円筒内面に沿って複数の磁石を磁極が交互になるよう複数設けられるインナーマグネット部を形成してアウターマグネット部の回転に連れて回転され、先端部は蓋体から水槽内に突設され、回転軸に対し放射状に設ける複数の羽根板を上下から円板により挟持固定される攪拌部を形成する攪拌フィンと、
    一端が開口されて攪拌フィンの攪拌部中心に位置されると共に攪拌フィンの回転放射方向へ開口される供給口を形成し、他端は水槽外に開口される吸気孔を形成し、水槽外部の気体を水槽内の攪拌部へ供給可能な供給管と、
    板状体からなる邪魔板を攪拌フィンの攪拌を邪魔するよう攪拌フィンの回転外側に攪拌フィンの回転放射状となるよう複数立設し、邪魔板相互の上下を固定板により連結固定することで攪拌フィンを内包し、上部固定板の中央には供給管が挿通される固定孔が穿設されてなるステータと、
    からなり、
    攪拌フィンの回転に伴い、水槽外部の気体が供給管の供給口から攪拌フィンの回転放射方向へ向けて供給されることを特徴とする微細気泡発生装置。
  2. 一方の端部が閉塞され他方の端部が開口された円筒形状からなり、開口された側面には水槽底面に取付可能なフランジ部を設けられる蓋体と、
    水槽底面の蓋体外部に設けられ、先端部には蓋体円筒面の円周方向に沿って磁極が交互になるよう複数の磁石が並設されるアウターマグネット部を形成し、基端部にはアウターマグネット部を蓋体円筒軸と回転軸を同じくして回転させるモータ部を形成する駆動部と、
    基端部は蓋体内に設けられ蓋体の円筒内面に沿って複数の磁石を磁極が交互になるよう複数設けられるインナーマグネット部を形成してアウターマグネット部の回転に連れて回転され、先端部は蓋体から水槽内に突設され、回転軸に対し放射状に設ける複数の羽根板を上下から円板により挟持固定される攪拌部を形成する攪拌フィンと、
    一端が開口されて攪拌フィンの攪拌部中心に位置されると共に攪拌フィンの回転放射方向へ開口される供給口を形成し、他端は水槽外に開口される吸気孔を形成し、水槽外部の気体を水槽内の攪拌部へ供給可能な供給管と、
    板状体からなる邪魔板を攪拌フィンの攪拌を邪魔するよう攪拌フィンの回転外側に攪拌フィンの回転放射状となるよう複数立設し、邪魔板相互の上下を固定板により連結固定することで攪拌フィンを内包し、上部固定板の中央には供給管が挿通される固定孔が穿設され、且つ、固定孔周囲部には攪拌フィン上部の内外を貫通する通水孔が穿設されてなるステータと、
    からなり、
    攪拌フィンの回転に伴い、水槽外部の気体が供給管の供給口から攪拌フィンの回転放射方向へ向けて供給され、且つ、通水孔によりステータ上部からステータ内を経てステータの邪魔板外方への水流を発生可能であることを特徴とする微細気泡発生装置。
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