JP3542153B2 - 脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル又はその塩を製造する方法およびその製品を含有する洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、起泡力・洗浄力に優れ、泡量が豊富かつクリーミーで、また、すすぎ時のぬるつきやキシミ感がなく使用感に優れ、しかも皮膚や毛髪に対する刺激が少なく、さらに製品安定性に優れた脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル、又はその塩を製造する方法、およびその製品を含有する洗浄剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、洗浄剤用の界面活性剤として、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩およびα−オレフィンスルホン酸塩などのアニオン界面活性剤が広く用いられている。しかし、これらアニオン界面活性剤は、程度の差はあるがいずれも皮膚刺激性を有し、これを連用すると皮膚を荒らすという問題点を有している。
【0003】
近年、皮膚刺激性を低下させ、かつ洗浄力の改善を目的として、アルキルリン酸エステル界面活性剤が好んで用いられるようになっている。しかし、アルキルリン酸エステル界面活性剤には、起泡力が低いこと、および水への溶解性が悪いことなどの問題があり、また使用時のサッパリ感にも不十分な点があった。
【0004】
そこで、アルキルリン酸エステル界面活性剤の特徴を保持しつつ、水への溶解性を向上させることを目的として、下記一般式(III):
【化2】
(式中、R1 、Mは一般式(I)における規定と同じであり、AはR1 CONHCH2 CH2 OCH2 CH2 −基またはMを表し、nは1以上、一般に3以上の整数である。)
で示される、ポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドリン酸エステル塩が用いられるようになってきた。
【0005】
これら、従来のポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドリン酸エステル塩は、皮膚や毛髪、眼粘膜への刺激が低く、洗浄後ぬるつきがなくさっぱりとした使用感をもっている。しかし泡立ちや洗浄力において未だ不満足なものであり、泡のクリーミー感にも乏しいという欠点を有している。
【0006】
一般式(III)で示されるポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドリン酸エステル塩の既知の製造方法は、脂肪酸モノエタノールアミドにエチレンオキサイドを付加させて、ポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドを調製し、これにオキシ塩化リン、五酸化リン、ポリリン酸などのリン酸化剤を反応させリン酸エステルとし、最後にカセイソーダなどで中和することによりリン酸エステル塩化する方法である。この方法の途中に、エチレンオキサイド付加の工程が含まれているが、この際、少量のジオキサンが生成してしまうという問題がある。ジオキサンはその高い毒性から、洗浄剤に混入されることは好ましくない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、起泡力・洗浄力に優れ、泡量が豊富かつクリーミーで、また、すすぎ時のぬるつきやキシミ感がなく使用感に優れ、しかも皮膚や毛髪に対する刺激が少なく、さらに製品安定性に優れた脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル塩を製造する方法、およびその製品を含有する洗浄剤組成物を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、起泡力・洗浄力に優れ、泡量が豊富かつクリーミーで、また、すすぎ時のぬるつきやキシミ感がなく使用感に優れ、しかも皮膚や毛髪に対する刺激が少なく、さらに製品安定性に優れた脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル塩を製造する方法、およびこの方法の製品を含有する洗浄剤組成物を得るべく検討を重ねた結果、特定の方法により製造された脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル塩製品が、上記特性を具有しており、これに、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤または両性界面活性剤を配合することにより、すぐれた実用性を有する洗浄剤組成物が得られる事を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明に係わる脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル又はその塩を製造する方法は
下記一般式(I):
【化3】
(但し、式(I)中、R1 は5〜21個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の炭化水素基を表し、AはR1 CONHCH2 CH2 OCH2 CH2 −基またはMを表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基、アルカノールアミンのカチオン性残基、または塩基性アミノ酸のカチオン性残基を表す。)
で示される脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル又はその塩を製造するために、
下記一般式(II) :
R1 COOR (II)
(但し、式(II) 中、R1 は前記の規定の通りであり、Rはメチル基、エチル基、またはプロピル基を表す。)
で示される脂肪酸エステルと、ジグリコールアミンとを金属アルコキシドの存在下で縮合させて脂肪酸ジグリコールアミドを調製し、これとリン酸化剤とを反応させて脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルを調製し、
前記一般式(I)の化合物において、Mがアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基、アルカノールアミンのカチオン性残基又は塩基性アミノ酸のカチオン性残基である場合は、前記脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルに、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、アルカノールアミン、または塩基性アミノ酸からなる中和剤により中和する工程を施すことを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る洗浄剤組成物は、上記本発明方法により得られ、かつ前記一般式(I)により示される脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルおよびその塩の少なくとも1種からなる成分(A)と、少なくとも1種の非イオン界面活性剤化合物からなる成分(Ba)とを含有することを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る他の洗浄剤組成物は、上記本発明方法により得られ、かつ前記一般式(I)により示される脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルおよびその塩の少なくとも1種からなる成分(A)と、少なくとも1種のアニオン界面活性剤化合物からなる成分(Bb)とを含有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係る、さらに他の洗浄剤組成物は、上記本発明方法により得られ、かつ前記一般式(I)により示される脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルおよびその塩の少なくとも1種からなる成分(A)と、少なくとも1種の両性界面活性剤化合物なる成分(Bc)とを含有することを特徴とするものである。
【0013】
【作用】
本発明に係る製造方法により得られる式(I)の脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルおよびその塩は、式(III)で示される従来のポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドリン酸エステル塩化合物において、nが2の場合の化合物に相当する。式(III)の化合物において、nが1の場合、すなわち一般式(IV) :
【化4】
(但し、式(IV )中、R1 ,A、およびMは前記規定の通り。)
で示される、脂肪酸モノエタノールアミドリン酸エステル塩は、安定性が著しく悪く実用に適さないものである。また、式(III)において、nが3以上の場合の化合物は、起泡力・洗浄力が十分ではなく、泡のクリーミー感に欠け、洗浄後キシミ感を有するという欠点がある。
【0014】
式(I)の脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル又はその塩を製造する本発明方法において、飽和または不飽和脂肪酸(C6 〜C22)を低級アルコール(メチルアルコール、エチルアルコール、またはプロピルアルコール)によりエステル化し、得られた式(II) の脂肪酸低級アルコールエステルを出発原料として使用し、これとジグリコールアミンとを、例えばナトリウムメトキシドなどの金属アルコキシドの存在下に縮合させて脂肪酸ジグリコールアミドを調製する。次に、これに、例えばオキシ塩化リン、五酸化リン、ポリリン酸などのリン酸化剤を反応させて、これをリン酸エステル化する。これによって式(I)において、Mが−Hの場合の化合物、すなわち脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルが得られる。式(I)の化合物において、Mが、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム塩、またはアルカノールアミンのカチオン性残基、または塩基性アミノ酸のカチオン性残基である場合は、前記脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルをアルカリ金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば水酸化マグネシウムなど)、アンモニア、アルカノールアミン(例えばトリエタノールアミン)、または塩基性アミノ酸(例えばリジンなど)からなる中和剤により中和する。
【0015】
従来のエチレンオキサイド付加法によって製造されたポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドを用いて、脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル又はその塩を合成する方法では、オキシエチレン基数を選択的に2に限定することは困難であったが、本発明方法を用いることにより、オキシエチレン基の数を2に限定することが可能となった。また、本発明方法にはエチレンオキサイド付加工程が含まれていないので、製品中に有毒なジオキサンが混入することは皆無であり、きわめて安全な製品が得られる。
【0016】
このように、本発明で得られる式(I)で示される脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル又はその塩と、従来方法、すなわち脂肪酸モノエタノールアミドにエチレンオキサイドを1モル付加したのちリン酸エステル塩化して得られたポリオキシエチレン(1E.O.)脂肪酸モノエタノールアミドリン酸エステル又はその塩とを対比すると、式(III)で表したとき、両者ともにn=2という点で同一であるが、両製法の製品は上記の説明の通りに明確に区別されるものである。すなわち後者のポリオキシエチレン(1E.O.)脂肪酸アミドリン酸エステル塩において、そのオキシエチレン基数分布は、を後記表1に示した通りであって、式(IV) で示されるモノオキシエチレン化合物を32%およびポリオキシエチレン(n≧3)化合物を20%含んでおり、このため、この製品の安定性が著しく低く、起泡力も不十分であるという欠点を有している。しかし、本発明方法により得られた製品には、このような欠点は皆無である。
【0017】
式(II) の化合物中のアシル基(R1 −CO−)を構成する脂肪酸としては、炭素数6〜22の直鎖あるいは分岐の飽和あるいは不飽和の脂肪酸、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸などが用いられる。
【0018】
式(I) におけるMは、水素原子、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属原子、マグネシウムなどのアルカリ土類金属原子、アンモニウム基、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミンのカチオン性残基、又はリジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸のカチオン性残基などを表すものである。
【0019】
本発明で用いられる式(I)の化合物の代表的なものを例示すると、モノ(ヤシ油脂肪酸ジグリコールアミド)リン酸トリエタノールアミン、ジ(ヤシ油脂肪酸ジグリコールアミド)リン酸トリエタノールアミン、モノ(ラウリン酸ジグリコールアミド)リン酸ナトリウム、ジ(ラウリン酸ジグリコールアミド)リン酸ナトリウム、モノ(ミリスチン酸ジグリコールアミド)リン酸トリエタノールアミン、ジ(ミリスチン酸ジグリコールアミド)リン酸トリエタノールアミン、モノ(ステアリン酸ジグリコールアミド)リン酸アンモニウム、ジ(ステアリン酸ジグリコールアミド)リン酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0020】
本発明方法において、脂肪酸エステルとジグリコールアミンとの反応は、金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムtertブトキシドなどを用い、好ましくは90〜180℃の温度において行われる。この反応は、発生するアルコールを留去しながら、より好ましくは減圧下に生成するアルコールを留去しながら行われる。
【0021】
本発明方法において用いられる、リン酸化剤としては、オキシ塩化リン、五酸化リン、ポリリン酸、オルトリン酸などが挙げられる。
【0022】
本発明方法におけるリン酸エステル化反応方法、条件などには、格別の限定はなく、既知の方法により、認知の条件に従って行えばよいが、モノ(脂肪酸ジグリコールアミド)リン酸エステルを製造する場合には、リン酸化剤としてオキシ塩化リンを脂肪酸ジグリコールアミドに対して、1〜3倍モル用い、反応温度は−20〜50℃以下で行うことが好ましい。また、ジ(脂肪酸ジグリコールアミド)リン酸エステルを製造する場合では、リン酸化剤として五酸化リンを脂肪酸ジグリコールアミドに対して、0.25〜2倍モル用い、反応温度は0〜80℃で行うことが好ましい。なお五酸化リンを使用する反応においては、モノエステルとジエステルの混合物が生成することが多い。
【0023】
リン酸エステル化反応は、無溶媒でも進行するが、脂肪酸ジグリコールアミドの融点が反応温度以上の場合には、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレンなどハロゲン系溶媒などの溶媒中で行ってもよい。
【0024】
リン酸エステル化の反応後、過剰に用いたリン酸化剤から発生するオルトリン酸が不都合の場合は、これを溶媒で反応系から一旦抽出したのち、反応生成物に水を加え、分液洗浄することにより容易に除去できる。
【0025】
本発明の洗浄剤組成物において、式(I)の脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルおよびその塩の少なくとも1種からなる成分(A)の含有量は、0.05〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜30重量%である。
【0026】
本発明の洗浄剤組成物において、式(I)の脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルおよびその塩からなる成分(A)に加えて、併用成分(B)として非イオン界面活性剤(Ba)および/またはアニオン界面活性剤(Bb)および/または両性界面活性剤(Bc)を含有させることにより、(1)非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤の性能や安定性を損なうことなしに、起泡力を更に向上させることができ、(2)式(I)の脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルおよびその塩の洗浄力を一層強化することができ、また、(3)洗浄剤組成物の粘度調整が容易となる。さらに、成分(B)の併用により泡質がクリーミーとなり、すすぎ時のぬるつきやキシミ感がなく使用感に優れた洗浄剤を得る事ができる。さらに、成分(B)自体の皮膚や毛髪・眼粘膜に対する刺激を、成分(A)の併用により緩和する作用も発揮される。
【0027】
本発明の洗浄剤組成物において、成分(A)に対する併用成分(Ba)として用いられる非イオン界面活性剤化合物としては、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミドなどの脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミドなどの脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン(2)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン(5)ラウリン酸モノエタノールアミドなどのポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジグリコールアミドなどの脂肪酸ジグリコールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミドなどの脂肪酸イソプロパノールアミド、脂肪酸エステル、ラウリルジメチルアミンオキシドなどのアルキルアミンオキシド、POE高級アルコールエーテル、POEアルキルフェニルエーテル、デシルグルコシドなどのアルキルグルコシドなどが挙げられる。
【0028】
本発明の洗浄剤組成物において、併用成分(Bb)として用いられるアニオン界面活性剤としては、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸トリエタノールアミンなどの脂肪酸石ケン、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミンなどのラウリル硫酸塩、モノドデシルリン酸トリエタノール、ポリオキシエチレンドデシルエーテルリン酸ナトリウムなどのリン酸エステル塩類、ココイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウムなどのアシルメチルタウリン塩、ラウロイルイセチオン酸ナトリウムなどのアシルイセチオン酸塩、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、POE(1〜4)スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)ラウリン酸モノエタノールアミドスルホコハク酸二ナトリウム、オレイン酸アミドスルホコハク酸二ナトリウムなどのスルホコハク酸型界面活性剤、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレン(3)ヤシ油脂肪酸アミドエーテル硫酸ナトリウムなどのアミドエーテル硫酸塩、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ココイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシンカリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミンなどのN−アシルサルコシン塩、ココイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、ラウロイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、ミリストイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、ステアロイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、ラウロイル−N−メチル−β−アラニンカリウム、ラウロイル−N−メチル−β−アラニントリエタノールアミンなどのN−アシル−β−アラニン塩、N−ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、N−ラウロイルアスパラギン酸トリエタノールアミン、N−ミリストイルアスパラギン酸ナトリウムなどのN−アシルアスパラギン酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、N−ココイルグルタミン酸ナトリウム、N−ココイルグルタミン酸トリエタノールアミンなどのN−アシルグルタミン酸塩、N−2−ヒドロキシエチル−N−2−ヤシ油脂肪酸アミドエチルグリシン、N−2−ヒドロキシエチル−N−2−ラウリン酸アミドエチル−β−アラニン、N−2−ヒドロキシエチル−N−2−ヤシ油脂肪酸アミドエチル−β−アラニン、N−カルボキシメチル−N−{2−〔N′−(2−ヒドロキシエチル)ラウリン酸アミド〕エチル}グリシン、N−カルボキシメチル−N−{2−〔N′−(2−ヒドロキシエチル)ヤシ油脂肪酸アミド〕エチル}グリシン、N−{2−〔N−(2−ヒドロキシエチル)ラウリン酸アミド〕エチル}グリシン、N−{2−〔N−(2−ヒドロキシエチル)ヤシ油脂肪酸アミド〕エチル}グリシンなどのアミドカルボン酸型界面活性剤などが挙げられる。
【0029】
本発明の洗浄剤の成分(Bc)に用いられる両性界面活性剤化合物としては、ラウリルベタインなどのアルキルベタイン型両性界面活性剤、ラウロイルアミドプロピルベタインなどのアミドベタイン型両性界面活性剤、2−アルキル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、および2−アルキル−N−カルボキシエチルイミダゾリニウムベタインなどのイミダゾリン型両性界面活性剤、アルキルスルホベタイン型両性界面活性剤、ヤシ油脂肪酸アミドジメチルヒドロキシプロピルスルホベタインなどのアミドスルホベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。
【0030】
本発明の洗浄剤組成物中において、式(I)の脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル又はその塩からなる成分(A)と、非イオン界面活性剤(Ba)および/またはアニオン界面活性剤(Bb)および/または両性界面活性剤(Bc)からなる併用成分(B)との重量配合比は9:1〜1:9であることが好ましい。また洗浄剤組成物中における成分(A)と成分(B)の合計含有率は0.1%(重量)以上であることが好ましい。成分(A)と(B)の配合比が上記の範囲外では、得られる組成物の起泡力および洗浄力が十分でなく、かつぬめり感が高いという欠点があることがあり、また成分(A)、(B)の合計含有量が0.1%未満では、その効果が充分に発揮されないことがある。
【0031】
また、本発明の洗浄剤組成物に対し、下記追加成分を必要に応じて添加することができる。
塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムなどの第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、カチオン化ポリマー、および/又はカチオン化グアーガム。
【0032】
また、本発明の洗浄剤組成物に、下記追加成分も必要に応じて添加することができる。
グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトールなどの多価アルコール類、メチルポリシロキサン、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンなどのシリコーン類、ジンクピリチオン、ピロクトンオラミンなどのフケ取り剤、ヒアルロン酸、エラスチンコンドロイチン硫酸、デルマタン、フィブロネクチン、セラミド類、等の水溶性高分子物質、アロエエキス、胎盤抽出エスキなどの細胞賦活剤、アラントイン、グリチルリチン酸塩などの消炎剤、エデト酸塩、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸などのキレート剤、安息香酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、デヒドロ酢酸塩、パラオキシ安息香酸塩、2,4,4′−トリクロロ−2′−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4′−トリクロロカルバニト、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、レゾルシンなどの防腐剤、殺菌剤、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸などの酸化防止剤、香料、および/又は色素など。
【0033】
本発明の洗浄剤をシャンプーとして用いる場合、その状態は液状またはペースト(ゲル)状であり、またその外観は透明またはパール状、乳濁色を呈しているのが一般的であるが、しかし、これらの性状に限定されるものではない。本発明の洗浄剤を製造するには、従来認知の配合方法を用いればよい。
【0034】
また、本発明の洗浄剤組成物の用途にも制限はないが、その代表的なものとして、台所洗剤、硬質表面洗浄剤、洗顔剤、クレンジングフォーム、シャンプー、ボデイシャンプーなどが挙げられる。
【0035】
【実施例】
本発明を下記実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0036】
実施例1(式(I)の化合物の製造)
ラウリン酸メチル214gに、ジグリコールアミン106g、およびナトリウムメトキシド2gを加え、この反応生成物を、生成するメタノールを減圧下留去しながら加熱攪拌し(20mmHg、140℃、5時間)ラウリン酸ジグリコールアミド290gを調製した。この化合物の1 H−NMR(250MHz,CDCl3 )分析を行ったが、ラウリン酸メチル、ジグリコールアミン、ラウリン酸、N,O−ジラウロイル−ジグリコールアミンなどの未反応原料および副生物は検出されなかった。
【0037】
得られたラウリン酸ジグリコールアミドをクロロホルムに溶解し、5℃に冷却し、これに、オキシ塩化リン230gを、温度を10℃以下を保ちながら1時間かけて滴下した。その後、室温で3時間、リン酸エステル化反応を行った。
【0038】
反応終了後、発生した塩化水素、未反応オキシ塩化リンおよびクロロホルムを減圧で除去した。ラウリン酸ジグリコールアミドリン酸エステル370gが得られた。これを水酸化ナトリウム水溶液で中和してラウリン酸ジグリコールアミドリン酸ナトリウムを合成した(アニオン有効成分:30%)。
【0039】
1 H−NMRおよび31P−NMR分析結果は以下の通りであった。
1 H−NMR(250 MHz 、D 2 O)
0.88ppm (3H,t,−CH3 )
1.29ppm (16H,br,−CH2 −)
1.60ppm (2H,t,−CH 2 −CH2 −CO−)
2.26ppm (2H,t,−CH2 −CO−)
3.40ppm (2H,t,−NH−CH 2 −)
3.67ppm (2H,t,−NH−CH2 −CH 2 −)
3.71ppm (2H,t,−CH 2 −CH2 −OP)
3.91ppm (2H,t,−CH2 −OP)
31 P−NMR(101 MHz ,D 2 O,内部標準:H 3 PO 4 )
0.96ppm (−10.99ppm は検出されず)
【0040】
上記の結果から、得られたリン酸エステルには、リン酸ジエステルは含まれておらず、モノ(ラウリン酸ジグリコールアミド)リン酸ナトリウムのみであることが確認された。
【0041】
実施例2(式(I)の化合物の製造)
ヤシ油脂肪酸(C6 〜C22)を常法によりメチルエステル化で得られたヤシ油脂肪酸メチル119gに、ジグリコールアミン53gおよびナトリウムメトキシド0.5gを加え、減圧下にメタノールを留去しながら加熱攪拌し(20mmHg,120℃,2時間)、ヤシ油脂肪酸グリコールアミドを合成した。このものの1 H−NMR(250MHz、CDCl3 )分析を行ったが、ヤシ油脂肪酸メチル、ジグリコールアミン、ヤシ油脂肪酸、N,O−ジココイル−ジグリコールアミンなどの未反応原料および副生物は検出されなかった。
【0042】
得られたヤシ油脂肪酸ジグリコールアミドをクロロホルムに溶解し、この溶液を、五酸化リン71gをヘキサン中に分散して得られたスラリー中に滴下した。滴下終了後、反応混合物を60℃で5時間攪拌して、リン酸エステル化を行った。
【0043】
反応終了後、反応混合物に水を加えクエンチしたのち、減圧で溶媒を除去した。残渣を酢酸エチルで抽出してから、有機層を水で洗浄して、オルトリン酸を除去した。この反応生成物から酢酸エチルを減圧留去して、ヤシ油脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル170gを得た。これを水酸化カリウム水溶液で中和してヤシ油脂肪酸ジグリコールアミドリン酸カリウムを合成した(アニオン有効成分:30%)。
【0044】
1 H−NMRおよび31P−NMRの分析結果は以下の通りであった。
1 H−NMR(250 MHz 、D 2 O)
0.88ppm (3H,t,−CH3 )
1.29ppm (16H,br,−CH2 −)
1.60ppm (2H,t,−CH 2 −CH2 −CO−)
2.26ppm (2H,t,−CH2 −CO−)
3.40ppm (2H,t,−NH−CH 2 −)
3.67ppm (2H,t,−NH−CH2 −CH 2 −)
3.73ppm (2H,t,−CH 2 −CH2 −OP)
3.95ppm (2H,t,−CH2 −OP)
31 P−NMR(101 MHz ,D 2 O,内部標準:H 3 PO 4 )
−10.99ppm :0.95ppm =3:7
【0045】
また、特公昭58−8746に記載された方法に従って、水酸化カリウムで中和する前の生成物について、リン酸モノエステル、リン酸ジエステルおよびオルトリン酸含量を定量したところ、下記の結果が得られた。
リン酸モノエステル:68重量%
リン酸ジエステル:31重量%
オルトリン酸:1%
【0046】
実施例3(式(I)の化合物の製造)
オレイン酸メチル297gに、ジグリコールアミン106gおよびナトリウムメトキシド2gを加え、生成するメタノールを減圧下留去しながら加熱攪拌し(20mmHg、140℃、2時間)、オレイン酸ジグリコールアミド371gを調製した。この反応生成物について1 H−NMR(250MHz、CDCl3 )分析を行ったが、オレイン酸メチル、ジグリコールアミン、オレイン酸、N,O−ジオレイル−ジグリコールアミンなどの未反応原料および副生物は検出されなかった。
【0047】
得られたオレイン酸ジグリコールアミドをクロロホルムに溶解し、5℃に冷却し、これに、オキシ塩化リン酸230gを、温度を10℃以下を保ちながら1時間かけて滴下した。その後、室温で2時間リン酸エステル化反応を行った。
【0048】
反応終了後、発生した塩化水素、未反応オキシ塩化リンおよびクロロホルムを減圧で除去して、オレイン酸ジグリコールアミドリン酸エステル450gを得た。これをトリエタノールアミン水溶液で中和してオレイン酸ジグリコールアミドリン酸トリエタノールアミンを合成した(アニオン有効成分:30%)。
31P−NMR分析(101MHz,D2 O,内部標準:H3 PO4 )により、0.96ppm のシグナルのみが検出され、−10.99ppm は検出されなかったことから、得られたリン酸エステル化生成物には、リン酸ジエステルは含まれておらず、モノ(オレイン酸ジグリコールアミド)リン酸トリエタノールアミンのみであることが確認された。
【0049】
比較例1(モノ(ポリオキシエチレン(1E.O.)ラウリン酸モノエタノール アミド)リン酸エステルナトリウムの合成)
ラウリン酸メチル214gに、モノエタノールアミン62gとカセイソーダ0.4gとを加え、減圧下にメタノールを留去しながら加熱攪拌し(20mmHg、90℃、1時間)ラウリン酸モノエタノールアミドを合成した。これに、エチレンオキサイド44gを加え、圧力容器中で、1.5kg/cm2 ,140℃で110分反応させポリオキシエチレン(1E.O.)ラウリン酸モノエタノールアミドを調製した。
【0050】
これに、オキシ塩化リン酸230gを、温度を10℃に保ちながら滴下した。その後室温で2時間反応させリン酸エステル化した。
【0051】
反応終了後、発生した塩化水素、未反応オキシ塩化リンおびびクロロホルムを減圧で除去して、ポリオキシエチレン(1E.O.)ラウリン酸モノエタノールアミドリン酸エステル370gを得た。これを水酸化ナトリウム水溶液で中和してポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミドリン酸ナトリウムを合成した(アニオン有効成分:30%)。
【0052】
31P−NMR分析(101MHz,D2 O,内部標準:H3 PO4 )により、0.96ppm のシグナルのみが検出され、−10.99ppm は検出されなかったことから、得られたリン酸エステルには、ジエステルは含まれておらず、モノ(ポリオキシエチレン(1E.O.)ラウリン酸モノエタノールアミド)リン酸エステルナトリウムのみであることが確認された。
【0053】
比較例2(モノ(ラウリン酸モノエタノールアミド)リン酸エステルナトリウムの合成)
ラウリン酸モノエタノールアミド243gをクロロホルムに溶解し、5℃に冷却させ、これに、オキシ塩化リン230gを、温度を10℃以下に保ちながら1時間かけて滴下した。その後、室温で5時間反応させ、リン酸エステル化した。
【0054】
反応終了後、発生した塩化水素、未反応オキシ塩化リンおよびクロロホルムを減圧で除去して、ラウリン酸モノエタノールアミドリン酸エステル323gを得た。これを水酸化ナトリウム水溶液で中和してラウリン酸モノエタノールアミドリン酸ナトリウムを合成した(アニオン有効成分:30%)。
この製品は、放置によって、褐色不透明なペーストに変化した。
【0055】
洗浄剤組成物の調製
上記実施例1〜3、比較例1〜2、および下記比較対照市販品1〜2を用いて、各種洗浄剤組成物を調製した。
比較対照品1:モノドデシルリン酸エステルナトリウム
比較対照品2:ポリオキシエチレン(6)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドリン酸エステル
【0056】
尚、実施例1、比較例1〜2の反応生成物(製品)、および比較対照品2中のオキシエチレン基数(n)の分布を表1に示した。
その分析方法において、試料に2N−NaOH水溶液を加え室温で一晩攪拌して、リン酸エステル結合のみを加水分解し、遊離した有機層を酢酸エチルで抽出し、この抽出物を下記に示すような順相系のHPLCにより分析した。
【0057】
分析条件
カラム:LiChrosorb 5 Diol(4.6φ×250mm)
溶離液:n−ヘキサン/エタノール=86/14
流速:1.0ml/min
温度:40℃
検出:UV220nm
【0058】
【表1】
【0059】
実施例4〜13および比較例3〜10
実施例4〜13および比較例3〜10の各々において、表2および表3に示されている組成の洗浄剤を調製した。得られた製品を下記起泡力、洗浄力試験、泡のクリーミー性試験、官能試験、皮膚刺激試験、およびタンパク質変性試験に供した。
【0060】
これらの試験方法は下記のように行れわた。
1)起泡力試験
供試洗浄剤を、その活性剤純分が0.2%となるように蒸留水で希釈し、得られた洗浄剤水溶液の起泡力をJIS規格K3362記載の方法によって測定した。
評価の基準を次の通りに設定した。
◎…泡立ちが極めて良好、起泡力200mm以上
○…泡立ちが良好、起泡力170mm以上、200mm未満
△…泡立ちが普通、起泡力130mm以上、170mm未満
×…泡立ちが不良、起泡力130mm未満
【0061】
2)洗浄力試験
牛脂に、指示薬として0.1重量%のSudan III を添加し、その5gを磁製の皿(直径25cm)に塗布した。この皿を、供試洗浄剤の10重量%溶液30gをしみ込ませたスポンジでこすり洗いし、もはや皿より牛脂が洗浄できなくなるまでに洗浄された皿の枚数をもって洗浄力を表した。
【0062】
3)クリーミー性
泡のクリーミー性は、頭髪を2分し、左右にそれぞれ3gの標準試料と供試試料を施して泡立てた後、泡のクリーミー性を20名のテスターにより二点比較法による官能検査を行ない、下記の基準により統計処理を行なって評価判定した。なお、標準試料としては、ポリオキシエチレン(3E.O.)アルキルエーテル硫酸ナトリウム(C12/C13=1/1)の15%水溶液を用いた。
○…5%有意で試験試料の方が好ましい
△…有意差がない
×…5%有意で標準試料の方が好ましい
【0063】
4)官能(サッパリ感)の試験
20〜40歳のパネラー10名に、試料5mlを浴用スポンジに採ったものを用い、約40℃の温水で手および前腕部を3回ずつ洗浄させ、水ですすいだ時の官能評価を以下の基準で行い、さらに、自然乾燥させたのちの官能評価値の平均値を求めた。
官能評価
4点…ぬめり感が全くなく、サッパリしている
3点…ぬめり感がほとんどなく、サッパリしている
2点…ややぬめり感があり、サッパリ感がうすい
1点…明らかにぬめり感が残り、サッパリしない
評価表示の基準を以下の通りに設定した。
◎…平均値3.1〜4.0
○…平均値2.1〜3.0
△…平均値1.1〜2.0
×…平均値0〜1.0
【0064】
5)皮膚刺激(手荒れ)試験
テスター20名により1%供試洗浄剤溶液中に1日30分間、手を手首まで浸漬し、これを3日間繰り返し後、次の日に下記の基準で判定を行い、その平均点を求めた。
官能評価
3点…手が荒れなかった
2点…手が少し荒れた
1点…荒れた
評価表示の基準を次の通りに設定した。
◎…平均点2.1〜3.0
○…平均点1.1〜2.0
×…平均点0〜1.0
【0065】
6)タンパク質変性率試験
水系ゲル濾過高速液体クロマトグラフィーを使用し、卵白アルブミンpH7緩衝溶液に、試料濃度1%になるように試料を加えた場合の卵白アルブミンの220nm吸収ピークの高さを測定し、下記式から、卵白アルブミンの変性率を算出した。
変性率(%)=〔(Ho−Hs)/Ho〕×100
Ho:卵白アルブミンの220nm吸収ピークの高さ
Hs:卵白アルブミンの緩衝溶液に試料を加えた時の220nmの吸収ピークの高さ
評価の基準を次の通りに設定した。
◎ 卵白アルブミン変性率 30%未満
○ 卵白アルブミン変性率 30〜59%
△ 卵白アルブミン変性率 60〜79%
× 卵白アルブミン変性率 80%以上
【0066】
試験結果を表2および表3に示す。
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
実施例14
下記組成のコンディショニングシャンプーを調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0069】
実施例15
下記組成のパール状シャンプーを調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0070】
実施例16
下記組成の洗顔剤を調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0071】
実施例17
下記組成の透明フケ取りシャンプーを調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0072】
実施例18
下記組成のゲル状シャンプーを調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0073】
実施例19
下記組成のリンス一体型シャンプーを調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0074】
実施例20
下記組成のボディシャンプーを調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0075】
実施例21
下記組成の透明台所洗剤を調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0076】
実施例22
下記組成のシャンプーを調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0077】
実施例23
下記組成のシャンプーを調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0078】
実施例24
下記組成のシャンプーを調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0079】
【表4】
【0080】
【発明の効果】
本発明により、起泡力・洗浄力が優れ、泡量が豊富で均質がクリーミーで、また、すすぎ時のぬるつきやキシミ感がなく使用感に優れ、しかも、皮膚や毛髪に対する刺激が少なく、さらに製品安定性に優れた脂肪酸のジグリコールアミドリン酸エステルおよびその塩の製造が可能となり、またこの方法の製品を含む、上記すぐれた特性を有する洗浄剤組成物が提供される。
【産業上の利用分野】
本発明は、起泡力・洗浄力に優れ、泡量が豊富かつクリーミーで、また、すすぎ時のぬるつきやキシミ感がなく使用感に優れ、しかも皮膚や毛髪に対する刺激が少なく、さらに製品安定性に優れた脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル、又はその塩を製造する方法、およびその製品を含有する洗浄剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、洗浄剤用の界面活性剤として、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩およびα−オレフィンスルホン酸塩などのアニオン界面活性剤が広く用いられている。しかし、これらアニオン界面活性剤は、程度の差はあるがいずれも皮膚刺激性を有し、これを連用すると皮膚を荒らすという問題点を有している。
【0003】
近年、皮膚刺激性を低下させ、かつ洗浄力の改善を目的として、アルキルリン酸エステル界面活性剤が好んで用いられるようになっている。しかし、アルキルリン酸エステル界面活性剤には、起泡力が低いこと、および水への溶解性が悪いことなどの問題があり、また使用時のサッパリ感にも不十分な点があった。
【0004】
そこで、アルキルリン酸エステル界面活性剤の特徴を保持しつつ、水への溶解性を向上させることを目的として、下記一般式(III):
【化2】
(式中、R1 、Mは一般式(I)における規定と同じであり、AはR1 CONHCH2 CH2 OCH2 CH2 −基またはMを表し、nは1以上、一般に3以上の整数である。)
で示される、ポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドリン酸エステル塩が用いられるようになってきた。
【0005】
これら、従来のポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドリン酸エステル塩は、皮膚や毛髪、眼粘膜への刺激が低く、洗浄後ぬるつきがなくさっぱりとした使用感をもっている。しかし泡立ちや洗浄力において未だ不満足なものであり、泡のクリーミー感にも乏しいという欠点を有している。
【0006】
一般式(III)で示されるポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドリン酸エステル塩の既知の製造方法は、脂肪酸モノエタノールアミドにエチレンオキサイドを付加させて、ポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドを調製し、これにオキシ塩化リン、五酸化リン、ポリリン酸などのリン酸化剤を反応させリン酸エステルとし、最後にカセイソーダなどで中和することによりリン酸エステル塩化する方法である。この方法の途中に、エチレンオキサイド付加の工程が含まれているが、この際、少量のジオキサンが生成してしまうという問題がある。ジオキサンはその高い毒性から、洗浄剤に混入されることは好ましくない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、起泡力・洗浄力に優れ、泡量が豊富かつクリーミーで、また、すすぎ時のぬるつきやキシミ感がなく使用感に優れ、しかも皮膚や毛髪に対する刺激が少なく、さらに製品安定性に優れた脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル塩を製造する方法、およびその製品を含有する洗浄剤組成物を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、起泡力・洗浄力に優れ、泡量が豊富かつクリーミーで、また、すすぎ時のぬるつきやキシミ感がなく使用感に優れ、しかも皮膚や毛髪に対する刺激が少なく、さらに製品安定性に優れた脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル塩を製造する方法、およびこの方法の製品を含有する洗浄剤組成物を得るべく検討を重ねた結果、特定の方法により製造された脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル塩製品が、上記特性を具有しており、これに、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤または両性界面活性剤を配合することにより、すぐれた実用性を有する洗浄剤組成物が得られる事を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明に係わる脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル又はその塩を製造する方法は
下記一般式(I):
【化3】
(但し、式(I)中、R1 は5〜21個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の炭化水素基を表し、AはR1 CONHCH2 CH2 OCH2 CH2 −基またはMを表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基、アルカノールアミンのカチオン性残基、または塩基性アミノ酸のカチオン性残基を表す。)
で示される脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル又はその塩を製造するために、
下記一般式(II) :
R1 COOR (II)
(但し、式(II) 中、R1 は前記の規定の通りであり、Rはメチル基、エチル基、またはプロピル基を表す。)
で示される脂肪酸エステルと、ジグリコールアミンとを金属アルコキシドの存在下で縮合させて脂肪酸ジグリコールアミドを調製し、これとリン酸化剤とを反応させて脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルを調製し、
前記一般式(I)の化合物において、Mがアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基、アルカノールアミンのカチオン性残基又は塩基性アミノ酸のカチオン性残基である場合は、前記脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルに、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、アルカノールアミン、または塩基性アミノ酸からなる中和剤により中和する工程を施すことを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る洗浄剤組成物は、上記本発明方法により得られ、かつ前記一般式(I)により示される脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルおよびその塩の少なくとも1種からなる成分(A)と、少なくとも1種の非イオン界面活性剤化合物からなる成分(Ba)とを含有することを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る他の洗浄剤組成物は、上記本発明方法により得られ、かつ前記一般式(I)により示される脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルおよびその塩の少なくとも1種からなる成分(A)と、少なくとも1種のアニオン界面活性剤化合物からなる成分(Bb)とを含有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係る、さらに他の洗浄剤組成物は、上記本発明方法により得られ、かつ前記一般式(I)により示される脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルおよびその塩の少なくとも1種からなる成分(A)と、少なくとも1種の両性界面活性剤化合物なる成分(Bc)とを含有することを特徴とするものである。
【0013】
【作用】
本発明に係る製造方法により得られる式(I)の脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルおよびその塩は、式(III)で示される従来のポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドリン酸エステル塩化合物において、nが2の場合の化合物に相当する。式(III)の化合物において、nが1の場合、すなわち一般式(IV) :
【化4】
(但し、式(IV )中、R1 ,A、およびMは前記規定の通り。)
で示される、脂肪酸モノエタノールアミドリン酸エステル塩は、安定性が著しく悪く実用に適さないものである。また、式(III)において、nが3以上の場合の化合物は、起泡力・洗浄力が十分ではなく、泡のクリーミー感に欠け、洗浄後キシミ感を有するという欠点がある。
【0014】
式(I)の脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル又はその塩を製造する本発明方法において、飽和または不飽和脂肪酸(C6 〜C22)を低級アルコール(メチルアルコール、エチルアルコール、またはプロピルアルコール)によりエステル化し、得られた式(II) の脂肪酸低級アルコールエステルを出発原料として使用し、これとジグリコールアミンとを、例えばナトリウムメトキシドなどの金属アルコキシドの存在下に縮合させて脂肪酸ジグリコールアミドを調製する。次に、これに、例えばオキシ塩化リン、五酸化リン、ポリリン酸などのリン酸化剤を反応させて、これをリン酸エステル化する。これによって式(I)において、Mが−Hの場合の化合物、すなわち脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルが得られる。式(I)の化合物において、Mが、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム塩、またはアルカノールアミンのカチオン性残基、または塩基性アミノ酸のカチオン性残基である場合は、前記脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルをアルカリ金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば水酸化マグネシウムなど)、アンモニア、アルカノールアミン(例えばトリエタノールアミン)、または塩基性アミノ酸(例えばリジンなど)からなる中和剤により中和する。
【0015】
従来のエチレンオキサイド付加法によって製造されたポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドを用いて、脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル又はその塩を合成する方法では、オキシエチレン基数を選択的に2に限定することは困難であったが、本発明方法を用いることにより、オキシエチレン基の数を2に限定することが可能となった。また、本発明方法にはエチレンオキサイド付加工程が含まれていないので、製品中に有毒なジオキサンが混入することは皆無であり、きわめて安全な製品が得られる。
【0016】
このように、本発明で得られる式(I)で示される脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル又はその塩と、従来方法、すなわち脂肪酸モノエタノールアミドにエチレンオキサイドを1モル付加したのちリン酸エステル塩化して得られたポリオキシエチレン(1E.O.)脂肪酸モノエタノールアミドリン酸エステル又はその塩とを対比すると、式(III)で表したとき、両者ともにn=2という点で同一であるが、両製法の製品は上記の説明の通りに明確に区別されるものである。すなわち後者のポリオキシエチレン(1E.O.)脂肪酸アミドリン酸エステル塩において、そのオキシエチレン基数分布は、を後記表1に示した通りであって、式(IV) で示されるモノオキシエチレン化合物を32%およびポリオキシエチレン(n≧3)化合物を20%含んでおり、このため、この製品の安定性が著しく低く、起泡力も不十分であるという欠点を有している。しかし、本発明方法により得られた製品には、このような欠点は皆無である。
【0017】
式(II) の化合物中のアシル基(R1 −CO−)を構成する脂肪酸としては、炭素数6〜22の直鎖あるいは分岐の飽和あるいは不飽和の脂肪酸、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸などが用いられる。
【0018】
式(I) におけるMは、水素原子、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属原子、マグネシウムなどのアルカリ土類金属原子、アンモニウム基、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミンのカチオン性残基、又はリジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸のカチオン性残基などを表すものである。
【0019】
本発明で用いられる式(I)の化合物の代表的なものを例示すると、モノ(ヤシ油脂肪酸ジグリコールアミド)リン酸トリエタノールアミン、ジ(ヤシ油脂肪酸ジグリコールアミド)リン酸トリエタノールアミン、モノ(ラウリン酸ジグリコールアミド)リン酸ナトリウム、ジ(ラウリン酸ジグリコールアミド)リン酸ナトリウム、モノ(ミリスチン酸ジグリコールアミド)リン酸トリエタノールアミン、ジ(ミリスチン酸ジグリコールアミド)リン酸トリエタノールアミン、モノ(ステアリン酸ジグリコールアミド)リン酸アンモニウム、ジ(ステアリン酸ジグリコールアミド)リン酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0020】
本発明方法において、脂肪酸エステルとジグリコールアミンとの反応は、金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムtertブトキシドなどを用い、好ましくは90〜180℃の温度において行われる。この反応は、発生するアルコールを留去しながら、より好ましくは減圧下に生成するアルコールを留去しながら行われる。
【0021】
本発明方法において用いられる、リン酸化剤としては、オキシ塩化リン、五酸化リン、ポリリン酸、オルトリン酸などが挙げられる。
【0022】
本発明方法におけるリン酸エステル化反応方法、条件などには、格別の限定はなく、既知の方法により、認知の条件に従って行えばよいが、モノ(脂肪酸ジグリコールアミド)リン酸エステルを製造する場合には、リン酸化剤としてオキシ塩化リンを脂肪酸ジグリコールアミドに対して、1〜3倍モル用い、反応温度は−20〜50℃以下で行うことが好ましい。また、ジ(脂肪酸ジグリコールアミド)リン酸エステルを製造する場合では、リン酸化剤として五酸化リンを脂肪酸ジグリコールアミドに対して、0.25〜2倍モル用い、反応温度は0〜80℃で行うことが好ましい。なお五酸化リンを使用する反応においては、モノエステルとジエステルの混合物が生成することが多い。
【0023】
リン酸エステル化反応は、無溶媒でも進行するが、脂肪酸ジグリコールアミドの融点が反応温度以上の場合には、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレンなどハロゲン系溶媒などの溶媒中で行ってもよい。
【0024】
リン酸エステル化の反応後、過剰に用いたリン酸化剤から発生するオルトリン酸が不都合の場合は、これを溶媒で反応系から一旦抽出したのち、反応生成物に水を加え、分液洗浄することにより容易に除去できる。
【0025】
本発明の洗浄剤組成物において、式(I)の脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルおよびその塩の少なくとも1種からなる成分(A)の含有量は、0.05〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜30重量%である。
【0026】
本発明の洗浄剤組成物において、式(I)の脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルおよびその塩からなる成分(A)に加えて、併用成分(B)として非イオン界面活性剤(Ba)および/またはアニオン界面活性剤(Bb)および/または両性界面活性剤(Bc)を含有させることにより、(1)非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤の性能や安定性を損なうことなしに、起泡力を更に向上させることができ、(2)式(I)の脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルおよびその塩の洗浄力を一層強化することができ、また、(3)洗浄剤組成物の粘度調整が容易となる。さらに、成分(B)の併用により泡質がクリーミーとなり、すすぎ時のぬるつきやキシミ感がなく使用感に優れた洗浄剤を得る事ができる。さらに、成分(B)自体の皮膚や毛髪・眼粘膜に対する刺激を、成分(A)の併用により緩和する作用も発揮される。
【0027】
本発明の洗浄剤組成物において、成分(A)に対する併用成分(Ba)として用いられる非イオン界面活性剤化合物としては、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミドなどの脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミドなどの脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン(2)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン(5)ラウリン酸モノエタノールアミドなどのポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジグリコールアミドなどの脂肪酸ジグリコールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミドなどの脂肪酸イソプロパノールアミド、脂肪酸エステル、ラウリルジメチルアミンオキシドなどのアルキルアミンオキシド、POE高級アルコールエーテル、POEアルキルフェニルエーテル、デシルグルコシドなどのアルキルグルコシドなどが挙げられる。
【0028】
本発明の洗浄剤組成物において、併用成分(Bb)として用いられるアニオン界面活性剤としては、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸トリエタノールアミンなどの脂肪酸石ケン、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミンなどのラウリル硫酸塩、モノドデシルリン酸トリエタノール、ポリオキシエチレンドデシルエーテルリン酸ナトリウムなどのリン酸エステル塩類、ココイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウムなどのアシルメチルタウリン塩、ラウロイルイセチオン酸ナトリウムなどのアシルイセチオン酸塩、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、POE(1〜4)スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)ラウリン酸モノエタノールアミドスルホコハク酸二ナトリウム、オレイン酸アミドスルホコハク酸二ナトリウムなどのスルホコハク酸型界面活性剤、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレン(3)ヤシ油脂肪酸アミドエーテル硫酸ナトリウムなどのアミドエーテル硫酸塩、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ココイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシンカリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミンなどのN−アシルサルコシン塩、ココイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、ラウロイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、ミリストイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、ステアロイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、ラウロイル−N−メチル−β−アラニンカリウム、ラウロイル−N−メチル−β−アラニントリエタノールアミンなどのN−アシル−β−アラニン塩、N−ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、N−ラウロイルアスパラギン酸トリエタノールアミン、N−ミリストイルアスパラギン酸ナトリウムなどのN−アシルアスパラギン酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、N−ココイルグルタミン酸ナトリウム、N−ココイルグルタミン酸トリエタノールアミンなどのN−アシルグルタミン酸塩、N−2−ヒドロキシエチル−N−2−ヤシ油脂肪酸アミドエチルグリシン、N−2−ヒドロキシエチル−N−2−ラウリン酸アミドエチル−β−アラニン、N−2−ヒドロキシエチル−N−2−ヤシ油脂肪酸アミドエチル−β−アラニン、N−カルボキシメチル−N−{2−〔N′−(2−ヒドロキシエチル)ラウリン酸アミド〕エチル}グリシン、N−カルボキシメチル−N−{2−〔N′−(2−ヒドロキシエチル)ヤシ油脂肪酸アミド〕エチル}グリシン、N−{2−〔N−(2−ヒドロキシエチル)ラウリン酸アミド〕エチル}グリシン、N−{2−〔N−(2−ヒドロキシエチル)ヤシ油脂肪酸アミド〕エチル}グリシンなどのアミドカルボン酸型界面活性剤などが挙げられる。
【0029】
本発明の洗浄剤の成分(Bc)に用いられる両性界面活性剤化合物としては、ラウリルベタインなどのアルキルベタイン型両性界面活性剤、ラウロイルアミドプロピルベタインなどのアミドベタイン型両性界面活性剤、2−アルキル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、および2−アルキル−N−カルボキシエチルイミダゾリニウムベタインなどのイミダゾリン型両性界面活性剤、アルキルスルホベタイン型両性界面活性剤、ヤシ油脂肪酸アミドジメチルヒドロキシプロピルスルホベタインなどのアミドスルホベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。
【0030】
本発明の洗浄剤組成物中において、式(I)の脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル又はその塩からなる成分(A)と、非イオン界面活性剤(Ba)および/またはアニオン界面活性剤(Bb)および/または両性界面活性剤(Bc)からなる併用成分(B)との重量配合比は9:1〜1:9であることが好ましい。また洗浄剤組成物中における成分(A)と成分(B)の合計含有率は0.1%(重量)以上であることが好ましい。成分(A)と(B)の配合比が上記の範囲外では、得られる組成物の起泡力および洗浄力が十分でなく、かつぬめり感が高いという欠点があることがあり、また成分(A)、(B)の合計含有量が0.1%未満では、その効果が充分に発揮されないことがある。
【0031】
また、本発明の洗浄剤組成物に対し、下記追加成分を必要に応じて添加することができる。
塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムなどの第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、カチオン化ポリマー、および/又はカチオン化グアーガム。
【0032】
また、本発明の洗浄剤組成物に、下記追加成分も必要に応じて添加することができる。
グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトールなどの多価アルコール類、メチルポリシロキサン、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンなどのシリコーン類、ジンクピリチオン、ピロクトンオラミンなどのフケ取り剤、ヒアルロン酸、エラスチンコンドロイチン硫酸、デルマタン、フィブロネクチン、セラミド類、等の水溶性高分子物質、アロエエキス、胎盤抽出エスキなどの細胞賦活剤、アラントイン、グリチルリチン酸塩などの消炎剤、エデト酸塩、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸などのキレート剤、安息香酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、デヒドロ酢酸塩、パラオキシ安息香酸塩、2,4,4′−トリクロロ−2′−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4′−トリクロロカルバニト、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、レゾルシンなどの防腐剤、殺菌剤、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸などの酸化防止剤、香料、および/又は色素など。
【0033】
本発明の洗浄剤をシャンプーとして用いる場合、その状態は液状またはペースト(ゲル)状であり、またその外観は透明またはパール状、乳濁色を呈しているのが一般的であるが、しかし、これらの性状に限定されるものではない。本発明の洗浄剤を製造するには、従来認知の配合方法を用いればよい。
【0034】
また、本発明の洗浄剤組成物の用途にも制限はないが、その代表的なものとして、台所洗剤、硬質表面洗浄剤、洗顔剤、クレンジングフォーム、シャンプー、ボデイシャンプーなどが挙げられる。
【0035】
【実施例】
本発明を下記実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0036】
実施例1(式(I)の化合物の製造)
ラウリン酸メチル214gに、ジグリコールアミン106g、およびナトリウムメトキシド2gを加え、この反応生成物を、生成するメタノールを減圧下留去しながら加熱攪拌し(20mmHg、140℃、5時間)ラウリン酸ジグリコールアミド290gを調製した。この化合物の1 H−NMR(250MHz,CDCl3 )分析を行ったが、ラウリン酸メチル、ジグリコールアミン、ラウリン酸、N,O−ジラウロイル−ジグリコールアミンなどの未反応原料および副生物は検出されなかった。
【0037】
得られたラウリン酸ジグリコールアミドをクロロホルムに溶解し、5℃に冷却し、これに、オキシ塩化リン230gを、温度を10℃以下を保ちながら1時間かけて滴下した。その後、室温で3時間、リン酸エステル化反応を行った。
【0038】
反応終了後、発生した塩化水素、未反応オキシ塩化リンおよびクロロホルムを減圧で除去した。ラウリン酸ジグリコールアミドリン酸エステル370gが得られた。これを水酸化ナトリウム水溶液で中和してラウリン酸ジグリコールアミドリン酸ナトリウムを合成した(アニオン有効成分:30%)。
【0039】
1 H−NMRおよび31P−NMR分析結果は以下の通りであった。
1 H−NMR(250 MHz 、D 2 O)
0.88ppm (3H,t,−CH3 )
1.29ppm (16H,br,−CH2 −)
1.60ppm (2H,t,−CH 2 −CH2 −CO−)
2.26ppm (2H,t,−CH2 −CO−)
3.40ppm (2H,t,−NH−CH 2 −)
3.67ppm (2H,t,−NH−CH2 −CH 2 −)
3.71ppm (2H,t,−CH 2 −CH2 −OP)
3.91ppm (2H,t,−CH2 −OP)
31 P−NMR(101 MHz ,D 2 O,内部標準:H 3 PO 4 )
0.96ppm (−10.99ppm は検出されず)
【0040】
上記の結果から、得られたリン酸エステルには、リン酸ジエステルは含まれておらず、モノ(ラウリン酸ジグリコールアミド)リン酸ナトリウムのみであることが確認された。
【0041】
実施例2(式(I)の化合物の製造)
ヤシ油脂肪酸(C6 〜C22)を常法によりメチルエステル化で得られたヤシ油脂肪酸メチル119gに、ジグリコールアミン53gおよびナトリウムメトキシド0.5gを加え、減圧下にメタノールを留去しながら加熱攪拌し(20mmHg,120℃,2時間)、ヤシ油脂肪酸グリコールアミドを合成した。このものの1 H−NMR(250MHz、CDCl3 )分析を行ったが、ヤシ油脂肪酸メチル、ジグリコールアミン、ヤシ油脂肪酸、N,O−ジココイル−ジグリコールアミンなどの未反応原料および副生物は検出されなかった。
【0042】
得られたヤシ油脂肪酸ジグリコールアミドをクロロホルムに溶解し、この溶液を、五酸化リン71gをヘキサン中に分散して得られたスラリー中に滴下した。滴下終了後、反応混合物を60℃で5時間攪拌して、リン酸エステル化を行った。
【0043】
反応終了後、反応混合物に水を加えクエンチしたのち、減圧で溶媒を除去した。残渣を酢酸エチルで抽出してから、有機層を水で洗浄して、オルトリン酸を除去した。この反応生成物から酢酸エチルを減圧留去して、ヤシ油脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル170gを得た。これを水酸化カリウム水溶液で中和してヤシ油脂肪酸ジグリコールアミドリン酸カリウムを合成した(アニオン有効成分:30%)。
【0044】
1 H−NMRおよび31P−NMRの分析結果は以下の通りであった。
1 H−NMR(250 MHz 、D 2 O)
0.88ppm (3H,t,−CH3 )
1.29ppm (16H,br,−CH2 −)
1.60ppm (2H,t,−CH 2 −CH2 −CO−)
2.26ppm (2H,t,−CH2 −CO−)
3.40ppm (2H,t,−NH−CH 2 −)
3.67ppm (2H,t,−NH−CH2 −CH 2 −)
3.73ppm (2H,t,−CH 2 −CH2 −OP)
3.95ppm (2H,t,−CH2 −OP)
31 P−NMR(101 MHz ,D 2 O,内部標準:H 3 PO 4 )
−10.99ppm :0.95ppm =3:7
【0045】
また、特公昭58−8746に記載された方法に従って、水酸化カリウムで中和する前の生成物について、リン酸モノエステル、リン酸ジエステルおよびオルトリン酸含量を定量したところ、下記の結果が得られた。
リン酸モノエステル:68重量%
リン酸ジエステル:31重量%
オルトリン酸:1%
【0046】
実施例3(式(I)の化合物の製造)
オレイン酸メチル297gに、ジグリコールアミン106gおよびナトリウムメトキシド2gを加え、生成するメタノールを減圧下留去しながら加熱攪拌し(20mmHg、140℃、2時間)、オレイン酸ジグリコールアミド371gを調製した。この反応生成物について1 H−NMR(250MHz、CDCl3 )分析を行ったが、オレイン酸メチル、ジグリコールアミン、オレイン酸、N,O−ジオレイル−ジグリコールアミンなどの未反応原料および副生物は検出されなかった。
【0047】
得られたオレイン酸ジグリコールアミドをクロロホルムに溶解し、5℃に冷却し、これに、オキシ塩化リン酸230gを、温度を10℃以下を保ちながら1時間かけて滴下した。その後、室温で2時間リン酸エステル化反応を行った。
【0048】
反応終了後、発生した塩化水素、未反応オキシ塩化リンおよびクロロホルムを減圧で除去して、オレイン酸ジグリコールアミドリン酸エステル450gを得た。これをトリエタノールアミン水溶液で中和してオレイン酸ジグリコールアミドリン酸トリエタノールアミンを合成した(アニオン有効成分:30%)。
31P−NMR分析(101MHz,D2 O,内部標準:H3 PO4 )により、0.96ppm のシグナルのみが検出され、−10.99ppm は検出されなかったことから、得られたリン酸エステル化生成物には、リン酸ジエステルは含まれておらず、モノ(オレイン酸ジグリコールアミド)リン酸トリエタノールアミンのみであることが確認された。
【0049】
比較例1(モノ(ポリオキシエチレン(1E.O.)ラウリン酸モノエタノール アミド)リン酸エステルナトリウムの合成)
ラウリン酸メチル214gに、モノエタノールアミン62gとカセイソーダ0.4gとを加え、減圧下にメタノールを留去しながら加熱攪拌し(20mmHg、90℃、1時間)ラウリン酸モノエタノールアミドを合成した。これに、エチレンオキサイド44gを加え、圧力容器中で、1.5kg/cm2 ,140℃で110分反応させポリオキシエチレン(1E.O.)ラウリン酸モノエタノールアミドを調製した。
【0050】
これに、オキシ塩化リン酸230gを、温度を10℃に保ちながら滴下した。その後室温で2時間反応させリン酸エステル化した。
【0051】
反応終了後、発生した塩化水素、未反応オキシ塩化リンおびびクロロホルムを減圧で除去して、ポリオキシエチレン(1E.O.)ラウリン酸モノエタノールアミドリン酸エステル370gを得た。これを水酸化ナトリウム水溶液で中和してポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミドリン酸ナトリウムを合成した(アニオン有効成分:30%)。
【0052】
31P−NMR分析(101MHz,D2 O,内部標準:H3 PO4 )により、0.96ppm のシグナルのみが検出され、−10.99ppm は検出されなかったことから、得られたリン酸エステルには、ジエステルは含まれておらず、モノ(ポリオキシエチレン(1E.O.)ラウリン酸モノエタノールアミド)リン酸エステルナトリウムのみであることが確認された。
【0053】
比較例2(モノ(ラウリン酸モノエタノールアミド)リン酸エステルナトリウムの合成)
ラウリン酸モノエタノールアミド243gをクロロホルムに溶解し、5℃に冷却させ、これに、オキシ塩化リン230gを、温度を10℃以下に保ちながら1時間かけて滴下した。その後、室温で5時間反応させ、リン酸エステル化した。
【0054】
反応終了後、発生した塩化水素、未反応オキシ塩化リンおよびクロロホルムを減圧で除去して、ラウリン酸モノエタノールアミドリン酸エステル323gを得た。これを水酸化ナトリウム水溶液で中和してラウリン酸モノエタノールアミドリン酸ナトリウムを合成した(アニオン有効成分:30%)。
この製品は、放置によって、褐色不透明なペーストに変化した。
【0055】
洗浄剤組成物の調製
上記実施例1〜3、比較例1〜2、および下記比較対照市販品1〜2を用いて、各種洗浄剤組成物を調製した。
比較対照品1:モノドデシルリン酸エステルナトリウム
比較対照品2:ポリオキシエチレン(6)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドリン酸エステル
【0056】
尚、実施例1、比較例1〜2の反応生成物(製品)、および比較対照品2中のオキシエチレン基数(n)の分布を表1に示した。
その分析方法において、試料に2N−NaOH水溶液を加え室温で一晩攪拌して、リン酸エステル結合のみを加水分解し、遊離した有機層を酢酸エチルで抽出し、この抽出物を下記に示すような順相系のHPLCにより分析した。
【0057】
分析条件
カラム:LiChrosorb 5 Diol(4.6φ×250mm)
溶離液:n−ヘキサン/エタノール=86/14
流速:1.0ml/min
温度:40℃
検出:UV220nm
【0058】
【表1】
【0059】
実施例4〜13および比較例3〜10
実施例4〜13および比較例3〜10の各々において、表2および表3に示されている組成の洗浄剤を調製した。得られた製品を下記起泡力、洗浄力試験、泡のクリーミー性試験、官能試験、皮膚刺激試験、およびタンパク質変性試験に供した。
【0060】
これらの試験方法は下記のように行れわた。
1)起泡力試験
供試洗浄剤を、その活性剤純分が0.2%となるように蒸留水で希釈し、得られた洗浄剤水溶液の起泡力をJIS規格K3362記載の方法によって測定した。
評価の基準を次の通りに設定した。
◎…泡立ちが極めて良好、起泡力200mm以上
○…泡立ちが良好、起泡力170mm以上、200mm未満
△…泡立ちが普通、起泡力130mm以上、170mm未満
×…泡立ちが不良、起泡力130mm未満
【0061】
2)洗浄力試験
牛脂に、指示薬として0.1重量%のSudan III を添加し、その5gを磁製の皿(直径25cm)に塗布した。この皿を、供試洗浄剤の10重量%溶液30gをしみ込ませたスポンジでこすり洗いし、もはや皿より牛脂が洗浄できなくなるまでに洗浄された皿の枚数をもって洗浄力を表した。
【0062】
3)クリーミー性
泡のクリーミー性は、頭髪を2分し、左右にそれぞれ3gの標準試料と供試試料を施して泡立てた後、泡のクリーミー性を20名のテスターにより二点比較法による官能検査を行ない、下記の基準により統計処理を行なって評価判定した。なお、標準試料としては、ポリオキシエチレン(3E.O.)アルキルエーテル硫酸ナトリウム(C12/C13=1/1)の15%水溶液を用いた。
○…5%有意で試験試料の方が好ましい
△…有意差がない
×…5%有意で標準試料の方が好ましい
【0063】
4)官能(サッパリ感)の試験
20〜40歳のパネラー10名に、試料5mlを浴用スポンジに採ったものを用い、約40℃の温水で手および前腕部を3回ずつ洗浄させ、水ですすいだ時の官能評価を以下の基準で行い、さらに、自然乾燥させたのちの官能評価値の平均値を求めた。
官能評価
4点…ぬめり感が全くなく、サッパリしている
3点…ぬめり感がほとんどなく、サッパリしている
2点…ややぬめり感があり、サッパリ感がうすい
1点…明らかにぬめり感が残り、サッパリしない
評価表示の基準を以下の通りに設定した。
◎…平均値3.1〜4.0
○…平均値2.1〜3.0
△…平均値1.1〜2.0
×…平均値0〜1.0
【0064】
5)皮膚刺激(手荒れ)試験
テスター20名により1%供試洗浄剤溶液中に1日30分間、手を手首まで浸漬し、これを3日間繰り返し後、次の日に下記の基準で判定を行い、その平均点を求めた。
官能評価
3点…手が荒れなかった
2点…手が少し荒れた
1点…荒れた
評価表示の基準を次の通りに設定した。
◎…平均点2.1〜3.0
○…平均点1.1〜2.0
×…平均点0〜1.0
【0065】
6)タンパク質変性率試験
水系ゲル濾過高速液体クロマトグラフィーを使用し、卵白アルブミンpH7緩衝溶液に、試料濃度1%になるように試料を加えた場合の卵白アルブミンの220nm吸収ピークの高さを測定し、下記式から、卵白アルブミンの変性率を算出した。
変性率(%)=〔(Ho−Hs)/Ho〕×100
Ho:卵白アルブミンの220nm吸収ピークの高さ
Hs:卵白アルブミンの緩衝溶液に試料を加えた時の220nmの吸収ピークの高さ
評価の基準を次の通りに設定した。
◎ 卵白アルブミン変性率 30%未満
○ 卵白アルブミン変性率 30〜59%
△ 卵白アルブミン変性率 60〜79%
× 卵白アルブミン変性率 80%以上
【0066】
試験結果を表2および表3に示す。
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
実施例14
下記組成のコンディショニングシャンプーを調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0069】
実施例15
下記組成のパール状シャンプーを調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0070】
実施例16
下記組成の洗顔剤を調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0071】
実施例17
下記組成の透明フケ取りシャンプーを調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0072】
実施例18
下記組成のゲル状シャンプーを調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0073】
実施例19
下記組成のリンス一体型シャンプーを調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0074】
実施例20
下記組成のボディシャンプーを調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0075】
実施例21
下記組成の透明台所洗剤を調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0076】
実施例22
下記組成のシャンプーを調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0077】
実施例23
下記組成のシャンプーを調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0078】
実施例24
下記組成のシャンプーを調製し、実施例4と同一の試験に供した。
試験結果を表4に示す。
【0079】
【表4】
【0080】
【発明の効果】
本発明により、起泡力・洗浄力が優れ、泡量が豊富で均質がクリーミーで、また、すすぎ時のぬるつきやキシミ感がなく使用感に優れ、しかも、皮膚や毛髪に対する刺激が少なく、さらに製品安定性に優れた脂肪酸のジグリコールアミドリン酸エステルおよびその塩の製造が可能となり、またこの方法の製品を含む、上記すぐれた特性を有する洗浄剤組成物が提供される。
Claims (4)
- 下記一般式(I):
で示される脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル又はその塩を製造するために、
下記一般式(II) :
R1 COOR (II)
(但し、式(II) 中、R1 は前記規定の通りであり、Rはメチル基、エチル基、またはプロピル基を表す。)
で示される脂肪酸エステルと、ジグリコールアミンとを金属アルコキシドの存在下で縮合させて脂肪酸ジグリコールアミドを調製し、これとリン酸化剤とを反応させて脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルを調製し、
前記一般式(I)の化合物において、Mがアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基、アルカノールアミンのカチオン性残基又は塩基性アミノ酸のカチオン性残基である場合は、前記脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルに、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、アルカノールアミン、または塩基性アミノ酸からなる中和剤により中和する工程を施すことを特徴とする、脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル塩又はその塩の製造方法。 - 請求項1に記載の方法により得られ、かつ前記一般式(II) により示される脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルおよびその塩の少なくとも1種からなる成分(A)と、少なくとも1種の非イオン界面活性剤化合物からなる成分(Ba)とを含有することを特徴とする洗浄剤組成物。
- 請求項1に記載の方法により得られ、かつ前記一般式(II) により示される脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルおよびその塩の少なくとも1種からなる成分(A)と、少なくとも1種のアニオン界面活性剤化合物からなる成分(Bb)とを含有することを特徴とする洗浄剤組成物。
- 請求項1に記載の方法により得られ、かつ前記一般式(II) により示される脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステルおよびその塩の少なくとも1種からなる成分(A)と、少なくとも1種の両性界面活性剤化合物からなる成分(Bc)とを含有することを特徴とする洗浄剤組成物。
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JP32855993A JP3542153B2 (ja) | 1993-12-03 | 1993-12-24 | 脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル又はその塩を製造する方法およびその製品を含有する洗浄剤組成物 |
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JP5-304341 | 1993-12-03 | ||
JP32855993A JP3542153B2 (ja) | 1993-12-03 | 1993-12-24 | 脂肪酸ジグリコールアミドリン酸エステル又はその塩を製造する方法およびその製品を含有する洗浄剤組成物 |
Publications (2)
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