JP3920129B2 - 洗浄剤組成物 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、毛髪用洗浄剤、身体洗浄剤、洗顔剤、手指洗浄剤、食器洗い用洗浄剤等の洗浄剤組成物に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、皮膚や毛髪に適用後、洗い流して使用される毛髪用洗浄剤、身体洗浄剤洗顔剤等には、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等の洗浄基剤が主に用いられてきた。しかし、これらの主基剤だけでは泡立ちに劣るため、洗浄剤の泡立ちを高める目的で、モノエタノールアミドやジエタノールアミド等のアマイド類等が用いられている。
【０００３】
しかしながら、モノエタノールアミドは常温で固体であるため、製造時のハンドリング性に問題があるばかりか、低温保存時に結晶析出するなどの問題がある。又、ジエタノールアミドはニトロソアミンを生成する可能性が懸念されている。
【０００４】
一般に、増泡剤は界面活性剤との組み合わせによっては最適ｐＨ値が異なることが知られている。
【０００５】
ＪＡＯＣＳ ４８（１１），６７４−６７７（１９７１）には、Ｎ−ラウロイルメチルモノエタノールアミドがアルキル硫酸エステル塩の増泡剤として有効である事が記載されている。しかしながら、皮膚への刺激性やｐＨの記載はなく、保存時の安定性についても記載されていない。
【０００６】
また、ＵＳＰ４０７０３０９号には、アニオン性界面活性剤、ノニオン性増泡剤、アルキルフェノール誘導体からなるｐＨ７〜１０の組成物が記載されており、ノニオン性増泡剤の例として、Ｎ−ミリストイルメチルモノエタノールアミドが例示されている。しかし、この技術は、泡立ちと保存安定性の両方を同時に向上できるものではない。
【０００７】
また、特開平１０−３３０７８３号の実施例には、アミド硫酸エステル系界面活性剤とヤシ油脂肪酸Ｎ−メチルエタノールアミドの組み合わせが開示されている。しかしながら、この技術は、主洗浄剤基剤であるアミド硫酸エステル系界面活性剤の洗浄力や起泡性に基づく効果を開示するものであり、少量のヤシ油脂肪酸Ｎ−メチルエタノールアミドが添加されているのみで、皮膚への刺激が低く、且つ豊かな泡立ちを有する洗浄剤組成物を得るという認識は全くされていない。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、皮膚への刺激が低く、良好な泡立ちを有する洗浄剤組成物を、良好なハンドリング性のもと製造することが可能で、製品保存時の安定性にも優れた洗浄剤組成物を提供することである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特定構造を有するアミドアルコールが皮膚への刺激が低いとされる弱酸性領域でも増泡効果が高く、しかも製品保存時の安定性も向上させることを見いだした。
【００１０】
本発明は、（Ａ）下記一般式（１）で表されるアミドアルコール〔以下、（Ａ）成分という〕０．８〜２０重量％ならびに（Ｂ）アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種の界面活性剤〔以下、（Ｂ）成分という〕を含有し、２０倍希釈水溶液のｐＨ（２５℃）が４．５〜６．８である洗浄剤組成物に関する。
【００１１】
【化２】

【００１２】
〔式中、Ｒ¹ＣＯ−は炭素数６〜２４の水酸基を有していてもよい飽和又は不飽和のアシル基、Ｒ²は炭素数１〜３の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、Ｒ³は炭素数１〜６の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基あるいは炭素数２〜６の直鎖又は分岐鎖のアルケニレン基を示す。〕
【００１３】
本発明の洗浄剤組成物は製造時良好なハンドリング性のもとで製造でき、洗浄時の良好な泡立ちと、製品保存時の良好な安定性を有し、皮膚への刺激が低いため、毛髪用洗浄剤、身体洗浄剤、洗顔剤、手指洗浄剤等に最適である。
【００１４】
本発明の組成物はさらに（Ｃ）植物エキスを含んでもよい。（Ｃ）植物エキスを含有すると、保湿効果、抗炎症効果等、エキス特有の効果を付与しながら、処方の安定性が良くなる。
【００１５】
【発明の実施の形態】
（Ａ）成分の一般式（１）において、Ｒ¹ＣＯ−は炭素数８から１８の飽和又は不飽和アシル基が好ましい。Ｒ¹ＣＯ−は、例えば、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ドコサン酸、リノール酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ヤシ脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、等から誘導されるアシル基が好ましい。特に好ましくは、デカン酸、ドデカン酸、ヤシ脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸から誘導されるアシル基である。また、Ｒ²はメチル基が好ましく、Ｒ³はエチレン基が好ましい。
【００１６】
（Ａ）成分は、洗浄基剤の増泡効果、製品保存時の安定性の点から、本発明の洗浄剤組成物中に０．８〜２０重量％、好ましくは１〜１０重量％、更に好ましくは１〜５重量％含有される。
【００１７】
（Ｂ）成分のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤は、一般に香粧品用等として用いられているものから選ばれる。
【００１８】
このうち、アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸塩、Ｎ−アシルメチルタウリン塩、アシルグルタミン酸塩、アシロイル−β−アラニン塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルスルホコハク酸塩、脂肪酸塩等が挙げられる。中でも、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸塩が好ましく、更にはアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が増泡効果の点で好ましい。これらのアニオン性界面活性剤は１種以上を混合して用いることができる。アニオン性界面活性剤としては、下記一般式（２）で表されるものが特に好ましい。
Ｒ⁴−Ｏ−(ＣＨ₂ＣＨ₂Ｏ)_n−ＳＯ₃Ｍ （２）
〔式中、Ｒ⁴は炭素数１０〜１８の飽和又は不飽和炭化水素基を示す。ｎは０〜５の数、Ｍはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン、又は塩基性アミノ酸を示す。〕
【００１９】
一般式（２）中、ｎはエチレンオキサイド平均付加モル数（以下、ＥＯｐと表す）であり、０〜３であることが起泡性の点で好ましい。更に、１〜３であることが皮膚への刺激が低い点で好ましい。更に、全アニオン性界面活性剤中の一般式（２）で表されるアニオン性界面活性剤の比率が６０〜１００重量％であるのが好ましい。
【００２０】
また、ノニオン性界面活性剤としては、アルキルポリグリコシド、ポリオキシアルキレン（好ましくはエチレン）アルキル又はアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル及び（Ａ）成分以外の脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
【００２１】
また、両性界面活性剤としてはアルキルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドピロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、及びアミドアミノ酸（イミダゾリン系ベタイン）等が挙げられる。
【００２２】
（Ｂ）成分は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤から選ばれる１種以上を組み合わせて使用することができ、本発明洗浄剤組成中に合計で５〜５０重量％、更に１０〜３０重量％含有されると洗浄性の点から好ましい。特に、（Ｂ）成分中にアニオン性界面活性剤を含むことが好ましく、中でも前記一般式（２）で表されるアニオン性界面活性剤、すなわち特定のアルキル硫酸エステル塩及び又はポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を含有することが、起泡性の点で好ましい。なお、界面活性剤としては、（Ｂ）成分以外に、更にカチオン性界面活性剤を使用することもできる。
【００２３】
（Ｃ）成分の植物エキスとは、一丸ファルコス株式会社から販売されている植物系抽出エキス等が挙げられ、例えばアロエ、アロエベラ、イチョウ、ウイキョウ、海藻、カッコン、カミツレ、キウイ、キュウリ、ヘチマ、クチナシ、コメヌカ、モモ、ユズ、ハトムギ等が挙げられる。
（Ｃ）成分の植物エキスは組成物中に０．００１〜１０重量％、特に０．００５〜５重量％、更に０．０１〜３重量％含有されるのが、安定性、保湿効果の点から好ましい。
【００２４】
本発明の洗浄剤組成物は、健常な人の肌のｐＨに近いという点で、その２０倍希釈水溶液のｐＨ（２５℃）が４．５〜６．８、好ましくは５．５〜６．８である。
【００２５】
本発明の洗浄剤組成物は製造時良好なハンドリング性のもとで製造でき、洗浄時の良好な泡立ちと、製品保存時の良好な安定性を有し、皮膚への刺激が低いため、毛髪用洗浄剤、身体洗浄剤、洗顔剤、手指洗浄剤等に最適である。
【００２６】
本発明の洗浄剤組成物には、高級アルコール、ラノリン、シリコーン等の油剤；カチオン化セルロース、カチオン化グアガム、マーコート５５０（メルク社）等のカチオン化ポリマー；メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、多糖類（キサンタンガム）等の水溶性高分子；グリセリン、ソルビトール、エタノール等の溶解助剤；エチレンジアミン四酢酸（ＥＤＴＡ）、ホスホン酸塩類等のキレート剤；パラベン類、安息香酸等の防腐剤；グリチルリチン酸ジカリウム、アラントイン等の消炎剤；塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、トリクロカルバン、オクトピロックス、ジンクピリチオン等の殺菌剤や抗フケ剤；ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤；エチレングリコールジステアレート等のパール化剤；その他紫外線吸収剤；リンゴ酸、クエン酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のｐＨ調整剤；色素；香料等を適宜配合することができる。
【００２７】
また、本発明の洗浄剤組成物は、固体、液体、ペースト状等、いずれの剤型にすることもできる。
【００２８】
【実施例】
実施例１ シャンプー

＊ｐＨ調整剤：当該シャンプーの５重量％水溶液（２０倍希釈液）のｐＨ（２５℃）が６．０となるように用いた。
【００２９】
実施例２ 身体洗浄料

＊ｐＨ調整剤：当該身体洗浄料の５重量％水溶液（２０倍希釈液）のｐＨ（２５℃）が５．７となるように用いた。
【００３０】
実施例３ 洗顔料

＊ｐＨ調整剤：当該洗顔料の５重量％水溶液（２０倍希釈液）のｐＨ（２５℃）が６．０となるように用いた。
【００３１】
上記実施例１〜３の洗浄剤組成物は、何れも通常の方法で製造した。得られた洗浄剤組成物は、何れも使用時良好な起泡性を有し、肌に低刺激で、保存時の安定性にも優れたものであった。
【００３２】
実施例 ４ ハンドソープ

＊ｐＨ調整剤：当該シャンプーの５重量％水溶液（２０倍希釈液）のｐＨ（２５℃）が６．０となるように用いた。
【００３３】
実施例５
表１に示す組成の洗浄剤組成物を常法により製造し、その起泡性、保存安定性、肌への刺激を評価した。
【００３４】
（１）起泡性（泡立ち）
表１記載の各洗浄剤組成物について、男女各５人のパネラーに身体を洗浄させ、その際の起泡力の官能評価を以下の基準で行った。
５：起泡力が良いと感じた。
４：起泡力がやや良いと感じた。
３：起泡力が普通と感じた。
２：起泡力があまり良くないと感じた。
１：起泡力が良くないと感じた。
【００３５】
結果はパネラー１０名の平均値を、以下の基準により起泡力として表した。
◎：平均値が４．０以上（良好）
○：平均値が３．２〜３．９（やや良好）
△：平均値が２．５〜３．１（普通）
×：平均値が２．４以下（不良）。
【００３６】
（２）保存安定性
表１記載の各洗浄剤組成物を０℃で保存し、製造直後と比較した時の外観を、以下の基準で評価した。
○：製造直後と比較して外観が２０日以上変化なし
△：製造直後と比較して外観が７日〜１９日後に変化する
×：製造直後と比較して外観が０日〜６日後に変化する。
【００３７】
（３）皮膚への刺激（肌への刺激）
刺激性：
各洗浄剤組成物の５倍希釈水溶液を調製し、この水溶液１０ｍＬを、１５名の専門パネラーの前腕に設置した直径３．５ｃｍのガラスカップにとり、１日３０分間皮膚と接触させた。これを３日間連続して行った後、皮膚の状態を以下の基準で評価した。
○：落せつが認められるのは８名以下。
△：落せつが認められるのは９名以上であるが、紅斑は認められない。
×：９名以上に落せつ及び紅斑が認められる。
【００３８】
【表１】

【００３９】
【発明の効果】
本発明の洗浄剤組成物は製造時良好なハンドリング性のもとで製造でき、洗浄時の良好な泡立ちと、製品保存時の良好な安定性を有し、皮膚への刺激が低いため、毛髪用洗浄剤、身体洗浄剤、洗顔剤、手指洗浄剤等に最適である。

Claims (5)

1. (Ａ）下記一般式（１）で表されるアミドアルコール０．８〜２０重量％ならびに（Ｂ）アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種の界面活性剤を含有し、２０倍希釈水溶液のｐＨ（２５℃）が４．５〜６．８である洗浄剤組成物。
   

   

   〔式中、Ｒ¹ＣＯ−は炭素数６〜２４の水酸基を有していてもよい飽和又は不飽和のアシル基、Ｒ²は炭素数１〜３の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、Ｒ³は炭素数１〜６の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基あるいは炭素数２〜６の直鎖又は分岐鎖のアルケニレン基を示す。〕
2. （Ｂ）界面活性剤が少なくとも一種のアニオン性界面活性剤である請求項１記載の洗浄剤組成物。
3. （Ｂ）界面活性剤が下記一般式（２）で表されるアニオン性界面活性剤である請求項１又は２記載の洗浄剤組成物。
   Ｒ⁴−Ｏ−(ＣＨ₂ＣＨ₂Ｏ)_n−ＳＯ₃Ｍ （２）
   〔式中、Ｒ⁴は炭素数１０〜１８の飽和又は不飽和炭化水素基を示す。ｎは０〜５の数、Ｍはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン、又は塩基性アミノ酸を示す。〕
4. 一般式（２）で表わされるアニオン性界面活性剤の比率が全アニオン性界面活性剤中６０〜１００重量％である請求項３記載の洗浄剤組成物。
5. 更に（Ｃ）植物エキスを含む請求項１〜４項いずれかに記載の洗浄剤組成物。