JP3541699B2 - エバポパージシステムの故障診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料タンク内に発生する蒸散燃料が大気中に放出されるのを防止するためのエバポパージシステムの故障を診断する、故障診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車等の車両に装備される燃料タンク内に発生する蒸散燃料が大気中に放出されるのを防止すべく、エバポパージシステムが採用されている。
エバポパージシステムは、例えば図6に示すように、燃料タンク1内の蒸散燃料(ベーパ)をベーパ通路2を通してキャニスタ3内に吸着させ、このキャニスタ3内に吸着された蒸散燃料を所定条件下でパージ通路4を通して内燃機関5の吸気通路6へ放出(パージ)するように構成されている。
【0003】
このため、パージ通路4にはパージ通路4を開閉するパージソレノイド7が介装されている。
また、図6に示すエバポパージシステムには、システムの故障診断装置に対応できるように、キャニスタ3にベントソレノイド8が取り付けられている。
そして、これらのパージソレノイド7及びベントソレノイド8はECU11からの制御信号に基づいて開閉制御されるようになっている。
【0004】
さらに、燃料タンク1には、タンク内の圧力を検出する圧力センサ10が取り付けられ、圧力センサ10からの検出情報はECU11へ送られるようになっている。
また、上記の故障診断装置は、エバポパージシステムのリークを検出し、蒸散燃料が大気中に放出するのを防止するためのものである。
【0005】
このような故障診断装置による故障診断の際に、まずエバポパージシステムのパージソレノイド7を開状態とし、ベントソレノイド8を閉状態とすることにより燃料タンク1,ベーパ通路2及びパージ通路4の燃料タンク1から吸気通路6までの経路を所定負圧状態とした後に、パージソレノイド7を閉状態としてこの経路を閉塞し、この状態で燃料タンク1の内圧を測定し、その圧力変化に基づいてエパポパージシステムの故障判定を行なうようになっている。
【0006】
なお、このようなエバポパージシステムの故障診断装置としては、例えば特開平7−91332号公報,特開平8−296509号公報,特許第2745966号公報に開示された技術がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、エバポパージシステムから微量のリーク(例えばφ0.5mm穴相当のリーク)をも検出することが求められる傾向にあるが、上述の手法では、特に、燃料の蒸散による燃料タンク内圧力上昇量ΔPが、燃料温度や燃料残量の影響を受けて大きく変化するため、微量のリークに対して、正確に故障を検知することが難しく、誤判定を招く虞がある。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、微量のリークしか生じないような故障の場合であっても、誤判定することなく、故障判定を正確且つ確実に行なえるようにした、エバポパージシステムの故障診断装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明のエバポパージシステムの故障診断装置では、経路内圧変更手段により燃料タンクから吸気通路までの経路内を所定内圧状態として閉塞した状態で、圧力検出手段により経路内の圧力が検出される。また、燃料残量検出手段により燃料タンク内の燃料残量が検出されるとともに、Gセンサにより車両の傾きが推測される。そして、燃料残量補正手段によって、Gセンサにより推定された車両の傾きに応じて燃料残量検出手段により検出された燃料残量が補正される。さらに、温度検出手段により燃料タンク内の燃料温度が検出される。また、圧力検出手段により検出される検出圧力又は故障診断用判定値は、補正手段によって燃料残量補正手段及び温度検出手段からの検出情報に基づいて補正される。そして、判定手段が、温度検出手段により検出された燃料温度が所定温度よりも小さい場合に、補正手段により補正された補正検出圧力と故障診断用判定値とを比較して又は補正手段により補正された補正故障診断用判定値と検出圧力とを比較してエバポパージシステムの故障を判定する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の一実施形態にかかるエバポパージシステムの故障診断装置について、図1〜図5を参照しながら説明する。
本実施形態にかかるエバポパージシステムは、図1に示すように、自動車等の車両に装備される燃料タンク1内に発生する蒸散燃料(ベーパ)が大気中に放出されるのを防止するためのもので、燃料タンク1からの蒸散燃料をベーパ通路2を通してキャニスタ3内に吸着させ、このキャニスタ3内に吸着された蒸散燃料を所定条件下でパージ通路4を通して内燃機関5の吸気通路6へ放出(パージ)するように構成されている。
【0011】
このため、パージ通路4にはパージ通路4を開閉するパージソレノイド7が介装されており、キャニスタ3には故障診断時に用いるベントソレノイド8が取り付けられている。
そして、パージソレノイド7を開放し、ベントソレノイド8を閉鎖すると、燃料タンク1はベーパ通路2,パージ通路4を介して吸気通路6と連通するため、吸気通路6内の負圧の作用で燃料タンク1内は減圧される。一方、パージソレノイド7を閉鎖し、ベントソレノイド8を開放すると、燃料タンク1内は大気圧程度に増圧し、パージソレノイド7,ベントソレノイド8を共に閉鎖すると、燃料タンク1内の燃料の蒸散により、燃料タンク1内は大気圧以上に増圧する。
【0012】
このため、パージソレノイド7,ベントソレノイド8は燃料タンク1から吸気通路6までの経路内を所定内圧状態とする経路内圧変更手段21として機能するようになっている。
そして、これらのパージソレノイド7及びベントソレノイド8はECU11からの制御信号に基づいて開閉制御されるようになっている。
【0013】
また、燃料タンク1には燃料レベルセンサ(燃料残量検出手段)9が取り付けられており、タンク内の燃料残量を検出できるようになっている。また、燃料タンク1には圧力センサ(圧力検出手段)10が取り付けられており、タンク内圧力を検出できるようになっている。そして、これらの燃料レベルセンサ9及び圧力センサ10からの検出情報はECU11へ送られるようになっている。
【0014】
このように構成されるエバポパージシステムに、エバポパージシステムの故障により蒸散燃料が大気中に放出するのを防止すべく、エバポパージシステムのリーク故障を検知する故障診断装置が備えられている。
この故障診断装置は、経路内圧変更手段21により燃料タンク1から吸気通路6までの経路内を所定内圧状態として閉塞した状態でこの経路内の圧力を検出する圧力センサ(圧力検出手段)10と、燃料タンク1内の燃料残量を検出する燃料レベルセンサ(燃料残量検出手段)9と、燃料タンク1内の燃料温度を検出する燃料温度センサ(温度検出手段)20と、リーク判定値(故障診断用判定値)を燃料レベルセンサ9及び燃料温度センサ20からの検出情報に基づいて補正し、補正された補正故障診断用判定値と検出圧力とを比較してエバポパージシステムの故障を判定するECU11とを備えて構成される。
【0015】
そして、故障診断装置では、図5に示すように、まずベントソレノイド8を閉状態とした上でエバポパージシステムのパージソレノイド7を開状態とする。この状態を所定期間▲1▼だけ継続することにより燃料タンク1,ベーパ通路2及びパージ通路4の燃料タンク1から吸気通路6までの経路内を所定負圧状態として、この後に、パージソレノイド7を閉状態としてこの経路を閉塞する。この状態を所定期間▲2▼だけ継続させて、この間の燃料タンク1の内圧の変化を測定する。そして、所定期間▲2▼における燃料タンク内圧力上昇量ΔPに基づいてエパポパージシステムの故障判定を行なうようになっている。
【0016】
具体的には、ベントソレノイド8は、図5(a)に示すように、故障診断を行なう場合は閉状態とされるようになっている。
また、パージソレノイド7は、図5(b)に示すように、故障診断を行なう場合はまず閉状態とされ、所定時間経過後に開状態とされて、所定負圧状態となるまで燃料タンク1の内圧が低下したら再び閉状態とされるようになっている。
【0017】
このようにしてベントソレノイド8及びパージソレノイド7が制御されると、燃料タンク1の内圧は、図5(c)中、▲1▼で示す期間では、吸気通路6、即ちインテークマニホールド内の負圧により燃料タンク1の内圧が十分に減圧されて所定負圧状態となり、図5(c)中、▲2▼で示す期間では、図5(c)中、実線で示すように、燃料タンク1の内圧は徐々に上昇していき、燃料タンク内圧力上昇量はΔPとなり、その後、燃料タンク1の内圧は上昇して大気圧に復帰することになる。
【0018】
ここで、▲2▼で示す期間の燃料タンク内圧力上昇量ΔPは、システムの故障によりリークがあると一般には大きくなるが、タンク内の燃料温度やタンク内の燃料残量によっても大きく変化するため、本装置ではこれらを考慮して判定を行なうようになっている。
そこで、本実施形態では、図1に示すように、燃料タンク1内には燃料温度を検出する燃料温度センサ20が配設されている。この燃料温度センサ20は、燃料タンク1内の図示しない燃料ポンプに取り付けても良いし、燃料レベルセンサ9に取り付けても良い。
【0019】
そして、本故障診断装置に備えられるECU11では、燃料レベルセンサ9,圧力センサ10,燃料温度センサ20からの検出情報に基づいてリーク故障を生じているか否かの判定を行なうようになっている。また、この故障判定の際には、ECU11はパージソレノイド7及びベントソレノイド8の開閉制御も行なうようになっている。
【0020】
このように、本実施形態では、エバポパージシステムの故障診断において燃料温度による影響及び燃料残量による影響を考慮するようにしているが、これは、従来の故障診断装置のように燃料タンク内圧のみで故障の有無を判定するのでは、例えばφ0.5mm穴相当の少ないリークしか生じないような故障を検知するのは難しいからである。
【0021】
ここで、図2は燃料温度による影響を示す図であり、図2中、実線Aで示すように、タンク内燃料温度によってタンク内圧力上昇量が異なり、タンク内燃料温度が高くなるほどタンク内圧力上昇量が大きくなることがわかる。なお、実線Aはリーク故障がない場合のタンク内圧力上昇量を示している。
一方、図2中、実線Bは例えばφ0.5mm穴相当の少ないリークしか生じないような故障の場合のタンク内燃料温度に応じたタンク内圧力上昇量を示している。これによれば、蒸発燃料によるタンク内圧力上昇量(実線A)は、所定温度T(例えば30〜35℃)以上では例えばφ0.5mm穴相当の少ないリークしか生じないような故障の場合のタンク内圧力上昇量(実線B)を上回ることがわかる。
【0022】
このため、所定温度Tを故障判定の際のタンク内圧力上昇量のモニタの上限温度として設定し、燃料温度が所定温度Tよりも小さい場合にはモニタを続行する一方、燃料温度が所定温度T以上である場合はモニタを中止するようになっている。なお、所定温度Tは必ずしも固定値とする必要はなく、必要に応じて可変としても良い。また、タンク内圧力上昇量ΔPのモニタについては後述する。
【0023】
また、図3はリーク故障がない場合のタンク内燃料残量に応じたタンク内圧力上昇量を示している。なお、図3中、実線Cは燃料レベルが燃料タンク1の60%の場合を示しており、実線Dは燃料レベルが燃料タンク1の40%の場合を示している。
図3によれば、たとえタンク内燃料温度に応じた蒸発燃料量が同じであっても、タンク内燃料残量によりタンク内圧力上昇量が異なり、タンク内燃料残量が多いほどタンク内圧力上昇量が大きくなることがわかる。
【0024】
このため、本実施形態では、タンク内圧力上昇量でリーク故障の判定を行なう場合、タンク内燃料温度Tt 及びタンク内燃料残量Qt に基づいてリーク判定値ΔPS を補正するようにしている。
つまり、本実施形態では、タンク内圧力上昇量ΔPをリーク判定値ΔPS と比較することにより故障判定を行なうが、リーク判定値ΔPS は、タンク内燃料温度Tt 及びタンク内燃料残量Qt がそれぞれ基準温度T0 ,基準残量Q0 の場合の基準リーク判定値ΔP0 に対して、タンク内燃料温度Tt 及びタンク内燃料残量Qt に応じた補正を施すことにより、例えば次式のようにリーク判定値ΔPS を決定するようになっている。なお、C1 は補正量、C2 は補正係数である。
【0025】
ΔPS =ΔP0 +C1 (Tt ,Qt )
又は、ΔPS =ΔP0 ・C2 (Tt ,Qt )
本実施形態では、図2に示すように、タンク内燃料温度Tt が高いほど蒸発燃料量が多くなり、これによりタンク内圧力上昇量ΔPが大きくなるため、これを考慮して、タンク内燃料温度Tt が高いほどリーク判定値ΔPS が大きい値となるように基準リーク判定値ΔP0 が補正される。
【0026】
また、本実施形態では、図3に示すように、タンク内燃料残量Qt が多いほどタンク内圧力上昇量ΔPが大きくなるため、これを考慮して、タンク内燃料残量Qt が多いほどリーク判定値ΔPS が大きい値となるように基準リーク判定値ΔP0 が補正される。
そして、ECU11は、タンク内圧力上昇量ΔPが、上述のようにして算出された補正リーク判定値よりも大きいか否かを判定し、タンク内圧力上昇量ΔPが補正リーク判定値よりも大きい場合はリーク故障が生じているとしてマルチファンクションインジケータランプ(MIL)を点灯させるべく信号を出力するようになっている。
【0027】
また、本実施形態では、このような故障判定は、燃料のスロッシングの影響が少ない運転領域(例えば停止中等のアイドル運転領域)において行なうようになっており、このような運転領域になった場合に故障判定時のタンク内圧力上昇量のモニタを開始するようになっている。このように、スロッシングの影響が少ない運転領域であることを条件としているのは、この状態以外の場合は燃料が蒸発しやすく、密閉された燃料タンク内の圧力を上昇させることになるため、正確に故障診断を行なうことができないからである。
【0028】
このため、モニタ開始条件として、スロッシング状態(車両の動きにより燃料タンク内の燃料がバシャバシャとかき回される状態をいう)でないことが条件とされ、具体的には、▲1▼車両が停止中であり、且つ、エンジンがアイドル状態である場合、▲2▼車両が所定車速以下の定速走行状態であり、且つ、加減速がない場合、▲3▼車両が高速道路走行状態であり、且つ、加減速がない場合、のいずれかが成立することが条件とされる。
【0029】
なお、条件▲2▼,▲3▼において、加減速がないことは、例えば、ブレーキが踏み込まれていないこと(ブレーキスイッチがオンでないこと)、且つ、アクセル開度の時間変化率が所定値以下であることとして規定することができる。
また、このスロッシングの影響が少ない運転領域になったかどうかは、エンジン回転数Ne及びエンジン負荷Peにより推定されるようになっている。
【0030】
次に、本故障診断装置による故障判定について、図4に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、この故障判定は一定の周期毎に行なわれる。
つまり、図4に示すように、まずステップS10で、エンジン回転数Ne,エンジン負荷Neを読み込み、ステップS20に進んで、前述のようなモニタ開始条件が成立しているかどうかを判断する。
【0031】
そして、この判断の結果、モニタ開始条件が成立していると判定された場合は、故障診断を行なうべく、ステップS30に進み、モニタ開始条件が不成立と判定された場合は、故障診断を行なわない。
次いで、ステップS30では、燃料温度センサ20により計測された燃料温度を読み込み、ステップS40で、燃料温度が所定温度Tよりも小さいか否かを判定する。
【0032】
この判定の結果、燃料温度が所定温度Tよりも小さくなければ故障診断を行なわないが、燃料温度が所定温度Tよりも小さい場合はステップS50に進み、圧力センサ10により計測されたタンク内圧力を読み込み、ステップS60で、このタンク内圧力に基づいてタンク内圧上昇量ΔPを算出する。
次に、ステップS70で、燃料レベルセンサ9により計測される燃料残量を読み込み、ステップS80で、所定のリーク判定値を補正して補正リーク判定値Lを算出する。
【0033】
ここで、リーク判定値の補正としては、具体的には、ステップS30で読み込まれた燃料温度による補正と、ステップS70で読み込まれた残量燃料量による補正とが行なわれる。
そして、所定のマップにより、燃料温度や残量燃料量によるタンク内圧上昇量が大きいと判断された場合はリーク判定値が高くなるようにリーク判定値を補正して補正リーク判定値Lを算出する。一方、燃料温度や残量燃料量によるタンク内圧上昇量が小さいと判断された場合はリーク判定値が低くなるようにリーク判定値を補正して補正リーク判定値Lを算出する。
【0034】
次いで、ステップS90で、タンク内圧上昇量ΔPが補正リーク判定値Lよりも小さいか否かを判定し、この判定の結果、タンク内圧上昇量ΔPが補正リーク判定値よりも小さいと判定した場合はリーク故障なしと判定し、タンク内圧上昇量ΔPが補正リーク判定値よりも大きいと判定した場合はリーク故障ありと判定する。
【0035】
そして、リーク故障ありと判定した場合には、ステップS100に進み、マルチファンクションインジケータランプ(MIL)を点灯させて警告処理を行なう。一方、リーク故障なしと判定した場合は、警告処理は不要であり行なわない。
したがって、本エバポパージシステムの故障診断装置によれば、燃料タンク1内の燃料温度及び燃料残量の影響を考慮することにより、タンク内圧力上昇量がリーク故障によるものか、あるいは燃料温度や燃料残量により蒸散燃料の増えたことによるものかの判別を確実に行なえるようになる。これにより、特に少ないリーク、例えばφ0.5mm穴相当のリークしか生じない場合であっても、誤判定することなく、確実にリーク故障を検知することができ、故障判定を正確且つ確実に行なえるという利点がある。
【0036】
なお、上述の実施形態のものに、さらにGセンサを設けて、Gセンサを用いて車両の傾きを推測して、これに基づいて燃料レベルセンサ9の検出値を補正するようにしても良い。このようにGセンサを用いることは、例えば車両がスロープに停車している場合等に特に有効である。つまり、例えば車両がスロープに停車している場合等には燃料レベルセンサ9が示す燃料残量と実際の燃料残量とが異なる場合があるため、燃料レベルセンサ9の検出値をGセンサの検出値に応じて補正することは特に有効である。
【0037】
また、上述の実施形態では、燃料温度による影響及び燃料残量による影響を考慮して、故障判定に用いるリーク判定値を補正するようにしているが、これに限られるものではなく、ECU11の補正手段によって圧力センサ10により検出される検出圧力や検出圧力に基づいて算出されたタンク内圧上昇量ΔPを燃料温度や燃料残量に基づいて補正し、ECU11の判定手段により補正された補正検出圧力とリーク判定値とを比較して故障判定を行なうようにしても良い。
【0038】
また、上述の実施形態では、燃料タンク1から吸気通路6までの経路内を所定負圧状態にして故障診断を行なうようにしているが、燃料タンク1から吸気通路6までの経路内を所定正圧状態にして故障診断を行なうようにしても良い。
【0039】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のエバポパージシステムの故障診断装置によれば、例えば車両がスロープに停車している場合等で燃料残量検出手段の検出値が示す燃料残量と実際の燃料残量とが異なる場合であっても、誤判定することなく、確実に故障判定を行なうことができ、精度の高い故障診断が可能となるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるエバポパージシステムの故障診断装置を模式的に示す全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるエバポパージシステムの故障診断装置における燃料温度による補正を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるエバポパージシステムの故障診断装置における燃料残量による補正を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるエバポパージシステムの故障診断装置における故障判定を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態にかかるエバポパージシステムの故障診断装置における故障診断を説明するためのタイムチャートであり、(a)はベントソレノイドの開閉制御状態、(b)はパージソレノイドの開閉制御状態、(c)は燃料タンクの内圧変化を示している。
【図6】従来のエバポパージシステムの故障診断装置を模式的に示す全体構成図である。
【符号の説明】
1 燃料タンク
2 ベーパ通路
3 キャニスタ
4 パージ通路
7 パージソレノイド(経路内圧変更手段)
8 ベントソレノイド(経路内圧変更手段)
9 燃料レベルセンサ(燃料残量検出手段)
10 圧力センサ(圧力検出手段)
11 ECU(判定手段,補正手段)
20 燃料温度センサ(温度検出手段)
Claims (1)
- 燃料タンクからの蒸散燃料をベーパ通路を通してキャニスタ内に吸着させ、所定条件下でキャニスタ内に吸着された蒸散燃料をパージ通路を通して内燃機関の吸気通路へ導入するエバポパージシステムの故障診断装置において、
上記燃料タンクから上記吸気通路までの経路内を所定内圧状態とする経路内圧変更手段と、
上記経路内圧変更手段により上記経路内を所定内圧状態として閉塞した状態で上記経路内の圧力を検出する圧力検出手段と、
上記燃料タンク内の燃料残量を検出する燃料残量検出手段と、
車両の傾きを推測するGセンサと、
上記Gセンサに基づき推定された車両の傾きに応じて上記燃料残量検出手段により検出された燃料残量を補正する燃料残量補正手段と、
上記燃料タンク内の燃料温度を検出する温度検出手段と、
上記圧力検出手段により検出される検出圧力又は故障診断用判定値を上記燃料残量補正手段及び上記温度検出手段からの検出情報に基づいて補正する補正手段と、
前記温度検出手段により検出された燃料温度が所定温度よりも小さい場合に、上記補正手段により補正された補正検出圧力と上記故障診断用判定値とを比較して又は上記補正手段により補正された補正故障診断用判定値と上記検出圧力とを比較して上記エバポパージシステムの故障を判定する判定手段とを備えたことを特徴とする、エバポパージシステムの故障診断装置。
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