JP3541247B2 - 電子部品の切断搬送装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数個の電子部品と一体的に成形された薄形のフィルムシートの搬送時、該フィルムシートから電子部品を抜き取る電子部品の切断搬送装置に係り、特に、チップサイズからなる小型かつ薄型の電子部品を打ち抜くときのフィルムシートの搬送作業や、電子部品の抜き取りを的確に行うのに好適な電子部品切断搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、薄い帯状板に複数個の薄形電子部品を一体的に設けてシートを形成した後、これら電子部品を有するシートを搬送経路上に搬送すると、シートからの電子部品の抜き取り工程,抜き取られた電子部品の検査工程,電子部品を全て抜き取った後の空のシートの排出工程,検査済み電子部品のトレイへのセット工程を自動的に行う切断搬送装置が実用に供されている。
【0003】
この場合、薄いシートとしては、厚さ0.15mm程度の銅製の板からなり、その帯状シートの所定部分に長さ方向に沿い電子部品を複数個一体的に形成されている。
【0004】
電子部品の抜き取り工程においては、一枚のシートがプレスステーションに搬入され、そのシートに形成されている複数個の電子部品がプレス位置に順次位置決めされることにより、プレス装置にて逐次抜き取られる。その際、プレスステーションには、電子部品を抜き取ったときに発生する切断カスを捕集するための集塵手段が設けられている。
【0005】
検査工程においては、シートから抜き取られた電子部品が搬入すると、この電子を個々に検査し、その検査結果、良品か不良品かを判定する。そして、不良品と判定したものが廃棄される一方、良品と判定された電子部品の各々は、移送手段によって把持されてセット工程まで移動し、該セット工程において収納トレイにセットされることとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年では、電子部品のより高集積化及びより小型軽量化が一段と進んでおり、それに伴ないシートも変更することが要請されている。そこで、QFPタイプのパッケージからCSPタイプのパッケージへ変更するに伴い、シートも銅製のものから極めて薄い樹脂製のフィルムシートに変えて製作した。
【0007】
しかしながら、従来技術の切断搬送装置において、フィルムシートとして例えば0.04mm程度の厚さをなす柔軟な合成樹脂で成形し、これにCSPタイプの電子部品を一体的に形成して搬送した場合、以下に述べる問題が発生する。
【0008】
即ち、電子部品を有するフィルムシートは、プレスステーションまで搬送したとき、プレス部にて打ち抜き加工するため、位置決めピンによって位置決めされ、かつ押さえ板によってシートのジャム,変形を防ぐようにしているが、前述の如くフィルムシートが極めて薄い樹脂製のものであると、電子部品を打ち抜く場合、位置決めピンがフィルムシートに穿設されたパイロット穴に正確に挿入し難く、その結果、電子部品を正確に打ち抜きすることができない問題がある。
【0009】
また、フィルムシートから電子部品をプレス部にて打ち抜き加工したとき、そのときに発生するカスを集塵手段によって集塵するようにもしている。しかしながら、フィルムシートが前述の如く薄くて柔軟性をもっていて腰の弱いものであるから、切断カスを吸引できる程度の吸引力まで上げてしまうと、搬送中のフィルムシートおよび電子部品が引っ張られてしまい、搬送ジャムが発生する問題がある。一方、フィルムシート,電子部品が吸引されない程度の吸引力まで下げると、切断カスが殆ど集塵されず、打ち抜かれた電子部品に付着してしまい、製品キズ,打痕の原因となる問題がある。
【0010】
さらに、極めて薄い樹脂製のフィルムシートから電子部品を全て抜き取ってしまい、空になっているフィルムシートを排出しようとして搬送すると、フィルムシートがあまりにも薄くかつ柔軟なため、全ての電子部品を抜き取られてしまうと不定形に変形してしまい、そのため、空になっているフィルムシートを排出するために搬送しようとしても、上手く搬送できない問題がある。
この場合、電子部品抜き取り後のフィルムシートを排出する手段としては、該フィルムシートをそのまま搬送レールの終端部を通ってシュート上に排出すること、あるいは搬送レール上からハンド手段によりチャックして持ち上げることにより排出することが容易に考えられる。しかし何れの場合でも、フィルムシートが薄すぎて軟弱なものであるばかりでなく、電子部品が打ち抜かれることによって不定形に変形してしまうので、搬送レールから排出する場合には、フィルムシートを搬送レールの終端部までスムースに搬送することが困難となり、またチャックして持ち上げる場合には、チャック部で把持した後でそれを開放すると、静電気の影響によりチャック部に付着したままとなってしまい、特に冬場のような乾燥期では発生する度合いが大きくなってしまう。
【0011】
また、フィルムシートが薄すぎて柔軟であると、前述の如く電子部品を抜き取ってからの排出作業ができにくくなるばかりでなく、電子部品を抜き取る前の搬送作業においても良好な搬送を行うことができない問題がある。
即ち、従来技術では、フィルムシートの搬送時、該フィルムシートの両側に穿設されたパイロット穴に搬送ピンを挿入し、その挿入状態で搬送ピンを定量ピッチで移動することによりフィルムシートを搬送する。その場合、搬送ピンは、フィルムシートに穿設されている後方のパイロット穴に挿入し、フィルムシートを後側から押し出す形態となっている。従って、後側からフィルムシートを押し出すよう定量ピッチで搬送すると、フィルムシートが銅製のものと異なり、腰の弱い柔軟なものであることから、搬送ジャムが発生してしまい、フィルムシートをプレスステーションまで良好に搬送することができない問題がある。
【0012】
またさらに、トレイのセット工程では移送手段に設けられた真空吸着機構が、複数個の電子部品をそれぞれ同時に吸着し、その吸着状態でトレイの所望位置に移動した時点で、真空吸着を解除すると同時に、正圧の空気を排気させることにより、複数個の電子部品をトレイの所定位置にそれぞれセットするようにしている。
その際、真空吸着機構として、吸着パットによって電子部品を吸着するために正圧流路負圧流路とを切り替える正・負圧方向切替弁が、それぞれの吸着パット毎に設けられると共に、それぞれの正・負圧方向切替弁に対し流量調整弁を介し真空解除バルブが設けられ、電子部品を吸着している吸着パットに対し排気させ、電子部品を収容トレイの所望位置にそれぞれセットしたとき、真空解除バルブにより、排気状態を直ちに停止して該排気状態と真空吸着がない状態とし、これによりセットされた電子部品が収容トレイから吹き飛ばされることがないようにしている。
【0013】
しかしながら、真空解除バルブがそれぞれの正・負圧方向切替弁対応の数だけ設ける必要があるので、部品点数が多くなり、それだけコストが高くつく問題がある。また、正圧空気を供給する配管経路として、正圧の空気源から真空解除バルブ,流量調整弁,正・負圧切替弁を経て吸着パットに至る長さをなし、負圧の配管経路に比較してかなり長くなっているので、真空状態から破壊状態に切り替えるのに瞬時に行うことができないばかりでなく、吸着パットを通して排気したときの排気流量にバラツキが生じる結果、真空解除バルブによる高速作動の安定化を図ることができず、電子部品を収容トレイに的確にセットし難いと云う問題がある。
【0014】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、極めて薄い合成樹脂製のフィルムシートを用いても、該フィルムシートをプレス位置に正確にかつ確実に位置決めすることができ、電子部品を的確にかつ高精度に打ち抜くことができる電子部品の切断搬送装置を提供することにある。
【0015】
また、本発明の目的は、極めて薄い合成樹脂製のフィルムシートを用いても、該フィルムシートを良好に搬送することができる電子部品の切断搬送装置を提供することにある。
【0016】
さらに、本発明の目的は、腰の弱いフィルムシートを用いても、切断カスを確実に捕集することができ、しかも搬送中のフィルムシートが誤って吸引されることのない電子部品の切断搬送装置を提供することにある。
【0017】
そして、本発明の目的は、極めて薄い合成樹脂製のフィルムシートから電子部品を全て抜き取った後でも、空のフィルムシートを搬送経路から容易に排出することができる電子部品の切断搬送装置を提供することにある。
【0018】
またさらに、本発明の目的は、電子部品を収容トレイにセットするとき、電子部品を迅速かつ的確にセットすることができ、しかも構成部品点数を低減し得る電子部品の切断搬送装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明装置では、長手方向に沿い複数の電子部品を有すると共に、両側に長手方向に沿い穿設した複数のパイロット穴を有する帯状樹脂製のフィルムシートが搬送経路であるガイドレール上に送り出されたとき、そのフィルムシートをガイドレール上で順次搬送する搬送手段と、フィルムシートの搬送時、フィルムシートの電子部品が所定位置に搬送される度に、その電子部品を逐次打ち抜くプレス装置と、フィルムシートから電子部品を打ち抜いたときに発生するカスを捕集する捕集手段と、フィルムシートから打ち抜かれた電子部品を把持しながらトレイの上方まで移動したとき、電子部品をトレイの所定位置にセットする良品セット手段とを備えている。
そして、前記搬送手段は、前記ガイドレール上に所望間隔を隔てて移動可能にそれぞれ取付けられ、送り出されたフィルムシートを前記ガイドレール上で順次引き継ぎながら搬送経路の終端部まで送る複数の搬送アームと、それぞれの搬送アームの先端部に装備され、搬送時にフィルムシートの長手方向の先端側のパイロット穴に挿入される搬送ピンとを有し、前記搬送ピンがパイロット穴へ挿入された状態で、前記搬送アームがフィルムシートの先端側を搬送方向に所定ピッチで順次引っ張ることで、前記ガイドレール上を当該フィルムシートが搬送される構成としていることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図1〜図13により説明する。
実施例の電子部品の切断搬送装置を説明する前に、本例で取り扱う薄いフィルムシート1は、図1(b)に示すように、例えばポリイミド製からなる薄さ約0.04mmの帯状のシートであって、それにCSPからなる薄型の電子部品2が左右二列配置で長手方向に沿い複数一体的に成形されたものである。この帯状からなる薄いフィルムシート1の両側には長手方向に所定ピッチでパイロット穴1aが多数穿設されている。多数のパイロット穴1aはフィルムシート1を搬送したり、また電子部品2を打ち抜いたりするときの位置決め用の基準となるものである。
【0021】
そして、このような複数の電子部品2を有するフィルムシート1が図1(a)に示す如きマガジン3に多数装填され、その装填したマガジン3が切断搬送装置の部品供給ステーションにセットされ、フィルムシート1を順次一枚ずつ送り出されることとなる。
【0022】
このようなフィルムシート1を取り扱う実施例の切断搬送装置は、図1(a)に示すように、薄いフィルムシート1が部品供給ステーション内のマガジン3からガイドレール10上に取り出されると、その薄いフィルムシート1が予備プレスステーションに搬送され、該予備プレスステーションにおいてフィルムシート1と一体的に成形されたときに発生する電子部品2のゲートランナ部(図示せず)が除去され、次いで、ゲートランナ部の除去されたフィルムシート1が、本プレスステーションまで搬送され、その本プレスステーションにおいてフィルムシート1から電子部品2が個々に抜き取られるようにしている。
【0023】
そして、抜き取られた電子部品2は検査ステーション内の検査装置9にて個々に検査され、その結果、「不良品」と判定されたものは収納箱9aに落下され、「良品」と判定されたものは、移動体11により搬送されて良品セットステーション内のトレイ5Aの所定位置にセットされるようにしている。
【0024】
また、薄いフィルムシート1は本プレスステーションにて電子部品2が全て抜き取られてしまうと、その後排出されるようにもしている。
そのため、実施例の切断搬送装置は、図1に示すように、マガジン3からの薄いフィルムシート1を搬送経路上の予備プレスステーション,本プレスステーション等に搬送する搬送手段4を備えている。
【0025】
該搬送手段4は、図3に示すように、複数本の搬送アーム47a〜47cと、それらの先端部に装備された搬送ピン48とを有し、搬送ピン48がフィルムシート1の先端部のパイロット穴1aに挿入し、その状態で所望ピッチPで順次搬送方向に引っ張ることにより、図1に示すように、マガジン3から取り出されたフィルムシート1を搬送アーム47aが予備プレスステーションのランナ用プレス装置6に搬送し、該これに引き続き搬送アーム47bがランナ用プレス装置6のフィルムシート1を本プレスステーションのプレス装置7に搬送し、さらには搬送アーム47cが、該プレス装置7から電子部品2の抜き取り作業の終了したフィルムシート1を、搬送経路の終端部まで搬送するようにしている。
【0026】
その具体的構成を図2に基づき述べると、同図に示す搬送手段4は、水平移動の駆動源であるモータ41と、該モータ41の出力軸に連結されたスクリュー軸42と、そのスクリュー軸42の途中位置にナット部43aを介し一端部が連結されたブラケット43と、該ブラケット43の他端側下部に連結された移動板44と、該移動板44の上に設置された昇降シリンダ45(本例では二個)と、そのモータ45の出力軸に装着され、かつ前記移動板44と平行に配置された連結板46と、該連結板46の各部に支持された三本の搬送アーム47a〜47cとを有している。三本のアーム47a〜47cの先端部には図3に示すように、フィルムシート1に穿設されたパイロット穴1aと挿入する搬送ピン48が装備されている。
【0027】
前記搬送手段4は、マガジン3から複数の電子部品2を一体成形したフィルムシート1が搬入されたとき、昇降シリンダ45の駆動よってロッドが下降すると、これに伴い連結板46及び搬送アーム47a〜47cも同様に下降することにより、一番目の搬送アーム47aの搬送ピン48が、フィルムシート1の両側に穿設されている最も先端側のパイロット穴1aに挿入する。次いで、モータ41が駆動してスクリュー軸42がフィルムシート1を前進させる方向に回転させ、該スクリュー軸42とブラケット43を介し互いに結合されている移動板44,昇降シリンダ45,連結板46が一体的に前進するようにしている。
その際、移動板44,昇降シリンダ45,連結板46は図3に示すように、スクリュー軸42がフィルムシート1上の電子部品2間のピッチ量に相当する回転量で回転することにより、搬送アーム47aがフィルムシート1をガイドレール10上で予備プレスステーションに搬入する。
【0028】
そして、予備プレスステーションに搬入し終えると、昇降シリンダ45のロッドが図3に示す上向きの矢印の如く上昇し、連結板46及び搬送アーム47a〜47cもその分だけ上昇することにより搬送アーム47aの搬送ピン48がフィルムシート1のパイロット穴1aから抜けて挿入が解除され、次いで、モータ41の逆駆動でスクリュー軸42を逆転させることにより、搬送アーム47a〜47cを矢印の如くそれぞれの初期位置まで戻すこととなる。その場合、搬送アーム47aと同様に搬送アーム47b,47cも移動し、この動作が繰り返されることにより、ガイドレール10上におけるフィルムシート1の搬送が引き継がれる。
【0029】
即ち、搬送アーム47aがフィルムシート1を予備プレスステーションのランナ用プレス装置6まで搬送すると、ランナ用プレス装置6にあるフィルムシート1の先端側のパイロット穴1aに、搬送アーム47bの搬送ピン48が挿入して所望ピッチずつ搬送することにより、該フィルムシート1を本プレスステーションのプレス装置7まで搬送し、また搬送アーム47cが、本プレスステーションのプレス装置7にあるフィルムシート1の先端側のパイロット穴1aと挿入して所望ピッチずつ送り、搬送経路の終端部までフィルムシート1を搬送するものであり、これら搬送アーム47b及び47cもモータ41の逆駆動で搬送アーム47aと同様に所期位置まで戻る。そのため、搬送ピン48がフイルムシート1のパイロット穴1aに挿入したとき、その穴1aから下に突出するが、その突出部分がガイドレール10と干渉することがないよう、ガイドレール10に溝が設けられている。
【0030】
予備プレスステーションは詳細に図示していないが、ランナ用プレス装置6を備えており、前記搬送手段4の搬送アーム47aによってフィルムシート1がランナ用プレス装置6の金型位置に搬入されると、前記プレス装置6によりフィルムシート1からゲートランナ部(図示せず)を打ち抜いて除去し、この動作を、フィルムシート1がプレス装置6の金型位置に先端側から後端側まで順次搬送される度に繰り返し行うことにより、ゲートランナ部を逐次除去するものであり、従って、フィルムシート1が通過している間にゲートランナ部を除去するものである。
【0031】
なお、予備プレスステーションにフィルムシート1が搬入されると、該フィルムシート1の先端側のパイロット穴1aに搬送手段4の搬送アーム47bが挿入し、その搬送アーム47bの移動によってフィルムシート1がガイドレール10上で予備プレスステーションから本プレスステーションに引き継いで搬入される。
【0032】
また、前記搬送手段4は、ガイドレール10上でフィルムシート1を搬送しているとき、該フィルムシート1にジャムが発生しないようにするためのジャム防止機構を有している。
このジャム防止機構は、図4に示すように、シリンダ49aと、該シリンダのロッドに装着された連結具49bと、この連結具49bにピンを介し、一端が連結された揺動部材49cと、該揺動部材49cの他端側支点部に固定されたバー49dと、このバー49dに固定された脚部49fを具え、かつガイドレール10の長さ方向に沿う押さえ突起49gを有する押さえ板49eとからなっており、ガイドレール10上において、マガジン3近傍の部分を除きほぼ搬送経路全体に亘り設置されている。
【0033】
そして、ガイドレール10上でフィルムシート1を搬送しているときには、シリンダ49aのロッドが下方に後退し、揺動部材49cがバー49dを所望の角度で矢印イ方向に回動し、押さえ板49eが図5に鎖線にて示す如くガイドレール10から開いた状態とすることにより、ガイドレール10上でのフィルムシート1の搬送を許容する。
このフィルムシート1が所望ピッチPで搬送された時点で、シリンダ49aのロッドが上方に前進して揺動部材49cを作動させ、該揺動部材49cによりバー49dが前記矢印イ方向と反対方向に回転し、押さえ板49eが実線方向に回動して押さえ板49eの押さえ突起49gが、図5に実線にて示す如くガイドレール10の内端部との間でフィルムシート1を挟み込めるような空隙をもつことにより、フィルムシート1を平坦状にし、該シート1にジャムが発生することがないようにしている。その際、押さえ板49eがガイドレール10側に回動したとき、搬送アーム47a〜47cの搬送ピンと干渉しないようにするため、押さえ板49eの内側端部には、図4に鎖線にて示す如く、搬送ピッチPと同様の間隔をもって形成された切欠き49hが長手方向に沿い形成されている。
【0034】
本プレスステーションにおいては、フィルムシート1から複数の電子部品2をそれぞれ順次打ち抜くプレス装置7を備えている。プレス装置7は図6及び図7に示すように、下型71として、電子部品2の下半部2aの形状にほぼ対応するよう、開口部が次第に拡開したテーパ状の凹部71aを有し、上型72として、電子部品2の半田ボール部を有する上半部2bの形状にほぼ対応するよう、開口部が次第に拡開したテーパ状の凹部72aを有している。そして、打ち抜きに際し、フィルムシート1の打ち抜かれる電子部品2が打ち抜き位置に搬入されたとき、該電子部品2の下半部2aが下型71のテーパ状の凹部71aに適合し、その状態で上型72が下型71に向かって降下すると、該上型72のテーパ状の凹部72aに電子部品2の上半部2bも適合するようにしている。これは万一、プレス装置に対しフィルムシート1の電子部品が所定位置からずれている場合にも対処できるようにしたものである。
【0035】
また、プレス装置7は、下型71を若干浮かすように弾性支持する第一の弾性支持機構を有している。この第一の弾性支持機構は図6及び図7に示すように、固定ダイ73と、この固定ダイ73の一部に下型71を弾性支持するばね材75とを有し、通常では下型71が上方に若干浮き上がった状態にあるが、打ち抜き時、上型72が下型71に当たったとき、その下型71がばね材75の弾性力に抗し所定位置まで下がり、その下がっている間に打ち抜こうとしている電子部品2が金型71,72間の凹部に確実に適合するようにしている。
【0036】
従って、プレス装置7は、フィルムシート1上の打ち抜こうとしている電子部品2が金型71,72から若干ずれた位置にあっても、金型71,72が電子部品2の形状にほぼ対応する形状をなし、しかも上型72の降下によって下型71が若干下がることにより、打ち抜こうとしている電子部品2を金型に確実に適合させ、電子部品2を欠損させることなく打ち抜くように構成している。
【0037】
さらに、プレス装置7は、電子部品2の打ち抜きに際し、フィルムシート1上の打ち抜きすべき電子部品2を金型71,72に位置決めするための位置決め手段を有している。この位置決め手段は、図8に示すように、金型の下型71を支持する固定ダイ73に、上型72方向に移動可能に植設されたサブ位置決めピン76と、このサブ位置決めピン76を駆動するシリンダ(図示せず)とを具え、フィルムシート1の搬送時には図8(a)の如くフィルムシート1及びガイドレール10より下方位置にある状態(固定ダイ73及びガイドレール10に埋設された状態)をなしている。
【0038】
そして、プレス装置7の金型71,72間にフィルムシート1上の打ち抜こうとしている電子部品2が搬入されると、その電子部品2の打ち抜きに際し、上型72が降下する前の時点で図8(b)に示す如く、前記シリンダの駆動によってサブ位置決めピン76が上昇し、該サブ位置決めピン76の先端部がフィルムシート1のパイロット穴1aに挿入するようにしている。
【0039】
また、前記位置決め手段は、打ち抜こうとしている電子部品2を、サブ位置決めピン76と協働して位置決めする最終位置決めピン77をも具えている。この最終位置決めピン77は、図7及び図8に示すように、サブ位置決めピン76と同様フィルムシート1のパイロット穴1aに挿入するものであり、上型72の押しゴマ79に固定されてかつ先端が下型71の固定ダイ73に向かう如く突設している。そして、サブ位置決めピン76がパイロット穴1aに挿入した後、プレス装置7の上型72が下降すると、図8(c)に示す如く、最終位置決めピン77がフィルムシート1のパイロット穴1aに挿入するようにしている。即ち、サブ位置決めピン76が下方から上昇してフィルムシートのパイロット穴1aに挿入した後、打ち抜きのために押しゴマ79が下降し、最終位置決めピン77がサブ位置決めピン76と同様パイロット穴1aに挿入することにより、打ち抜こうとしている電子部品2とプレス装置7の金型との位置を正確に合致させるようにしている。
【0040】
その際、上型72の下降によって金型71が下方に押し下げられ、搬送ピン48の先端部がパイロット穴1aから抜けかかるようにフィルムシート1が若干下がることにより、搬送ピン48による影響を取り除くようにしている。このようなサブ位置決めピン76,最終位置決めピン77は、プレス装置7に設けた例を示しているが、ランナ用プレス装置6にも同様に設けられ、ゲートランナの除去も正確に行うようにしている。
【0041】
さらに、プレス装置7の下型71の上下動に追従し、ガイドレール10も下型71と同様に第二の弾性支持機構によって上方に付勢されている。該第二の弾性支持機構は、図7に示すように、下型72を支持する固定ダイ73とガイドレール10との互いに対応する位置に凹部が形成されると共に、その凹部にばね材78が設けられ、該ばね材78の弾性力によりガイドレール10が下型71より上方に付勢されている。そして、電子部品2の打ち抜きのために押しゴマ79が下降し、ジャム防止機構の押さえ板49e及びガイドレール10をばね材78の弾性力に抗し押圧するようにしている。この場合、押しゴマ79に突設されている最終位置決めピン77が押さえ板49e,ガイドレール10と干渉しないようにするため、これらには図4に示す如く切欠き49hが設けられている。
【0042】
このような金型構造はプレス装置7についてのみ説明しているが、ゲートランナ用プレス装置6についても同様の構成である。即ち、ゲートランナ用プレス装置6も、プレス装置7と同様に、第一・第二の弾性支持機構,サブ位置決めピン76,最終位置決めピン77が設けられ、プレス装置7と同様に動作するものである。
【0043】
さらに、本プレスステーションにおいては、プレス装置6,7によりフィルムシート1からゲートランナ部及び電子部品2を打ち抜いたときに発生する切断カスを捕集する捕集手段8が備えられている。該捕集手段8は、一端がフィルムシート1の電子部品2側とプレス装置7の下型71及び固定ダイ73を経て連絡し、かつ他端が図示しない真空源と連絡する連通路81と、該連通路81における下型71の近傍位置に設置され、真空引きと真空引きの解除とを行うダンパ87とを有している。
【0044】
さらに詳しく述べると、前記連通路81は図7に示すように、互いに隣接して配置された下型71,71の間を上下方向に連通すると共に、その下型71部分を支持する固定ベース部分を真直ぐに連通して第一通路部82が形成され、
また下型71,71の周囲と固定ベースとの間を上下方向に連通して第二通路部83が形成され、しかもこれら第一,第二通路部82,83と連絡しかつ固定ダイ73を貫通する第三通路部84が形成されることにより構成されている。そして、この第三通路部84の底部に真空ホース85の一端が接続されている。この真空ホース85は、一端が固定ダイ73の底部に取付フランジ86を介し取付けられ、他端が真空源に接続されている。なお、真空ホース85は、固定ダイ73側の一端部分が太い径をなし、そこから他端側まで細い細径部分をなしている。
【0045】
前記ダンパ87は、アクチュエータ88の出力軸に装着され、しかも真空ホース85内において固定ダイ73寄りの前記細径部分の途中位置に設置され、フィルムシート1の搬送時、真空源による真空引きの状態にあって図9(a)に示すように真空ホース85の内部流路を遮断することにより、フィルムシート1側に対する真空引き状態を解除し、また電子部品2の打ち抜き時、アクチュエータ88の駆動によって同図(b)に示すように真空ホース85内で回転し、真空引きを実行させるようにしている。従って、ダンパ87は、フィルムシート1から電子部品2を打ち抜いているとき、真空ホース85内で図9(b)に示す如き回転し、電子部品2を打ち抜いていないときには同図(a)に示す如く真空ホース85内の真空流路を遮断するようにしている。
【0046】
そして、ダンパ87の切替は、図示しないコントローラにより、プレス装置7の打ち抜き動作に連動し図10に示す如く作動するようにしている。即ち、図10(a)はプレス装置7の金型(下型71,上型72)の打ち抜き動作(開・閉)を時間軸との関係で表しており、上型72が下型71に向かって移動し、続いて上型72がフィルムシート1に接触しかつ下型71内で下死点まで移動する(図中の閉位置)こととなる。図10(b)はダンパ87が真空ホース85内で真空引き状態を解除すること(閉)と、真空引き状態を行うこと(開)とを前記時間に対応させて表しており、図示の如く、上型72が下死点に到達してから上昇するまでの時間Δtに同期させ、即ちその時間Δtに合わせ、ダンパ87を閉状態から開き、その後完全に閉じるまでの一連の動作を行うようにしている。従って、この図から電子部品2の打ち抜き時だけ真空引きし、打ち抜き時に発生するカスを吸引することが理解できよう。
【0047】
そして、フィルムシート1から電子部品2が打ち抜かれると、その打ち抜かれた電子部品2は後述する検査ステーションにてシュータ等を経て送られる一方、電子部品2が全て打ち抜かれた空のフィルムシート1は、搬送手段4の搬送アーム47cによりガイドレール10上を経て終端部20に搬送され、該終端部20に備えられたフィルム落下手段によりフィルムシート1が排出される。
【0048】
そのフィルム落下手段は、図11に示すように、ピン22を支点として回動可能に軸支され、かつ搬送経路としてのガイドレール10の延長上に配置されて互いに対向する一対の排出レール21,21と、これら一対の排出レール21を押さえ板49eから遠ざかるように回動させる駆動部23とを有し、前述したジャム防止機構に相当する構成を採用している。
即ち、排出レール21に突設された腕部21aとピン22とが互いに固定され、それらが支持部材24によって回転可能に支持されている。ピン22の一端部がさらに揺動部材25の一端部に固定され、その揺動部材25の他端部がピンを介し、駆動部23としてのシリンダのロッドに装着された連結具26に連結されている。そして、通常では図11(b)に実線に示す如く、シート押さえ93と排出レール91の内端部とが対向した位置関係となっており、それらの間にフィルムシート1が送り込まれると、シリンダ23のロッドが上昇すると、それに伴い揺動部材25が揺動すると共に同方向にピン23が回動し、排出レール21の内端部が押さえ板49eから離れる如く回動することにより、フィルムシート1を落下させることができるようにしている。
【0049】
従って、前記フィルム排出手段は、搬送アーム47cが、プレス装置7から電子部品2が全て打ち抜かれたフィルムシート1をガイドレール10を経て排出レール21上に搬送された時点で、排出レール21が回動して開くことにより、フィルムシート1が下方に落下してフィルムシート1を排出する。
【0050】
他方、前記検査ステーションは詳細に図示していないが、図1に示すように検査装置9を有し、プレス装置7によって打ち抜かれた電子部品2がシュータ等を経て搬入されると、該電子部品2に表示があるかないかを検査し、その表示の有無によって「良品」,「不良品」を判定するものである。そのため、フィルムシート1の電子部品2は、マガジン3に収容される前の時点で予め、電気特性等が測定され、その測定結果に応じ良否を示す表示がなされている。
【0051】
そして、検査装置9により「不良品」として判定された電子部品2は図1に示す収納箱9aに落下される一方、「良品」として判定された電子部品2は検査装置9の搬出部に移動し、そこから移動体11によって良品セットステーションの収容トレイ5Aに収容される。
【0052】
移動体11としては詳細に図示していないがX軸,Y軸及びZ軸からなる三軸方向に移動可能で、かつ検査ステーションにて「良品」と判定された電子部品2を把持すると共に、その把持した状態で良品セットステーション位置に待機している収容トレイ5Aまで搬送すると、電子部品2の把持を解除して該電子部品2を収容トレイ5Aの所望位置にセットすることができるようにしており、具体的には三軸方向に移動するマニピュレータによって構成され、該マニピュレータの先端部に複数のノズル部12が装備されている。これらノズル部12は、検査装置9の末端位置にある電子部品2を真空引きによって吸着することにより把持し、その状態でマニピュレータが収容トレイ5Aの位置に移動したとき、真空引きを停止し、電子部品2の把持を解除するようにしている。そのため、移動体11のノズル部12に電子部品2を吸着したりその吸着を解除したりする真空吸着機構が設けられている。
【0053】
真空吸着機構としては、図12に示すように、正圧供給源13と、負圧を発生させるたの真空ポンプ14と、各ノズル部12に対し、正圧供給源13の正圧空気と真空ポンプ14からの真空空気とを選択的に切り換え接続する方向切換弁15と、この方向切換弁15及び正圧供給源13間の通路に設けられた流量調整弁16と、方向切換弁15を切り換えるコントローラ(図示せず)とからなっている。
【0054】
そして、検査ステーションにて「良品」と判定された電子部品2が搬出部に位置しているとき、その位置に移動体11のノズル部12が移動すると、方向切換弁15が切換手段によって図12の如きa位置に切り換えられ、真空ポンプ14とノズル部12間で真空引きの通路が形成されることにより、ノズル部12が電子部品2をそれぞれ吸着し、その吸着状態のままで良品セットステーションにて待機している収容トレイ5Aの位置に移動すると、コントローラによって方向切換弁15がb位置に切り換えられ、流量調整弁16により絞られてあってかつ該調整弁16と方向切換弁15との間に通路17に蓄えられた適度の正圧空気がノズル部12から瞬間的に供給されることにより、各々の電子部品2の吸着を解除し、各電子部品2を収容トレイ5Aの所定位置に収容されるようにしている。
【0055】
その場合、ノズル部12による電子部品の吸着時、正圧空気が流量調整弁16により絞られ、絞られた正圧空気が図13(a)に示す如く微少流量ながら流量調整弁16と方向切換弁14との間の通路17である程度まで蓄えられ、方向切換弁15がa位置からb位置に切り換わった時点で、同図(b)に示す如く蓄えられた正圧空気を一気にかつ瞬間的に排気させ、ノズル部12からの瞬間的排気により各電子部品2を収容トレイ5Aの所定位置にそれぞれセットすると共に、正圧空気の一気かつ瞬間的排気の時点で、流量調整弁16及び方向切換弁15間の通路17を大気圧とすることができ、同図(c)に示す如く流量調整弁16からの微少流量が流通するだけであることから、収容トレイ5Aにセットされた小型かつ軽量の電子部品2が、収容トレイ5Aから吹き飛ばされるのを防止できるようにしている。
なお、収容トレイ5Aの所定位置に全ての電子部品2が収容されると、その上に図1に示す如きトレイ供給部5Bから供給された空の収容トレイが供給され、かつ堆積するようにしている。
【0056】
実施例の電子部品切断搬送装置は、上記の如き構成よりなるので、次にその動作について述べる。
まず図1に示すように、部品供給ステーションにセットされたマガジン3から、複数の電子部品2を一体的に成形した薄いフィルムシート1が一枚ずつ、搬送経路であるガイドレール10上に送り出される。このとき、フィルムシート1がガイドレール10上に送り出されると、搬送手段4が図2に示すように三本の搬送アーム47a〜47cを動作させる。この場合、三本の搬送アーム47a〜47cのうち、搬送アーム47aの搬送ピン48が、フィルムシート1の先端側に設けられているパイロット穴1aに挿入し、該挿入状態のままで図3に示す矢印の如く所望のピッチでガイドレール10上を順次送り出すことにより、フィルムシート1が予備プレスステーションに搬入される。
【0057】
その場合、上述の如く、搬送ピン48がフィルムシート1の先端側のパイロット穴1aに挿入し、先端側から引っ張るようにフィルムシート1を搬送するので、後部からフィルムシートを押し出すような従来技術に比較し、極めて薄いフィルムシート1であっても、フィルムシート1の搬送を、ジャムが発生することなく確実にかつ安定して行うことができる。
【0058】
しかも、搬送手段4は図4及び図5に示す如くシリンダ49a,連結具49b,揺動部材49c,バー49d,押さえ板49eからなるジャム防止機構49を有し、フィルムシート1がガイドレール10上で搬送されているときには、押さえ板49eの押さえ突起49gがガイドレール10から遠ざかるよう退避し、フィルムシート1が所望ピッチで搬送される度に、押さえ板49eの押さえ突起49gがガイドレール10側に回動し、押さえ突起49gとガイドレール10との間でフィルムシート1を挟み込めるような空隙を画成することにより、フィルムシート1を平らの状態のままにしておくことができ、従って、ジャム防止機構49により、フィルムシート1のジャム防止効果をいっそう確実なものとすることができるので、フィルムシート1を高速度で搬送することができる。
【0059】
また、フィルムシート1が搬送アーム47aによって予備プレスステーションに送り込まれると、予備プレスステーションにおいては、ランナ用プレス装置6が動作し、フィルムシート1の先端側からゲートランナ部を順次打ち抜くことにより除去する。
【0060】
このランナ用プレス装置6にフィルムシート1が送り込まれ、フィルムシート1のゲートランナ部が打ち抜き位置まで送り込まれると、プレス装置6の下型に設けられているサブ位置決めピン76が図8(b)に示す如く上昇してパイロット穴1aに挿入し、その後プレス装置6の上型が打ち抜きのために下降すると、最終位置決めピン77が同図(c)に示す如くパイロット穴1aに挿入するので、ランナ用金型に対しゲートランナ部を確実に位置決めできる。従って、薄いフィルムシート1でも位置決めを的確に行うことができることにより、ランナ用プレス装置6によるゲートランナ部の打ち抜き除去を正確に行うことができる。
【0061】
このようにして搬送アーム47aがフィルムシート1をプレス装置6まで搬送すると、マガジン3から送り出されるフィルムシートを再び搬送するため、搬送アーム47aが元の位置まで戻るが、搬送アーム47aが元の位置に戻ると同時に、次の搬送アーム47bも元の位置に戻り、その後、該搬送アーム47bが搬送アーム47aの搬送動作に引き継ぎ、プレス装置6からのフィルムシート1を本プレスステーションに搬送する。即ち、フィルムシート1のゲートランナ部が順次除去されるに伴い、そのフィルムシート1の先端側がプレス装置6から搬送経路下流側のガイドレール10上に送り出されると、搬送アーム47bの搬送ピン48が、フィルムシート1の先端側のパイロット穴1aに挿入し、搬送アーム47aの場合と同様に所望ピッチずつガイドレール10上でフィルムシート1を搬送することにより本プレスステーションに送り込む。
【0062】
このときも、搬送アーム47aの搬送ピン48が図3に示す如くフィルムシート1の先端側を引張るようガイドレール10上で搬送するので、フィルムシート1にジャムが起こることがない。しかも、ガイドレール10上では前記ジャム防止機構の押さえ板49eが、フィルムシート1を搬送しているときにはガイドレール10から遠ざかるように退避し、ガイドレール10から開いた状態となり、フィルムシート1が搬送される度に図5に示す実線の如く回動してガイドレール10との間でフィルムシート1を挟み込むような空隙を画成するので、フィルムシート1のジャム防止を的確なものとすることができ、これによりフィルムシート1を高精度でかつ高速度で搬送することができる。
【0063】
一方、本プレスステーションにおいては、ゲートランナ部の除去されたフィルムシート1が搬入されると、プレス装置7によってフィルムシート1の先端側から電子部品2が順次打ち抜かれる。
この場合も予備プレスステーションの場合と同様、フィルムシート1が本プレスステーションに搬入されると、ジャム防止機構の押さえ板49eがガイドレール10の内端部に回動し(図7参照)、フィルムシート1を押さえ付けるので、フィルムシート1を、撓んでジャムが発生することなくプレス装置7に位置決めすることができる。
【0064】
また、上記プレス装置7による電子部品2の打ち抜き時、プレス装置7の下型71及び上型72が図6に示すように、電子部品2の下半部2a及び上型2bの形状にほぼ対応して傾斜する形状に形成されているので、しかも下型71が図6及び図7に示すようにばね材75の弾性力によりガイドレール10と同様に上型72方向に付勢されているので、上型72が下型71に向かって下降している間にこれらの金型に電子部品2の外形に適合する如く位置決めされた状態となり、電子部品2の打ち抜きを確実に行うことができる。
【0065】
従って、薄いフィルムシート1に一体的に成形した電子部品2であっても、その打ち抜き時、金型を電子部品2の外形に合わせて打ち抜きできるので、電子部品2の打ち抜きを確実に行うことができる。
【0066】
この電子部品2の打ち抜き時、ランナ用プレス装置6の場合と同様、下型71に設けられているサブ位置決めピン76が図8(b)に示す如くパイロット穴1aに挿入し、搬送ピン48と共に協働して打ち抜こうしている電子部品2を金型71,72に位置決めし、次いで同図(c)に示す如く、上型72の下降により上型72の最終位置決めピン77がパイロット穴1aに挿入し、サブ位置決めピン76と協働してさらに金型に対する電子部品2の位置決めを行うことができる。
【0067】
しかもこの打ち抜き時の場合にも、フィルムシート1が所望ピッチで搬送されたときであって、ジャム防止機構の押さえ板49eとガイドレール10との間の空隙でフィルムシート1が平坦状に挟み込まれるので、フィルムシート1aに対しサブ位置決めピン76及び最終位置決めピン77が確実に挿入できる。
【0068】
その結果、電子部品2の打ち抜き時、ジャム防止機構の押さえ板49eの回動によりフィルムシート1が平らにされ、またサブ位置決めピン76,最終位置決めピン77がパイロット穴1aに挿入されることにより電子部品2を金型71,72に正確に位置決めできるので、薄いフィルムシート1と一体成形の電子部品2を的確にかつ高精度に打ち抜くことができる。
【0069】
また、上述の如くしてフィルムシート1からゲートランナ部及び電子部品2が打ち抜かれたとき、そのときに切断カスが発生するが、該切断カスを捕集手段8によって捕集することができる。その場合、捕集手段8は、図7に示すように連通路81とダンパ87とを有し、該ダンパ87の切り換えによって図9(b)に示す如く真空引きが行われると、ダンパ87が連通路81における下型71の近傍位置に設置されていることから、しかもその切り換えが図10に示す如く、上型72が下死点まで移動するまでの間で同期して行われるので、薄くかつ軽量のフィルムシート1まで真空引きされることがなく、切断カスだけを確実に捕集することができる。これにより、従来技術のようにフィルムシート1まで吸引されるおそれがない。
このようにして、プレス装置7によって電子部品2がフィルムシート1から順次打ち抜かれると、その打ち抜かれる度にフィルムシート1が本プレスステーションからガイドレール10上に送り出されることとなる。
【0070】
そして、プレス装置7からガイドレール10上にフィルムシート1が送り出されると、搬送手段4の搬送アーム47a,47bが元の位置に戻ったとき、搬送アーム47cも同様に戻ることになるので、その後、該搬送アーム47cの搬送ピン48がフィルムシート1の先端側のパイロット穴1aに挿入し、搬送アーム47cが搬送アーム47bの搬送に引き継いで所望ピッチでフィルムシート1を搬送経路の終端部20まで搬送する。
【0071】
この場合の搬送時においても、フィルムシート1の先端側を引張ることによって搬送し、またフィルムシート1が順次搬送される度に、ジャム防止機構の押さえ板49eがフィルムシート1を平坦状に挟み込むので、フィルムシート1にジャムが起こることがない。
【0072】
そして、全ての電子部品2の打ち抜かれたフィルムシート1が搬送経路の終端部20に送り込まれると、フィルム落下手段により排出される。即ち、フィルム落下手段が図11に示すように、駆動部23により一対の排出レール21,21が下方に回動するように構成されているので、この排出レール21,21の動作によりフィルムシート1が落下し、フィルムシート1が排出されることとなる。
【0073】
従って、送り込まれたフィルムシート1がそのまま落下することによって排出されるので、従来技術のように静電気でシートがチャックに付着したりすることがなくなり、薄くかつ軽量なフィルムシートの排出を適切に行うことができる。
【0074】
他方、本プレスステーションにてフィルムシート1から打ち抜かれた電子部品2は、図示しないシュータによって検査ステーションに送り込まれ、そこで検査装置が電子部品2を個々に検査することにより「良品」あるいは「不良品」が判定される。その際、「不良品」と判定された電子部品2は収納箱9aに落とし込まれるが、「良品」と判定された電子部品2は移動体11によって良品セットステーションの収容トレイ5Aに収容される。
【0075】
即ち、移動体11は、真空吸着機構の方向切換弁15が図2においてa位置に切り換えられ、真空ポンプ14とノズル部12で真空引き通路が形成されることにより、「良品」と判定された検査ステーション内の電子部品2をそれぞれのノズル部12に図13(a)に示す如く真空吸着し、その状態で良品セットステーションの収容トレイ5Aに移動すると、方向切換弁15が図2においてb位置に切り換えられ、流量調整弁16により絞られた適度の正圧空気がノズル部12から供給されることにより、各々の電子部品2の吸着を解除し、各電子部品2を収容トレイ5Aの所定位置に収容される。
【0076】
その場合、ノズル部12から排出される正圧空気は、流量調整弁16によって絞られた正圧空気が図13(a)に示す如く微少流量ながら流量調整弁16と方向切換弁14との間の通路17である程度まで蓄えられたものであるので、方向切換弁15がa位置からb位置に切り換わった時点で、同図(b)に示す如く蓄えられた正圧空気を一気にかつ瞬間的に、しかもエアの流量のばらつきがなく、安定した量で排気させることができる。そのため、ノズル部12からの瞬間的排気により各電子部品2を収容トレイ5Aの所定位置にそれぞれセットすることができると共に、正圧空気の瞬間的排気の時点で、流量調整弁16及び方向切換弁15間の通路17を大気圧とすることができ、同図(c)に示す如く流量調整弁16からの微少流量が流通するだけであることから、収容トレイ5Aにセットされた小型かつ軽量の電子部品2が、収容トレイ5Aから吹き飛ばされるのを確実に防止することができ、電子部品2をトレイ5Aから吹き飛ばすおそれが全くない。
【0077】
そのため、薄くかつ小型の電子部品2の場合、従来技術のようにノズル部からの排気圧が大き過ぎたりまた排気する時間が長すぎたりすると、エアの流量にばらつきが発生し、電子部品2がトレイ5Aに強く吹き付けられてしまい、電子部品2がトレイ5Aから吹き飛んでしまうというのを防止することができ、電子部品2のトレイ5Aに対するセットを良好に行うことができる。
【0078】
しかも、真空吸着機構として、図12に示すように、移動体11のノズル部12に対して正圧空気の供給路と負圧空気の供給路とを切換え接続する方向切換弁15と、正圧空気の供給源及び方向切換弁15間の流路の途中位置に設けられた流量調整弁16とを有して構成されているので、従来技術のように、正圧空気の供給路に切換弁や流量調節弁の二種類をノズルの数に対応させていちいち設けることが不要になり、構成部品点数を大幅に削減できることにより、コストを安価にすることができる。
【0079】
そして、収容トレイ5Aの所定位置に全ての電子部品2がセットされると、その上にトレイ供給部5Bから空の収容トレイが送り込まれ、その空の収容トレイに電子部品2が上述と同様の作動によってセットされることとなる。
【0080】
なお図示実施例では、フィルムシート1の搬送手段4として、搬送経路としてのガイドレール10上を三本の搬送アーム47a〜47cによって搬送するように示したが、フィルムシート搬送時の引き継ぎ場所を変更したりすることにより、搬送アームの数に限定されるものではない。また検査装置9として、電子部品2に良品か否かを示す表示があるかないかでその良否を判定するようにした例を示したが、これに限らず、この検査装置により電子部品の外観形状や電気特性を検査し、その結果で良否を判定するようにすることもでき、図示実施例に限定されるものではない。
【0081】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、搬送アームの搬送ピンがフィルムシートの先端側のパイロット穴に挿入し、その状態で搬送アームがフィルムシートの先端側を搬送方向に引張り、搬送するように構成したので、極めて薄いフィルムシートであっても、ジャムが発生することなくフィルムシートを確実にかつ安定して行うことができる効果がある。
【0082】
また本発明によれば、搬送手段が、フィルムシートを搬送経路上で所望ピッチずつ搬送して時点で、搬送経路を構成する一対の搬送レールと共にフィルムシートを挟み込める空隙を画成するジャム防止機構を有して構成したので、フィルムシートを搬送経路に亘り良好に反そうすることができる効果がある。
【0083】
さらに本発明によれば、プレス装置の金型の下型が電子部品の下半部の形状に対応する凹部をなし、かつ該下型を弾性支持機構により金型の上型方向に付勢させるように構成したので、極めて薄いフィルムシートを用いても、フィルムシートをプレス部の位置に正確にかつ確実に位置決めすることができ、プレス部による打ち抜きを高速かつ高精度に行うことができる効果がある。しかも、プレス装置は、金型の下型に上型方向に移動可能に設けられ、フィルムシートのパイロット穴に挿入するサブ位置決めピンと、金型の上型に下型に向かって突設され、サブ位置決めピンと共にフィルムシートのパイロット穴に挿入する最終位置決めピンとを有して構成したので、電子部品の打ち抜き時、サブ位置決めピンと最終位置決めピンとが打ち抜こうとしている電子部品側のパイロット穴に挿入することにより、電子部品を金型に対し正確に位置決めすることができ、電子部品を的確に高精度に打ち抜くことができる効果がある。
【0084】
そして本発明によれば、フィルムシートから電子部品を打ち抜いたときに発生するカスの捕集手段として、一端がプレス装置金型の下型を経てフィルムシートと連絡し、かつ他端が真空源と連絡する連絡路と、該連絡路における金型の近傍位置に開閉可能に取付けられ、真空源により真空引きと真空引きの解除とを行うダンパとを有して構成したので、腰の弱いフィルムシートを用いも、フィルムシートが吸引されることなく、カスを確実に捕集することができる効果がある。
【0085】
またさらに、本発明によれば、電子部品を吸着するノズル部と接続された真空吸着機構を有し、該真空吸着機構が、負圧発生源と、正圧空気の供給源と、ノズル部に対し負圧発生源及び正圧空気の供給源を選択的に接続する方向切換弁と、正圧空気の供給源及び方向切換弁間の配管に設けられた流量調整弁とにより構成したので、電子部品を収容トレイにセットしたとき、電子部品を吹き飛ぶことなく迅速かつ確実にセットすることができ、しかもエア流量のばらつきに左右されることがなくなり、また構成部品点数を削減できることにとより、安価な信頼性の高い真空吸着機構を提供することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子部品の切断搬送装置の一実施例を示す概略平面図(a)及びフィルムシートの平面図(b)。
【図2】搬送手段の要部拡大の斜視図。
【図3】搬送手段における搬送アームの移動軌跡と、搬送ピン及びフィルムシートのパイロット穴の関係を示す説明図。
【図4】搬送手段におけるジャム防止機構を示す斜視図。
【図5】同じくジャム防止機構の動作説明図。
【図6】プレス装置の金型の要部を示す説明図。
【図7】プレス装置の金型と捕集手段とを示す説明図。
【図8】本プレスステーションのプレス装置の金型間におけるフィルムシートと各種ピンとの位置関係を示す説明図。
【図9】捕集手段のダンパの切換状態をそれぞれ示す説明図。
【図10】同じく捕集手段のダンパ開閉時期とプレス装置金型の開閉時期を示すタイムチャート。
【図11】フィルム落下手段を示す全体斜視図(a)及び動作説明図(b)。
【図12】真空吸着機構の配管系統図。
【図13】真空吸着機構における吸着時と真空破壊時を示す説明図。
【符号の説明】
1…フィルムシート、1a…フィルムシートのパイロット穴、2…電子部品、2a…電子部品の下半部、2b…電子部品の上半部、3…マガジン、4…搬送手段、49…ジャム防止機構、5A…収容トレイ、6…ランナ用プレス装置、7…プレス装置、71…下型、72…上型、71a…下型の凹部、72a…上型の凹部、76…サブ位置決めピン、77…最終位置決めピン、8…カスの捕集手段、81…連通路、87…ダンパ、9…検査装置、11…移動体、12…移動体のノズル部、13〜15…真空吸着機構。
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数個の電子部品と一体的に成形された薄形のフィルムシートの搬送時、該フィルムシートから電子部品を抜き取る電子部品の切断搬送装置に係り、特に、チップサイズからなる小型かつ薄型の電子部品を打ち抜くときのフィルムシートの搬送作業や、電子部品の抜き取りを的確に行うのに好適な電子部品切断搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、薄い帯状板に複数個の薄形電子部品を一体的に設けてシートを形成した後、これら電子部品を有するシートを搬送経路上に搬送すると、シートからの電子部品の抜き取り工程,抜き取られた電子部品の検査工程,電子部品を全て抜き取った後の空のシートの排出工程,検査済み電子部品のトレイへのセット工程を自動的に行う切断搬送装置が実用に供されている。
【0003】
この場合、薄いシートとしては、厚さ0.15mm程度の銅製の板からなり、その帯状シートの所定部分に長さ方向に沿い電子部品を複数個一体的に形成されている。
【0004】
電子部品の抜き取り工程においては、一枚のシートがプレスステーションに搬入され、そのシートに形成されている複数個の電子部品がプレス位置に順次位置決めされることにより、プレス装置にて逐次抜き取られる。その際、プレスステーションには、電子部品を抜き取ったときに発生する切断カスを捕集するための集塵手段が設けられている。
【0005】
検査工程においては、シートから抜き取られた電子部品が搬入すると、この電子を個々に検査し、その検査結果、良品か不良品かを判定する。そして、不良品と判定したものが廃棄される一方、良品と判定された電子部品の各々は、移送手段によって把持されてセット工程まで移動し、該セット工程において収納トレイにセットされることとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年では、電子部品のより高集積化及びより小型軽量化が一段と進んでおり、それに伴ないシートも変更することが要請されている。そこで、QFPタイプのパッケージからCSPタイプのパッケージへ変更するに伴い、シートも銅製のものから極めて薄い樹脂製のフィルムシートに変えて製作した。
【0007】
しかしながら、従来技術の切断搬送装置において、フィルムシートとして例えば0.04mm程度の厚さをなす柔軟な合成樹脂で成形し、これにCSPタイプの電子部品を一体的に形成して搬送した場合、以下に述べる問題が発生する。
【0008】
即ち、電子部品を有するフィルムシートは、プレスステーションまで搬送したとき、プレス部にて打ち抜き加工するため、位置決めピンによって位置決めされ、かつ押さえ板によってシートのジャム,変形を防ぐようにしているが、前述の如くフィルムシートが極めて薄い樹脂製のものであると、電子部品を打ち抜く場合、位置決めピンがフィルムシートに穿設されたパイロット穴に正確に挿入し難く、その結果、電子部品を正確に打ち抜きすることができない問題がある。
【0009】
また、フィルムシートから電子部品をプレス部にて打ち抜き加工したとき、そのときに発生するカスを集塵手段によって集塵するようにもしている。しかしながら、フィルムシートが前述の如く薄くて柔軟性をもっていて腰の弱いものであるから、切断カスを吸引できる程度の吸引力まで上げてしまうと、搬送中のフィルムシートおよび電子部品が引っ張られてしまい、搬送ジャムが発生する問題がある。一方、フィルムシート,電子部品が吸引されない程度の吸引力まで下げると、切断カスが殆ど集塵されず、打ち抜かれた電子部品に付着してしまい、製品キズ,打痕の原因となる問題がある。
【0010】
さらに、極めて薄い樹脂製のフィルムシートから電子部品を全て抜き取ってしまい、空になっているフィルムシートを排出しようとして搬送すると、フィルムシートがあまりにも薄くかつ柔軟なため、全ての電子部品を抜き取られてしまうと不定形に変形してしまい、そのため、空になっているフィルムシートを排出するために搬送しようとしても、上手く搬送できない問題がある。
この場合、電子部品抜き取り後のフィルムシートを排出する手段としては、該フィルムシートをそのまま搬送レールの終端部を通ってシュート上に排出すること、あるいは搬送レール上からハンド手段によりチャックして持ち上げることにより排出することが容易に考えられる。しかし何れの場合でも、フィルムシートが薄すぎて軟弱なものであるばかりでなく、電子部品が打ち抜かれることによって不定形に変形してしまうので、搬送レールから排出する場合には、フィルムシートを搬送レールの終端部までスムースに搬送することが困難となり、またチャックして持ち上げる場合には、チャック部で把持した後でそれを開放すると、静電気の影響によりチャック部に付着したままとなってしまい、特に冬場のような乾燥期では発生する度合いが大きくなってしまう。
【0011】
また、フィルムシートが薄すぎて柔軟であると、前述の如く電子部品を抜き取ってからの排出作業ができにくくなるばかりでなく、電子部品を抜き取る前の搬送作業においても良好な搬送を行うことができない問題がある。
即ち、従来技術では、フィルムシートの搬送時、該フィルムシートの両側に穿設されたパイロット穴に搬送ピンを挿入し、その挿入状態で搬送ピンを定量ピッチで移動することによりフィルムシートを搬送する。その場合、搬送ピンは、フィルムシートに穿設されている後方のパイロット穴に挿入し、フィルムシートを後側から押し出す形態となっている。従って、後側からフィルムシートを押し出すよう定量ピッチで搬送すると、フィルムシートが銅製のものと異なり、腰の弱い柔軟なものであることから、搬送ジャムが発生してしまい、フィルムシートをプレスステーションまで良好に搬送することができない問題がある。
【0012】
またさらに、トレイのセット工程では移送手段に設けられた真空吸着機構が、複数個の電子部品をそれぞれ同時に吸着し、その吸着状態でトレイの所望位置に移動した時点で、真空吸着を解除すると同時に、正圧の空気を排気させることにより、複数個の電子部品をトレイの所定位置にそれぞれセットするようにしている。
その際、真空吸着機構として、吸着パットによって電子部品を吸着するために正圧流路負圧流路とを切り替える正・負圧方向切替弁が、それぞれの吸着パット毎に設けられると共に、それぞれの正・負圧方向切替弁に対し流量調整弁を介し真空解除バルブが設けられ、電子部品を吸着している吸着パットに対し排気させ、電子部品を収容トレイの所望位置にそれぞれセットしたとき、真空解除バルブにより、排気状態を直ちに停止して該排気状態と真空吸着がない状態とし、これによりセットされた電子部品が収容トレイから吹き飛ばされることがないようにしている。
【0013】
しかしながら、真空解除バルブがそれぞれの正・負圧方向切替弁対応の数だけ設ける必要があるので、部品点数が多くなり、それだけコストが高くつく問題がある。また、正圧空気を供給する配管経路として、正圧の空気源から真空解除バルブ,流量調整弁,正・負圧切替弁を経て吸着パットに至る長さをなし、負圧の配管経路に比較してかなり長くなっているので、真空状態から破壊状態に切り替えるのに瞬時に行うことができないばかりでなく、吸着パットを通して排気したときの排気流量にバラツキが生じる結果、真空解除バルブによる高速作動の安定化を図ることができず、電子部品を収容トレイに的確にセットし難いと云う問題がある。
【0014】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、極めて薄い合成樹脂製のフィルムシートを用いても、該フィルムシートをプレス位置に正確にかつ確実に位置決めすることができ、電子部品を的確にかつ高精度に打ち抜くことができる電子部品の切断搬送装置を提供することにある。
【0015】
また、本発明の目的は、極めて薄い合成樹脂製のフィルムシートを用いても、該フィルムシートを良好に搬送することができる電子部品の切断搬送装置を提供することにある。
【0016】
さらに、本発明の目的は、腰の弱いフィルムシートを用いても、切断カスを確実に捕集することができ、しかも搬送中のフィルムシートが誤って吸引されることのない電子部品の切断搬送装置を提供することにある。
【0017】
そして、本発明の目的は、極めて薄い合成樹脂製のフィルムシートから電子部品を全て抜き取った後でも、空のフィルムシートを搬送経路から容易に排出することができる電子部品の切断搬送装置を提供することにある。
【0018】
またさらに、本発明の目的は、電子部品を収容トレイにセットするとき、電子部品を迅速かつ的確にセットすることができ、しかも構成部品点数を低減し得る電子部品の切断搬送装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明装置では、長手方向に沿い複数の電子部品を有すると共に、両側に長手方向に沿い穿設した複数のパイロット穴を有する帯状樹脂製のフィルムシートが搬送経路であるガイドレール上に送り出されたとき、そのフィルムシートをガイドレール上で順次搬送する搬送手段と、フィルムシートの搬送時、フィルムシートの電子部品が所定位置に搬送される度に、その電子部品を逐次打ち抜くプレス装置と、フィルムシートから電子部品を打ち抜いたときに発生するカスを捕集する捕集手段と、フィルムシートから打ち抜かれた電子部品を把持しながらトレイの上方まで移動したとき、電子部品をトレイの所定位置にセットする良品セット手段とを備えている。
そして、前記搬送手段は、前記ガイドレール上に所望間隔を隔てて移動可能にそれぞれ取付けられ、送り出されたフィルムシートを前記ガイドレール上で順次引き継ぎながら搬送経路の終端部まで送る複数の搬送アームと、それぞれの搬送アームの先端部に装備され、搬送時にフィルムシートの長手方向の先端側のパイロット穴に挿入される搬送ピンとを有し、前記搬送ピンがパイロット穴へ挿入された状態で、前記搬送アームがフィルムシートの先端側を搬送方向に所定ピッチで順次引っ張ることで、前記ガイドレール上を当該フィルムシートが搬送される構成としていることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図1〜図13により説明する。
実施例の電子部品の切断搬送装置を説明する前に、本例で取り扱う薄いフィルムシート1は、図1(b)に示すように、例えばポリイミド製からなる薄さ約0.04mmの帯状のシートであって、それにCSPからなる薄型の電子部品2が左右二列配置で長手方向に沿い複数一体的に成形されたものである。この帯状からなる薄いフィルムシート1の両側には長手方向に所定ピッチでパイロット穴1aが多数穿設されている。多数のパイロット穴1aはフィルムシート1を搬送したり、また電子部品2を打ち抜いたりするときの位置決め用の基準となるものである。
【0021】
そして、このような複数の電子部品2を有するフィルムシート1が図1(a)に示す如きマガジン3に多数装填され、その装填したマガジン3が切断搬送装置の部品供給ステーションにセットされ、フィルムシート1を順次一枚ずつ送り出されることとなる。
【0022】
このようなフィルムシート1を取り扱う実施例の切断搬送装置は、図1(a)に示すように、薄いフィルムシート1が部品供給ステーション内のマガジン3からガイドレール10上に取り出されると、その薄いフィルムシート1が予備プレスステーションに搬送され、該予備プレスステーションにおいてフィルムシート1と一体的に成形されたときに発生する電子部品2のゲートランナ部(図示せず)が除去され、次いで、ゲートランナ部の除去されたフィルムシート1が、本プレスステーションまで搬送され、その本プレスステーションにおいてフィルムシート1から電子部品2が個々に抜き取られるようにしている。
【0023】
そして、抜き取られた電子部品2は検査ステーション内の検査装置9にて個々に検査され、その結果、「不良品」と判定されたものは収納箱9aに落下され、「良品」と判定されたものは、移動体11により搬送されて良品セットステーション内のトレイ5Aの所定位置にセットされるようにしている。
【0024】
また、薄いフィルムシート1は本プレスステーションにて電子部品2が全て抜き取られてしまうと、その後排出されるようにもしている。
そのため、実施例の切断搬送装置は、図1に示すように、マガジン3からの薄いフィルムシート1を搬送経路上の予備プレスステーション,本プレスステーション等に搬送する搬送手段4を備えている。
【0025】
該搬送手段4は、図3に示すように、複数本の搬送アーム47a〜47cと、それらの先端部に装備された搬送ピン48とを有し、搬送ピン48がフィルムシート1の先端部のパイロット穴1aに挿入し、その状態で所望ピッチPで順次搬送方向に引っ張ることにより、図1に示すように、マガジン3から取り出されたフィルムシート1を搬送アーム47aが予備プレスステーションのランナ用プレス装置6に搬送し、該これに引き続き搬送アーム47bがランナ用プレス装置6のフィルムシート1を本プレスステーションのプレス装置7に搬送し、さらには搬送アーム47cが、該プレス装置7から電子部品2の抜き取り作業の終了したフィルムシート1を、搬送経路の終端部まで搬送するようにしている。
【0026】
その具体的構成を図2に基づき述べると、同図に示す搬送手段4は、水平移動の駆動源であるモータ41と、該モータ41の出力軸に連結されたスクリュー軸42と、そのスクリュー軸42の途中位置にナット部43aを介し一端部が連結されたブラケット43と、該ブラケット43の他端側下部に連結された移動板44と、該移動板44の上に設置された昇降シリンダ45(本例では二個)と、そのモータ45の出力軸に装着され、かつ前記移動板44と平行に配置された連結板46と、該連結板46の各部に支持された三本の搬送アーム47a〜47cとを有している。三本のアーム47a〜47cの先端部には図3に示すように、フィルムシート1に穿設されたパイロット穴1aと挿入する搬送ピン48が装備されている。
【0027】
前記搬送手段4は、マガジン3から複数の電子部品2を一体成形したフィルムシート1が搬入されたとき、昇降シリンダ45の駆動よってロッドが下降すると、これに伴い連結板46及び搬送アーム47a〜47cも同様に下降することにより、一番目の搬送アーム47aの搬送ピン48が、フィルムシート1の両側に穿設されている最も先端側のパイロット穴1aに挿入する。次いで、モータ41が駆動してスクリュー軸42がフィルムシート1を前進させる方向に回転させ、該スクリュー軸42とブラケット43を介し互いに結合されている移動板44,昇降シリンダ45,連結板46が一体的に前進するようにしている。
その際、移動板44,昇降シリンダ45,連結板46は図3に示すように、スクリュー軸42がフィルムシート1上の電子部品2間のピッチ量に相当する回転量で回転することにより、搬送アーム47aがフィルムシート1をガイドレール10上で予備プレスステーションに搬入する。
【0028】
そして、予備プレスステーションに搬入し終えると、昇降シリンダ45のロッドが図3に示す上向きの矢印の如く上昇し、連結板46及び搬送アーム47a〜47cもその分だけ上昇することにより搬送アーム47aの搬送ピン48がフィルムシート1のパイロット穴1aから抜けて挿入が解除され、次いで、モータ41の逆駆動でスクリュー軸42を逆転させることにより、搬送アーム47a〜47cを矢印の如くそれぞれの初期位置まで戻すこととなる。その場合、搬送アーム47aと同様に搬送アーム47b,47cも移動し、この動作が繰り返されることにより、ガイドレール10上におけるフィルムシート1の搬送が引き継がれる。
【0029】
即ち、搬送アーム47aがフィルムシート1を予備プレスステーションのランナ用プレス装置6まで搬送すると、ランナ用プレス装置6にあるフィルムシート1の先端側のパイロット穴1aに、搬送アーム47bの搬送ピン48が挿入して所望ピッチずつ搬送することにより、該フィルムシート1を本プレスステーションのプレス装置7まで搬送し、また搬送アーム47cが、本プレスステーションのプレス装置7にあるフィルムシート1の先端側のパイロット穴1aと挿入して所望ピッチずつ送り、搬送経路の終端部までフィルムシート1を搬送するものであり、これら搬送アーム47b及び47cもモータ41の逆駆動で搬送アーム47aと同様に所期位置まで戻る。そのため、搬送ピン48がフイルムシート1のパイロット穴1aに挿入したとき、その穴1aから下に突出するが、その突出部分がガイドレール10と干渉することがないよう、ガイドレール10に溝が設けられている。
【0030】
予備プレスステーションは詳細に図示していないが、ランナ用プレス装置6を備えており、前記搬送手段4の搬送アーム47aによってフィルムシート1がランナ用プレス装置6の金型位置に搬入されると、前記プレス装置6によりフィルムシート1からゲートランナ部(図示せず)を打ち抜いて除去し、この動作を、フィルムシート1がプレス装置6の金型位置に先端側から後端側まで順次搬送される度に繰り返し行うことにより、ゲートランナ部を逐次除去するものであり、従って、フィルムシート1が通過している間にゲートランナ部を除去するものである。
【0031】
なお、予備プレスステーションにフィルムシート1が搬入されると、該フィルムシート1の先端側のパイロット穴1aに搬送手段4の搬送アーム47bが挿入し、その搬送アーム47bの移動によってフィルムシート1がガイドレール10上で予備プレスステーションから本プレスステーションに引き継いで搬入される。
【0032】
また、前記搬送手段4は、ガイドレール10上でフィルムシート1を搬送しているとき、該フィルムシート1にジャムが発生しないようにするためのジャム防止機構を有している。
このジャム防止機構は、図4に示すように、シリンダ49aと、該シリンダのロッドに装着された連結具49bと、この連結具49bにピンを介し、一端が連結された揺動部材49cと、該揺動部材49cの他端側支点部に固定されたバー49dと、このバー49dに固定された脚部49fを具え、かつガイドレール10の長さ方向に沿う押さえ突起49gを有する押さえ板49eとからなっており、ガイドレール10上において、マガジン3近傍の部分を除きほぼ搬送経路全体に亘り設置されている。
【0033】
そして、ガイドレール10上でフィルムシート1を搬送しているときには、シリンダ49aのロッドが下方に後退し、揺動部材49cがバー49dを所望の角度で矢印イ方向に回動し、押さえ板49eが図5に鎖線にて示す如くガイドレール10から開いた状態とすることにより、ガイドレール10上でのフィルムシート1の搬送を許容する。
このフィルムシート1が所望ピッチPで搬送された時点で、シリンダ49aのロッドが上方に前進して揺動部材49cを作動させ、該揺動部材49cによりバー49dが前記矢印イ方向と反対方向に回転し、押さえ板49eが実線方向に回動して押さえ板49eの押さえ突起49gが、図5に実線にて示す如くガイドレール10の内端部との間でフィルムシート1を挟み込めるような空隙をもつことにより、フィルムシート1を平坦状にし、該シート1にジャムが発生することがないようにしている。その際、押さえ板49eがガイドレール10側に回動したとき、搬送アーム47a〜47cの搬送ピンと干渉しないようにするため、押さえ板49eの内側端部には、図4に鎖線にて示す如く、搬送ピッチPと同様の間隔をもって形成された切欠き49hが長手方向に沿い形成されている。
【0034】
本プレスステーションにおいては、フィルムシート1から複数の電子部品2をそれぞれ順次打ち抜くプレス装置7を備えている。プレス装置7は図6及び図7に示すように、下型71として、電子部品2の下半部2aの形状にほぼ対応するよう、開口部が次第に拡開したテーパ状の凹部71aを有し、上型72として、電子部品2の半田ボール部を有する上半部2bの形状にほぼ対応するよう、開口部が次第に拡開したテーパ状の凹部72aを有している。そして、打ち抜きに際し、フィルムシート1の打ち抜かれる電子部品2が打ち抜き位置に搬入されたとき、該電子部品2の下半部2aが下型71のテーパ状の凹部71aに適合し、その状態で上型72が下型71に向かって降下すると、該上型72のテーパ状の凹部72aに電子部品2の上半部2bも適合するようにしている。これは万一、プレス装置に対しフィルムシート1の電子部品が所定位置からずれている場合にも対処できるようにしたものである。
【0035】
また、プレス装置7は、下型71を若干浮かすように弾性支持する第一の弾性支持機構を有している。この第一の弾性支持機構は図6及び図7に示すように、固定ダイ73と、この固定ダイ73の一部に下型71を弾性支持するばね材75とを有し、通常では下型71が上方に若干浮き上がった状態にあるが、打ち抜き時、上型72が下型71に当たったとき、その下型71がばね材75の弾性力に抗し所定位置まで下がり、その下がっている間に打ち抜こうとしている電子部品2が金型71,72間の凹部に確実に適合するようにしている。
【0036】
従って、プレス装置7は、フィルムシート1上の打ち抜こうとしている電子部品2が金型71,72から若干ずれた位置にあっても、金型71,72が電子部品2の形状にほぼ対応する形状をなし、しかも上型72の降下によって下型71が若干下がることにより、打ち抜こうとしている電子部品2を金型に確実に適合させ、電子部品2を欠損させることなく打ち抜くように構成している。
【0037】
さらに、プレス装置7は、電子部品2の打ち抜きに際し、フィルムシート1上の打ち抜きすべき電子部品2を金型71,72に位置決めするための位置決め手段を有している。この位置決め手段は、図8に示すように、金型の下型71を支持する固定ダイ73に、上型72方向に移動可能に植設されたサブ位置決めピン76と、このサブ位置決めピン76を駆動するシリンダ(図示せず)とを具え、フィルムシート1の搬送時には図8(a)の如くフィルムシート1及びガイドレール10より下方位置にある状態(固定ダイ73及びガイドレール10に埋設された状態)をなしている。
【0038】
そして、プレス装置7の金型71,72間にフィルムシート1上の打ち抜こうとしている電子部品2が搬入されると、その電子部品2の打ち抜きに際し、上型72が降下する前の時点で図8(b)に示す如く、前記シリンダの駆動によってサブ位置決めピン76が上昇し、該サブ位置決めピン76の先端部がフィルムシート1のパイロット穴1aに挿入するようにしている。
【0039】
また、前記位置決め手段は、打ち抜こうとしている電子部品2を、サブ位置決めピン76と協働して位置決めする最終位置決めピン77をも具えている。この最終位置決めピン77は、図7及び図8に示すように、サブ位置決めピン76と同様フィルムシート1のパイロット穴1aに挿入するものであり、上型72の押しゴマ79に固定されてかつ先端が下型71の固定ダイ73に向かう如く突設している。そして、サブ位置決めピン76がパイロット穴1aに挿入した後、プレス装置7の上型72が下降すると、図8(c)に示す如く、最終位置決めピン77がフィルムシート1のパイロット穴1aに挿入するようにしている。即ち、サブ位置決めピン76が下方から上昇してフィルムシートのパイロット穴1aに挿入した後、打ち抜きのために押しゴマ79が下降し、最終位置決めピン77がサブ位置決めピン76と同様パイロット穴1aに挿入することにより、打ち抜こうとしている電子部品2とプレス装置7の金型との位置を正確に合致させるようにしている。
【0040】
その際、上型72の下降によって金型71が下方に押し下げられ、搬送ピン48の先端部がパイロット穴1aから抜けかかるようにフィルムシート1が若干下がることにより、搬送ピン48による影響を取り除くようにしている。このようなサブ位置決めピン76,最終位置決めピン77は、プレス装置7に設けた例を示しているが、ランナ用プレス装置6にも同様に設けられ、ゲートランナの除去も正確に行うようにしている。
【0041】
さらに、プレス装置7の下型71の上下動に追従し、ガイドレール10も下型71と同様に第二の弾性支持機構によって上方に付勢されている。該第二の弾性支持機構は、図7に示すように、下型72を支持する固定ダイ73とガイドレール10との互いに対応する位置に凹部が形成されると共に、その凹部にばね材78が設けられ、該ばね材78の弾性力によりガイドレール10が下型71より上方に付勢されている。そして、電子部品2の打ち抜きのために押しゴマ79が下降し、ジャム防止機構の押さえ板49e及びガイドレール10をばね材78の弾性力に抗し押圧するようにしている。この場合、押しゴマ79に突設されている最終位置決めピン77が押さえ板49e,ガイドレール10と干渉しないようにするため、これらには図4に示す如く切欠き49hが設けられている。
【0042】
このような金型構造はプレス装置7についてのみ説明しているが、ゲートランナ用プレス装置6についても同様の構成である。即ち、ゲートランナ用プレス装置6も、プレス装置7と同様に、第一・第二の弾性支持機構,サブ位置決めピン76,最終位置決めピン77が設けられ、プレス装置7と同様に動作するものである。
【0043】
さらに、本プレスステーションにおいては、プレス装置6,7によりフィルムシート1からゲートランナ部及び電子部品2を打ち抜いたときに発生する切断カスを捕集する捕集手段8が備えられている。該捕集手段8は、一端がフィルムシート1の電子部品2側とプレス装置7の下型71及び固定ダイ73を経て連絡し、かつ他端が図示しない真空源と連絡する連通路81と、該連通路81における下型71の近傍位置に設置され、真空引きと真空引きの解除とを行うダンパ87とを有している。
【0044】
さらに詳しく述べると、前記連通路81は図7に示すように、互いに隣接して配置された下型71,71の間を上下方向に連通すると共に、その下型71部分を支持する固定ベース部分を真直ぐに連通して第一通路部82が形成され、
また下型71,71の周囲と固定ベースとの間を上下方向に連通して第二通路部83が形成され、しかもこれら第一,第二通路部82,83と連絡しかつ固定ダイ73を貫通する第三通路部84が形成されることにより構成されている。そして、この第三通路部84の底部に真空ホース85の一端が接続されている。この真空ホース85は、一端が固定ダイ73の底部に取付フランジ86を介し取付けられ、他端が真空源に接続されている。なお、真空ホース85は、固定ダイ73側の一端部分が太い径をなし、そこから他端側まで細い細径部分をなしている。
【0045】
前記ダンパ87は、アクチュエータ88の出力軸に装着され、しかも真空ホース85内において固定ダイ73寄りの前記細径部分の途中位置に設置され、フィルムシート1の搬送時、真空源による真空引きの状態にあって図9(a)に示すように真空ホース85の内部流路を遮断することにより、フィルムシート1側に対する真空引き状態を解除し、また電子部品2の打ち抜き時、アクチュエータ88の駆動によって同図(b)に示すように真空ホース85内で回転し、真空引きを実行させるようにしている。従って、ダンパ87は、フィルムシート1から電子部品2を打ち抜いているとき、真空ホース85内で図9(b)に示す如き回転し、電子部品2を打ち抜いていないときには同図(a)に示す如く真空ホース85内の真空流路を遮断するようにしている。
【0046】
そして、ダンパ87の切替は、図示しないコントローラにより、プレス装置7の打ち抜き動作に連動し図10に示す如く作動するようにしている。即ち、図10(a)はプレス装置7の金型(下型71,上型72)の打ち抜き動作(開・閉)を時間軸との関係で表しており、上型72が下型71に向かって移動し、続いて上型72がフィルムシート1に接触しかつ下型71内で下死点まで移動する(図中の閉位置)こととなる。図10(b)はダンパ87が真空ホース85内で真空引き状態を解除すること(閉)と、真空引き状態を行うこと(開)とを前記時間に対応させて表しており、図示の如く、上型72が下死点に到達してから上昇するまでの時間Δtに同期させ、即ちその時間Δtに合わせ、ダンパ87を閉状態から開き、その後完全に閉じるまでの一連の動作を行うようにしている。従って、この図から電子部品2の打ち抜き時だけ真空引きし、打ち抜き時に発生するカスを吸引することが理解できよう。
【0047】
そして、フィルムシート1から電子部品2が打ち抜かれると、その打ち抜かれた電子部品2は後述する検査ステーションにてシュータ等を経て送られる一方、電子部品2が全て打ち抜かれた空のフィルムシート1は、搬送手段4の搬送アーム47cによりガイドレール10上を経て終端部20に搬送され、該終端部20に備えられたフィルム落下手段によりフィルムシート1が排出される。
【0048】
そのフィルム落下手段は、図11に示すように、ピン22を支点として回動可能に軸支され、かつ搬送経路としてのガイドレール10の延長上に配置されて互いに対向する一対の排出レール21,21と、これら一対の排出レール21を押さえ板49eから遠ざかるように回動させる駆動部23とを有し、前述したジャム防止機構に相当する構成を採用している。
即ち、排出レール21に突設された腕部21aとピン22とが互いに固定され、それらが支持部材24によって回転可能に支持されている。ピン22の一端部がさらに揺動部材25の一端部に固定され、その揺動部材25の他端部がピンを介し、駆動部23としてのシリンダのロッドに装着された連結具26に連結されている。そして、通常では図11(b)に実線に示す如く、シート押さえ93と排出レール91の内端部とが対向した位置関係となっており、それらの間にフィルムシート1が送り込まれると、シリンダ23のロッドが上昇すると、それに伴い揺動部材25が揺動すると共に同方向にピン23が回動し、排出レール21の内端部が押さえ板49eから離れる如く回動することにより、フィルムシート1を落下させることができるようにしている。
【0049】
従って、前記フィルム排出手段は、搬送アーム47cが、プレス装置7から電子部品2が全て打ち抜かれたフィルムシート1をガイドレール10を経て排出レール21上に搬送された時点で、排出レール21が回動して開くことにより、フィルムシート1が下方に落下してフィルムシート1を排出する。
【0050】
他方、前記検査ステーションは詳細に図示していないが、図1に示すように検査装置9を有し、プレス装置7によって打ち抜かれた電子部品2がシュータ等を経て搬入されると、該電子部品2に表示があるかないかを検査し、その表示の有無によって「良品」,「不良品」を判定するものである。そのため、フィルムシート1の電子部品2は、マガジン3に収容される前の時点で予め、電気特性等が測定され、その測定結果に応じ良否を示す表示がなされている。
【0051】
そして、検査装置9により「不良品」として判定された電子部品2は図1に示す収納箱9aに落下される一方、「良品」として判定された電子部品2は検査装置9の搬出部に移動し、そこから移動体11によって良品セットステーションの収容トレイ5Aに収容される。
【0052】
移動体11としては詳細に図示していないがX軸,Y軸及びZ軸からなる三軸方向に移動可能で、かつ検査ステーションにて「良品」と判定された電子部品2を把持すると共に、その把持した状態で良品セットステーション位置に待機している収容トレイ5Aまで搬送すると、電子部品2の把持を解除して該電子部品2を収容トレイ5Aの所望位置にセットすることができるようにしており、具体的には三軸方向に移動するマニピュレータによって構成され、該マニピュレータの先端部に複数のノズル部12が装備されている。これらノズル部12は、検査装置9の末端位置にある電子部品2を真空引きによって吸着することにより把持し、その状態でマニピュレータが収容トレイ5Aの位置に移動したとき、真空引きを停止し、電子部品2の把持を解除するようにしている。そのため、移動体11のノズル部12に電子部品2を吸着したりその吸着を解除したりする真空吸着機構が設けられている。
【0053】
真空吸着機構としては、図12に示すように、正圧供給源13と、負圧を発生させるたの真空ポンプ14と、各ノズル部12に対し、正圧供給源13の正圧空気と真空ポンプ14からの真空空気とを選択的に切り換え接続する方向切換弁15と、この方向切換弁15及び正圧供給源13間の通路に設けられた流量調整弁16と、方向切換弁15を切り換えるコントローラ(図示せず)とからなっている。
【0054】
そして、検査ステーションにて「良品」と判定された電子部品2が搬出部に位置しているとき、その位置に移動体11のノズル部12が移動すると、方向切換弁15が切換手段によって図12の如きa位置に切り換えられ、真空ポンプ14とノズル部12間で真空引きの通路が形成されることにより、ノズル部12が電子部品2をそれぞれ吸着し、その吸着状態のままで良品セットステーションにて待機している収容トレイ5Aの位置に移動すると、コントローラによって方向切換弁15がb位置に切り換えられ、流量調整弁16により絞られてあってかつ該調整弁16と方向切換弁15との間に通路17に蓄えられた適度の正圧空気がノズル部12から瞬間的に供給されることにより、各々の電子部品2の吸着を解除し、各電子部品2を収容トレイ5Aの所定位置に収容されるようにしている。
【0055】
その場合、ノズル部12による電子部品の吸着時、正圧空気が流量調整弁16により絞られ、絞られた正圧空気が図13(a)に示す如く微少流量ながら流量調整弁16と方向切換弁14との間の通路17である程度まで蓄えられ、方向切換弁15がa位置からb位置に切り換わった時点で、同図(b)に示す如く蓄えられた正圧空気を一気にかつ瞬間的に排気させ、ノズル部12からの瞬間的排気により各電子部品2を収容トレイ5Aの所定位置にそれぞれセットすると共に、正圧空気の一気かつ瞬間的排気の時点で、流量調整弁16及び方向切換弁15間の通路17を大気圧とすることができ、同図(c)に示す如く流量調整弁16からの微少流量が流通するだけであることから、収容トレイ5Aにセットされた小型かつ軽量の電子部品2が、収容トレイ5Aから吹き飛ばされるのを防止できるようにしている。
なお、収容トレイ5Aの所定位置に全ての電子部品2が収容されると、その上に図1に示す如きトレイ供給部5Bから供給された空の収容トレイが供給され、かつ堆積するようにしている。
【0056】
実施例の電子部品切断搬送装置は、上記の如き構成よりなるので、次にその動作について述べる。
まず図1に示すように、部品供給ステーションにセットされたマガジン3から、複数の電子部品2を一体的に成形した薄いフィルムシート1が一枚ずつ、搬送経路であるガイドレール10上に送り出される。このとき、フィルムシート1がガイドレール10上に送り出されると、搬送手段4が図2に示すように三本の搬送アーム47a〜47cを動作させる。この場合、三本の搬送アーム47a〜47cのうち、搬送アーム47aの搬送ピン48が、フィルムシート1の先端側に設けられているパイロット穴1aに挿入し、該挿入状態のままで図3に示す矢印の如く所望のピッチでガイドレール10上を順次送り出すことにより、フィルムシート1が予備プレスステーションに搬入される。
【0057】
その場合、上述の如く、搬送ピン48がフィルムシート1の先端側のパイロット穴1aに挿入し、先端側から引っ張るようにフィルムシート1を搬送するので、後部からフィルムシートを押し出すような従来技術に比較し、極めて薄いフィルムシート1であっても、フィルムシート1の搬送を、ジャムが発生することなく確実にかつ安定して行うことができる。
【0058】
しかも、搬送手段4は図4及び図5に示す如くシリンダ49a,連結具49b,揺動部材49c,バー49d,押さえ板49eからなるジャム防止機構49を有し、フィルムシート1がガイドレール10上で搬送されているときには、押さえ板49eの押さえ突起49gがガイドレール10から遠ざかるよう退避し、フィルムシート1が所望ピッチで搬送される度に、押さえ板49eの押さえ突起49gがガイドレール10側に回動し、押さえ突起49gとガイドレール10との間でフィルムシート1を挟み込めるような空隙を画成することにより、フィルムシート1を平らの状態のままにしておくことができ、従って、ジャム防止機構49により、フィルムシート1のジャム防止効果をいっそう確実なものとすることができるので、フィルムシート1を高速度で搬送することができる。
【0059】
また、フィルムシート1が搬送アーム47aによって予備プレスステーションに送り込まれると、予備プレスステーションにおいては、ランナ用プレス装置6が動作し、フィルムシート1の先端側からゲートランナ部を順次打ち抜くことにより除去する。
【0060】
このランナ用プレス装置6にフィルムシート1が送り込まれ、フィルムシート1のゲートランナ部が打ち抜き位置まで送り込まれると、プレス装置6の下型に設けられているサブ位置決めピン76が図8(b)に示す如く上昇してパイロット穴1aに挿入し、その後プレス装置6の上型が打ち抜きのために下降すると、最終位置決めピン77が同図(c)に示す如くパイロット穴1aに挿入するので、ランナ用金型に対しゲートランナ部を確実に位置決めできる。従って、薄いフィルムシート1でも位置決めを的確に行うことができることにより、ランナ用プレス装置6によるゲートランナ部の打ち抜き除去を正確に行うことができる。
【0061】
このようにして搬送アーム47aがフィルムシート1をプレス装置6まで搬送すると、マガジン3から送り出されるフィルムシートを再び搬送するため、搬送アーム47aが元の位置まで戻るが、搬送アーム47aが元の位置に戻ると同時に、次の搬送アーム47bも元の位置に戻り、その後、該搬送アーム47bが搬送アーム47aの搬送動作に引き継ぎ、プレス装置6からのフィルムシート1を本プレスステーションに搬送する。即ち、フィルムシート1のゲートランナ部が順次除去されるに伴い、そのフィルムシート1の先端側がプレス装置6から搬送経路下流側のガイドレール10上に送り出されると、搬送アーム47bの搬送ピン48が、フィルムシート1の先端側のパイロット穴1aに挿入し、搬送アーム47aの場合と同様に所望ピッチずつガイドレール10上でフィルムシート1を搬送することにより本プレスステーションに送り込む。
【0062】
このときも、搬送アーム47aの搬送ピン48が図3に示す如くフィルムシート1の先端側を引張るようガイドレール10上で搬送するので、フィルムシート1にジャムが起こることがない。しかも、ガイドレール10上では前記ジャム防止機構の押さえ板49eが、フィルムシート1を搬送しているときにはガイドレール10から遠ざかるように退避し、ガイドレール10から開いた状態となり、フィルムシート1が搬送される度に図5に示す実線の如く回動してガイドレール10との間でフィルムシート1を挟み込むような空隙を画成するので、フィルムシート1のジャム防止を的確なものとすることができ、これによりフィルムシート1を高精度でかつ高速度で搬送することができる。
【0063】
一方、本プレスステーションにおいては、ゲートランナ部の除去されたフィルムシート1が搬入されると、プレス装置7によってフィルムシート1の先端側から電子部品2が順次打ち抜かれる。
この場合も予備プレスステーションの場合と同様、フィルムシート1が本プレスステーションに搬入されると、ジャム防止機構の押さえ板49eがガイドレール10の内端部に回動し(図7参照)、フィルムシート1を押さえ付けるので、フィルムシート1を、撓んでジャムが発生することなくプレス装置7に位置決めすることができる。
【0064】
また、上記プレス装置7による電子部品2の打ち抜き時、プレス装置7の下型71及び上型72が図6に示すように、電子部品2の下半部2a及び上型2bの形状にほぼ対応して傾斜する形状に形成されているので、しかも下型71が図6及び図7に示すようにばね材75の弾性力によりガイドレール10と同様に上型72方向に付勢されているので、上型72が下型71に向かって下降している間にこれらの金型に電子部品2の外形に適合する如く位置決めされた状態となり、電子部品2の打ち抜きを確実に行うことができる。
【0065】
従って、薄いフィルムシート1に一体的に成形した電子部品2であっても、その打ち抜き時、金型を電子部品2の外形に合わせて打ち抜きできるので、電子部品2の打ち抜きを確実に行うことができる。
【0066】
この電子部品2の打ち抜き時、ランナ用プレス装置6の場合と同様、下型71に設けられているサブ位置決めピン76が図8(b)に示す如くパイロット穴1aに挿入し、搬送ピン48と共に協働して打ち抜こうしている電子部品2を金型71,72に位置決めし、次いで同図(c)に示す如く、上型72の下降により上型72の最終位置決めピン77がパイロット穴1aに挿入し、サブ位置決めピン76と協働してさらに金型に対する電子部品2の位置決めを行うことができる。
【0067】
しかもこの打ち抜き時の場合にも、フィルムシート1が所望ピッチで搬送されたときであって、ジャム防止機構の押さえ板49eとガイドレール10との間の空隙でフィルムシート1が平坦状に挟み込まれるので、フィルムシート1aに対しサブ位置決めピン76及び最終位置決めピン77が確実に挿入できる。
【0068】
その結果、電子部品2の打ち抜き時、ジャム防止機構の押さえ板49eの回動によりフィルムシート1が平らにされ、またサブ位置決めピン76,最終位置決めピン77がパイロット穴1aに挿入されることにより電子部品2を金型71,72に正確に位置決めできるので、薄いフィルムシート1と一体成形の電子部品2を的確にかつ高精度に打ち抜くことができる。
【0069】
また、上述の如くしてフィルムシート1からゲートランナ部及び電子部品2が打ち抜かれたとき、そのときに切断カスが発生するが、該切断カスを捕集手段8によって捕集することができる。その場合、捕集手段8は、図7に示すように連通路81とダンパ87とを有し、該ダンパ87の切り換えによって図9(b)に示す如く真空引きが行われると、ダンパ87が連通路81における下型71の近傍位置に設置されていることから、しかもその切り換えが図10に示す如く、上型72が下死点まで移動するまでの間で同期して行われるので、薄くかつ軽量のフィルムシート1まで真空引きされることがなく、切断カスだけを確実に捕集することができる。これにより、従来技術のようにフィルムシート1まで吸引されるおそれがない。
このようにして、プレス装置7によって電子部品2がフィルムシート1から順次打ち抜かれると、その打ち抜かれる度にフィルムシート1が本プレスステーションからガイドレール10上に送り出されることとなる。
【0070】
そして、プレス装置7からガイドレール10上にフィルムシート1が送り出されると、搬送手段4の搬送アーム47a,47bが元の位置に戻ったとき、搬送アーム47cも同様に戻ることになるので、その後、該搬送アーム47cの搬送ピン48がフィルムシート1の先端側のパイロット穴1aに挿入し、搬送アーム47cが搬送アーム47bの搬送に引き継いで所望ピッチでフィルムシート1を搬送経路の終端部20まで搬送する。
【0071】
この場合の搬送時においても、フィルムシート1の先端側を引張ることによって搬送し、またフィルムシート1が順次搬送される度に、ジャム防止機構の押さえ板49eがフィルムシート1を平坦状に挟み込むので、フィルムシート1にジャムが起こることがない。
【0072】
そして、全ての電子部品2の打ち抜かれたフィルムシート1が搬送経路の終端部20に送り込まれると、フィルム落下手段により排出される。即ち、フィルム落下手段が図11に示すように、駆動部23により一対の排出レール21,21が下方に回動するように構成されているので、この排出レール21,21の動作によりフィルムシート1が落下し、フィルムシート1が排出されることとなる。
【0073】
従って、送り込まれたフィルムシート1がそのまま落下することによって排出されるので、従来技術のように静電気でシートがチャックに付着したりすることがなくなり、薄くかつ軽量なフィルムシートの排出を適切に行うことができる。
【0074】
他方、本プレスステーションにてフィルムシート1から打ち抜かれた電子部品2は、図示しないシュータによって検査ステーションに送り込まれ、そこで検査装置が電子部品2を個々に検査することにより「良品」あるいは「不良品」が判定される。その際、「不良品」と判定された電子部品2は収納箱9aに落とし込まれるが、「良品」と判定された電子部品2は移動体11によって良品セットステーションの収容トレイ5Aに収容される。
【0075】
即ち、移動体11は、真空吸着機構の方向切換弁15が図2においてa位置に切り換えられ、真空ポンプ14とノズル部12で真空引き通路が形成されることにより、「良品」と判定された検査ステーション内の電子部品2をそれぞれのノズル部12に図13(a)に示す如く真空吸着し、その状態で良品セットステーションの収容トレイ5Aに移動すると、方向切換弁15が図2においてb位置に切り換えられ、流量調整弁16により絞られた適度の正圧空気がノズル部12から供給されることにより、各々の電子部品2の吸着を解除し、各電子部品2を収容トレイ5Aの所定位置に収容される。
【0076】
その場合、ノズル部12から排出される正圧空気は、流量調整弁16によって絞られた正圧空気が図13(a)に示す如く微少流量ながら流量調整弁16と方向切換弁14との間の通路17である程度まで蓄えられたものであるので、方向切換弁15がa位置からb位置に切り換わった時点で、同図(b)に示す如く蓄えられた正圧空気を一気にかつ瞬間的に、しかもエアの流量のばらつきがなく、安定した量で排気させることができる。そのため、ノズル部12からの瞬間的排気により各電子部品2を収容トレイ5Aの所定位置にそれぞれセットすることができると共に、正圧空気の瞬間的排気の時点で、流量調整弁16及び方向切換弁15間の通路17を大気圧とすることができ、同図(c)に示す如く流量調整弁16からの微少流量が流通するだけであることから、収容トレイ5Aにセットされた小型かつ軽量の電子部品2が、収容トレイ5Aから吹き飛ばされるのを確実に防止することができ、電子部品2をトレイ5Aから吹き飛ばすおそれが全くない。
【0077】
そのため、薄くかつ小型の電子部品2の場合、従来技術のようにノズル部からの排気圧が大き過ぎたりまた排気する時間が長すぎたりすると、エアの流量にばらつきが発生し、電子部品2がトレイ5Aに強く吹き付けられてしまい、電子部品2がトレイ5Aから吹き飛んでしまうというのを防止することができ、電子部品2のトレイ5Aに対するセットを良好に行うことができる。
【0078】
しかも、真空吸着機構として、図12に示すように、移動体11のノズル部12に対して正圧空気の供給路と負圧空気の供給路とを切換え接続する方向切換弁15と、正圧空気の供給源及び方向切換弁15間の流路の途中位置に設けられた流量調整弁16とを有して構成されているので、従来技術のように、正圧空気の供給路に切換弁や流量調節弁の二種類をノズルの数に対応させていちいち設けることが不要になり、構成部品点数を大幅に削減できることにより、コストを安価にすることができる。
【0079】
そして、収容トレイ5Aの所定位置に全ての電子部品2がセットされると、その上にトレイ供給部5Bから空の収容トレイが送り込まれ、その空の収容トレイに電子部品2が上述と同様の作動によってセットされることとなる。
【0080】
なお図示実施例では、フィルムシート1の搬送手段4として、搬送経路としてのガイドレール10上を三本の搬送アーム47a〜47cによって搬送するように示したが、フィルムシート搬送時の引き継ぎ場所を変更したりすることにより、搬送アームの数に限定されるものではない。また検査装置9として、電子部品2に良品か否かを示す表示があるかないかでその良否を判定するようにした例を示したが、これに限らず、この検査装置により電子部品の外観形状や電気特性を検査し、その結果で良否を判定するようにすることもでき、図示実施例に限定されるものではない。
【0081】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、搬送アームの搬送ピンがフィルムシートの先端側のパイロット穴に挿入し、その状態で搬送アームがフィルムシートの先端側を搬送方向に引張り、搬送するように構成したので、極めて薄いフィルムシートであっても、ジャムが発生することなくフィルムシートを確実にかつ安定して行うことができる効果がある。
【0082】
また本発明によれば、搬送手段が、フィルムシートを搬送経路上で所望ピッチずつ搬送して時点で、搬送経路を構成する一対の搬送レールと共にフィルムシートを挟み込める空隙を画成するジャム防止機構を有して構成したので、フィルムシートを搬送経路に亘り良好に反そうすることができる効果がある。
【0083】
さらに本発明によれば、プレス装置の金型の下型が電子部品の下半部の形状に対応する凹部をなし、かつ該下型を弾性支持機構により金型の上型方向に付勢させるように構成したので、極めて薄いフィルムシートを用いても、フィルムシートをプレス部の位置に正確にかつ確実に位置決めすることができ、プレス部による打ち抜きを高速かつ高精度に行うことができる効果がある。しかも、プレス装置は、金型の下型に上型方向に移動可能に設けられ、フィルムシートのパイロット穴に挿入するサブ位置決めピンと、金型の上型に下型に向かって突設され、サブ位置決めピンと共にフィルムシートのパイロット穴に挿入する最終位置決めピンとを有して構成したので、電子部品の打ち抜き時、サブ位置決めピンと最終位置決めピンとが打ち抜こうとしている電子部品側のパイロット穴に挿入することにより、電子部品を金型に対し正確に位置決めすることができ、電子部品を的確に高精度に打ち抜くことができる効果がある。
【0084】
そして本発明によれば、フィルムシートから電子部品を打ち抜いたときに発生するカスの捕集手段として、一端がプレス装置金型の下型を経てフィルムシートと連絡し、かつ他端が真空源と連絡する連絡路と、該連絡路における金型の近傍位置に開閉可能に取付けられ、真空源により真空引きと真空引きの解除とを行うダンパとを有して構成したので、腰の弱いフィルムシートを用いも、フィルムシートが吸引されることなく、カスを確実に捕集することができる効果がある。
【0085】
またさらに、本発明によれば、電子部品を吸着するノズル部と接続された真空吸着機構を有し、該真空吸着機構が、負圧発生源と、正圧空気の供給源と、ノズル部に対し負圧発生源及び正圧空気の供給源を選択的に接続する方向切換弁と、正圧空気の供給源及び方向切換弁間の配管に設けられた流量調整弁とにより構成したので、電子部品を収容トレイにセットしたとき、電子部品を吹き飛ぶことなく迅速かつ確実にセットすることができ、しかもエア流量のばらつきに左右されることがなくなり、また構成部品点数を削減できることにとより、安価な信頼性の高い真空吸着機構を提供することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子部品の切断搬送装置の一実施例を示す概略平面図(a)及びフィルムシートの平面図(b)。
【図2】搬送手段の要部拡大の斜視図。
【図3】搬送手段における搬送アームの移動軌跡と、搬送ピン及びフィルムシートのパイロット穴の関係を示す説明図。
【図4】搬送手段におけるジャム防止機構を示す斜視図。
【図5】同じくジャム防止機構の動作説明図。
【図6】プレス装置の金型の要部を示す説明図。
【図7】プレス装置の金型と捕集手段とを示す説明図。
【図8】本プレスステーションのプレス装置の金型間におけるフィルムシートと各種ピンとの位置関係を示す説明図。
【図9】捕集手段のダンパの切換状態をそれぞれ示す説明図。
【図10】同じく捕集手段のダンパ開閉時期とプレス装置金型の開閉時期を示すタイムチャート。
【図11】フィルム落下手段を示す全体斜視図(a)及び動作説明図(b)。
【図12】真空吸着機構の配管系統図。
【図13】真空吸着機構における吸着時と真空破壊時を示す説明図。
【符号の説明】
1…フィルムシート、1a…フィルムシートのパイロット穴、2…電子部品、2a…電子部品の下半部、2b…電子部品の上半部、3…マガジン、4…搬送手段、49…ジャム防止機構、5A…収容トレイ、6…ランナ用プレス装置、7…プレス装置、71…下型、72…上型、71a…下型の凹部、72a…上型の凹部、76…サブ位置決めピン、77…最終位置決めピン、8…カスの捕集手段、81…連通路、87…ダンパ、9…検査装置、11…移動体、12…移動体のノズル部、13〜15…真空吸着機構。
Claims (7)
- 長手方向に沿い複数の電子部品を有すると共に、両側に長手方向に沿い穿設した複数のパイロット穴を有する帯状樹脂製のフィルムシートが搬送経路であるガイドレール上に送り出されたとき、そのフィルムシートをガイドレール上で順次搬送する搬送手段と、フィルムシートの搬送時、フィルムシートの電子部品が金型に搬入される度に、その電子部品を逐次打ち抜くプレス装置と、フィルムシートから電子部品を打ち抜いたときに発生するカスを捕集する捕集手段と、フィルムシートから打ち抜かれた電子部品を把持しながら収容トレイの上方まで移動したとき、電子部品を収容トレイの所定位置にセットする良品セット手段とを備え、
前記搬送手段は、前記ガイドレール上に所望間隔を隔てて移動可能にそれぞれ取付けられ、かつ送り出されたフィルムシートを前記ガイドレール上で順次引き継ぎながら搬送経路の終端部まで移動させる複数の搬送アームと、それぞれの搬送アームの先端部に装備され、搬送時にフィルムシートの長手方向の先端側のパイロット穴に挿入される搬送ピンとを有し、
前記搬送ピンがパイロット穴へ挿入された状態で、前記搬送アームがフィルムシートの先端側を搬送方向に所定ピッチで順次引っ張ることで、前記ガイドレール上を当該フィルムシートが搬送される構成としていることを特徴とする電子部品の切断搬送装置。 - 前記搬送手段は、搬送経路上におけるプレス装置と終端部との間に設けられ、フィルムシートが所定ピッチずつ搬送された時点で、搬送経路を構成する一対の搬送レールと共にフィルムシートを挟み込める空隙を画成し、フィルムシートにジャムが発生するのを防ぐジャム防止機構を有することを特徴とする請求項1に記載の電子部品の切断搬送装置。
- 前記プレス装置は、金型の下型が電子部品の下半部の形状に対応する凹部をなし、かつ該下型を弾性支持機構により上型方向に付勢させることを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品の切断搬送装置。
- 前記プレス装置は、金型の下型に上型方向に移動可能に埋設され、電子部品の打ち抜きに際し、搬送ピンと共にフィルムシートのパイロット穴に挿入するサブ位置決めピンと、金型の上型に下型に向かって突設され、サブ位置決めピンと共にフィルムシートのパイロット穴に挿入する最終位置決めピンとを有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の電子部品の切断搬送装置。
- 前記捕集手段は、一端がプレス装置の下型を経てフィルムシートと連絡し、かつ他端が真空源と連絡する連通路と、該連通路におけるプレス装置の金型の近傍位置に開閉可能に取付けられ、真空源により真空引きと真空引きの解除とを行う切替ダンパとを有することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の電子部品の切断搬送装置。
- 電子部品の打ち抜かれたフィルムシートが搬送経路の終端部に搬送されたとき、フィルムシートを下方に落とし込むフィルム落下手段を備え、かつ該フィルム落下手段は、搬送経路の終端部を構成する一対の搬送レールを搬送経路から退避可能に構成し、搬送レールの退避によりフィルムシートを落下させることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の電子部品の切断搬送装置。
- 前記良品セット手段は、電子部品を吸着するノズル部と接続された真空吸着機構を有し、該真空吸着機構は、負圧発生源と、正圧空気の供給源と、ノズルに対し負圧発生源及び正圧空気の供給源を選択的に接続する方向切換弁と、正圧空気の供給源及び方向切換弁間の配管に設けられ、正圧空気の流通量を調節する流量調整弁とにより構成したことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の電子部品の切断搬送装置。
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