JP3540877B2 - 自動車の外装部品取付用クリップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアスポイラ等の外装部品を自動車の車体表面に取り付けるために用いられる外装部品取付用クリップに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車のボデーパネルに対するエアスポイラの取付構造としては、例えば実開昭63−152784号公報や実開平1−156305号公報等がある。前者の実開昭63−152784号公報のエアスポイラ取付構造は、エアスポイラ側に設けられたリテーナをパネル面に沿って滑らせることにより予めボデーパネルに固定されているクリップに嵌合して固定する方式であり、後者の実開平1−156305号公報のエアスポイラ取付構造は、エアスポイラに予め取付けたクリップをボデーパネルの取付孔に嵌入して固定する方式である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前者の実開昭63−152784号公報のエアスポイラ取付構造では、ボデーパネルの取付孔に裏面(内面)から取付座を嵌合し、それにボデーパネルの表面側からクリップに形成した段付きタッピングスクリューをねじ込むことにより、クリップをボデーパネルに取り付ける形式であるため、その取付作業をパネルの表裏両面から行わなければならず、面倒であるという点に問題がある。また、後者の実開平1−156305号公報のエアスポイラ取付構造は、クリップに設けた弾性脚片をボデーパネルの取付孔に弾性変形により嵌入させて固定する方式であるため、堅固に固定し難いという点に問題がある。
【0004】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エアスポイラ等の外装部品取付用のクリップをボデーパネルに対して容易かつ強固に固定できるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を講じている。即ち、請求項1の発明は、
外装部品を車体のボデーパネルに取り付けるために用いられる自動車の外装部品取付用クリップであって、
鍔状の頭部を有するリベットチューブに頭部付きのリベットピンを挿入してなるブラインドリベットと、前記リベットチューブに外嵌された樹脂成形品からなるクリップ本体とを備え、
前記クリップ本体が、前記リベットチューブに被さる延長部と、前記ボデーパネルの取付孔への該延長部の挿入時にパネル表面に当接される着座フランジとを有し、
前記ボデーパネルの取付孔に前記クリップ本体の延長部を挿入した状態で、前記リベットピンの牽引による前記リベットチューブのかしめ加工により、前記ボデーパネルに前記リベットチューブが前記クリップ本体を介して固定され、
また、前記クリップ本体の延長部が前記リベットチューブのかしめ加工に追従変形してパネル裏面に密着されるとともに前記着座フランジがパネル表面に密着されることにより、前記ボデーパネルの取付孔がシールされる構成とした
ことを特徴とする。
【0006】
上記のように構成された請求項1の発明によれば、ブラインドリベットに被さるクリップ本体の延長部を車体のボデーパネルの取付孔に挿入後、リベットピンの牽引によるリベットチューブのかしめ加工を行うことにより、ボデーパネルにクリップ本体を介してリベットチューブを取り付けることができる。この場合、外装部品取付用クリップの取付作業がボデーパネルのパネル表面側からだけで済むため、その取付作業が容易となる。
また、クリップ本体の延長部がリベットチューブのかしめ加工に追従変形してパネル裏面に密着されるとともに着座フランジがパネル表面に密着されることにより、外装部品取付用クリップが車体のボデーパネルにガタツキのない安定状態に固定される。これとともに、クリップ本体がボデーパネルの取付孔をシールするシール部材を兼ねるため、パッキン等のシール部材が不要となる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1記載の自動車の外装部品取付用クリップにおいて、
前記クリップ本体が、前記リベットチューブの頭部の裏面及び外周縁を取り囲む端末フランジと、前記端末フランジと前記着座フランジとの間で前記外装部品に設けられた嵌合用溝付きリテーナの溝を横方向から嵌合する取付軸部を有していることを特徴とする。
上記構成によると、クリップ本体の取付軸部に外装部品のリテーナの溝を横方向から嵌合することにより、外装部品を車体のボデーパネルに取り付けることができる。
また、クリップ本体の端末フランジにより、リベットチューブの頭部の裏面及び外周縁が取り囲まれているので、クリップ本体の取付軸部に外装部品のリテーナの溝を横方向から嵌合するに際し、リベットチューブの頭部に対するリテーナの干渉を回避することができる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の自動車の外装部品取付用クリップにおいて、
前記クリップ本体に前記ブラインドリベットがインサート成形により一体化されていることを特徴とする。
上記構成によると、外装部品取付用クリップを単一部品として取扱い得ることから、ボデーパネルへの外装部品取付用クリップの組付け作業を簡便化するとともに、外装部品取付用クリップの部品管理を容易化することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。本実施の形態は、バックドアに装着されるリヤスポイラの取り付けに用いられるクリップを対象としている。図1に示すように、リヤスポイラ取付用のクリップ1は、ブラインドリベット2と、そのブラインドリベット2を介してボデーパネルに固定されるクリップ本体5とから構成されている。
【0012】
ブラインドリベット2は、軸方向の一端に鍔状の頭部3aを備えた塑性変形可能な金属製の円形断面のリベットチューブ3と、そのリベットチューブ3内に挿通されるとともに、一端にボール状の頭部4aを有するリベットピン4とからなり、リベットピン4の軸部には頭部4aとの接続部位に剪断用のくびれ部4bを備えている。
【0013】
クリップ本体5は、樹脂成形品からなる筒体であって、前記ブラインドリベット2がインサート成形により一体化されている。クリップ本体5は、その一側にはリベットチューブ3の頭部3aの裏面と外周縁を取り囲む略皿形の端末フランジ5aと、ボデーパネルへの装着時に該パネル表面に当接される円形の着座フランジ5bとを有し、その端末フランジ5aと着座フランジ5bとの間の軸部が、後述するリヤスポイラ8のリテーナ9装着用の取付軸部5cとなっている。
【0014】
クリップ本体5の他側、即ち着座フランジ5bよりも先端側は、リベットチューブ3の筒部に被さる筒状の延長部5dとされており、その延長部5dは、リベットチューブ3のかしめ加工に対応して容易に変形できるように他の部位よりも薄肉に形成されている。なお、必要であれば、延長部5dには軸方向に延びる2〜4つのスリットを設定してもよい。
【0015】
図2には上記のように構成されたクリップ1がボデーパネルであるバックドア6のドアアウタパネル7に固定された状態が示されている。クリップ1の筒部をドアアウタパネル7の表面側から取付孔7aに挿入してクリップ本体5の着座フランジ5bをパネル表面に当接後、リベットチューブ3の頭部3aを押圧しつつリベットピン4を反対方向に引っ張ることにより、リベット締めを行う。このリベット締めにより、リベットピン4の頭部4aでリベットチューブ3の筒部が外方へ膨出するごとく押し潰され、いわゆるかしめ加工が施される。
【0016】
かくして、リベットチューブ3にはパネル裏面側に変形膨出部3bが形成されることになり、その変形に伴いクリップ本体5の延長部5dが追従変形してパネル裏面に密着されるとともにクリップ本体5の着座フランジ5bがパネル表面に密着される。即ち、ブラインドリベット2のリベット締めによりクリップ本体5は、リベットチューブ3の頭部3aとパネル裏面に形成された変形膨出部3bとにより挟着されてドアアウタパネル7に固定される。なお、その後、リベットピン4はリベットチューブ3の変形荷重を越える荷重でくびれ部4bから切断されて除去される。
【0017】
図4はリヤスポイラ8の取付態様の概略を示し、図5は図4のA−A線断面を示し、図6は図5のB−B線断面を示す。上記したエアスポイラ取付用のクリップ1は、図4に示すように、バックドア6の両サイドにそれぞれ上下2ヵ所ずつ固定されている。樹脂成形品からなるリヤスポイラ8は、前記クリップ1に対応する部位にそれぞれ図5及び図6に示すようなインサート成形されたリテーナ9を備えており、リテーナ装着部の下方にはクリップ1への嵌め込み作業用としての図5に示すような凹部8aを備えている。
【0018】
リテーナ9は、図2及び図3に示すように、一側面に開口部9aを有する略矩形の箱形に形成されるとともに、下板には開口部9a側を開放する略U字状の溝9bが形成されている。そして、図6に仮想線で示すように、前記リヤスポイラ8をその凹部8aがクリップ1に被さるようにバックドア6に重ねた状態でパネル面に沿って下方へ滑らせれば、図2に示す如く、リテーナ9の開口部9aからクリップ本体5の端末フランジ5a及びリベットチューブ3の頭部3aが嵌入されるとともに、リテーナ9の溝9bにクリップ本体5のリテーナ装着用の取付軸部5cが嵌合される。このことにより、リヤスポイラ8はスライド嵌合方向を除いた方向については固定されることになる。
【0019】
なお、リヤスポイラ8はクリップ1による固定のほかに、図7に示す如く左右の上部がバックドア6に対して締結される。この締結は図示の如くリヤスポイラ8にインサート成形されたナット10に、バックドア6のドアアウタパネル7の裏面から取付孔7bを通してボルト11をねじ込む構造となっており、これによりリヤスポイラ8はバックドア6に対して全方向に固定される。
【0020】
上述のように構成された本実施の形態にあっては、リヤスポイラ8をバックドア6に取り付けるためのクリップ1を、バックドア6に対してブラインドリベット2により固定する構成としたため、クリップ1をバックドア6に対してぐらつきのない安定した状態で強固に固定することが可能となり、またその取り付けは、パネル表面側からの作業であり、バックドア内面からの作業が不要なため、取付作業がすこぶる簡単になる。
【0021】
リベット締めにより固定されるクリップ1は、合成樹脂製のクリップ本体5の着座フランジ5bと延長部5dがドアアウタパネル7の表裏両面にそれぞれ密着して取付孔7aをシールする。そのため、パッキン等のシール部材を用いることなく所期の防水性を得ることができる。
【0022】
また、本実施の形態では、リベットチューブ3の頭部3aの下面及び周縁部をクリップ本体5の端末フランジ5aにより被覆し、リテーナ9が樹脂成形品からなるクリップ本体5の両フランジ5a,5b間の取付軸部5cに嵌合する構成としたので、リテーナ9に対してリベットチューブ3の頭部3aのエッジが引っ掛かることを回避してリテーナ9の嵌入作用を円滑に行うことができる。
【0023】
なお、本実施の形態では、ブラインドリベット2をクリップ本体5にインサート成形することで一体化してあるため、バックドア6に取り付けるまで一部品として取り扱うことができるが、ブラインドリベット2とクリップ本体5は、別体部品としても差し支えない。また、外装部品取付用のクリップ1は、リヤスポイラ8以外の外装部品の取り付けに適用しても差し支えない。
【0025】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、エアスポイラ等の外装部品取付用のクリップをボデーパネルに対して容易かつ強固に固定することができる。従って、外装部品の取付状態も安定化する。
【図面の簡単な説明】
【図1】外装部品取付用クリップの縦断面図である。
【図2】外装部品取付用クリップのボデーパネルに対する装着状態及びリテーナの装着状態を示す縦断面図である。
【図3】同じく平面図である。
【図4】バックドアに装着されたリヤスポイラの概略正面図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】図5のB−B線断面図である。
【図7】図4のC−C線断面図である。
【符号の説明】
1…クリップ 2…ブラインドリベット
3…リベットチューブ 4…リベットピン
5…クリップ本体 7…ドアアウタパネル
8…リヤスポイラ 9…リテーナ
Claims (3)
- 外装部品を車体のボデーパネルに取り付けるために用いられる自動車の外装部品取付用クリップであって、
鍔状の頭部を有するリベットチューブに頭部付きのリベットピンを挿入してなるブラインドリベットと、前記リベットチューブに外嵌された樹脂成形品からなるクリップ本体とを備え、
前記クリップ本体が、前記リベットチューブに被さる延長部と、前記ボデーパネルの取付孔への該延長部の挿入時にパネル表面に当接される着座フランジとを有し、
前記ボデーパネルの取付孔に前記クリップ本体の延長部を挿入した状態で、前記リベットピンの牽引による前記リベットチューブのかしめ加工により、前記ボデーパネルに前記リベットチューブが前記クリップ本体を介して固定され、
また、前記クリップ本体の延長部が前記リベットチューブのかしめ加工に追従変形してパネル裏面に密着されるとともに前記着座フランジがパネル表面に密着されることにより、前記ボデーパネルの取付孔がシールされる構成とした
ことを特徴とする自動車の外装部品取付用クリップ。 - 前記クリップ本体が、前記リベットチューブの頭部の裏面及び外周縁を取り囲む端末フランジと、前記端末フランジと前記着座フランジとの間で前記外装部品に設けられた嵌合用溝付きリテーナの溝を横方向から嵌合する取付軸部を有していることを特徴とする請求項1記載の自動車の外装部品取付用クリップ。
- 前記クリップ本体に前記ブラインドリベットがインサート成形により一体化されていることを特徴とする請求項1又は2記載の自動車の外装部品取付用クリップ。
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1995
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