JP3540839B2 - 流動層風篩装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、顆粒剤や散剤等の製造工程において混入する金属粉等の異物を除去するための流動層風篩装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、顆粒剤や散剤等に用いられる材料中には、パワーミル等の粉砕機により材料を粉砕する際に、金属粉等の異物が混入する場合が多い。また、製剤の前工程として、主薬原料の混合度を高めたり、粗大粒や凝集粉末を細かく粉砕するために、30〜120meshのスクリーンを用いて篩過する工程が行われている。このときにも、篩過装置のスクリーンが破損して金属粉又は金属片が混入する場合がある。さらに、円筒押出式製粒装置等においても、パンチングメタルの破損や流動層造粒装置に用いられているコンテナースクリーンの切断損傷により金属粉又は金属片が混入する場合がある。すなわち、製造途中の顆粒剤や散剤には金属粉や金属片等の異物が混入しているおそれがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
最終製品としての顆粒剤や散剤中に金属粉等の異物が混入していてはならず、金属粉等を除去しなければならない。そのため、顆粒剤や散剤中に磁石を入れ、撹拌する方法や、移送経路の一部に磁石を固定し、その上を顆粒剤や散剤を移送することにより、混入した金属粉等を除去する方法が採られている。しかし、混入した金属粉が非磁性体の場合、磁石に吸着されず捕集することはできない。また、混入した金属粉が磁性体の場合であっても、一旦磁石に吸着された金属粉が他の粒子の衝突によって磁石から外れる場合がある。また、混入した金属粉の周囲を他の粉末粒子が取り囲んでいる場合、金属粉自身に移動の自由がなく、磁石との接触の機会が少なくなり、除去が困難となる。従って、従来の方法では、顆粒剤や散剤中に金属粉等の異物をほぼ完全に除去することはできないという問題点を有していた。
【0004】
本発明は、以上のような従来例の問題点を解決するためになされたものであり、混入した金属粉等の異物が磁性体であるか非磁性体であるかにかかわりなく、ほぼ100%除去することが可能な流動層風篩装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の流動層風篩装置は、
フィルターにより垂直方向に分割された下部の送風チャンバーと上部の流動層チャンバーとを有する筐体と、
前記筐体の水平な所定方向における一方の端部に設けられた被風篩物供給口及び他方の端部に設けられた被風篩物排出口と、
前記流動層チャンバーを前記所定方向に少なくとも2つ以上に仕切り、前記フィルター及び前記筐体の天井部とそれぞれ所定の距離を隔てて設けられた1又は2以上の仕切板と、
前記仕切板により仕切られた前記流動層チャンバーの少なくともいずれかの部分に設けられた磁石と、
前記送風チャンバーに設けられ、前記送風チャンバーに所定の空気流を発生させる手段とを具備している。
上記構成において、フィルターは、パンチング板、スクリーン、ろ布及び板状焼結金属から選択されたいずれかであることが好ましい。
また、上記構成において、フィルターは、前記所定方向に直交する方向に、略V字状断面を有することが好ましい。
また、上記構成において、磁石は仕切板により仕切られた流動層チャンバーの各部分にそれぞれ2以上設けられていることが好ましい。
また、上記構成において、磁石の磁力は1000〜13000ガウスの範囲であることが好ましい。
また、上記構成において、磁石は電磁石及び永久磁石から選択されたいずれかであることが好ましい。
また、上記構成において、送風チャンバーに供給される空気は常温風又は冷却風であることが好ましい。
また、上記構成において、送風チャンバー内部と流動層チャンバー内部の差圧は10〜200mmH2Oの範囲であることが好ましい。
また、上記構成において、被風篩物は粉粒体であることが好ましい。
また、上記構成において、筐体の天井部分に排気口が設けられていることが好ましい。
また、上記構成において、筐体の天井部分にフィルター及び空気取入れ口が設けられていることが好ましい。
また、上記構成において、被風篩物排出口から排出された被風篩物は空気輸送により次の工程に搬送されることが好ましい。
また、上記構成において、仕切板は2以上設けられ、それぞれ高さが異なることが好ましい。
また、上記構成において、フィルターからの仕切板の高さが調節可能であることが好ましい。
また、上記構成において、フィルターからの被風篩物排出口の高さが調節可能であることが好ましい。
また、上記構成において、筐体は、被風篩物排出口側が被風篩物供給口側よりも低くなるように設けられていることが好ましい。
また、上記構成において、筐体は傾斜可能に設けられていることが好ましい。また、上記構成において、仕切板により仕切られた流動層チャンバーの少なくともいずれかの部分にノズルが設けられていることが好ましい。
【0006】
【作用】
以上のように構成された本発明の流動層風篩装置によれば、被風篩物、例えば顆粒体や粉体等は筐体の水平な所定方向における一方の端部に設けられた被風篩物供給口から筐体の流動層チャンバーに導入される。流動層チャンバーの内部では、被風篩物は送風チャンバーに導入されフィルターを通って流動層チャンバー内に発生される空気流により巻き上げられ、個々の粒子の間隔が広がる。被風篩物中に混入していた金属粉等の混入異物は被風篩物よりも重たいため、自重により落下し、フィルター上に堆積する。また、混入異物が磁性体の場合、フィルター上に落下する前に磁石に吸引され、捕集される。仕切板は、流動層チャンバー内に導入された被風篩物が短時間の内に被風篩物排出口から排出されるのを防止し、被風篩物は少なくとも所定の時間流動層チャンバー内にとどまる。被風篩物の内、比較的軽い粒子は仕切板の上を越えて隣の部分に移動する。また、重たい粒子は仕切板とフィルターとの隙間を潜って移動する。その間、被風篩物は十分に撹拌され、混入異物はフィルター上に堆積し又は磁石に捕集されるので、被風篩物から混入異物をほぼ完全に分離し、除去することができる。
【0007】
フィルターをパンチング板、スクリーン、ろ布及び板状焼結金属から選択されたいずれかとすることにより、空気だけを送風チャンバーから流動層チャンバーに送り込むことができ、フィルター上に堆積した混入異物が送風チャンバー内に落下するこはない。また、フィルターの所定方向に直交する方向の断面形状を略V字状とすることにより、堆積した混入異物を略V字状断面の底部に集めることができる。
【0008】
また、仕切板により仕切られた流動層チャンバーの各部分にそれぞれ磁石を2以上設けることにより、磁性体と非磁性体とを分離して捕集することが可能であり、捕集効率が向上し、フィルター上に堆積する混入異物の量を少なくすることができる。その結果、フィルターの目詰りが少なくなり、長時間にわたって風篩を行うことができる。また、磁石の磁力が1000ガウス以下では、磁力が十分ではないため、金属粉を強固に捕集することができず、又は一旦捕集した金属粉が他の粒子の衝突により離れてしまう場合がある。また、磁石の磁力が13000ガウス以上であれば、磁力が強力すぎて取扱が困難である。そのため、磁力を1000〜13000ガウスの範囲とすることにより、磁石の取扱が容易で、かつ一旦磁石に捕集された磁性体混入異物が再度離れるおそれが少なくなる。また、磁石が電磁石の場合、電磁石への通電を解除することにより、磁石に捕集された金属粉が自然に落下し、装置の清掃が容易になる。一方、磁石が永久磁石の場合、電源の無い場所でも使用することができる。
【0009】
一般に、乾燥直後の顆粒剤等は40〜70℃に加熱されているため、そのまま収缶すると変質や凝集の原因となる。そこで、送風チャンバーに供給される圧縮空気を常温風又は冷却風とし、被風篩物を冷却することにより変質や凝集を防止することができる。また、送風チャンバー内部と流動層チャンバー内部の差圧を10〜200mmH2Oの範囲とすることにより、被風篩物が被風篩物供給口から逆流したり、被風篩物排出口から吹出すことはない。
【0010】
筐体の天井部分に排気口を設けることにより、送風チャンバーから流動層チャンバーに流れる空気を排出することができる。被風篩物が粒体である場合、被風篩物が排気口から筐体外部に排出されることはほとんどない。
【0011】
一方、筐体の天井部分にフィルター及び空気取入れ口を設けることにより、送風チャンバーから流動層チャンバーに流れる圧縮空気とともに、被風篩物を搬送することができる。特に、被風篩物が粉体である場合、被風篩物排出口から排出された被風篩物を空気輸送により次の工程に搬送することにより、効率よく搬送を行うことができる。
【0012】
仕切板を2以上設け、それぞれ高さが異なるようにすることにより、各仕切板で仕切られた部分における流動状態が異なり、流動が緩慢な方向に混入異物が集まり、被風篩物との分離を効率よく行うことができ、被風篩物からほぼ完全に異物を除去することが可能となる。また、フィルターからの仕切板の高さを調節可能とすることにより、被風篩物の種類や性質に応じて滞留時間を調節したり、筐体内に滞留する被風篩物の量を調節することができる。また、フィルターからの被風篩物排出口の高さが調節可能とすることによっても、同様に被風篩物の種類や性質に応じて滞留時間を調節したり、流動層チャンバー内に滞留する被風篩物の量を調節することができる。流動層チャンバー内での被風篩物の滞留量が増加し、滞留時間が長くなると、混入異物の除去される割合が向上する。また、筐体の被風篩物排出口側が被風篩物供給口側よりも低くなるようにしても、同様に各仕切板で仕切られた部分における流動状態が異なり、流動が緩慢な方向に混入異物が集まり、被風篩物との分離を効率よく行うことができ、被風篩物からほぼ完全に異物を除去することが可能となる。筐体を傾斜可能に支持することにより、容易に被風篩物排出口側を被風篩物供給口側よりも低くすることができる。
【0013】
また、仕切板により仕切られた流動層チャンバーの少なくともいずれかの部分にノズルを設け、定量的に香油を散布したり、他の粒子や粉末を添加することができ、連続定量混合機としても使用することができる。
【0014】
【実施例】
本発明の流動層風篩装置の好適な第1の実施例を、図1及び図2を参照しつつ説明する。図1は流動層風篩装置の第1の実施例の構成を示す斜視図であり、図2はその側部断面図である。第1の実施例は、被風篩物として粒子の大きさが、例えば0.4〜0.5mm程度の粒体を風篩する場合に適する。
【0015】
図1及び図2に示すように、第1の実施例の流動層風篩装置1は、筐体10と、筐体10の内部を垂直方向に送風チャンバー11と流動層チャンバー12との2つの部分に仕切るフィルター20と、送風チャンバー11に設けられた圧縮空気導入口13と、筐体10の相互に対向する2つの面の一方に設けられた被風篩物供給口14と、他方の面に設けられた被風篩物排出口15と、筐体10の天井部に設けられた排気口16と、流動層チャンバー12のほぼ中央部分に設けられ、流動層チャンバー12を水平な所定方向に仕切る仕切板21と、流動層チャンバー12の仕切板21で仕切られたそれぞれの部分に設けられた磁石22等を具備している。また、仕切板21により仕切られた流動層チャンバー12の一方の部分にノズル23が設けられている。さらに、被風篩物排出口15には、フィルター20からの被風篩物排出口のゲートの高さを調節するための排出ゲート24が設けられている。
【0016】
フィルター20は、例えばパンチング板、スクリーン、ろ布、板状焼結金属等であり、被風篩物の大きさや混入金属粉等の大きさに合せて様々な目の粗さのものを用いるが、この実施例では例えば80mesh程度のものを使用した。フィルター20の開口率は3〜10%程度のものが適当である。仕切り板21は例えばステンレス製の板であり、フィルター20及び筐体10の天井部とは所定の距離(隙間)を隔てるように設けられている。仕切板21の方向は、被風篩物供給口14と被風篩物排出口15とを結ぶ被風篩物の流れを阻止する方向、すなわち流れに対し直交する方向である。磁石22は略円筒状であり、被風篩物中に混入している磁性体金属粉と接触する機会を多くするため、その軸が仕切板21の方向とほぼ平行になるように複数設けられている。磁石22の磁力としては1000ガウス以上あればよいが、特に、長さが100μm以上の金属粉又は金属片を捕集する場合、6000ガウス程度が適当である。また、磁石の磁力が13000ガウス以上になると、磁力が強力すぎて取扱が困難となる。
磁石22として、電磁石及び永久磁石のいずれも使用することができる。電磁石の場合、通電を解除することにより、捕集した金属粉が自然に落下するので、清掃が容易になる。一方、永久磁石の場合、電源が無い場所でも使用することができる。
【0017】
一般に、送風チャンバー11に導入される圧縮空気の圧力が高すぎると、被風篩物が被風篩物供給口14から逆流したり、被風篩物排出口15や排気口16等から吹出すおそれがある。一方、送風チャンバー11に導入される圧縮空気の圧力が低すぎると、被風篩物のうち比較的重たい粒子がフィルター20上に堆積し、被風篩物のロスが多くなるか又は混入金属粉の除去が完全には行えなくなる。従って、送風チャンバー11に導入される圧縮空気の圧力と筐体10の外部の空気圧との差圧は60〜200mmH2Oの範囲が適当であり、特に0.4〜0.5mm程度の顆粒体(剤)を風篩する場合、60〜100mmH2O程度が好ましい。
【0018】
次に、図2を参照しつつ動作を説明する。被風篩物供給口14は、例えば前工程である乾燥装置等(図示せず)に接続され、顆粒体等の被風篩物30が被風篩物供給口13から毎分3〜10Kg程度の割合で流動層チャンバー12に供給される。流動層チャンバー12の内部では、送風チャンバー11からフィルター20を通って導入された圧縮空気により、被風篩物30は巻き上げられ流動する。流動層チャンバー12内では、個々の粒子の間隔が移送中と較べて広くなる。その結果、被風篩物30中に含まれる金属粉等の混入異物31の動きの自由度が広がる。金属粉等の混入異物31は被風篩物30である顆粒体に較べて重いため、自重で落下し、フィルター20上に堆積する。一方、混入異物31が磁性体金属粉である場合、落下途中で磁石22の磁力により吸引され、捕集される。一旦磁石22に捕集された混入異物31(金属粉)は、他の粒子の衝突等によっては磁石22から離れず、捕集された状態を維持する。
【0019】
流動層チャンバー12の内部では、仕切板21が流動する被風篩物30及び異物31の動きを妨げる。従って、被風篩物供給口14から供給された被風篩物30等は、すぐには被風篩物排出口15からは排出されず、一定時間流動層チャンバー12の内部にとどまる。被風篩物30の内、比較的軽い粒子は仕切板21の上を越えて図中左側から右側へ移動する。また、重たい粒子は仕切板21とフィルター20との隙間を潜って移動する。その間、被風篩物30は十分に撹拌され、混入異物31はフィルター20上に堆積し又は磁石22に捕集されるので、被風篩物30から混入異物31をほぼ完全に除去することができる。この第1の実施例の構成によれば、長さが100μm以上の非磁性の金属粉又は金属片であっても、ほぼ100%除去できることが確認されている。
【0020】
なお、上記第1の実施例では、流動層チャンバー12の内部に仕切板21を1枚設け、流動層チャンバー12を2つに仕切る場合を例示したが、仕切板21の数はこれに限定されず、2枚以上設けてもよい。この場合、仕切板21のそれぞれ高さが異なるようにすることにより、各仕切板21で仕切られた部分における流動状態が異なり、流動が緩慢な方向に混入異物31が集まり、被風篩物30との分離を効率よく行うことができ、被風篩物からほぼ完全に異物を除去することが可能となる。また、フィルター20からの仕切板21の高さを調節可能とすることにより、被風篩物30の種類や性質に応じて滞留時間を調節したり、流動層チャンバー12内に滞留する被風篩物30の量を調節することができる。その場合、被風篩物30が流動層チャンバー12の内部にとどまる時間が長くなるため、混入異物31の除去される割合がさらに向上する。一方、流動層チャンバー12に供給する被風篩物30の割合を少なくしても、同様に被風篩物30が流動層チャンバー12の内部にとどまる時間が長くなる。また、排出ゲート24を高くすると、流動層チャンバー12内での被風篩物30の滞留量が増加し、流動層チャンバー12内に滞留する時間が長くなる。その結果、混入異物31の除去される割合がさらに向上する。
【0021】
また、上記第1の実施例では、流動層風篩装置1を乾燥装置(図示せず)の次の工程に設ける場合を例示したが、一般に、乾燥直後の顆粒剤等は40〜70℃に加熱されているため、そのまま収缶すると変質や凝集の原因となる。そこで、送風チャンバー11に供給する圧縮空気を常温風又は冷却風とし、被風篩物30を冷却することにより変質や凝集を防止することができる。また、仕切板21により仕切られた流動層チャンバー12の少なくともいずれかの部分にノズル23を設けているので、このノズル23を用いて定量的に香油を散布したり、他の粒子や粉末を添加することができ、連続定量混合機としても使用することができる。
【0022】
次に、本発明の流動層風篩装置の好適な第2の実施例を、図3及び図4を参照しつつ説明する。図3は流動層風篩装置の第2の実施例の構成を示す側部断面図であり、図4はそのA−A断面図である。上記第1の実施例では、筐体10の天井部分に排気口16が設けられているため、被風篩物が微風で飛散し浮遊する粉体等の場合、排気と共に筐体10の外部へ排出されるため、粉体の風篩に使用することはできない。そこで、第2の実施例は被風篩物として粉体を風篩する場合に適するように構成されたものである。なお、第1の実施例と共通する構成要素についてはその説明を省略する。
【0023】
図3及び図4に示すように、第2の実施例の流動層風篩装置100は、筐体50と、筐体50の内部を垂直方向に送風チャンバー51と流動層チャンバー52との2つの部分に仕切るフィルター60と、送風チャンバー51に設けられた圧縮空気導入口57と、筐体50の相互に対向する2つの面の一方に設けられた被風篩物供給口53と、他方の面に設けられた被風篩物排出口56と、筐体50の天井部に設けられたフィルター及び空気取入れ口65と、被風篩物排出口56のゲートの高さを調節するための排出ゲート66と、流動層チャンバー52に設けられ流動層チャンバー52を水平な所定方向に複数の部分に仕切る複数の仕切板62、63、64と、流動層チャンバー52の仕切板62、63、64で仕切られたそれぞれの部分に設けられた磁石61等を具備している。また、被風篩物供給口53は、顆粒剤や散剤等の材料を粉砕するパワーミル等の粉砕機54に直接接続されている。また、被風篩物排出口56から先は、被風篩物40は空気輸送されるため、風量調整用の空気取入れ口55が設けられている。
【0024】
図4に示すように、フィルター60は、被風篩物供給口53と被風篩物排出口56とを結ぶ被風篩物40の流れを阻止する方向、すなわち流れに対し直交する方向の断面形状が略V字状である。このような形状にすることにより、堆積した混入異物41は略V字状断面の底部に集められる。第2の実施例の場合、被風篩物40が粉体であるので、筐体50の天井部分に設けられたフィルター及び空気取入れ口65から空気を取入れ、送風チャンバー51から流動層チャンバー52に流れる圧縮空気とともに、被風篩物40を空気輸送する。また、仕切板62、63、64の高さがそれぞれ異なるように設定されており、各仕切板62、63、64で仕切られた各部分における流動状態が異なる。そのため、流動が緩慢な方向に混入異物41が集まりやすく、被風篩物40と混入異物41とが効率よくの分離される。さらに、筐体50の被風篩物排出口56側が被風篩物供給口53側よりも低くなるよう筐体50を構成するか、又は筐体50を傾斜して保持することにより、各仕切板62、63、64で仕切られた各部分における流動状態が異なり、流動が緩慢な方向に混入異物41が集まりやすくなり、被風篩物40と混入異物41とが効率よく分離される。その結果、被風篩物40から混入異物41がほぼ完全に除去される。
【0025】
なお、上記第2の実施例の場合、個々の粒子の重量の軽い粉体を対象としているため、送風チャンバー51に導入される圧縮空気の圧力と筐体50の外部の空気圧との差圧は60〜150mmH2Oの範囲が適当である。また、フィルター60は略V字状断面を有するため、例えばパンチング板、スクリーン、板状焼結金属等が好ましく、被風篩物の大きさや混入金属粉等の大きさに合せて様々な目の粗さのものを用いるが、この実施例では例えば150mesh程度のものを使用した。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明の流動層風篩装置によれば、被風篩物、例えば顆粒体や粉体等は筐体の水平な所定方向における一方の端部に設けられた被風篩物供給口から筐体の流動層チャンバーに導入され、流動層チャンバーの内部で被風篩物は送風チャンバーに導入されフィルターを通って流動層チャンバー内に発生された空気流により巻き上げられ、個々の粒子の間隔が広がるので、被風篩物中に混入していた被風篩物よりも重い金属粉等の混入異物は自重により落下し、フィルター上に堆積する。その結果、被風篩物から混入異物を除去することができる。また、流動層チャンバー内に磁石を設けているので、磁性体の混入異物をフィルター上に落下する前に磁石に吸引し捕集することができる。また、流動層チャンバー内に仕切板を設けているので、流動層チャンバー内に導入された被風篩物が短時間の内に被風篩物排出口から排出されるのを防止し、被風篩物は少なくとも所定の時間流動層チャンバー内にとどめることができる。そのため、被風篩物は流動層チャンバー内で十分に撹拌され、混入異物はフィルター上に堆積し又は磁石に捕集されるので、被風篩物から混入異物をほぼ完全に分離し、除去することができる。
【0027】
フィルターをパンチング板、スクリーン、ろ布及び板状焼結金属から選択されたいずれかとすることにより、空気だけを送風チャンバーから流動層チャンバーに送り込むことができ、フィルター上に堆積した混入異物が送風チャンバー内に落下することを防止することができる。また、フィルターの所定方向に直交する方向の断面形状を略V字状とすることにより、堆積した混入異物を略V字状断面の底部に集めることができる。
【0028】
また、仕切板により仕切られた流動層チャンバーの各部分にそれぞれ磁石を2以上設けることにより、磁性体と非磁性体とを分離して捕集することができ、混入異物の捕集効率が向上し、フィルター上に堆積する混入異物の量を少なくすることができる。その結果、フィルターの目詰りが少なくなり、長時間にわたって風篩を行うことができる。また、磁石の磁力を1000〜13000ガウスの範囲とすることにより、磁石の取扱が容易で、かつ一旦磁石に捕集された磁性体混入異物が再度離れるおそれが少なくすることができる。また、磁石を電磁石とすることにより、電磁石への通電の解除により磁石に捕集された金属粉が自然に落下し、装置の清掃が容易になる。または、磁石を永久磁石とすることにより、電源の無い場所でも使用することができる。
【0029】
送風チャンバーに供給される空気を常温風又は冷却風とし、被風篩物を冷却することにより変質や凝集を防止することができる。また、送風チャンバー内部と流動層チャンバー内部の差圧を10〜200mmH2Oの範囲とすることにより、被風篩物が被風篩物供給口から逆流したり、被風篩物排出口から吹出すことを防止することができる。
【0030】
筐体の天井部分に排気口を設けることにより、送風チャンバーから流動層チャンバーに流れる圧縮空気を排出することができる。被風篩物が顆粒体である場合、被風篩物が排気口から筐体外部に排出されることはほとんどない。一方、筐体の天井部分にフィルター及び空気取入れ口を設けることにより、送風チャンバーから流動層チャンバーに流れる圧縮空気とともに、被風篩物を搬送することができる。特に、被風篩物が粉体である場合、被風篩物排出口から排出された被風篩物を空気輸送により次の工程に搬送することにより、効率よく搬送を行うことができる。
【0031】
また、仕切板を2以上設け、それぞれ高さが異なるようにすることにより、各仕切板で仕切られた部分における流動状態が異なり、流動が緩慢な方向に混入異物が集まり、被風篩物との分離を効率よく行うことができ、被風篩物からほぼ完全に異物を除去することが可能となる。また、フィルターからの仕切板の高さを調節可能とすることにより、被風篩物の種類や性質に応じて滞留時間を調節したり、筐体内に滞留する被風篩物の量を調節することができる。また、フィルターからの被風篩物排出口の高さが調節可能とすることによっても、同様に被風篩物の種類や性質に応じて滞留時間を調節したり、流動層チャンバー内に滞留する被風篩物の量を調節することができる。流動層チャンバー内での被風篩物の滞留量が増加し、滞留時間が長くなると、混入異物の除去される割合が向上する。また、筐体の被風篩物排出口側が被風篩物供給口側よりも低くなるようにしても、同様に各仕切板で仕切られた部分における流動状態が異なり、流動が緩慢な方向に混入異物が集まり、被風篩物との分離を効率よく行うことができ、被風篩物からほぼ完全に異物を除去することが可能となる。筐体を傾斜可能に支持することにより、容易に被風篩物排出口側を被風篩物供給口側よりも低くすることができる。
【0032】
また、仕切板により仕切られた流動層チャンバーの少なくともいずれかの部分にノズルを設け、定量的に香油を散布したり、他の粒子や粉末を添加することができ、連続定量混合機としても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の流動層風篩装置の第1の実施例の構成を示す斜視図
【図2】図1の側部断面図
【図3】本発明の流動層風篩装置の第2の実施例の構成を示す側部断面図
【図4】図3の正面断面図
【符号の説明】
1 :流動層風篩装置
10 :筐体
11 :送風チャンバー
12 :流動層チャンバー
13 :圧縮空気導入口
14 :被風篩物供給口
15 :被風篩物排出口
16 :排気口
20 :フィルター
21 :仕切板
22 :磁石
23 :ノズル
24 :排出口ゲート
30 :被風篩物(顆粒体)
31 :混入異物(金属粉)
40 :被風篩物(粉体)
41 :混入異物(金属粉)
50 :筐体
51 :送風チャンバー
52 :流動層チャンバー
53 :被風篩物供給口
54 :粉砕機
56 :被風篩物排出口
57 :圧縮空気導入口
60 :フィルター
61 :磁石
62 :仕切板
63 :仕切板
64 :仕切板
65 :フィルター及び空気取入れ口
66 :排出口ゲート
Claims (17)
- フィルターにより垂直方向に分割された下部の送風チャンバーと上部の流動層チャンバーとを有する筐体と、
前記筐体の水平な所定方向における一方の端部に設けられた被風篩物供給口及び他方の端部に設けられた被風篩物排出口と、
前記流動層チャンバーを前記所定方向に少なくとも2つ以上に仕切り、前記フィルター及び前記筐体の天井部とそれぞれ所定の距離を隔てて設けられた1又は2以上の仕切板と、
前記仕切板により仕切られた前記流動層チャンバーの少なくともいずれかの部分に設けられた磁石と、
前記送風チャンバーに設けられ、前記送風チャンバーに所定の空気流を発生させる手段とを具備する流動層風篩装置。 - フィルターは、パンチング板、スクリーン、ろ布及び板状焼結金属から選択されたいずれかである請求項1記載の流動層風篩装置。
- フィルターは、被風篩物供給口から被風篩物排出口へ向かう被風篩物の流れ方向に対して直交する方向の断面形状が略V字状である請求項2記載の流動層風篩装置。
【請求項4】磁石は仕切板により仕切られた流動層チャンバーの各部分にそれぞれ2以上設けられている請求項1記載の流動層風篩装置。 - 磁石の磁力は1000〜13000ガウスの範囲である請求項1又は4記載の流動層風篩装置。
- 磁石は電磁石及び永久磁石から選択されたいずれかである請求項1、4又は5のいずれかに記載の流動層風篩装置。
- 送風チャンバーに供給される空気は常温風又は冷却風である請求項1記載の流動層風篩装置。
- 送風チャンバー内部と流動層チャンバー内部の差圧は10〜200mmH2Oの範囲である請求項1又は7記載流動層風篩装置。
- 被風篩物は粉粒体である請求項1記載の流動層風篩装置。
- 筐体の天井部分に排気口が設けられている請求項1記載の流動層風篩装置。
- 筐体の天井部分にフィルター及び空気取入れ口が設けられている請求項1記載の流動層風篩装置。
- 被風篩物排出口から排出された被風篩物は空気輸送により次の工程に搬送される請求項1又は11記載の流動層風篩装置。
- 仕切板は2以上設けられ、それぞれ高さが異なる請求項1記載の流動層風篩装置。
- フィルターからの仕切板の高さが調節可能な請求項1又は13に記載の流動層風篩装置。
- フィルターからの被風篩物排出口の高さが調節可能である請求項1、13及び14のいずれかに記載の流動層風篩装置。
- 筐体は、被風篩物排出口側が被風篩物供給口側よりも低くなるように設けられている請求項1記載の流動層風篩装置。
- 筐体は傾斜可能に設けられている請求項1又は16に記載の流動層風篩装置。
- 仕切板により仕切られた流動層チャンバーの少なくともいずれかの部分に、香油を散布し、又は被風篩物と異なる他の粒子や粉末を添加するためのノズルが設けられている請求項1記載の流動層風篩装置。
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