JP3539992B2 - 超純水製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、低圧紫外線ランプから発生する特定波長の紫外線を照射して水中の有機物を分解イオン化することにより除去するようにした超純水製造装置において、紫外線の照射効率を改善し、装置のイニシャルコスト、ランニングコストを低減させた超純水製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、超純水中の有機物濃度を減少させるための処理方法として、イオン交換処理や逆浸透膜処理の施された一次純水に、紫外線を照射して混床式イオン交換装置で仕上げ処理する方法が知られている。
【0003】
また、有機物の分解イオン化処理に使用する紫外線ランプとして、180〜190nm(特に184.9nm)の紫外線を発生する低圧紫外線ランプを用いることにより、効率的に有機物の分解イオン化を行うことも知られている(特開平1-164488号公報)。
【0004】
ところで、低圧紫外線ランプによる有機物の分解イオン化は、一般に、図2に示すごとく、ステンレス材料で構成された紫外線照射装置17の一端には被処理水の入口12および出口13が設けてある。また、装置本体17の内面は紫外線反射が効率よく行われるように研摩されており、14は紫外線透過率の良い材料で、例えば高純度石英ガラスにより構成れた筒状管であり、紫外線が効率よく水中に到達するように30〜40mm間隔で複数本が配置されている。なお、じゃま板16が水の流路に設けられており被処理水は乱流が起きて均等に紫外線が照射されるようになっている。なお、図中15は低圧紫外線ランプを示す。
【0005】
これまで、低圧紫外線ランプの照射量は被処理水流量を低下させたり、ランプ本数を増やすなどして高くしていたが、それでも全く紫外線に曝露されずに有機物がそのまま通過してしまう部分もあって効果が不十分である上に、高エネルギーの紫外線により有機物の酸化分解が過度に行われてしまい混床式イオン交換装置に対する負荷が増大するという新たな問題が見出だされた。
【0006】
すなわち、通常、紫外線照射装置は、高分子量の有機物を除去するための逆浸透膜装置の次段に配置されており、逆浸透膜装置で除去されなかった低分子量の有機物だけが紫外線照射装置で紫外線照射されることになるが、例えば、炭素数4の有機物が180〜190nmの紫外線照射により酸化分解するときには、低出力の低圧紫外線ランプでは1モルの有機物から2モルの酢酸が生成する反応が主として行われ、混床式イオン交換装置に対して2モル分の負荷となるのに対して、高出力の低圧紫外線ランプを使用した場合には、酸化分解が過度に進行する結果、1モルの有機物から4モルの炭酸ガスが生成する反応が主として行われようになり、混床式イオン交換装置に対して4モル分の負荷が生じることになり、混床式イオン交換装置の処理能力を低下させてしまうという問題が生じたのである。
【0007】
なお、二次純水システムにおいて、254nm付近の紫外線ランプと逆浸透膜装置の組合せと185nmの紫外線ランプと混床式イオン交換装置の組合せとを設置して、殺菌と有機物の分解除去を紫外線照射により行うようにした超純水製造装置も提案されているが(特開平5-138167号公報)、このような装置においては、254nm付近の紫外線ランプと逆浸透膜装置の組合せによっては有機物の分解イオン化はほとんど行われず、185nmの紫外線ランプと混床式イオン交換装置の組合せによることで効率的に有機物の分解イオン化が行われて混床式イオン交換装置による除去が可能となるので、この装置においても同様の問題が生ずる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した通り、従来の超純水製造装置における低圧紫外線ランプによる有機物の分解イオン化除去方法では180〜190nmの紫外線の純水中における照射は超純水製造装置内の1ケ所でかつ高照射量であったため、被処理水を紫外線照射装置に通過させても、低圧紫外線ランプから離れた位置を通過する被処理水は紫外線に曝露されずに通過してしまい、また、紫外線の十分照射された被処理水は、かえって有機物の酸化が過度に進んで炭酸ガスにまで分解されてしまい、イオンの発生モル数が増加して後段の混床式イオン交換装置の負荷を増大させてしまうという問題があった。
【0009】
そして、紫外線照射により有機物を分解する超純水製造装置においては、システム中に占める低圧紫外線ランプの設備コスト及び照射コストが非常に高いため、これらの問題は、超純水製造装置のイニシャルコスト及びランニングコストを上昇させる大きな要因となっていた。
【0010】
本発明は、かかる従来の問題を解消すべくなされたもので、紫外線により有機物を分解する超純水製造装置において、紫外線の照射効率を高めるとともに、イニシャルコスト及びランニングコストを低減させることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段とその作用】
本発明は、上記の技術的な課題を解決するために、前処理システム、一次純水システムと二次純水システムからなる超純水製造装置において、前記一次純水システムには、2段の逆浸透膜処理の後に、180〜190nmの波長を含む紫外線を照射する低圧紫外線ランプを備えた紫外線照射装置と混床式イオン交換装置をこの順に配置した、比較的に濁質の少ない原水に用いる第1のシステムと、2床3塔型イオン交換装置と逆浸透膜装置の後に、180〜190nmの波長を含む紫外線を照射する低圧紫外線ランプを備えた紫外線照射装置と混床式イオン交換装置をこの順に配置した、比較的に濁水の多い原水に用いる第2のシステムとを並列的に設けられており、該二次純水システムには、180〜190nmの波長を含む紫外線を照射する低圧紫外線ランプを備えた紫外線照射装置と混床式イオン交換装置のこの順の組合せを流路に沿って少なくとも1組設けてあることを特徴とする。
【0012】
本発明に使用される低圧紫外線ランプは、180〜190nm、とりわけ184.9nmの紫外線を発生するものであるが、これらの紫外線のみを発生するものである必要はなく、254nm,450nm,550nm等の波長の紫外線も同時に発生するものが通常使用される。ちなみに、市販のものでは184.9nmの波長の紫外線は、254nmの紫外線の10%程度しか発生しない。
【0013】
低圧紫外線ランプの照射量としては、0.1〜2kW・h/m3 、好ましくは0.2〜1kW・h/m3 である。低圧紫外線ランプの出力が2kW・h/m3 を越えると有機物の分解は促進されるが消費電力が上昇しかつ炭酸ガスにまで分解される比率が高くなり、混床式イオン交換装置の容量負荷を大きくするので好ましくない。0.1kW・h/m3 以下では、照射量が少なく、有機物が分解されない。
【0014】
また、低圧紫外線ランプを点灯させる電源としては、高周波電子安定器により周波数20〜80kHzとした高周波電源が適している。
【0015】
従来、電磁安定器が低圧紫外線ランプの電源に用いられていたが、電磁安定器は、銅損、鉄損による電力損失が大きく消費電力に対するランプ電力の割合が小さいものとなる。これに対して、高周波電子安定器は、交流をダイオードブリッジ回路で全波整流し、さらに定電流プッシュプルインバータで周波数20〜80kHzの高周波電圧にして低圧紫外線ランプに供給するので、回路損失が少なく効率が高い上に、低圧紫外線ランプの点灯時間による出力減衰が非常に少なくなるという利点がある。
【0016】
本発明においては、一次純水システムの紫外線照射装置の前段に、比較的高分子量の有機物を除去するために逆浸透膜装置を配置することが望ましい。
【0017】
一次純水システムは、比較的濁質の少い原水を用いる場合には、逆浸透膜装置を2段に配置することが好ましく、比較的濁質の多い原水を使用する場合には、濁質に強い2床3塔型イオン交換装置を逆浸透膜装置の前段に配置することが望ましい。
【0018】
本発明の超純水製造装置においては、一次純水システムと二次純水システムに、それぞれ、180〜190nmの波長を含む紫外線を照射する低圧紫外線ランプを備えた紫外線照射装置と混床式イオン交換装置の組合せを流路に沿って設けたので、各低圧紫外線ランプの負荷が軽減され、このため各低圧紫外線ランプの出力を低くして有機物の分解を有機酸までで止めることができる。したがって、混床式イオン交換装置の負荷が軽減され、ランニングコストの低減をはかることができる。また、電源として電子安定器により20〜80kHzとされた高周波電源を用いた場合には、従来の50Hz(50 C/S)の場合と比べて効率が向上し、その分184.9nm波長の紫外線出力を増大させることができるようになり、またランプの寿命も延ばすことができる。
【0019】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を第1図を参照にしながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の超純水製造装置の実施例のフローチャートであり、一次純水システムは、比較的濁質の少い原水を用いる場合の第1の一次純水システムA1 と、比較的濁質の多い原水を用いる場合の第2の一次純水システムA2 とを並列的に示してある。実際の超純水製造装置としては、比較的濁質の少い原水を用いる場合には、第1の一次純水システムA1 に二次純水システムBを接続した装置として構成され、比較的濁質の多い原水を用いる場合には、第2の一次純水システムA2 . に二次純水システムBを接続した装置として構成される。
【0021】
第1の一次純水システムA1 は、前処理装置1、前処理タンク2、2段に設置された逆浸透膜装置3,4、180〜190nmの紫外線を放射する低圧紫外線ランプを有する紫外線照射装置5、自動再生式の混床式イオン交換装置6を流路に沿って順に配置して構成されており、第2の一次純水システムA2 は、前処理装置1′、前処理タンク2′、2床3塔型イオン交換装置3′、逆浸透膜装置4′、180〜190nmの紫外線を放射する低圧紫外線ランプを有する紫外線照射装置5′、自動再生式の混床式イオン交換装置6′を流路に沿って順に配置して構成されている。
【0022】
二次純水システムBは、一次純水タンク7、180〜190nmの紫外線を放射する低圧紫外線ランプを有する紫外線照射装置8、非再生型の混床式イオン交換装置(ポリッシャー)9、限外濾過膜装置10及びユースポイント11から構成されている。
【0023】
図示を省略したが、180〜190nmの紫外線を放射する低圧紫外線ランプを有する紫外線照射装置5,5′,8としては、0.25kW・h/m3 の照射量のもの(千代田工販株式会社、低圧UV酸化用ランプ)が使用され、低圧紫外線ランプを点灯させる電源としては、高周波電子安定器(千代田工販株式会社、電子安定器)により周波数50kHzとした高周波電源が用いられている。なお、混床式イオン交換装置5,5′は、自動再生型の装置に限るものではなく、小規模装置の場合には非再生型のカラムタイプのものを使用しても差し支えない。
【0024】
次に、この実施例の装置の操作について説明する。
【0025】
この実施例では、濁質の少ない原水を使用する場合には第1の一次純水システムA1 と二次純水システムBとの組合わせからなる超純水製造装置を使用し、濁質の多い原水を使用する場合には第2の一次純水システムA1 と二次純水システムBとの組合わせからなる超純水製造装置を使用している。
【0026】
まず、濁質の少ない市水、工業用水、井水などの原水を用いる場合には、これらの原水は、第1の一次純水システムA1 の前処理システム1を経て前処理水タンク2に貯溜される。次いで、2段の逆浸透膜装置3,4によって原水中の比較的高分子量の有機物、微粒子あるいはイオンが除去される。そして残存した比較的低分子量の有機物は、紫外線照射装置5を経て原水中の低分子量の有機物が分解されて主として有機酸に分解され、混床式イオン交換装置6に入り、ここで生成した有機酸が吸着除去されて比抵抗が上昇する。一次純水システムA1 で処理された1次純水は、一次純水タンク7へ貯留される。
【0027】
二次純水システムBにおいては、紫外線照射装置8において180〜190nmの紫外線が照射され、一次純水システムA1 において分解されずに通過した微量かつ低分子量域の有機物が有機酸にまで分解され、この有機酸は次段のポリッシャーと呼ばれる非再生型の混床式イオン交換装置9で除去され、限外濾過装置10で最終的に微粒子が取り除かれた後ユースポイント11へ送られる。
【0028】
ユースポイント11で使用されなかった超純水はユースリターン配管を通じて1次純水タンク7へ戻される。
【0029】
濁質の原水を使用する場合には、第2の一次純水システムA2 が用いられ、同様の処理が行われる。ただし、第2の一次純水システムの場合には、逆浸透膜装置3の代わりに濁質に強い2床3塔型イオン交換装置3′が配置されているので、ここで原水中の比較的高分子量の有機物と、濁質の微粒子あるいはイオンが除去される。
【0030】
この実施例で使用した原水及び得られた純水、並びに各部の処理水のTOC濃度は次の通りであった。
紫外線照射装置5,5′入口 50 TOC(μgc/g)
混床式イオン交換装置6出口 9
紫外線照射装置8入口 9
混床式イオン交換装置9出口 1
なお、実施例の紫外線照射装置の電源として用いた電子安定器を電磁安定器に代えて同一条件で行ったところ、結果は次の通りであった。
紫外線照射装置I 入口 50 TOC(μgc/g)
混床式イオン交換装置出口 11
紫外線照射装置8入口 11
混床式イオン交換装置9出口 4
また、比較のために、一次純水システムにのみ0.5kW・h/m3 の低圧紫外線ランプを有する紫外線照射装置(電子安定器付き)を配置し、二次純水システムには紫外線照射装置を用いずに実験を行ったところ、次の結果が得られた。
紫外線照射装置入口 50 TOC(μgc/g)
混床式イオン交換装置9出口 6
【0031】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の超純水製造装置は、一次純水システムと二次純水システムに、それぞれ、180〜190nmの波長を含む紫外線を照射する低圧紫外線ランプを備えた紫外線照射装置と混床式イオン交換装置の組合せを、この順に流路に沿って設けたことにより、低分子量の有機物は主として有機酸に分解されることになり、混床式イオン交換装置の効率を著しく向上させ、イニシャルコスト及びランニングコストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の超純水製造装置の構成を概略的に示す図。
【図2】従来の装置の構成の説明図。
【符号の説明】
1,1′…前処理システム
2,2′…前処理タンク
3,4,4′…逆浸透膜装置
3′……2床3塔型イオン交換装置
5,5′,8…紫外線照射装置
6,6′…再生型混床式イオン交換装置
7………1次純水タンク
9………非再生型混床式イオン交換装置
10………限外濾過膜装置
11………ユースポイント
A1 ,A2 …一次純水システム
B………二次純水システム

Claims (6)

  1. 前処理システム、一次純水システムと二次純水システムからなる超純水製造装置において、
    前記一次純水システムには、逆浸透膜処理の後に、180〜190nmの波長を含む紫外線を照射する低圧紫外線ランプを備えた紫外線照射装置と混床式イオン交換装置をこの順に配置した、比較的に濁質の少ない原水に用いる第1のシステムと、2床3塔型イオン交換装置と逆浸透膜装置の後に、180〜190nmの波長を含む紫外線を照射する低圧紫外線ランプを備えた紫外線照射装置と混床式イオン交換装置をこの順に配置した、比較的に濁水の多い原水に用いる第2のシステムとを並列的に設けられており、該二次純水システムには、180〜190nmの波長を含む紫外線を照射する低圧紫外線ランプを備えた紫外線照射装置と混床式イオン交換装置のこの順の組合せを流路に沿って少なくとも1組設けてあることを特徴とする超純水製造装置。
  2. 前記一次純水システムの第1のシステムの前には、前処理システム設けてあり;該二次純水システムには、180〜190nmの波長を含む紫外線を照射する低圧紫外線ランプを備えた紫外線照射装置と混床式イオン交換装置のこの順の組合せを流路に沿って少なくとも1組設け、その最終段に限外瀘過膜装置を設けたことを特徴とする請求項1記載の超純水製造装置。
  3. 前記一次純水システムの第2のシステムは、少なくとも1組は、2床3塔型イオン交換装置と逆浸透膜装置と180〜190nmの波長を含む紫外線を照射する低圧紫外線ランプを備えた紫外線照射装置と混床式イオン交換装置のこの順の組合せであることを特徴とする請求項1記載の超純水製造装置。
  4. 前記一次純水システムの第1のシステムにおける逆浸透膜装置は、2段に設けられてい
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超純水製造装置。
  5. 前記紫外線照射装置における紫外線ランプの1m/h当りの照射量は、0.1〜2kW・hであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の超純水製造装置。
  6. 前記紫外線照射装置における紫外線ランプは、電子安定器により20〜80kHzであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の超純水製造装置。
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