JP5826667B2 - 洗浄排水の処理装置および洗浄排水の処理方法 - Google Patents

洗浄排水の処理装置および洗浄排水の処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、洗浄排水の処理装置および処理方法、特に飲料製品等の充填前のペットボトル等の容器等を洗浄、殺菌した際に発生する洗浄排水の処理装置および処理方法に関する。
例えば、飲料産業では、飲料製品の充填前のペットボトル等の容器を洗浄、殺菌するため、オキソニア(酢酸、過酢酸および過酸化水素が混合された洗浄液)に代表される有機酸を殺菌剤に用いる場合がある。ペットボトルにオキソニア等を噴射して洗浄、殺菌を行うが、この際、ペットボトルに残留したオキソニア等を水道水または純水で流しており、オキソニアを含む洗浄排水が発生する。なお、一般に、ペットボトル等を洗浄する水はリンサー水、洗浄後の水はリンサー排水と呼ばれる。
有機酸系殺菌剤を含んだ洗浄排水を処理する方法として、特許文献1には、過酢酸含有水を活性炭と接触させた後、アニオン交換樹脂と接触させる方法が開示されている。また、特許文献2には、有機酸を殺菌剤として含む洗浄排水を還元中和濾材槽に供給した後、逆浸透膜分離装置、イオン交換樹脂に供給して、洗浄水として回収する方法が開示されている。
ところで、このリンサー排水に微量ながらアルデヒド等の有機物が含まれる場合がある。しかし、特許文献1や特許文献2で開示された処理方法では、アルデヒド等の有機物を低減、除去することは困難である。
また、特許文献3には、リンサー排水に混入した有機物等による菌の繁殖を防止するため、熱水殺菌機能を備えたリンサー排水回収システムが開示されている。しかし、特許文献3による方法は、有機物等の発生を前提に有機物等による菌の繁殖を防止することを目的としたものであり、有機物等を除去するものではない。また、熱水を製造供給するための設備が必要であると共に、リンサー排水の連続処理が困難である。
特許文献4には、リンサー排水等の殺菌洗浄装置から排出された洗浄排液に過酸化水素を添加して、活性炭と接触させて洗浄排液中のアルデヒドを除去する方法が開示されている。しかし、特許文献4による方法でも、アルデヒドを完全に分解するには至らず、リンサー排水を回収して再利用するとアルデヒド等の有機物が系内で濃縮されてしまう。
特開2001−129564号公報 特開2004−202313号公報 特開2007−054784号公報 特開2010−247009号公報
本発明の目的は、洗浄排水中の有機物の量を簡易な方法で低減して、効率よく洗浄排水の回収を行うことができる洗浄排水の処理装置および洗浄排水の処理方法を提供することにある。
本発明は、洗浄装置から排出された有機酸、ならびに、アルデヒド類、アルコール類、および有機溶剤のうち少なくとも1つを含有する洗浄排水中の前記有機酸を活性炭により還元処理する還元手段と、前記還元手段で処理された還元処理水に含まれるイオン成分を除去するイオン成分除去手段と、前記イオン成分除去手段で処理されたイオン成分除去処理水に、少なくとも185nmの波長の紫外線を照射することにより、前記イオン成分除去処理水に含まれる有機物を酸化処理する有機物酸化手段と、前記有機物酸化手段で処理された酸化処理水の少なくとも一部を前記洗浄装置に供給する供給手段と、を備える洗浄排水の処理装置である。
また、前記洗浄排水の処理装置において、前記酸化処理水の少なくとも一部を前記イオン成分除去手段の前段に送る循環手段をさらに備えることが好ましい。
また、前記洗浄排水の処理装置において、前記イオン成分除去手段は、前記還元手段の後段に複数、並列に設けられ、前記還元処理水が、前記複数のイオン成分除去手段の少なくとも1つに通水され、前記酸化処理水の少なくとも一部が、前記還元処理水が通水されたイオン成分除去手段以外のイオン成分除去手段の少なくとも1つに通水されることが好ましい。
また、前記洗浄排水の処理装置において、前記イオン成分除去手段は、アニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂の少なくとも一方が充填されたものであることが好ましい。
また、本発明は、洗浄装置から排出された有機酸、ならびに、アルデヒド類、アルコール類、および有機溶剤のうち少なくとも1つを含有する洗浄排水中の前記有機酸を活性炭により還元処理する還元工程と、前記還元工程で処理された還元処理水に含まれるイオン成分を除去するイオン成分除去工程と、前記イオン成分除去工程で処理されたイオン成分除去処理水に、少なくとも185nmの波長の紫外線を照射することにより、前記イオン成分除去処理水に含まれる有機物を酸化処理する有機物酸化工程と、前記有機物酸化工程で処理された酸化処理水の少なくとも一部を前記洗浄装置に供給する供給工程と、を含む洗浄排水の処理方法である。
また、前記洗浄排水の処理方法において、前記酸化処理水の少なくとも一部を前記イオン成分除去手段の前段に送る循環工程をさらに含むことを特徴とする洗浄排水の処理方法。
また、前記洗浄排水の処理方法において、前記還元処理水が、前記還元工程の後段に複数、並列に設けられたイオン成分除去手段の少なくとも1つに通水され、前記酸化処理水の少なくとも一部が、前記還元処理水が通水されたイオン成分除去手段以外のイオン成分除去手段の少なくとも1つに通水されることが好ましい。
また、前記洗浄排水の処理方法における前記イオン成分除去工程において、アニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂の少なくとも一方を用いてイオン成分を除去することが好ましい。
本発明の洗浄排水の処理装置および洗浄排水の処理方法では、イオン成分除去処理水に含まれる有機物を酸化処理することにより、洗浄排水中の有機物の量を簡易な方法で低減して、効率よく洗浄排水の回収を行うことができる。
本発明の実施形態に係る洗浄排水処理装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の実施形態に係る洗浄排水処理装置の他の例を示す概略構成図である。 本発明の実施形態に係る洗浄排水処理装置の他の例を示す概略構成図である。 実施例1で用いた洗浄排水処理装置を示す概略構成図である。 実施例2で用いた洗浄排水処理装置を示す概略構成図である。 比較例1で用いた洗浄排水処理装置を示す概略構成図である。 実施例1,2、比較例1における通水時間と処理水のTOC濃度との関係を示す図である。 実施例3で用いたUV酸化装置を示す概略構成図である。 実施例3におけるUV照射電力と処理水のTOC濃度との関係を示す図である。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る洗浄排水処理装置の一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。洗浄排水処理装置1は、還元手段として還元装置10と、イオン成分除去手段としてイオン成分除去装置12と、有機物酸化手段として有機物酸化装置14とを備える。洗浄排水処理装置1は、有機物酸化装置14の後段に洗浄水貯槽24を備えてもよい。
図1の洗浄排水処理装置1において、洗浄装置26からの洗浄排水配管16が還元装置10の入口に接続され、還元装置10の出口とイオン成分除去装置12の入口とが還元処理水配管18により接続され、イオン成分除去装置12の出口と有機物酸化装置14の入口とがイオン成分除去処理水配管20により接続され、有機物酸化装置14の出口と洗浄水貯槽24の入口とが酸化処理水配管22により接続されている。洗浄水貯槽24の出口は、洗浄装置26へ酸化処理水の少なくとも一部を洗浄水として供給する供給手段としての洗浄水配管28により洗浄装置26と接続されている。
本実施形態に係る洗浄排水の処理方法および洗浄排水処理装置1の動作について説明する。
洗浄、殺菌用の有機酸が洗浄水に添加された有機酸含有洗浄水が洗浄水配管28を通して洗浄装置26へ供給され、洗浄装置26において、例えば、飲料製品の充填前のペットボトル等の容器が洗浄、殺菌される。洗浄装置26において、ペットボトル等の容器に有機酸を含む有機酸含有洗浄水が噴射されて洗浄、殺菌が行われ、その後、容器に残留した有機酸等が洗浄水で流される。洗浄装置26において発生した有機酸等を含む洗浄排水(リンサー排水)の少なくとも一部は、洗浄排水配管16を通して還元装置10へ送液され、還元装置10において還元処理される(還元工程)。還元装置10で処理された還元処理水は、還元処理水配管18を通してイオン成分除去装置12へ送液され、含まれるイオン成分が除去される(イオン成分除去工程)。イオン成分除去装置12で処理されたイオン成分除去処理水は、イオン成分除去処理水配管20を通して有機物酸化装置14へ送液され、含まれる有機物が酸化処理される(有機物酸化工程)。有機物酸化装置14で処理された酸化処理水は、回収洗浄水として酸化処理水配管22を通して洗浄水貯槽24へ送液されて貯留される。回収洗浄水は、洗浄水貯槽24において必要に応じて補充洗浄水が補充され、洗浄水として洗浄水配管28を通して洗浄装置26に供給され(供給工程)、再利用される。
イオン成分除去処理水に含まれる有機物が有機物酸化装置14において酸化処理されることにより、洗浄排水中の有機物の量が簡易な方法で低減され、効率よく洗浄排水の回収が行われる。
還元装置10としては、少なくとも有機酸を還元処理するものであればよく、特に限定されない。還元装置10としては、例えば、活性炭を充填した装置、触媒を充填した装置等が挙げられ、費用対効果等の点から、活性炭を充填した装置が好ましい。
イオン成分除去装置12としては、過酢酸等が還元装置で分解されて発生した酢酸イオン等のイオン成分を少なくとも除去するものであればよく、特に限定されない。イオン成分除去装置12としては、例えば、イオン交換樹脂を充填したイオン交換装置、RO膜を備えたろ過装置等が挙げられ、水回収率等の点から、イオン交換樹脂を充填したイオン交換装置が好ましい。イオン交換樹脂としては、カチオン交換樹脂、アニオン交換樹脂、カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂の混床等が用いられる。
有機物酸化装置14としては、少なくとも有機物を酸化するものであればよく、特に限定されない。有機物酸化装置14としては、例えば、UV酸化装置、オゾン処理装置、光触媒装置等が挙げられる。
UV酸化装置は、少なくとも185nmの波長の紫外線を照射するものであることが好ましい。紫外線を照射する装置には、185〜254nmの紫外線を発光するものや、185nmがカットされて発光するもの等があるが、有機物は一般的に185nmの波長で酸化されやすいため、有機物酸化装置14としては、少なくとも185nmの波長の紫外線を照射して有機物を酸化することが可能なUV酸化装置が好ましい。例えば、185nmの紫外線のみを発光するUVランプや、185〜254nmの紫外線を発光するUVランプを備えるUV酸化装置を使用すればよい。
185nmの光は254nmに比べて到達範囲が狭い(有効照射距離が短い)ため、イオン成分除去処理水中の有機物を酸化分解するためには、イオン成分除去処理水を確実に185nmの光と接触させることが望ましい。そのためには、例えば、有機物を含む被処理水がUVランプの近傍を通過するような構造の装置形状もしくはUVランプの配置方法を用いる、または、UV酸化装置を多段に設置し、被処理水がUVランプ近傍を通過する確率を高める等の構成であることが好ましい。同じUV照射電力でも、UV酸化装置を多段に設置することで有機物を効率的に酸化分解することができ、UVランプが消費する電力を低減することができる。また、同じUV照射電力でもUV酸化装置を多段に設置することで、イオン成分除去処理水に185nmの紫外線をより効果的に照射することができるため、有機物を効率的に酸化分解することができる。
従来技術として、洗浄排水処理装置において紫外線殺菌装置を設けてUV処理を行っているシステムは存在するが、これはあくまで254nmの紫外線による「殺菌」を主目的としたものであり、185〜254nmの紫外線を発光するものであっても185nmの光の出力が弱いか、185nmの光がカットされていた。このような従来の紫外線殺菌装置では、たとえ185nmの波長の光が出力されていたとしても、上記の通り185nmの光は254nmに比べて到達範囲が狭いために被処理水中の有機物は実質的に酸化されず、有機物酸化という観点、すなわち、排水を185nmの光と確実に接触させるという観点で設けられていない。すなわち、このような従来の紫外線殺菌装置では、本実施形態のように有機物を酸化するという思想はなく、実質的に有機物は酸化されない。
また、例えば、超純水中の有機物をUV酸化処理する際は、UV酸化の後にイオン交換処理を行うことが一般的であるが、本実施形態に係る洗浄排水処理装置では、イオン交換処理(イオン成分除去)の後にUV酸化を行う。UV酸化の後にイオン交換処理を行う場合、酢酸イオン等のイオン成分と有機物が含まれた水をUV酸化することになるため、UVが酢酸イオン等の分解に消費されてしまい、有機物は酸化されにくい。そのため、本実施形態に係る洗浄排水処理装置のように、まず、イオン交換処理(イオン成分除去)で酢酸イオン等のイオン成分を除去してからUVで有機物を分解する方が、UV照射量が低減される。
さらに、UV酸化装置が装置の最後段にあっても有機物を完全に分解して二酸化炭素にまでしなくてもよく、有機酸にまで酸化分解すればよい。酸化処理水は回収されて再び洗浄水として使用することにより、再度、洗浄排水として回収される際に有機酸はイオン成分除去装置で処理され、有機酸の量が低減される。
185〜254nmの紫外線を発光するUV酸化装置を使用した場合は、185nmによる有機物酸化と254nmによる殺菌との双方を行うことができる。この場合、有機物酸化装置14(有機物酸化手段)は、イオン成分除去処理水を殺菌する殺菌装置(殺菌手段)を一つの装置で兼ねることができる。有機物酸化装置14としてオゾン処理装置、光触媒装置等を使用した場合は、有機物酸化装置14の後段に殺菌装置を別途設けてもよい。オゾン処理装置や光触媒装置とUV酸化装置との併用により、有機物の酸化効率を上げることができる。
有機物酸化装置14が備えるUVランプのUV照射電力(算出方法は後記)は、イオン成分除去処理水中のTOC濃度にもよるが、0.05kWh/m〜5kWh/mの範囲であることが好ましい。UV照射電力が0.05kWh/m未満であると、UV酸化の効果が著しく低下してしまう場合がある。また、UV照射電力が5kWh/mを超えると、UV照射電力を増やしていっても有機物の酸化が起こりにくくなり、UV照射電力に対する有機物酸化の効率が低下する場合がある。さらに、本実施形態に係る洗浄排水の処理方法および洗浄排水処理装置によれば、循環する有機酸をイオン成分除去装置で低減、除去できるため、有機物を有機酸にまで酸化するだけのUV照射電力であればよく、有機物を二酸化炭素まで酸化するUV照射電力でなくてもよい。よって、本実施形態においてUVランプのUV照射電力が0.05kWh/m〜5kWh/mとなるようにすることで、イオン成分除去処理水中の有機物が効率よく酸化される。
処理対象となる洗浄排水は、洗浄装置において発生した有機酸および有機物等を含む洗浄排水であればよく、特に限定されない。処理対象となる洗浄排水としては、例えば、飲料産業における飲料製品の充填前のペットボトル等の容器の洗浄により発生した洗浄排水、製品充填後の缶製品を殺菌する際に排出される洗浄排水等が挙げられる。有機酸としては、酢酸、過酢酸等が挙げられ、殺菌剤としてオキソニア(酢酸、過酢酸、過酸化水素の混合物)が用いられた場合は、有機酸の他に過酸化水素が含まれていてもよい。
有機物としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド類、アルコール類、有機塩素化合物に代表される有機溶剤等が挙げられる。例えば、アルデヒド類は、酸化処理により、有機酸にすればよい。
図2は、本実施形態に係る洗浄排水処理装置の他の例を示す概略構成図である。図2の洗浄排水処理装置3は、図1の洗浄排水処理装置1の構成に加えて、酸化処理水(回収洗浄水)の少なくとも一部をイオン成分除去装置12の前段に送る循環手段として、循環配管30をさらに備える。図2の洗浄排水処理装置3において、酸化処理水配管22と還元処理水配管18とが、循環配管30により接続されている。循環配管30により、酸化処理水の少なくとも一部は、イオン成分除去装置12の前段に送られる(循環工程)。
これにより、イオン成分除去装置12への供給水量が増えるので、イオン成分除去装置12から排出されるイオン成分除去処理水中の有機物の濃度が低減され、有機物酸化装置14の負担が軽減される。また、酸化処理水を循環することにより、酸化処理により有機物が酸化されて生成したイオン成分が、イオン成分除去装置12より除去されるため、系内での有機物の濃縮を抑制することができる。
また、例えば、酸化処理水配管22等に有機物濃度測定手段としてTOC計50等を設置して、有機物酸化装置14で酸化処理された酸化処理水のTOC等を測定し、TOC濃度が所定の値以上の場合に循環配管30により循環する制御を行ってもよい。
図3は、本実施形態に係る洗浄排水処理装置の他の例を示す概略構成図である。図3の洗浄排水処理装置5は、図2の洗浄排水処理装置3の構成に加えて、イオン成分除去装置12が還元装置10の後段に複数、並列に設けられている。
図3の洗浄排水処理装置5は、複数(図3の例では2つ)のイオン成分除去装置12a,12bを並列に備え、そのため、循環配管も複数(図3の例では2つ)備えている。図3の洗浄排水処理装置5において、還元装置10の出口とイオン成分除去装置12aの入口とが還元処理水配管18aにより接続され、還元処理水配管18aからバルブ32を介して分岐した還元処理水配管18bがバルブ34を介してイオン成分除去装置12bの入口に接続されている。イオン成分除去装置12aの出口と有機物酸化装置14の入口とがイオン成分除去処理水配管20aにより接続され、イオン成分除去装置12bの出口とイオン成分除去処理水配管20aとがイオン成分除去処理水配管20bにより接続されている。酸化処理水配管22には循環配管30が接続され、循環配管30は分岐して、循環配管30aがバルブ36を介して還元処理水配管18aのバルブ32の後流側に接続され、循環配管30bがバルブ38を介して還元処理水配管18bのバルブ34の後流側に接続されている。
例えば、図3に示すように、バルブ32,38を「開」状態、バルブ34,36を「閉」状態とすると、還元装置10で処理された還元処理水は、イオン成分除去装置12aでイオン成分が除去され、有機物酸化装置14で酸化処理された酸化処理水の少なくとも一部は、イオン成分除去装置12bに送液される。
これにより、イオン成分除去装置12bにおいても有機物が酸化された酸化処理水が流れるため、有機物が除去されるとともに、イオン成分除去装置内での菌の繁殖が抑制される。また、イオン成分除去装置を完全に停止させても、装置内の有機物の量が低減されているため、装置内での菌の発生が抑制される。
また、イオン成分除去装置12bから排出されたイオン成分除去処理水とイオン成分除去装置12aから排出されたイオン成分除去処理水とが混合されることにより、有機物濃度の低減が図れるため、有機物酸化装置14の負担が軽減される。
また、例えば、酸化処理水配管22等に有機物濃度測定手段としてTOC計50等を設置して、有機物酸化装置14で酸化処理された酸化処理水のTOC等を測定し、TOC濃度が所定の値以上の場合に循環配管30により循環する制御を行ってもよい。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
図4の洗浄排水処理装置を用いて、以下の条件で処理した処理水のTOC濃度を測定した。図4の洗浄排水処理装置において、還元装置10の前段に原水槽40、有機物酸化装置14の後段に処理水槽42を設置し、洗浄水配管28の途中にはオキソニア添加装置44を設置した。
<装置条件>
・還元装置:活性炭充填
・イオン除去装置:カチオンおよびアニオン交換樹脂の混床式
・有機物酸化手段:UV酸化装置(UVランプ:ニッポ電機社製 型式SGL−500T4U(Z))
なお、UVランプは、185〜254nmの紫外線を発光するものであり、波長185nmと254nmの同時照射するものである。
<実験条件>
・原水:純水+オキソニア(エコラボ社製オキソニアアクティブ90)
・オキソニア濃度:1,000mg/L
・原水流量:10L/h
・通水時間:72hr連続通水
・イオン交換樹脂の再生間隔:12hr
・UV照射電力:0.3kWh/m
[実施例2]
図5の洗浄排水処理装置を用いて、以下の条件で処理した処理水のTOC濃度を測定した。図5の洗浄排水処理装置は、図4の洗浄排水処理装置の構成に加えて、酸化処理水の少なくとも一部をイオン成分除去装置12の前段に送る循環配管30をさらに備える。
<装置条件>
・還元装置:活性炭充填
・イオン除去装置:カチオンおよびアニオン交換樹脂の混床式
・有機物酸化手段:UV酸化装置(UVランプ:ニッポ電機社製 型式SGL−500T4U(Z))
なお、UVランプは、185〜254nmの紫外線を発光するものであり、波長185nmと254nmの同時照射するものである。
<実験条件>
・原水:純水+オキソニア(エコラボ社製オキソニアアクティブ90)
・オキソニア濃度:1,000mg/L
・原水流量:10L/h
・循環水量:5L/h
・通水時間:72hr連続通水
・イオン交換樹脂の再生間隔:12hr
・UV照射電力:0.3kWh/m
[比較例1]
図6の洗浄排水処理装置を用いて、以下の条件で処理した処理水のTOC濃度を測定した。図6の洗浄排水処理装置は、図4の洗浄排水処理装置の有機物酸化装置14に代えてUV殺菌装置46を備え、UV殺菌装置46の出口と処理水槽42の入口とが配管48により接続されている。
<装置条件>
・還元装置:活性炭充填
・イオン除去装置:カチオンおよびアニオン交換樹脂の混床式
・殺菌手段:UV照射装置(UVランプ:ニッポ電機社製 型式SGL−500T4U)
なお、UVランプは、水銀原子から発光される185〜254nmの紫外線のうち、185nmの波長をランプ表面の加工により遮光したものである。
<実験条件>
・原水:純水+オキソニア(エコラボ社製オキソニアアクティブ90)
・オキソニア濃度:1,000mg/L
・原水流量:10L/h
・通水時間:72hr連続通水
・イオン交換樹脂の再生間隔:12hr
・UV照射電力:0.3kWh/m
実験結果を図7に示す。通水開始から3時間後、実施例1および実施例2における酸化処理水のTOCは100μg/L程度であったが、比較例1における処理水では120μg/L検出された。その後、実施例1および実施例2では長時間通水しても、TOC濃度はほぼ横ばいであった。一方、比較例1では通水時間20時間あたりから、急激にTOC濃度が増加し、72時間後には261μg/Lとなった。
このように、実施例1および実施例2では、イオン成分除去処理水に含まれる有機物を酸化処理することにより、比較例1に比べて、洗浄排水中の有機物の量が簡易な方法で低減され、効率よく洗浄排水の回収を行うことができた。
[実施例3]
有機物酸化に有効とされる185nmの波長は有効照射距離が短いため、有機物を含む被処理水がUVランプの近傍を通過することが望ましい。そこで、UV酸化装置を多段に設置し、被処理水がUVランプ近傍を通過する確率を高めることで、UV酸化装置の処理効率を上げる検討を行った。
実験装置は、図8に示す装置を用いた。実験条件を以下に示す。有機物成分としてペットボトル等から溶出が懸念されるホルムアルデヒドを用いた。UV酸化の効率を評価するため、下記式(1)で算出される流量当たりのUV照射電力(以下、UV照射電力)を用いた。UV照射電力は、通水流量およびUVランプの点灯本数を組み合わせることで調整した。
流量当たりのUV照射電力(kWh/m)=ランプ電力(W/本)×ランプ本数(本)/通水流量(m/h) ・・・(1)
<実験条件>
・原水:ホルムアルデヒド TOCで100μg/L
・ランプ電力:18W/本 ×1,2,4本
・ランプ型式:UVランプ(ニッポ電機社製 型式SGL−500T4U(Z))
図9に、UV照射電力と処理水のTOC濃度との関係を示す。同じUV照射電力でも、UV酸化装置を多段に設置することで処理水TOC濃度が低下する傾向が見られた。この効果により、同じ処理水TOC濃度を目標とした場合、UV酸化装置を多段にすることで、UVランプが消費する電力を低減できることが示唆された。また、同じUV照射電力でもUV酸化装置を多段に設置した方が被処理水に185nmの紫外線をより効果的に照射することができるため、処理水TOC濃度が低下することが確認された。
1,3,5 洗浄排水処理装置、10 還元装置、12,12a,12b イオン成分除去装置、14 有機物酸化装置、16 洗浄排水配管、18,18a,18b 還元処理水配管、20,20a,20b イオン成分除去処理水配管、22 酸化処理水配管、24 洗浄水貯槽、26 洗浄装置、28 洗浄水配管、30,30a,30b 循環配管、32,34,36,38 バルブ、40 原水槽、42 処理水槽、44 オキソニア添加装置、46 UV殺菌装置、48 配管、50 TOC計。

Claims (8)

  1. 洗浄装置から排出された有機酸、ならびに、アルデヒド類、アルコール類、および有機溶剤のうち少なくとも1つを含有する洗浄排水中の前記有機酸を活性炭により還元処理する還元手段と、
    前記還元手段で処理された還元処理水に含まれるイオン成分を除去するイオン成分除去手段と、
    前記イオン成分除去手段で処理されたイオン成分除去処理水に、少なくとも185nmの波長の紫外線を照射することにより、前記イオン成分除去処理水に含まれる有機物を酸化処理する有機物酸化手段と、
    前記有機物酸化手段で処理された酸化処理水の少なくとも一部を前記洗浄装置に供給する供給手段と、
    を備えることを特徴とする洗浄排水の処理装置。
  2. 請求項1に記載の洗浄排水の処理装置であって、
    前記酸化処理水の少なくとも一部を前記イオン成分除去手段の前段に送る循環手段をさらに備えることを特徴とする洗浄排水の処理装置。
  3. 請求項に記載の洗浄排水の処理装置であって、
    前記イオン成分除去手段は、前記還元手段の後段に複数、並列に設けられ、
    前記還元処理水が、前記複数のイオン成分除去手段の少なくとも1つに通水され、前記酸化処理水の少なくとも一部が、前記還元処理水が通水されたイオン成分除去手段以外のイオン成分除去手段の少なくとも1つに通水されることを特徴とする洗浄排水の処理装置。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の洗浄排水の処理装置であって、
    前記イオン成分除去手段は、アニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂の少なくとも一方が充填されたものであることを特徴とする洗浄排水の処理装置。
  5. 洗浄装置から排出された有機酸、ならびに、アルデヒド類、アルコール類、および有機溶剤のうち少なくとも1つを含有する洗浄排水中の前記有機活性炭により還元処理する還元工程と、
    前記還元工程で処理された還元処理水に含まれるイオン成分を除去するイオン成分除去工程と、
    前記イオン成分除去工程で処理されたイオン成分除去処理水に、少なくとも185nmの波長の紫外線を照射することにより、前記イオン成分除去処理水に含まれる有機物を活性炭により酸化処理する有機物酸化工程と、
    前記有機物酸化工程で処理された酸化処理水の少なくとも一部を前記洗浄装置に供給する供給工程と、
    を含むことを特徴とする洗浄排水の処理方法。
  6. 請求項に記載の洗浄排水の処理方法であって、
    前記酸化処理水の少なくとも一部を前記イオン成分除去手段の前段に送る循環工程をさらに含むことを特徴とする洗浄排水の処理方法。
  7. 請求項に記載の洗浄排水の処理方法であって、
    前記還元処理水が、前記還元工程の後段に複数、並列に設けられたイオン成分除去手段の少なくとも1つに通水され、前記酸化処理水の少なくとも一部が、前記還元処理水が通水されたイオン成分除去手段以外のイオン成分除去手段の少なくとも1つに通水されることを特徴とする洗浄排水の処理方法。
  8. 請求項のいずれかに記載の洗浄排水の処理方法であって、
    前記イオン成分除去工程において、アニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂の少なくとも一方を用いてイオン成分を除去することを特徴とする洗浄排水の処理方法。
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