JP3539974B2 - アセトキシスチレンを製造する方法 - Google Patents
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Description
発明の背景
発明の分野
本発明は、アセトキシスチレン(ASM)の製造のため、そしてさらに特定的には4−ヒドロキシフェニルメチルカルビノール(HPMC)のようなカルビノールから4−アセトキシスチレンの製造のため、の方法に関する。
先行技術の説明
アセトキシスチレン(ASM)は、接着剤、ホトレジスト等の製造に有用な化合物の製造における中間体として有用な周知化合物である。アセトキシスチレンの製造は当技術において周知である;しかしながら、アセトキシスチレンを製造するためのさらに効率的方法が望まれまた必要とされている。本発明は減少したプロセス工程が得られる方法を提供する。
以下の先行技術文献は、37CFR 1.56、1.97及び1.93の条件に従って開示される。
米国5,087,772(1992年2月11日発行)は、触媒量の適当な塩基の存在下で4−アセトキシスチレン(ASM)を適当なアルコールと反応させることによる4−ヒドロキシスチレン(HSM)の製造を開示している。
1983年8月30日出願のヨーロッパ特許出願0−128−984(公告番号)は、パラエチルフェノールの脱水素化によるパラ−ビニルフェノール(HSM)の製造方法を開示している。
1983年11月4日出願のヨーロッパ特許出願0−108−624(公告番号)は、水及び鉄の存在下でのp−ビニルフェノール(HSM)の重合によるp−ビニルフェノールポリマー(ポリヒドロキシスチレンポリマー−PHS)の製造方法を開示している。
米国4,032,512(1977年6月28日発行)は、均一反応系においてカチオン重合開始剤を用いて、CH3CNのようなニトリルの存在下でHSMをカチオン重合させることによりPHSを製造する方法を開示している。
米国5,041,614は、4−アセトキシフェニルメチルカルビノールから4−アセトキシスチレン(ASM)を製造する方法を開示している(ASMについての構造式についての式I参照)。
米国5,084,533は、4−アセトキシスチレン(ASM)の製造に際して4−アセトキシアセトフェノンの純粋水素化方法を開示している。
米国5,151,546は、4−アセトキシフェニルメチルカルビノールを酸触媒と共に加熱することによる4−アセトキシスチレン(ASM)の製造方法を開示している。
米国5,245,074は、4−アセトキシアセトフェノール/4−アセトキシフェニルメチルカルビノール経路を介しての4−アセトキシスチレン(ASM)の製造方法を開示している。
米国5,247,124は、酸触媒の存在下でビスアリールアルキルエーテルを反応させることによるASMのような置換スチレンを製造する方法を開示している。
上記引用の先行技術及びここに述べられたその他の文献のすべては、それら全体を参照するためここに導入される。
発明の概要
本発明は、アセトキシスチレン(モノマー)(ASM)を製造するための独特かつ新規な方法を提供する。この新しい方法において、HPMCのようなカルビノール、酸触媒、及びアセチル化剤の混合物を、該アセトキシスチレンを形成するのに適当な温度及び圧力の条件下で、脱水する。
このようにして、少なくとも1つのプロセス工程が除かれ、かくして製造コストを低減する。
発明の詳細な説明
ASMがカルビノールから直接に製造しうることが予想外にも判明した。従って、カルビノール、アセチル化剤及び酸触媒の混合物を温度及び圧力の適当な脱水条件下で脱水してアセトキシスチレンを生成させる工程からなるアセトキシスチレンの独特な製造方法が提供される。
本発明方法において使用される出発物質は下記の一般式を有するカルビノールである:
ここにRはH、C1〜8アルキル及びハロゲン(Cl、Br、F及びI)からなる群より選択され;xは1〜5の整数であり、そしてyは0〜4の整数であるが、xとyの和は常に5に等しいことを条件とする。
ASMへの転化において独自性が見出された一つのカルビノールは、4−ヒドロキシフェニルメチルカルビノール(HPMC)である。
この単一工程、本発明の方法、において、それは少なくとも100℃、好ましくは100〜300℃、さらに好ましくは100〜250℃の反応温度で実施される。反応圧力は、大気圧以下、大気圧、あるいは大気圧以上であってよい。しかし約1mmHg〜約100mmHg(約1トール〜約100トール)の圧力が一般に好ましい。
この脱水工程が実施される時間の長さは、重要ではなく、唯一の要件は脱水がASMを充分に生成させるに足りる時間実施されることである。一般に、この時間は少なくとも5秒であり、25時間ほども長いことがある。
アセチル化剤は無水酢酸、塩化アセチル、またはそれらの混合物である。そのようなアセチル化剤の使用量は、重要ではないけれども、アセチル化剤:カルビノールのモル比が少なくとも約1:1であることが必要であり、好ましくは約1:1ないし約5:1である。
アセチル化剤は、反応を促進するために触媒と共に使用される。所望の最終結果が達成される限り、任意の触媒を使用することができる。好ましくは酸触媒を使用する。これらの酸触媒は、限定することなく、リン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、重硫酸アンモニウム、重硫酸カリウム、硫酸及び塩酸を包含する。触媒の必要量は触媒によって変わる。すべての場合に、触媒の使用量は、普通、反応剤、例えばカルビノール100モル当り1モル未満の触媒である。
本発明において使用することができる希釈剤/溶媒は、(a)ベンゼン、トルエン、キシレン、及び低沸点石油留分のような炭化水素、(b)一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、ヘリウム及びフルゴンのような無機気体、(c)双極アプロチック溶剤;及び(d)それらの混合物を包含する。使用される双極アプロチック溶剤は、高誘電率及び高双極モーメントを有するが酸性水素原子を有しない溶剤であり、例えばそのような溶剤はジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPT)及びn−メチルピロリドン(NMP)を包含する。ベンゼン及びトルエンは好ましい希釈剤である。希釈剤はカルビノール1モル当り2〜200モル、好ましくは3〜20モルの量で使用される。カルビノールのアセチル化が円滑に行われる限り、任意の希釈剤が任意の温度及び反応条件下で使用されうることは了解されるべきである。
以下の特定実施例は本発明のさらなる説明の目的で提示される。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を如何ようにも制限ないし限定しようと意図されておらず、本発明を実施するためもっぱら利用されなければならない条件、パラメーターまたは数値を与えるものとして理解されるべきでない。
実施例
無水酢酸中での4−ヒドロキシフェニルメチルカルビノール(4−HPMC)の栓流反応器脱水
実施例1
ジャケット付き栓流反応器に、ぜん動ポンプ及び供給液溜を取り付け、そして短絡コンデンサー及び頂部受器付きの250ml三口フラスコを、その出口に取り付けた。反応器を170℃に加熱し、次いで、無水酢酸(96.45g)及びリン酸(0.15g)中の4−HPMC(10.69g、0.078モル)の溶液107.3gを反応器に対して8.3g/分の速度で供給した。供給が停止され、フラスコ中に29.06gが残留し、頂部受器に62.41gが留まっていた。フラスコ中の物質は25.7%の4−アセトキシスチレン(7.47g)を含み、そして頂部留分は2.0%の4−アセトキシスチレン(1.24g)を含み、それは8.71g(0.053モル、68.5%)の総合収量であった。
実施例2
ジャケット付き栓流反応器に、ぜん動ポンプ及び供給液溜を取り付け、そして短絡コンデンサー及び頂部受器付きの250ml三口フラスコを、その出口に取り付けた。反応器を150℃に加熱し、次いで、無水酢酸(171.60g)及びリン酸(0.31g)中の4−HPMC(19.65g、0.142モル)の溶液191.56g反応器に対して4.0g/分の速度で供給した。供給が停止され、フラスコ中に139.06gが残留し、頂部受器に50.26gが留まっていた。フラスコ中の物質は7.18%の4−アセトキシスチレン(9.98g)を含み、そして頂部留分は0.99%の4−アセトキシスチレン(0.50g)を含み、それは10.84g(0.064モル、44.9%)の総合収量であった。
本発明を前記実施例で説明したがそれにより限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、本発明は、上記開示された一般領域をその範囲として含むものである。種々の改変及び具体化は本発明の精神及び範囲を逸脱することなく行なえる。
発明の分野
本発明は、アセトキシスチレン(ASM)の製造のため、そしてさらに特定的には4−ヒドロキシフェニルメチルカルビノール(HPMC)のようなカルビノールから4−アセトキシスチレンの製造のため、の方法に関する。
先行技術の説明
アセトキシスチレン(ASM)は、接着剤、ホトレジスト等の製造に有用な化合物の製造における中間体として有用な周知化合物である。アセトキシスチレンの製造は当技術において周知である;しかしながら、アセトキシスチレンを製造するためのさらに効率的方法が望まれまた必要とされている。本発明は減少したプロセス工程が得られる方法を提供する。
以下の先行技術文献は、37CFR 1.56、1.97及び1.93の条件に従って開示される。
米国5,087,772(1992年2月11日発行)は、触媒量の適当な塩基の存在下で4−アセトキシスチレン(ASM)を適当なアルコールと反応させることによる4−ヒドロキシスチレン(HSM)の製造を開示している。
1983年8月30日出願のヨーロッパ特許出願0−128−984(公告番号)は、パラエチルフェノールの脱水素化によるパラ−ビニルフェノール(HSM)の製造方法を開示している。
1983年11月4日出願のヨーロッパ特許出願0−108−624(公告番号)は、水及び鉄の存在下でのp−ビニルフェノール(HSM)の重合によるp−ビニルフェノールポリマー(ポリヒドロキシスチレンポリマー−PHS)の製造方法を開示している。
米国4,032,512(1977年6月28日発行)は、均一反応系においてカチオン重合開始剤を用いて、CH3CNのようなニトリルの存在下でHSMをカチオン重合させることによりPHSを製造する方法を開示している。
米国5,041,614は、4−アセトキシフェニルメチルカルビノールから4−アセトキシスチレン(ASM)を製造する方法を開示している(ASMについての構造式についての式I参照)。
米国5,084,533は、4−アセトキシスチレン(ASM)の製造に際して4−アセトキシアセトフェノンの純粋水素化方法を開示している。
米国5,151,546は、4−アセトキシフェニルメチルカルビノールを酸触媒と共に加熱することによる4−アセトキシスチレン(ASM)の製造方法を開示している。
米国5,245,074は、4−アセトキシアセトフェノール/4−アセトキシフェニルメチルカルビノール経路を介しての4−アセトキシスチレン(ASM)の製造方法を開示している。
米国5,247,124は、酸触媒の存在下でビスアリールアルキルエーテルを反応させることによるASMのような置換スチレンを製造する方法を開示している。
上記引用の先行技術及びここに述べられたその他の文献のすべては、それら全体を参照するためここに導入される。
発明の概要
本発明は、アセトキシスチレン(モノマー)(ASM)を製造するための独特かつ新規な方法を提供する。この新しい方法において、HPMCのようなカルビノール、酸触媒、及びアセチル化剤の混合物を、該アセトキシスチレンを形成するのに適当な温度及び圧力の条件下で、脱水する。
このようにして、少なくとも1つのプロセス工程が除かれ、かくして製造コストを低減する。
発明の詳細な説明
ASMがカルビノールから直接に製造しうることが予想外にも判明した。従って、カルビノール、アセチル化剤及び酸触媒の混合物を温度及び圧力の適当な脱水条件下で脱水してアセトキシスチレンを生成させる工程からなるアセトキシスチレンの独特な製造方法が提供される。
本発明方法において使用される出発物質は下記の一般式を有するカルビノールである:
ここにRはH、C1〜8アルキル及びハロゲン(Cl、Br、F及びI)からなる群より選択され;xは1〜5の整数であり、そしてyは0〜4の整数であるが、xとyの和は常に5に等しいことを条件とする。
ASMへの転化において独自性が見出された一つのカルビノールは、4−ヒドロキシフェニルメチルカルビノール(HPMC)である。
この単一工程、本発明の方法、において、それは少なくとも100℃、好ましくは100〜300℃、さらに好ましくは100〜250℃の反応温度で実施される。反応圧力は、大気圧以下、大気圧、あるいは大気圧以上であってよい。しかし約1mmHg〜約100mmHg(約1トール〜約100トール)の圧力が一般に好ましい。
この脱水工程が実施される時間の長さは、重要ではなく、唯一の要件は脱水がASMを充分に生成させるに足りる時間実施されることである。一般に、この時間は少なくとも5秒であり、25時間ほども長いことがある。
アセチル化剤は無水酢酸、塩化アセチル、またはそれらの混合物である。そのようなアセチル化剤の使用量は、重要ではないけれども、アセチル化剤:カルビノールのモル比が少なくとも約1:1であることが必要であり、好ましくは約1:1ないし約5:1である。
アセチル化剤は、反応を促進するために触媒と共に使用される。所望の最終結果が達成される限り、任意の触媒を使用することができる。好ましくは酸触媒を使用する。これらの酸触媒は、限定することなく、リン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、重硫酸アンモニウム、重硫酸カリウム、硫酸及び塩酸を包含する。触媒の必要量は触媒によって変わる。すべての場合に、触媒の使用量は、普通、反応剤、例えばカルビノール100モル当り1モル未満の触媒である。
本発明において使用することができる希釈剤/溶媒は、(a)ベンゼン、トルエン、キシレン、及び低沸点石油留分のような炭化水素、(b)一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、ヘリウム及びフルゴンのような無機気体、(c)双極アプロチック溶剤;及び(d)それらの混合物を包含する。使用される双極アプロチック溶剤は、高誘電率及び高双極モーメントを有するが酸性水素原子を有しない溶剤であり、例えばそのような溶剤はジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPT)及びn−メチルピロリドン(NMP)を包含する。ベンゼン及びトルエンは好ましい希釈剤である。希釈剤はカルビノール1モル当り2〜200モル、好ましくは3〜20モルの量で使用される。カルビノールのアセチル化が円滑に行われる限り、任意の希釈剤が任意の温度及び反応条件下で使用されうることは了解されるべきである。
以下の特定実施例は本発明のさらなる説明の目的で提示される。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を如何ようにも制限ないし限定しようと意図されておらず、本発明を実施するためもっぱら利用されなければならない条件、パラメーターまたは数値を与えるものとして理解されるべきでない。
実施例
無水酢酸中での4−ヒドロキシフェニルメチルカルビノール(4−HPMC)の栓流反応器脱水
実施例1
ジャケット付き栓流反応器に、ぜん動ポンプ及び供給液溜を取り付け、そして短絡コンデンサー及び頂部受器付きの250ml三口フラスコを、その出口に取り付けた。反応器を170℃に加熱し、次いで、無水酢酸(96.45g)及びリン酸(0.15g)中の4−HPMC(10.69g、0.078モル)の溶液107.3gを反応器に対して8.3g/分の速度で供給した。供給が停止され、フラスコ中に29.06gが残留し、頂部受器に62.41gが留まっていた。フラスコ中の物質は25.7%の4−アセトキシスチレン(7.47g)を含み、そして頂部留分は2.0%の4−アセトキシスチレン(1.24g)を含み、それは8.71g(0.053モル、68.5%)の総合収量であった。
実施例2
ジャケット付き栓流反応器に、ぜん動ポンプ及び供給液溜を取り付け、そして短絡コンデンサー及び頂部受器付きの250ml三口フラスコを、その出口に取り付けた。反応器を150℃に加熱し、次いで、無水酢酸(171.60g)及びリン酸(0.31g)中の4−HPMC(19.65g、0.142モル)の溶液191.56g反応器に対して4.0g/分の速度で供給した。供給が停止され、フラスコ中に139.06gが残留し、頂部受器に50.26gが留まっていた。フラスコ中の物質は7.18%の4−アセトキシスチレン(9.98g)を含み、そして頂部留分は0.99%の4−アセトキシスチレン(0.50g)を含み、それは10.84g(0.064モル、44.9%)の総合収量であった。
本発明を前記実施例で説明したがそれにより限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、本発明は、上記開示された一般領域をその範囲として含むものである。種々の改変及び具体化は本発明の精神及び範囲を逸脱することなく行なえる。
Claims (13)
- 4−ヒドロキシフェニルメチルカルビノール、無水酢酸及び酸触媒を温度及び圧力の適当な脱水条件下で脱水して4−アセトキシスチレンを生成させる工程を含む4−アセトキシスチレンを製造する方法。
- 温度が少なくとも100℃である請求の範囲1の方法。
- アセチル化触媒も存在する請求の範囲1の方法。
- 反応が有機溶媒の存在下で起こる請求の範囲1の方法。
- 1mmHg〜100mmHg(1トール〜100トール)の圧力で反応が起こる請求の範囲1の方法。
- 温度が100℃〜300℃である請求の範囲1の方法。
- 温度が少なくとも100℃である請求の範囲7の方法。
- 反応がアプロチック有機溶媒の存在下で起こる請求の範囲7の方法。
- アセチル化剤が無水酢酸及び塩化アセチルよりなる群から選択される請求の範囲7の方法。
- アセチル化剤が無水酢酸である請求の範囲7の方法。
- 温度が100℃〜300℃である請求の範囲7の方法。
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