JP3539776B2 - 面状発熱体の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

面状発熱体の製造方法及びその製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、面状発熱体の製造方法及びその製造装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
道路や屋根の融雪用として、あるいは、鏡の防曇用として面状発熱体が利用されている。この面状発熱体は、熱可塑性樹脂にカーボンブラック等の導電性粒子を混和してなる発熱抵抗シートに一対の電極線を設けたものであり、例えば、道路の表面近傍に埋設される。これらの電極間に電流を流すと、そのジュール熱によりシートが発熱する。
この構造の面状発熱体は、発熱抵抗シート及び電極線をそれぞれ所定長さに切断し、切断された発熱抵抗シートに電極線を取り付け、この電極線が取り付けられた発熱抵抗シートに外装フィルムをラミネートして製造される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来例の面状発熱体の製造方法は、前記各製造工程を順次人手により行っているので、作業性が悪いという問題点がある。即ち、発熱抵抗シート及び電極線を切断する作業、発熱抵抗シートに電極線を取り付ける作業及び発熱抵抗シートに外装フィルムをラミネートする作業が関連なく個別に行われるので、作業効率が良くないものであった。
【0004】
本発明の目的は、作業性を向上させた面状発熱体の製造方法及びその製造装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そのため、本発明は、電極線が設けれた被覆線材を長尺状の発熱抵抗シートに融着して所定の長さに切断した後、この発熱抵抗シートに外装シートをラミネートして前記目的を達成しようとするものである。
具体的には、本発明の面状発熱体の製造方法は、熱可塑性樹脂及び導電性粒子を有する発熱組成物を長尺状に成形して形成された発熱抵抗シートに熱可塑性樹脂及び導電性粒子を有する発熱組成物と電極線とを共押出成形して形成された被覆線材を融着し、この被覆線材が融着された発熱抵抗シートを所定の長さに切断し、この切断後、前記発熱抵抗シートに融着された被覆線材の前記電極線を加熱し、被覆線材が融着された発熱抵抗シートに外装シートを熱融着でラミネートすることを特徴とする
【0006】
また、本発明の面状発熱体の製造装置は、熱可塑性樹脂及び導電性粒子を有する発熱組成物を長尺状に成形して形成された発熱抵抗シートに熱可塑性樹脂及び導電性粒子を有する発熱組成物と電極線とを共押出成形して形成された被覆線材を融着する被覆線材融着手段と、前記被覆線材が融着された前記発熱抵抗シートを所定の長さに切断する第1切断手段と、この第1切断手段で切断され前記被覆線材が融着された前記発熱抵抗シートを搬送する搬送手段と、前記発熱抵抗シートに融着された被覆線材の前記電極線を加熱する加熱手段と、前記搬送手段で送られた前記発熱抵抗シートに外装シートを熱融着でラミネートするラミネート手段とを備えたことを特徴とする。
ここで、前記外装シートは長尺状に形成され、この長尺状の外装シートがラミネートされた前記発熱抵抗シートを所定長さに切断する第2切断手段と、前記外装シートがラミネートされた前記発熱抵抗シートを巻き取る巻取手段とを備えた構成でもよい
さらに、前記外装シートは透光性を有し、前記搬送手段は複数の前記発熱抵抗シートを互いに所定間隔離して並べて搬送し、前記外装シートの隣合う前記発熱抵抗シートの間を検出しこの隣合う前記発熱抵抗シートの間を前記第2切断手段に切断させるセンサを備えた構成でもよい。
【0007】
【作用】
本発明では、発熱抵抗シートへの電極線の取り付け、発熱抵抗シートと電極線との切断及び発熱抵抗シートへの外装シートのラミネートの各作業が一連の連続作業として行われるから、作業効率がよい。
ここで、前記発熱抵抗シートに外装シートをラミネートする前に発熱抵抗シートに融着された被覆線材の電極線を加熱すれば、発熱抵抗シートに外装シートを熱融着でラミネートする際に、銅線等からなる電極線を通って放熱することがなくなり、外装シートを確実に発熱抵抗シートにラミネートできる。
また、本発明の面状発熱体の製造装置に、長尺状の外装シートがラミネートされた発熱抵抗シートを所定長さに切断する第2切断手段と、外装シートがラミネートされた発熱抵抗シートを巻き取る巻取手段とを備えた構成とすれば、面状発熱体を短い寸法に形成して枚葉毎に収納することや面状発熱体を長い寸法に形成し巻き取って収納することができる。
さらに、前記搬送手段を、複数の発熱抵抗シートを互いに所定間隔離して並べて搬送する構造とし、外装シートの隣合う発熱抵抗シートの間の透光性部分を検出しこの隣合う発熱抵抗シートの間を第2切断手段に切断させるセンサを本発明の面状発熱体の製造装置に備えた構成とすれば、面状発熱体の絶縁を確実に行える。
【0008】
【実施例】
以下に本発明の一実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1及び図2には本発明の一実施例で製造された面状発熱体1が示されている。図1は面状発熱体1を示す一部を破断した斜視図であり、図2は面状発熱体1の平面図である。
これらの図において、面状発熱体1は、発熱組成物を矩形面状に成形して形成された発熱抵抗シート2と、電極用導線の単線3Aを互いに交差するとなく複数本平行に一列に並べた電極線3と発熱組成物とを共押出成形して形成され発熱抵抗シート2に融着された被覆線材4と、この被覆線材4が融着された発熱抵抗シート2及び被覆線材4の両面をラミネートする外装シート5とを備えて構成されている。
【0009】
発熱抵抗シート2及び被覆線材4の発熱組成物は、それぞれ熱可塑性樹脂及び導電性粒子を有し、温度の上昇とともに抵抗値が増大する正温度係数特性(PTC特性)を備えたものである。この熱可塑性樹脂としては、結晶性熱可塑性樹脂が好ましく、具体的には、ポリオレフィン樹脂及びその共重合樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキシド及びノニル樹脂、ポリスルフォン等を挙げることができる。
前記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、中、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン類、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン等のポリプロピレン類、ポリブテン、4−メチルペンテン−1樹脂等を挙げることができる。
また、本実施例においては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体等のエチレン−アクリレート系共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体等のオレフィンとビニル化合物との共重合体及びフッ素含有エチレン共重合体、ならびに、これらの変成物も使用できる。
【0010】
前記酢酸ビニル系樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラール等を挙げることができる。
前記各種の結晶性熱可塑性樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上をポリマーブレンド等として併用してもよい。
もっとも、前記各種の結晶性熱可塑性樹脂の中でも、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレンやエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のオレフィン系共重合体やトランス−1,4−ポリイソプレン等が好ましい。
前記各種の結晶性熱可塑性樹脂は、必要に応じて他のポリマーや添加物との組成物として使用することもできる。
【0011】
前記導電性粒子としては、例えば、カーボンブラック粒子、グラファイト粒子等の粒状物、金属粉体、金属酸化粉体等の粉状物、炭素繊維等の繊維状物等を挙げることができる。これらの中でもカーボンブラック粒子、グラファイト粒子等の粒状物、特に、カーボンブラック粒子が好ましい。
前記各種の導電性粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合物として併用してもよい。
被覆線材4は長尺状に形成されており、発熱抵抗シート2において長さ方向に沿って2本融着されている。これらの被覆線材4は、発熱抵抗シート2の両側からそれぞれ所定寸法離れて設けられている。被覆線材4の電極線3は圧着端子6を介してリード線7と接続されている。このリード線7は電源に接続された給電用、あるいは、他の面状発熱体の電極線に接続された中継用のものである。
【0012】
外装シート5は、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート、塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の耐熱性を有する樹脂からシート状に構成されるものであり、透明又は半透明の透光性を有する。外装シート5の長さは発熱抵抗シート2の長さより所定長さ長く、外装シート5の幅は発熱抵抗シート2の幅より所定長さ長い。
外装シート5と発熱抵抗シート2との間には図示しない粘着層が設けられている。この粘着層は外装シート5と発熱抵抗シート2との剥離を防止するためのものである。なお、図において、外装シート5は、構成をわかりやすくするため、その厚さは実際の厚さに比べて誇張されている。
【0013】
図3から図5には面状発熱体の製造装置にかかる発明の一実施例が示されている。全体構成が示される図3において、面状発熱体の製造装置10は、長尺状の発熱抵抗シート2が巻回されたシートロール11と、2本の長尺状の被覆線材4がそれぞれ巻回された被覆線材ロール12と、発熱抵抗シート2に被覆線材4を融着する被覆線材融着手段13と、被覆線材4が融着された発熱抵抗シート2を所定の長さに切断する第1切断手段14と、この第1切断手段14で切断された発熱抵抗シート2を搬送する搬送手段15と、この搬送手段15で送られた発熱抵抗シート2に外装シートロール16から繰り出された外装シート5をラミネートするラミネート手段17と、このラミネート手段17で外装シート5がラミネートされた発熱抵抗シート2を所定長さに切断する第2切断手段18と、ラミネート手段17で外装シート5がラミネートされた発熱抵抗シート2を巻き取る巻取手段19と、外装シート5の隣合う発熱抵抗シート2の間を検出するセンサ20と、発熱抵抗シート2に外装シート5をラミネートする前に被覆線材4の電極線3を加熱する加熱手段21とを備えた構造である。
【0014】
シートロール11及び被覆線材ロール12は、それぞれテンションコントロールされ、かつ、シートロール11と被覆線材融着手段13との間にはダンサローラ22が配置されており、被覆線材融着手段13へ繰り出す発熱抵抗シート2及び被覆線材4が弛まないようになっている。
被覆線材融着手段13の構造が図4に詳細に示されている。図4において、被覆線材融着手段13は、被覆線材4と発熱抵抗シート2とを挟持する一対のシールロール23,24を備えた超音波融着機である。シールロール24は発熱抵抗シート2の両端部に超音波振動を付与するホーンである。シールロール23は、被覆線材4の位置決めを行うため、互いの間隔が被覆線材4の幅寸法と等しい2個の鍔部23Aを有し、被覆線材4の受け台として機能する。
【0015】
図3において、第1切断手段14は、被覆線材4と発熱抵抗シート2とを挟持する一対のゴム製のニップロール25,26と、被覆線材4及び発熱抵抗シート2に対し進退駆動して被覆線材4と発熱抵抗シート2とを長尺状に切断するカッタ27と、被覆線材4及び発熱抵抗シート2を挟んでカッタ27に対向配置された受け台28とを備えている。カッタ27が作動する際に、被覆線材4が融着された発熱抵抗シート2にずれの反力が作用するので、カッタ27と受け台28は、前記発熱抵抗シート2が移動する方向に同速度で移動しながら、発熱抵抗シート2を切断する。切断された発熱抵抗シート2は搬送手段15へ導かれ、切断された箇所が所定間隔になるまでニップロール25,26で導入される速度より速い速度で送られる動作により、搬送手段15へ複数の発熱抵抗シート2を互いに所定間隔離して一列に並べて送るようにされている。
被覆線材融着手段13とニップロール25,26との間にはダンサローラ29が配置されている。このダンサローラ29は、被覆線材4の送り速度と第1切断手段14の送り速度のわずかな速度変動による発熱抵抗シート2の弛みを吸収する役目を果たしている。
【0016】
搬送手段15は複数の前記発熱抵抗シート2を互いに所定間隔離して並べてラミネート手段17へ搬送するものであり、前記発熱抵抗シート2を両面から挟持するベルトコンベアから構成されている。
外装シートロール16は2個設けられており、それぞれテンションコントロールされてラミネート手段17へ繰り出す外装シート5が弛まないようになっている。
【0017】
ラミネート手段17及び加熱手段21の構成が図5に示されている。図5において、ラミネート手段17は、前記外装シート5と発熱抵抗シート2とを所定の圧力で挟持する一対の加熱ゴムロール30と、この加熱ゴムロール30に隣接して配置され前記外装シート5と発熱抵抗シート2とを挟持する一対のコーティングロール31と、加熱ゴムロール30と外装シートロール16との間に配置され外装シート5を予め加熱するプレヒートロール32(図3参照)とを備えた構成である。
加熱ゴムロール30は、被覆線材4が融着された発熱抵抗シート2と外装シート5とを重合し、かつ、これらの外装シート5と被覆線材4が融着された発熱抵抗シート2とを加熱温度110 〜180 ℃、好ましくは、150 ℃で加熱融着するものである。コーティングロール31は、前記発熱抵抗シート2にラミネートされた外装シート5に表面にシリコン樹脂をコーティングするものである。
加熱手段21は、発熱抵抗シート2に融着された被覆線材4にホットエアーを吹きつけて被覆線材4の電極線3を加熱するホットエアー吹きつけ装置から構成され、このホットエアー吹きつけ装置は2本の被覆線材4に対応するように加熱ゴムロール30の近傍に2個配置されている。
【0018】
図3に示すとおり、第2切断手段18は、外装シート5がラミネートされた発熱抵抗シート2を挟持する一対のゴム製のニップロール33,34と、外装シート5がラミネートされた発熱抵抗シート2に対して進退駆動するカッタ35と、外装シート5がラミネートされた発熱抵抗シート2を挟んでカッタ35に対向配置された受け台36とを備え、カッタ35が作動する際に外装シート5がラミネートされた発熱抵抗シート2に反力が作用するので、ニップロール33,34は、その回転を停止して前記発熱抵抗シート2を固定するようにされている。また、ニップロール33,34はテーブル37へ外装シート5がラミネートされた発熱抵抗シート2を送るようにされている。
第2切断手段18とラミネート手段17との間には、ニップロール33,34が停止した時に外装シート5がラミネートされた発熱抵抗シート2の弛みを吸収するダンサローラ38が配置されている。
【0019】
センサ20はニップロール33,34に近接配置されている。センサ20は、互いに所定間隔離れた複数の発熱抵抗シート2をラミネートした長尺状の外装シート5に光を照射する発光部と、この外装シート5から反射する光から外装シート5の隣合う発熱抵抗シート2の間の透光性部分を検出する検出部とを備え、この検出部が外装シート5の隣合う発熱抵抗シート2の間の透光性部分を検出した後所定時間経過しこの透光性部分がカッタ35と受け台36との間まで送られた時に前記透光性部分をカッタ35に切断させる構造である。第2切断手段18で外装シート5が切断された発熱抵抗シート2は、1個の面状発熱体1とされる。なお、センサ20はカッタ35に近接配置するものでもよい。この場合、センサ20をカッタ35に近接配置すれば、隣合う発熱抵抗シート2の間の透光性部分が検出した後カッタ35と受け台36との間まで送られるまでの時間を短縮することができる。
テーブル37は第2切断手段18から前記面状発熱体1が1枚ずつ送られるものであり、テーブル上面が傾斜等することにより、テーブル上面の面状発熱体1は図示しない収納箱に収納される。なお、テーブル37から収納箱へ面状発熱体1を移送する機構としては、テーブル37に複数のロールからなるコンベアを設ける構造でもよい。
【0020】
巻取手段19は、ケーシング39と、このケーシング39に回転可能に設けられ外装シート5がラミネートされた複数の発熱抵抗シート2を巻き取るロール40とを備えた構成である。ロール40で最大限巻き取られた前記複数の発熱抵抗シート2は、前記第2切断手段18により又は適宜な切断手段により外装シート5の透光性部分を切断する。
巻取手段19と第2切断手段18とは択一的に機能するものであり、巻取手段19と第2切断手段18とを切り換える選択スイッチ(図示せず)は巻取手段19やテーブル37等の適宜な場所に設けられている。
【0021】
次に、面状発熱体の製造方法にかかる発明の一実施例を説明する。
まず、熱可塑性樹脂及び導電性粒子を有する発熱組成物を成形して押出形成された長尺状の発熱抵抗シートをシートロール11に巻回しておき、さらに、熱可塑性樹脂及び導電性粒子を有する発熱組成物と電極線3とを共押出成形して形成された長尺状の被覆線材4を被覆線材ロール12に巻回しておく。
シートロール11から繰り出された長尺状の発熱抵抗シート2と被覆線材ロール12から繰り出された長尺状の2本の被覆線材4とを被覆線材融着手段13で重合するとともに両者を超音波融着する。
その後、被覆線材4が融着された発熱抵抗シート2を第1切断手段14で所定の長さに切断する。そのため、第1切断手段14は、被覆線材4と発熱抵抗シート2とを一対のゴム製のニップロール25,26で挟持し移動する速度と同速度で移動し、被覆線材4及び発熱抵抗シート2をカッタ27で切断する。
被覆線材融着手段13と第1切断手段14に生じるわずかな速度変動による発熱抵抗シート2の弛みはダンサローラ29で吸収される。
切断された発熱抵抗シート2は搬送手段15へ導かれ、切断された箇所が所定間隔になるまでニップロール25,26で導入される速度より速い速度で送られることにより、発熱抵抗シート2は搬送手段15で互いに所定間隔離れて一列に並ぶ。
【0022】
その後、搬送手段15は複数の発熱抵抗シート2を互いに所定間隔離した状態でラミネート手段17へ送り、このラミネート手段17では、2個の外装シートロール16からそれぞれ繰り出された長尺状の外装シート5を前記発熱抵抗シート2にラミネートする。即ち、発熱抵抗シート2に融着された被覆線材4は加熱手段21によりホットエアーが吹きつけられて電極線3が加熱された後、一対の加熱ゴムロール30に送られる。一方、外装シートロール16から繰り出された長尺状の外装シート5はプレヒートロール32で予め加熱された後、一対の加熱ゴムロール30に送られる。一対の加熱ゴムロール30では、被覆線材4が融着された発熱抵抗シート2と外装シート5とを重合するとともに所定温度で加熱融着する。前記発熱抵抗シート2と融着した外装シート5は、コーティングロール31により、押圧されるとともに、その表面にシリコン樹脂がコーティングされる。
【0023】
ラミネート手段17でラミネートされた複数の発熱抵抗シート2は第2切断手段18に送られる。外装シート5の隣合う発熱抵抗シート2の間の透光性部分をセンサ20が検出し、この透光性部分を第2切断手段18で切断して面状発熱体1が製造される。即ち、外装シート5がラミネートされた発熱抵抗シート2を一対のゴム製のニップロール33,34により固定した状態でカッタ35が作動する。その後、ニップロール33,34が回転して面状発熱体1をテーブル37へ送る。テーブル37では収納箱へ面状発熱体1を1枚ずつ収納する。
また、選択スイッチを操作して巻取手段19を機能させると、ラミネート手段17でラミネートされた複数の発熱抵抗シート2は巻取手段19のロール40に巻き取られる。ロール40に巻き取られた前記発熱抵抗シート2は道路等の現場において、1枚毎に切断されて面状発熱体1として使用される。
【0024】
面状発熱体1を実際に使用するにあたり、図6に示されるとおり、面状発熱体1の外装シート5と被覆線材4との一部の表面を剥がして電極線3の一端部を取り出し、この取り出した部分を圧着端子6の一端部6Aに差し込んだ状態でペンチ等で押しつぶし、一端部6Aを圧着する。圧着端子6の一端部6Aと電極線3との圧着部分及び圧着端子6の他端部6Bとリード線7との圧着部分に図示しない絶縁被覆をする。
この絶縁被覆をするための樹脂は、ホットメルト樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等である。前記ホットメルト樹脂は、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタアクリル酸共重合体、酢酸ビニル共重合体のケン化物、アイオノマー、エチレン・マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、アタクチックポリプロピレン、変成ポリオレフィン、合成ゴム等のベースポリマーに粘着付与性樹脂やワックス、エラストマー等をブレンドしたものである。
【0025】
従って、本実施例によれば、発熱組成物を長尺状に成形して形成された発熱抵抗シート2に発熱組成物と電極線3とを共押出成形して形成された被覆線材4を被覆線材融着手段13で融着し、この被覆線材4が融着された発熱抵抗シート2を第1切断手段14で所定の長さに切断し、この切断後、被覆線材4が融着された発熱抵抗シート2を搬送手段15で搬送し、さらに、被覆線材4が融着された発熱抵抗シート2に外装シート5をラミネート手段17でラミネートしたから、発熱抵抗シート2への電極線3の取り付け、発熱抵抗シート2と電極線3との切断及び発熱抵抗シート2への外装シート5のラミネートの各作業が一連の連続作業として行われるから、作業効率が向上する。
また、本実施例では、発熱抵抗シート2に外装シート5をラミネートする前に発熱抵抗シート2に融着された被覆線材4の電極線3を加熱手段21で加熱するので、外装シート5を確実に発熱抵抗シート2にラミネートすることができる。即ち、被覆線材4の電極線3は銅線等から構成されるので、発熱抵抗シート2に外装シート5を熱融着してラミネートする際に、この電極線3を通って熱が逃げ、電極線3の周囲が冷却されて十分にラミネートされない虞れがあるが、本実施例では、ラミネート前に電極線3を予め加熱しておくので、電極線3から放熱することがなくなり、前述のラミネートを確実に行える。
【0026】
さらに、ラミネート手段17は外装シート5を予め加熱するプレヒートロール32を有するから、この点からも、外装シート5を確実に発熱抵抗シート2にラミネートすることができる。
また、長尺状の外装シート5がラミネートされた発熱抵抗シート2を所定長さに切断する第2切断手段18と、外装シート5がラミネートされた発熱抵抗シート2を巻き取る巻取手段19とを備えて面状発熱体の製造装置10を構成したから、面状発熱体1を短い寸法に形成して枚葉毎に収納することや面状発熱体1を長い寸法に形成し巻き取って収納することを選択することができる。
さらに、前記搬送手段15を、複数の発熱抵抗シート2を互いに所定間隔離して一列に並べて搬送する構造とし、外装シート5の隣合う発熱抵抗シート2の間の透光性部分を検出しこの隣合う発熱抵抗シート2の間を第2切断手段18に切断させるセンサ20を面状発熱体の製造装置10に備えて構成したから、面状発熱体1の絶縁を確実に行える。
【0027】
なお、本発明では、前記実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲であれば次に示す変形例を含むものである。
例えば、前記実施例では、長尺状の外装シート5がラミネートされた発熱抵抗シート2を所定長さに切断する第2切断手段18と、外装シート5がラミネートされた発熱抵抗シート2を巻き取る巻取手段19との双方を備えたが、本発明では、第2切断手段18及び巻取手段19のいずれ一方、又は、第2切断手段18及び巻取手段19の双方を設けることを要しない。
また、加熱手段21を設ける場合であっても、前記実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、加熱ランプで被覆線材4に照射するものでもよい。
【0028】
さらに、前記搬送手段15を、複数のロールを並べて複数の発熱抵抗シート2を互いに所定間隔離して並べて搬送する構造としてもよく、さらに、外装シート5の隣合う発熱抵抗シート2の間の透光性部分を検出するセンサ20を必ずしも設けることを要しない。センサ20を設けない場合にあっては、外装シート5は、必ずしも透光性を有するものでなくともよい。
また、前記実施例では、外装シート5と発熱抵抗シート2とのラミネートを熱融着により行ったが、このラミネートを超音波融着等の他の融着手段で行ってもよい。さらに、発熱抵抗シート2と被覆線材4との融着を超音波融着で行ったが、この融着は他の手段、例えば、熱融着で行ってもよい。
第1切断手段14及び第2切断手段18のカッタ27,35を進退駆動する構造としたが、これらの27,35を回転駆動するロータリ刃を有する構造としてもよい。
第1切断手段14を発熱抵抗シート2と同速度で移動しながら切断する手段としたが、発熱抵抗シート2を固定し切断する手段としてもよい。さらに、第2切断手段を発熱抵抗シート2を固定し切断する手段としたが、発熱抵抗シート2と同速度で移動しながら切断する手段としてもよい。
【0029】
また、本発明に適用される面状発熱体1は前記実施例の構造に限定されるものではない。例えば、前記被覆線材4に設けられる電極を、複数の単線を縒って断面円形状に形成したものや1本の太い単線から形成したものでもよい。前記実施例のように被覆線材4に複数の単線3Aを互いに平行に配列して電極3を構成する場合では、2段以上に複数の単線3Aを配置してもよい。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、発熱組成物を長尺状に成形して形成された発熱抵抗シートに発熱組成物と電極線とを共押出成形して形成された被覆線材を被覆線材融着手段で融着し、この被覆線材が融着された発熱抵抗シートを第1切断手段で所定の長さに切断し、この切断後、被覆線材が融着された発熱抵抗シートを搬送手段で搬送し、さらに、被覆線材が融着された発熱抵抗シートに外装シートをラミネート手段でラミネートしたから、作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】面状発熱体を示す一部を破断した斜視図である。
【図2】面状発熱体の平面図である。
【図3】本発明の一実施例にかかる面状発熱体の製造装置の概略構成図である。
【図4】被覆線材融着手段を示す斜視図である。
【図5】ラミネート手段及び加熱手段を示す斜視図である。
【図6】面状発熱体にリード線を接続した状態を示す一部を破断した斜視図である。
【符号の説明】
1 面状発熱体
2 発熱抵抗シート
3 電極線
4 被覆線材
5 外装シート
10 面状発熱体の製造装置
13 被覆線材融着手段
14 第1切断手段
15 搬送手段
17 ラミネート手段
18 第2切断手段
19 巻取手段
20 センサ
21 加熱手段

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂及び導電性粒子を有する発熱組成物を長尺状に成形して形成された発熱抵抗シートに熱可塑性樹脂及び導電性粒子を有する発熱組成物と電極線とを共押出成形して形成された被覆線材を融着し、この被覆線材が融着された発熱抵抗シートを所定の長さに切断し、この切断後、前記発熱抵抗シートに融着された被覆線材の前記電極線を加熱し、被覆線材が融着された発熱抵抗シートに外装シートを熱融着でラミネートすることを特徴とする面状発熱体の製造方法。
  2. 熱可塑性樹脂及び導電性粒子を有する発熱組成物を長尺状に成形して形成された発熱抵抗シートに熱可塑性樹脂及び導電性粒子を有する発熱組成物と電極線とを共押出成形して形成された被覆線材を融着する被覆線材融着手段と、前記被覆線材が融着された前記発熱抵抗シートを所定の長さに切断する第1切断手段と、この第1切断手段で切断され前記被覆線材が融着された前記発熱抵抗シートを搬送する搬送手段と、前記発熱抵抗シートに融着された被覆線材の前記電極線を加熱する加熱手段と、前記搬送手段で送られた前記発熱抵抗シートに外装シートを熱融着でラミネートするラミネート手段とを備えたことを特徴とする面状発熱体の製造装置。
  3. 請求項記載の面状発熱体の製造装置において、前記外装シートは長尺状に形成され、この長尺状の外装シートがラミネートされた前記発熱抵抗シートを所定長さに切断する第2切断手段と、前記外装シートがラミネートされた前記発熱抵抗シートを巻き取る巻取手段とを備えたことを特徴とする面状発熱体の製造装置。
  4. 請求項又は記載の面状発熱体の製造装置において、前記外装シートは透光性を有し、前記搬送手段は複数の前記発熱抵抗シートを互いに所定間隔離して並べて搬送し、前記外装シートの隣合う前記発熱抵抗シートの間を検出しこの隣合う前記発熱抵抗シートの間を前記第2切断手段に切断させるセンサを備えたことを特徴とする面状発熱体の製造装置。
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