JP3539456B2 - 耐蝕インクジェットプリントヘッドおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明はインク耐蝕性に優れたインクジェットプリントヘッド及びその製造方法に関するものである。
【従来の技術】
従来、鉄系、Ni系、Al系あるいは銅系の材質で厚さ7μm〜1mmの薄板及びそれらを固定する部材からなるインクジェットプリントヘッドの接合は、有機系の接着剤又はAu−Snはんだ、Au−Niローが用いられてきた。
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術において、有機系の接着剤はインクによる腐食とともにホットメルト型インクを使用する場合には熱サイクルにより劣化する問題がある。
また、低融点金属つまりはんだで接合する方法が特開昭62−70051に開示されている。しかし、Pb、Sn、Pb−Sn、In等Auを含まない低融点金属においては、印字品質向上のための多様なインクの要求に応じ、腐食性が強くなっているインクに対し、耐蝕性が十分でない。特にホットメルト型インクに対しては、使用に耐えない場合が多い。
また、特開昭61−255864号には、インクジェットプリントヘッドを構成する薄板に、あらかじめSiO2等の拡散防止層を形成し、その後接合する方法が開示されている。これによって、前記各薄板材そのものの耐蝕性は向上するものの、インク流路部の接合層の部分の耐蝕性は改善されない。
またAu−Snはんだは合金めっきとして組成を制御する技術が確立しておらず、Au−Sn合金箔を接合部に挿入する方法はAu−Sn合金が極めて脆く難加工材であることから実用的でない。また耐蝕性を考慮すると、その組成はAu−16〜35wt%Snとなるが、この場合、融点が最も低い共晶点でも280℃である。これは、はんだとしては高温の部類になり、被接合部材及びその周辺部材の使用に制限がある。
AuーNi系合金を用いるロー付けの場合には、接合部のインク耐蝕性・耐熱性は高いが、接合温度が800℃以上と高く被接合部に与える熱的ダメージが大きく、使用する部品に大きな制限がある。またAu−20wt%Snはんだ及びAu−NiローはいずれもAuを多く使用するため高価となる。
本発明の目的は、被接合部に大きな熱的ダメージを受けることなく接合され、かつ耐蝕性に優れた安価なインクジェットプリントヘッド及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
本発明は、薄板積層構造のインクジェットプリントヘッドにおいて、前記薄板を接合する接合部材が、Sn−Niを基本とし、Cu、Pd、Au、Agから任意に選択された金属が添加された合金であることを特徴とする。そして、その製造方法すなわち、Snはんだ層、Ni層及びCu、Pd、Au、Agから任意に選択された金属層の形成方法は、インク流路を形成する前記薄板が複雑な形状をしていることから、めっきあるいは蒸着、スパッタリングが適している。
そして、第1次の熱処理で前記薄板を接合した後、第2次の熱処理でSnとNi及びCu、Pd、Au、Agから選択された元素を相互拡散させ合金を形成する。
上記Sn−Ni合金の組成は、Niの量が5〜60wt%が良い。Ni量が5wt%以下では耐蝕性向上の効果が十分でない。上記Ni−Sn合金にCu、Pd、Au、Agから選択された元素を添加すると耐蝕性は更に向上する。ただし、合計で5wt%以上添加すると接合強度が低下してしまい実用的でない。上記第1次の熱処理温度はSnはんだ層の融点以上である。
第2次熱処理は、150℃から可能である。ただし、熱処理温度が低いほど拡散に時間を要し、接合部が厚い場合、全体に拡散させるのに長時間を要してしまう。一方、第2次熱処理時にSnはんだ層の融点以上に加熱してしまうと接合部材の合金の結晶粒が粗大化してしまい、強度が低下するとともに、接合部の溶融金属のインク流路へのはみ出しの問題も生ずる。
合金の組成の制御は、各金属層の膜厚比及び第2次熱処理の温度と時間による拡散量の制御で行う。また第2次熱処理の雰囲気は真空中、不活性ガス中、大気中いずれでも構わない。
Snはんだ層の厚さの下限値は、1μm以上必要であり、それ以下では接合加熱時において、母材との反応により接合に必要な十分な融液を生じない場合がある。また、この部分の厚さが1μm未満では接合不完全な領域ができるため、使用時にインクがリークしてしまうという問題が生じる。一方、Snはんだ層が厚くなればインク流路へのはんだのはみ出し量も多くなるので、適当な厚さを選択する必要がある。
上記合金は、接合部、インク流路内壁、インクジェットプリントヘッド外壁のいずれか一部もしくは複数の部分に形成することが容易に可能である。
本製造方法は、水溶性インクに使用する場合だけでなく、一般に腐食性の強いホットメルト型インクを使用するインクジェットプリントヘッドの場合に特に効果が高い。
この結果、接合部材に安価なSn系の接合材料を用いて、比較的低温の処理条件で耐蝕性、耐熱性に優れたインクジェットプリントヘッドが製造できる。しかもこの耐蝕層は接合部だけでなく、インク流路内壁全周及びインクジェットプリントヘッド外周にも簡便に施すことが可能であり、インクあるいはインクジェットプリントヘッドを構成する部材の選択の自由度が大きくなる利点がある。
【作用】
本発明のように接合部材が、安価なSn−Niを基本としCu、Pd、Au、Agから任意に選択された元素からなる合金であることを特徴とする耐蝕インクジェットプリントヘッドは、インク耐蝕性がAu系のはんだ材もしくはロー材を使用した場合と同様に優れている。従って、インクによる腐食あるいは熱的な劣化により、接合部あるいはインクジェットプリントヘッドを構成する部材がダメージを受けることがなく、接合部及びインクジェットプリントヘッドの信頼性が高く、腐食性が高いインクを使用した場合でも剥離、溶解等を生ずることがない。
【実施例】
以下本発明を実施例図面を参照して説明する。
〔実施例1〕本実施例では、図1に示すように、インクジェットプリントヘッドを構成するオリフィスプレート1(厚さ100μm)、リストリクタプレート2(厚さ50μm)、ダイアフラムプレート3(厚さ15μm)、ハウジング4(厚さ3mm)を接合した。
なお、これらの被接合物は、図2に示す接合部の概略図のようにそれぞれ下地5にCuめっき6を0.3μm、その上にNiめっき7を1μm、その上にSnはんだ層としてSnめっき8を3μm施した。この場合SnとNiとCuが完全に拡散すれば、その組成は、Sn−30wt%Ni−2.7wt%Cuとなる。
Snはんだは、有機系接着剤に比べ耐熱性及び接合強度に優れ、またロー材やAu系のはんだに比べ、融点が232℃と比較的低温で接合できるため、被接合物に与える熱的ダメージが小さい。
次に上記部品を位置決めし、オリフィスプレート1、リストリクタプレート2、ダイアフラムプレート3、ハウジング4の順にスポット溶接で仮止する。これらを図示しない真空炉にセットし、第1次の熱処理として10-2Torr台の真空度で、上下の加熱加圧治具で250℃まで加熱するとともに、10kgf/cm2の加圧力を負荷する。被接合物が250℃に達した後3分間保持して、ヒ−タ電源を切り、そのまま冷却する。
このようにしてインクジェットプリントヘッドを構成した後、第2次の熱処理として大気中200℃に16時間保持し、はんだ材であるSnと、下地にめっきしてあるNi、Cuとを拡散させる。本熱処理によりSnとNiとCuは完全に拡散しうる。従ってSn/Ni/Cuめっきを施した接合部、インク流路内壁及びインクジェットプリントヘッド外周は、いずれも耐蝕性に優れたSn−Ni合金が形成される。
〔実施例2〕Sn−Ni合金の組成と耐蝕性及び接合強度の関係を求めるため、試験片を用いて耐蝕性試験及びピール強度試験を行った。
評価に使用したインクはホットメルト型である。このインクを150℃に加熱して液化し、上記試験片を浸漬して腐食減量を測定し、その値を腐食寸法(長さ)に換算して図中に示した。
ホットメルト型インクを使用するインクジェットプリントヘッドは、その特性上、印字していない状態でも、常時インク溶融温度に加熱保持されていることが多い。従って、水溶性インクを使用するインクジェットプリントヘッドに比べ、大幅に高温での耐蝕性向上を要求される。
水溶性インクに対しホットメルト型インクの大きな利点として、該インクは室温で固体であるため、取扱時に汚れないし、噴射後直ちに固化するため「にじみ」もなく、和紙から画用紙、はがきといったさまざまな用紙を前処理等なしで用いることが出来る。しかし、ホットメルト型インクは一般に水溶性インクに比べ、腐食性が強い。今回使用したインクの組成はwt%で、ポリエステル55%、脂肪酸43%そしてマゼンタ、シアン、イエロ−、ブラックの各色ごとに染料がそれぞれ2%である。
インクジェットプリントヘッドの寿命は少なくとも1年以上が要求される。
インク流路間の接合部の最も狭い部分は、インクジェットプリントヘッドの小型化及び高密度化のため、現在約500μmとなっている。この接合部のリークを少なくとも5年以上防止する必要がある。腐食速度の目標値は、0.14μm/day以下である。
また、ピール強度の点からは、従来から一般に使用されてきたエポキシ系の接着剤の結果から、熱膨張、熱収縮及びインクを噴射するための圧電素子の駆動に1年以上耐えるため、ピール強度の目標値は50gf/cm以上である。
耐蝕性試験は、厚さ50μm、幅10mm、長さ50mmのステンレス板にまずNiめっきを行い、次いでSnめっきを行った。今回の試験では、SnとNiの合計膜厚は、15μmである。これらを第1次の熱処理として250℃に3分間加熱し、第2次の熱処理として200℃に16時間保持した。
一方、ピール強度試験片は、厚さ50μm、幅10mm、長さ50mmのステンレス板と、厚さ10μm、幅10mm、長さ50mmのステンレス板にそれぞれ耐蝕性試験片と同様にNiめっき及びSnめっきを行い、耐蝕性試験と同様の熱処理を行った。
Sn−Ni合金の組成は、SnとNiの膜厚をコントロールすることにより任意に設定できる。今回の試験では、SnとNiの合計膜厚は、10μmである。
耐蝕性試験の結果は、図3からわかるとおり、Sn−Ni合金の組成においてNiが5wt%未満では、上記寿命を満足することができない。また、Niが45wt%以上としてもその効果は向上しない。
ピール試験の結果は、図4から明らかなとおり、Ni量が増すとともに低下する。上記寿命を満足できるNi量は60wt%以下である。
従って、耐蝕性及び接合強度(ピール強度)の両面から上記寿命を満足できるSn−Ni合金の組成は、Niの量で5〜60wt%の範囲であるが、望ましくは10〜45wt%である。
次に同様の試験片を用いて、Niの下地にそれぞれCu、Pd、Au、Ag添加を行った。そして、耐蝕性試験片は、組成がSn−5wt%Ni−3、5、7wt%(Cu、Pd、Au、Ag)、ピール強度試験片は組成がSn−45wt%Ni−3、5、7wt%(Cu、Pd、Au、Ag)となるように作製し、上記試験品と同様の第1次、第2次熱処理を行った。
その結果、図5、6に示すように、Cu、Pd、Au、Agの添加とともに耐蝕性は向上するが、ピール強度は添加物の量が5wt%を超えると目標値を下回ることがわかった。従って、Cu、Pd、Au、Agの組成は、Sn−Ni合金に添加する量として5wt%以下が良いことがわかった。
〔実施例3〕本実施例では、実施例1と同様に、図1に示すようにインクジェットプリントヘッドを構成するオリフィスプレート1、リストリクタプレート2、ダイアフラムプレート3、ハウジング4を接合した。なお、これらの被接合物は、それぞれNiめっきを1μm施した。そしてリストリクタプレートとハウジングにのみSnめっきを6μm施した。
次に実施例1と同様に上記部品を位置決めした。そして、実施例1と同様に、これらを図示しない真空炉にセットし、同様の条件で第1次の熱処理を行い接合した。このようにしてインクジェットプリントヘッドを構成した後、同様に第2次の熱処理として、大気中200℃に16時間保持し、はんだ材であるSnと、リストリクタプレート及びハウジングの下地にめっきしてあるNi、そしてオリフィスプレート及びダイアフラムプレート表面のNiとを拡散させる。本熱処理により実施例1と同様にSnとNiは完全に拡散しうる。
この場合もSn/Niめっきを施した接合部だけでなく、Snが拡散するためインク流路内壁及びインクジェットプリントヘッド外周にも耐蝕性に優れたSn−Ni合金が実施例1と同様に形成される。
〔実施例4〕本実施例では、実施例1と同様に、図1に示すようにインクジェットプリントヘッドを構成するオリフィスプレート1、リストリクタプレート2、ダイアフラムプレート3、ハウジング4を接合した。これらの被接合物は、図7に示すようにそれぞれ下地5にNiめっき7を1μm、その上にAu−90wt%Sn(融点232℃)はんだめっき9を3μm施した。この場合SnとNiが完全に拡散すれば、その組成は、Sn−29.5wt%Niとなる。
次に実施例1と同様に上記部品を位置決めした。そして、実施例1と同様に、これらを図示しない真空炉にセットし、同様の条件で第1次の熱処理を行い接合した。このようにしてインクジェットプリントヘッドを構成した後、同様に第2次の熱処理として、大気中200℃に16時間保持し、はんだ材中のSnと下地にめっきしてあるNiとを拡散させる。本熱処理により実施例1と同様にSnとNiは完全に拡散しうる。熱処理の温度が200℃の場合、Niは、Au−Snはんだにおいて、Snと優先的に反応する。
従って、Au−Sn/Niめっきを施した接合部、インク流路内壁及びインクジェットプリントヘッド外周は、耐蝕性に優れたAu−Sn−Ni合金が形成される。
〔実施例5〕第2次熱処理の条件を求めるため、熱処理温度と耐蝕性及びインクジェットプリントヘッドでのインク流路開口率を調べた。インク流路開口率とは接合前の流路寸法を100%とし、接合後の流路寸法を比較したものである。通常のはんだ接合は液相接合のため、ある程度の溶融はんだはみ出しによる流路寸法の変化は避けられない。
耐蝕性試験は、厚さ50μm、幅10mm、長さ50mmのステンレス板にまずNiめっきを行い、次いでSnめっきを行った。今回の試験では、SnとNiの合計膜厚は、15μmで、SnとNiの組成比はSn−30wt%Niである。
インク流路開口率の評価は、実施例1と同様に、図1に示すようにインクジェットプリントヘッドを構成するオリフィスプレート1、リストリクタプレート2、ダイアフラムプレート3、ハウジング4を接合し、第2次熱処理後各プレートを剥がして、インク流路の寸法を調べた。なお、これらの被接合物は、図2に示すようにそれぞれ下地にNiめっきを1μm、その上にSnめっきを3μm施した。この場合SnとNiが完全に拡散すれば、その組成は、Sn−30wt%Niとなる。
第1次熱処理温度は250℃で3分間、第2次熱処理温度はそれぞれ140、150、200、240℃とし、熱処理時間は16時間一定とした。また、比較のため、第2次熱処理なしのものも、合わせて評価した。結果を図8に示す。
その結果、耐蝕性は熱処理温度が150℃以上で向上する。140℃では熱処理なしのものと変わらない。
一方、インク流路開口率は、第2次熱処理なしのもの及び140、150、200℃のもは、90〜95%と安定していた。しかし、Snはんだの融点を超える240℃のものは50〜80%とばらつきが大きく印字特性上問題がある。
従って、第2次熱処理条件は、150℃以上でSnを含むはんだ層の融点以下が良いことがわかった。
〔実施例6〕接合部のSnはんだ層の適当な厚さを求めるため、図1に示すようにインクジェットプリントヘッドを構成するプレートの一部であるリストリクタプレート2(厚さ50μm)とダイアフラムプレート3(厚さ15μm)を第1次熱処理で接合し、第2次熱処理後、ピール強度を調べた。ピール強度試験片は、厚さ50μm、幅10mm、長さ50mmのステンレス板と、厚さ10μm、幅10mm、長さ50mmのステンレス板を用いた。この試験片にNiめっきを行い、その上にSnめっきを施した。そして、NiとSnの合計めっき厚さは0.8、1.0、3.0、5.0μmとし、SnとNiが完全に拡散すれば、その組成は、Sn−30wt%Niとなるように膜厚比を調整した。
熱処理条件は、第1次熱処理が250℃で3分間保持、第2次熱処理が200℃で16時間保持である。結果を図9に示す。めっき厚さが厚くなるにしたがい、形状的な効果で強度も高くなるが、SnとNiのめっき厚さの合計が0.8μmでは、第1次熱処理時にSnとNiが素材のステンレスと反応してしまい、部分的に融点が上昇して接合できない部分を生じる。従って、接合部材の厚さは1μm以上が良いことがわかった。
【発明の効果】
以上、インクジェットプリントヘッドを形成する薄板部材を接合し、熱処理を施して、接合部、インク流路内壁及びインクジェットプリントヘッド外壁の必要な部分にインク耐蝕性に優れたSnーNi合金を形成する本発明インクジェットプリントヘッド及びその製造方法は、腐食性の強いインクを使用した場合でも、接合部が腐食されて剥離する等の不良を生じることがない有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインクジェットプリントヘッドを構成する薄板及び薄板を固定する部材の形状の一例である。
【図2】本発明を適用したインクジェットプリントヘッドを構成する薄板及び薄板を固定する部材のめっき構成の一例である。
【図3】本発明を適用した耐蝕性試験片のSn−Ni中のNi濃度と腐食速度の関係を示した特性図である。
【図4】本発明を適用したピール強度試験片のSn−Ni中のNi濃度とピール強度の関係を示した特性図である。
【図5】本発明を適用した耐蝕性試験片のSn−Ni−(Cu、Pd、Au、Ag)中の(Cu、Pd、Au、Ag)濃度と腐食速度の関係を示した特性図である。
【図6】本発明を適用したピール強度試験片のSn−Ni−(Cu、Pd、Au、Ag)中の(Cu、Pd、Au、Ag)濃度とピール強度の関係を示した特性図である。
【図7】本発明を適用したインクジェットプリントヘッドを構成する薄板及び薄板を固定する部材のめっき構成の一例である。
【図8】本発明を適用した耐蝕性試験片の第2次熱処理温度と腐食速度の関係及びインクジェットプリントヘッドのインク流路開口率と第2次熱処理温度の関係を示した特性図である。
【図9】本発明を適用したピール強度試験片のNiとSnの合計めっき厚さとピール強度の関係を示した特性図である。
【符号の説明】
1…オリフィスプレート、2…リストリクタプレート、3…ダイアフラムプレート、4…ハウジング、5…薄板及び薄板を固定する部材、6…Cuめっき層、7…Niめっき層、8…Snめっき層、9…Au−90wt%Snめっき層。
Claims (5)
- 薄板積層構造のインクジェットプリントヘッドの薄板同士を接合する接合部材として、Snはんだ層の含有率が35〜95wt%、Ni層の含有率が5〜60wt%であり、かつCu、Pd、Au、Agから任意に選択された金属を5wt%以下で含有した合金を用い、上記薄板の対向する接合面の少なくとも一方に、Cu、Pd、Au、Agから任意に選択された金属層、Ni層、Snはんだ層の順に接合面上に積層され、第1次熱処理としてSnはんだ層の融点以上でSnはんだ層同士を接合し、第2次熱処理として150℃以上かつ上記Snはんだ層の融点未満で相互拡散させ形成されることを特徴とする耐蝕インクジェットプリントヘッド。
- インク流路内壁またはインクジェットプリントヘッド外周に、前記接合部材に使用した合金を、前記接合面上に合金を積層する工程で、同時に積層して形成されることを特徴とする請求項1記載の耐蝕インクジェットプリントヘッド。
- 薄板積層構造のインクジェットプリントヘッドの薄板同士を接合する接合部材として、Snはんだ層の含有率が35〜95wt%、Ni層の含有率が5〜60wt%であり、かつCu、Pd、Au、Agから任意に選択された金属を5wt%以下で含有した合金を用い、上記薄板の対向する接合面の少なくとも一方に、Cu、Pd、Au、Agから任意に選択された金属層、Ni層、Snはんだ層の順に接合面上にそれぞれ単独で積層して形成し、第1次熱処理としてSnはんだ層の融点以上でSnはんだ層同士を接合し、第2次熱処理として150℃以上かつ上記Snはんだ層の融点未満で相互拡散させ形成することを特徴とする耐蝕インクジェットプリントヘッドの製造方法。
- インク流路内壁またはインクジェットプリントヘッド外周に、前記接合部材に使用した合金を、前記接合面上に合金を積層する工程で、同時に積層して形成することを特徴とする請求項3記載の耐蝕インクジェットプリントヘッド。
- 薄板積層構造のインクジェットプリントヘッドであって、前記薄板を接合する接合部材は、Sn−Niを基本とし、Cu、Pd、Au、Agから任意に選択された金属が添加された合金である耐蝕インクジェットプリントヘッドの製造方法において、
上記合金は、上記薄板の対向する接合面の両方又は片方の側に、Snはんだ層、Ni層及びCu、Pd、Au、Agから任意に選択された金属層をそれぞれ単独で積層して形成した後、第1次の熱処理でSnはんだ層を溶融させて上記薄板を接合し、しかるのち第2次の熱処理により、SnとNi及びCu、Pd、Au、Agから任意に選択された金属を相互拡散させることにより形成し、上記薄板を接合するSnはんだ層の厚さは、1μm以上であることを特徴とする耐蝕インクジェットプリントヘッドの製造方法。
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