JP3539184B2 - 発電装置及び電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電体を加振して発電を行う発電装置及びこの発電装置を備えた電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圧電体を加振して発電を行う発電装置としては、従来より以下のような種々の装置が提案されている。例えばハンマを片持ち梁構造のバイモルフ型の圧電体に衝突させ、圧電体を振動させて発電を行う発電装置(特開平9−233862号公報参照)、円板形状のバイモルフ型の圧電体を固定板に貼り付け、圧電体をたわみ振動させて発電を行う発電装置(特開昭56−64677号公報参照)、円板形状のバイモルフ型の圧電体自体あるいは圧電体を貼り付けた基板の周囲を固定し、圧電体をたわみ振動させて発電を行う発電装置(特開昭63−72593号公報参照)がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した各発電装置は、落下等により圧電体に衝撃が加わると、圧電体が破損するおそれが高いという問題があった。即ち、一般に落下等により圧電体に衝撃が加わる際は、圧電体には等分布荷重(動的荷重)が掛かるが、片持ち梁構造の圧電体の場合は、固定端部に大きな応力が掛るので固定端部が折れ易く、固定板に貼り付けられた構造の圧電体の場合は、中央部に大きな応力が掛るので中央部が割れ易く、周囲が固定された構造の圧電体の場合は、周囲固定部に大きな応力が掛るので周囲固定部が割れ易くなる。
【0004】
本発明の目的は、上記課題を解消して、落下等により圧電体に衝撃が加わっても、圧電体の破損を防止することができる発電装置及びこの発電装置を備えた電子機器を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、バイモルフ構造の圧電体と、前記圧電体を支持する支持手段と、前記支持手段に支持された前記圧電体に加振レバーにより振動させる加振手段とを備え、振動中の前記圧電体で発生した電力を出力する発電装置において、
前記圧電体が盤状であって、外周部より中央部の厚さが厚く形成され、
前記圧電体を挟んで前記加振レバーと対向する位置に、前記圧電体を支持する環状の支持手段が形成されてなり、
前記環状の支持手段以外は前記圧電体との間に空間を設けることを特徴とする発電装置。
【0006】
この請求項1の発明では、発電装置の落下等により圧電体に衝撃が加わって動的荷重が掛った場合、圧電体の各部に掛る応力が平均化されるように構成している。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、前記圧電体が、盤状であって両面の中央部が厚く形成されている発電装置である。
【0008】
この請求項2の発明では、圧電体の中央部の体積を増加させて、圧電体の中央部に大きな応力が掛らないように構成している。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1の構成において、前記圧電体が、盤状であって片面の中央部が厚く形成されている発電装置である。
【0010】
この請求項3の発明では、圧電体の片面のみの中央部を厚くして体積を増加させ、圧電体の中央部に大きな応力が掛らないように構成している。
【0011】
請求項4の発明は、請求項2又は3の構成において、前記圧電体の厚さ方向の断面の輪郭線が、曲線状に変化している発電装置である。
【0012】
この請求項4の発明では、圧電体の表面を曲面状に変化させて圧電体の中央部の体積を増加させ、圧電体の中央部に大きな応力が掛らないように構成している。
【0013】
請求項5の発明は、請求項4の構成において、前記圧電体の厚さをh、前記圧電体の半径をa、前記圧電体のポアソン比をν、前記圧電体の中心からの距離をrとしたとき、前記輪郭線が、次式(1)で表される発電装置である。
【0014】
h∝a2 (1+ν)(1−r2 /a2 )・・・(1)
この請求項5の発明では、圧電体の表面の曲面状の変化を具体的な数式で表して決定することができるように構成している。
【0015】
請求項6の発明は、請求項2又は3の構成において、前記圧電体の厚さ方向の断面の輪郭線が、直線状に変化している発電装置である。
【0016】
この請求項6の発明では、圧電体の表面を単純な曲面状及び平面状に変化させて圧電体の中央部の体積を増加させ、圧電体の中央部に大きな応力が掛らないように構成している。
【0017】
請求項7の発明は、請求項2又は3の構成において、前記圧電体の厚さ方向の断面の輪郭線が、階段状に変化している発電装置である。
【0018】
この請求項7の発明では、圧電体の表面に段差を設けて圧電体の中央部の体積を増加させ、圧電体の中央部に大きな応力が掛らないように構成している。
【0019】
請求項8の発明は、請求項7の構成において、前記圧電体が、盤状の圧電体を積層することにより形成されている発電装置である。
【0020】
この請求項8の発明では、形状の異なる圧電体を組み合わせて圧電体の中央部の体積を増加させ、圧電体の中央部に大きな応力が掛らないように構成している。
【0021】
請求項9の発明は、請求項8の構成において、前記圧電体が、シリーズ型である発電装置である。
【0022】
この請求項9の発明では、圧電体の分極方向を中央の厚さ部分からそれぞれ逆方向になるように積層してシリーズ型となるように構成している。
【0023】
請求項10の発明は、請求項8の構成において、前記圧電体が、パラレル型である発電装置である。
【0024】
この請求項10の発明では、圧電体の分極方向をそれぞれ交互に逆方向になるように積層してパラレル型となるように構成している。
【0025】
請求項11の発明は、請求項1の構成において、前記圧電体が、盤状であって両面の中央部が厚く形成されている中間材を挟んだ構造である発電装置である。この請求項11の発明では、中間材の中央部の体積を増加させて、圧電体の中央部に大きな応力が掛らないように構成している。
【0026】
請求項12の発明は、請求項1の構成において、前記圧電体が、盤状であって片面の中央部が厚く形成されている中間材を挟んだ構造である発電装置である。この請求項12の発明では、中間材の片面のみの中央部を厚くして体積を増加させ、圧電体の中央部に大きな応力が掛らないように構成している。
【0027】
請求項13の発明は、請求項1〜12のいずれかに記載の構成において、発電装置を備えた電子機器である。
【0028】
この請求項13の発明では、電子機器の駆動源として発電装置を備えた構成としている。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
図1は、本発明の発電装置の実施形態を示す概略構成図である。
【0031】
この発電装置1は、ケース2内に収納された発電系100、駆動系160及び蓄電系180で大略構成されている。尚、図では蓄電系180はケース2の外部に配置されているが、通常は駆動系160と重なるように配置されている。
【0032】
発電系100は、振動して交流電流を発生する圧電体110、圧電体110を加振する加振手段120及び圧電体110を支持する支持手段130で構成されている。
【0033】
圧電体110は、動的荷重が掛ったときの応力分布が均一になる形状、即ち中央部の厚さが外周部の厚さよりも厚い盤状のバイモルフ型に形成されており、図中のA−A線断面図に示すように、蓄電系180に接続されている中間電極111、中間電極111の表裏面に接着されている2枚の圧電板112、113、各圧電板112、113の表面に成膜されている電極114、115を備えている。
【0034】
ここで、圧電体110の形状を、動的荷重が掛ったときの応力分布が均一になる形状、即ち中央部の厚さが外周部の厚さよりも厚い盤状とした理由について説明する。
【0035】
一般に落下等により圧電体に衝撃が加わる際は、圧電体には等分布荷重(動的荷重)が掛かる。また、圧電体を振動させる際は、圧電体には集中荷重が掛かる。そこで、棒状の一例である梁形状の場合と盤状の一例である円形状の場合で、圧電体の単位体積に入力されたエネルギに対する最大応力を比較すると、梁形状の場合は等分布荷重のときの最大応力は集中荷重のときの最大応力の2倍程度大きくなり、円形状の場合は逆に集中荷重のときの最大応力は等分布荷重のときの最大応力の1.5倍程度大きくなる。また、最大応力の位置は、梁形状の場合は固定端となり、円形状の場合は中央部となる。従って、円形状の方が梁形状よりも衝撃に強くなるので、圧電体110の形状を盤状とし、また、中央部の応力が外周部の応力よりも大きくなるので、圧電体110の形状を中央部の厚さが外周部の厚さよりも厚い形状としている。尚、盤状は、円形状に限定されるものではなく、楕円形状や多角形状等で良い。
【0036】
加振手段120は、圧電体110を振動させるための打撃を圧電体110にパルス状に与える打撃付与手段121及び駆動系160からの駆動力を打撃付与手段121に伝達するための駆動力伝達手段122を備えている。尚、打撃付与手段121の代わりに、例えば気体、流体、磁界、光等の媒体を圧電体110にパルス状に与える媒体付与手段を備え、圧電体110を加振手段120と非接触で振動させるように構成しても良い。また、圧電体110を振動させるための打撃や媒体は、特にパルス状に与えなくても良い。支持手段130は、圧電体110の外周端を支持する支持部131及び支持部131を固定する固定部132を備えている。
【0037】
ここで、上述したように、この発電装置1は、加振手段120が打撃を圧電体110にパルス状に与えて発電させているので、以下で図2及び図3を参照してパルスについて説明する。
【0038】
図2は、圧電体110を振動させたときの振幅(A)と時間(t)との関係の一例を示す波形図である。
【0039】
この振動波形は、加振手段120により打撃を1パルスだけ圧電体110の中央部に与えて圧電体110を振動させたときの波形である。図からも明らかなように、圧電体110の振幅は、時間の経過に伴って減衰し、略20波程度で収束する。従って、圧電体110をパルス状に与えられる打撃で効率良く振動させるには、上記減衰振動の減衰時間tE と周期Cを考慮する必要がある。
【0040】
以上のことから、次のパルスを与えるタイミングを、上記減衰振動が完全に収束した後とし、またパルスを与える時間を、上記減衰振動の波形が立ち上がってから立ち下がる前、即ちピークに達する前までとすることにより、圧電体110の振動ロスを無くして振動効率を高めることができる。従って、図3に示すように、パルスとパルスの間隔(インターバル)Tは、上記減衰振動の減衰時間tE 以上とすることが望ましく、またパルスの幅bは、上記減衰振動の周期Cの1/4以下とすることが望ましい。
【0041】
また、上記パルスの波形としては、連続的な正弦波ではなく、間欠的ないわゆる非正弦波であれば良く、例えば図3(A)に示す方形波、同図(B)に示す三角波、同図(C)に示す丸みを帯びた方形波、同図(D)に示す鋸波、同図(E)に示すトリガ波、同図(F)に示す微分波を使用することができる。
【0042】
駆動系160は、ケース2の振動等によりケース2の内部で回転する回転錘161及び回転錘161の回転を増速して加振手段120に伝達する輪列162で構成されている。
【0043】
回転錘161は、半円形状に形成され、円形としたときの中心を回転中心とした回転軸161aを備えている。輪列162は、回転錘161と同軸上で回転する回転錘車162a、回転錘車162aとかみ合って回転する第1中間車162b、加振手段120の駆動力伝達手段122と係合して第1中間車162bと同軸上で回転する第2中間車162cを備えている。
【0044】
ここで、上述したように、圧電体110への打撃の付与間隔、即ちパルスとパルスの間隔(インターバル)Tは、振動効率の点から圧電体110の減衰振動の減衰時間tE 以上にする必要がある。ところが、回転錘161がある速度以上の高速で回転したときは、上記インターバルTが減衰時間tE 以下になって振動効率が低下してしまうので、そのときは回転錘161の回転が駆動力伝達手段122に伝達されないようにする必要がある。そこで、回転錘車162aと第1中間車162bとの間に引張ばね163を係止させ、回転錘161がある速度以下で回転しているときは、引張ばね163の復元力により回転錘車162aと第1中間車162bがかみ合うようにし、回転錘161がある速度以上で回転したときは、回転錘161の遠心力により引張ばね163が延びて回転錘車162aが第1中間車162bから離れるように構成する。
【0045】
蓄電系180は、圧電体110で発生する交流電流を全波整流する整流回路181及び整流回路181で整流された電流を蓄電する蓄電回路182で構成されている。
【0046】
整流回路181は、ブリッジ状に接続され、2端が圧電体110の中間電極111と電極114、115にそれぞれ接続されたダイオード181aを備えている。尚、整流回路181は、半波整流するように構成されていても良く、またインバータ等で構成されていても良い。蓄電回路182は、整流回路181の他の2端に接続されたコンデンサ182aを備えている。尚、蓄電回路182は、電力蓄積能力を備えた2次電池等で構成されていても良い。
【0047】
このような構成の発電装置1は、電子機器、例えば腕時計、携帯時計、置き時計、掛け時計等の計時装置や携帯電話、ページャ、携帯型コンピュータ、携帯型ディスク装置等の携帯機器に内蔵させて使用することができる。発電装置1の取付場所としては、例えば計時装置の場合は裏蓋の裏面や文字板の裏面、あるいはボタン型電池と同型にしてその収納場所等がある。尚、回転錘161の代わりに、時計のりゅうずや携帯電話のジョグダイヤル等の回転機構あるいはぜんまい等を手巻きにより巻き上げる機構を用いることができる。
【0048】
図4(A)、(B)は、本発明の発電装置の発電系の第1実施例を示す平面図及び一部断面側面図である。
【0049】
この発電系200は、振動して交流電流を発生する圧電体210、圧電体210を加振する加振手段220及び圧電体210を支持する支持手段230で構成されている。尚、この発電系200と関連する駆動系及び蓄電系は、図1に示す駆動系160及び蓄電系180と同一構成である。
【0050】
圧電体210は、中間電極211の表裏面に2枚の圧電板212、213が接着され、各圧電板212、213の表面に電極214、215が成膜された円盤形状のバイモルフ型に形成されている。
【0051】
中間電極211は、例えばリン青銅の板材で成り、円盤形状に形成されている。
【0052】
圧電板212、213は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(商品名:PZT)のバルク材で成り、円盤形状であって、中間電極211との接着面は平坦に形成され、電極214、215の形成面は中央部が半球状の凸部で外周部が平坦に、即ち中央部の厚さが外周部の厚さより厚くなるように形成されている。
【0053】
電極214、215は、例えば銀の薄膜で成り、ペースト塗布あるいはスパッタリング等により形成されている。
【0054】
加振手段220は、打撃を圧電体210にパルス状に与える媒体付与手段としてハンマ221が備えられ、このハンマ221に駆動系160からの駆動力を伝達する駆動力伝達手段として回転車222が備えられている。
【0055】
ハンマ221は、アーム状に形成されており、一端が圧電体210の中央上部に配置され、他端が例えばケース2に固定されている支持部221aに図示矢印a方向に回転可能に軸支持されている。さらに、ハンマ221の一端部と他端部の間には、回転車222の歯222aと係合する突起部221bが形成されていると共に、一端が例えばケース2に固定されている引張ばね221cの他端が係止されている。
【0056】
回転車222は、軸が例えばケース2に固定されており、駆動系160の第2中間車162cとハンマ221の突起部221bと係合して図示矢印b方向に回転可能な形状に形成されている。
【0057】
支持手段230は、圧電体210の外周端を支持する支持部231が固定部232に固定された円盤形状に形成されている。
【0058】
このような構成の発電系200を含む発電装置1を内蔵した腕時計が使用者の腕に装着されている場合の動作例を説明する。
【0059】
腕や体の動きに呼応して回転錘161が回転錘車162aと共に回転すると、その回転に連動して、第1中間車162b、第2中間車162c及び回転板123が回転する。このときの回転錘161の回転は、回転錘車162aを介して第1中間車162bに伝達されて増幅され、さらに第2中間車162cを介して回転車222に伝達されて歯222aの1ピッチがパルスの周期となるように増幅される。
【0060】
そして、回転車222の歯222aの1ピッチの回転に伴って、ハンマ221の突起部221bは、歯222aと係合しているときは押し上げられ、歯222aとの係合が外れると引張ばね221cの復元力により引き下げられる。これにより、ハンマ221は支持部221aの支持軸を中心に回転するので、ハンマ221の一端が揺動して圧電体210の中央上部を打撃する。
【0061】
このハンマ221の一端の揺動は、上記パルス周期でおこなわれるので、間欠的なハンマ221の一端による打撃により、圧電体210は所定の振動を一定周期で繰り返して交流電流を発生する。そして、整流回路181は、圧電体210で発生した交流電流を全波整流し、蓄電回路182は、整流回路181で整流された電流を蓄電する。これにより、腕時計の針等を駆動させることができる。
【0062】
図5(A)、(B)は、本発明の発電装置の発電系の第2実施例を示す平面図及び一部断面側面図である。尚、この発電系の加振手段は図4と同一構成であるので、図示は省略してある。
【0063】
この発電系300は、振動して交流電流を発生する圧電体310、圧電体310を加振する加振手段及び圧電体310を支持する支持手段330で構成されている。尚、この発電系300と関連する駆動系及び蓄電系は、図1に示す駆動系160及び蓄電系180と同一構成である。
【0064】
圧電体310は、中間電極311の表裏面に2枚の圧電板312、313が接着され、各圧電板312、313の表面に電極314、315が成膜された円盤形状のバイモルフ型に形成されている。
【0065】
中間電極311は、例えばリン青銅の板材で成り、円盤形状に形成されている。
【0066】
圧電板312、313は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(商品名:PZT)のバルク材で成り、円盤形状であって、中間電極311との接着面は平坦に形成されており、電極314、315の形成面は、山形、即ち中央部の厚さが外周部の厚さより厚く、かつ厚さ方向の断面の輪郭線が曲線状に変化するように形成されている。
【0067】
この圧電体310の厚さ方向の断面の輪郭線の曲線は、圧電体310の変位と圧電体310の中心からの距離との関係式、圧電体310の最大応力と圧電体310に掛かる等分布荷重との関係式、圧電体310の単位体積に入力されたエネルギと圧電体310の中心からの距離との関係式から、次式(1)で表される。
h∝a2 (1+ν)(1−r2 /a2 )・・・(1)
ここで、h:圧電体310の厚さ、a:圧電体310の半径、ν:圧電体310のポアソン比、r:圧電体310の中心からの距離である。
【0068】
電極314、315は、例えば銀の薄膜で成り、ペースト塗布あるいはスパッタリング等により形成されている。
【0069】
支持手段330は、圧電体310の外周端を支持する支持部331が固定部332に固定された円盤形状に形成されている。
【0070】
このような構成の発電系300を含む発電装置1を内蔵した腕時計が使用者の腕に装着されている場合も、上述した動作例と同様に動作する。
【0071】
図6は、本発明の発電装置の発電系の第3実施例を示す平面図及び一部断面側面図である。尚、この発電系の加振手段は図4と同一構成であるので、図示は省略してある。
【0072】
この発電系400は、振動して交流電流を発生する圧電体410、圧電体410を加振する加振手段及び圧電体410を支持する支持手段430で構成されている。尚、この発電系400と関連する駆動系及び蓄電系は、図1に示す駆動系160及び蓄電系180と同一構成である。
【0073】
圧電体410は、中間電極411の表裏面に2枚の圧電板412、413が接着され、各圧電板412、413の表面に電極414、415が成膜された円盤形状のバイモルフ型に形成されている。
【0074】
中間電極411は、例えばリン青銅の板材で成り、円盤形状に形成されている。
【0075】
圧電板412、413は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(商品名:PZT)のバルク材で成り、円盤形状であって、中間電極411との接着面は平坦に形成されており、電極414、415の形成面は、円錐台形状、即ち中央部の厚さが外周部の厚さより厚く、かつ厚さ方向の断面の輪郭線が直線状に変化するように形成されている。
【0076】
電極414、415は、例えば銀の薄膜で成り、ペースト塗布あるいはスパッタリング等により形成されている。
【0077】
支持手段430は、圧電体410の外周端を支持する支持部431が固定部432に固定された円盤形状に形成されている。
【0078】
このような構成の発電系400を含む発電装置1を内蔵した腕時計が使用者の腕に装着されている場合も、上述した動作例と同様に動作する。
【0079】
図7は、本発明の発電装置の発電系の第4実施例を示す平面図及び一部断面側面図である。尚、この発電系の加振手段は図4と同一構成であるので、図示は省略してある。
【0080】
この発電系500は、振動して交流電流を発生する圧電体510、圧電体510を加振する加振手段及び圧電体510を支持する支持手段530で構成されている。尚、この発電系500と関連する駆動系及び蓄電系は、図1に示す駆動系160及び蓄電系180と同一構成である。
【0081】
圧電体510は、中間電極511の表裏面に2枚の圧電板512、513が接着され、各圧電板512、513の表面の一部に電極514、515が成膜された円盤形状のバイモルフ型に形成されている。
【0082】
中間電極511は、例えばリン青銅の板材で成り、円盤形状に形成されている。
【0083】
圧電板512、513は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(商品名:PZT)のバルク材で成り、円盤形状であって、中間電極511との接着面は平坦に形成されており、電極514、515側の面は、複数の段付円柱形状、即ち中央部の厚さが外周部の厚さより厚く、かつ厚さ方向の断面の輪郭線が階段状に変化するように形成されている。
【0084】
電極514、515は、例えば銀の薄膜で成り、ペースト塗布あるいはスパッタリング等により圧電板512、513の中央の円柱の表面にのみ形成されている。
【0085】
支持手段530は、圧電体510の外周端を支持する支持部531が固定部532に固定された円盤形状に形成されている。
【0086】
このような構成の発電系500を含む発電装置1を内蔵した腕時計が使用者の腕に装着されている場合も、上述した動作例と同様に動作する。
【0087】
図8は、本発明の発電装置の発電系の第5実施例を示す平面図及び一部断面側面図である。尚、この発電系の加振手段は図4と同一構成であるので、図示は省略してある。
【0088】
この発電系600は、振動して交流電流を発生する圧電体610、圧電体610を加振する加振手段及び圧電体610を支持する支持手段630で構成されている。尚、この発電系600と関連する駆動系及び蓄電系は、図1に示す駆動系160及び蓄電系180と同一構成である。
【0089】
圧電体610は、中間電極611の表裏面に複数(この例では各4枚)の圧電板612a、612b、612c、612dと613a、613b、613c、613dが接着され、各圧電板612a、612b、612c、612dと613a、613b、613c、613dの表面にのみ電極614a、614b、614c、614d、615a、615b、615c、615dが成膜された円盤形状の積層バイモルフ型に形成されている。
【0090】
中間電極611は、例えばリン青銅の板材で成り、円盤形状に形成されている。
【0091】
各圧電板612a〜613dは、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(商品名:PZT)のバルク材で成り、径の異なる円盤形状に形成されており、それらは大径から順次小径となるように積層された形状、即ち中央部の厚さが外周部の厚さより厚く、かつ厚さ方向の断面の輪郭線が階段状に変化するように形成されている。電極614a〜615dは、例えば銀の薄膜で成り、ペースト塗布あるいはスパッタリング等により形成されている。
【0092】
ここで、この圧電体610と整流回路181との接続方法としては、図9(A)に示すシリーズ接続と、同図(B)に示すパラレル接続がある。即ち、各圧電板612a〜613dの分極方向が、同図(A)の矢印で示すように中間電極611からそれぞれ逆方向に向くように各圧電板612a〜613dを配置したときは、中央部の電極612d、613dと、中間電極611を整流回路181にそれぞれ接続するシリーズ接続とし、各圧電板612a〜613dの分極方向が、同図(B)の矢印で示すように中間電極611からそれぞれ交互に逆方向に向くように各圧電板612a〜613dを配置したときは、同方向の電極612a、613a、612c、613cと、中間電極611及び同方向の電極612b、613b、612d、613dを整流回路181にそれぞれ接続するパラレル接続とする。
【0093】
支持手段630は、圧電体610の外周端を支持する支持部531が固定部532に固定された円盤形状に形成されている。
【0094】
このような構成の発電系500を含む発電装置1を内蔵した腕時計が使用者の腕に装着されている場合も、上述した動作例と同様に動作する。
【0095】
図10は、本発明の発電装置の発電系の第6実施例を示す平面図及び一部断面側面図である。尚、この発電系の加振手段は図4と同一構成であるので、図示は省略してある。
【0096】
この発電系700は、振動して交流電流を発生する圧電体710、圧電体710を加振する加振手段及び圧電体710を支持する支持手段730で構成されている。尚、この発電系700と関連する駆動系及び蓄電系は、図1に示す駆動系160及び蓄電系180と同一構成である。
【0097】
圧電体710は、中間電極711の表裏面に2枚の圧電板712、713が接着され、各圧電板712、713の表面に電極714、715が成膜された円盤形状のバイモルフ型に形成されている。
【0098】
中間電極711は、例えばリン青銅の板材で成り、円盤形状であって、表裏面は中央部が半球状の凸部で外周部が平坦に、即ち中央部の厚さが外周部の厚さより厚くなるように形成されている。
【0099】
圧電板712、713は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(商品名:PZT)のバルク材で成り、円盤形状であって、中間電極711との接着面は中央部が中間電極711の凸部に嵌め合う半球状の凹部で外周部が平坦に、即ち中央部の厚さが外周部の厚さより薄くなるように形成され、電極714、715の形成面は平坦に形成されている。
【0100】
電極714、715は、例えば銀の薄膜で成り、ペースト塗布あるいはスパッタリング等により形成されている。
【0101】
支持手段730は、圧電体710の外周端を支持する支持部731が固定部732に固定された円盤形状に形成されている。
【0102】
このような構成の発電系700を含む発電装置1を内蔵した腕時計が使用者の腕に装着されている場合も、上述した動作例と同様に動作する。
【0103】
図11は、本発明の発電装置の発電系の第7実施例を示す平面図及び一部断面側面図である。尚、この発電系の加振手段は図4と同一構成であるので、図示は省略してある。
【0104】
この発電系800は、振動して交流電流を発生する圧電体810、圧電体810を加振する加振手段及び圧電体810を支持する支持手段830で構成されている。尚、この発電系800と関連する駆動系及び蓄電系は、図1に示す駆動系160及び蓄電系180と同一構成である。
【0105】
圧電体810は、中間電極811の表裏面に2枚の圧電板812、813が接着され、各圧電板812、813の表面に電極814、815が成膜された円盤形状のバイモルフ型に形成されている。
【0106】
中間電極811は、例えばリン青銅の板材で成り、円盤形状に形成されている。
【0107】
圧電板812、813は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(商品名:PZT)のバルク材で成り、円盤形状であって、中間電極811との接着面は平坦に形成されている。そして、一方の圧電板812の電極814の形成面は、中央部が半球状の凸部で外周部が平坦に、即ち中央部の厚さが外周部の厚さより厚くなるように形成されている。また、他方の圧電板813の電極815の形成面は、平坦に形成されている。
【0108】
電極814、815は、例えば銀の薄膜で成り、ペースト塗布あるいはスパッタリング等により形成されている。
【0109】
支持手段830は、圧電体810の外周端を支持する支持部831が固定部832に固定された円盤形状に形成されている。
【0110】
このような構成の発電系800を含む発電装置1を内蔵した腕時計が使用者の腕に装着されている場合も、上述した動作例と同様に動作する。
【0111】
尚、この第7実施例の圧電体810のように、片面の中央部のみの厚さが外周部の厚さよりも厚く形成することは、上述した各実施形態でも同様に適用することができる。
【0112】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、圧電体の各部に掛る応力が平均化されるので、圧電体の部分的な応力集中による破壊を防止することができる。従って、落下や例えば急速充電のように短時間に力を加える必要がある場合に発生する衝撃に強い圧電発電システムや、それを搭載した携帯電子機器を提供できる。さらに、応力が等分布に近づくため発電効率も上がり、高効率の圧電発電システムや、それを搭載した携帯電子機器を提供できる。
【0113】
請求項2の発明によれば、特に圧電体の中央部に掛る応力を厚み方向に分散させて圧電体の各部に掛る応力を平均化させることができるので、圧電体の中央部の破壊を防止することができる。従って、落下や衝撃に強い圧電発電システムや、それを搭載した携帯電子機器を提供できる。さらに、応力が等分布に近づくため発電効率も上がり、高効率の圧電発電システムや、それを搭載した携帯電子機器を提供できる。
【0114】
請求項3の発明によれば、圧電体の一方の片面のみの中央部を厚くしているので、圧電体を他方の片面で容易に支持することができる。従って、安価で落下や衝撃に強い圧電発電システムや、それを搭載した携帯電子機器を提供できる。
【0115】
請求項4の発明によれば、圧電体の表面を曲面状に形成しているので、圧電体の各部に掛る応力をほぼ等分布に近づけることができ、圧電体の部分的な応力集中による破壊をより防止することができる。さらに、加工も例えばバルクの圧電材をNC(自動制御)工作機械で削り出す等の方法を採れるために比較的容易に行えるので、安価で落下や衝撃に強い圧電発電システムや、それを搭載した携帯電子機器を提供できる。
【0116】
請求項5の発明によれば、圧電体の表面の曲面状の変化を具体的な数式で表しているので、圧電体の加工を例えばNC(自動制御)工作機械等を用いることで精密かつ容易に行うことができる。従って、より落下や衝撃に強い圧電発電システムや、それを搭載した携帯電子機器を提供できる。
【0117】
請求項6の発明によれば、圧電体の表面を単純な曲面状及び平面状で形成すれば良いので、例えばバルクの圧電材から削り出したり、焼結するときに型を比較的にラフに作り込むことでより容易に行うことができる。従って、より安価で落下や衝撃に強い圧電発電システムや、それを搭載した携帯電子機器を提供できる。
【0118】
請求項7の発明によれば、圧電体の表面に段差を設ければ良いので、圧電体の加工をエッチングや研削のみで容易に行うことができる。従って、安価で落下や衝撃に強い圧電発電システムや、それを搭載した携帯電子機器を提供できる。
【0119】
請求項8の発明によれば、形状の異なる圧電体を組み合わせれば良いので、圧電体の加工を研削及び接着のみで容易に行うことができる。従って、より安価で落下や衝撃に強い圧電発電システムや、それを搭載した携帯電子機器を提供できる。
【0120】
請求項9の発明によれば、圧電体の静電容量が小さくなるので、発電時の電圧を高電圧にすることができる。従って、高電圧の必要な携帯電子機器に落下や衝撃に強い本圧電発電システムを搭載し、提供できる。
【0121】
請求項10の発明によれば、圧電体の静電容量が大きくなるので、発電時の電流を大電流にすることができる。従って、大電流の必要な携帯電子機器に落下や衝撃に強い本圧電発電システムを搭載し、提供できる。
【0122】
請求項11の発明によれば、中間材が応力を受けるので、圧電体をより破損し難くすることができる。さらに、加工の大部分を圧電材より安価で加工を行い易い中間材で行うために、より安価で落下や衝撃に強い圧電発電システムや、それを搭載した携帯電子機器を提供できる。
【0123】
請求項12の発明によれば、中間材の一方の片面のみの中央部を厚くしているので、中間材の加工を容易に行うことができる。
【0124】
請求項13の発明によれば、電子機器の電源交換を不要とし、コンパクトにすることができる。さらに、落下や衝撃に強い圧電発電システムや、それを搭載した携帯電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発電装置の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】圧電体を振動させたときの振幅(A)と時間(t)との関係の一例を示す波形図である。
【図3】パルス波形の一例を示す図である。
【図4】本発明の発電装置の発電系の第1実施例を示す一部断面平面図である。
【図5】本発明の発電装置の発電系の第2実施例を示す一部断面平面図である。
【図6】本発明の発電装置の発電系の第3実施例を示す一部断面平面図である。
【図7】本発明の発電装置の発電系の第4実施例を示す一部断面平面図である。
【図8】本発明の発電装置の発電系の第5実施例を示す一部断面平面図である。
【図9】本発明の発電装置の発電系の第6実施例を示す一部断面平面図である。
【図10】本発明の発電装置の発電系の第7実施例を示す一部断面平面図である。
【図11】本発明の発電装置の発電系の第8実施例を示す一部断面平面図である。
【符号の説明】
1 発電装置
2 ケース
100 発電系
110 圧電体
120 加振手段
130 支持手段
160 駆動系
180 蓄電系
111、211、311、411、511、611、711、811 中間電極
112、113、212、213、312、313、412、413、512、513、612a、612b、612c、612d、613a、613b、613c、613d、712、713、812、813 圧電板
114、115、214、215、314、315、414、415、514、515、614a、614b、614c、614d、615a、615b、615c、615d、714、715、814、815 電極
Claims (13)
- バイモルフ構造の圧電体と、前記圧電体を支持する支持手段と、
前記支持手段に支持された前記圧電体に加振レバーにより振動させる加振手段とを備え、振動中の前記圧電体で発生した電力を出力する発電装置において、
前記圧電体が盤状であって、外周部より中央部の厚さが厚く形成され、
前記圧電体を挟んで前記加振レバーと対向する位置に、前記圧電体を支持する環状の支持手段が形成されてなり、
前記環状の支持手段以外は前記圧電体との間に空間を設けることを特徴とする発電装置。 - 前記圧電体が、盤状であって両面の中央部が厚く形成されて
いる請求項1に記載の発電装置。 - 前記圧電体が、盤状であって片面の中央部が厚く形成されて
いる請求項1に記載の発電装置。 - 前記圧電体の厚さ方向の断面の輪郭線が、曲線状に変化して
いる請求項2又は3に記載の発電装置。 - 前記圧電体の厚さをh、前記圧電体の半径をa、前記圧電体
のポアソン比をν、前記圧電体の中心からの距離をrとしたとき、前記輪郭線が
、次式(1)で表される請求項4に記載の発電装置。
h∝a2 (1+ν)(1−r2 /a2 )・・・(1) - 前記圧電体の厚さ方向の断面の輪郭線が、直線状に変化して
いる請求項2又は3に記載の発電装置。 - 前記圧電体の厚さ方向の断面の輪郭線が、階段状に変化して
いる請求項2又は3に記載の発電装置。 - 前記圧電体が、盤状の圧電体を積層することにより形成され
ている請求項7に記載の発電装置。 - 前記圧電体が、シリーズ型である請求項8に記載の発電装置
。 - 前記圧電体が、パラレル型である請求項8に記載の発電装
置。 - 前記圧電体が、盤状であって両面の中央部が厚く形成され
ている中間材を挟んだ構造である請求項1に記載の発電装置。 - 前記圧電体が、盤状であって片面の中央部が厚く形成され
ている中間材を挟んだ構造である請求項1に記載の発電装置。 - 請求項1〜12のいずれかに記載の発電装置を備えた電子
機器。
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