JP3538514B2 - 電子写真用セレン感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真用セレン感光体の製造方法

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JP3538514B2 JP02035597A JP2035597A JP3538514B2 JP 3538514 B2 JP3538514 B2 JP 3538514B2 JP 02035597 A JP02035597 A JP 02035597A JP 2035597 A JP2035597 A JP 2035597A JP 3538514 B2 JP3538514 B2 JP 3538514B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は電子写真用セレン
感光体の感光層の製造方法に係り、特にセレン―ヒ素合
金からなる感光層中のハロゲン元素ドープ量を所望値に
制御する電子写真用セレン感光体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セレン―ヒ素合金を感光層に用いる電子
写真用セレン感光体はセレン―ヒ素合金のヴィッカース
硬度が130kg/mm2、半減衰露光量が0.5lx・s 、ガ
ラス転移温度が170℃等の特性を示し、耐刷性,感
度,耐熱性に優れるため高速プリンタを始めとして中速
ないし高速の複写機に用いられる。
【0003】電子写真用セレン感光体は複写機の高速化
や小型化、プリンタの高速化,小型化,光源の多様化に
対応して高速応答性のセレン―ヒ素合金が使用される。
高速応答性のセレン―ヒ素合金には例えば第三元素とし
てハロゲン元素をドープしてホール(正孔)のモビリテ
ィー(移動度μ)を大きくした三二セレン化ヒ素As2Se3
が用いられる。
【0004】電子写真プロセスは感光体上への帯電、光
照射による潜像の形成、トナー付着による現像、現像の
記録紙上への転写、熱あるいは圧力による定着、除電の
工程からなる。図2はプリンタ用のセレン感光体におけ
る光導電機構を示す模型図である。電子写真用セレン感
光体3はアルミニウムである導電性基体3B上に感光層
3Aとしてセレン―ヒ素合金である三二セレン化ヒ素As
2Se3を積層して製造される。正電荷3Eにより正帯電し
た感光層3Aに光が照射されると、セレン―ヒ素感光層
内部で電子3Cとホール3Dが発生する。セレン―ヒ素
感光層はホール導電体であり、ホール3Dはセレン―ヒ
素感光層の内部を導電性基体3Bに向かって流れ、導電
性基体3Bに注入される。ホールのモビリティーが大き
いと光応答速度が大きくなり高速応答性の感光体が得ら
れる。セレン―ヒ素感光層内に残された電子は感光層表
面の正電荷3Eを除去する。このようにして画像に対応
する画像パターンの光照射により画像部の正電荷が除去
されたネガ潜像が形成される。
【0005】図3は三二セレン化ヒ素As2Se3中の第三元
素(ヨウ素)添加量(ヨウ素ドープ量)を媒介変数とし
てモビリティーの絶対温度逆数依存性を示す線図であ
る。図に示すように第三元素のA,B,C,Dで示す添
加量(ヨウ素のドープ量)が増えるとホールのモビリテ
ィーが増大する。従来のセレン―ヒ素合金感光層はハロ
ゲン元素濃度を変化させたセレン―ヒ素合金原料を導電
性基体上に蒸着して、三二セレン化ヒ素As2Se3中のヨウ
素ドープ量を調節していた。
【0006】図4はセレン―ヒ素合金感光層の製造に使
用されるプラネタリ蒸着炉を示す模式断面図である。蒸
着炉1の内部は真空引きされる。台座6上のボート4は
約400℃の温度に加熱され、内部のセレン―ヒ素合金
原料5が蒸発する。蒸発したセレン―ヒ素合金はヒータ
カバー2により所定の温度に加熱された4個の感光体3
上に蒸着される。感光体3は矢印に示すように自転し且
つ公転する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述のよ
うな従来の製造方法においては、セレン―ヒ素合金感光
層中のハロゲン元素ドープ量を所望値に制御するために
は感光層中のハロゲン元素ドープ量に対応してハロゲン
元素濃度を変化した複数のセレン―ヒ素合金原料を調製
する必要があり、原料の種類が増大して電子写真用セレ
ン感光体の製造が煩雑になるという問題があった。
【0008】この発明は上述の点に鑑みてなされその目
的は、所定濃度のハロゲン元素を含む一種類のセレン―
ヒ素合金原料を用いてセレン―ヒ素合金感光層中のハロ
ゲン元素ドープ量を制御することが可能な電子写真用セ
レン感光体の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の目的はこの発明に
よれは導電性基体上にハロゲン元素の添加されたセレン
―ヒ素合金からなる感光層を積層してなる電子写真用セ
レン感光体の製造方法において、所定濃度のハロゲン元
素を含むセレン―ヒ素合金原料を用い、導電性基体上に
感光層を真空蒸着する際に導電性基体の表面温度を調節
してハロゲン元素の添加量を所定の濃度に調節すること
により達成される。
【0010】上述の発明においてセレン―ヒ素合金原料
中のハロゲン元素の所定濃度が100ppmないし50
00ppmであること、または導電性基体の表面温度が
190℃ないし230℃であることが有効である。ハロ
ゲン元素はセレン―ヒ素合金を導電性基体上に蒸着する
際に導電性基体の表面温度が低い程、セレン―ヒ素合金
感光層中に多く取り込まれる。
【0011】
【発明の実施の形態】セレン―ヒ素合金原料中のハロゲ
ン元素濃度は100ppmないし5000ppmの範囲
内の一定濃度の原料が用いられる。また導電性基体の表
面温度は190℃ないし230℃の範囲内の所定値に調
節される。
【0012】
【実施例】アルミニウム素管表面を研削した後にアルミ
ニウム素管の予備洗浄、トリクレン洗浄、アルカリエッ
チング、硝酸エッチング、次いで大気中での加熱を行い
アルミニウム素管を前処理した。プラネタリ蒸着炉内の
蒸発源用ボートに4200ppmのヨウ素を含むセレン
―ヒ素合金原料を装填した。ヨウ素濃度は2000ない
し2500ppmを目標とした。プラネタリ蒸着炉の真
空度を約10-5Torrに維持しながら昇温し、ベーキング
を行った。窒素冷却を行った後にヒータカバーの温度を
調節してアルミニウム素管の表面温度を190ないし2
30℃5種類に変化して蒸着を行った。蒸着時間は約5
0分、蒸発源の温度は400±5℃であった。蒸着後に
セレン―ヒ素感光層中のヨウ素濃度を蛍光X線法で測定
した。
【0013】セレン―ヒ素感光層中におけるヨウ素ドー
プ量のアルミニウム素管表面温度依存性が次表に示され
る。
【0014】
【表1】 図1はセレン―ヒ素感光層中におけるヨウ素濃度(ヨウ
素ドープ量)のアルミニウム素管表面温度依存性を示す
線図である。アルミニウム素管表面温度を調節してセレ
ン―ヒ素合金感光層を蒸着することによりセレン―ヒ素
合金感光層中のヨウ素ドープ量が変化することがわか
る。
【0015】アルミニウム素管表面温度を190ないし
230℃に調節すると、セレン―ヒ素合金のヨウ素濃度
が100ppmの場合に感光層中のヨウ素濃度を30な
いし60ppm、セレン―ヒ素合金のヨウ素濃度が50
00ppmの場合に感光層中のヨウ素濃度を2500な
いし3000ppmに調節できる。アルミニウム素管表
面温度が190℃よりも低い場合には蒸着膜の表面が滑
らかにならず外観不良となる。
【0016】
【発明の効果】この発明によれば固定濃度のハロゲン元
素を含むセレン―ヒ素合金原料を用い、導電性基体の表
面温度を調節してセレン―ヒ素合金を導電性基体上に真
空蒸着するので、セレン―ヒ素合金感光層中のハロゲン
元素ドープ量を所望値に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】セレン―ヒ素感光層中におけるヨウ素濃度(ヨ
ウ素ドープ量)のアルミニウム素管表面温度依存性を示
す線図
【図2】プリンタ用のセレン感光体における光導電機構
を示す模型図
【図3】三二セレン化ヒ素As2Se3中のヨウ素ドープ量を
媒介変数としてモビリティーの絶対温度逆数依存性を示
す線図
【図4】セレン―ヒ素合金感光層の製造に使用されるプ
ラネタリ蒸着炉を示す模式断面図
【符号の説明】
1 蒸着炉 2 ヒータカバー 3 感光体 3A 感光層 3B 導電性基体 3C 電子 3D ホール 4 ボート 5 セレン―ヒ素合金原料 6 台座
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/08 - 5/082

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性基体上にハロゲン元素の添加された
    セレン―ヒ素合金からなる感光層を積層してなる電子写
    真用セレン感光体の製造方法において、所定濃度のハロ
    ゲン元素を含むセレン―ヒ素合金原料を用い、導電性基
    体上に感光層を真空蒸着する際に導電性基体の表面温度
    を調節してハロゲン元素の添加量を所定の濃度に調節す
    ることを特徴とする電子写真用セレン感光体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】セレン―ヒ素合金原料中のハロゲン元素の
    所定濃度が100ppmないし5000ppmである請
    求項1に記載の電子写真用セレン感光体の製造方法。
  3. 【請求項3】導電性基体の表面温度が190ないし23
    0℃である請求項1に記載の電子写真用セレン感光体の
    製造方法。
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