JP3537621B2 - 半導体レーザの製造方法並びにその製造装置 - Google Patents

半導体レーザの製造方法並びにその製造装置

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JP3537621B2 JP04442497A JP4442497A JP3537621B2 JP 3537621 B2 JP3537621 B2 JP 3537621B2 JP 04442497 A JP04442497 A JP 04442497A JP 4442497 A JP4442497 A JP 4442497A JP 3537621 B2 JP3537621 B2 JP 3537621B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体レーザ
造方法並びにその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】分布帰還形半導体レーザは、従来の劈開
面反射構造のファブリペロー型レーザと異なり、光導波
路の共振器長方向に回折格子を成す周期的な凹凸部を設
け、これら回折格子によるBragg散乱を利用して光のフ
ィードバックを行うレーザ発振素子(装置)である。発
振波長は、これら回折格子の波長選択性により単一の縦
モードに安定に固定することができる。従って、より高
いコヒーレンシーが求められる動的単一モード動作にお
いて有用である。近年では、石英系光ファイバの分散の
ある波長帯域での長距離無中継通信を実現するために、
InGaAsP/InP系の半導体レーザにこの分布帰還形構造を
採用している。
【0003】分布帰還形半導体レーザでは、上述したBr
agg散乱を生じさせるために、微細な回折格子を形成す
る必要がある。従来は、活性層(光導波路を兼ねる)内
に周期構造を形成した構造の分布帰還形半導体レーザが
案出されているが、この構造では、活性層にダメージを
与え内部量子効率が減少する等の問題がある。このた
め、活性層内に回折格子を形成するのではなく、活性層
の上部に形成されたクラッド層に回折格子を形成して、
活性層における共振器長手方向の実効屈折率を周期的に
変化させることによって回折格子を形成した構造の分布
帰還形レーザが案出されている。例えば、同出願人によ
り特開平8−167759号公報に開示された技術があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記公報に
開示された分布帰還形レーザに形成される回折格子は、
深さが1μm程度、幅が0.2μm程度の平面長方形状
の複数の凹部を共振器長手方向に多数形成して実現され
る。分布型半導体レーザの発光効率を向上させるために
は、上記回折格子を活性層の近傍に形成しなければなら
ない。なぜならば、回折格子が活性層に近いほど共振器
長手方向の屈折率分布の差が大きくなり、活性層中を伝
搬する前進波と後進波との結合係数が大きくなるためで
ある。つまり、必然的に上記凹部の形状を高アスペクト
比(凹部の高さと幅との比)を有するよう形成する必要
がある。
【0005】回折格子は塩素系又はメタン系の反応成ガ
スを用いたRIB(Reactive Ion Etching)等のドライ
エッチング又は組成がHCl:CH3COOH=1:4
であるエッチング溶液を用いたウェットエッチングによ
って形成される。通常、ドライエッチングは加工箇所に
対するダメージが大きいため、加工する箇所への加工変
質ダメージが低いウェットエッチングによって回折格子
が形成される。
【0006】しかしながら、ウェットエッチングでは、
使用する基板材料やエッチング溶液の種類によって基板
が異方的にエッチングされる。つまり、基板材料にあわ
せて適切なエッチング溶液を選択しないと凹部の断面形
状が台形状に又は逆台形状に形成されてしまう。凹部の
形状が台形状に又は逆台形状に形成されたものがある
と、回折格子による結合係数のばらつきが生ずる。尚、
ここでいう結合係数は、前述した結合係数と同じ意味で
あり、活性層中を伝搬する前進波と後進波とが回折格子
によって結合される割合の程度を示すものである。
【0007】図7は回折格子の形状と結合係数との関係
を示す説明図である。図7(a)に示されたように、凹
部20の幅をB、凸部21の幅をAとすると、図7
(b)に示されたように幅Aと幅Bとの比を変化させる
と結合係数が変化する。尚、図7(b)は横軸を幅Aと
幅Bとの比に設定し、縦軸をA:B=1:1としたとき
の結合係数を基準として規格化した結合係数に設定して
いる。図7(b)に示されたように、凹部20の幅Bと
凸部21の幅Aとが等しい場合に結合係数が最大とな
り、幅Bに対する幅Aの値が小さくなるにつれ結合係数
が小さくなる。
【0008】ところで、回折格子の形状が変化すると結
合係数が変化し、その結果、活性層中で帰還される光パ
ワーが変化するためにレーザ発振閾値が変化する問題が
あった。つまり、各分布帰還形半導体レーザに形成され
る回折格子の形状を正確に制御できないと、個々の分布
帰還形半導体レーザ毎に発振特性が変化してしまい、発
振特性が一定な分布帰還形半導体レーザを作成できない
という問題があった。さらに、凸部21が逆台形状とな
った場合、凹部20の底部の幅が広くなって凸部21の
底部の幅が狭くなるため、形成された凸部21が倒れや
すくなって回折格子が壊れやくすなり、その結果として
製造歩留まりが低下するという問題があった。
【0009】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、所定の形状を有する微細な回折格子を容易に作
成することができ、且つ壊れにくい回折格子を半導体レ
ーザを作成することができる半導体レーザの製造方法及
び製造装置を提供することを目的とする。また、本発明
は、所定の形状を有する微細な回折格子が形成され、発
振特性等が改善された半導体レーザを提供することを目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、半導体基板上に形成した回折格子をな
し、一方向に一定間隔をあけて並設した平面長方形状の
複数の凹部を有する半導体レーザを製造するにあたっ
て、一定間隔をあけて複数のストライプ溝が並設されて
成る別の回折格子を有する光照射面を設けるとともに、
半導体基板の劈開面を保持するための基準面を前記溝方
向と直交方向に設けた、前記光照射面の面内回転可能な
保持具を用い、二光束干渉光を前記光照射面に照射した
際に前記二光束干渉光と前記複数の溝とによって形成さ
れる干渉縞をなくす方向に前記保持具を回転させた後に
固定し、前記複数の凹部を形成する前の半導体基板の劈
開端面(011)を保持具の前記基準面に合わせつつ前
記半導体基板を前記保持具に載置し、前記光照射面の複
数の溝方向に平面長方形状の複数の凹部を一定間隔をあ
けかつ各凹部の長辺を前記基準面と直交方向に形成する
ためのマスクを露光形成し、ついでエッチングして前記
基準面方向に前記複数の凹部を形成することを特徴とす
る半導体レーザの製造方法である。また、本発明は、前
記半導体レーザが、半導体基板上に、第1のクラッド層
と、活性層と、第2のクラッド層と、コンタクト層と、
電流通路を成すストライプ溝を有する電流ストップ層
と、電極層とを順次積層し、前記電極層から前記第2の
クラッド層にわたって平面長方形状の複数の凹部をそれ
ぞれ一定間隔をあけて前記ストライプ溝方向に並設して
なる半導体レーザであることを特徴とする半導体レーザ
の製造方法である。また、前記第1のクラッド層、前記
活性層、前記第2のクラッド層、前記コンタクト層、及
びレジスト層を順次積層してなる半導体基板の劈開端面
(011)を保持具の前記基準面に合わせ、前記レジス
ト層から前記マスクを露光形成し、ついでエッチングし
て前記複数の凹部を形成することを特徴とする半導体レ
ーザの製造方法である。さらに、本発明は、半導体基板
上に形成した回折格子をなし、一方向に一定間隔をあけ
て並設した平面長方形状の複数の凹部を有する半導体レ
ーザの製造装置であって、一定間隔をあけて複数のスト
ライプ溝が並設されてなる別の回折格子を有する光照射
面を設けるとともに、半導体基板の劈開面を保持するた
めの基準面を前記溝方向と直交方向に設けた、前記光照
射面の面内回転可能な保持具と、前記光照射面に二光束
干渉光を照射する二光束干渉光照射・露光装置とを有
し、前記保持具が、前記二光束干渉光を前記光照射面に
照射した際に前記二光束干渉光と前記複数の溝とによっ
て形成される干渉縞をなくす方向に回転させた後に固定
するものであることを特徴とする半導体レーザの製造装
置である。
【0011】本発明によれば、所定の形状を有する微細
な回折格子を容易に作成することができ、且つ壊れにく
い回折格子を半導体レーザを作成することができるとい
う効果がある。従って、製造プロセスにおいて、容易に
回折格子が壊れることがないため、製造歩留まりを向上
させることができるという効果がある。また、上記所定
の形状を有する微細な回折格子を容易に作成することが
できるので、所望の発振特性を有する半導体レーザが高
い歩留まりをもって得られるという効果がある。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一
実施形態について説明する。本発明の半導体レーザの製
造方法においては、分布帰還形半導体レーザに回折格子
を形成する前に、上記分布帰還形半導体レーザを載置す
る保持具に上記回折格子と同様な回折格子を形成する工
程が行われる。この工程は図3に示された装置を用いて
行われるが、上記保持具に一度回折格子を形成してしま
えば、以降この工程は不要となる。
【0013】図3は本発明の一実施形態による半導体レ
ーザの製造装置の簡略化した構成を示す正面図である。
本発明の一実施形態による半導体レーザの製造装置は、
一般に知られた二光束干渉露光装置とほぼ同一の構成で
あるが、保持具100の上面に予め回折格子100aが
形成されている点が異なる。以下に、本発明の一実施形
態による半導体レーザの製造装置の詳細な説明を行う。
【0014】図3に示された本発明の一実施形態による
半導体レーザの製造装置において、52はレーザ発光装
置であり、短波長のレーザ光54を出射する。分布帰還
形レーザの回折格子は微細であるためにレーザ発光装置
52は短波長の発振波長で発振するレーザ、例えば発振
波長が350.7nmであるKrレーザが用いられる。
ビームスプリッタ56はレーザ光54の出射方向に配置
されるとともに、その入射面56aがレーザ光54の出
射方向に対して所定の角度(例えば45゜)をなすよう
に配される。入射面56aから入射したレーザ光は反射
光58及び透過光60に分割され、各々は異なる光学系
を介して保持具100の上面に照射される。
【0015】つまり、ビームスプリッタ56の反射光5
8は空間フィルタ62、反射板64、及び位相シフタ6
6を介して保持具100の上面に照射される。また、ビ
ームスプリッタ56の透過光60は、空間フィルタ68
及び反射板70を介して保持具100の上面に照射され
る。位相シフタ66を透過したレーザ光と反射板70で
反射されたレーザ光とが干渉し、保持具100の上面に
二光束干渉光を形成する。尚、上記位相シフタ66は、
保持具100の上面に形成される二光束干渉光の形成位
置等を変化させるためのものである。以上は従来の二光
束干渉露光装置50と同様の構成である。
【0016】保持具100は回転軸Rの回り、つまり保
持具100の上面を含む面内で回折格子100aが回動
可能に取り付けられ、保持具100の最小回転角度が極
めて小さく設定された駆動装置によって駆動される。こ
の駆動装置は、例えば一般的なステッピングモータ、ベ
ルト、及びプーリーを用いて最小回転角を極めて小さく
したような簡単な構成で実現される。CCDカメラ72
は保持具100の上面に形成されるモアレ縞干渉パター
ンを捕らえるものであり、出力画像はモニタ(図示省
略)に出力される。
【0017】保持具100の上面には上述したように回
折格子100aが形成されているが、この回折格子10
0aは保持具100の上面に多数の溝を設けることによ
って形成されている。次に保持具100に回折格子10
0aを形成する際の手順を簡単に説明する。まず、保持
具100の上面にレジストを均一に塗布し、図3に示さ
れた回折格子の製造装置を用いて、位相シフタ66を透
過したレーザ光と反射板70によって反射されたレーザ
光とをレジストに照射して感光する。次に、レジストを
現像して所定の形状のマスクとする。そして、保持具1
00の材料にあわせたエッチング溶液(例えば、保持具
100の材料がガラスであればHF水溶液)を用いて保
持具100の上面をエッチングして溝を形成し、レジス
トを剥離することによって回折格子100aが形成され
る。つまり、多数の溝120,120,…を形成するこ
とによって回折格子100aが保持具100の上面に形
成される。
【0018】回折格子100aが形成された保持具10
0の上面には図1に示すような基準面110が設けられ
る。この基準面110は、保持具の上面に載置される基
板の特定の結晶方位、例えば、使用する基板がInP等の
閃亜鉛鉱形の結晶構造を有する場合には、[100]方
向と保持具100の上面に形成された多数の溝120,
120,…の長手方向との相対的な関係を設定するため
のものである。本実施形態では基準面110として溝1
20,120,…に対して垂直な基準面110が設定し
てある。この基準面110は保持具100の上面に形成
された多数の溝120,120,…に対して垂直な面で
あってもよく、これらの溝120,120,…に対して
平行な面であってもよいが、設定の際には極めて高い精
度で設定する必要がある。
【0019】次に、本発明の一実施形態による半導体レ
ーザの製造方法について説明する。本発明の一実施形態
による回折格子を作成する際には、前述した回折格子の
製造装置、即ち上面に回折格子100aが形成され、回
動可能に構成された保持具100を有する回折格子の製
造装置を用いて製造を行う。図1は二光束干渉光用い
て、保持具100の上面に形成された多数の溝120,
120,…の方向を決定する際の説明図である。
【0020】本実施形態においては、二光束干渉光と、
保持具100の上面に形成された多数の溝120、12
0,…とのモアレ縞干渉パターンを利用することによっ
て多数の溝120,120,…の方向が決定される。多
数の溝120,120,…の方向を決定するためには、
まず図3に示された回折格子の製造装置を用いて位相シ
フタ66を透過したレーザ光と反射板70によって反射
されたレーザ光とを保持具100上面に照射する。図1
中ではこれらのレーザ光を符号L1,L2が付された矢印
として示している。
【0021】これらのレーザ光が照射されると、二光束
干渉光が形成される。レーザ光の干渉によって二光束干
渉光が形成されると、この二光束干渉光と保持具100
の上面に形成された複数の溝120,120,…とによ
って図2に示されたモアレ縞干渉パターンが形成され
る。尚、図1中に示したように、符号D1が付された矢
印の方向は基板100の上面に形成された溝120,1
20,…の長手方向と平行であり、符号D2が付された
矢印の方向は二光束干渉光の長手方向と平行である。ま
た、これらの矢印の為す角度をθとする。
【0022】図2はモアレ縞干渉パターンによって露光
位置の設定方法を説明するための説明図である。このモ
アレ縞干渉パターンは図3中のCCDカメラ72によっ
て捕らえられた画像をモニタ等に表示させることによっ
て得られる。露光位置を設定する際に、保持具100の
上面に形成された溝120,120,…と、二光束干渉
光との為す角θを直接測定することができれば溝12
0,120,…の長手方向を容易に決定することができ
るが、この角θは極めて微小であり、測定することがで
きない。そこで、図2に示されたモアレ縞干渉パターン
を利用して以下に説明するような角θを間接的に測定す
る方法が用いられる。
【0023】モアレ縞干渉パターンは図示したように、
平行な複数の直線からなる2つの群(2つの群の一方は
図1中の二光束干渉光に、他方は、多数の溝120,1
2,…に相当する)を重ね合わせ、各群の直線が平行と
ならないようにすることによって形成される。従って、
図示したように、ひし形形状のパターンが図中横方向及
び縦方向に周期的に多数形成されたようにも見える。
【0024】以下の説明は、上記群構成する複数の直線
は何れの群においても同一の間隔をもって配置されてい
るとして説明する。複数の直線の間隔をαとした場合、
上記ひし形形状パターンの直線方向の長さはα/θで表
される。複数の直線の間隔はレーザ発光装置52(図3
参照)の発振波長等から容易に算出できるので、上記ひ
し形形状パターンの直線方向の長さを測定することがで
きれば角θが求まる。通常、角θが微小である場合、複
数の直線の間隔αよりもひし形形状パターンの直線方向
の長さが長くなる。例えば、角θが0.2゜であり、複
数の直線の間隔αが0.2μmである場合には、ひし形
形状パターンの直線方向の長さは57.3μmとなる。
この程度の長さがあれば、精度良く容易に測定すること
ができる。
【0025】露光位置を設定するためには、モニタに表
示された画像から上記縦方向の周期を算出する。算出し
た縦方向の周期をxとすると角θは次式(1)から求め
られる。 θ=α/x ・・・・(1)
【0026】このように、図2中モアレ縞干渉パターン
のひし形形状パターンの直線方向の長さを測定すること
によって、図1中の二光束干渉光と保持具100上に形
成された溝120,120,…との為す角θを決定する
ことができる。角θを所定の角に決定するために具体的
な方法は、まず、保持具100を図1中符号Dが付され
た方向に回動させて、モニタに表示された画像から図2
中モアレ縞干渉パターンのひし形形状パターンの長さを
測定して、上記(1)を用いて算出する。この角θは、
0.6度以内となることが望ましい。以上の手順を経る
と、二光束干渉光の長手方向に対する複数の溝120,
120,…の長手方向が決定される。
【0027】上記角θを所定の角度に決定した後には、
まず、レーザ発光装置52の発振を停止させたり、レー
ザ光が保持具100に照射されないようマスクしたりす
る。次に、回折格子を形成するための基板150の上面
に、図示は省略しているがスピンコータ等でレジスト膜
を形成し、プリベイクを行う。この基板150の内部に
は、通常のレーザに形成されている層、つまりクラッド
層、活性層、上部クラッド層が順次積層されており、下
面には電極層が形成され、上部クラッド層の上面にはコ
ンタクト層が形成されている。そして、このレジスト膜
が形成された基板150の劈開面(011)を基準面1
10と一致するように当接させて図4に示されたように
回折格子100a上に載置する。尚、図4は、二光束干
渉光を用いて基板150に塗布されたレジストを露光す
る際の説明図である。
【0028】石英系光ファイバの分散のある波長帯域の
発振波長を有するInGaAsP/InP系の半導体レーザを作成
する場合には、基板材料としてInPが用いられるが、InP
は結晶構造的には閃亜鉛鉱型の結晶構造であるため、面
方位が[001]である基板を用いた場合、劈開面とし
ては面(011),(01 ̄1),(011 ̄),(0
1 ̄1 ̄)が現れる。尚、記号“1 ̄”は数字記号
“1”の上部に記号“ ̄”が配された記号と同義であ
る。表記上の都合のためこのような表記を用いた。
【0029】面(01 ̄1 ̄)を上述した基準面110
に当接させると、基板150の配置は図4に示されたよ
うになる。この場合、方位[011]は保持具100の
上面に形成された複数の溝120,120,…と平行に
なる。この理由は、基準面110が回折格子100aの
溝120,120,…に垂直に設定されているためであ
る。
【0030】図4中の照射する二光束干渉光と保持具1
00上に形成された溝120,120,…との為す角θ
が設定されており、かつ保持具100の上面に形成され
た溝120,120,…に対して基準面110が正確に
設定されているので、基板150の所定の面を基準面1
10と一致するように当接させれば、基板150の所定
の方位[011]と二光束干渉光とのなす角も角θに設
定される。
【0031】そして、レーザ光を基板150上に照射し
て図1に示されたように、二光束干渉光を露光し、レジ
スト(図示省略)を現像し、所定のエッチング溶液、例
えばHCl:CH3COOH=1:4であるエッチング
溶液を用いてエッチングを行えば所望の回折格子を作成
することができる。その後、レジストを剥離して、コン
タクト層の上に、絶縁層を形成するととも、絶縁層の中
央に所定幅寸法のストライプ溝を形成することで半導体
レーザが製造される。
【0032】図5は本発明の一実施形態による半導体レ
ーザの製造方法を用いて作成した半導体レーザの一例を
示す図であり、図6は図5中a−a線の断面図である。
以下、この半導体レーザの構造について説明する。この
半導体レーザは、基板12の下面に電極層11が形成さ
れている。基板12の上には、下部クラッド層13、活
性層14、上部クラッド層15が積層され、上部クラッ
ド層15の上面全域にコンタクト層16が形成されてい
る。前記上部クラッド層15は下部側の第1の上部クラ
ッド層15Aと上部側の第2の上部クラッド層15Bと
からなり、第1の上部クラッド層15Aと第2の上部ク
ラッド層15Bとの間にエッチングストップ層10が介
挿されている。
【0033】更に、コンタクト層16の上には絶縁層1
7が形成されており、絶縁層17の中央には所定幅寸法
の絶縁層のストライプ溝19が開口されている。また、
絶縁層17の上面および絶縁層17のストライプ溝19
内のコンタクト層16の上面には電極層18が形成され
ている。この絶縁層17のストライプ溝19の幅寸法内
の前記活性層14において、発振が行われる。
【0034】前記の構造において基板12は、この例で
はn型InPからなり、下部クラッド層13はn型InPから
なり、活性層14はInGaAsPからなり、上部クラッド層
15はp型のInPからなり、コンタクト層16はInGaAs
もしくはInGaAsPから構成されている。従って、この構
成の半導体レーザは、クラッド層をInPから形成し、活
性層をInGaAsPから形成しているので、基本的には発振
波長が赤外波長帯となるが、発振波長が可視赤外帯の場
合は、クラッド層をInGaAlPから、活性層をInGaPから形
成することになる。また、エッチングストップ層10
は、InGaAsもしくはInGaAsPからなる。
【0035】上記各層からなる半導体エピタキシャル基
板は、MOCVD装置を用いるなどしたエピタキシャル
結晶成長により後述の如く製作される。この半導体エピ
タキシャル基板において、コンタクト層16からクラッ
ド層15にかけて規則的な凹部20・・・が形成されてい
る。凹部10・・・の中間は相対的な凸部21となり、凹
部20・・・と凸部21・・・により、回折格子が形成されて
いる。この回折格子は、絶縁層のストライプ溝19が形
成されていない部分で、かつ、活性層14の近傍に形成
されるものであり、図5,6の形態では、絶縁層のスト
ライプ溝19の両側部に回折格子が2列に形成されてい
る。なお、本発明構造において回折格子が絶縁層のスト
ライプ溝19の一方の側部に1列のみ形成されていても
よいのは勿論である。また、前記各凹部20の各底部は
エッチングストップ層10に到達されてエッチングスト
ップ層10で止められており、各凹部20の底部は均一
な深さにされているとともに、各凹部20の底部にも絶
縁層17が設けられている。
【0036】また、図5,6に示す形態では、凹部20
・・・がコンタクト層16と上部クラッド層15とに形成
され、各凹部20の底部が活性層14から離れている
が、各凹部20の底部が活性層14内まで延びていても
良い。また、凹部20…は、積層が完了したエピタキシ
ャル基板に対し、ドライエッチングとウエットエッチン
グとの組み合せにより後述の如く加工される。
【0037】尚、本発明による半導体レーザ及びその製
造方法並びにその製造装置は、図5,6に示された半導
体レーザ、つまり、活性層14の上に位置するクラッド
層15から電極層18にわたって凹部20,…が形成さ
れている半導体レーザに限られず、内部に回折格子を有
する半導体レーザを作成する場合にも適用できる。
【0038】尚、前述した実施形態においては、保持具
100と二光束干渉光とのなす角θは、モアレ縞干渉パ
ターンの縦方向の周期を測定し、前述した(1)を用い
て算出して所定の角度を保つようにしたが、保持具10
0を回転させて保持具100の上面に形成された回折格
子と二光束干渉光とが平行となるようにし、図2に示さ
れたモアレ縞干渉パターンを消失させて基板100の結
晶方向と、二光束干渉光の長手方向とが平行になるよう
にしてもよい。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、所
定の形状を有する微細な回折格子を容易に作成すること
ができ、且つ壊れにくい回折格子を半導体レーザを作成
することができるという効果がある。従って、製造プロ
セスにおいて、容易に回折格子が壊れることがないた
め、製造歩留まりを向上させることができるという効果
がある。また、上記所定の形状を有する微細な回折格子
を容易に作成することができるので、所望の発振特性を
有する半導体レーザが高い歩留まりをもって得られると
いう効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 二光束干渉光用いて、保持具100の上面に
形成された多数の溝120,120,…の方向を決定す
る際の説明図である。
【図2】 モアレ縞干渉パターンによって露光位置の設
定方法を説明するための説明図である。
【図3】 本発明の一実施形態による半導体レーザの製
造装置の簡略化した構成を示す正面図である。
【図4】 二光束干渉光を用いて基板150に塗布され
たレジストを露光する際の説明図である。
【図5】 本発明の一実施形態による半導体レーザの製
造方法を用いて作成した半導体レーザの一例を示す図で
ある。
【図6】 図5中a−a線の断面図である。
【図7】 回折格子の形状と結合係数との関係を示す説
明図である。
【符号の説明】
50 二光束干渉露光装置(二光束干渉光照射・
露光装置) 100 保持具 100a 回折格子 150 基板 110 基準面 13 第1のクラッド層 14 活性層 15 第2のクラッド層 16 コンタクト層 17 絶縁層(電流ストップ層) 18 電極層 19 ストライプ溝 20 凹部

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板上に形成した回折格子をな
    し、一方向に一定間隔をあけて並設した平面長方形状の
    複数の凹部を有する半導体レーザを製造するにあたっ
    て、一定間隔をあけて複数のストライプ溝が並設されて
    成る別の回折格子を有する光照射面を設けるとともに、
    半導体基板の劈開面を保持するための基準面を前記溝方
    向と直交方向に設けた、前記光照射面の面内回転可能な
    保持具を用い、二光束干渉光を前記光照射面に照射した
    際に前記二光束干渉光と前記複数の溝とによって形成さ
    れる干渉縞をなくす方向に前記保持具を回転させた後に
    固定し、前記複数の凹部を形成する前の半導体基板の劈
    開端面(011)を保持具の前記基準面に合わせつつ前
    記半導体基板を前記保持具に載置し、前記光照射面の複
    数の溝方向に平面長方形状の複数の凹部を一定間隔をあ
    けかつ各凹部の長辺を前記基準面と直交方向に形成する
    ためのマスクを露光形成し、ついでエッチングして前記
    基準面方向に前記複数の凹部を形成することを特徴とす
    る半導体レーザの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記半導体レーザが、半導体基板上に、
    第1のクラッド層と、活性層と、第2のクラッド層と、
    コンタクト層と、電流通路を成すストライプ溝を有する
    電流ストップ層と、電極層とを順次積層し、前記電極層
    から前記第2のクラッド層にわたって平面長方形状の複
    数の凹部をそれぞれ一定間隔をあけて前記ストライプ溝
    方向に並設してなる半導体レーザであることを特徴とす
    る請求項1記載の半導体レーザの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第1のクラッド層、前記活性層、前
    記第2のクラッド層、前記コンタクト層、及びレジスト
    層を順次積層してなる半導体基板の劈開端面(011)
    を保持具の前記基準面に合わせ、前記レジスト層から前
    記マスクを露光形成し、ついでエッチングして前記複数
    の凹部を形成することを特徴とする請求項2記載の半導
    体レーザの製造方法。
  4. 【請求項4】 半導体基板上に形成した回折格子をな
    し、一方向に一定間隔をあけて並設した平面長方形状の
    複数の凹部を有する半導体レーザの製造装置であって、 一定間隔をあけて複数のストライプ溝が並設されてなる
    別の回折格子を有する光照射面を設けるとともに、半導
    体基板の劈開面を保持するための基準面を前記溝方向と
    直交方向に設けた、前記光照射面の面内回転可能な保持
    具と、 前記光照射面に二光束干渉光を照射する二光束干渉光照
    射・露光装置とを有し、 前記保持具が、前記二光束干渉光を前記光照射面に照射
    した際に前記二光束干渉光と前記複数の溝とによって形
    成される干渉縞をなくす方向に回転させた後に固定する
    ものである ことを特徴とする半導体レーザの製造装置。
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