JP3535776B2 - 2次元符号化方法 - Google Patents

2次元符号化方法

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JP3535776B2 JP24689399A JP24689399A JP3535776B2 JP 3535776 B2 JP3535776 B2 JP 3535776B2 JP 24689399 A JP24689399 A JP 24689399A JP 24689399 A JP24689399 A JP 24689399A JP 3535776 B2 JP3535776 B2 JP 3535776B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光を用いた情報記
憶のための2次元符号化方法に関し、特に、ディジタル
ホログラフィックメモリに用いる2次元符号化方法に適
用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光を用いた情報記憶のための2次元符号
化方法は、例えば、ディジタルホログラフィックメモリ
に用いられる。
【0003】ディジタルホログラフィックメモリは、o
n(明)、off(暗)の、2値のデータビットの組み合わ
せからなる、2次元のビットパターンに変調されたデー
タを、ホログラフィックに記録、再生する記憶装置であ
る。
【0004】ディジタルホログラフィックメモリでは、
光源の強度分布や、使用する光学部品、さらに、記録媒
体の媒体特性の不均一性等によって、再生像に不均一な
光強度分布が発生する。そのため、ディジタルホログラ
フィックメモリでは、これらのために、ビットon/o
ff判別時の誤りが、増加するのを防ぐため、1:2差
分符号(J.F.Heanue, M.C. Bashaw, and L. Hesselink,
"Volume holographicstorage and retrieval of digit
al data," Science 265, pp.749-752(1994)参照)、また
は、2:4差分符号(特願平8−9181号;特開平9
−197947号公報参照)や、4:8、または、6:
8バランス符号(G.W.Burr, J.Ashley,H.Coufal, R.K.G
rygier, J.A.Hoffnagle, C.M.Jefferson, and B.Marcu
s, "Modulation coding for pixel-matched holographi
c data storage," Opt.Lett.22,pp. 639-641 (1997).を
参照)で変調されたビットパターンが用いられている。
【0005】一方、ディジタルホログラフィックメモリ
では、その記録密度と記憶容量を上げるために、体積ホ
ログラムを用いた、多重記録が行われる。
【0006】体積多重ホログラフィでは、記録媒体の回
折効率が有限であることにより、各ホログラムページの
回折効率が、ホログラムの多重度の2乗に反比例して減
少する。その結果、再生像の強度が減少することから、
再生像のSN比が劣化する。このことが、ディジタルホ
ログラフィックメモリにおける、ホログラムの多重数と
記録密度を制限して、装置の記憶容量を決定する要因と
なる。
【0007】ここで、媒体蝕和が発生すると、記録され
るべき情報が欠落するため、再生像のSN比が大きく劣
化して、記憶装置として用いることができなくなる。そ
のため、ディジタルホログラフィックメモリでは、多重
記録によりホログラムが蝕和しないように、各ホログラ
ムページは弱く記録されている。
【0008】また、その一方で、ディジタルホログラフ
ィックメモリにおいて、広く用いられている、フーリエ
変換ホログラフィ光学系では、ホログラム記録位置とな
るフーリエ変換面の周辺において、入力されたビットパ
ターンのフーリエ変換像に、光量の集中が発生すると、
媒体蝕和がより発生しやすくなる。そのため、ホログラ
ムの記録位置を、フーリエ変換面から意図的にずらすこ
とで光量の集中を緩和するデフォーカス法が一般的に用
いられている。
【0009】一方、平面媒体を用いたホログラフィで
は、ランダム位相板で入力パターンを変調することで、
記録位置となるフーリエ変換面上における特定の成分の
強め合いを抑えるランダム位相板法が用いられている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ホログラム再生像より
得られたビットパターンの、on、off判別時の誤り
を少なくするには、ホログラム再生像のSN比を改善す
る必要がある。ここで、多重記録時の媒体蝕和を避ける
ために、従来のように低回折効率のホログラムを記録し
た場合、SN比の良い再生像を得るには、ある程度強い
参照光をホログラムに照射することで、光強度の大きな
再生像を得る必要がある。
【0011】しかし、現在、体積ホログラムの記録媒体
として、広く用いられているホトリフラクティブ材料で
は、ホログラムの再生破壊が発生するため、むやみに強
い参照光で、ホログラムを再生することはできない。
【0012】そのため、ディジタルホログラフィックメ
モリでは、再生時に照射される参照光によって、ホログ
ラムが破壊されないように、さらに、再生破壊が抑えら
れるような、弱い参照光を用いた場合であっても、充分
なSN比を持つ光強度の大きな再生像が得られるよう
に、ある程度、大きな回折効率を持つホログラムを記録
しなければならない。
【0013】このことにより、低回折効率のホログラム
を弱く記録することにより、多重記録時の媒体蝕和を避
ける方法は制約を受け、この問題は記録媒体が高感度で
ある場合、より深刻となる。
【0014】一方、デフォーカスにより、媒体蝕和を緩
和する方法では、記録位置におけるホログラムサイズが
大きくなるために、ホログラム1ページあたりの記録密
度が減少して装置の記録容量が減少する。さらに、その
一方で、ランダム位相板を用いる方法は、体積ホログラ
ムに対する有効性が未だ不明である。これらのことは、
文献; Q.Gao and R.Kostuk, "Cross-talk noise and st
orage capacity of holographic memories with a LiNb
O3 crystal in the open-circuit condition,"App1.op
t. 37, pp. 929-936 (1998) に開示されている。
【0015】このように、ディジタルホログラフィック
メモリにおいて、SN比の優れた再生像が得られるよう
なホログラムを小さな領域に数多く多重記録する技術
は、装置の記録密度、記憶容量、データ転送レートなど
の基本性能を上げるために、重要な技術であるにも関わ
らず、未だ、確立されていない。
【0016】一方、ディジタルホログラフィックメモリ
において、再生像に現れる不均一な光強度分布がビット
パターンのon、off判別に与える影響を緩和するた
めに用いられるバランス符号では、符号化されたパター
ンの半分がonビットを示す明ビットであるために、ビ
ットパターンが明るくなり、そのパターンを記録したホ
ログラムの回折効率も大きくなるため、媒体蝕和が発生
し易くなる。さらに、ビットパターン上において、明ビ
ットの連続が起こり易くなるため、ビットパターンの低
周波成分が相対的に大きくなり、フーリエ変換ホログラ
フィ光学系では、フーリエ変換像の低周波成分に光量が
集中するために、媒体蝕和がさらに発生し易くなる。
【0017】一方、2ビットの情報を、4ビットのパタ
ーンで表現する2:4差分符号では、onビットを表す
明ビットの数が少なくなることから、1ページのビット
パターンを記録するために必要なホログラムの回折効率
は低下する。さらに、ビットパターン上においてonを
示す明ビットの現れる確率が小さくなるために、明ビッ
トの連続が回避され、パターンのフーリエ変換像におけ
る低周波成分の集中が緩和される。
【0018】しかし、2:4差分符号の符号化効率は低
く、符号に含まれる正味のデータ領域が制約されるた
め、装置の記録密度と記憶容量、さらに、データ転送速
度が制約されるという問題点があった。
【0019】本発明は、前記問題点を解決するために成
されたものであり、on(明)ビットの増加と連続によ
り生じる媒体飽和を軽減し、装置の記録密度と記憶容量
及びデータ転送速度を向上することを目的とする。
【0020】本発明の前記ならびにその他の目的と新規
な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らか
にする。
【0021】
【課題を解決するための手段】本願において開示される
発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、
下記のとおりである。
【0022】(1)光を用いたホログラム情報記録のた
めのon(明)とoff(暗)の2種類の情報ビットが
2次元的に配置されたビットパターンを生成する2次元
符号化方法において、n×nビット(nは3以上の所定
の整数)を単位符号ブロックとし、該単位符号ブロック
中のonビット数sをn−1なる整数とするとともに
2のm乗(mは整数)の値が、前記単位符号ブロック中
のonビット数が前記sであるパターンの全数を超えな
い最大値をとるように、前記mを選択し、当該単位符号
ブロックによってmビットのディジタルデータを表現
る2次元符号化方法である。
【0023】(2)光を用いたホログラム情報記録のた
めのon(明)とoff(暗)の2種類の情報ビットが
2次元的に配置されたビットパターンを生成する2次元
符号化方法において、n×nビット(nは4以上の所定
の整数)を単位符号ブロックとし、該単位符号ブロック
中のonビット数sをn≦s≦(n×n)/4なる整数
とし、かつ、前記単位符号ブロック中にn個のonビッ
トが1列または1行に並ぶことを避けるとともに、2の
m乗(mは整数)の値が、前記単位符号ブロック中のo
nビット数が前記sであるパターンの全数から、前記単
位符号ブロック中にn個のonビットが1列または1行
に並ぶパターンの数を差し引いたパターン数を超えない
最大値をとるように、前記mを選択し、当該単位符号ブ
ロックによってmビットのディジタルデータを表現する
2次元符号化方法である。
【0024】これらにより、ビットパターンを暗くする
ことができ、そのパターンを記録するために必要な、ホ
ログラムの回折効率が減少するため、媒体蝕和がより起
こりにくくなる。その結果、ホログラムの多重度の増加
に対する、ホログラム再生像の劣化が緩和されるため、
記憶装置として用いることのできる再生像品質を保った
状態で、より多くのホログラムが多重可能となり、装置
の記録密度と記憶容量が増加する。
【0025】さらに、前記の2次元変調符号において、
ビットパターン上での明ビットの集中を避けることで、
ビットパターンが持つ低周波成分を抑圧して、フーリエ
変換ホログラフィ光学系における、記録位置での光強度
分布となる、フーリエ変換面上とその近傍での、光量の
集中を緩和できるので、媒体蝕和による再生像品質の劣
化が抑えられるため、記憶装置として用いることのでき
る再生像品質を保ったまま、多くのホログラムが多重記
録できるようになり、装置の記録密度と記憶容量が増加
する。
【0026】また、さらに、前記の2次元変調符号にお
いて、1:2差分符号の符号化効率を下回らないような
条件の下で、明ビットの数とパターンを最適化すること
で、符号化効率を低下させずに、ビットパターンの強度
を抑え、さらに、ビットパターンのフーリエ変換像の光
量の集中を緩和することができるので、ホログラム1ペ
ージあたりのデータ量を低下させずに、多くのホログラ
ムを多重記録できるようになる。その結果、装置の記録
密度と記憶容量が増加し、さらに、装置のデータ転送レ
ートも向上する。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態(実
施例)を図面を参照して詳細に説明する。
【0028】図1は、本発明の一実施形態にかかる光を
用いた情報記憶のための2次元符号化方法を実現するデ
ィジタルホログラフィックメモリの構成を説明するため
の図である。
【0029】本実施形態のディジタルホログラフィック
メモリは、図1に示すように、レーザ1と、ビームスプ
リッタ3と、ビームエキスパンダ6と、ビットパターン
8を有する空間光変調器7と、回転台14に載せられた
記録媒体9と、フーリエ変換レンズ11,12と、CC
Dカメラ10とから構成される。
【0030】本実施形態のディジタルホログラフィック
メモリのホログラムの記録時において、光源となるレー
ザ1から得られたレーザビーム2は、ビームスプリッタ
3により、物体光(信号光)4と参照光5の、2つの光路
に分けられる。そのうち、物体光4は、ビームエキスパ
ンダ6により拡大された後、空間光変調器7に表示され
たビットパターン8により変調される。ここで、空間光
変調器7、記録媒体9、CCDカメラ10の受光面は、
2つのフーリエ変換レンズ11、12の前側と後側の焦
点位置に配置され、これらは、4F光学系を形成する。
参照光5は、ミラー13により記録媒体9に向けられ、
記録媒体9の位置で物体光4と交差して、干渉縞を形成
する。この時発生する干渉縞の強弱のパターンが、ホロ
グラムとして記録媒体9に記録される。
【0031】ホログラムの再生時は、ホログラムの記録
された記録媒体9に、参照光5のみが照射される。この
とき、記録媒体9に記録されたホログラムと、参照光5
との相互作用により発生した回折光は、フーリエ変換レ
ンズ12により、CCDカメラ10の受光面上に結像さ
れ、これがホログラム再生像となる。
【0032】ここで、記録媒体9に厚みを持たせると、
記録されるホログラムは体積ホログラムとなり、ブラッ
グ選択性を持つようになる。この装置では、記録媒体9
を回転台14の上に載せ、図1の紙面に垂直な回転軸ま
わりに回転させることで、角度多重による多重記録を行
う。
【0033】次に、2次元符号化方法に対応するビット
パターン8による物体光の変調を2通り(実施例1,実
施例2)として以下に説明する。以下では、符号ブロッ
クの一辺の長さをn、該符号ブロック中のon(明)ビ
ット数をs(n、sは整数)として説明を行う。
【0034】(実施例1) ビットパターン8を生成する変調符号として、図2に示
す3×3ビットの符号ブロックを構成する9ビットの符
号ビットの中の2ビットが明ビットである2次元変調符
(すなわち、n=3、s=2の場合)を考える。図2
において、on(明)ビットは白、off(暗)ビット
は黒で示してある。
【0035】ここで、符号ブロックの明るさを、符号ブ
ロックに含まれる全符号ビットに対する明ビットの割
、すなわち、s/(n×n)と定義すると、この変調
符号の明るさは、2/9となる。これに対して、バラン
ス符号と1:2差分符号の明るさは、図3に示すよう
に、1/2であり、2:4差分符号の明るさは、図4に
示すように、1/4であるので、この変調符号は、バラ
ンス符号、1:2差分符号や2:4差分符号よりも暗い
符号となる。そのため、この変調符号を用いて、ビット
パターンを生成することで、ビットパターン8の明るさ
が抑えられる。
【0036】また、この変調符号では、符号ブロック中
の明ビットの数(2ビット)が、符号ブロックの1辺
の長さ(3ビット)よりも少ないことから、どのよう
な符号パターンを選んだ場合であっても、2つの符号ブ
ロックを超えて明ビットが連続することは無い。そのた
め、ビットパターンの低周波成分が抑圧されて、フーリ
エ変換ホログラフィ光学系の記録位置における、光強度
の集中が避けられる。さらに、この変調符号のパターン
の組み合せは、92=36通りである。
【0037】ここで、5ビットは(25=32通り)、
6ビットは(26=64通り)であるので、この変調符
号のパターンの92=36通りでは、5ビット(25
32通り)の情報に対応させることができる。つまり、
一つの符号ブロックで5ビットの情報を表現することが
できる。
【0038】このとき、この符号は5ビットの情報を9
ビットの符号ビットで表現する変調符号となり、ここで
は、これを5:9変調符号と呼ぶ。5:9変調符号の符
号化効率は、1ビットの情報を2ビットの符号ビットで
表現する1:2差分符号、または、1:2バランス符号
や2ビットの情報を4ビットの符号ビットで表現する
2:4差分符号と比較して、より高効率となる。
【0039】このように、この5:9変調符号を用いる
ことで、ビットパターンの明るさが抑えられ、フーリエ
変換像の強度集中も緩和されることから、図1に示され
るような、ディジタルホログラフィックメモリにおい
て、ホログラムの多重度を制限する要因となっている、
媒体蝕和を緩和することができる。
【0040】さらに、符号化効率が上がることから、1
つのホログラムに記録されるデータ量が増加する。その
結果、装置の記録密度と、記憶容量が増加して、データ
転送速度も向上する。
【0041】なお、実施例1では、n=3とし、3×3
ビット(9ビット)を単位符号ブロックとし、記録する
際に、2の乗数の値が、前記単位符号ブロック中のon
ビット数が2(すなわち、n−1)であるパターンの
全数を超えない最大値をとるように選択した場合につい
て説明してきたが、本発明はこれに限定されるものでは
なく、他のビット数でも同様に考えることができる。
【0042】例えば、n×nビット(nは4以上の所定
の整数)を単位符号ブロックとし、該単位符号ブロック
にmビット(mは所定の整数)の2値情報を記録する際
に、2のm乗の値が、前記単位符号ブロック中のonビ
ット数がn−1(一行、また一列全部に明ビットが連
続しないようにnビットから1ビット引いてある)であ
るパターンの全数を超えない最大値をとるように前記m
を選択するようにする。
【0043】したがって、5:9変調符号の持つ特長
は、4×4ビットの符号ブロック中の3ビットを明ビッ
トとする9:16変調符号(n=4、s=3の場合)
5×5ビットの符号ブロック中の4ビットを明ビットと
する13:25変調符号(n=5、s=4の場合)であ
っても、同様に得られる。これらの3つの変調符号にお
いて、符号ブロックが大きくなるほど、符号ブロック中
の全符号ビットに対する明ビットの割合、すなわち、s
/(n×n)が、減少してくことから、ビットパター
ンは暗くなり、媒体蝕和は、より発生しにくくなる。
【0044】(実施例2) 前記実施例1の規則に従って変調符号を生成する場合、
符号ブロックが大きくなるのに従って、符号ブロックを
構成する全符号ビットに占める明ビットの割合、すなわ
ち、s/(n×n)が小さくなることから、ビットパタ
ーンは暗くなり、その結果、媒体蝕和が緩和される。こ
の場合、符号パターンの組み合わせの数が減少すること
から、符号化効率は低下する。
【0045】これは、より多くの明ビットを用いる、す
なわち、s≧nとすることで、符号パターンの組み合わ
せの数を、増やすことができる。しかし、符号ブロック
中の明ビットの数が、符号ブロックの1辺よりも多
くなると、2つの符号ブロックを超えて、明ビットの連
続が発生する可能性が生まれる。
【0046】ここで、この変調符号の符号化規則では、
データと符号パターンとの対応付けを行い易くするため
に、1つの符号ブロックで表現するデータ数を2の累乗
としている。そのことから、実際に得られる、符号パタ
ーンの組み合わせ数との差分だけ符号パターンの選択に
余裕がある。
【0047】そこで、この組み合わせの余裕を利用し
て、明ビットの連続が2つの符号ブロックにわたってし
まうようなパターンを避けて、ビットパターンの連続を
抑えることで、フーリエ変換パターンの強度集中を避け
ることができる。
【0048】例えば、符号ブロックの大きさが、6×6
ビット(n=6)の場合、符号ブロックを構成する36
ビットの中の、5ビットを明ビット(s=n−1)とす
ると、得られる符号パターンの数は、365=376,9
92通りとなる。これらの符号パターンで表現すること
のできる情報量は、全パターン数365=376,992
通りを超えない値では、18ビット(=218=262,1
44通り)が最大値をとることから、この符号は、18
ビットのデータを、36ビットの符号ビットを用いて表
現する、18:36変調符号となる。このとき、18:
36変調符号の符号化効率は、1:2,2:4差分符号
と等しい。
【0049】一方、36ビットの符号ビットのうち、6
ビットの符号ビットを明ビット(s=n)とすると、36
6=1,947,792通りの符号パターンが得られる
ことから、20ビット(=220=1,048,576通
り)の情報を表現できるようになる。
【0050】ここで、図5に示すように、6ビットの明
ビットが1列、または、1行に並ぶ、12通りのパター
ンを避けることで、2つの符号ブロックを超える明ビッ
トの連続が避けられる。このとき、符号パターンの余裕
は、366−220=899,216通りとなり、前記の1
2通りのパターンを避けた場合であっても、充分に20
ビットの情報に対応させることが可能である。
【0051】このとき、この符号は、図6に示すよう
に、20ビットのデータを36ビットの符号ビットを用
いて表現する20:36変調符号となり、実施例1の
5:9変調符号等の場合と同様に、パターン強度が暗
く、フーリエ変換像の強度集中が抑えられた符号化効率
の高い2次元変調符号となる。
【0052】ここで、明ビットの数を前記の6ビット
から、さらに、7または、8ビットと増やした場合で
も、全符号ブロックに占める明ビットの割合s/(n×
n)は、7/36、または、2/9と、2:4差分符号
を用いた場合の、1/4と比較して小さくなる。
【0053】それらに対して、得られるパターンの組み
合わせは、それぞれ、8,347,680、30,260,
340通りとなり、これらは、22ビット、24ビット
のデータに対応させることが可能な、組み合わせの数で
ある。
【0054】このとき、パターン数の余裕は、それぞ
れ、4,153,376、13,483,124通りとな
る。一方、明ビットの連続が、1行、または、1列に現
れる組み合わせは、それぞれ、360、5220通りで
あることから、前記の6ビットの場合と同様に、これら
のパターンを用いなくとも、充分にそれぞれの情報に対
応させることが可能である。その結果、さらに高効率
な、22:36変調符号、24:36変調符号が得られ
る。
【0055】符号ブロックがさらに大きくなった場合で
あっても、これらと同様の手法で、ビットパターンの強
度と、ビットパターン上の明ビットの連続を抑えた、高
効率の変調符号が得られる。
【0056】その一方で、符号ブロックの大きさが4×
4ビット(n=4)の場合、明ビットの数を4ビット
(s=n)とすると、その明るさs/(n×n)は2:
4差分符号と等しい1/4となる。このとき、符号は1
0:16変調符号となり、その符号化効率は、1:2、
または、2:4差分符号を上回る。
【0057】またさらに、符号ブロックの大きさが5×
5ビット(n=5)の場合についても、明ビットの数
を5ビット(s=n)、または、6ビット(s>n)
した場合であっても、符号ブロックに占める明ビットの
割合s/(n×n)が、2:4差分符号での1/4未満
で、2つの符号ブロックを超える明ビットの連続を避け
た符号パターンが得られる。これらはそれぞれ、15:
25変調符号、17:25変調符号となり、それらの符
号化効率は、それぞれ、前記の13:25変調符号を上
回る。
【0058】これまで説明した一連の変調符号の中で、
最も簡単な5:9変調符号を用いた場合について、実際
に得られるホログラム再生像のSN比を代表的な差分符
号である1:2差分符号と、その改良型である2:4差
分符号を用いた場合に得られるSN比と比較したものを
図7に示す。なお、ここで、SN比(SNR)は、明、暗
両ビットの光強度の平均値を、μ1,μ0、その分散を、
σ1 2,σ0 2として、数1の式
【0059】
【数1】
【0060】と、定義する。
【0061】このことは、文献;F.H.Mok, G.W.Burr, a
nd D.Psaltis, "Systemmetric forholographic memory
systems," Opt.Lett.21, pp. 896-898(1996)に開示され
ている。
【0062】図7は、図1に示したディジタルホログラ
フィックメモリを用いて、50多重記録したホログラム
の各再生像について、ホログラムページ毎にSN比を求
めたグラフである。
【0063】実施例1の5:9変調符号を用いること
で、1:2差分符号、または、1:2バランス符号を用
いた場合と比較して、優れたSN比が得られている。こ
こで、1:2差分符号と1:2バランス符号は、同一の
符号である。さらに、2:4差分符号を用いた場合と比
較しても、ほとんどのページで、より良いSN比が得ら
れている。これらのことから、符号ブロック中の明ビッ
トの割合を少なくすることで、ホログラム再生像のSN
比が改善されることが示される。
【0064】したがって、説明してきたように、ディジ
タルホログラフィックメモリで、ホログラムとして記
録、再生されるビットパターンを生成する符号法におい
て、符号化の単位となる符号ブロックに占める、明ビッ
トの割合を少なくすることで、ビットパターンの明るさ
を抑えることができるので、そのパターンを記録するホ
ログラムの回折効率が減少するため、媒体蝕和がより起
こりにくくなる。
【0065】その結果、多重度の増加に対する、ホログ
ラム再生像の劣化が緩和されるため、記憶装置として用
いることのできる再生像品質を保った状態でより多くの
ホログラムを多重することが可能となり、装置の記録密
度と記憶容量が増加する。
【0066】さらに、ビットパターン上で、明ビットが
連続することを避けることにより、ビットパターンの低
周波成分が抑圧され、フーリエ変換ホログラフィ光学系
における、ホログラム記録位置となるフーリエ変換面近
傍での光量の集中が緩和されるので、媒体蝕和による再
生像品質の劣化が抑えられるため、記憶装置として用い
ることのできる再生像品質を保ったまま、多くのホログ
ラムが多重記録できるようになり、装置の記録密度と記
憶容量が増加する。
【0067】また、符号ブロックにおける、明ブロック
の数と、符号パターンを最適化することにより、符号化
効率を低下させずに、ビットパターンの強度を下げ、さ
らに、フーリエ変換像の強度集中を緩和することで、ホ
ログラム1ページあたりのデータ量を低下させずに、多
くのホログラムを多重記録できるようになる。その結
果、装置の記録密度と記憶容量が増加し、さらに、装置
のデータ転送レートが向上する。
【0068】なお、本実施形態、実施例では、2次元符
号化方法で生成したビットパターンを、ホログラム記録
のための図1に示した空間光変調器7に表示させるビッ
トパターンとして説明してきたが、本発明の2次元符号
化方法で生成したビットパターンを、直接光記録媒体に
記録して用いても同様の効果が得られる。
【0069】以上、本発明者によってなされた発明を、
前記実施形態(実施例)に基づき具体的に説明したが、
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、そ
の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であるこ
とは勿論である。
【0070】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち代表
的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以
下のとおりである。
【0071】符号ブロックのonビットを表す明ビット
の数を、少なくすることで、ビットパターンを暗くする
ことができ、そのパターンを記録するために必要な、ホ
ログラムの回折効率が減少するため、媒体蝕和がより起
こりにくくなる。その結果、ホログラムの多重度の増加
に対する、ホログラム再生像の劣化が緩和されるため、
記憶装置として用いることのできる再生像品質を保った
状態で、より多くのホログラムが多重可能となり、装置
の記録密度と記憶容量が増加する。
【0072】さらに、前記の2次元変調符号において、
ビットパターン上での明ビットの集中を避けることで、
ビットパターンが持つ低周波成分を抑圧して、フーリエ
変換ホログラフィ光学系における、記録位置での光強度
分布となる、フーリエ変換面上とその近傍での、光量の
集中を緩和できるので、媒体蝕和による再生像品質の劣
化が抑えられるため、記憶装置として用いることのでき
る再生像品質を保ったまま、多くのホログラムが多重記
録できるようになり、装置の記録密度と記憶容量が増加
する。
【0073】また、さらに、前記の2次元変調符号にお
いて、明ビットの数とパターンを最適化することで、符
号化効率を低下させずに、ビットパターンの強度を抑
え、さらに、ビットパターンのフーリエ変換像の光量の
集中を緩和することができるので、ホログラム1ページ
あたりのデータ量を低下させずに、多くのホログラムを
多重記録できるようになる。その結果、装置の記録密度
と記憶容量が増加し、さらに、装置のデータ転送レート
も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる光を用いた情報記
憶のための2次元符号化方法を実現するディジタルホロ
グラフィックメモリの構成を説明するための図である。
【図2】5:9変調符号のパターン例を示した図であ
る。
【図3】1:2差分符号のパターン例を示した図であ
る。
【図4】2:4差分符号のパターン例を示した図であ
る。
【図5】20:36変調符号において避けるパターン例
を示した図である。
【図6】20:36変調符号のパターン例を示した図で
ある。
【図7】50多重記録したホログラムの再生像のSN比
を示したグラフである。
【符号の説明】
1…レーザ、2…レーザビーム、3…ビームスプリッ
タ、4…物体光(信号光)、5…参照光、6…ビームエ
キスパンダ、7…空間光変調器、8…ビットパターン、
9…記録媒体、10…CCDカメラ、11,12…フー
リエ変換レンズ、13…ミラー、14…回転台。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−271788(JP,A) 特開 平2−33177(JP,A) 特開 平9−197947(JP,A) 特開 平8−75912(JP,A) 八木生剛,ホログラフィ記録用SBN 結晶の最適化とデジタル記録,映像情報 メディア学会技術報告,日本,1998年 3月 4日,第22巻,第49頁〜51頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03H 1/00 - 1/30

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光を用いたホログラム情報記録のための
    on(明)とoff(暗)の2種類の情報ビットが2次
    元的に配置されたビットパターンを生成する2次元符号
    化方法において、 n×nビット(nは3以上の所定の整数)を単位符号ブ
    ロックとし、 該単位符号ブロック中のonビット数sをn−1なる整
    数とするとともに、 2のm乗(mは整数)の値が、 前記単位符号ブロック中のonビット数が前記sである
    パターンの全数を 超えない最大値をとるように、前記mを選択し、 当該単位符号ブロックによってmビットのディジタルデ
    ータを表現 することを特徴とする2次元符号化方法。
  2. 【請求項2】 光を用いたホログラム情報記録のための
    on(明)とoff(暗)の2種類の情報ビットが2次
    元的に配置されたビットパターンを生成する2次元符号
    化方法において、 n×nビット(nは4以上の所定の整数)を単位符号ブ
    ロックとし、該単位符号ブロック中のonビット数sをn≦s≦(n
    ×n)/4なる整数とし、 かつ、前記単位符号ブロック中にn個のonビットが1
    列または1行に並ぶことを避けるとともに、 2のm乗(mは整数)の値が、 前記単位符号ブロック中のonビット数が前記sである
    パターンの全数から、前記単位符号ブロック中にn個の
    onビットが1列または1行に並ぶパターンの数を差し
    引いたパターン数を超えない最大値をとるように、前記
    mを選択し、 当該単位符号ブロックによってmビットのディジタルデ
    ータを表現 することを特徴とする2次元符号化方法。
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