JP3534848B2 - 絶縁性ペースト - Google Patents

絶縁性ペースト

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、半導体装置のアッセン
ブリーや各種部品類の接着等に使用するもので、低温、
速硬化性を有し、貯蔵安定性、接着性、耐湿性に優れた
絶縁性ペーストに関する。 【0002】 【従来の技術】一般に絶縁性ペーストは、エポキシ樹脂
等の結合剤と絶縁性粉末とから構成され、各種電子部品
の接着、コーティング、印刷による回路形成等に適用さ
れている。主に熱硬化性樹脂である結合剤は、硬化剤に
より熱硬化して有機溶剤には不溶となり、また耐熱性、
耐湿性、耐候性等が付与される。結合剤であるエポキシ
樹脂の硬化剤としては、ポリアミド樹脂、アミン類、メ
ラミン類、酸無水物、三フッ化ホウ素・アミン錯体等の
多種多用のものが使用されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところが低温、速硬化
性を狙った場合、アミン化合物を配合したエポキシ樹脂
組成物では貯蔵安定性に乏しいので、比較的低温では安
定でゲル化せず、加熱時には速かに硬化するいわゆる潜
在性硬化剤が強く望まれている。潜在性硬化剤として
は、分散溶融型が広く用いられ、ジシアンジアミド、二
塩基酸ヒドラジド、メラミンおよびその誘導体が挙げら
れる。しかし、ジシアンジアミド、二塩基酸ヒドラジ
ド、メラミンおよびその誘導体は貯蔵安定性には優れて
いるが、150 ℃以上の高温、長時間硬化を必要とする欠
点があり、イミダゾール誘導体は、低温硬化性と貯蔵安
定性とのバランスをとるのが難しく、満足のいく樹脂組
成物が得られていない。また近年、低温硬化性と貯蔵安
定性を兼ね備えた分散溶融型硬化剤・触媒やマイクロカ
プセル型硬化剤・触媒が上市された。これらの触媒はい
ずれも溶剤または反応性希釈剤に溶けるため、溶剤また
は反応希性釈剤成分を含む絶縁性ペーストでは、貯蔵安
定性に乏しく、問題解決には至っていない。 【0004】以上のように、現在まで絶縁性ペーストに
適用できる潜在性硬化剤や触媒として、低温、速硬化性
でかつ貯蔵安定性に優れた化合物はほとんど知られてい
ない。 【0005】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
で、低温、速硬化性で、貯蔵安定性、接着性、耐湿性に
優れた新規な絶縁性ペーストを提供しようとするもので
ある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成しようと鋭意研究を重ねた結果、後述する組成
のぺーストが、上記の目的を達成できることを見いだ
し、本発明を完成したものである。 【0007】即ち、本発明は、 (A)(a )エポキシ樹脂、(b )フェノール樹脂系硬
化剤、(c )次の一般式(1)又は(2)で示されるス
ルホニウム塩 【0008】 【化2】 からなる変性樹脂、 (B)絶縁性粉末 (C)溶剤、反応性希釈剤又はこれらの混合物を必須成
分としてなることを特徴とする絶縁性ペーストである。 【0009】以下、本発明を詳細に説明する。 【0010】本発明の絶縁性ペーストは、(a )エポキ
シ樹脂、(b )フェノール樹脂系硬化剤、(c )一般式
化2の(1)又は(2)で示されるスルホニウム塩から
なる(A)変性樹脂、(B)絶縁性粉末、(C)溶剤、
反応性希釈剤又はこれらの混合物を必須成分としてなる
ものである。これらの各成分について説明する。 【0011】本発明に用いる(A)変性樹脂の成分であ
る(a )エポキシ樹脂としては、例えばエピコート82
7,828,834,1001,1002,1007,
1009(シェル化学社製、商品名)、DER330,
331,332,334,335,336,337,3
83,660(ダウ・ケミカル社製、商品名)、アラル
ダイトGY250,260,280,6071,608
4,6097,6099(チバガイギー社製、商品
名)、EPI−REZ510,5101(JONEDA
BNEY社製、商品名)、エピクロン810,100
0,1010,3010(大日本インキ化学工業社製、
商品名)、旭電化社製EPシリーズ等が上げられる。さ
らに、平均エポキシ基数 3以上、例えばノボラックエポ
キシ樹脂を使用することにより熱時(350 ℃)の接着強
度を更に向上させることができる。これらのノボラック
エポキシ樹脂としては、分子量 500以上のものが望まし
い。ノボラックエポキシ樹脂としては、例えばアラルダ
イトEPN1138,1139、ECN1273,12
80,1299(チバガイギー社製、商品名)、DEN
431,438(ダウ・ケミカル社製、商品名)、エピ
コート152,154(シェル化学社製、商品名)、E
RR−0100、ERRB−0447、ERLB−04
88(ユニオンカーバイド社製、商品名)、EOCNシ
リーズ(日本化薬社製、商品名)等が挙げられ、これら
は単独又は 2種以上混合して使用することができる。 【0012】変性樹脂の他の成分の(b )フェノール樹
脂系硬化剤としては、例えばXL225L(住友化学工
業、商品名)、レジンM(丸善石油社製、商品名)、V
H4170(大日本インキ化学工業社製、商品名)、B
RG555〜559、CKM−908,941,128
2,1634,2103,2400,2432,525
4、OTS467、CKS359Z(昭和高分子社製、
商品名)等が挙げられ、これらは単独又は 2種以上混合
して使用することができる。フェノール樹脂系硬化剤
は、ペースト硬化物や塗膜の耐熱性、常温接着強度、熱
時接着強度および密着性を向上させるものである。 【0013】また、変性樹脂の他の成分の(c )のスル
ホニウム塩としては、次の一般式(1)又は(2)で示
されるものを使用する。 【0014】 【化3】 スルホニウム塩の具体的な化合物としては、例えば、 【0015】 【化4】 【0016】 【化5】 【0017】 【化6】 等が挙げられ、これらは単独または混合して使用するこ
とができる。このスルホニウム塩は、エポキシ樹脂に対
してカチオン重合触媒として作用する。スルホニウム塩
の配合割合は、エポキシ樹脂 100重量部に対して 0.5〜
20重量部配合することが望ましい。配合量が 0.5重量部
未満では、速硬化性に効果なく硬化速度も低下するので
実用的ではなくなる。また、20重量部を超えるとペース
ト硬化物中に残留するルイス酸のため、高湿度条件下で
電気的特性が劣化したり、リードフレームやアルミ配線
を腐食(電食)したりして信頼性に欠け好ましくない。 【0018】上述した各成分であるエポキシ樹脂、フェ
ノール樹脂系硬化剤、スルホニウム塩を溶剤又は反応性
希釈剤で溶解混合させるか、又は加熱反応させて部分的
に結合させて変性樹脂とする。 【0019】本発明に用いる(B)絶縁性粉末として
は、例えばカーボランダム、炭化ホウ素、窒化アルミニ
ウム、窒化チタン等の非酸化物セラミック粉末、ベリウ
ム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、シリコン等
の酸化物粉末等が挙げられ、これらは単独又は 2種以上
混合して使用することができる。これらの絶縁性粉末
は、アルカリ金属イオン、ハロゲンイオン等の不純物を
含まないことが望ましく、必要であればイオン交換水或
いはイオン交換樹脂等で洗浄して不純物を取り除くこと
ができる。また、絶縁性粉末は、いずれも平均粒径10μ
m 以下であることが望ましい。平均粒径が10μm を超え
ると組成物の性状がペースト状にならず、塗布性能が低
下し好ましくない。 【0020】本発明に用いる(C)の溶剤、反応性希釈
剤又はこれらの混合物としては、前述した(A)の変性
樹脂を溶解するものであり、ペーストの作業粘度を調
節、改善させるものである。具体的な溶剤としては、ジ
オキサン、ヘキサン、トルエン、メチルセロソルブ、シ
クロヘキサン、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブア
セテート、ブチルカルビトールアセテート、ジエチレン
グリコールジメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、
N−メチルピロリドン、ジアセトンアルコール、ジメチ
ルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、1,3-ジメチル-2
−イミダゾリジノン等が挙げられる。また、反応性希釈
剤としては、n-ブチルグリシジルエーテル、アリルグリ
シジルエーテル、2-エチルヘキシグリシジルエーテル、
スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテル、ク
レジルグリシジルエーテル、p-sec-ブチルフェニルグリ
シジルエーテル、グリシジルメタクリレート、t-ブチル
フェニルグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、
ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、ポリプロ
ピレングリコールグリシジルエーテル、ブタンジオール
グリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリ
シジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールグリシジルエー
テル等の単官能エポキシが挙げられ、これらは単独又は
2種以上混合して使用することができる。また、溶剤と
反応性希釈剤を混合して使用することもできる。低温、
速硬化を目的としているため溶剤を使用する場合は、硬
化温度や硬化時間等の条件に合わせ、沸点の低い溶剤を
選択する必要がある。 【0021】本発明の絶縁性ペーストは、上述した変性
樹脂、絶縁性粉末および溶剤又は反応性希釈剤を必須成
分とするが、本発明の目的に反しない限り、また、必要
に応じて消泡剤、カップリング剤、その他の添加剤を配
合することができる。この絶縁性ペーストは、常法に従
い上述した各成分を十分混合した後、更にディスパース
による混練処理を行い、その後、減圧脱泡して製造する
ことができる。こうして製造した絶縁性ペーストは、各
種電子部品の接着、コーティング、印刷による電極形
成、回路形成等に使用することができる。 【0022】 【作用】本発明の絶縁性ペーストは、エポキシ樹脂、フ
ェノール樹脂系硬化剤、スルホニウム塩変性樹脂、絶縁
性粉末および溶剤、反応性希釈剤又はこれらの混合物を
用いることによって目的を達成したものである。特に変
性樹脂中に特定のスルホニウム塩をカチオン重合型触媒
として組み入れることによって、低温、速硬化を可能と
し、また、一液型で貯蔵安定性の優れた密着性、耐湿性
のよい絶縁性ペーストを製造することができる。 【0023】 【実施例】次に本発明を実施例によって説明するが、本
発明はこれらの実施例よって限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において「部」とは特に説明
のない限り「重量部」を意味する。 【0024】実施例1 エポキシ樹脂のエピコート1004(油化シェルエポキ
シ社製、商品名)100部、フェノール樹脂系硬化剤のレ
ジンM(丸善石油化学工業社製、商品名)13部を、メチ
ルセロソルブ 113部中で100 ℃,1 時間溶解反応を行い
粘稠な樹脂を得た。この樹脂30部に前記化4で示される
スルホニウム塩 0.20 部、消泡剤 0.020部および絶縁性
粉末60部を混合して絶縁性ペースト(A)を製造した。 【0025】実施例2 エポキシ樹脂のエピコート1001(油化シェルエポキ
シ社製、商品名)100部、フェノール樹脂系硬化剤のV
H4170(大日本インキ化学工業社製、商品名)24.8
部を、ジエチレングリコールジメチルエーテル299.5 部
とトルエン74.9部の混合溶剤中で、100 ℃,1 時間溶解
反応を行い、粘稠な樹脂を得た。この樹脂36.9部に前記
化5で示されるスルホニウム塩 0.25 部、添加剤 0.12
部および絶縁性粉末60部を混合して絶縁性ペースト
(B)を製造した。 【0026】実施例3 エポキシ樹脂のYL−980(油化シェルエポキシ社
製、商品名)100 部、フェノール樹脂系硬化剤のCKS
3592(昭和高分子社製、商品名)81.5部を、アリル
グリジジルエーテル90.8部中で100 ℃,1 時間溶解反応
を行い、粘稠な樹脂を得た。この樹脂25.8部に前記化6
で示されるスルホニウム塩 0.09 部、添加剤 0.050部お
よび絶縁性粉末61部を混合して絶縁性ペースト(C)を
製造した。 【0027】比較例 市販のエポキシ樹脂ベースの溶剤型半導体用絶縁性ペー
スト(D)を入手した。 【0028】実施例1〜3および比較例で得た絶縁性ペ
ースト(A)、(B)、(C)および(D)を用いて、
硬化性、接着強度、貯蔵安定性の試験を行った。その結
果を表1に示したが、いずれも本発明が優れており、本
発明の顕著な効果が認められた。 【0029】 【表1】*1 :測定条件を、試料約10 mg 、昇温速度10℃/min とし、示差走査熱量計( DSC)で測定した。 *2 :25℃の恒温槽に保管し、粘度が初期粘度の2 倍になるまでの日数を貯蔵安 定性の尺度とする。 *3 :銀メッキしたリードフレーム(銅系)上に 2.0×2.0mm のシリコンチップ を接着し、150 ℃×1hで硬化後、25℃の温度でテンションゲージを用いて測定し た。 *4 :銀メッキしたリードフレーム(銅系)上に 2.0×2.0mm のシリコンチップ を接着し、121 ℃×100 %R.H×2atm×24時間処理後、25℃の温度でテンショ ンゲージを用いて測定した。 【0030】 【発明の効果】以上の説明および表1から明らかなよう
に、本発明の絶縁性ペーストは、接着強度、耐湿性に優
れ、低温硬化、高速硬化が可能で貯蔵安定性にも優れて
いる。この絶縁性ペーストを用いることによって、信頼
性の高い電子部品を製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−83815(JP,A) 特開 平2−178319(JP,A) 特開 平3−205405(JP,A) 特開 平2−252765(JP,A) 特開 平6−271746(JP,A) 特開 平5−174629(JP,A) 特開 平6−239971(JP,A) 特開 平6−244225(JP,A) 特開 平6−228282(JP,A) 特開 平7−278274(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 59/68 C08G 59/62 C09J 9/02 C09J 163/00 - 163/10 H01B 3/40

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (A)(a )エポキシ樹脂、(b )フェ
    ノール樹脂系硬化剤、(c )次の一般式(1)又は
    (2)で示されるスルホニウム塩 【化1】 からなる変性樹脂、 (B)絶縁性粉末および (C)溶剤、反応性希釈剤又はこれらの混合物を必須成
    分としてなることを特徴とする絶縁性ペースト。
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