JP3534058B2 - 吸引コネクタ、およびそれを用いた吸引カテーテル - Google Patents
吸引コネクタ、およびそれを用いた吸引カテーテルInfo
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Description
るための医療用の吸引カテーテルに用いられる吸引コネ
クタ、特に、吸引の開始および停止を制御することが可
能な吸引コネクタに関する。
身麻酔が行なわれるが、その場合に自発呼吸が停止しな
いように、気管カテーテルを患者の口腔に挿入して、気
道確保が行われる。そのような場合、通常は唾液の産成
を抑えるために、硫酸アトロピン等の薬剤を投与するこ
とが行われるが、それでも湧出してくる唾液や痰を吸引
・除去するために、吸引カテーテルがしばしば使用され
る。また、開胸或いは開腹手術において、傷口などの患
部から出る血液や浸出液等の体液を吸引し、排液(特定
の場合には、再利用されることもある)するために、吸
引カテーテルは有用である。
カテーテルは使用する上で、以下に述べるような幾つか
の欠点を有していた。
しながら体液を吸引・除去する際に、カテーテル先端部
が生体組織に吸い付いて離れなくなることがしばしば発
生する。そのような場合、従来は吸引カテーテルを指で
つまんで閉塞したり、折り曲げることによって、吸引力
を減弱して吸付きを解除していた。ところが、カテーテ
ルが細い場合や、その肉厚が大きい場合には、指では充
分に内腔を閉塞できないため、吸付きを充分解除できな
いことが多かった。その場合には、カテーテルを折り曲
げることによって、内腔を閉塞させていたが、両手を使
わなければならず、面倒で使い難かった。
る側孔を設けた吸引カテーテルが考案された。この吸引
カテーテルは、吸引中は施術者が指で側孔を塞いで使用
し、吸付きが起きた場合に側孔を開放する。それにより
陰圧が開放され、吸付きを解除できる。しかし、このカ
テーテルは、吸引中側孔をふさぐ指に痰や血液等が付着
する恐れがあり、不衛生であった。これらのものとは別
に、吸引カテーテルに複雑な構造のコネクターを装着し
て、吸引力を減弱するものも考案されているが、高価で
あり、市場に受入れられ難かった。
口内に、気体は通気するが液体は通過しない合成樹脂製
の円柱状フィルターを充填した吸引コネクタが開示され
ている。すなわち、フィルターにより液体の飛散防止機
能を得ようとする構造である。しかしながら、この吸引
コネクタでは、吸引量が充分に確保できない。また、吸
引速度、吸引量の調節を頻繁に、或いは長時間にわたっ
て行なうと、フィルターメッシュ内の長手方向に侵入す
る汚物によって、通気口から流体通路方向への気体の通
気が妨げられ、そのため、陰圧開放による吸引力の減弱
が不十分になるおそれが有る。
機能と飛散防止機能を実用上十分な範囲でバランスさせ
て兼備した、簡素な構造で安価な吸引カテーテルは得ら
れていなかった。なお、十分な陰圧開放機能を得るため
には、通気路の断面、および通気路の開口端である吸引
調節口を広くすることが必要であるが、通気路の断面、
および吸引調節口を広くすると飛散量の増大を招くこと
が、両機能の兼備を困難にしていた。
吸引力の調節を十分に行うことがでるとともに、飛散防
止が確実で施術者に対する汚染や感染の恐れが少なく衛
生的であり、しかも簡易な構造であって、安価な吸引コ
ネクタ、およびそれを用いた吸引カテーテルを提供する
ことにある。
は、一端が導管に接続され他端が使用時に吸引源に接続
される流体通路と、流体通路の途中で分岐し開口端を有
する通気路とを備えた構成を前提とする。上記課題を解
決するために、本発明の吸引コネクタにおいては、通気
路内の少なくとも流体通路側の一部領域に2枚以上の阻
止板が、各々前記通気路の軸方向に延在するように配置
され、阻止板により通気路の断面が複数の領域に区画さ
れ、流体通路から通気路に進入する液体が開口端から流
出することを阻止板により阻止するように構成される。
尚、本発明において、液体とは、唾液、血液、浸出液等
の液体のみならず、痰などの粘張なものも含む意味で使
用する。
る液体は、阻止板に衝突して流体通路に戻されるので、
液体が、阻止板を越えて通気路開口端から流出すること
がない。したがって、通気路の開口端を押さえている指
に流体が付着することもなく、施術者に対する汚染や感
染の恐れもない。しかも、阻止板を配置しても、通気路
による陰圧開放機能が損なわれる程度は、実用上問題に
ならない範囲である。
開口端近傍を除く領域に配置された構成とする。
域は、流体通路の軸方向に並ぶように区画される。
向に対して、導管の接続側に倒れた向きに傾斜して配置
された構成とする。
通路の軸方向に対して、導管の接続側に倒れた向きに傾
斜した構成とする。
部と、隣接する阻止板の開口端側の端部とが、流体通路
に直交する方向に見て、重なり部分を有するか又は接す
る位置関係で配置された構成とする。
かの構成の吸引コネクタを用い、その流体通路の一端に
導管を接続して構成される。
5を参照して、本発明の実施の形態1における吸引コネ
クタ、及びその吸引コネクタを装着した吸引カテーテル
について詳細に説明する。
可撓性導管2と、その基端側に装着された吸引コネクタ
3とからなる。可撓性導管2の先端部には、単一または
複数の吸引孔4が形成されており、この孔を通して体液
等を吸引する。吸引コネクタ3の他端は、使用時に吸引
源に接続するための延長チューブ6が連結可能になって
いる。
体通路31と、流体通路31の途中で分岐し開口端33
(吸引調節口)を有する通気路32とを有する。通気路
32は、流体通路31中の陰圧を開放する機能を付与す
るために設けられている。吸引中、施術者は指で開口端
33の開閉具合を調節して、陰圧開放の度合いを変化さ
せることにより、流体の吸引量、吸引速度をコントロー
ルする。カテーテルの吸付きが起きた場合には、開口端
33を開放して吸付きを解除する。通気路32内には阻
止板34が形成されている。阻止板34は、通気路32
に進入する液体が開口端33から流出することを防止す
るために設けられ、液体の飛散を防止する機能を持つ。
それにより、液体が施術者の指に付着することが防止さ
れる。
の板体から構成されている。各板体は、通気路32の内
壁に両端を支持され、通気路32を横断している。阻止
板34は通気路32内における開口端33の近傍を除
く、流体通路31側の一部領域にのみ配置されている。
従ってこの領域における通気路32は、阻止板34によ
り、流体通路31の軸方向に並んだ複数の領域に区画さ
れている。各板体は、吸引時にカテーテル内に生じる負
圧や、開口端33を開いた際に吸引源によって吸引され
る外気の流入圧に対する充分な耐圧性を備える。
に及ぼす作用の詳細については、明らかではないが、以
下のように考えられる。まず、液体が通気路32内に進
入する主要因として、開口端33を開閉する際に通気路
32内に生じる気体の渦流が挙げられる。通気路32内
に阻止板34を設けることによって、図3に示すよう
に、通気路32内には流体通路31に遠位な空間Aと近
位な空間Bが形成される。そのため、空間Aに生じる大
きな渦流A1が流体通路31にまで達せず、液体の通気
路32内への引き込みを阻止するか、或いはその程度を
軽減するように作用しているものと考えられる。
り、高い飛散防止効果を得ることが可能である。ところ
で、陰圧開放機能は、通気路32の断面およびその開口
端33の面積に依存する。基本的には最小断面積部分が
律速となり、最小断面積が大きいほど、陰圧開放効果は
大きくなる。一方、最小断面積が大きいほど、飛散量の
増大を招くおそれが大きくなる。阻止板34を設けた場
合は、阻止板34を配置した部分が最小断面積部分とな
り、この部分で陰圧開放効果および飛散防止効果の大き
さが決まる。注目すべき点は、阻止板34を設けた場
合、それにより最小断面積が減少する割合に比べて、飛
散防止効果が向上する割合が大きいことである。言い換
えれば、最小断面積が同等であっても、阻止板34を設
けた場合は、阻止板34が無い場合に比べて飛散量が少
ない。すなわち、同等の陰圧開放機能を有しながら、よ
り高い飛散防止機能を持たせることが可能である。従っ
て、阻止板34を設けることにより、陰圧開放機能と飛
散防止機能を、両機能共に高いレベルでバランスさせる
ことが可能となる。
であればよく、図2に示された形態に限定されるもので
はない。例えば、図3を参照した上記説明から明らかな
ように、阻止板34は傾斜していなくとも、相応の飛散
防止機能を付与することが可能である。また、通気路3
2の軸方向における阻止板34の長さがより短い形状で
あっても、相応の効果が得られる。しかしながら、通気
路32に進入する液体のうち若干量でも開口端33に到
達することを阻止し、或いは他の要因によって開口端3
3に到達することをも阻止して、指への液体の付着防止
機能を十分に発揮させるためには、板体の有効な面積が
十分に広いことが望ましい。
ように、板体を流体通路31の方向に対して傾斜させて
配置することが、より高い飛散防止効果を得るためには
望ましい。傾斜の向きは、可撓性導管2が接続される
側、即ち吸引源と反対側に倒れた向きとする。図4に示
すように、阻止板34の傾斜角θは、通気路32の内壁
の傾斜角β以下、すなわちθ≦βとなるよう配置するこ
とが好ましい。液体は、通気路32の吸引源側に向かっ
て進入する確率が高いので、そのような配置により、飛
散防止作用がより効果的になる。実用的には、阻止板3
4の傾斜角θが、通気路32内壁の傾斜角βと等しく
(θ=β)なるよう配置することが好ましい。それによ
り、液体を板体に確実に衝突させることができるのみな
らず、一回の射出形成により、一体形成可能であり、製
造容易で、安価な吸引コネクタを提供することができ
る。
(a)(b)に示すように配置されることが好ましい。
図5(a)に示す例では、流体通路31に直交する方向
から見て、板体341の流体通路側端部341aと、隣
接する板体342の開口端側端部342bとが、重なり
部分αを有する。図5(b)に示す例では、板体341
の流体通路側端部341aと、隣接する板体342の開
口端側端部342bとが接する位置関係(α=0)であ
る。このように配置すれば、流体通路31に直交する方
向上方に向かって通気路32に進入する液体に対して、
板体間に隙間が無く、液体を遮蔽してその通り抜けを防
止する効果が十分に得られる。
相互の位置関係は、図6に示すように構成することが好
ましい。すなわち、板体35の流体通路側端部35a
は、通気路32の吸引源側内壁の流体通路側端部32a
と連続させて形成する。板体36の開口端側端部36b
は、通気路32の可撓性導管側内壁の流体通路側端部3
2bに対して、流体通路31に直交する方向に見て可撓
性導管側に延在するように形成する。さらに、板体35
及び板体36が相互に、図5に示した重なり部分αを有
するか、或いは接する位置関係(α=0)にあるように
する。このように構成すれば、阻止板によって、通気路
32の吸引源側、可撓性導管側、あるいは通気路32の
分岐部開口における中央部の、いずれの箇所から進入し
て来る液体であっても、液体を流体通路31側に戻すこ
とができる。
ついて特に限定されるものではなく、1枚でも、或いは
2枚以上であっても良い。板体の枚数は、その材質によ
って、上記充分な耐圧性を具備するために要する厚さが
異なるので、良好な通気の調節に必要な気体通路および
板体の厚さの双方を考慮し、妥当な範囲で設定する。
て、本発明の実施の形態2における吸引コネクタについ
て説明する。図7(a)は本実施形態における吸引コネ
クタ71の平面図、図7(b)は図7(a)におけるA
−A断面図である。
体通路72の途中で分岐し開口端73(吸引調節口)を
有する通気路74とを有する。通気路74内には阻止板
75が形成されている。流体通路72は、可撓性導管
(図示せず)に接続するための可撓性導管接続部72a
と、吸引源に接続するための延長チューブ(図示せず)
が連結可能な吸引源接続部72bを有する。この吸引コ
ネクタ71の基本的な作用は、実施の形態1の吸引コネ
クタ3と同様である。
周辺部を拡大して示した断面図である。図8においてS
1は、流体通路72に対して通気路74が開口する箇所
における通気路74内の断面を示す。S2は、通気路7
4の軸に直交する通気路74内の断面を示す。通気路7
4の断面は、図9に示すように長円形である。図9
(a)は、断面S2における通気路74および阻止板7
5の形状を、図9(b)は、断面S1における通気路7
4および阻止板75の形状を示す。
鍔76は、施術者が開口端74の開閉具合を指で調節す
る際に、指を当接させてスライドさせるために設けられ
ている。それにより、微妙な調節を容易に行うことがで
きる。
ては、実施の形態1の図2に示した場合に比べて阻止板
75の寸法が相対的に小さい。すなわち、通気路74内
で阻止板75が存在する領域の割合がかなり小さい。ま
た図8に示す断面から明らかなように、阻止板75を構
成する板体が、図5に示したような重なり部分αを持た
ない。隣接する板体の流体通路側端部と開口端側端部が
接することもなく、互いに離間している。このような配
置であっても、実用的には十分な飛散防止機能を発揮す
ることができる。要するに、使用範囲での吸引圧に対し
て、陰圧開放機能と飛散防止機能のバランスが適切であ
れば実用上問題ない。このように阻止板75は、陰圧開
放機能に対して好ましくない影響を与えることなく、飛
散防止機能を高めることができる。
ネクタによる陰圧開放効果および飛散防止効果を調べる
以下の実験により確認した。
同一とし、流体通路72の最狭部内径を3mmとした。
断面S1及び断面S2の寸法は、図9に示したとおりと
した。通気路74の流体通路72に対する角度は45°
とした。阻止板75を構成した板体の厚みは0.28〜
0.43mm、その通気路74軸方向における長さは
1.5mmとした。また、阻止板75を持たない以外は
同一形状の吸引コネクタも用意した。なお通気路74の
最小断面積、すなわち、阻止板有りの場合、断面S2か
ら阻止板の断面積を引いた面積が9.9mm2、阻止板
無しの場合、断面S2の面積が13.8mm2であっ
た。
うに行った。まず吸引操作は、実使用時の状態を想定し
て、水と空気が混合されるようカテーテル先端を水中に
出し入れすることにより、20回行った。吸引した水の
飛散量を測定するために、予めろ紙を貼ったセロハンテ
ープを用意して、開口端73に貼り付けた。ろ紙を貼っ
たセロハンテープの総重量を、吸引操作の前後に測定し
て、その差を飛散水量とした。吸引圧は26.7kPa
とした。
を水中に固定し、開口端73を開放した状態で吸引を行
ったときの、カテーテル内の液面上昇高さを測定し、残
留陰圧値として評価した。測定は、20.0、28.
0、41.3、61.3、および93.3kPaの各吸
引圧について行った。
の吸引コネクタに対して、阻止板無しの吸引コネクタは
3〜4倍であった。残留陰圧値は、41.3、61.
3、および93.3kPaの吸引圧の場合に、阻止板有
りの吸引コネクタの方が0.01〜0.03kPa高い
結果となった。しかしながら、20.0および28.0
kPaの吸引圧の場合には、両コネクタに差はなく、残
留陰圧値は0Paであった。一般に使用される吸引圧
は、成人で20.0〜26.7kPa、小児で16.0
〜20.0kPaなので、上記結果は、阻止板有りの吸
引コネクタの陰圧開放機能が、実用上十分であることを
示す。
開放効果は変化しないものと推測されるので、使用の態
様に合わせて、阻止板の高さ(通気路軸方向の長さ)を
調節して、飛散防止機能を調節することが可能である。
カテーテルによれば、通気路に進入する液体は、阻止板
に衝突し、流体通路に戻されるので、液体が、阻止板を
越えて通気路開口端から流出することが抑制される。し
たがって、通気路の開口端を押さえている指に液体が付
着することがないので、施術者に対する汚染や感染の恐
れもなく、安全且つ衛生的に処置を行うことが可能であ
る。しかも陰圧開放機能は、実用上十分な大きさに確保
される。また、本発明にかかる吸引コネクタは簡易な構
造であるため、安価に提供することがでる。
ルを示す正面図
クタを示す正面断面図
明する拡大断面図
す拡大断面図
(a)(b)はそれぞれ異なる例の拡大断面図
の他の例を示す正面断面図
を示し、(a)は平面図、(b)は正面断面図
大して示す断面図
を示す断面図
Claims (7)
- 【請求項1】 一端が導管に接続され他端が使用時に吸
引源に接続される流体通路と、前記流体通路の途中で分
岐し開口端を有する通気路とを備えた吸引コネクタにお
いて、前記通気路内の少なくとも前記流体通路側の一部
領域に2枚以上の阻止板が、各々前記通気路の軸方向に
延在するように配置され、前記阻止板により前記通気路
の断面が複数の領域に区画され、前記流体通路から前記
通気路に進入する液体が前記開口端から流出することを
前記阻止板により阻止するように構成されたことを特徴
とする吸引コネクタ。 - 【請求項2】 前記阻止板が、前記開口端近傍を除く領
域に配置されている請求項1に記載の吸引コネクタ。 - 【請求項3】 前記通気路の断面の複数の領域は、前記
流体通路の軸方向に並ぶように区画されている請求項1
に記載の吸引コネクタ。 - 【請求項4】 前記阻止板が、前記流体通路の方向に対
して、前記導管の接続側に倒れた向きに傾斜して配置さ
れた請求項1に記載の吸引コネクタ。 - 【請求項5】 前記通気路の軸方向が、前記流体通路の
軸方向に対して、前記導管の接続側に倒れた向きに傾斜
している請求項1または4に記載の吸引コネクタ。 - 【請求項6】 前記阻止板の前記流体通路側の端部と、
隣接する前記阻止板の前記開口端側の端部とが、前記流
体通路に直交する方向に見て、重なり部分を有するか又
は接する位置関係で配置されたことを特徴とする請求項
4に記載の吸引コネクタ。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸
引コネクタを用い、その前記流体通路の一端に導管を接
続して構成された吸引カテーテル。
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