JP3532735B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置に係
り、特に、セルギャップが狭く設定されている液晶表示
装置に関する。 【0002】 【従来の技術】強誘電性液晶、反強誘電性液晶のような
大きな自発分極を有するスメクチック系液晶材料は、表
面安定化表示モードにおいて、高速応答性、広視野角を
示すという特徴を有することから、次世代の液晶表示素
子の材料として期待されている。特に近年では、アクテ
ィブマトリクスと組み合わせて動画表示を行うことも多
く試みられている。 【0003】ところが、このような大きな自発分極を有
する液晶材料は、誘電率が数十〜数千と、ネマチック系
材料と比較して非常に大きいことから、これまでのネマ
チック系液晶材料を使用した液晶表示素子ではほとんど
影響の無かった配向膜の厚みなどが、その表示性能に大
きく関わることが判明した。すなわち、画素電極と対向
電極の間に電場を印加すると、電場は、液晶層そのもの
に加え、液晶セルを構成する配向膜や絶縁膜といった、
画素電極と対向電極の間にある電気的に直列に配列され
たすべての周辺部材に分圧される。 【0004】ネマチック系の液晶材料の場合、配向膜に
多用される有機高分子材料や絶縁膜を構成する酸化物無
機材料は、液晶材料とほぼ同じオーダーの誘電率を有す
るものの、液晶層の厚みが配向膜や絶縁膜の厚みの総和
に対して50倍前後と厚いことから、その影響は殆ど無
いといえる。しかしながら、誘電率の大きなスメクチッ
ク材料の場合には、配向膜などの周辺部材への分圧を無
視することはできない。 【0005】一方、これら大きな自発分極を有する液晶
材料を液晶表示素子に用いる場合には、表面安定化(S
urface Stabirized)状態をとる必要
がある。これは材料由来の螺旋構造を、セルギャップを
薄くすることにより強制的にほどくものである。この場
合、セルギャップは、複屈折モードによる表示性能との
兼ね合いから、2μm前後に設定されることが多い。こ
のため、一般的なTFT−TNセル(セルギャップ5μ
m前後)では何ら問題がなかったカラーフィルタの突起
や、セル組立て工程でのゴミかみ、スペーサーによるア
レイ配線などの欠損等により、セル上下基板間でリーク
電流が発生し、それによって表示不良が多発してしま
う。 【0006】この上下基板間でのリーク電流を防止する
目的で、一般にはカラーフィルタ側の対向電極上に、無
機材料による絶縁膜が全面にわたって設けられる。この
ような従来の液晶セルの構造の断面を図4に示す。 【0007】図4に示す従来の液晶セルにおいては、ガ
ラスやプラスチックからなる基板301上に、ゲート電
極302、ゲート絶縁膜303を介して半導体膜304
が形成され、この半導体膜304上に、ソース電極30
5とドレイン電極306が形成され、これらによってT
FTが構成されている。このTFTのドレイン電極30
6には、ITO(Indium Tin Oxide)
からなる画素電極307が接続されている。さらに、こ
れらTFTおよび画素電極307上には、配向膜308
が形成されている。 【0008】対向する基板310上には、色部309と
ブラックマトリクス315からなるカラーフィルタが形
成され、その上に順に、ITOからなる対向電極31
6、上下基板上に設けられた電極間でのリークを防ぐた
めの無機材料からなる絶縁膜317、配向膜318が全
面に形成されている。 【0009】以上のようなTFTアレイ基板301とカ
ラーフィルタ基板310は、スペーサ312を介して対
向配置され、これらの間には大きな自発分極を持つ液晶
層311が挟持されている。TFT基板301とカラー
フィルタ基板310の対向面とは反対側の面には、それ
ぞれ偏光子313,314がクロスニコル状態に配置さ
れている。 【0010】以上のように構成される液晶セルにおい
て、カラーフィルタ基板310の全面には絶縁膜317
が設けられている。この絶縁膜317は、両基板間のシ
ョート防止には効果的であるが、画素電極に印加された
画素電位が、この絶縁膜317にも分圧されるため、液
晶層311に効果的な電圧を印加することができず、結
果的に駆動電圧の増加を引き起こしてしまうという問題
があった。 【0011】また、最近になって、コレステリック液晶
の選択反射を利用した液晶表示装置においても、その駆
動電圧を低減させる目的でセルギャップを狭く設定する
傾向にある。メモリー特性を有するこの液晶表示装置に
おいては、表示画像保持期間に電場を印加する必要が無
いことから、駆動電圧の低減が見込まれているものの、
書換時の電圧は、一般的なTFT−TNパネルと比較し
て高い電圧を要する。この書換時の電圧を効率よく印加
するためにも、対向電極の全面に絶縁膜を設けることは
好ましくない。 【0012】この問題を解決する方法として、第1の信
号線に対向する対向電極をパターニングするという方法
が提案されている(特願平7−92489号)。この構
造の液晶セルの断面を図5に示す。この液晶セルでは、
凸状の構造であるソース電極305とドレイン電極30
6に対向する対向電極316をパターニングすること
で、両基板間のショートを防止している。 【0013】また、図5に示す液晶セルでは、これに加
え、凸状の構造である信号線(図示せず)に対向する対
向電極316の部分についてもパターニングすることが
多い。信号線に対向する対向電極は、レジストを用いた
エッチング等の手法によりITOを取り除くことによっ
てパターニングすることができる。ところが、このよう
な対向電極では、抵抗値が高くなるため、しばしばクロ
ストーク等の画像表示上の問題を引き起こしてしまう。 【0014】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑みなされたもので、セルギャップの狭い液晶表示装
置において、駆動電圧の増加や画像表示性能の低下を伴
うことなく、上下基板間でのリーク電流を防止した液晶
表示装置を提供することを目的とする。 【0015】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、対向電極の
全面にではなく、対向電極の所定の領域にのみ、選択的
に絶縁膜を形成することにより、セルギャップが狭くて
も、駆動電圧の増加や画像表示性能の低下を伴うことな
く、上下基板間でのリーク電流を防止することが出来る
ことを見出した。本発明は、かかる知見に基づくもので
ある。 【0016】即ち、本発明(請求項1)は、複数の走査
線、複数の信号線、これら走査線と信号線の交点付近に
形成された複数のスイッチング素子、およびこのスイッ
チング素子に接続された画素電極とを有する第1の基板
と、対向電極、及びこの対向電極上に形成された絶縁膜
とを有し、前記第1の基板に対向して配置された第2の
基板と、前記第1および第2の基板間に挟持された液晶
層とを具備し、前記絶縁膜は、前記画素電極に対向しな
い前記対向電極上の領域に選択的に形成されていること
を特徴とする液晶表示装置を提供する。 【0017】また、本発明(請求項2)は、複数の走査
線、複数の信号線、これら走査線と信号線の交点付近に
形成された複数のスイッチング素子、およびこのスイッ
チング素子に接続された画素電極とを有する第1の基板
と、対向電極、及びこの対向電極上に形成された絶縁膜
とを有し、前記第1の基板に対向して配置された第2の
基板と、前記第1および第2の基板間に挟持された液晶
層とを具備し、前記絶縁膜は、前記スイッチング素子に
対向する前記対向電極上の領域に選択的に形成されてい
ることを特徴とする液晶表示装置を提供する。 【0018】更に、本発明(請求項3)は、複数の走査
線、複数の信号線、これら走査線と信号線の交点付近に
形成された複数のスイッチング素子、およびこのスイッ
チング素子に接続された画素電極とを有する第1の基板
と、対向電極、及びこの対向電極上に形成された絶縁膜
とを有し、前記第1の基板に対向して配置された第2の
基板と、前記第1および第2の基板間に挟持された液晶
層とを具備し、前記絶縁膜は、前記信号線または走査線
に対向する前記対向電極上の領域に選択的に形成されて
いることを特徴とする液晶表示装置を提供する。 【0019】本発明の液晶表示装置において、絶縁膜が
形成される対向電極上の領域は、第1の基板、即ちアレ
イ基板上の凸状部に対向する領域である。この領域は、
カラーフィルタの開口部以外の領域に相当する。より具
体的には、この領域は、スイッチング素子および信号線
に対向する対向電極上の領域またはその近傍であり、ま
たは前記スイッチング素子に対向する対向電極上の領域
またはその近傍である。 【0020】絶縁膜としては、SiO2 やSiNのよう
な無機絶縁膜でも、レジストのような有機絶縁膜であっ
てもよい。その膜厚は、特に限定されないが、一般に
は、0.05〜0.5μmが好ましい。 【0021】絶縁膜の選択的な形成方法も、特に限定さ
れず、様々な方法により可能である。例えば、スパッタ
リングやCVDにより成膜した後、ホトリソグラフィー
によりパターニングすることにより選択的に形成するこ
とができる。また、所定のマスクを用いてスパッタリン
グを行うマスクスパッタ法により、選択的に形成するこ
とも可能である。 【0022】本発明は、4.5μm以下、好ましくは3
μm以下の狭いセルギャップの液晶表示装置に対し、特
に好適に適用可能である。なお、液晶材料は、特に限定
されないが、セルギャップを狭くする必要のある液晶表
示装置の中でも、大きな自発分極を有するスメクチック
液晶を用いた場合、およびコレステリック液晶の選択反
射を利用する場合に、効果的に液晶層に電圧を印加でき
るという点で、特に好適である。 【0023】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。なお、簡単のために、大きな自発分極を有
するスメクチック系液晶材料を使用した液晶表示素子に
ついて説明する。 【0024】大きな自発分極を有するスメクチック系液
晶材料を使用した液晶表示素子では、SS状態をとるた
めに、通常、セルギャップを2μm前後に設定するが、
これによりアクティブ素子と配線を設けた第1の基板
と、画素電極に対向する対向電極を設けた第2の基板の
間でのリークを防ぐために、第2の基板の対向電極上に
絶縁膜を設けることが有効であることが分かっている。 【0025】さらに、本発明者らの研究の結果、第1の
基板で凸状の電気配線部分と第2の基板の対向電極の間
でのシュートが原因のリークが多いことが判明した。具
体的には、逆スタガ構造のTFTと対向電極、または信
号線と対向電極の間で発生することが多い。更に、画素
電極に対向する部分に設けられた絶縁膜は、液晶層に印
加されるべき画素電圧の分圧を引き起こすことにより、
駆動電圧の増加を引き起こすことも確認された。 【0026】図1に、本発明の液晶表示装置の第1の基
板の膜面からみた図を示す。図1で示した構造では、画
素電極1には、信号線2からアクティブ素子を経由して
画素電電位が供給されるようになっている。アクティブ
素子のスイッチングは、ゲート線3から供給される電位
によって行われる。ここで、アクティブ素子は、ソース
4、ドレイン5、およびゲート6により構成される薄膜
トランジスタ(TFT)である。このTFTが逆スタガ
構造をとっていることから、第1の基板上に設けられた
各構造のうち、ソース4、ドレイン5は特に凸状の構造
になっており、信号線2がこれに続く。 【0027】本発明では、このような構造的に凸状にな
っている部分に対向する対向電極上に、絶縁膜を設けて
いる。図2は、本発明の一実施形態に係る液晶表示素子
の構造の断面を示す。この断面は、図1の第1の基板の
A−A′線断面、およびこれに対応する第2の基板の断
面に相当する。 【0028】図2に示す液晶表示素子においては、ガラ
スやプラスチックからなる基板101上に、ゲート電極
102、ゲート絶縁膜103を介して半導体膜104が
形成され、この半導体膜104上に、ソース電極105
とドレイン電極106が形成され、これらによってTF
Tが構成されている。このTFTのドレイン電極106
には、ITOからなる画素電極107が接続されてい
る。さらに、これらTFTおよび画素電極107上に
は、配向膜108が形成されている。 【0029】対向する基板110上には、色部109と
ブラックマトリクス115からなるカラーフィルタが形
成され、その上に順に、ITOからなる対向電極11
6、上下基板上に設けられた電極間でのリークを防ぐた
めの絶縁膜117、配向膜118が形成されている。こ
の場合、対向電極116および配向膜118は全面に設
けられているが、絶縁膜117は、TFTアレイ基板1
01上のソース電極105とドレイン電極106に対向
する部分にのみ設けられている。 【0030】以上のようなTFTアレイ基板101とカ
ラーフィルタ基板110は、スペーサ112を介して対
向配置され、これらの間には大きな自発分極を持つ液晶
層111が挟持されている。TFT基板101とカラー
フィルタ基板110の対向面とは反対側の面には、それ
ぞれ偏光子113,114がクロスニコル状態に配置さ
れている。 【0031】ここで、スペーサ112は、セルギャップ
を一定に保つために基板上に分散されたスペーサーボー
ルであるが、柱状のスペーサーでも構わない。ただし、
スペーサーボール密度は、100個/mm2 以下である
ことが好ましい。スペーサーボールは直径が1.5μm
以上2.5μm以下のものを使用する。 【0032】以上のように構成される図2に示す液晶表
示素子は、図4に示す従来の液晶表示素子で設けられて
いる絶縁膜を、対向電極116のうち、凸状の構造であ
るソース電極105とドレイン電極106に対向する部
分にのみ設けている。この構造は、対向電極のパターニ
ングを行なうものではないので、クロストークなどの電
荷供給能力不足に由来する表示性能上の問題を引き起こ
すことはない。 【0033】なお、図1に示す信号線2に対向する対向
電極上はもちろん、画素開口部を除く領域であれば、基
本的に絶縁膜117を設けることは可能であり、かつこ
の領域に設けられた絶縁膜117は、両基板間のショー
トの防止に有効である。このような構造によると、図4
に示す構造で生じた駆動電圧の上昇や図5に示す構造で
生じた表示性能低下の問題を回避することができる。 【0034】以下、大きな自発分極を有するスメクチッ
ク液晶材料を用い、対向電極上の、TFT基板上の凸状
の構造に対向する部分にのみ絶縁膜を設けた、本発明の
液晶表示素子の種々の実施例を示す。なお、これら実施
例は、本発明の理解を容易にする目的で記載されるもの
であり、本発明の主旨を変えない範囲で種々変更おぴょ
び修正は可能である。 【0035】(実施例1)図3に、本発明の第1の実施
例に係る、アレイ基板上に設けられたアクティブマトリ
クスを構成する画素の概要を示す。なお、図では、補助
容量は省略されている。 【0036】本実施例で用いたアレイ基板は、VGA仕
様となっており、ITOからなる画素電極201が縦に
640個、横に(480×3)個配列している。各画素
電極には、スイッチング素子であるTFTが設けられ、
このTFTにゲート電圧を供給するゲート線202と、
信号電圧を供給する信号線203がマトリクス状に配線
されている。TFTは、ソース204、ゲート205お
よびドレイン206の3端子により構成されている。 【0037】以上のようなアレイ基板と、カラーフィル
ター基板とを対向させて組合せ、図2に示すような液晶
セルが構成される。なお、図2では、TFTに対応する
位置にブラックマトリクス115が設けられているが、
図3では、点線207がブラックマトリクス端を示す。 【0038】図2に示す液晶表示素子を以下のようにし
て作製した。色部109とブラックマトリクス115か
らなるカラーフィルタと、ITOからなる対向電極11
6とが形成されたガラス基板(カラーフィルタ基板11
0)を準備し、このカラーフィルタ基板110の対向電
極116上に、図3に示すブラックマトリクス端207
の3μm内側の領域(ブラックマトリクスの領域より狭
い領域)に、マスクスパッタ法によりSiO2 からなる
絶縁膜117を2000オングストロームとなるように
成膜した。 【0039】一方、ゲート電極102、酸化シリコン等
からなるゲート絶縁膜103、アモルファスシリコン等
からなる半導体膜104、およびこの半導体膜104に
接するソース電極105とドレイン電極106により構
成されるTFTと、ITOからなる画素電極107を備
えたガラス基板(アレイ基板)101を準備した。 【0040】これらアレイ基板101およびカラーフィ
ルタ基板110の双方のそれぞれ一方の面に、絶縁膜と
配向膜を兼ねたポリイミド樹脂膜(オプトマーAL−1
051:日本合成ゴム(株))108,118を、65
nmの厚さに印刷により成膜した。これをオーブンで焼
成した後、クロスラビング操作による配向処理を行っ
た。次いで、これらアレイ基板101およびカラーフィ
ルタ基板110の所定の位置に、張り合わせのためのエ
ポキシ接着剤を常法により付与した。 【0041】次に、カラーフィルタ基板110のカラー
フィルタ形成面に、直径2μmの樹脂コーティング型の
スペーサーボール112を、密度100個/mm2 にな
るように散布し、画素部分と電極部分が重なるように、
両基板101,110を合わせて接着し、液晶セルを形
成した。 【0042】その後、真空容器内にこの液晶セルを置
き、真空下で液晶セルを70℃以上に加熱し、液晶材料
111として、無しきい値型反強誘電性液晶材料MLC
0076(三井石油化学社製)を用い、この液晶111
で注入口を塞ぎ、セル外部の気圧を大気圧に戻すことに
よって、液晶材料111を液晶セル内に充填した。な
お、この液晶材料の融点は70℃である。 【0043】次に、液晶セルを常法によりモジュール化
し、得られた液晶表示装置を駆動したところ、セルギャ
ップが2μmと狭いにもかかわらず、アレイ基板上に形
成された各配線およびTFTと、カラーフィルタ上に形
成された対向電極との間で、ショートが生ずることはな
く、無しきい値型反強誘電性液晶表示装置を実現するこ
とができた。 【0044】(比較例1)実施例1と同様のカラーフィ
ルタ基板およびアレイ基板を用いて、液晶表示装置を以
下のようにして作成した。 【0045】色部309とブラックマトリクス315か
らなるカラーフィルタと、ITOからなる対向電極31
6とが形成されたガラス基板(カラーフィルタ基板31
0)を準備し、このカラーフィルタ基板310の対向電
極316の表示領域全面に、スパッタ装置により、Si
O2 からなる絶縁膜317を2000オングストローム
となるように成膜した。 【0046】一方、ゲート電極302、酸化シリコン等
からなるゲート絶縁膜303、アモルファスシリコン等
からなる半導体膜304、およびこの半導体膜304に
接するソース電極305とドレイン電極306により構
成されるTFTと、ITOからなる画素電極307を備
えたガラス基板(アレイ基板)301を準備した。 【0047】これらアレイ基板301およびカラーフィ
ルタ基板310の双方のそれぞれ一方の面に、絶縁膜と
配向膜を兼ねたポリイミド樹脂膜(オプトマーAL−1
051:日本合成ゴム(株))308,318を、65
nmの厚さに印刷により成膜した。これをオーブンで焼
成した後、クロスラビング操作による配向処理を行っ
た。次いで、これらアレイ基板301およびカラーフィ
ルタ基板310の所定の位置に、張り合わせのためのエ
ポキシ接着剤を常法により付与した。 【0048】次に、カラーフィルタ基板310のカラー
フィルタ形成面に、直径2μmの樹脂コーティング型の
スペーサーボール312を、密度100個/mm2 にな
るように散布し、画素部分と電極部分が重なるように、
両基板301,310を合わせて接着し、液晶セルを形
成した。 【0049】その後、真空容器内にこの液晶セルを置
き、真空下で液晶セルを70℃以上に加熱し、液晶材料
311として、無しきい値型反強誘電性液晶材料MLC
0076(三井石油化学社製)を用い、この液晶311
で注入口を塞ぎ、セル外部の気圧を大気圧に戻すことに
よって、液晶材料311を液晶セル内に充填した。な
お、この液晶材料の融点は70℃である。 【0050】次に、液晶セルを常法によりモジュール化
し、得られた液晶表示装置を駆動したところ、セルギャ
ップが2μmと狭いにもかかわらず、アレイ基板上に形
成された各配線およびTFT素子と、カラーフィルタ基
板上に形成された対向電極との間で、ショートが生ずる
ことはなかったものの、駆動電圧は約1.8倍に増加し
た。 【0051】(実施例2)実施例1と同様のカラーフィ
ルタ基板およびアレイ基板を用いて、液晶表示装置を以
下のようにして作製した。 【0052】色部109とブラックマトリクス115か
らなるカラーフィルタと、ITOからなる対向電極11
6とが形成されたガラス基板(カラーフィルタ基板11
0)を準備し、このカラーフィルタ基板110の対向電
極116上に、スパッタ成膜装置により、TiO2 から
なる絶縁膜を、膜厚1800nmとなるように成膜し
た。 【0053】次いで、この絶縁膜全面を覆うように、フ
ェノール樹脂系ポジ型レジストを塗布した。そして、ア
レイ基板の信号線203(幅10μm)に加え、その両
側3μmを加えた範囲に対向する領域と、TFTを構成
するソース204、ゲート205、ドレイン206のオ
ーバーラップしている領域に、上下左右ともに3μmを
加えた範囲(21μm×31μm)とに対向する領域を
除いて、中心波長436nmのUV光で露光した後、現
像液としてNMD−3(東京応化社製)を用い、露光部
分のレジストを除去した。 【0054】更に、RIE装置によるドライエッチング
により、現像によって露出した絶縁膜をエッチングし
た。その後、レジスト剥離液(ハクリ−104:東京応
化社製)を用いてレジストを除去し、アレイ基板の信号
線203(幅10μm)に加え、その両側3μmを加え
た範囲に対向する領域と、TFTを構成するソース20
4、ゲート205、ドレイン206とオーバーラップす
る領域に、上下左右ともに3μmを加えた範囲(21μ
m×31μm)にのみ、絶縁膜を形成した。 【0055】一方、ゲート電極102、酸化シリコン等
からなるゲート絶縁膜103、アモルファスシリコン等
からなる半導体膜104、およびこの半導体膜104に
接するソース電極105とドレイン電極106により構
成されるTFTと、ITOからなる画素電極107を備
えたガラス基板(アレイ基板)101を準備した。 【0056】これらカラーフィルタ基板110およびア
レイ基板101の双方のそれぞれ一方の面に、絶縁膜と
配向膜を兼ねたポリイミド樹脂膜(RN1024:日産
化学社製)108,118を、50nmの厚さに印刷に
より成膜した。これをオーブンで焼成した後、反平行に
ラビングして、配向処理を行った。次いで、これらカラ
ーフィルタ基板110およびアレイ基板101の所定の
位置に、張り合わせのためのエポキシ接着剤を常法によ
り付与した。 【0057】次に、カラーフィルタ基板110およびア
レイ基板101の配向膜の形成面に、直径1.8μmの
シリカ製のスペーサーボール112を、密度100個/
mm2 になるように散布し、画素部分と電極部分が重な
るように、両基板101,110を合わせて接着し、液
晶セルを形成した。 【0058】その後、真空容器内にこの液晶セルを置
き、液晶材料111として、ネマティック液晶材料BL
035(メルク社製)を用い、この液晶111で注入口
を塞ぎ、セル外部の気圧を大気圧に戻すことによって、
液晶材料111を液晶セル内に充填した。 【0059】次に、液晶セルを常法によりモジュール化
し、得られた液晶表示装置を駆動したところ、セルギャ
ップが1.8μmと狭いにもかかわらず、アレイ基板上
に形成された各配線およびTFT素子と、カラーフィル
タ基板上に形成された対向電極との間で、ショートが生
ずることはなく、Piツイスト型液晶表示装置を実現す
ることができた。 【0060】(実施例3)実施例1と同様のカラーフィ
ルタ基板、およびTFT上の絶縁膜の性能を向上させた
アレイ基板を用いて、液晶表示装置を以下のようにして
作製した。 【0061】色部109とブラックマトリクス115か
らなるカラーフィルタと、ITOからなる対向電極11
6とが形成されたガラス基板(カラーフィルタ基板11
0)を準備し、このカラーフィルタ基板110の対向電
極116上に、CVD成膜装置により、SiO2 からな
る絶縁膜を、膜厚2000nmとなるように成膜した。 【0062】次いで、この絶縁膜全面を覆うように、フ
ェノール樹脂系ポジ型レジストを塗布した。そして、ア
レイ基板の信号線203(幅10μm)に加え、その両
側3μmの範囲に対向する領域を除いて、中心波長43
6nmのUV光で露光した後、現像液としてNMD−3
(東京応化社製)を用い、露光部分のレジストを除去し
た。 【0063】更に、弗酸で処理することにより、現像に
より露出した絶縁膜をエッチングした。その後、レジス
ト剥離液(ハクリ−104:東京応化社製)を用いてレ
ジストを除去し、アレイ基板の信号線203(幅10μ
m)に加え、その両側3μmを加えた範囲に対向する領
域にのみ絶縁膜を形成した。 【0064】一方、ゲート電極102、酸化シリコン等
からなるゲート絶縁膜103、アモルファスシリコン等
からなる半導体膜104、およびこの半導体膜104に
接するソース電極105とドレイン電極106により構
成されるTFTと、ITOからなる画素電極107を備
えたガラス基板(アレイ基板)101を準備した。本ア
レイ基板では、特にTFTの上にSiNX 等を用いて成
膜される絶縁膜(図示せず)の厚みを通常より厚い40
0nmに設定することで、絶縁性能を向上させた。 【0065】これらカラーフィルタ基板110およびア
レイ基板101の双方のそれぞれ一方の面に、絶縁膜と
配向膜を兼ねたポリイミド樹脂膜(オプトマーAL−1
051:日本合成ゴム(株))108,118を、65
nmの厚さに印刷により成膜した。これをオーブンで焼
成した後、クロスラビング操作による配向を行った。次
いで、これらカラーフィルタ基板110およびアレイ基
板101の所定の位置に、張り合わせのためのエポキシ
接着剤を常法により付与した。 【0066】次に、カラーフィルタ基板110およびア
レイ基板101の配向膜の形成面に、直径2μmのシリ
カ製のスペーサーボール112を、密度100個/mm
2 になるように散布し、画素部分と電極部分が重なるよ
うに、両基板101,110を合わせて接着し、液晶セ
ルを形成した。 【0067】その後、真空容器内にこの液晶セルを置
き、真空下で液晶セルを70℃以上に加熱し、液晶材料
111として、無しきい値型反強誘電性液晶材料MLC
0076(三井石油化学社製)を用い、この液晶111
で注入口を塞ぎ、セル外部の気圧を大気圧に戻すことに
よって、液晶材料111を液晶セル内に充填した。な
お、この液晶材料の融点は70℃である。 【0068】次に、液晶セルを常法によりモジュール化
し、得られた液晶表示装置を駆動したところ、セルギャ
ップが2μmと狭いにもかかわらず、アレイ基板上に形
成された各配線およびTFT素子と、カラーフィルタ基
板上に形成された対向電極との間で、ショートが生ずる
ことはなく、無しきい値型反強誘電性液晶表示装置を実
現することができた。 【0069】(実施例4)実施例1と同様のカラーフィ
ルタ基板およびアレイ基板を用いて、液晶表示装置を以
下のようにして作製した。 【0070】色部109とブラックマトリクス115か
らなるカラーフィルタと、ITOからなる対向電極11
6とが形成されたガラス基板(カラーフィルタ基板11
0)を準備し、このカラーフィルタ基板110の対向電
極116上に、CVD成膜装置により、Ta2 O5 から
なる絶縁膜を、膜厚2000nmとなるように成膜し
た。 【0071】次いで、この絶縁膜全面を覆うように、フ
ェノール樹脂系ポジ型レジストを塗布した。そして、ア
レイ基板のTFTを構成するソース204、ゲート20
5、ドレイン206のオーバーラップしている領域に、
上下左右ともに3μmを加えた範囲(21μm×31μ
m)を除いて、中心波長436nmのUV光で露光した
後、現像液としてNMD−3(東京応化社製)を用い、
露光部分のレジストを除去した。 【0072】更に、CDE装置によるドライエッチング
により、現像によって露出した絶縁膜をエッチングし
た。その後、レジスト剥離液(ハクリ−104:東京応
化社製)を用いてレジストを除去し、アレイ基板のTF
Tを構成するソース204、ゲート205、ドレイン2
06とオーバーラップする領域に、上下左右ともに3μ
mを加えた範囲(21μm×31μm)にのみ、絶縁膜
を形成した。 【0073】一方、ゲート電極102、酸化シリコン等
からなるゲート絶縁膜103、アモルファスシリコン等
からなる半導体膜104、およびこの半導体膜104に
接するソース電極105とドレイン電極106により構
成されるTFTと、ITOからなる画素電極107を備
えたガラス基板(アレイ基板)101を準備した。 【0074】これらカラーフィルタ基板110およびア
レイ基板101の双方のそれぞれ一方の面に、絶縁膜と
配向膜を兼ねたポリイミド樹脂膜(LX−1400:日
立化成社製)108,118を、30nmの厚さに印刷
により成膜した。これをオーブンで焼成した後、平行ラ
ビングによる配向を行った。次いで、これらカラーフィ
ルタ基板110およびアレイ基板101の所定の位置
に、張り合わせのためのエポキシ接着剤を常法により付
与した。 【0075】次に、カラーフィルタ基板110およびア
レイ基板101の配向膜の形成面に、直径2μmの樹脂
製のスペーサーボール112を、密度100個/mm2
になるように散布し、画素部分と電極部分が重なるよう
に、両基板101,110を合わせて接着し、液晶セル
を形成した。 【0076】その後、真空容器内にこの液晶セルを置
き、液晶材料111として、ネマティック液晶材料ZL
I−5080(メルク社製)を用い、この液晶111で
注入口を塞ぎ、セル外部の気圧を大気圧に戻すことによ
って、液晶材料111を液晶セル内に充填した。 【0077】次に、液晶セルを常法によりモジュール化
し、得られた液晶表示装置を駆動したところ、セルギャ
ップが2μmと狭いにもかかわらず、アレイ基板上に形
成された各配線およびTFT素子と、カラーフィルタ基
板上に形成された対向電極との間で、ショートが生ずる
ことはなく、電界制御複屈折型液晶表示装置を実現する
ことができた。 【0078】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
大きな自発分極を持つスメクチック系液晶材料や、コレ
ステリック液晶の選択反射を利用した液晶表示装置とい
った、セルギャップが4.5μm以下と狭く設定される
液晶表示装置において、画素開口部以外の範囲に選択的
に絶縁膜を設けることにより、駆動電圧の上昇や表示特
性の低下といった問題を回避するとともに、かつ基板間
のショートを効果的に防止することが可能である。
り、特に、セルギャップが狭く設定されている液晶表示
装置に関する。 【0002】 【従来の技術】強誘電性液晶、反強誘電性液晶のような
大きな自発分極を有するスメクチック系液晶材料は、表
面安定化表示モードにおいて、高速応答性、広視野角を
示すという特徴を有することから、次世代の液晶表示素
子の材料として期待されている。特に近年では、アクテ
ィブマトリクスと組み合わせて動画表示を行うことも多
く試みられている。 【0003】ところが、このような大きな自発分極を有
する液晶材料は、誘電率が数十〜数千と、ネマチック系
材料と比較して非常に大きいことから、これまでのネマ
チック系液晶材料を使用した液晶表示素子ではほとんど
影響の無かった配向膜の厚みなどが、その表示性能に大
きく関わることが判明した。すなわち、画素電極と対向
電極の間に電場を印加すると、電場は、液晶層そのもの
に加え、液晶セルを構成する配向膜や絶縁膜といった、
画素電極と対向電極の間にある電気的に直列に配列され
たすべての周辺部材に分圧される。 【0004】ネマチック系の液晶材料の場合、配向膜に
多用される有機高分子材料や絶縁膜を構成する酸化物無
機材料は、液晶材料とほぼ同じオーダーの誘電率を有す
るものの、液晶層の厚みが配向膜や絶縁膜の厚みの総和
に対して50倍前後と厚いことから、その影響は殆ど無
いといえる。しかしながら、誘電率の大きなスメクチッ
ク材料の場合には、配向膜などの周辺部材への分圧を無
視することはできない。 【0005】一方、これら大きな自発分極を有する液晶
材料を液晶表示素子に用いる場合には、表面安定化(S
urface Stabirized)状態をとる必要
がある。これは材料由来の螺旋構造を、セルギャップを
薄くすることにより強制的にほどくものである。この場
合、セルギャップは、複屈折モードによる表示性能との
兼ね合いから、2μm前後に設定されることが多い。こ
のため、一般的なTFT−TNセル(セルギャップ5μ
m前後)では何ら問題がなかったカラーフィルタの突起
や、セル組立て工程でのゴミかみ、スペーサーによるア
レイ配線などの欠損等により、セル上下基板間でリーク
電流が発生し、それによって表示不良が多発してしま
う。 【0006】この上下基板間でのリーク電流を防止する
目的で、一般にはカラーフィルタ側の対向電極上に、無
機材料による絶縁膜が全面にわたって設けられる。この
ような従来の液晶セルの構造の断面を図4に示す。 【0007】図4に示す従来の液晶セルにおいては、ガ
ラスやプラスチックからなる基板301上に、ゲート電
極302、ゲート絶縁膜303を介して半導体膜304
が形成され、この半導体膜304上に、ソース電極30
5とドレイン電極306が形成され、これらによってT
FTが構成されている。このTFTのドレイン電極30
6には、ITO(Indium Tin Oxide)
からなる画素電極307が接続されている。さらに、こ
れらTFTおよび画素電極307上には、配向膜308
が形成されている。 【0008】対向する基板310上には、色部309と
ブラックマトリクス315からなるカラーフィルタが形
成され、その上に順に、ITOからなる対向電極31
6、上下基板上に設けられた電極間でのリークを防ぐた
めの無機材料からなる絶縁膜317、配向膜318が全
面に形成されている。 【0009】以上のようなTFTアレイ基板301とカ
ラーフィルタ基板310は、スペーサ312を介して対
向配置され、これらの間には大きな自発分極を持つ液晶
層311が挟持されている。TFT基板301とカラー
フィルタ基板310の対向面とは反対側の面には、それ
ぞれ偏光子313,314がクロスニコル状態に配置さ
れている。 【0010】以上のように構成される液晶セルにおい
て、カラーフィルタ基板310の全面には絶縁膜317
が設けられている。この絶縁膜317は、両基板間のシ
ョート防止には効果的であるが、画素電極に印加された
画素電位が、この絶縁膜317にも分圧されるため、液
晶層311に効果的な電圧を印加することができず、結
果的に駆動電圧の増加を引き起こしてしまうという問題
があった。 【0011】また、最近になって、コレステリック液晶
の選択反射を利用した液晶表示装置においても、その駆
動電圧を低減させる目的でセルギャップを狭く設定する
傾向にある。メモリー特性を有するこの液晶表示装置に
おいては、表示画像保持期間に電場を印加する必要が無
いことから、駆動電圧の低減が見込まれているものの、
書換時の電圧は、一般的なTFT−TNパネルと比較し
て高い電圧を要する。この書換時の電圧を効率よく印加
するためにも、対向電極の全面に絶縁膜を設けることは
好ましくない。 【0012】この問題を解決する方法として、第1の信
号線に対向する対向電極をパターニングするという方法
が提案されている(特願平7−92489号)。この構
造の液晶セルの断面を図5に示す。この液晶セルでは、
凸状の構造であるソース電極305とドレイン電極30
6に対向する対向電極316をパターニングすること
で、両基板間のショートを防止している。 【0013】また、図5に示す液晶セルでは、これに加
え、凸状の構造である信号線(図示せず)に対向する対
向電極316の部分についてもパターニングすることが
多い。信号線に対向する対向電極は、レジストを用いた
エッチング等の手法によりITOを取り除くことによっ
てパターニングすることができる。ところが、このよう
な対向電極では、抵抗値が高くなるため、しばしばクロ
ストーク等の画像表示上の問題を引き起こしてしまう。 【0014】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑みなされたもので、セルギャップの狭い液晶表示装
置において、駆動電圧の増加や画像表示性能の低下を伴
うことなく、上下基板間でのリーク電流を防止した液晶
表示装置を提供することを目的とする。 【0015】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、対向電極の
全面にではなく、対向電極の所定の領域にのみ、選択的
に絶縁膜を形成することにより、セルギャップが狭くて
も、駆動電圧の増加や画像表示性能の低下を伴うことな
く、上下基板間でのリーク電流を防止することが出来る
ことを見出した。本発明は、かかる知見に基づくもので
ある。 【0016】即ち、本発明(請求項1)は、複数の走査
線、複数の信号線、これら走査線と信号線の交点付近に
形成された複数のスイッチング素子、およびこのスイッ
チング素子に接続された画素電極とを有する第1の基板
と、対向電極、及びこの対向電極上に形成された絶縁膜
とを有し、前記第1の基板に対向して配置された第2の
基板と、前記第1および第2の基板間に挟持された液晶
層とを具備し、前記絶縁膜は、前記画素電極に対向しな
い前記対向電極上の領域に選択的に形成されていること
を特徴とする液晶表示装置を提供する。 【0017】また、本発明(請求項2)は、複数の走査
線、複数の信号線、これら走査線と信号線の交点付近に
形成された複数のスイッチング素子、およびこのスイッ
チング素子に接続された画素電極とを有する第1の基板
と、対向電極、及びこの対向電極上に形成された絶縁膜
とを有し、前記第1の基板に対向して配置された第2の
基板と、前記第1および第2の基板間に挟持された液晶
層とを具備し、前記絶縁膜は、前記スイッチング素子に
対向する前記対向電極上の領域に選択的に形成されてい
ることを特徴とする液晶表示装置を提供する。 【0018】更に、本発明(請求項3)は、複数の走査
線、複数の信号線、これら走査線と信号線の交点付近に
形成された複数のスイッチング素子、およびこのスイッ
チング素子に接続された画素電極とを有する第1の基板
と、対向電極、及びこの対向電極上に形成された絶縁膜
とを有し、前記第1の基板に対向して配置された第2の
基板と、前記第1および第2の基板間に挟持された液晶
層とを具備し、前記絶縁膜は、前記信号線または走査線
に対向する前記対向電極上の領域に選択的に形成されて
いることを特徴とする液晶表示装置を提供する。 【0019】本発明の液晶表示装置において、絶縁膜が
形成される対向電極上の領域は、第1の基板、即ちアレ
イ基板上の凸状部に対向する領域である。この領域は、
カラーフィルタの開口部以外の領域に相当する。より具
体的には、この領域は、スイッチング素子および信号線
に対向する対向電極上の領域またはその近傍であり、ま
たは前記スイッチング素子に対向する対向電極上の領域
またはその近傍である。 【0020】絶縁膜としては、SiO2 やSiNのよう
な無機絶縁膜でも、レジストのような有機絶縁膜であっ
てもよい。その膜厚は、特に限定されないが、一般に
は、0.05〜0.5μmが好ましい。 【0021】絶縁膜の選択的な形成方法も、特に限定さ
れず、様々な方法により可能である。例えば、スパッタ
リングやCVDにより成膜した後、ホトリソグラフィー
によりパターニングすることにより選択的に形成するこ
とができる。また、所定のマスクを用いてスパッタリン
グを行うマスクスパッタ法により、選択的に形成するこ
とも可能である。 【0022】本発明は、4.5μm以下、好ましくは3
μm以下の狭いセルギャップの液晶表示装置に対し、特
に好適に適用可能である。なお、液晶材料は、特に限定
されないが、セルギャップを狭くする必要のある液晶表
示装置の中でも、大きな自発分極を有するスメクチック
液晶を用いた場合、およびコレステリック液晶の選択反
射を利用する場合に、効果的に液晶層に電圧を印加でき
るという点で、特に好適である。 【0023】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。なお、簡単のために、大きな自発分極を有
するスメクチック系液晶材料を使用した液晶表示素子に
ついて説明する。 【0024】大きな自発分極を有するスメクチック系液
晶材料を使用した液晶表示素子では、SS状態をとるた
めに、通常、セルギャップを2μm前後に設定するが、
これによりアクティブ素子と配線を設けた第1の基板
と、画素電極に対向する対向電極を設けた第2の基板の
間でのリークを防ぐために、第2の基板の対向電極上に
絶縁膜を設けることが有効であることが分かっている。 【0025】さらに、本発明者らの研究の結果、第1の
基板で凸状の電気配線部分と第2の基板の対向電極の間
でのシュートが原因のリークが多いことが判明した。具
体的には、逆スタガ構造のTFTと対向電極、または信
号線と対向電極の間で発生することが多い。更に、画素
電極に対向する部分に設けられた絶縁膜は、液晶層に印
加されるべき画素電圧の分圧を引き起こすことにより、
駆動電圧の増加を引き起こすことも確認された。 【0026】図1に、本発明の液晶表示装置の第1の基
板の膜面からみた図を示す。図1で示した構造では、画
素電極1には、信号線2からアクティブ素子を経由して
画素電電位が供給されるようになっている。アクティブ
素子のスイッチングは、ゲート線3から供給される電位
によって行われる。ここで、アクティブ素子は、ソース
4、ドレイン5、およびゲート6により構成される薄膜
トランジスタ(TFT)である。このTFTが逆スタガ
構造をとっていることから、第1の基板上に設けられた
各構造のうち、ソース4、ドレイン5は特に凸状の構造
になっており、信号線2がこれに続く。 【0027】本発明では、このような構造的に凸状にな
っている部分に対向する対向電極上に、絶縁膜を設けて
いる。図2は、本発明の一実施形態に係る液晶表示素子
の構造の断面を示す。この断面は、図1の第1の基板の
A−A′線断面、およびこれに対応する第2の基板の断
面に相当する。 【0028】図2に示す液晶表示素子においては、ガラ
スやプラスチックからなる基板101上に、ゲート電極
102、ゲート絶縁膜103を介して半導体膜104が
形成され、この半導体膜104上に、ソース電極105
とドレイン電極106が形成され、これらによってTF
Tが構成されている。このTFTのドレイン電極106
には、ITOからなる画素電極107が接続されてい
る。さらに、これらTFTおよび画素電極107上に
は、配向膜108が形成されている。 【0029】対向する基板110上には、色部109と
ブラックマトリクス115からなるカラーフィルタが形
成され、その上に順に、ITOからなる対向電極11
6、上下基板上に設けられた電極間でのリークを防ぐた
めの絶縁膜117、配向膜118が形成されている。こ
の場合、対向電極116および配向膜118は全面に設
けられているが、絶縁膜117は、TFTアレイ基板1
01上のソース電極105とドレイン電極106に対向
する部分にのみ設けられている。 【0030】以上のようなTFTアレイ基板101とカ
ラーフィルタ基板110は、スペーサ112を介して対
向配置され、これらの間には大きな自発分極を持つ液晶
層111が挟持されている。TFT基板101とカラー
フィルタ基板110の対向面とは反対側の面には、それ
ぞれ偏光子113,114がクロスニコル状態に配置さ
れている。 【0031】ここで、スペーサ112は、セルギャップ
を一定に保つために基板上に分散されたスペーサーボー
ルであるが、柱状のスペーサーでも構わない。ただし、
スペーサーボール密度は、100個/mm2 以下である
ことが好ましい。スペーサーボールは直径が1.5μm
以上2.5μm以下のものを使用する。 【0032】以上のように構成される図2に示す液晶表
示素子は、図4に示す従来の液晶表示素子で設けられて
いる絶縁膜を、対向電極116のうち、凸状の構造であ
るソース電極105とドレイン電極106に対向する部
分にのみ設けている。この構造は、対向電極のパターニ
ングを行なうものではないので、クロストークなどの電
荷供給能力不足に由来する表示性能上の問題を引き起こ
すことはない。 【0033】なお、図1に示す信号線2に対向する対向
電極上はもちろん、画素開口部を除く領域であれば、基
本的に絶縁膜117を設けることは可能であり、かつこ
の領域に設けられた絶縁膜117は、両基板間のショー
トの防止に有効である。このような構造によると、図4
に示す構造で生じた駆動電圧の上昇や図5に示す構造で
生じた表示性能低下の問題を回避することができる。 【0034】以下、大きな自発分極を有するスメクチッ
ク液晶材料を用い、対向電極上の、TFT基板上の凸状
の構造に対向する部分にのみ絶縁膜を設けた、本発明の
液晶表示素子の種々の実施例を示す。なお、これら実施
例は、本発明の理解を容易にする目的で記載されるもの
であり、本発明の主旨を変えない範囲で種々変更おぴょ
び修正は可能である。 【0035】(実施例1)図3に、本発明の第1の実施
例に係る、アレイ基板上に設けられたアクティブマトリ
クスを構成する画素の概要を示す。なお、図では、補助
容量は省略されている。 【0036】本実施例で用いたアレイ基板は、VGA仕
様となっており、ITOからなる画素電極201が縦に
640個、横に(480×3)個配列している。各画素
電極には、スイッチング素子であるTFTが設けられ、
このTFTにゲート電圧を供給するゲート線202と、
信号電圧を供給する信号線203がマトリクス状に配線
されている。TFTは、ソース204、ゲート205お
よびドレイン206の3端子により構成されている。 【0037】以上のようなアレイ基板と、カラーフィル
ター基板とを対向させて組合せ、図2に示すような液晶
セルが構成される。なお、図2では、TFTに対応する
位置にブラックマトリクス115が設けられているが、
図3では、点線207がブラックマトリクス端を示す。 【0038】図2に示す液晶表示素子を以下のようにし
て作製した。色部109とブラックマトリクス115か
らなるカラーフィルタと、ITOからなる対向電極11
6とが形成されたガラス基板(カラーフィルタ基板11
0)を準備し、このカラーフィルタ基板110の対向電
極116上に、図3に示すブラックマトリクス端207
の3μm内側の領域(ブラックマトリクスの領域より狭
い領域)に、マスクスパッタ法によりSiO2 からなる
絶縁膜117を2000オングストロームとなるように
成膜した。 【0039】一方、ゲート電極102、酸化シリコン等
からなるゲート絶縁膜103、アモルファスシリコン等
からなる半導体膜104、およびこの半導体膜104に
接するソース電極105とドレイン電極106により構
成されるTFTと、ITOからなる画素電極107を備
えたガラス基板(アレイ基板)101を準備した。 【0040】これらアレイ基板101およびカラーフィ
ルタ基板110の双方のそれぞれ一方の面に、絶縁膜と
配向膜を兼ねたポリイミド樹脂膜(オプトマーAL−1
051:日本合成ゴム(株))108,118を、65
nmの厚さに印刷により成膜した。これをオーブンで焼
成した後、クロスラビング操作による配向処理を行っ
た。次いで、これらアレイ基板101およびカラーフィ
ルタ基板110の所定の位置に、張り合わせのためのエ
ポキシ接着剤を常法により付与した。 【0041】次に、カラーフィルタ基板110のカラー
フィルタ形成面に、直径2μmの樹脂コーティング型の
スペーサーボール112を、密度100個/mm2 にな
るように散布し、画素部分と電極部分が重なるように、
両基板101,110を合わせて接着し、液晶セルを形
成した。 【0042】その後、真空容器内にこの液晶セルを置
き、真空下で液晶セルを70℃以上に加熱し、液晶材料
111として、無しきい値型反強誘電性液晶材料MLC
0076(三井石油化学社製)を用い、この液晶111
で注入口を塞ぎ、セル外部の気圧を大気圧に戻すことに
よって、液晶材料111を液晶セル内に充填した。な
お、この液晶材料の融点は70℃である。 【0043】次に、液晶セルを常法によりモジュール化
し、得られた液晶表示装置を駆動したところ、セルギャ
ップが2μmと狭いにもかかわらず、アレイ基板上に形
成された各配線およびTFTと、カラーフィルタ上に形
成された対向電極との間で、ショートが生ずることはな
く、無しきい値型反強誘電性液晶表示装置を実現するこ
とができた。 【0044】(比較例1)実施例1と同様のカラーフィ
ルタ基板およびアレイ基板を用いて、液晶表示装置を以
下のようにして作成した。 【0045】色部309とブラックマトリクス315か
らなるカラーフィルタと、ITOからなる対向電極31
6とが形成されたガラス基板(カラーフィルタ基板31
0)を準備し、このカラーフィルタ基板310の対向電
極316の表示領域全面に、スパッタ装置により、Si
O2 からなる絶縁膜317を2000オングストローム
となるように成膜した。 【0046】一方、ゲート電極302、酸化シリコン等
からなるゲート絶縁膜303、アモルファスシリコン等
からなる半導体膜304、およびこの半導体膜304に
接するソース電極305とドレイン電極306により構
成されるTFTと、ITOからなる画素電極307を備
えたガラス基板(アレイ基板)301を準備した。 【0047】これらアレイ基板301およびカラーフィ
ルタ基板310の双方のそれぞれ一方の面に、絶縁膜と
配向膜を兼ねたポリイミド樹脂膜(オプトマーAL−1
051:日本合成ゴム(株))308,318を、65
nmの厚さに印刷により成膜した。これをオーブンで焼
成した後、クロスラビング操作による配向処理を行っ
た。次いで、これらアレイ基板301およびカラーフィ
ルタ基板310の所定の位置に、張り合わせのためのエ
ポキシ接着剤を常法により付与した。 【0048】次に、カラーフィルタ基板310のカラー
フィルタ形成面に、直径2μmの樹脂コーティング型の
スペーサーボール312を、密度100個/mm2 にな
るように散布し、画素部分と電極部分が重なるように、
両基板301,310を合わせて接着し、液晶セルを形
成した。 【0049】その後、真空容器内にこの液晶セルを置
き、真空下で液晶セルを70℃以上に加熱し、液晶材料
311として、無しきい値型反強誘電性液晶材料MLC
0076(三井石油化学社製)を用い、この液晶311
で注入口を塞ぎ、セル外部の気圧を大気圧に戻すことに
よって、液晶材料311を液晶セル内に充填した。な
お、この液晶材料の融点は70℃である。 【0050】次に、液晶セルを常法によりモジュール化
し、得られた液晶表示装置を駆動したところ、セルギャ
ップが2μmと狭いにもかかわらず、アレイ基板上に形
成された各配線およびTFT素子と、カラーフィルタ基
板上に形成された対向電極との間で、ショートが生ずる
ことはなかったものの、駆動電圧は約1.8倍に増加し
た。 【0051】(実施例2)実施例1と同様のカラーフィ
ルタ基板およびアレイ基板を用いて、液晶表示装置を以
下のようにして作製した。 【0052】色部109とブラックマトリクス115か
らなるカラーフィルタと、ITOからなる対向電極11
6とが形成されたガラス基板(カラーフィルタ基板11
0)を準備し、このカラーフィルタ基板110の対向電
極116上に、スパッタ成膜装置により、TiO2 から
なる絶縁膜を、膜厚1800nmとなるように成膜し
た。 【0053】次いで、この絶縁膜全面を覆うように、フ
ェノール樹脂系ポジ型レジストを塗布した。そして、ア
レイ基板の信号線203(幅10μm)に加え、その両
側3μmを加えた範囲に対向する領域と、TFTを構成
するソース204、ゲート205、ドレイン206のオ
ーバーラップしている領域に、上下左右ともに3μmを
加えた範囲(21μm×31μm)とに対向する領域を
除いて、中心波長436nmのUV光で露光した後、現
像液としてNMD−3(東京応化社製)を用い、露光部
分のレジストを除去した。 【0054】更に、RIE装置によるドライエッチング
により、現像によって露出した絶縁膜をエッチングし
た。その後、レジスト剥離液(ハクリ−104:東京応
化社製)を用いてレジストを除去し、アレイ基板の信号
線203(幅10μm)に加え、その両側3μmを加え
た範囲に対向する領域と、TFTを構成するソース20
4、ゲート205、ドレイン206とオーバーラップす
る領域に、上下左右ともに3μmを加えた範囲(21μ
m×31μm)にのみ、絶縁膜を形成した。 【0055】一方、ゲート電極102、酸化シリコン等
からなるゲート絶縁膜103、アモルファスシリコン等
からなる半導体膜104、およびこの半導体膜104に
接するソース電極105とドレイン電極106により構
成されるTFTと、ITOからなる画素電極107を備
えたガラス基板(アレイ基板)101を準備した。 【0056】これらカラーフィルタ基板110およびア
レイ基板101の双方のそれぞれ一方の面に、絶縁膜と
配向膜を兼ねたポリイミド樹脂膜(RN1024:日産
化学社製)108,118を、50nmの厚さに印刷に
より成膜した。これをオーブンで焼成した後、反平行に
ラビングして、配向処理を行った。次いで、これらカラ
ーフィルタ基板110およびアレイ基板101の所定の
位置に、張り合わせのためのエポキシ接着剤を常法によ
り付与した。 【0057】次に、カラーフィルタ基板110およびア
レイ基板101の配向膜の形成面に、直径1.8μmの
シリカ製のスペーサーボール112を、密度100個/
mm2 になるように散布し、画素部分と電極部分が重な
るように、両基板101,110を合わせて接着し、液
晶セルを形成した。 【0058】その後、真空容器内にこの液晶セルを置
き、液晶材料111として、ネマティック液晶材料BL
035(メルク社製)を用い、この液晶111で注入口
を塞ぎ、セル外部の気圧を大気圧に戻すことによって、
液晶材料111を液晶セル内に充填した。 【0059】次に、液晶セルを常法によりモジュール化
し、得られた液晶表示装置を駆動したところ、セルギャ
ップが1.8μmと狭いにもかかわらず、アレイ基板上
に形成された各配線およびTFT素子と、カラーフィル
タ基板上に形成された対向電極との間で、ショートが生
ずることはなく、Piツイスト型液晶表示装置を実現す
ることができた。 【0060】(実施例3)実施例1と同様のカラーフィ
ルタ基板、およびTFT上の絶縁膜の性能を向上させた
アレイ基板を用いて、液晶表示装置を以下のようにして
作製した。 【0061】色部109とブラックマトリクス115か
らなるカラーフィルタと、ITOからなる対向電極11
6とが形成されたガラス基板(カラーフィルタ基板11
0)を準備し、このカラーフィルタ基板110の対向電
極116上に、CVD成膜装置により、SiO2 からな
る絶縁膜を、膜厚2000nmとなるように成膜した。 【0062】次いで、この絶縁膜全面を覆うように、フ
ェノール樹脂系ポジ型レジストを塗布した。そして、ア
レイ基板の信号線203(幅10μm)に加え、その両
側3μmの範囲に対向する領域を除いて、中心波長43
6nmのUV光で露光した後、現像液としてNMD−3
(東京応化社製)を用い、露光部分のレジストを除去し
た。 【0063】更に、弗酸で処理することにより、現像に
より露出した絶縁膜をエッチングした。その後、レジス
ト剥離液(ハクリ−104:東京応化社製)を用いてレ
ジストを除去し、アレイ基板の信号線203(幅10μ
m)に加え、その両側3μmを加えた範囲に対向する領
域にのみ絶縁膜を形成した。 【0064】一方、ゲート電極102、酸化シリコン等
からなるゲート絶縁膜103、アモルファスシリコン等
からなる半導体膜104、およびこの半導体膜104に
接するソース電極105とドレイン電極106により構
成されるTFTと、ITOからなる画素電極107を備
えたガラス基板(アレイ基板)101を準備した。本ア
レイ基板では、特にTFTの上にSiNX 等を用いて成
膜される絶縁膜(図示せず)の厚みを通常より厚い40
0nmに設定することで、絶縁性能を向上させた。 【0065】これらカラーフィルタ基板110およびア
レイ基板101の双方のそれぞれ一方の面に、絶縁膜と
配向膜を兼ねたポリイミド樹脂膜(オプトマーAL−1
051:日本合成ゴム(株))108,118を、65
nmの厚さに印刷により成膜した。これをオーブンで焼
成した後、クロスラビング操作による配向を行った。次
いで、これらカラーフィルタ基板110およびアレイ基
板101の所定の位置に、張り合わせのためのエポキシ
接着剤を常法により付与した。 【0066】次に、カラーフィルタ基板110およびア
レイ基板101の配向膜の形成面に、直径2μmのシリ
カ製のスペーサーボール112を、密度100個/mm
2 になるように散布し、画素部分と電極部分が重なるよ
うに、両基板101,110を合わせて接着し、液晶セ
ルを形成した。 【0067】その後、真空容器内にこの液晶セルを置
き、真空下で液晶セルを70℃以上に加熱し、液晶材料
111として、無しきい値型反強誘電性液晶材料MLC
0076(三井石油化学社製)を用い、この液晶111
で注入口を塞ぎ、セル外部の気圧を大気圧に戻すことに
よって、液晶材料111を液晶セル内に充填した。な
お、この液晶材料の融点は70℃である。 【0068】次に、液晶セルを常法によりモジュール化
し、得られた液晶表示装置を駆動したところ、セルギャ
ップが2μmと狭いにもかかわらず、アレイ基板上に形
成された各配線およびTFT素子と、カラーフィルタ基
板上に形成された対向電極との間で、ショートが生ずる
ことはなく、無しきい値型反強誘電性液晶表示装置を実
現することができた。 【0069】(実施例4)実施例1と同様のカラーフィ
ルタ基板およびアレイ基板を用いて、液晶表示装置を以
下のようにして作製した。 【0070】色部109とブラックマトリクス115か
らなるカラーフィルタと、ITOからなる対向電極11
6とが形成されたガラス基板(カラーフィルタ基板11
0)を準備し、このカラーフィルタ基板110の対向電
極116上に、CVD成膜装置により、Ta2 O5 から
なる絶縁膜を、膜厚2000nmとなるように成膜し
た。 【0071】次いで、この絶縁膜全面を覆うように、フ
ェノール樹脂系ポジ型レジストを塗布した。そして、ア
レイ基板のTFTを構成するソース204、ゲート20
5、ドレイン206のオーバーラップしている領域に、
上下左右ともに3μmを加えた範囲(21μm×31μ
m)を除いて、中心波長436nmのUV光で露光した
後、現像液としてNMD−3(東京応化社製)を用い、
露光部分のレジストを除去した。 【0072】更に、CDE装置によるドライエッチング
により、現像によって露出した絶縁膜をエッチングし
た。その後、レジスト剥離液(ハクリ−104:東京応
化社製)を用いてレジストを除去し、アレイ基板のTF
Tを構成するソース204、ゲート205、ドレイン2
06とオーバーラップする領域に、上下左右ともに3μ
mを加えた範囲(21μm×31μm)にのみ、絶縁膜
を形成した。 【0073】一方、ゲート電極102、酸化シリコン等
からなるゲート絶縁膜103、アモルファスシリコン等
からなる半導体膜104、およびこの半導体膜104に
接するソース電極105とドレイン電極106により構
成されるTFTと、ITOからなる画素電極107を備
えたガラス基板(アレイ基板)101を準備した。 【0074】これらカラーフィルタ基板110およびア
レイ基板101の双方のそれぞれ一方の面に、絶縁膜と
配向膜を兼ねたポリイミド樹脂膜(LX−1400:日
立化成社製)108,118を、30nmの厚さに印刷
により成膜した。これをオーブンで焼成した後、平行ラ
ビングによる配向を行った。次いで、これらカラーフィ
ルタ基板110およびアレイ基板101の所定の位置
に、張り合わせのためのエポキシ接着剤を常法により付
与した。 【0075】次に、カラーフィルタ基板110およびア
レイ基板101の配向膜の形成面に、直径2μmの樹脂
製のスペーサーボール112を、密度100個/mm2
になるように散布し、画素部分と電極部分が重なるよう
に、両基板101,110を合わせて接着し、液晶セル
を形成した。 【0076】その後、真空容器内にこの液晶セルを置
き、液晶材料111として、ネマティック液晶材料ZL
I−5080(メルク社製)を用い、この液晶111で
注入口を塞ぎ、セル外部の気圧を大気圧に戻すことによ
って、液晶材料111を液晶セル内に充填した。 【0077】次に、液晶セルを常法によりモジュール化
し、得られた液晶表示装置を駆動したところ、セルギャ
ップが2μmと狭いにもかかわらず、アレイ基板上に形
成された各配線およびTFT素子と、カラーフィルタ基
板上に形成された対向電極との間で、ショートが生ずる
ことはなく、電界制御複屈折型液晶表示装置を実現する
ことができた。 【0078】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
大きな自発分極を持つスメクチック系液晶材料や、コレ
ステリック液晶の選択反射を利用した液晶表示装置とい
った、セルギャップが4.5μm以下と狭く設定される
液晶表示装置において、画素開口部以外の範囲に選択的
に絶縁膜を設けることにより、駆動電圧の上昇や表示特
性の低下といった問題を回避するとともに、かつ基板間
のショートを効果的に防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1形態に係る液晶表示装置の、アレイ
基板の膜面からみた概念図。 【図2】本発明の1形態に係る液晶表示装置を示す断面
図。 【図3】アレイ基板に設けられた画素電極とカラーフィ
ルタ基板のブラックマトリクス端との関係を示す平面
図。 【図4】従来の液晶表示装置を示す断面図。 【図5】従来の液晶表示装置の他の例を示す断面図。 【符号の説明】 1,201…画素電極、 2,203…信号線、 3,202…ゲート線, 4,105,204,305…ソース電極、 5,,106,206,306…ドレイン電極、 6,102,205,302…ゲート電極、 101,110,301,310…基板、 103,303…ゲート絶縁膜、 104…半導体膜、 108,118,308,318…配向膜、 109,309…色部(カラーフィルタ)、 111,311…液晶材料、 112,312…スペーサー、 113,114,313,314…偏光板、 115,315…ブラックマトリクス(カラーフィル
タ)、 116,316…対向電極、 117,317…絶縁膜。
基板の膜面からみた概念図。 【図2】本発明の1形態に係る液晶表示装置を示す断面
図。 【図3】アレイ基板に設けられた画素電極とカラーフィ
ルタ基板のブラックマトリクス端との関係を示す平面
図。 【図4】従来の液晶表示装置を示す断面図。 【図5】従来の液晶表示装置の他の例を示す断面図。 【符号の説明】 1,201…画素電極、 2,203…信号線、 3,202…ゲート線, 4,105,204,305…ソース電極、 5,,106,206,306…ドレイン電極、 6,102,205,302…ゲート電極、 101,110,301,310…基板、 103,303…ゲート絶縁膜、 104…半導体膜、 108,118,308,318…配向膜、 109,309…色部(カラーフィルタ)、 111,311…液晶材料、 112,312…スペーサー、 113,114,313,314…偏光板、 115,315…ブラックマトリクス(カラーフィル
タ)、 116,316…対向電極、 117,317…絶縁膜。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平1−271725(JP,A)
特開 平4−195022(JP,A)
特開 平5−232505(JP,A)
特開 平6−59228(JP,A)
特開 昭62−250416(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
G02F 1/13 - 1/141
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 複数の走査線、複数の信号線、これら走
査線と信号線の交点付近に形成され、ゲート絶縁膜とし
ての第1の絶縁膜を有する複数のスイッチング素子、お
よびこのスイッチング素子に接続された画素電極とを有
する第1の基板と、対向電極を有し、前記第1の基板に
対向して配置された第2の基板と、前記第1および第2
の基板間に挟持された、強誘電性液晶または反強誘電性
液晶からなる液晶層とを具備し、 基板間リーク電流防止のための第2の絶縁膜が、前記画
素領域に対向せず、前記スイッチング素子、前記信号
線、および前記走査線に対向する前記対向電極上の領域
にのみ選択的に形成されていることを特徴とする液晶表
示装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18402697A JP3532735B2 (ja) | 1997-07-09 | 1997-07-09 | 液晶表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18402697A JP3532735B2 (ja) | 1997-07-09 | 1997-07-09 | 液晶表示装置 |
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ID=16146059
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18402697A Expired - Fee Related JP3532735B2 (ja) | 1997-07-09 | 1997-07-09 | 液晶表示装置 |
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JP5228561B2 (ja) * | 2008-03-25 | 2013-07-03 | 株式会社ニコン | 液晶パネル、表示装置およびプロジェクタ |
JP5228562B2 (ja) * | 2008-03-25 | 2013-07-03 | 株式会社ニコン | 液晶パネル、表示装置およびプロジェクタ |
JP6888401B2 (ja) * | 2017-04-28 | 2021-06-16 | 日亜化学工業株式会社 | 金属粉焼結ペースト及びその製造方法、ならびに導電性材料の製造方法 |
CN108121124B (zh) * | 2017-12-26 | 2020-09-04 | 深圳市华星光电半导体显示技术有限公司 | Coa型阵列基板及显示面板 |
-
1997
- 1997-07-09 JP JP18402697A patent/JP3532735B2/ja not_active Expired - Fee Related
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