JP3530196B2 - マクロモノマーの分子量切捨ておよび色調節 - Google Patents

マクロモノマーの分子量切捨ておよび色調節

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は、連鎖移動触媒作用によって生成するマクロ
モノマーの分子量を調節する方法、ならびにそのプロセ
ス中に生成する着色した化合物を除去するための方法に
関する。
技術的な背景 連鎖移動触媒作用(CTC)は、塗料、特に自動車の末
端用途用の透明塗装の調合に普通に使用されているマク
ロモノマーを生成するために、最も一般的に用いられる
メタクリル酸エステル類などの、異なったモノマーをラ
ジカル重合させるための、当分野の技術者には既知の方
法である。
CTC触媒の使用から生じる1つの問題は、低分子量
の、したがって比較的揮発性の生成物を生成するという
問題である。この1つの例としては、分子量分布がデカ
マー(すなわち、重合度DPが10)に集中する生成物が生
じるように重合反応を最適化するとき、かなりの量の二
量体、三量体および四量体が生成するということがあ
る。DPが10より大きいマクロモノマーは、そのコストが
比較的高いので、一般的には、あまり望ましくない。二
量体および三量体は、あまり望ましくない最終製品を生
じる傾向があるが、その生成は避けることができない。
低沸点のモノマー(例えば、メタクリル酸メチル)の場
合には、二量体を蒸留により除去することができる。し
かし、他の場合(例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシ
エチル、メタクリル酸)には、二量体の揮発度は比較的
低く、高真空の下でさえ、ポリマー生成物からその二量
体を蒸留させることができない。それにもかかわらず最
も低級オリゴマーがない比較的低いDP分布の調製を可能
にし、したがって4〜10という望ましいDP分布を生じさ
せることができる一般的な方法が極めて必要とされてお
り、本発明ではそれを対象とする。
CTCを使用してマクロモノマーを生成する際のもう1
つの重要な問題は、生成物からの色の除去という問題で
ある。コバロキシム(ここに定義されているように)や
TAPCo(メソ−テトラ(4−メトキシフェニル)−ポル
フィリン−コバルト)を含めて全ての既知のCTC触媒、
およびそれらの分解生成物は着色しており、着色した生
成物(すなわち、無色透明でない)を生成し、そのため
重要な最終用途へのその適用可能性が制限される。連鎖
移動触媒は、本明細書ではCOBFと呼ぶが、ビス−[(1,
2−ジR−エタンジオキシマト)(2−)O:O′−テト
ラフルオロ−ジボラト(2−)−N′N′′N′′′
N′′′′](A)(B)コバルト(III)で定義され
る化学薬品の系統を表している。ただし、Rはアルキ
ル、アリールまたは置換アリール、Aはアルキル配位子
または置換アルキル配位子、あるいはアシド配位子(例
えば、クロロ、ブロモ)、Bはルイス塩基(例えば、
水、ピリジン、イミダゾール、ホスフィン、ならびにそ
れらの誘導体)である。Rはメチル、Aはイソプロピ
ル、そしてBは水であることが好ましい。以下の実施例
で使用されるCOBFは、この好ましい組成のものであっ
た。ここで使用するコバロキシムは、ビス[(1,2−ジ
エタンジオキシマト)(A)(B)コバルト(II
I)として定義される化学薬品の系統によって代表され
る。ただし、R、A、およびBは上記に定義した通り
である。この系統の好ましいルイス塩基はリン配位子で
あり、より好ましくはトリアリールホスフィンであり、
最も好ましくはトリフェニルホスフィンである。Aが塩
素であり、Bがトリフェニルホスフィンである場合、そ
の化学薬品は、コバロキシムCPCOとして知られる。
上述したコバルト(III)化合物に加えて、コバルト
(II)化合物も本発明の触媒としてここに用いることが
できる。上記のCOBFおよびCPCOに関係する化合物の場
合、AおよびBはない。
ポリマーからの色の除去は、一般に高分子化学で理解
が不十分なプロセスである。一般的な脱色の手法は、高
分子化学で知られているが、問題とする特定のポリマー
にどの脱色方法が適用できるかを予測する方法はこれま
で記述されていない。Perreaultの米国特許第3,440,235
号は、硝酸処理によるパーフルオロカーボンポリマーの
脱色を記述している。Dickersonの米国特許第4,379,940
号は、着色した薬剤を液体酢酸ビニルモノマーから取り
除くプロセスを概説しているが、陰イオン交換樹脂床お
よび活性炭床を含むいくつかの工程の後でだけである。
様々なポリマーおよびマクロモノマーに適用できる方法
を十分詳細に記述する手法があれば、当技術の現状に対
する重要な改良となろう。そして、本発明はこの手法を
提供する。
連鎖移動触媒作用は、当分野の技術者にはよく知られ
ている。それはバッチ方式でも連続(CSTR)方式でも行
うことができる。この方法は、一般に、選ばれたモノマ
ー、溶媒、適切なアゾ開始剤(例えば、AIBN(アゾビス
イソブチロニトリル)、VAZO(登録商標)剤)およびコ
バルト触媒(例えば、COBF、CPCOを1〜1000ppmの水準
で)を混合し、その混合物を真空下で使用することもで
きる反応器に移すことを含む。凍結−ポンプ送り−融解
の3つのサイクル(10-3トル真空)の後、反応器を密封
し、内容物を選ばれたアゾ開始剤によって規定される必
要な時間の間40〜80℃に保持する。Janowiczの米国特許
第4,680,352号を参照のこと。
発明の概要 本発明は、コバルト触媒の存在下において、連鎖移動
触媒作用によってビニル性モノマーを重合させて上記モ
ノマーの低級および高級オリゴマーを含む重合生成物を
生成し、そして高級オリゴマーを回収する方法に関し、
その改良点は、 (a)モノマーの極性を測定する工程、 (b)コバルト触媒と上記モノマーを極性かまたは非極
性のどちらかに分類する工程、 (c)非極性モノマーには極性コバルト触媒を使用し、
極性モノマーには非極性コバルト触媒を使用するように
上記モノマーの極性に応じてコバルト触媒を選択し、選
択されたコバルト触媒の存在下、溶媒中で上記モノマー
の重合反応を実施し、上記モノマーの低級および高級オ
リゴマーを含む重合生成物を生成する工程、 (d)工程(c)の反応溶液が不溶性重合生成物を含む
場合、工程(e)に先立ち、濾過によって上記反応溶液
すら上記不溶性重合生成物を除去する工程、 (e)工程(c)の反応溶液または工程(d)の濾液か
ら、固定吸着剤または抽出剤を使用して着色物質を除去
し、および必要に応じて低級および高級オリゴマーを除
く重合生成物を除去することによって、工程(c)の重
合生成物から低級および高級オリゴマーを分離し、さら
に高級オリゴマーを回収する工程、を含むことである。
さらに、吸着剤を使用する場合、反応溶液を、そのま
までまたは追加の溶媒で希釈して吸着剤層を通過させ
る。極性触媒の場合には極性吸着剤を使用し、非極性触
媒の場合には非極性吸着剤を使用し、さらに、吸着剤の
極性は、モノマーの極性と同じ方法によって測定した重
合溶媒の極性とは逆とし、溶液から溶媒を除去し、残渣
を分留して高級オリゴマーを、低級オリゴマーおよび他
の変化していないモノマーから分離する。また、抽出剤
を使用する場合は、重合溶液を、使用された触媒の極性
に近く、生成したその重合性物質の極性と逆の極性を有
する非混和性液体で抽出し、それによって着色物質を除
去し、次いで、抽出された重合溶液を蒸留によるか、ま
たは低分子量の重合生成物を高分子量の重合生成物より
もよく溶解する少なくとも1つの溶媒を使用してさらに
抽出するかして分別し、高級オリゴマーをそれらを含む
留分から回収する。
発明の詳細 本発明は、色を除去し、一般に望ましくない低DP留分
(例えば、二量体、三量体)および高DP留分(例えば、
約8より大きいDP)を、選ばれた溶媒での抽出によって
CTC生成物から分離する、予測可能な方法を記述する。
一般的に言って、この方法は、CTCからの反応混合物を
貧溶媒で希釈し、続いて初期の相とは別の相を形成する
吸着剤または他の溶媒で処理することから成る。この方
法を使うことによって、実質的に全てのモノマーおよび
二量体(すなわち、約90%以上)、多くの三量体(すな
わち、約40〜70%)、およびある程度の四量体(約30〜
50%)が高級ポリマーから除去される。
CTCに使用されるコバルト触媒の化学構造は、このプ
ロセスの成否にとって重要である。希釈剤とポリマーの
両方の特性を注意深く考慮した後で触媒を選ぶべきであ
る。以下の実施例では、2つの異なる触媒、COBFおよび
CPCOを、これを実証するために使用した。極性の触媒ま
たは触媒残渣が望まれる時は、COBFが適用できる。極性
が少ない、より親油性の触媒または触媒残渣が望まれる
時は、CPCOが適用できる。これらの触媒の極性は、メタ
ノールへの溶解度によって表される。COBFおよびその誘
導体のような比較的極性の触媒のメタノールに対する室
温での溶解度は約0.4g/リットルより大きい。CPCOおよ
びその誘導体のような比較的非極性の触媒のメタノール
に対する室温での溶解度は約0.4g/リットル未満であ
る。
これらの触媒を研究中の系により良く合うように変更
することができる。例えば、COBFにより長い炭化水素基
を付け、BF2基を除くと、比較的に極性の小さい形に変
わるはずである。トリフェニルホスフィンを除去し、BF
2基を加え、フェニル(Ph)基をフラニルに変更する
と、CPCOは比較的極性が大きくなる。Rの性質は、そ
れは触媒作用の過程で除去されるので余り重要ではな
い。
本発明は、選ばれた溶媒による抽出によって、二量体
および三量体をCTC生成物から都合よく除去することが
できることを実証する。
現在興味のあるマクロモノマーを、2つのグループに
大別することができる。各グループは、触媒、希釈剤お
よび/または吸着剤の特定の組合せを必要とし、先ず、
関係するマクロモノマーの相対的極性の測定が必要であ
る。相対的極性を測定する方法の1つは、Analytical
Chemistry,1990,62,pp.615−622にJ.F.Deye等によって
記述されているような溶媒発光(solventochromic)法
を使うものである。この論文では、Nile Red(CAS N
o.7385−67−3)が、様々な液体の溶媒強度(solvent
strength)または極性を測定するための溶媒発光プロ
ーブとして使用されている。Nile Redをモノマーに添
加し、得られる着色した溶液の光吸収の最大値を測定す
る。一般に、最大吸収値が536nm以上である場合、その
モノマーは極性と考えられる。一方、最大値が534nm以
下である場合、そのモノマーは非極性と考えられる。後
の極性測定値が同じ測定尺度の範囲内に入るまたは入ら
ない、他の試薬を使用することも期待できる。
この吸収の最大値の波長の大きなずれを、遷移エネル
ギーEとして、kcal/mole単位で測定することができ
る。表Iは、この手順によって測定した様々なモノマー
のE値をまとめたものである。それにより、それらモノ
マーを比較的極性のグループと比較的非極性のグループ
に分けることができる。
表I モノマー E Kal/mole MMA 54.77 ラウリルMA 54.88 シクロヘキシルMA 54.50 クロロプレン 54.35 スチレン 53.95 GMA 53.54 ヒドロキシプロピルMA 52.18 HEMA 51.89 第1のグループは、比較的非極性の脂肪族モノマーか
ら成り、以下の実施例の1〜10に見られる。一般に、E
値が約53kcal/moleより大きいこれらのモノマーは以下
に記述される第2のグループよりも極性が小さいと考え
られ、BF2を含んでいるコバロキシム(例えば、COBF)
が好ましい触媒として使用される。これらのモノマーに
は、比較的極性の小さい抽出流体(例えば、酢酸エチ
ル、クロロホルム、シクロヘキサン、ジクロロエタン)
も使用できる。
このグループは、スチレン、ジエン、または次の構造
(I)のモノマーから成るメタクリレートのポリマーと
して一般に記述できる。
CH2=C(CH3)C(O)OR (I) ここで、Rはアルキル(すなわち、C1以上のアルキル
基、例えば、メチル、エチル、オクチル、ジデシル、シ
クロヘキシル、シクロヘキシルメチル)、エポキシド
(グリシジル)、アリール(フェニルまたはアルキルフ
ェニル)、置換アルキルまたは置換アリールであり、置
換基が比較的非極性(すなわち、ベンジル、トリメトキ
シシリルプロピル、ジメトキシエチルシリルエチル、ク
ロロフェニルまたはプロモフェニル、クロロベンジルま
たはブロモベンジルなもの)、およびそれらと他のコモ
ノマーとのコポリマーで、コモノマーの含有量が約50%
未満のものである。このグループ用の希釈剤は、化学式
CxHyの炭化水素(x≧5かつy≧10)、および相当する
エーテル類またはそれらの混合物から選ぶべきであり、
好ましくは蒸発を容易にするために比較的低沸点(すな
わち、約180℃未満の沸点)であるべきである(すなわ
ち、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ジエチルエ
ーテル)。好ましい吸着剤はシリカおよびアルミナであ
る。
第2のグループは、比較的に極性の生成物から成り、
以下の実施例の11〜13に見られる。約53kcal/mole未満
のE値を持つモノマーは極性が大きいと考えられ、BF2
を含んでいないコバロキシム(例えば、CPCO)が好まし
い触媒であり、アルミナまたはシリカが好ましい吸着剤
である。さらに、この生成物グループは、次の構造(I
I)のモノマーから成るポリメタクリレートとして記述
できる。
CH2=C(CH3)COOR (II) ただし、Rは、置換基がエーテル、エステル、ケトン、
アルコールである置換アルキル(例えば、ヒドロキシエ
チル、エチルテトラエチレングリコール、シアノエチル
など)、または置換アリール(例えば、トリル、キシリ
ル、ナフチル)である。ポリメタクリレートは、他のコ
モノマーに加えて、定義された通りのR基を持つ構造
(II)のコポリマーから成ることもできる。コモノマー
の含有量は、約50%未満であるべきである。このグルー
プ用の希釈剤は、エーテル、ケトン、エステル、芳香族
炭化水素、ハロゲン化溶媒、アルコール、および水、ま
たはそれらの混和性混合物でよく、好ましくは、蒸発で
きるようにするために、比較的低沸点である(すなわ
ち、沸点約180℃未満)べきである。このグループで
は、色は、混和しない溶媒で、または無機吸着剤で抽出
することによって除去できる。
適切なCTC触媒を選んだ後は、当分野の技術者に知ら
れている一般的なCTC手順を使用することができる。こ
の手順は、一般に、本発明によって選ばれるCTC触媒
と、開始剤(例えば、VAZO(登録商標)−52、AIBNな
ど)およびモノマーをバッチ方式または連続撹拌(CST
R)方式で反応させることを含む。
CTCプロセスによって得られる反応混合物を、約0.2か
ら約3倍過剰量の選ばれた希釈剤(以下に定義される)
で希釈し、前述の手順によって決定された好ましい無機
吸着剤を含むカラムに通す。選択され、使用される材料
は、大きな表面積(例えば、約30m2/gを超える)を持つ
ことが好ましい。あるいは、そのCTCプロセスによって
得られる反応混合物を、約0.2から約3倍過剰量の選ば
れた希釈剤で希釈し、得られる溶液と混和しない溶媒で
抽出する。無機吸着剤層または第2の溶媒層が、色を吸
収する。分離した後、脱色されたポリマー溶液を蒸発さ
せて、添加された希釈剤を除去すると、脱色されたCTC
ポリマーが得られる。
得られる生成物の色を、1cmのキュベットに450nm(一
般に最大吸収の波長)の紫外分光計(コネチカット州ノ
ーウォークのパーキンエルマー社の分光計330)を使用
して、測定する。その値は、経験的に次の式で得られる
「光学濃度」(OD)として報告される。すなわち、 OD=1000×(光学濃度)/(固形物%+モノマー) ODの値が高くなればなるほど、マクロモノマーの色は深
くなる。望ましい「無色透明」のマクロモノマーは、0.
2未満のOD値を持つはずである。
定義 他の指定されない限り、全ての化学薬品および試薬
は、ウィスコンシン州ミルウォーキーのAldrich Chemi
cal Co.から受け取ったものを使用した。
VAZO(登録商標)−52=2,2′−アゾビス(2,4−ジメチ
ルバレロニトリル);(デラウェア州ウィルミントンの
E.I.du Pont de Nemours and Company) VAZO(登録商標)−88=1,1′−アゾビス(シクロヘキ
サン−l−カルボニトリル);(デラウェア州ウィルミ
ントンのE.I.du Pont de Nemours and Company) ネオプレン(登録商標)=ポリクロロブレン合成ゴム;
(デラウェア州ウィルミントンのE.I.du Pont de Ne
mours and Company) AIBN=2,2′−アゾビスイソブチロニトリル 実施例に含まれているモノマーのパーセント値は、NM
Rによって測定した。
実施例 実施例1 脱色 10mgのCOBF、250mgのVAZO−52(登録商標)、および4
0mlのアルミナで処理したメタクリル酸3−(トリメト
キシシリル)プロピルを含む反応混合物を脱ガスした。
それを、60℃で3時間、65℃で1.5時間、そして最後に7
0℃で1時間保持することによって、CTC重合を達成し
た。次いで、その黄色(OD=1.8)の反応混合物を冷却
し、120mlのヘキサンで希釈して、短いアルミナカラム
に通した。ヘキサンを蒸留で除いた後に、未反応モノマ
ーを16%、二量体を55%、三量体を25%、および四量体
を4%含む生成物を、非粘性の無色透明の液体(OD≦0.
2)として捕集した。
実施例2 脱色 50mgのCOBF、2.5gのVAZO−52(登録商標)、200mlの
メタクリル酸シクロヘキシル、および200mlのメタクリ
ル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル(両方とも、
阻止剤を除去するために、アルミナで処理した)を含む
反応混合物を脱ガスした。それを、55℃で5時間、60℃
で32時間、65℃で1時間、そして最後に70℃で1時間保
持すると、黄褐色の粘性のある混合物(OD=3.3)が得
られた。次に、その反応混合物を冷却し、1200mlの石油
エーテルで希釈して、短いアルミナカラムを通した。減
圧下で蒸発させた後に、平均DP数(約8)の生成物を、
適度に粘性のある無色透明の液体(OD=0.26)として捕
集した。
実施例3 脱色およびDPの切捨て 35mgのCOBF、4gのVAZO−52(登録商標)、および400m
lのMMA(阻止剤を除去するためにアルミナで処理した)
を含む反応混合物を脱ガスした。それを、60℃で2時
間、65℃で1時間、70℃で1時間、そして最後に75℃で
1時間保持した。次に、結果として生じた黄褐色(OD=
6〜8)の反応混合物を冷却し、800mlのヘキサンで希
釈して、短いシリカカラムに通した。減圧下に蒸発させ
た後に、DP≒4の生成物を、適度に粘性のある無色透明
の液体(OD≦0.2)として捕集した。次いで、その脱色
した生成物を、沸騰しているヘキサンで還流させること
によって2つの留分に分離した。高分子量留分(DP≒1
8)は、ヘキサンに不溶のままだった。そのヘキサン溶
液を冷やした後に層分離することによって、中程度の分
子量の留分(DP≒10)が得られた。低分子量留分(DP≒
2.5)の大部分は、周囲温度でヘキサンに溶けたままだ
った。
これらの留分を、GPCによって測定した。あるいは、
上述のような初期生成物を、水とメタノール(1:2)の
溶液で数回抽出すると、不溶性の高分子量ポリマー(DP
≒10)留分と低分子量留分が得られた。GPC分析の結
果、全てのモノマーおよび二量体、ならびにほとんど全
ての三量体が、高分子量留分から除去されていることが
分かった。
実施例4 脱色 1mgのCPCO、25mgのVAZO−52(登録商標)、2mlのクロ
ロホルム、および4mlのBMA(阻止剤を除去するためにア
ルミナで処理した)を含む反応混合物を脱ガスした。そ
れを、60℃で2時間、65℃で1時間、70℃で1時間、そ
して最後に75℃で1時間保持した。次に、その結果とし
て生成した黄褐色の反応混合物(OD=4.6)を冷却し、1
8mlのヘプタンで希釈して、短いシリカカラムに通し
た。減圧下で蒸発させた後に、DP≒12の生成物を、適度
に粘性のある、わずかに黄色い液体(OD=0.31)として
捕集した。
実施例5 脱色 1mgのCOBF、25mgのVAZO−52(登録商標)、2mlのクロ
ロホルム、および4mlのメタクリル酸グリシジル(阻止
剤を除去するためにアルミナで処理した)を含む反応混
合物を脱ガスした。それを、60℃で2時間、65℃で1時
間、70℃で1時間、そして最後に75℃で1時間保持し
た。次いで、その褐色の反応混合物(OD=8.2)を冷却
し、18mlの塩化メチレンで希釈して、短いアルミナカラ
ムに通した。減圧下で蒸発させた後に、DP≒2.8の生成
物を、非粘性の、わずかに黄色い液体(OD=0.74)とし
て捕集した。希釈剤として塩化メチレンの代わりにジエ
チルエーテルを使用して、同じ程度の脱色が得られた。
実施例6 クロロプレン/アクリル酸メチルコポリマーの脱色 50mlのMA、14mlのクロロプレン、50mlの1.2−ジクロ
ロエタン、20gのVAZO(登録商標)−88、および0.05gの
COBFを重合させた後に得られたOD=25の反応混合物を、
150mlのヘプタンで希釈した。得られた混合物を、30×1
0mmのシリカゲル層を通してろ過すると、OD=1.5のわず
かに黄色い生成物が得られた。
実施例7 脱色 3mgのCPCO、50mgのVAZO−52(登録商標)、3mlの酢酸
エチル、2mlのイソプロパノール、および5mlのメタクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)(阻止剤を除去する
ためにアルミナで処理した)を含む反応混合物を脱ガス
した。それを、60℃で3時間、65℃で1時間、70℃で30
分、そして最後に75℃で1時間保持した。次いで、その
褐色の反応混合物(OD=9.8)を冷却し、水とメタノー
ル(2:3)の混合物30mlで希釈して、木炭の短いカラム
を通した。減圧下で蒸発させた後に、DP≒2.2の生成物
を、適度に粘性のある透明な液体(OD≦0.2)として捕
集した。水とメタノールの混合物の代わりに、メタノー
ルだけを添加して脱色すると、透明で粘性のある液体
(OD≦0.2)が得られた。
実施例8 脱色およびDPの切捨て 25mgのCPCO、75mgのAIBN、5mlの塩化メチレン、およ
び10mlのHEMA(阻止剤を除去するためにアルミナで処理
した)を含む反応混合物を脱ガスした。それを、75℃で
4時間、80℃で1時間、そして最後に85℃で1時間保持
した。次に、その濃褐色の反応混合物(OD=10.3)を冷
却させ、そして同量の水とメタノール(1:2)の溶液で
3回抽出して溶液に取り入れた。その溶液を、0.05から
0.4容量の塩素化した非混和性の溶媒(例えば、1,2−ジ
クロロエタン)で抽出して、水−メタノール層のわずか
な色を除去した。それから、その水−メタノール層を蒸
発させると、ポリマー生成物が透明な液体(OD≦0.2)
として得られた。
上述のような脱色した生成物を、エステルで抽出する
ことによって、DP留分に分離した。例えば、前述のポリ
マー溶液の酢酸エチル抽出で全ての二量体および三量体
ならびに未反応モノマーが除去された。四量体は、部分
的に抽出されただけであった。酢酸エチル層の組成は、
NMRによって、二量体:三量体:四量体:高級オリゴマ
ー=40:16:5:1.5であることが分かった。水層の組成に
は、実質的に、二量体、三量体、および四量体は消失し
ていた。
実施例9 脱色およびDPの切捨て 25mgのCPCO、75mgのVAZO−52(登録商標)、4mlのア
セトン、4mlのメタノール、2mlのイソプロパノール、3.
6mlのメタクリル酸、および0.4mlのメタクリル酸エチル
テトラエチレングコールを含む反応混合物を脱ガスし
た。それを、55℃で18時間、60℃で3時間、65℃で1時
間、そして最後に70℃で4時間保持した。次いで、その
反応混合物を冷却し、そして3倍過剰量のクロロホルム
で3回抽出した。高級ポリマーは析出したが、低分子量
生成物、未反応モノマーおよび触媒残渣は溶液中に留ま
った。蒸発させた後に、高級オリゴマーが白色固形物と
して得られ、水に溶解すると無色の溶液となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−196725(JP,A) 特開 平7−118327(JP,A) 特開 平8−295705(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 6/00 - 6/28

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コバルト触媒の存在下において、連鎖移動
    触媒作用によってアクリルモノマーを重合させて前記ア
    クリルモノマーの低級および高級オリゴマーを含む重合
    生成物を生成し、そして高級オリゴマーを回収する方法
    において、 (a)アクリルモノマーの極性を測定する工程、 (b)コバルト触媒と前記モノマーを極性かまたは非極
    性のどちらかに分類する工程、 (c)非極性モノマーには極性コバルト触媒を使用し、
    極性モノマーには非極性コバルト触媒を使用するように
    前記モノマーの極性に応じてコバルト触媒を選択し、選
    択されたコバルト触媒の存在下、溶媒中で前記モノマー
    の重合反応を実施し、前記モノマーの低級および高級オ
    リゴマーを含む重合生成物を生成する工程、 (d)工程(c)の反応溶液が不溶性重合生成物を含む
    場合、工程(e)に先立ち、濾過によって前記反応溶液
    から前記不溶性重合生成物を除去する工程、 (e)工程(c)の反応溶液または工程(d)の濾液か
    ら、固体吸着剤を使用して着色物質を除去し、および必
    要に応じて低級および高級オリゴマーを除く重合生成物
    を除去することによって、工程(c)の重合生成物から
    低級および高級オリゴマーを分離し、さらに高級オリゴ
    マーを回収する工程、からなる改良点を含み、 工程(e)が、 (g)極性コバルト触媒の場合には極性固体吸着剤を使
    用し、非極性コバルト触媒の場合には非極性固定吸着剤
    を使用するように、工程(c)のコバルト触媒の極性に
    応じて固体吸着剤を選択し、工程(c)の反応溶液また
    は前記(d)の濾液を、そのままでまたは追加の溶媒で
    希釈して前記固体吸着剤の層を通して着色物質を除去す
    る工程であって、前記固体吸着剤の極性は前記モノマー
    の極性と同じ方法によって測定した工程(c)の溶媒の
    極性とは逆である工程と、 (h)工程(g)の溶出液から溶媒を除去する工程と、 (i)工程(h)の残渣を分別し、高級オリゴマーを回
    収する工程と を含むことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】モノマーの前記極性が前記モノマーを極性
    または非極性に分類することによって決定され、 前記コバルト触媒が、メタノールに対するその室温溶解
    度に基づいて極性かまたは非極性として分類されること
    を特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】前記低級および高級オリゴマーを含む重合
    生成物がメタクリレートのホモポリマーから成ることを
    特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】前記モノマーが極性であり、前記触媒がCP
    COであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】前記触媒がコバルトIIであることを特徴と
    する請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】コバルト触媒の存在下において、連鎖移動
    触媒作用によってアクリルモノマーを重合させて前記ア
    クリルモノマーの低級および高級オリゴマーを含む重合
    生成物を生成し、そして高級オリゴマーを回収する方法
    において、 (a)アクリルモノマーの極性を測定する工程、 (b)コバルト触媒と前記モノマーを極性かまたは非極
    性のどちらかに分類する工程、 (c)非極性モノマーには極性コバルト触媒を使用し、
    極性モノマーには非極性コバルト触媒を使用するように
    前記モノマーの極性に応じてコバルト触媒を選択し、選
    択されたコバルト触媒の存在下、溶媒中で前記モノマー
    の重合反応を実施し、前記モノマーの低級および高級オ
    リゴマーを含む重合生成物を生成する工程、 (d)工程(c)の反応溶液が不溶性重合生成物を含む
    場合、工程(e)に先立ち、濾過によって前記反応溶液
    から前記不溶性重合生成物を除去する工程、 (e)工程(c)の反応溶液または工程(d)の濾液か
    ら、抽出剤を使用して着色物質を除去し、および必要に
    応じて低級および高級オリゴマーを除く重合生成物を除
    去することによって、工程(c)の重合生成物から低級
    および高級オリゴマーを分離し、さらに高級オリゴマー
    を回収する工程、からなる改良点を含み、 工程(e)が、 (j)工程(c)の反応溶液または工程(d)の濾液に
    抽出剤を加えて分離し着色物質を除去する工程であっ
    て、前記抽出剤は工程(c)の前記コバルト触媒に近い
    極性を有し、前記重合生成物とは逆の極性を有し、前記
    溶媒と混和しない溶媒である工程と、 (k)工程(j)で着色物質が除去された反応溶液また
    は濾液を、蒸留するか、または高分子量重合生成物より
    も低分子量重合生成物を良く溶解する少なくとも1つの
    溶媒で抽出するかによって分別する工程と、 (l)工程(k)の留分から高級オリゴマーを回収する
    工程と を含むことを特徴とする方法。
  7. 【請求項7】モノマーの前記極性が前記モノマーを極性
    または非極性に分類することによって決定され、 前記コバルト触媒が、メタノールに対するその室温溶解
    度に基づいて極性かまたは非極性として分類されること
    を特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】前記低級および高級オリゴマーを含む重合
    生成物がメタクリレートのコポリマーから成ることを特
    徴とする請求項6に記載の方法。
  9. 【請求項9】前記モノマーが極性であり、前記触媒がCP
    COであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  10. 【請求項10】前記触媒がコバルトIIであることを特徴
    とする請求項6に記載の方法。
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