JP3529135B2 - 特定のrna鎖の切断方法 - Google Patents

特定のrna鎖の切断方法

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 アンチセンスなオリゴヌクレオチドは遺伝子発現を阻
害するための研究手段として、また、無数のヒトの病気
を治療するための薬剤として相当な期待がもたれてい
る。しかし、アンチセンスなオリゴヌクレオチドを用い
るRNAの標的化破壊は、応用がきき、効率がよく、かつ
信頼できる方法により達成することが困難であった。
化学療法剤としてのオリゴヌクレオチドの可能性は久
しく認められてきている。LeveneおよびStollar(Peog
r.Allergy,12:161(1968))は、テトラ−およびペンタ
ヌクレオチドが全身性エリテマトーデス血清への核酸の
結合を部分的に阻害することを見いだし、一方、Shen
(Chem.Internat.Ed.,9:678(1970))は、類似した抗
原−抗体複合体の高親和性オリゴヌクレオチドの設計を
提案した。Miller,Ts'oおよび共同研究者は、初めて、
ホスホトリエステル、2'−O−メチルまたはメチルホス
ホネート置換により修飾された一連のトリヌクレオチド
の調製物を介して核酸ハイブリダイゼーションを利用し
ようとした(Millerら,Biochemistry,13:4887)。t−R
NAアンチコドン領域に相補的な、これらの短い修飾DNA
配列は、タンパク質翻訳を阻害できることが見いだされ
た。ZamecnikおよびStephenson(Proc.Natl.Acad.Sci.
U.S.A.,74:280(1978))は、ウラス肉腫ウイルスの複
製を阻害する21デオキシリボヌクレオチド配列を合成す
る際に同様の戦略を採用した。
これらの初期の研究は、今や発展しつつある科学的研
究分野、つまり、遺伝子発現を特異的に調節するための
アンチメッセンジャー/アンチセンスポリヌクレオチド
の使用、の先駆けとなる研究であった。1986年には、ヒ
ト免疫不全ウイルス(HIV)がアンチセンスオリゴヌク
レオチドの使用によって阻止され得るという論証によっ
て、このアプローチに対する更なる熱意が喚起された
(Zamecnikら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,83:7706(1
986))。こうしたアンチセンス試薬の作用機構は複雑
で、あまり解明されていないものの、標的メッセンジャ
ーRNAと相補的オリゴ−β−デオキシヌクレオチドとの
複合体が、真核生物と原核生物の両方に存在する酵素RN
アーゼHによって、in vivoで分解されることが実証さ
れた。しかしながら、デリバリー(運搬)、細胞透過性
または安定性を向上させるために合成された多くの修飾
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNAのセンス鎖と
のハイブリッドを形成するが、RNアーゼHの基質として
は作用しないことが見いだされた。
ある程度作用していることが見いだされた、別のアン
チセンスの作用機構は、ハイブリダイゼーション阻止の
受動的機構によるタンパク質合成の阻害である。アンチ
センスオリゴヌクレオチドが標的RNA配列にハイブリダ
イズすることによって、標的配列を含むRNA分子の翻訳
が妨げられ、その結果としてこのRNA分子によってコー
ドされるタンパク質の合成が阻害されるというものであ
る。しかし、標的リボヌクレオチド配列へのアンチセン
スオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは可逆
的であるから、この技法は標的RNA配列の翻訳を完全に
は妨げることができない。
それゆえ、標的RNA分子の化学的変異または鎖切断を
引き出すことができるオリゴヌクレオチドの開発に向け
て多大の努力が払われてきた。こうして、オリゴヌクレ
オチドはプソラレンやポルフィリンのような光反応剤
(Leeら,Nucleic Acids Res.,16:10681(1988));ポ
ルフィリン−鉄(Doanら,Biochemistry,25:6736(198
6))、フェナントロリン−銅(Chenら,Proc.Natl.Aca
d.Sci.U.S.A.,83:7147(1986))およびエチレンジアミ
ン四酢酸−鉄(Dreyerら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,8
2:963(1985))のような酸化的ヌクレアーゼ金属イオ
ン複合体;ブドウ球菌ヌクレアーゼ(Coreyら,J.Am.Che
m.Soc.,111:8523(1989))およびRNアーゼP(Liら,Pr
oc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,89:3185(1992))のような
ヌクレアーゼ;および触媒rRNA配列(Rossiら,Pharmac.
Ther.,50:245(1991))により修飾されてきた。これら
の引用文献のいくつかは特定のヌクレオチド配列を有す
るRNA分子の消化方法を論じている。
例えば、Ying Liら(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,89:
3185−3189(1992))は、ACCA配列を有するアンチセン
スオリゴヌクレオチドがアニールする特定のRNA鎖を切
断するために、RNアーゼPを使用し得ることを示した。
「外部案内配列(external guide sequence;EGS)」と
呼ばれる、ACCA配列を一端に有するオリゴヌクレオチド
はRNA分子の特定の配列とハイブリダイズした。こうし
て、EGSの結合したRNA分子はRNアーゼPの基質となり、
RNアーゼPによって特異的に切断された。
アンチセンスオリゴヌクレオチドとRNアーゼを用いて
RNAを特定の位置で消化するもう1つの方法はMinshull
ら(Nucleic Acids Research,14:6433−6451(1986))
によって記載されている。Minshullらは、初めにアンチ
センスDNAオリゴヌクレオチドをRNA分子とハイブリダイ
ズさせ、次にハイブリダイズした分子をRNアーゼHで処
理することにより特定のRNA分子を切断した。RNアーゼ
HはDNA/RNAハイブリッドを特異的に消化するので、ハ
イブリダイズしたRNA鎖がRNアーゼHによって切断され
た。
また、Coreyら(J.Am.Chem.Soc.,111:8523−8525(19
89))は、ポリヌクレオチドをヌクレアーゼ破壊の標的
とする方法を論じている。Coreyらはアンチセンスオリ
ゴヌクレオチドを非特異的ヌクレアーゼに融合させた。
次に、オリゴヌクレオチドがアニールしうるポリヌクレ
オチドにそれをハイブリダイズさせると、ヌクレアーゼ
が標的ポリヌクレオチド鎖を特異的に切断した。しか
し、このアプローチは、ヌクレアーゼほどの大型分子を
無傷の生細胞の中へ導入することが非常に困難であるた
め、in vivoには適用されなかった。
特定のポリヌクレオチド配列を切断の標的とする非酵
素的戦略も従来技術から多数知られている。これらの多
くは、ポリヌクレオチド切断活性を有する化学的成分を
アンチセンスオリゴヌクレオチドに共有結合させること
を含む。Chi−Hong Chen(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,
83:7147−7151(1986))によって開示された方法はこ
うした戦略を実証するものである。この方法では、1,10
−フェナントロリン−銅イオンを、標的ポリヌクレオチ
ド配列に相補的なオリゴヌクレオチドの5'末端に結合さ
せた。この修飾オリゴヌクレオチドを相補的な標的配列
にハイブリダイズさせ、次いで、銅(II)イオンと3−
メルカプトプロピオン酸を反応混合物に加えた。この環
境において、1,10−フェナントロリン−銅イオンは標的
ポリヌクレオチドを切断した。
さらに、ポリヌクレオチドの非特異的切断手段がいろ
いろと確認されている。例えば、潜在的エンドヌクレア
ーゼの2−5A依存性RNアーゼは、普通でない2',5'−ホ
スホジエステル結合した三量体オリゴアデニレート2−
5A(ppp5'A2'p5'A2'p5'A)の存在下でRNAを切断するこ
とが分かっている(Kerrら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.
A.,15:9846(1978))。爬虫類、鳥類、および哺乳類の
生物種由来の細胞および組織は、基底レベルの2−5A依
存性エンドヌクレアーゼを含むことが見いだされ、この
酵素はUN(ここでNはA、U、GまたはCを表す)を含
む配列の後でRNAを切断する。この酵素は2−5A系(Wil
liamsら,The 2−5A Systems:Molecular and Clinical A
spects of the Interferon−Related Pathway,(Alan
R.Liss社,New York(1985))と名づけられたものの一
部であり、脳心筋ウイルス複製の阻害といったインター
フェロンのいくつかの作用を仲介すると考えられてい
る。また、2−5A系は細胞増殖(Etienne−Smekinsら,P
roc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,80:4609(1983))および細
胞分化(Krauseら,Eur.J.Biochem.,146:611(1985))
の調節においてある役割を担っていると推測された。
発明の概要 一つの態様において、本発明は、次の工程: a.RNA鎖を、該RNA鎖に相補的なアンチセンスオリゴヌク
レオチド成分および該アンチセンスオリゴヌクレオチド
に結合された2−5A依存性RNアーゼの活性化剤から成る
キメラ分子とハイブリダイズさせて、RNA鎖とキメラ分
子との複合体を形成させること、および b.該複合体を2−5A依存性RNアーゼの存在下で反応さ
せ、これにより該RNA鎖を特異的に切断すること、 を含む、RNA鎖の特異的切断方法を提供する。
この方法において、キメラ分子は、初めに、RNA鎖に
相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを作製し、次
に、このアンチセンスオリゴヌクレオチドを2−5A依存
性RNアーゼの活性化剤に結合させることによって構築さ
れる。こうして、アンチセンスオリゴヌクレオチドと活
性化剤から成るキメラ分子が得られる。この方法で用い
る活性化剤は2−5Aのような2',5'−オリゴヌクレオチ
ドであり得るが、2−5A依存性RNアーゼの活性化剤はど
れも使用できる。2−5Aそれ自体はp5'A2'p5'A2'p5'A2'
p5'Aであり得る。好ましくは、キメラ分子がハイブリダ
イズするRNA鎖は細胞内に存在するmRNAである。
本発明の別の態様では、細胞内に含まれるRNA鎖の特
異的切断方法が開示される。この方法は、次の工程: a.細胞を、該細胞内に含まれるRNA鎖に結合またはアニ
ールすることができるアンチセンス成分および該アンチ
センス成分に結合された2−5A依存性RNアーゼの活性化
剤から成るキメラ分子と接触させること、 b.該キメラ分子を細胞の中へ通過させること、およびそ
の後 c.該キメラ分子と該RNA鎖とを2−5A依存性RNアーゼの
存在下で反応させ、これにより該RNA鎖の切断を引き起
こすこと、 を含んでいる。
この方法において、活性化剤はp5'A2'p5'A2'p5'A2'p
5'Aのような2−5Aの分子であり得る。アンチセンス成
分もアンチセンスなオリゴヌクレオチドであり得る。好
ましくは、この方法で用いるキメラ分子は0.1〜100μM
の濃度で、有利には約1.0〜5.0μMの濃度で細胞と接触
させる。この方法は、さらに、細胞内に含まれるRNA鎖
の一本鎖領域に結合またはアニールすることができるア
ンチセンス成分を同定する工程を含んでいてもよい。こ
のRNA鎖は、例えば、がん遺伝子またはがん原遺伝子のR
NA転写物、ウイルス性タンパク質のRNA転写物、またはR
NAウイルスのゲノムであり得る。
更なる態様において、本発明は、細胞が2−5A依存性
RNアーゼ酵素を含んでいる被検者の医学的症状を治療す
る方法を提供する。その際、被検者の細胞の少なくとも
一部に含まれるRNA鎖が、医学的症状を引き起こすこと
に関係しているものとする。哺乳類(ヒトを含む)、鳥
類、および爬虫類の細胞はすべて2−5A依存性RNアーゼ
を含んでいることが分かっているので、この方法の被検
者はこれらのグループの任意のものから、あるいは細胞
が2−5A依存性RNアーゼを含んでいる被検者の任意の他
のグループから選ぶことができる。この方法は、薬理学
的に許容される担体中のキメラ分子を、医学的症状を治
療するのに有効な量で被検者に投与することから成って
いる。
上記方法で用いるキメラ分子は、RNA鎖に結合または
アニールすることができるアンチセンス成分(好ましく
は、アンチセンスオリゴヌクレオチド)および2−5A依
存性RNアーゼの活性化剤を含むものである。この方法で
用いる活性化剤は、2−5Aまたはp5'A2'p5'A2'p5'A2'p
5'Aのような2',5'−オリゴヌクレオチドであることが好
ましいが、2−5A依存性RNアーゼの任意の活性化剤であ
ってよい。この方法は、アンチセンス成分が結合または
アニールし得る細胞内に含まれるRNA鎖の一本鎖領域を
同定する追加の工程を含むことができる。医学的症状を
引き起こすことに関係しているRNA鎖は、例えばmRNAで
ある。また、RNA鎖はがん遺伝子またはがん原遺伝子のR
NA転写物、ウイルス性タンパク質のRNA転写物、またはR
NAウイルスのゲノムであり得る。この方法において、キ
メラ分子は静脈内に、局所的に、または希望する組織へ
の直接注入により投与される。好ましくは、この方法の
被検者はヒトである。
本発明のさらに別の態様は、2−5A依存性RNアーゼの
活性化剤に結合されたアンチセンス成分から成るキメラ
分子である。アンチセンス成分は例えば3',5'−オリゴ
ヌクレオチドであり得、好ましくはデオキシオリゴヌク
レオチドである。活性化剤は2−5Aであることが好まし
いが、他の活性化剤ももちろん使用できる。このキメラ
分子は5'−チオホスフェート基を含むように、またはア
ルキルアミン基のような3'−テイル部分を含むように修
飾することができる。キメラ分子は5'−チオホスフェー
ト基と3'−テイル部分の両方を含むこともできる。
図面の簡単な説明 図1は、2−5A分子に結合されたアンチセンスオリゴ
ヌクレオチドを用いることにより特異的配列を含むRNA
分子を切断の標的とする方法の模式図である。
図2は、キメラ2−5A:AS分子の加水分解と比較した
2−5Aモノホスフェートの加水分解の反応速度論を示す
グラフである。
図3Aは、2−5A依存性RNアーゼに対するキメラ分子
(配列番号1)(記号▲で表す)および2−5A(ppp5'A
2'p5'A2'p5'A)(記号●で表す)の相対的親和性を示す
グラフである。
図3Bは、配列番号1に対する2−5A依存性RNアーゼの
親和性に及ぼす配列番号1とポリAとの相互作用の影響
を示すグラフである。ここで、ポリAにアニールされた
配列番号1は記号▲で表され、2−5Aは記号●で表され
る。
図4は、KH2PO4緩衝液(40mM,pH7.0)中で測定したと
きのポリ(A)と配列番号1の等モル混合物の吸光度−
温度プロフィールを示すグラフである。
図5は、本方法を例示するための詳細な説明において
用いられるAcc I消化プラスミド断片中に含まれる配列
の模式図である(TAR:A25:vifおよびTAR:vif)。
図6は、2−5A:ASおよび2−5A依存性RNアーゼの存
在下でのTAR:A25:vif RNA(無傷のRNA)の切断が特定の
切断産物の出現に比例することを示すグラフである。
図7は、配列番号1の濃度の関数としてのTAR:A25:vi
f RNA(約100nM)の切断を示すグラフである。その際、
切断反応は30℃のDaudi細胞抽出液中で30分行い、特定
の切断産物のレベル(相対的ピーク面積)をゲルのオー
トラジオグラムから測定した。
図8は、PKRコード配列のヌクレオチド1−200の推定
される二次構造を示す。例示した二次構造を決定するに
あたって、RNAFOLDコンピュータプログラムを使用し
た。
図9は、2μMの2−5A−アンチセンスがHeLa細胞に
とって無毒性であることを示す棒グラフである。生細胞
は血球計でトリパンブルー色素排除試験により測定し
た。
図10は、精製した組換えヒト2−5A依存性RNアーゼを
活性化する能力において、2−5Aの5'−チオホスフェー
ト類似体が未修飾2−5Aと同程度の活性であることを示
すグラフである。基質として放射性標識ポリ(U)を用
いてアッセイを行った。
図11は、RNAのセンス鎖を切断する際の2−5A−アン
チセンスの選択性を示すグラフである。データはオート
ラジオグラム化ゲルのホスホルイメージャー(Phosphor
Imager)分析により得られた。
発明の詳細な説明 I.定義 「アンチセンス」 アンチセンス成分は、本方法による切断の標的となる
RNA鎖に相補的であるかまたは結合することができる、
しばしばオリゴヌクレオチドから成る、好ましくはDNA
から成る分子のことである。この標的となるRNA鎖はRNA
のセンス鎖あるいは標的RNA分子と呼ばれる。
アンチセンス成分がオリゴヌクレオチドである場合、
このオリゴヌクレオチドはアンチセンスオリゴヌクレオ
チドと呼ばれる。下記のアンチセンスオリゴヌクレオチ
ドは多くの場合3',5'−結合オリゴデオキシヌクレオチ
ドである。しかし、3',5'−結合オリゴデオキシヌクレ
オチド以外の分子がアンチセンス成分として使用できる
こともある。例えば、RNA鎖中の特定の配列に結合し得
る、糖成分の不存在下で一緒に結合された塩基から成る
分子も本発明に従ってアンチセンス成分として使用する
ことができる。次のものは可能なアンチセンス成分の例
である。すなわち、2'−O−メチルオリゴリボヌクレオ
チド、オリゴデオキシリボヌクレオチドホスホロチオエ
ート、α−デオキシヌクレオチド、カルバメート−結合
オリゴヌクレオチド類似体、メチルホスホネートオリゴ
ヌクレオチド類似体、アクリロイルヌクレオシド−アク
リルアミドのバックボーンに付加したヌクレオ塩基(Zo
n,G.,Pharmaceutical Research,5:539−549(1988)を
参照)、およびビニルバックボーンに基づく核酸類似体
(Pitha,P.M.およびPitha,J.,Biopolymer,9:965−978
(1970)を参照)である。
また、RNAの特定の領域に結合するタンパク質および
他の因子もアンチセンス成分として使用することができ
る。例えば、HIV RNAのTAR領域に結合するペプチドで
あるtatタンパク質は、このようなHIV RNAに結合し
て、それを切断するためのアンチセンス成分として使用
することができる。RNAウイルスのトランス作用因子
も、ウイルスRNAを破壊するために、2−5AのようなRN
アーゼ活性化剤成分に結合させることができる。さら
に、ゲノムDNAから生成されるような新生RNAを標的とす
るために、転写因子をアンチセンス成分として使用する
ことができる。従って、本発明の大部分の特定例ではア
ンチセンスオリゴヌクレオチドが用いられるが、このよ
うな例は本発明の範囲から他のタイプのアンチセンス成
分を排除するものとして解釈されるべきでない。
「RNアーゼ活性化剤」 RNアーゼ活性化剤は、RNアーゼがRNAを切断するよう
にそれを活性化することができる分子のことである。例
えば、分子2−5Aは2−5A依存性RNアーゼを活性化して
RNAを切断するRNアーゼ活性化剤である。ここで用いる
「2−5A」とは、他のアデノシン分子にホスホジエステ
ル結合を介して2'および5'炭素で結合されたアデノシン
から構成されるオリゴアデニレート分子を含むものであ
る。しかし、2−5A依存性RNアーゼを活性化し得る他の
オリゴヌクレオチドまたは分子を本発明のキメラ分子に
おいて2−5Aの代わりに使用してもよい。かくして、こ
こで用いる「2−5A」はこうした他のオリゴヌクレオチ
ドまたは分子をも包含する。
2−5Aおよび他の分子を記載するとき、アデノシン分
子(A)が他の分子に、一般的には他のヌクレオチド
に、ホスホジエステル結合を介してアデノシン分子の2'
および5'ヒドロキシル基で結合されている分子を表すた
め、記号「p5'A2'」が用いられる。5'記号の前の「p」
はホスフェート基を短縮したものである。最も左側のア
デノシンはオリゴアデニレート分子の5'末端にあり、そ
して、その分子の先頭に「p」がある場合は、示した炭
素のヒドロキシル基がリン酸化されていることを示すも
のである。1つの「p」はモノリン酸化を表し、「pp」
はジリン酸化を表すといった具合である。従って、記号
p5'A2'p5'A2'p5'A2'p5'Aは、ホスホジエステル結合を介
して2'および5'炭素のヒドロキシル基により結合された
4個のアデノシンから構成されるオリゴアデニレート分
子を表し、このオリゴアデニレート分子の5'末端には、
5'アデノシン分子の5'炭素のヒドロキシル基上にモノホ
スフェート基が存在している。
「キメラ分子」 キメラ分子は、ここで用いる場合、3',5'−アンチセ
ンスオリゴヌクレオチドのようなアンチセンス成分に結
合されたRNアーゼ活性化剤から成る分子のことである。
RNアーゼ活性化剤をアンチセンス成分に結合させるため
に、リンカー分子を用いることができるが、絶対に必要
というわけではない。2−5Aとアンチセンス成分から構
成されるキメラ分子は、ここでは2−5A:ASと記される
だろう。
「相補的」 本発明のキメラ分子にRNAのセンス鎖の切断を引き起
こさせる反応条件下で2本のヌクレオチド鎖がアニール
するのであれば、一方のヌクレオチド鎖は他方のヌクレ
オチド鎖に相補的であると言える。この用語には正確な
相補性(ヌクレオチド鎖の各アデニン分子がもう1つの
鎖のチミンまたはウラシル分子に結合し、そして各グア
ニン分子がシトシン分子に結合する)が包含される。し
かし、標的RNA分子の配列との正確な相補性を破壊する
限られた数のミスマッチまたは介在配列を有するアンチ
センス成分を含むキメラ分子も相補的な分子であり得
る。こうしたキメラ分子が相補的であるためには、キメ
ラ分子により活性化されたRNアーゼ(例えば、2−5A依
存性RNアーゼ)による標的RNA分子の特異的切断を可能
にする反応条件下で、キメラ分子が標的RNA分子にアニ
ールできなければならない。
ここに示したパラメーターおよび当技術分野で知られ
た情報(例えば、GC結合の相対強度)を用いて、当業者
は、2つの分子が本発明で用いるのに十分な相補性を有
するかどうか判定することができよう。例えば、標的RN
A分子に対して10のミスマッチを有する19ヌクレオチド
長のアンチセンスオリゴヌクレオチド成分を含む2−5A
含有キメラ分子は、標的RNA分子を切断できないことが
分かった。従って、このキメラ分子はこのような標的RN
A分子に対して相補的ではない。しかし、特定の標的RNA
分子との特定のキメラ分子の相補性の判定は、当業者の
能力の範囲内の問題であり、また、日常的な実験作業の
問題である。
「ハイブリダイズする」 ハイブリダイゼーションとは核酸分子をアニールする
方法のことである。一般に、これは二本鎖核酸を形成す
るために一本鎖核酸同士をアニールすることを含む。こ
のような二本鎖は、水素結合を介して互いに結合された
2本の一本鎖分子から成るものである。しかし、より高
次のハイブリダイゼーションも可能である。例えば、一
本鎖核酸分子が二本鎖核酸分子にハイブリダイズして三
重らせんを形成することもできる。
ハイブリダイゼーションは当技術分野で知られた条件
のもとに自発的に起こる。例えば、Sambrook,Fritschお
よびManiatis,Molecular Cloning:A Laboratory Manua
l,第2版,Cold Spring Harbor(1989)に記載される条
件を使って、核酸配列のハイブリダイゼーションを誘導
することができる。哺乳動物の生細胞内に存在する条件
が特に好ましい。本発明の方法で用いるハイブリダイゼ
ーション条件は、核酸のハイブリダイゼーションと活性
化RNアーゼによるRNA切断の両方を促進すべきである。
こうして、本方法で用いるキメラ分子が2−5A:ASの分
子(そのアンチセンス成分はアンチセンスオリゴヌクレ
オチド)である場合は、活性化2−5A依存性RNアーゼに
RNAを切断させるハイブリダイゼーション条件が好適で
ある。
「反応する」 キメラ分子は、RNアーゼの存在下でRNAのセンス鎖と
接触状態に置かれるとき、その鎖と反応すると言える。
この反応はセンス鎖の切断を引き起こす。切断反応はキ
メラ分子とRNAセンス鎖とのハイブリダイゼーションま
たは結合の間あるいは後に起こり、この切断は活性化さ
れたRNアーゼによって行われると考えられる。本発明の
好ましい実施態様において、RNアーゼはキメラ分子の2
−5A成分によって活性化される2−5A依存性RNアーゼで
ある。しかし、本方法で用いるキメラ分子は、キメラ分
子の作用機構であると本明細書中で推測された機構に加
えてまたはその機構の代わりに、その他の機構を介して
RNAのセンス鎖の切断をもたらすこともあり得る。かく
して、キメラ分子とRNAセンス鎖との相互作用を記述す
るために用いる「反応する」という用語は、広く解釈さ
れるべきであって、ここに提案された作用機構に限定さ
れるべきでない。
前述の用語は、それらの複数形、動名詞、および他の
文法的置換を含めて、特に他に記載がない限り、あるい
は異なる意味が本文中に明示されていない限り、上記の
定義を与えられるだろう。他の用語および句について
も、これらの意味を明確にするために必要に応じて本明
細書中で定義される。
II.特異なキメラ分子によるRNA鎖の切断 我々は、アンチセンスオリゴヌクレオチドのようなア
ンチセンス成分に共有結合で結合されたRNアーゼ活性化
剤分子を使用して特定のRNA配列を切断するための新規
かつ有効な戦略を開発した。本発明の好ましい実施態様
において、RNアーゼ活性化剤は2−5Aの分子、例えばp
5'A2'p5'A2'p5'A2'p5'Aである。この戦略では、2−5A:
ASのようなキメラ分子をRNA分子(キメラ分子のアンチ
センス成分とアニールまたは結合し得るもの)と接触さ
せる。例えば、2−5A:AS分子のアンチセンスなオリゴ
ヌクレオチド成分を、それと相補的なRNA鎖(すなわ
ち、RNAのセンス鎖)と接触させることができる。この
好ましい実施態様では、キメラ分子の2−5A成分が2−
5A依存性RNアーゼの分子を活性化し、そして2−5A:AS
分子のアンチセンス部分が2−5A依存性RNアーゼによる
センス鎖RNA分子の特異的切断へ導くと考えられる。こ
の戦略ならびに理論的作用機構を図1に模式的に示して
ある。
本発明の好ましい実施態様で用いるRNアーゼは、ウイ
ルス感染に対するインターフェロンの阻止作用を仲介す
ることに係わることが明らかになったエンドリボヌクレ
アーゼの、2−5A依存性RNアーゼ(RNアーゼLとも呼ば
れる)である。このRNアーゼは哺乳動物細胞のどこにで
も存在している。2−5A依存性RNアーゼは、2−5A、
[pn5'A2'(p5'A2')np5'A]として知られる5'−リン酸
化2',5'−結合オリゴアデニレートによって活性化され
ない限り、通常は不活性である。2−5A依存性RNアーゼ
が活性化されると、この酵素は一本鎖RNAを主にUUおよ
びUA配列の後で切断する。
2−5A依存性RNアーゼの一部のものを活性化するには
5'−トリホスフェート基が必要であるが、我々と他の研
究者らは、ヒト2−5A依存性RNアーゼを効果的に活性化
するのに5'−モノリン酸化2',5'−オリゴアデニレート
のみが必要であることを見いだした。他の2',5'−オリ
ゴヌクレオチド類似体も2−5A依存性RNアーゼの活性化
に有効であることが分かった。例えば、Williamsら,The
2−5A Systems:Molecular and Clinical Aspects of t
he Interferon−Related Pathway,pp.75−80(1985);T
orrenceら,Chemica Scripta,26:191−197(1986);Kita
deら,Bio−organic Chemistry,19:283−289(1991);
およびKitadeら,Nucl.Acids Res.,19:4103−4108(199
1)を参照されたい。かくして、本発明は2−5Aに結合
されたアンチセンス成分に関して記載されるが、「2−
5A」という用語は2−5A依存性RNアーゼを活性化するこ
とができる他の2',5'−オリゴヌクレオチド類似体を含
むものとする。
特定のRNA配列を2−5A依存性RNアーゼに切断させる
にあたっては、2−5Aを、標的RNA分子に相補的なアン
チセンスオリゴヌクレオチドのようなアンチセンス成分
に結合させる。切断を希望する標的RNA分子に相補的で
あるアンチセンスオリゴヌクレオチド分子は、そのアン
チセンスオリゴヌクレオチド成分が用いる反応条件下で
標的RNA分子にハイブリダイズすることができるという
条件で、どれも2−5A:AS分子のアンチセンスオリゴヌ
クレオチド成分として選択され得る。
標的RNA分子は一般には一本鎖であるけれども、一本
鎖RNA分子はときどき、RNA分子のヌクレオチド配列およ
びそれを暴露する条件によって、分子内水素結合を形成
することがある。こうした結合は二次構造と呼ばれるも
ので、かかる二次構造は、必ずしも常にというわけでは
ないが、往々にして、二次構造を有する標的RNA分子へ
のアンチセンスオリゴヌクレオチド成分のハイブリダイ
ゼーションを妨害する。従って、キメラ分子のアンチセ
ンスオリゴヌクレオチド成分は、分子内水素結合を形成
しない標的RNA分子の部分に相補的となるように選択し
て、標的RNAの二次構造によるハイブリダイゼーション
の起こり得る干渉を回避することが好ましい。切断のた
めに選択することが好ましいとされるRNA分子の比較的
妨害されない部分の例は、図8に10および11で示した矢
印の間に位置する19ヌクレオチドの領域である。
こうした二次構造を避けるアンチセンスオリゴヌクレ
オチド成分を選択するにあたって、当業者は特定のRNA
分子の二次構造を想定するコンピュータプログラムを使
用して、標的RNA分子のどの部分が二次構造を形成しや
すいかを最初に検討することができる。分子内水素結合
を形成するようには思えず(それゆえ、一本鎖であ
る)、アンチセンスオリゴヌクレオチドのハイブリダイ
ゼーションを可能にするような適度な鎖長であり、その
他の点でも二次構造によって立体的に妨害されない標的
RNA分子がキメラ分子による切断にとって好ましい標的
配列である。こうした標的RNA配列を選択するために、M
ichael ZukerおよびJohn JaegerによるMULFOLDバージョ
ン2.0(MFOLDのマッキントッシュバージョン)のような
コンピュータプログラムを使用することができる。MULF
OLDは、温度依存性を伴う次善の折り畳み(folding)を
含む、RNAの二次構造を自由エネルギーの最小化により
想定する公有のプログラムである(インディアナ州ブル
ーミントン、インディアナ大学、生物学部、バイオコン
ピューティングオフィースのDon Gilbertによって提供
された)。また、二次構造は、コンピュータプログラム
を使わなくとも、例えばZuker,M.,“On Finding All Su
boptimal Foldings of an RNA Molecule",Science,244:
48−52(1989)およびJaeger,J.A.ら,“Improved Pred
ictions of Secondary Structures for RNA",Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA,86:7706−7710(1989)のような刊行物
を参照することにより、当業者が予測することが可能で
ある。
本発明の方法では、ここに記載するごとく選択され
て、作製された2−5A:AS分子を、この分子を標的RNA分
子にハイブリダイズさせるかまたは他の方法で結合させ
る条件下で、標的RNA分子と接触させる。2−5A:AS分子
と標的RNA分子との相互作用は、2−5A:AS分子と2−5A
依存性RNアーゼとの相互作用と一緒になって、標的RNA
分子の特異的切断を引き起こすと考えられる。100nM標
的RNA、150nM 2−5A:ASおよび2−5A依存性RNアーゼ
(マイクロタイターアッセイあたり100ng、全容量約20
μl)を含有する反応媒体(37℃および生理学的pH)の
ようなin vitro条件のもとでは、標的RNA分子のほぼ完
全な切断が5分以内に起こり得る。
特定の配列を有するRNA分子を切断することによっ
て、もしその分子がmRNAの分子であれば、そのRNA分子
によってコードされるタンパク質の発現が阻止される。
これは、ひとたびRNA分子が切断されてしまうと、完全
転写物のRNA分子を翻訳に利用できないという事実によ
るものである。こうして、完全な形態のタンパク質が産
生されず、該タンパク質の発現が阻止されるだろう。従
って、2−5A:ASキメラのアンチセンス部分は、標的mRN
A分子の開始コドン付近とその開始コドンのわずかに下
流(該分子の3'末端の方向)の標的RNA分子の部分に相
補的となるように選択することが好ましい。この方法で
は、標的RNAによってコードされるタンパク質の活性ま
たは機能的部分の翻訳を妨げる機会が最大となる。
A.2−5A:AS分子の合成と特性付け 本発明の方法に使用できる2−5A:ASキメラ分子の合
成は、2−5A分子を3',5'−結合アンチセンスオリゴヌ
クレオチドのようなアンチセンス部分に共有結合するこ
とを含む。前述したように、このキメラ分子の2−5A成
分は多くの2',5'−オリゴアデニレート類似体のいずれ
であってもよい。2−5A:AS分子のアンチセンスオリゴ
ヌクレオチド部分も、切断することが所望される標的RN
A分子に相補的な任意のオリゴヌクレオチドであっても
よい。好ましくは、本発明の方法において使用される2
−5A:AS分子のアンチセンスオリゴヌクレオチド成分
は、RNAの標的配列に対して完全に相補的である。2−5
A:ASキメラ分子の2−5A及びアンチセンスオリゴヌクレ
オチド成分は当業者に知られた任意の手段により生成で
きる。これらの成分は、例えば、DNA合成機により製造
することができる。
2−5A:ASの分子のアンチセンスオリゴヌクレオチド
成分の5'−末端は、好ましくは2',5'−オリゴアデニレ
ートの2'−末端に結合される。しかし、その他の結合方
法も可能である。ただし、2−5A成分の5'−末端を介し
たアンチセンスオリゴヌクレオチド成分と2−5A成分の
間の結合は推奨されず、これはヌクレオチドの途中に5'
−ホスフェートを導入すると2−5A依存性RNアーゼに対
する2−5A成分の結合が減じられやすいことが知られて
いるからである(Torrence,et al.,Med.Chem.,27:726
(1984))。前記キメラ分子のアンチセンスオリゴヌク
レオチド及び2−5A成分は当分野で公知の任意の方法に
より互いに結合できる。例えば、ヘキサンジオールまた
はエタンジオールをリンカー分子として使用できる。ア
ンチセンス及び2−5A成分は、リンカー分子の使用なし
に互いに直接結合することもできる。
以下の半自動化工程を2−5A:AS分子を合成するのに
使用することができる。この工程により、一般式:p5'A
2'p5'A2'p5'A2'p5'A2'p(CH24p(CH24p5'−(アン
チセンスオリゴヌクレオチド)を有するキメラ分子を製
造できる。
1.使用した試薬及び化学物質 この半自動化工程においては、すべての固体化学物質
をまず使用の前に真空下でP2O5で乾燥しておくことが好
ましい。固体支持体上で合成を開始するために、約1μ
モルの下記の試薬を使用する。
5'−O−ジメトキシトリチル−N4−ベンゾイル−2'−
デオキシシチジン−CPG 5'−O−ジメトキシトリチルチミジン−CPG 5'−O−ジメトキシトリチル−N2−イソブチリル−2'
−デオキシグアノシン−CPG 5'−O−ジメトキシトリチル−N6−ベンゾイル−2'−
デオキシアデノシン−CPG これらのDMT保護ヌクレオシドは全て、スクシニル基
及び長鎖アルキルアミンリンカーを介して制御細孔ガラ
ス(controlled pore glass,CPG)に結合されており、A
pplied Biosystems(Foster City,CA)の市販品として
入手することができる。
前記キメラの2',5'−オリゴアデニレートドメインの
合成のためには、乾燥アセトニトリル中の0.1Mの下記化
合物を使用する。
5'−O−ジメトキシトリチル−N6−ベンゾイル−3'−
O−t−ブチルジメチルシリルアデノシン−2'−N,N−
ジイソプロピル−シアノエチルホスホルアミダイト(Ch
emgenes Corporation,Waltham,MA,カタログNo.ANP 568
1)。
DNAアンチセンス鎖の延長のために、下記のホスホル
アミダイト(Applied Biosystemsより入手)のそれぞれ
の全量で500mgを括弧内に示した量の無水アセトニトリ
ル中に溶解する。
N4−ベンゾイル−5'−O−ジメトキシトリチル−2'−
デオキシシチジン−3'−N,N−ジイソプロピル−シアノ
エチルホスホルアミダイト(5.9ml); N2−イソブチリル−5'−O−ジメトキシトリチル−2'
−デオキシグアノシン−3'−N,N−ジイソプロピル−シ
アノエチルホスホルアミダイト(5.8ml); 5'−O−ジメトキシトリチル−2'−デオキシチミジン
−3'−N,N−ジイソプロピル−シアノエチルホスホルア
ミダイト(6.6ml);及び N6−ベンゾイル−5'−O−ジメトキシトリチル−2'−
デオキシアデノシン−3'−N,N−ジイソプロピル−シア
ノエチルホスホルアミダイト(5.6ml)。
以下のリンカーを2−5A及びアンチセンスキメラドメ
インを結合するのに使用することができる。
(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピル)[4−
O−(4,4'−ジメトキシトリチル)−ブチル]ホスホル
アミダイト。
このリンカーはテトラゾール/アセトニトリル(Applie
d Biosystems)中、0.2Mの濃度で使用する。
この工程で使用する、前記キメラ分子の2',5−オリゴ
アデニレートドメインの5'−末端におけるリン酸化試薬
は、2−[2−(4,4'−ジメトキシトリチルオキシ)エ
チルスルホニル]エチル−2−シアノエチル)−(N,N
−ジイソプロピル)−ホスホルアミダイト(Glen Resea
rch,Sterling,VAより入手;カタログNo.10−1900−90)
である。この試薬は、無水テトラゾール/アセトニトリ
ル(Applied Biosystemsから入手)中、0.2Mの濃度で存
在する。
2−5A:AS構築物のDNAアンチセンス領域の合成に使用
されるその他の試薬は、自動化DNA合成用の市販品とし
て入手できる標準的な試薬であり、Applied Biosystems
により供給される。これらの試薬には、希釈剤(アセト
ニトリル)、アクチベータ溶液(テトラゾール溶液)、
キャッピング溶液A(無水酢酸溶液)、キャッピング溶
液B(N−メチルイミダゾール溶液)、脱ブロック溶液
(ジクロロ酢酸溶液)及び酸化剤(ヨウ素溶液)を含
む。
テトラヒドロフラン中のテトラブチルアンモニウムフ
ルオリド(1M溶液)を、2',5'−オリゴリボアデニレー
トドメインの3'−ヒドロキシルの保護に使用されるt−
ブチルジメチルシリル基を脱保護するのに使用する。
2.合成手順 キメラ分子のアンチセンス領域を、DNA合成機、例え
ばApplied Biosystemsモデル391DNA合成機、及び上記し
た試薬及び溶媒を使用してこの手順で合成する。製造す
べき所望のアンチセンスオリゴヌクレオチドの配列をAp
plied Biosystemsモデル391DNA合成機のマイクロプロセ
ッサにインプットした後、1μモルスケールについてサ
イクル2を選択し、トリチルオフモードを作動させる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドの合成が完了した後、
カラムを無水アルゴンで60秒間フラッシュして乾燥させ
る。次に、リンカーを保護アンチセンスオリゴヌクレオ
チドに結合する。使用した結合サイクルを下記の表1に
まとめた。
2つのリンカー分子をアンチセンスオリゴヌクレオチ
ドに付加する場合には、上記表1に概略を示したサイク
ルを2回繰り返す。これは2つのブタンジオールリンカ
ーのそれぞれをオリゴヌクレオチドに付加するために全
部のサイクルが必要だからである。DMT基は第2サイク
ルの終了時には除去しない。上記の一連の操作のオリゴ
ヌクレオチド生成物を、CPG支持体に結合したまま、キ
メラ分子の2',5'−オリゴアデニレート末端の付加と延
長のためにDNA合成機に移す。
この合成の最終的な自動化ステップのために、5'−O
−ジメトキシトリチル−N6−ベンゾイル−3'−O−t−
ブチルジメチルシリルアデノシン−2'−N,N−ジイソプ
ロピル−シアノエチルホスホルアミダイトを唯一のヌク
レオチド付加試薬として用いる。Applied Biosystems D
NA合成機において、結合待機時間を600秒に延長し、モ
ードをトリチルオフとし、サイクル3を作動させる。こ
の2',5'−オリゴアデニレートテトラマーの5'−末端付
加のためのマイクロプロセッサ入力配列はXXXXGであ
り、ここでGはリンカー−アンチセンスオリゴマー−CP
Gを表し、XXXXは付加される2',5'−アデノシン部分を表
す。
前記の合成により生成される2−5A成分の5'−リン酸
化は合成機から外したカラムを用いて手作業により行
う。使用する試薬は2−(4,4'−ジメトキシトリチルオ
キシ)エチルスルホニル]エチル−2−シアノエチル)
−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホルアミダイト(Gle
n Research,Sterling,VA;カタログNo.10−1900−90)で
ある。この試薬は、無水テトラゾール/アセトニトリル
(Applied Biosystems)中、0.2Mの濃度で使用する。結
合時間は3分である。ヨウ素溶液による酸化は45秒間で
ある。最後に、生成物を脱トリチル化し乾燥する。
3.切断及び脱保護 室温で2時間、濃NH4OH/エタノール(3:1,v/v)で処
理することによりオリゴヌクレオチドを支持体から切断
する。より親油性の2'−O−シリルオリゴリボヌクレオ
チドを適度に可溶化し、脱シリル化を最小にするため
に、この脱保護ステップにおけるエタノールの使用が必
要である。
次に粗オリゴヌクレオチドのアンモニア/エタノール
溶液をきつく密閉した3mLバイアルに移す。これを55℃
で8時間加熱し、塩基の保護基を除去する。
得られるオリゴヌクレオチドのNH4OH/エタノールをガ
ラス管に移し、氷浴中で冷却する。次に溶液をSPEED−V
ACTM装置(Savant Instruments Inc.,Farmingdale,NY)
中で減圧乾固させ、乾燥テトラヒドロフラン中のテトラ
ブチルアンモニウムフルオリドの溶液(1Mの1mL)を加
え、混合物全体を室温で少なくとも1分間ボルテックス
混合する。この反応混合物を室温で10時間インキュベー
トする。
この後、等量の水性酢酸トリエチルアンモニウム(TE
AA)溶液(0.1M)を加え、混合した後、溶液全体をほぼ
乾固するまで蒸発させる。TEAA(0.1M,1mL)を再び加
え、C−18 SEP−PAKカートリッジ(Waters Associates
により供給される)を10mLメタノール、次いで10mLのH2
Oで予備洗浄した後、該カートリッジに溶液全体を入
れ、不要な試薬を除去する。溶液を入れたカートリッジ
を、1)H2O,15mL;2)H2O中の5%MeOH,10mL;及び最後
に3)H2O中の10%MeOH,10mLで順次洗浄する。次にカー
トリッジをH2O中の50%MeOH,10mLで溶出する。オリゴヌ
クレオチドを含有するフラクションをUV分光分析により
調べ、適当なフラクションを合わせ、SPEED−VACTM装置
で濃縮する。
4.オリゴヌクレオチドの精製 キメラオリゴヌクレオチドを以下の条件下にHPLCによ
り精製する。
Nucleogen DEAE 60−7イオン交換カラム(4 x 125m
m,Rainen Instrument Co.カタログNo.718596;溶媒A,20
%CH3CN中の20mMリン酸カリウム(pH7.0);溶媒B,1M K
Cl中の20mMリン酸カリウム(pH7.0))を使用する。溶
出プログラムは、30分間の溶媒A中の10−80%溶媒B、
次に10分間の溶媒A中の80%溶媒B(流速=1mL/min)
である。
上記の精製の後、生成物を脱塩し、以下のプロトコル
を使用してC−18 SEP−PAKカートリッジで濃縮する。
a.C−18 SEP−PAKカラムを10mL MeOH、次いで10mLのH2O
で予備洗浄する。
b.オリゴヌクレオチド溶液を全容量2−5mLでカートリ
ッジに入れる。
c.カートリッジを20mLのH2O、次いで10mLのH2O中の5%
MeOHで洗浄する。
d.オリゴヌクレオチド生成物を10mLの50%MeOHで溶出す
る。フラクションを集め、UV分光分析によりチェック
し、適当なフラクションを合わせてSPEED−VACTMにより
濃縮乾固する。
5.ヌクレオチド組成分析 上記のプロトコルにより製造したキメラ分子を次に、
好ましくは、ヘビ毒ホスホジエステラーゼ(Pharmacia
Inc.,Piscataway,NJ,カタログNo.27,0821−01)での酵
素消化によりそのヌクレオチド組成について分析する。
酵素触媒による加水分解の条件は、50mMトリス−HCl(p
H8.0)及び0.5mM MgCl2の100μLの最終容量中の0.2A
260単位のキメラ分子、0.15単位のヘビ毒ホスホジエス
テラーゼである。インキュベーションは37℃で3時間行
う。
次に消化したサンプルをUltrasphere ODSカラム(0.4
6 x 25cm)に10μL注入することによりHPLCで分析す
る。下記の溶出プログラムにより消化生成物を分離す
る:20分間の溶媒A中の2%溶媒B及び次いで15分間の
A中の2−55%B(0.5mL/minの流速)、ここで溶媒A
は100mMリン酸アンモニウム(pH5.5)、溶媒BはMeOH/H
2O(1:1)である。消化生成物のおよその保持時間は、d
CMP,9分;dTMP,22分;dGMP,24分;AMP,26分;pAリンカー
(ここでリンカーはブタンジオールの2分子からなるも
のである),33分;dAMP,35分である。消化生成物のモル
比は記録された260nmにおけるUV吸収の積分により決定
する。
6.純度確認 HPLC、及びMICRO−GEL100 TM(Applied Biosystems)
ゲル充填キャピラリー(50μm内径、有効長27cm;泳動
用バッファー,75mM Trisホスフェート(pH7.6)/10%Me
OH)を使用するApplie Biosystems 270A−HTキャピラリ
ー電気泳動装置で実施する高性能キャピラリー電気泳動
により各生成物の純度をチェックする。検出は260nmで
行う。
以下の実施例は、本発明の方法において使用できる2
−5A:ASキメラ分子の合成及び特性付けの特定的な例を
示すものである。
実施例1:実験的2−5A:ASキメラの合成 プロトタイプ合成及びインビトロ評価実験のために、
テトラマー2',5'−ホスホジエステル結合オリゴアデニ
レートp5'A2'p5'A2'p5'A2'p5'Aを有するオリゴdT18−マ
ーを含むキメラ分子を製造した。オリゴdT成分及び2',
5'−ホスホジエステル結合オリゴアデニレート分子を含
む以下のキメラ分子を下記のプロトコルにより製造し
た。
p5'A2'(p5'A2')2p5'A2'p1[OCH2(CH22CH2O)]4
p1[OCH2(CH22CH2O)]4p5'pdT3'(p5'dT3')16p5'd
T 配列番号1(pA4:T18) A2'(p5'A2')p5'A2'p1[OCH2(CH22CH2O)]4p1
[OCH2(CH22CH2O)]4p5'pdT3'(p5'dT3')16p5'dT
配列番号2(A4:T18) pA2'(p5'A2')2p5'A2'p1[OCH2(CH22CH2O)]4p1
[OCH2(CH22CH2O)]4p5'dT3'(p5'dT3')2p5'dT
キメラ分子3(pA4:T4) A2'p[OCH2(CH22CH2O)]4p1[OCH2(CH22CH
2O)]4p5'pdT3'(p5'dT3')2p5'dT キメラ分子4(A:
T4) これらのオリゴヌクレオチドの製造は、約1.5μモル
のCPG−結合5'−O−ジメトキシトリチルチミジン(Pon
d et al.,Biotechniques,6:768(1988))を入れたDNA
合成カラム(1.5cm,American Bionetics,Inc.)で、ア
ダプター及び気密のシリンジを使用して行った(Uznans
ki,et al.,Chem.Scripta,26:221(1986))。合成は、
ジメトキシトリチルカチオンの放出を分光分析により定
量することにより制御した。室温で2時間インキュベー
トすることにより、濃アンモニア/エタノール(3:1)
を用いて、合成されたオリゴヌクレオチドを支持体から
切断した。得られたエタノール性溶液を55℃に6時間加
温することにより、N6−ベンゾイル基を除去した。最後
に、THF中の1Mテトラブチルアンモニウムフルオリドで
少なくとも12時間室温で処理することにより、3'−O−
t−ブチルジメチルシリル保護基を除去した。
アンチセンスオリゴヌクレオチドを2−5Aに結合する
ためにリンカーを製造した。使用したリンカーは、保護
中間体、4−O−(4,4'−ジメトキシトリチル)−1,4
−ブタンジオールから製造した。この保護リンカーを製
造するため、1,4−ブタンジオール(10mmol)を無水ピ
リジンとの共蒸発を繰り返すことにより乾燥し、50mlの
同じ溶媒中に溶解した。この溶液に、4,4'−ジメトキシ
トリチルクロリド(3390mg,10mmol)を加え、混合物を
2時間室温に保持した。
混合物を氷(100g)が入ったビーカーに注ぐことによ
り反応を停止させ、所望の生成物を酢酸エチルで抽出し
た。抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮し、1
%のメタノールを含む塩化メチレンで溶出するシリカゲ
ルカラムで精製した。NMRで測定した収量は以下の通り
であった:870mg(22%):1H−NMR(CDCl3,1%ジューテ
リオピリジン),δ(ppm):1.68(m,4H,CH2);3.10
(t,J=5.7Hz,2H,CH2−O);3.62(t,J=5.8Hz,2H,CH2
−OH);3.76(s,6H,CH3−O);6.79−7.46(m,芳香
核)。高分解能質量スペクトル(エレクトロンインパク
ト)分析は以下の通りであった:C25H28O4についての理
論値392.1988、分析値392.1981。次に、2−5A成分をオ
リゴヌクレオチド成分に付加するための鎖延長において
リンカーとして使用するために、この生成物を(2−シ
アノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)[4−O−
(4,4'−ジメトキシブチル)]ホスホルアミダイトに変
換した。
無水塩化メチレン(3ml)中の4−O−(4,4'−ジメ
トキシトリチル)−1,4−ブタンジオール(390mg,1mmo
l)及びN−エチルジイソプロピルアミン(510mg,4mmo
l)の溶液に、冷却下(氷浴)無水条件で、2−シアノ
エチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイ
ト(237mg,1mmol)の溶液をゆっくりと加えた。この混
合物を室温に1時間保持し、その後溶媒を蒸発させ、生
成物をシリカゲルカラム(1.8 x 14cm、ベンゼン−石油
エーテル−トリエチルアミン、6:3:1で溶出)で精製し
た。NMRで測定したところ、収量は530mg(90%):1H−N
MR(CDCl3,1%ジューテリオピリジン),δ(ppm):1.1
7(t,J=7.0Hz,12H,CH3−C);1.70(m,4H,CH2−C);
2.60(t,J−6.5Hz,2H,CH2−CN);3.08(t,J−5.7Hz,2H,
CH2−O);3.80(m,4H,CH2−O−P);3.78(s,6H,CH3
−O);3.80(m,2H,CH);6.80−7.49(m,芳香核);31P
−NMR(CDCl3,1%ジューテリオピリジン),δ(ppm):
147.6。高分解能質量スペクトル(FAB)分析は以下の通
りであった:C34H46N2O5Pについての理論値593.3144、分
析値593.3112。
NECコンピュータにより制御された2つのBeckman 110
B溶媒デリバリーモジュール(Beckman Instruments In
c.,Full CA)、254nmで検出するためのBeckman 153UV検
出器、及び半調製的Ultrasphere ODSカラム(流速2ml/m
in、バッファーA中の20−100%バファーBの直線勾配
で30分、ここでバッファーAは50mM酢酸アンモニウム
(pH7.0)、バッファーBは50%メタノール/水であ
る)からなるHPLC(高速液体クロマトグラフィー)装置
を使用してキメラ分子3を精製した。上記のHPLCシステ
ム及び1ml/minの流速を使用したVydacカラムで、20/80
(v/v)アセトニトリル−水中の0.02〜0.28Mリン酸アン
モニウム(pH6.7)の溶出プログラムにより配列番号1
を精製した。回収率は供給した試料の約80%であった。
2つの110B溶媒デリバリーモジュールを有する、Beck
man Syoldソフトウェア制御HPLCで作動するDEAE−NPRア
ニオン交換カラムで配列番号1を分析し、検出は260及
び280nmで作動するモデル167UV/VIS可変波長検出器で行
った。分析のための溶出条件は、流速1ml/min;20mM Tri
sクロリド(pH8.0)中の20−80%の0.5M NaClの直線勾
配とした。これらの条件下、配列番号1の保持時間は28
分であった。配列番号2は、DEAE−NPRカラムで同様の
条件下に精製した。
実施例2:2−5A:ASキメラの特性付け 実施例1に記載したようにして調製した、配列番号
1、配列番号2、キメラ分子3、及びキメラ分子4の分
子を、これらのオリゴヌクレオチドのそれぞれの約0.1
〜0.2ODを、0.05〜0.1単位のヘビ毒ホスホジエステラー
ゼ(Cooper Biomedical),50mMトリスHCl,及び0.5mM Mg
Cl2でpH8.0及び37℃において1−3時間消化することに
より特性付けした。図2は、ヘビ毒ホスホジエステーゼ
の存在下における、実施例1で製造した2−5A:ASキメ
ラ分子の加水分解と比較した2−5Aモノホスフェートの
加水分解の動力学を示す。キメラ分子4(□)及び2−
5Aテトラマーモノホスフェート(p5'A2'p5'A2'p5'A2'p
4'A)(■)はいずれも0.25mMの初期濃度で測定し、キ
メラ分子3(◆)の初期濃度は0.13mMであった。反応混
合物は、2.5 x 10-3単位のヘビ毒ホスホジエステラーゼ
(Cooper Biomedical)を含む50mMトリスHCl,pH8.0,1mM
MgCl2中で構成した。インキュベーションは37℃で行っ
た。示した時間においてアリコートを取り出し、HPLCで
分析した。2−5Aテトラマーモノホスフェートの場合、
5'AMPの生成を分解のマーカーとして使用し、その他の
2つのオリゴマー5'TMP形成は分解を示すのに使用し
た。
上記の条件下におけるヘビ毒ホスホジエステラーゼに
よる配列番号1及び2並びにキメラ分子3の消化によ
り、以下のそれぞれ生成物が示した比率で得られた。配
列番号1:5'TMP,5'AMP,p5'Aリンカー(18:3:1)、配列番
号2:5'TMP,A,5'AMP,p5'Aリンカー(18:1:2:1)、キメラ
分子3:5'TMP,5'AMP,p5'Aリンカー(4:3:1)。
キメラ分子3の構造をプロトン核磁気共鳴によりさら
に確認した:1H NMR(D2O)δ:1.84及び1.87(両方s,合
計12H,4チミジンCH3's),6.05−6.25[m,4H,4アデノシ
ンアノマー(H−1')プロトン],6.45−6.55[m,4H,4
チミジンアノマー(H−1')プロトン],7.80−8.40
(m,12H,プリンH−2及びH−8プロトン並びにピリミ
ジンH−6プロトン)。
上記した合成方法は、適当なリンカーの導入と、2',
5'−ヌクレオチド間結合の合成とに適合するように改変
した、固相DNA合成のホスホルアミダイト法に基づくも
のである。配列番号2は粗合成配列番号1のアルカリホ
スファターゼ消化により調製された。
オリゴチミジレートアンチセンス成分を2',5'−オリ
ゴアデニレートの2'末端に付加することにより、2−5A
成分がヘビ毒ホスホジエステラーゼによる消化から保護
された(図2参照)。従って、この修飾もおそらく2',
5'−オリゴアデニレート配列を2',5'−ホスホジエステ
ラーゼに対して安定化させるものと推定される。2−5A
の2'−末端におけるその他の化学的修飾は、ホスホジエ
ステラーゼによる消化に対するかなり高い抵抗性を与
え、翻訳阻害及び抗ウィルス活性を強化することが示さ
れた。
実施例3:2−5A:ASキメラ分子のヘビ毒消化分析 下記表2は、配列番号4〜配列番号21のヘビ毒ホスホ
ジエステラーゼ消化の結果を示す。各列標記の下の数字
は各列最上段に示した消化生成物のモル比を示す。
*配列番号20の分析は、AMPS(アデノシン5'−チオホス
フェート)を含む全ての成分の分離を可能とする異なる
溶出システムを使用してHPLC分析も行った以外は他のオ
リゴヌクレオチドと同様に行った。この溶出プログラム
は、溶媒A中の3−5%溶媒Bで20分間次いで溶媒A中
の5−55%溶媒Bで18分間であり、ここで溶媒Aは100m
Mリン酸アンモニウム(pH5.5)、溶媒BはMeOH/H2O(1:
1)である。
B.2−5A:ASの2−5A依存RNアーゼとの相互作用 2−5A:ASは、インビトロ及びインビボの両方におい
て2−5A依存RNアーゼを活性化できることが判明した。
十分な濃度(インビボにおいて見られるものよりも高い
濃度の2−5A依存RNアーゼの存在下において、約300nM
以上)において、2−5A:ASはインビトロでの実験にお
いて2−5A依存RNアーゼの一般化された活性化を生起す
ることができる。しかし、これまでのインビトロでの低
濃度での実験及びインビボでの全ての実験において、2
−5A:AS及び2−5A依存RNアーゼの相互作用はRNAのセン
スストランドを含む標的RNA分子の特異的な切断しかも
たらさなかった。
実施例4:2−5A:AS及び2−5A依存RNアーゼの相互作用 配列番号1、配列番号2、キメラ分子3、及びキメラ
分子4のインビトロで2−5A依存RNアーゼに結合するそ
れらの能力について試験した。これらの2−5A:AS構築
物の2−5A依存RNアーゼに対する親和性は、高度に特異
的な放射性結合アッセイにより決定した。この放射性結
合アッセイは、2−5A依存RNアーゼに対する結合につい
て、32P−標識2−5Aプローブ、ppp5'A2'p5'A2'p5'A2'p
5'A3'−[32P]p5'C3'pと競争する2−5Aまたは2−5A
アナローグの能力を測定するものであった。Knight et
al.(Methods Enzymol.,79:216(1981))のニトロセル
ロースフィルター結合アッセイを使用して、マウス肝臓
抽出物中における2−5A依存RNアーゼに対する結合につ
いて、放射性標識プローブ、ppp5'A2'p5'A2'p5'A2'p5'A
3'−[32P]p5'C3'pと競争するのに必要な2−5Aまたは
キメラ2−5A:AS分子の濃度を測定した。
図3A及び3Bは配列番号1(▲)及び2−5A(ppp5'A2'
p5'A2'p5'A)(●)の2−5A依存RNアーゼに対する相対
的な親和性を示す。非標識オリゴヌクレオチドの不存在
下において100%結合の測定が見られた。これらの図に
おける配列番号1及び2−5Aのデータは、それぞれ6及
び7アッセイの平均と標準偏差を示している。
図3Aの結果は、非修飾2−5Aと比較した場合、キメラ
2−5A:AS構築物が2−5A依存RNアーゼに結合する同じ
能力を有していることを示している。2−5Aに付加され
たアンチセンス配列化合物の長さは、エンドヌクレアー
ゼ結合を阻害するものではなく、これはppp5'A2'p5'A2'
p5'Aと比較して、配列番号1のIC50の低下はもしあった
としても非常に小さいものであったからである。さら
に、テトラマー−テトラマー付加物pA4:T4は、2−5A依
存RNアーゼに対するプローブの結合を50%阻害する(IC
50)のに1 x 10-9Mの濃度を必要としたことが判った。
2−5A自体については同様な7 x 10-10MのIC50が得られ
た(データは示していない)。
図3Bに示されるように、キメラ分子のアンチセンス領
域がその相補的配列にアニールされた場合も、その構築
物の2−5A依存RNアーゼに対する結合の能力に対する有
意な影響はなかった。即ち、配列番号1が種々の濃度で
過剰のポリ(A)と混合した場合、アニールしていない
配列番号1あるいは2−5Aトリマー自体と比較して、2
−5A依存RNアーゼに対する結合親和性の有意な変化は起
こらなかった(図3B)。
さらに、配列番号1/ポリ(A)複合体のTmを決定する
のに使用した溶液のアリコートについて放射性結合アッ
セイを行った場合、同一の結合曲線が得られた(データ
は示していない)。
我々はまたポリ(A)の融解温度を配列番号1の融解
温度と比較した(図4)。この実験のために、KH2PO4
ッファー(pH7.0,40mM)中の3.2 x 10-6Mポリ(A)の1
000μLをKH2PO4バッファー中の2.9 x 10-6Mの配列番号
1の1000μLと混合し、得らた混合物を4℃で一晩イン
キュベートし、その後に融解温度を測定した。At/Ai
は、初期温度(25−30℃)における吸収(Ai)に対する
所与の温度における吸収(At)の比を示す。複合体の化
学論については測定しなかった(2または3ストラン
ド)。同様の条件下に、ポリ(A)及びオリゴ(dT)20
の等モル混合物は40゜のTmをもつ複合体を与えた(デー
タは示していない)。
UV吸収−温度プロフィールにより測定した、dT18領域
のその相補的ポリ(A)配列にアニールする能力に対す
る、配列番号1の2−5A成分の効果を図4に示す。ポリ
(A)の3.2 x 10-6M溶液を40mM KH2PO4バッファー(pH
7.0)中の配列番号1の2.9 x 10-6M溶液と混合すると、
17%の低色素性(hypochromicity)が得られ、形成した
ことが判明した複合体は同じバッファー中で約38℃の融
解温度(Tm)を有していた(データは示していない)。
同じ条件下で、dT20/ポリ(A)複合体は40℃のTmを有
し、以前に刊行物に記載された値とよく一致している。
C.2−5A:ASによるRNAの特異的切断の誘発 RNAの特定の分子の特異的切断を誘発するために、本
発明の方法に従って2−5A:ASを投与する場合、2−5A:
ASは約0.01μM及び10mMの間、好ましくは0.1μM及び1
00μMの間、最も好ましくは1.0μM及び5.0μMの間の
濃度で添加する。当業者には知られるように、特定の用
途におけるRNAの標的分子を切断するためのキメラ分子
の最適な濃度は、使用するRNアーゼの濃度、標的RNA分
子の濃度、及びその他の条件に依存する。従って、当業
者は、通常の実験を行うことにより所与の用途において
使用すべき2−5A:ASの最適濃度を決定することができ
るであろう。
実施例5:配列番号1によるRNAの特異的切断 2−5A:ASキメラ分子配列番号1の、部位指向RNA切断
を生起する能力を測定するために、内部3',5'−オリゴ
(rA)領域を有する標的RNAを構築した。配列番号1中
の(dT18)と、標的RNA中のオリゴ(rA)のハイブリダ
イゼーションが2−5A依存RNアーゼを標的RNAに引き寄
せ、高度に特異的な切断が起こる。実験的な標的物、TA
R:A25:vif RNAを、25アデニリル残基による中断を有す
るHIV vifタンパク質についての部分cDNAを含むpSP64−
誘導プラスミドかインビトロで生成した。対照TAR:vif
RNAをA25領域を削除することにより構築した。これらの
3'−ポリ(rA)テイルを欠くRNA種をその3'末端におい
て、T4 RNAリガーゼにより[5'−32P]−pCpで放射性標
識し、アッセイの前にゲル精製した。
1.TAR:A25:vif RNA標的RNAの製造 まずプラスミドpSP2からのHIV−1 vif cDNAの一部(H
ind III及びEcoR Iフラグメント)を、プラスミドHIV+
1〜+231/IFNγのHind III及びEcoR I消化により得ら
れたpSP64 HIV+1〜+80ベクター中にサブクローニン
グすることによりプラスミドpSP6/TAR:A25:vif(23,図
5)を作製した。BssH II及びNde I制限部位リンカーを
付加されたdA25及びdT25配列を有する2つの化学的に合
成された相補的なオリゴヌクレオチドをアニールするこ
とにより、dA25:dT25のインサートを得た。次にこのdA
25:dT25インサートを前記BssH II及びNde I消化プラス
ミドの対応する接着末端にクローン化した。
得られたプラスミド、pSP6/TAR:A25:vifは、SP6プロ
モーター、次いで262bpのHIV−1リーダー配列(トラン
ス活性化応答配列(trans−activation responsive seq
uence)から始まるので"TAR"と略記する)、次いでdA25
挿入物、次いでHIV−vifタンパク質の495塩基対コード
配列を含む。プラスミドpSP6/TAR:vif(25、図5)は、
プラスミドpSP6/TAR:A25:vifをBssH II及びNde Iで消化
し、クレノウフラグメントで充填した後、切断末端を結
合することにより作製した。プラスミドpSP6/TAR:A25:v
if及びpSP6/TAR:vifをAcc I制限エンドヌクレアーゼで
直線化し(vifコード配列内で)、周知の方法によりSP6
RNAポリメラーゼにより転写した。
インビトロで合成したRNAをその3'末端においてT4 RN
Aリガーゼ(Pharmacia)によりシチジン3',5'−[5−
32P]ビスホスフェートで標識し、RNAを配列決定ゲルか
ら精製した。TAR:A25:vif RNA及びTAR:vif RNAはそれぞ
れ500及び471ヌクレオチド長を有する。
2.標的RNAの特異的切断のデモンストレーション 部位指向RNA切断のための2−5A:ASを使用するやり方
を、次にヒトリンパ芽球様Daudi細胞のリボソーム後上
清フラクションからなる無細胞系において試験した。32
P標識2−5Aアナローグを使用した放射性結合アッセイ
(Knight,et al.,Methods Enzymol.,79:216(1981))
により検出したところ、これらの細胞の抽出物は2−5A
依存RNアーゼの基底レベルを示した。
ダウンス(dounce)均質化により調製したDaudi細胞
抽出物は、Wreschner,et al.の周知の方法により、40mM
KCl;10mM HEPES pH7.5;2.5mM酢酸マグネシウム;0.5mM
ATP;2.5%gグリセロール及び2.0mMメルカプトエタノー
ルを含むバッファー中で作製した。RNA切断アッセイで
使用した抽出物は、細胞抽出物の100,000 x g遠心分離
の上清であった。約100nMの放射性標識RNA(約25,000カ
ウント/分/アッセイ)を、75mM KClを添加した抽出物
(10μl)中、20μlの最終容量で、オリゴヌクレオチ
ドと30℃でインキュベートした。反応を終結させ、RNA
をフェノール/クロロホルムで抽出した。次いでRNAを
エタノールで沈降させ、滅菌水及び等容量のホルムアミ
ドゲルサンプルバッファー中に再溶解した。切断生成物
を6%ポリアクリルアミド/8M尿素ゲル(30 x 40 x 0.0
4cm)中で分析した。
配列番号1及び精製した放射性標識TAR:A25:vif RNA
をDaudi細胞抽出物に添加した後(予備アニーリングな
しに)、切断反応を行い、その後30℃でインキュベート
した。付加オリゴヌクレオチドの不存在下においては、
TAR:A25:vif RNAは約90分の半減期で分解した。
(A)TAR:A25:vif及びTAR:vif配列を含む、Acc I制
限エンドヌクレアーゼ消化プラスミドのインビトロ転
写、及び(B)Daudi細胞抽出物中で時間の関数として
配列番号1(100nM)により誘発される、TAR:A25:vif R
NAの特異的切断を分析するための実験を行った。TAR:A
25:vif RNA(本来のRNA)の破壊は、特異的な切断生成
物の出現に比例した。データは、実験の生成物をゲルに
流し、乾燥ゲルのオートラジオグラムを作製することに
より得た。次にオートラジオグラムをビデオカメラ(Si
erra Scientific)及びMACINTOSH IIciTMコンピュータ
上で作動させたQUICKCAPTURE (Marlboro,MA)及びIMA
GE コンピュータプログラムにより画像分析にかけた。
図6に示したRNAのパーセンテージは、本来のRNA及び特
異的RNA切断生成物の合計に基づくものである。
配列番号1濃度の関数としての、TAR:A25:vif RNA
(約100nM)の切断も測定した。切断反応はDaudi細胞抽
出物中、30℃で30分間継続させた。特異的切断生成物の
レベル(相対ピーク面積)を、図6に関して上記したオ
ートラジオグラムから決定した。図6及び7に示した結
果は3回再現した。
特筆すべきこととして、2−5A:AS配列番号1を前記
無細胞系に添加することにより、本来のRNAの特異的切
断生成物へのほぼ定量的な変換が得られた。切断生成物
への破壊は、わずか5分ほどのインキュベーションの後
に明確に観察された。これらの結果の定量により、本来
のRNAの損失は切断生成物の生産に比例していることが
示され、これは特異的切断反応が実質的に全ての破壊反
応の原因であることを示している(図6)。配列番号1
の存在下における20分間のインキュベーションの後、特
異的切断生成物への50%の破壊が見られた(図6)。従
って、Daudi細胞抽出物への配列番号1の添加は、TAR:A
25:vif RNAの破壊速度を4倍以上増加したものである。
切断反応のための配列番号1の最適レベルを決定するた
め、一定量のTAR:A25:vif RNAに対してその濃度を変化
させた(図7)。切断反応はわずか25nMで観察され、25
0nMの配列番号1で最適であった(図7)。
実施例6:2−5A依存RNアーゼの切断生成物の特性付け 配列番号1により生起されたTAR:A25:vif RNAの切断
の正確な部位を決定するため、逆転写酵素によりRNA切
断生成物についてプライマー延長DNA合成反応を行っ
た。先の結果と一致して、完全長プライマー延長生成物
により測定したところ、本来のRNAのレベルは、配列番
号1の存在下の無細胞系のインキュベートの後、添加ヌ
クレオチドの不存在下、あるいは配列番号2もしくは
(2'−5')p3A3とともにRNAをインキュベートした場合
と比較して、大きく低下した。
プライマー延長アッセイは、4種すべてのdNTPを使用
することを除いてDriscoll,et al.(Cell,58:519(198
9))により記載されるように使用した。プラスミドpSP
6/TAR:A25:vifのDNA配列決定は、Sequenase version 2.
0(United States Biochemical)及び35S−dATPを使用
する、同じプライマーによるものであった。プライマー
の配列は、5'−TCCTGTATGCAGACCCCAATATGTTGTTAT−3'
(配列番号3)であった。結果は2つの別々のRNA切断
反応のセットから再現した。
上記したRNA切断反応にかけたRNAの切断部位は、プラ
イマー延長生成物と、TAR:A25:vif配列を含むプラスミ
ドにアニールした同一のプライマーにより行ったDNA配
列決定生成物との移動を比較することにより決定した。
興味深いことに、結果は配列番号1がRNAのオリゴ(r
A)領域内で複数の切断を誘発したことを示した。配列
番号2は、配列番号1と比較して、このアッセイにおい
て極めて弱い活性しか有していないようであり、やはり
2−5A依存RNアーゼの活性化に対する2−5Aの5'−ホス
ホリル成分の重要性を示している。オリゴヌクレオチド
の不存在下あるいはp3A3とともにでは特異的切断生成物
は見られなかった。先の報告は、非修飾2−5Aは2−5A
依存RNアーゼを活性化し、UN配列(ここでNは任意のヌ
クレオチドを示す)の3'側においてRNAを切断すること
を示している。ウリジンリッチRNAについての2−5A依
存RNアーゼの配列特異性は2−5A中の相補的アデノシン
残基の関数であり得ることが提案されている。これらの
結果は2−5A依存RNアーゼの結合を特定のRNAに再指向
させることがその切断特異性を変化させることを示して
いる。
D.2−5A:ASの反応に影響する因子 多くの因子が、標的RNA分子の分解を起こす2−5A:AS
反応の特異性及び効率に影響を及ぼす。これらの種々の
因子の詳細を以下に記載する。
1.使用するRNアーゼは2−5A依存RNアーゼでなければな
らない。
本発明の好ましい態様においては、使用されるキメラ
分子は2−5A:ASであり、キメラ分子が標的RNA分子を切
断できるように2−5A依存RNアーゼが存在していなけれ
ばならない。これは、本発明の方法を行ったときに観察
される切断反応は、2−5A依存RNアーゼによるRNAの標
的化分解によるものであり、別の何等かのヌクレアーゼ
によるものではないことを示す対照実験を通じて確かめ
られた。上記実施例5と同様の条件下に行われたこれら
の実験においては、いくつかの異なるキメラ分子及び試
薬を、2−5A依存RNアーゼ及びTAR:A25:vif RNA基質を
含む反応混合物に添加した。キメラ分子配列番号1とと
もにインキュベートしたあとにのみ、インビトロにおい
て基質の特異的な切断が観察された。試験した残りの対
照サンプルの試験を通して、切断反応は機能的に活性な
2−5Aの種に依存するものであることが確かめられた。
もちろん、2−5A依存RNアーゼに加えてRNアーゼを本発
明の方法において使用すれば、そのRNアーゼの活性化剤
は2−5Aの分子に加わるのではなく、キメラ分子に加わ
るであろう。ヒト2−5A依存RNアーゼの効率的な活性化
は、少なくとも1つの5'−ホスホリル基を有する2',5'
−オリゴヌクレオチドを必要とすることも見出された。
非5'−リン酸化化合物、配列番号2は、この実験で検出
可能な量の特異的切断生成物を生成することができなか
った。
2−5A依存RNアーゼの特異的切断反応における重大な
役割の別の証拠は、2−5Aのイノシン置換誘導体である
2−5Aアナローグ阻害剤、ppp5'I2'p5'A2'p5'Aの使用を
通して得られた。実施例5と同様のアッセイにおいてpp
p5'I2'p5'A2'p5'A(2.0μM)が存在すると、標的RNAの
特異的切断を起こす配列番号1の能力が完全に妨げられ
た。これはppp5'I2'p5'A2'p5'Aによる2−5A依存RNアー
ゼの阻害のためと考えられる。
さらに、PKR RNA(100nM)の存在下、37℃で30分間、
2−5A依存RNアーゼの存在下に50−150nMの配列番号6
をインキュベートすると、PKR RNAの完全な分解が観察
された(PKRの説明のための下記実施例7を参照)。ま
た、2μMまでの配列番号6を、PKR RNA(100nM)の存
在下、37℃で30分間、2−5A依存RNアーゼの不存下にイ
ンキュベートすると、PKR RNAの分解は殆ど観察されな
かった。これらのデータは、2−5A依存RNアーゼにより
2−5A−アンチセンス法において切断反応を行うことが
できることを示している。これらのデータは、本発明に
従って標的RNAを切断するためにキメラ分子を使用する
場合に、キメラ分子のRNアーゼ活性化剤成分により活性
化されたRNアーゼが系中に存在しなければならないこと
も示している。
2.2−5A:ASは標的RNAに結合しなければならない。
RNAの標的分子を特異的に切断するためには2−5A:AS
はその分子に結合しなければならないことも見出され
た。このことを示すために、配列番号1によるTAR:A25:
vif RNA基質の特異的切断は、配列番号1が標的RNAのオ
リゴ(rA)領域に結合することに依存していることを示
す実験を行った。この実験においては、TAR:A25:vif RN
Aの特異的破壊をブロックするという試みにおいて、過
剰のオリゴ(dT)20を配列番号1とともに細胞抽出物に
添加した。オリゴ(dT)20は切断反応を完全に妨げ、2
−5A:ASの標的RNAに対する結合が標的化切断に欠くこと
ができないものであることを示している。
さらに、標的RNA中のものとは関係のないオリゴヌク
レオチド配列に融合した2−5Aテトラマーp5'A2'p5'A2'
p5'A2'p5'Aは、TAR:A25:vif RNAのオリゴ(rA)領域の
切断の特異的生成物を生産することができなかった。こ
れは、キメラ分子のアンチセンス成分が標的RNA分子に
特異的に結合することが、その分子の特異的な切断に必
要であることを示している。TAR:A25:vif RNA及び2−5
A依存RNアーゼを含む反応混合物にキメラ分子3を添加
した場合、やはり特異的な切断反応を誘発することがで
きず、これはそのアンチセンス鎖が、標的RNA中のオリ
ゴ(rA)領域と安定なハイブリッドを形成することを可
能とするには短すぎたためである。
また、配列番号1(0.2または1.0μM)は、オリゴ
(rA)領域を欠くTAR:vif RNAにおいて特異的な切断を
生成することができず、従って標的基質上の相補的領域
とのハイブリダイゼーションの必要性がさらに示され
た。従って、競争、配列変化、配列欠失、及び鎖長実験
の全ては、RNAのセンスストランドの特異的切断の生成
におけるキメラ2−5A:AS分子のアンチセンス部分の重
大な役割を示している。
RNAの標的分子を切断するためには2−5A:ASのアンチ
センス成分がそれにアニールしなければならないという
別の証拠は、高度なミスマッチを有するアンチセンスオ
リゴヌクレオチド成分を有する2−5A:AS分子は、標的R
NA分子を切断するのに有効でないという事実からも得ら
れる。HeLa細胞のインビボ試験において、2μMの配列
番号6及び同量の配列番号14を細胞の別々の培養物に加
えた。配列番号14は、配列番号6のものと同様であるが
10位置で異なっている、即ちPKR RNAに関してミスマッ
チを有している、アンチセンスオリゴヌクレオチド成分
配列を有する2−5A:AS分子である。処理した細胞は4
時間インキュベートし、次いでPCRアッセイ(本明細書
の別な箇所に記載した)を行い、その細胞に残存するPK
R RNAの量を測定した。配列番号6は細胞からPKR RNAの
レベルを大幅に減じさせたが、ミスマッチ配列番号14で
はオリゴヌクレオチドを加えていない対照細胞と同じ量
のPKR RNAを含んでいた。即ち、非相補性の高い度合い
が、配列番号14がその標的RNA分子に十分な安定度でア
ニールし、その標的RNA分子の特異的切断を行うのを妨
げるものと考えられる。
配列番号14を使用したインビトロアッセイにおいて、
このキメラ分子はPKR RNAの特異的切断を媒介できなか
った。このアッセイにおいては、100nM PKR RNAを150nM
の配列番号14と、2−5A依存RNアーゼの存在下に30分間
37℃でインキュベートしたが、PRK RNAの切断は観察さ
れなかった。この知見は、高度のミスマッチを有するア
ンチセンスオリゴヌクレオチド成分を持つキメラ分子は
標的RNA分子の選択的切断を起こさないことを示してい
る。
ミスマッチアンチセンスオリゴヌクレオチド成分を有
するが、より大きな相補性を有するその他のキメラ分子
は、本発明の方法に使用された場合、インビトロ及びイ
ンビボにおいてより有効であることが期待される。例え
ば、ただ1つだけのミスマッチ塩基対を有する配列番号
12は、殆どの場合において配列番号6のものと同様の切
断活性を媒介することが期待される。配列番号13は、19
のアンチセンスオリゴヌクレオチド成分塩基のうち4つ
の塩基対ミスマッチを有しており、おそらくより低い効
率であろうが、役に立つと考えられる。当業者は、当分
野の現在の知識を使用することにより、特定のミスマッ
チアンチセンス成分が標的RNA分子と十分にアニールし
て本発明の方法において有効であるかどうか判断できる
であろう。例えば、ミスマッチの数、相補的塩基対中の
GC水素結合の量、及び切断反応が行われるハイブリダイ
ゼーション条件を考慮することができる。特定のミスマ
ッチアンチセンスオリゴヌクレオチド成分の、標的RNA
分子に結合しその分子を切断する能力のより明確な判断
は、通常の実験を使用することにより行うことができ
る。
本明細書中に記載したものよりも短いアンチセンスオ
リゴヌクレオチド成分を有するキメラ分子も、結合能力
の減少のために、より低い標的RNA分子の切断を媒介す
る能力を示すと予想される。このより低い有効性は、ア
ンチセンスオリゴヌクレオチド成分中のミスマッチの数
が増加するに従って観察される有効性の減少と同様なも
のであろう。従って、配列番号6及び配列番号15〜18
は、下記の有効性のパターン、減少する順に:配列番号
6(19ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチ
ド成分を有する)>配列番号15(15ヌクレオチド長)>
配列番号16(12ヌクレオチド長)>配列番号17(9ヌク
レオチド長)>配列番号18(6ヌクレオチド長)、にあ
るものと考えられる。
しかし、生成物の解離速度(アンチセンスオリゴヌク
レオチド成分が切断されたRNAから解離する速度)が速
度制限的なものである場合は、この有効性の減少は必ず
しも見られないかもしれない。そのような場合、より短
いアンチセンスオリゴヌクレオチド成分を有するキメラ
分子はより長いアンチセンスオリゴヌクレオチド成分を
有するものよりもより有効であり得、これはそのような
より短い分子が標的RNA分子に結合し、それを切断する
ことができ、そしてより長いアンチセンスオリゴヌクレ
オチド成分を有する分子よりも速く解離し得るからであ
る。ただし、より短いアンチセンスオリゴヌクレオチド
の使用は本発明の方法の特異性をも変化させ得る。
実施例7:2−5A:ASのアンチセンスオリゴヌクレオチド成
分の特異性の証明 2−5A:ASのアンチセンスオリゴヌクレオチド部分
が、無関係なRNAの存在下に、切断のためにそれと相補
的な標的RNA分子を特異的に選択することを示すため
に、RNA混合実験を行った。この実験のために選んだ標
的RNAはPKRタンパク質をコードするmRNAであった。PKR
はタンパク質合成を制御するインターフェロン誘導可能
タンパク質であり(Hovanessian,A.G.J.Interferon Re
s.,9:641−647(1989))、腫瘍抑制因子として機能す
る(Meurs et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:232−23
6(1993);Koromilas et al.,Science,257:1685−1689
(1992))。タンパク質合成レベルにおいて、PKRは、
3重複合体のeIF−2:GTP:MET−tRNAiの成分であるタン
パク質合成開始因子eIF−2のαサブユニットをリン酸
化する。80Sリボソームが形成されると、前記3重複合
体中のGTPが加水分解してeIF−2α:GDPの放出を可能と
する。その後のeIF−2α上でのGTPのGDPへの変換が、
タンパク質合成開始における速度制限因子のeIF−2B(G
EF)(Safer et al.,Cell,33:7−8(1983)により検討
された))により触媒される。eIF−2αのリン酸化はe
IF−2B触媒リサイクル反応を阻害し、その結果不活性eI
F−2:GDP複合体の蓄積によりタンパク質合成が停止す
る。さらに、PKR cDNAの発現は脳心筋炎ウィルスの複製
を減少させ、キナーゼがインターフェロンの抗ウィルス
活性に関与していることの確実な証拠を提供するもので
ある(Meurs et al.,J.Virology,66:5805−5814(199
2))。さらに、PKRの腫瘍抑制機能が示されている(Me
urs et al.,1993;Koromilas et al,1992)。PKRの変異
体は、内因的PKR活性の優勢な陰性阻害剤として機能
し、マウスで腫瘍の形成を導くようである。
2−5A:ASキメラ分子の標的として選択されるPKR mRN
A部位は、コンピュータ分析により単一ストランドであ
ると予測されている領域内のPKR mRNAの開始コドンから
55−73ヌクレオチドである(図8参照)。そこでPKR mR
NAに対して指向される下記の2−5A:ASキメラ分子:p5'A
2'p5'A2'p5'A2'p5'A2'−C4−p−C4−p5'GTACTACTCCCT
GCTTCT G3'を合成のために選択した。
この分子の2',5'−オリゴアデニレート成分及び3',5'
−デオキシリボヌクレオチドアンチセンス配列は、ホス
ホジエステル結合によって結合された2つの1,4−ブタ
ンジオールにより結合されている。PKR mRNA及びHIV vi
fタンパク質に対するmRNAはcDNAのインビトロ転写によ
り合成した。これらのRNAを次にγ−32P−ATP及びポリ
ヌクレオチドキナーゼで5'−標識し、得られた放射性標
識RNAを配列決定ゲルから精製した。
2つのRNA種の混合物を、最初に増加するレベルのp
(A2'p)3A−抗PKR(配列番号6)と約10分間インキュ
ベートした。別々の反応混合物中、2種のRNA種を、0n
M、5nM、10nM、20nM、50nM、100nM、200nM、300nM及び5
00nMの濃度の配列番号6に露出した。次に精製組換え体
2−5A依存RNアーゼ(100ng/20μl反応混合物)を各混
合物に加え、反応混合物を5分間37℃でインキュベート
した。
PKR mRNAの優先的な切断が明確に示され、観察可能な
レベルの切断は10−20nMの濃度から始まった。PKR mRNA
の半分が25〜50nMの配列番号6の存在下に分解された。
これに対し、vif mRNAの50%分解を誘発するためには20
0〜300nMの配列番号6が必要であった。この濃度におい
て、2−5A:AS分子の2−5A成分はおそらく2−5A依存R
Nアーゼの一般化された活性を誘導したものであり、こ
の実験においてはこれは哺乳類細胞に見られる2−5A依
存RNアーゼの濃度に対してはるかに過剰な濃度で存在し
た。従って、配列番号6は、2−5A依存RNアーゼを活性
化し選択的に集めてPKR mRNAを切断したものである。
3.2−5A分子のアンチセンス成分が存在していなければ
ならない。
標的RNA分子を特異的に切断するためには、2−5A:AS
分子のアンチセンス成分が存在しなければならないこと
も判明した。2−5A:AS分子のこの特性は、非修飾2−5
Aを使用した実験により決定された。2−5Aテトラマー
5'−モノホスフェート(pA4)あるいはテトラマートリ
ホスフェート(p3A4)を実施例5に記載した無細胞系に
加えたが、配列番号1により観察されたTAR:A25:vif RN
Aの特異的な切断は誘発されなかった。一連の実験にお
いて、TAR:A25:vif RNAを含む無細胞系中で反応の1セ
ットを行い、もう1つの反応のセットはTAR:vif RNAを
基質として行った。これらの反応は、Daudi抽出物とと
もにあるいはなしに行った。dT20(1.0μM)、pA4(1.
0μM)、p3A4(1.0μM)、p3IAA(2.0μM)、及びpA
4:T18(0.2μM及び1.0μM)を除いてオリゴヌクレオ
チドは100nMで存在した。インキュベーションはDaudi抽
出物中30℃で30分間行った。これらの実験は3回再現し
た。これらの実験はいずれも配列番号1をTAR:A25:vif
RNA含有混合物に加えたときに観察された部位特異的切
断を示さなかった。
2−5A:ASキメラ分子の特異性を、配列番号6及び配
列番号7を使用したインビトロ実験によりさらに確認し
た。基質のPKR RNAはPKR cDNAを含むプラスミド(Dr.B.
R.G.Williamsからの寄贈)から、プラスミドPKR cDNAを
ファージRNAポリメラーゼにより転写することによりイ
ンビトロで製造した。PKR mRNA(その5'−末端をγ−32
P−ATP及びポリヌクレオチドキナーゼにより標識した)
の2−5A:AS及び2−5A依存RNアーゼの複合体による切
断を配列決定ゲル中で測定した。これらの実験において
は、約100nMのPKR RNAを、下記のキメラ分子の濃度:1)
0nM、25nM、50nM、150nM、250nM及び500nMの配列番号
7、及び2)0nM、25nM、50nM、150nM、250nM及び500nM
の配列番号6、を有する種々の反応混合物とともに37℃
で5分間インキュベートした。
配列決定ゲル中の本来のRNAの消失を、PhosphorImage
r(Molecular Dynamics,Inc)を使用して正確に測定し
た。それぞれの標的配列内で複数の切断が起こると考え
られるので、最も重要な測定は本来のRNAの濃度が減少
する速度であった。センスオリエンテーションキメラ分
子の配列番号7はPKR mRNAに対してほんのわずかに活性
であった。実際、500nMにおいても、配列番号7はPKR R
NAの30%未満の分解を起こしただけであった。これに対
し、150nMの配列番号6ではほぼ完全なPKR mRNAの分解
が得られた。
この結果はインビボで2μMの配列番号6及び同量の
配列番号7をHela細胞の別々の培養に加えたときに2回
得られた。これらの細胞はそれぞれのキメラの1つと4
時間インキュベートした。その結果、RT−PCR(逆転写
結合ポリメラーゼチェーンリアクション)アッセイでそ
のようなRNAについて測定したところ、PKR RNAは配列番
号6により分解され、一方配列番号7で処理した細胞中
では明らかに正常なレベルのPKR RNAが見られた。
さらに、2−5Aに結合した無関係のオリゴヌクレオチ
ド配列を含むp(A2'p)3A−抗HIVはインビトロにおい
てわずかのみ活性であり、インビボで不活性であった。
50nM、150nM、及び500nMのこのキメラをインビトロで10
0nM PKR RNA及び2−5A依存RNアーゼの存在下でインキ
ュベートした場合、500nMの濃度でのみ実質的なリボヌ
クレアーゼ活性が見られた。これらの結果は、本発明の
方法で使用されるキメラ分子のアンチセンス成分と標的
RNA分子との間の相補性の必要性をさらに示すものであ
る。
4.2−5Aはアンチセンスストランドに結合しなければな
らない。
リボヌクレアーゼによる切断のためにRNAの分子を標
的化することが、RNAのその分子の特異的な切断のため
に必要なことも見出された。TAR:A25:vif RNAを実施例
5に記載したDaudi抽出物中で(2'−5')pA4と非結合dT
20とともにインキュベートした場合、特異的切断生成物
は生産されなかった。PKR RNAを標的RNA分子として使用
した別の実験はさらにこれらの知見を支持した。この実
験においては、100nM PKR RNAを、組換え体2−5A依存R
Nアーゼの存在下に、配列番号6、PKR RNA分子の一部分
に正確に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド成分
を含む2−5A:AS分子、あるいは配列番号6のアンチセ
ンスオリゴヌクレオチド部分のみを含む配列番号5とと
もに、30分間37℃でインキュベートした。結合した2−
5Aを有しないアンチセンス分子の配列番号5はPKR RNA
の切断を生起しないようであった。従って、標的RNA分
子の特異的切断を生起するためには、2−5Aまたはその
他の2−5A依存RNアーゼの活性化剤が本発明のキメラ分
子のアンチセンス成分に結合される必要がある。
5.2−5Aはリン酸化され、2',5'−結合し、トリマーであ
り、リボースを含む必要がある。
本発明の方法に使用される2−5A:ASキメラ分子の2
−5A成分は、標的RNA分子の切断を生成するために、リ
ン酸化され、2',5'−結合し、少なくともトリマーであ
り、そしてリボースを含む必要があることが判明した。
これらの特性は2−5A依存RNアーゼの活性化に必要であ
る。37℃で30分間実施した、100nM PKR RNAを含むイン
ビトロアッセイにおいて、3',5'−結合中にデオキシア
デノシンテトラマーを含むキメラ(配列番号8)の150n
Mの濃度は、PKR RNAレベルに何等影響を与えなかった。
同じアッセイ条件下で、ダイマー2',5'−アデニレート
分子を含むキメラ(配列番号9)はPKR RNAの切断を完
全に起こすことはできなかった。その5'末端がリン酸化
されていない2−5A基を有するキメラ(配列番号10)は
同様にそのようなPKR RNAを特異的に切断できなかっ
た。従って、活性化されるRNアーゼが2−5A依存RNアー
ゼの場合、本発明の方法に使用される2−5A:AS分子中
の2−5A成分のこれらの特性が満足されていなければな
らないものである。
E.2−5A:AS反応に影響を及ぼさない因子 リンカーの存在又は不存在が本発明の方法に用いられ
る2−5A:ASキメラ分子の有効性に有意な影響を及ぼす
ことは分かっていない。2−5A−アンチセンスの無リン
カー体(配列番号11)をその活性を確認するために合成
して分析した。1つの実験では、各200nMの配列番号6
及び無リンカー配列番号11を別々の反応混合液中で2−
5A依存性RNアーゼと30分間37℃でインキュベートした。
配列番号11は、リンカー含有誘導体配列番号6とほぼ同
様の活性であることが分かった。
III.キメラ分子類似体 A.5'−チオホスフェート類似体 上で説明したように、2−5A:ASキメラ体に関する本
発明者らの研究で、2−5Aドメインの5'−末端における
5'−モノホスフェート部分が、標的RNA分子の分解をも
たらすために並びにヒト2−5A依存性RNアーゼの活性化
のために要求されることが実証された。先行する研究
(Johnston,M.とTorrence,P.,Interferon,3:189−298
(1984))で、2−5A自体の5'−リン酸化が、有効な2
−5A依存性RNアーゼ活性化のために必要とされることが
確証されていた。フリーの5'−ヒドロキシル基を有する
2−5Aコアは、2−5A依存性RNアーゼ結合能力及び活性
化能力を殆ど持たない。
ホスファターゼ及び関連ヌクレオチダーゼは天然系に
広汎に存在し、ヌクレオチド5'−モノホスフェートのヌ
クレオシドへの脱リン酸化を司っている(VoetとVoet,B
iochemistry,741−768(1990))ので、本発明の方法に
用いる2−5A:ASキメラ分子は、かかる酵素により酵素
的脱リン酸化を受け、それによって本法の幾つかのin v
ivo適用において不活性になるかもしれない。もちろ
ん、ホスファターゼ及びヌクレオチダーゼがin vitroア
ッセイに存在したなら、キメラ分子はこの場合も不活性
になっただろう。
幅広い研究(Eckstein,F.,Angew.Chem.Int.Ed.,14:16
0−166(1975);Eckstein,F.,Accounts Chem.Res.,12:2
04−210(1979);Eckstein,F.,Angew.Chem.Int.Ed.,22:
423−439(1983)から、アデノシン5'−O−チオホスフ
ェート(AMP S)の如きヌクレオシドチオホスフェー
ト(ヌクレオシドホスホロチオエート)は、かかる脱リ
ン酸化酵素の働きに極端に抵抗性であることが証明され
ている。例えば、AMPSは、ウシ腸又は大腸菌からのアル
カリ性ホスファターゼによりAMPよりも約2000倍遅く分
解され(Eckstein,1975)、そしてガラガラヘビ属から
のヌクレオチダーゼによりAMPよりも非常に遅く脱チオ
リン酸化された。従って、本発明者らは、2',5'−オリ
ゴヌクレオチド5'−チオホスフェートを、かかる化合物
が2−5A依存性RNアーゼを活性化できるか及び脱リン酸
化から保護され得るかを確認するために合成した。
ホスホジエステラーゼ分解に対する抵抗性を高めるた
めに、ヌクレオチド間ホスホロチオエート同属種で幾つ
かの研究(Sobolら,Nucleic Acids Res.,21:2437−2443
(1993)を参照のこと)が行われた。しかしながら、本
発明までには、5'−チオリン酸化されたオリゴヌクレオ
チドは報告されていない。本発明者らは、かかるキメラ
分子が、実に、脱リン酸化による代謝性失活に対する抵
抗性の増進を示し、2−5A依存性RNアーゼを活性化でき
ることも見出した。従って、5'−チオリン酸化2−5A:A
S分子は、本発明の方法に有用である。
5'−チオリン酸化の保護的作用を試験するために、ト
リマーSp5'A2'p5'A2'p5'A(“SpA3")を構築した。ここ
で、Sは硫黄成分を表す。このトリマーを2−5A依存性
RNアーゼを活性化するその能力について、組換えヒト2
−5A依存性RNアーゼ(オハイオ州クリーブランド,The C
leveland Clinic Foundation,Rovert H.Silverman博士
から入手)を用いるアッセイで試験した。2−5Aの新規
な修飾の効果を放射性標識ポリ(U)を基質として用い
て確認し、種々のオリゴヌクレオチド濃度でこのアッセ
イに残っている出発RNAのパーセンテージを、酸析出画
分中の放射能をSilverman,R.H.,Anal.Biochem.,144:450
(1985)に記載されている通りに測定することによって
決定した。
図10に示すように、2−5Aの5'−チオホスフェート類
似体、つまりSpA3は、未修飾2−5A種、つまり2',5'pA4
及び2',5'p3A3に比較して同等に活性であった。従っ
て、5'−チオホスフェート含有2−5Aは、十分に活性な
2−5A分子である。対照として、ダイマーの2−5A種、
つまりp3A2を前述のアッセイに用いたが、RNAの切断た
めに2−5A依存性RNアーゼを活性化するのに全く効果が
ないことが分かった。
2−5A成分がチオリン酸化されても2−5A:AS分子が
依然として活性であることを確認するために、5'−チオ
ホスフェート2−5A:AS分子、つまり配列番号20を無傷
細胞に投与した。配列番号20のアンチセンスオリゴヌク
レオチド成分は、配列番号6のそれと同じである。この
アッセイにおいて、配列番号20及び配列番号6を各2μ
Mで異なるマイクロタイターウェル中のHeLa細胞に投与
し、これら細胞を4時間インキュベートした。HeLa細胞
を含有するがオリゴヌクレオチドを添加しない対照ウェ
ルもインキュベートした。次いで、PCR増幅を用いて、
本明細書の他の箇所に記載した通りに、これら細胞中の
PKRのレベルを検出した。PKR RNAが対照細胞内で検出さ
れたが、配列番号6又は配列番号20のいずれかで処理し
た細胞内には、PCR増幅を40サイクル行った後でも、PKR
RNAは検出されなかった。従って、5'−チオリン酸化2
−5A:ASキメラ分子は、この場合のPKR RNAでは、そのよ
うに5'−チオリン酸化されていない類似の2−5A:AS分
子と同じほど効果的に標的RNA分子の特異的切断を行う
ことができた。かくして、2−5A:AS分子を、2−5A:AS
の5'−チオホスフェート誘導体に転化することにより、
血清中及び細胞中に存在するホスファターゼに対してよ
り抵抗性にすることができ、そしてこれら誘導体は、本
発明の方法に効果的に用いることができる。
5'−チオリン酸化2−5A:AS分子を合成するのにDNA合
成装置を用いることができる。そのような分子の2',5'
−トリマーコアは、Applied Biosystems 391 DNA合成装
置を用いて調製できる。固相支持体は1.0モルのCPG結合
N6−ベンゾイル−5'−ジメトキシトリチル−2'(3')−
O−アセチルアデノシン(2'(3')−スクシネートを介
するCPGへの結合)(供給機関:Glen Research)を充填
したカラム(1cm,American Bionetics社)である。鎖を
伸長させるため、N6−フェノキシアセチル−5'−ジメト
キシトリチル−3'−O−t−ブチル−ジメチルシリルア
デノシン−2'−O−N,N−ジイソプロピル−シアノエチ
ル−ホスホルアミダイト(Chemgenes Corporation,ウォ
ーサム,マサチューセッツ州)を用いる。DNA合成装置
の結合待機時間を600秒に増やす。これら条件下では、
平均結合効率は、ジメトキシトリチルカチオンの放出を
分光光度計で定量することにより測定して、約93%であ
る。オリゴヌクレオチドをトリチルオフモードで合成し
て、得られた5'−ヒドロキシル未保護トリマーを、2−
〔2−(4,4'−ジメトキシ−トリチルオキシ)エチルス
ルホニル〕エチル−2−シアノエチル)−(N,N−ジイ
ソプロピル)−ホスホルアミダイト(Glen Research,ス
ターリング,バージニア州)を用いて、無水テトラゾー
ル/アセトニトリル(Applied Biosystems)中で0.2Mの
濃度で5'−リン酸化する。硫黄化は、無水アセトニトリ
ル中で3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン1、1−
ジオキシド(Lyerら,J.Am.Chem.Soc.,112:1253−1254
(1990))で行う。
この合成したオリゴマーを濃NH4OH/EtOH(3:1)で室
温で2時間処理して固体支持体から切り離す。次いで、
温度を55℃に上げてインキュベーションを8時間続けて
N−ベンゾイル基を除去する。最後に、t−ブチルジメ
チルシリル保護基をTHF中の1Mフッ化テトラブチルアン
モニウム1mLで室温で一晩処理することにより除去す
る。
上で生成した脱保護粗生成物を、まず、C−18 SEP−
PAKカートリッジ(Waters Associatesより)で脱塩して
から、Ultrasphere semiprep ODSカラムで、NECコンピ
ューターにより制御されたBeckman 110B溶媒デリバリー
モジュールを用いて、260nmで検出(Knauer可変波長モ
ニター)しながらHPLC(高速液体クロマトグラフィー)
精製する。この溶出プログラムは、溶媒A中の0〜50%
溶媒Bを30分間流すもので、溶媒Aは50mM酢酸アンモニ
ウム(pH7.0)であり、溶媒BはMeOH/H2O(1:1,v/v)で
ある。合わせたオリゴヌクレオチド含有溶出液を濃縮
し、DEAE−セファデックスA−25カラムに適用した後に
0.1〜0.8Mの勾配の重炭酸トリエチルアンモニウム(pH
7.5)(TEAB)で溶出することにより脱塩する。オリゴ
ヌクレオチド含有画分を合わせて、水を蒸発させ、次い
で残留TEABを全て除去するために水の添加及び蒸発を数
回行う。最後に、生成物をH2Oに溶解し、Dowex 50W×8
カチオン交換樹脂(Na+型)のカラムに適用してオリゴ
ヌクレオチドをそのナトリウム塩に転化する(26A260
ニット)。
次に、上記の合成から得られたオリゴヌクレオチドの
特徴を明らかにするためにヘビ毒ホスホジエステラーゼ
消化を行う。このオリゴヌクレオチド(0.2A260)を50m
MトリスHCl、0.5mM MgCl2(pH7.8)の緩衝液中のヘビ毒
ホスホジエステラーゼ(ヒシモンガラガラヘビ,Pharmac
ia/P.L.Biochemicals社,Piscataway,ニュージャージー
州)で37℃で1時間消化する。この消化生成物を、Ultr
asphere ODSカラムで溶媒A中5%溶媒Bの無勾配溶出
プログラムを用いる0.5mL/分の流速でのHPLCにより分析
する。ここで、Aは100mMリン酸アンモニウム(pH7.0)
であり、BはMeOH/H2O(1:,v/v)である。これら条件下
で、この合成生成物は、5'AMP及びAMPSを2:1の比率で生
成し、それによって指定した構造式、つまりSp5'A2'p5'
A2'p5'Aであることを確証した〔1H−NMR(D2O)δ(pp
m):5.7−6.2(3d,J=2.56,3.39,4.18Hz,3×1H,3H1');
7.7−8.4(6s,6H,プリンH−2とH−8)。31P−NMR
(D2O)δ(ppm):−0.8と−0.6(2,ヌクレオチド間ホ
スフェートP);42.0(1P,5'−チオホスフェート
P)〕。
実施例8:5'−チオリン酸化2−5A:ASキメラ体の合成 5'−チオリン酸化類似体Sp5'A2'p5'A2'pA2'p5'Ap−
(CH24p(CH24p5'pGTA CTA CTC CCT GCT TCT G3'の
合成操作は、上記の通りに行ったチオリン酸化工程以外
は、他の5'−リン酸化キメラ分子の合成について実施例
1及び他の箇所に記載したものと本質的に同一である。
この粗生成物をC18 SEP−PAKで脱塩してから、Nucleo
gen DEAE60−7カラム(4×125mm)を用いるHPLCによ
り精製した。この溶出プログラムは、緩衝液A中10〜80
%緩衝液Bであった。ここで、緩衝液Aは50mMリン酸ア
ンモニウム(pH7.0)中20%アセトニトリルであり、緩
衝液Bは50mMリン酸カリウム(pH7.0)中1M KClであっ
た。流速は1mL/分であった。セファデックスG−25Mカ
ラムで脱塩した後、全部で24A260ユニットのオリゴヌク
レオチド(UV 1max=261nm)を得た。毛細管電気泳動
(マイクロゲルカラム,10%MeOHを含有する75mMトリス
リン酸緩衝液(pH7.6))を−12kV(15A)で流すと、単
一ピークだけの存在が示された。
通常の条件下でヘビ毒ホスホジエステラーゼ(Pharma
cia/P.L.Biochemicals)消化を行った後、HPLCによる分
析により構造の確認が得られた。Ultrasphere ODSカラ
ム(0.46×25cm)を0.5mL/分の流速で用いた。この消化
結果の分析には2種の異なる溶出プログラムを用いた。
プログラムAは、溶媒A中5%溶媒Bを20分間流した
後、溶媒A中5〜55%溶媒Bを18分間流すもので、溶媒
Aは100mMリン酸アンモニウム(pH7.0)であり、溶媒B
はMeOH/H2O(1:1,v/v)であった。プログラムBは、溶
媒A中3〜5%溶媒Bを20分間流した後、溶媒A中5〜
55%溶媒Bを18分間流すもので、溶媒Aは100mMリン酸
アンモニウム(pH5.5)であり、溶媒BはMeOH/H2O(1:
1,v/v)であった。溶出プログラムAを用いる分析(AMP
とTMPは分離しなかった)により、dCMP/dGMP/dAMP/AMPS
/(AMPとTMP)/ALinkerのモル比は、7:3:2:1:9:1と判明
した。プログラムBを用いると、dCMP/dGMP/dAMP/TMP/A
MPS/AMP/ALinkerのモル比は、7:3:2:7:1:2:1であった。
B.有尾キメラ分子類似体 先行する研究は、オリゴヌクレオチドの3'(又は2')
末端で種々の化学修飾のうちいずれかを付加すると、分
解酵素、特にホスホジエステラーゼに対してそれを安定
化できることを示した(Imaiら,J.Biol.Chem.,257:1273
9−12745(1982);Clarencら,8:81−94(1993);Herdew
ijnら,Helv.Chem.Acta,74:7−231991(1991);Petrie
ら,Bioconjugate Chem.,3:85−87(1992);Baglioniら,
J.Biol.Chem.,256:3253−3257(1981):また、Alster
ら,Biochem.Biophys.Res.Commun.,141:555−561(198
6)及びそこに引用された文献も参照のこと)。この理
由から、本発明者らは、2−5A:ASキメラ分子の生物活
性へのそのような化学的変化の効果を確認するために、
配列番号21、つまり配列番号6の3'−修飾類似体を調製
した。
配列番号21は、2−5A:AS分子のアンチセンスオリゴ
ヌクレオチド成分の3'末端でC3アルキルアミン基を有す
る。このC3アルキルアミン基の構造を以下に示す。下線
を付したOH基は、このアンチセンスオリゴヌクレオチド
の3'末端にC3アルキルアミン基が連結するホスホジエス
テル結合の位置を示している。
オリゴヌクレオチドの3'−末端への前述の如き基の付
加は“尾付け(テーリング)”と言われている(Imai
ら,1982)。
in vivoアッセイでは、2μMの配列番号21は、HeLa
細胞中のPKR RNA並びに配列番号6と配列番号20(配列
番号6の5'−チオホスフェート類似体)を切断できた。
PCRを40回行った後、4時間のインキュベーション後に
かかる細胞内にPKR RNAは検出されなかった。従って、
配列番号21の3'修飾は、細胞透過性及び安定性の向上に
より又はアクチンの何か他のメカニズムにより、それを
より生物活性にする。従って、“3'−有尾”キメラ分
子、特に3'−アルキルアミン基を有する分子が、本発明
の方法のin vivo適用に用いられるものと了解される。
好ましい態様においては、本発明の方法に用いられるキ
メラ分子は、5'でチオリン酸化されかつ3'で尾状部を有
することができ、かくして5'−チオリン酸化成分及び3'
−有尾成分のそれぞれにより付与される効果を達成する
ことができる。
実施例9:有尾2−5A:ASキメラ分子の合成 配列番号21の合成は、修飾した固体支持体;即ち、ア
ミン−ON C3 CPGカラム(Clontech,Palo Alto,カリフォ
ルニア州)で開始した。これを、本明細書に先に記載し
た方法に従い、Applied Biosystems DNA合成装置を用い
て生成したp5'A2'p5'A2'pA2'p5'Ap(CH24p(CH24p
5'pGTA CTA CTC CCT GCT TCT G3'配列の付加用支持体と
して用いた。生成オリゴヌクレオチドをカラムから切り
離し、通常の方法で脱保護もしてから、C−18 SEP−PA
Kカートリッジで脱塩した。最終精製は、Nucleogen DEA
E60−7イオン交換カラム(4×125mm)で1mL/分の流速
を用いて行った。この溶出プログラムは、緩衝液A中10
〜18%緩衝液Bの一次勾配で30分間流すもので、緩衝液
Aは50mMリン酸カリウム(pH7.0)中の20%アセトニト
リルであり、緩衝液Bは50mMリン酸カリウム(pH7.0)
中の1M KClであった。溶出生成物をセファデックスG−
25Mカラム(Pharmacia/P.L.Biochemicals)で脱塩し
た。収量は26A260ユニットであった。この生成物を毛細
管電気泳動に付すると、1ピークだけを示した。
特徴付け及び構造確認は、前述の条件下でのヘビ毒ホ
スホジエステラーゼ消化により行った。消化生成物の分
析は、Ultrasphere ODSカラムで、0.5mL/分の流速で、
緩衝液A中3〜5%緩衝液Bの一次勾配を20分間用いて
から、緩衝液A中5〜55%緩衝液Bの一次勾配を18分間
用いて行った。ここで、緩衝液Aは100mMリン酸アンモ
ニウム(pH5.5)であり、緩衝液BはMeOH/H2Oであっ
た。この消化から、7生成物、つまりdCMP、dGMP、dAM
P、TMP、AMP、リンカーに結合したアデノシン
(ALinker)、及び3'C3アミンに結合したdGMPが7:7:2:
3:2:1:1の比率で得られる。最後の生成物の構造は、C3
アミンON CPGとDNA合成に普通に用いられる保護dGホス
ホルアミダイトとの反応による別の合成により確認し
た。換言すると、dGだけをC3 CPG支持体に添加したが、
切り離し、脱保護及び精製は、他の箇所に記載した通り
に行った。この生成物はヘビ毒消化オリゴヌクレオチド
から得られたピークと同一の保持時間を示した。加え
て、マススペクトルにより期待した分子イオン(501,M
+1)が得られた。
IV.2−5A:ASキメラ分子のin vivo作用 本発明の驚くべき発見の1つは、2−5A:ASキメラ分
子を哺乳動物細胞に投与でき、そしてこのキメラ分子を
それら細胞内に通過させるための何らかの特殊な方法で
かかる細胞を処理しなくても、RNAの特定の分子を標的
にして破壊できることである。この発見は、アンチセン
スオリゴヌクレオチドを細胞内に通過させるために過酷
な細胞処理に帰着しなければならなかった先行技術と対
立するものである。従って、本発明は、in vivoでのア
ンチセンスオリゴヌクレオチドの使用における重要な進
歩に相当する。
2−5A:AS分子が細胞内で標的RNA分子を切断できるこ
とを確認するために、PKR RNAを標的にする複数の2−5
A:AS分子(配列番号6、配列番号20、及び配列番号21を
含む)を2μMでマイクロタイターウェル中のHeLa細胞
培養物に添加した。37℃で4時間のインキュベーション
後に、当業者に既知の方法により、RNアゾール(RNazo
l)試薬を用いて、各ウェル中の細胞から全RNAを単離し
た。キメラ分子を添加していない対照ウェルもインキュ
ベートし、そのウェルの細胞からもmRNAを単離した。
上記のように処理した細胞中に含有されるPKR mRNAを
逆転写連結PCR法(RT−PCR)を用いて検出した。まず、
オリゴ(dT)をプライマーとして用いて、mRNAをcDNAに
逆転写し、次いでこのcDNAを1:4で3倍希釈し、各希釈
液中のPKR DNAを、PKRコーディング配列の反対側末端で
アンチセンス及びセンス方向配列にプライマーを用いて
増幅した。増幅したPKR DNAを検出するために、それをN
ytran膜にブロットし、次いで放射性標識PKR cDNAでプ
ローブした。オリゴヌクレオチドを添加しなかった対照
細胞では、PCRサイクルの数に比例してシグナルが増加
し、cDNAを希釈すると低下した。対照的に、配列番号2
0、配列番号21、又は配列番号6との細胞のインキュベ
ーション後に検出されたPKR mRNAはなかった。従って、
これら3種の2−5A−アンチセンスは、HeLa細胞内の全
ての無傷PKR mRNAの切除又は明白な切断を起こした。
対照的に、配列番号6のアンチセンスオリゴヌクレオ
チド成分と同じ配列を有する5'−リン酸化及び5'−未リ
ン酸化アンチセンスオリゴヌクレオチド分子(即ち、配
列番号4及び配列番号5)は、これらHeLa細胞内のPKR
mRNAの切断を誘発しなかった。p(A2'p)3A−アンチHI
Vの如きPKR RNAに相補的でない配列を有するキメラ分子
も、かかる切断をもたらさなかった。配列番号19、p
(A2'p)3A−dA18も同じくPKR mRNAレベルへの作用を有
さなかった。これら結果は、2−5A:ASは2−5A成分を
必要とすることを示しており、そしてRNA分解が起こる
ためには、このキメラ分子のアンチセンスオリゴヌクレ
オチド成分が標的mRNAに相補的でなければならないこと
も示している。
2−5A:AS分子がアクチンのそのメカニズムに特異的
かどうかを確認するために、βアクチンmRNAのレベルも
同じ方法により測定した。配列番号4、配列番号6、配
列番号19、配列番号20、配列番号21、及び2−5A−アン
チHIVを含む試験したアンチセンスオリゴヌクレオチド
又はキメラ分子のうち、どれも細胞内のβアクチンmRNA
のレベルに影響を及ぼさないようであった。従って、2
−5A:ASは、標的にされていないmRNAに損傷を与えな
い。
アクチンのメカニズムを証明するために、幾つかの追
加の制御を行った。PKRセンス方向配列の配列番号7を
含有するキメラ分子の細胞への添加は、PKR mRNAレベル
に影響を及ぼさないことが分かった。2−5A基の3',5'
−デオキシオリゴアデニレートp(dA3'p)3dAとの置換
(配列番号8)も、HeLa細胞内のPKR mRNAの切断をもた
らすことができなかった。2−5A:AS分子からの5'−ホ
スホリル基の除去(配列番号10)は、それを不活性にも
してしまった。また、2−5Aダイマーだけを有する2−
5A:AS分子(配列番号9)は、そのアンチセンス配列中
に10のミスマッチを導入した配列番号14と同じように不
活性であった。従って、無傷細胞中でRNA切断を誘発す
るためには、2−5A依存性RNアーゼを活性化できる2−
5Aが2−5A:AS分子中に存在しなければならず、そのキ
メラ分子のアンチセンス部分と標的配列との間の相補性
が維持されなければならない。
非依存性及び定量的方法を用いてPKR mRNAの切除を確
認するために、RNアーゼ保護アッセイを行った。ヌクレ
オチド1から383までのPKR cDNA配列(1はこのコーデ
ィング配列の1番目のヌクレオチドを表す)を含有する
BamH I消化pGEM−8プラスミドからアンチセンスプロー
ブを調製した。PKRに対するアンチセンスRNAの放射性標
識断片をSP6RNAポリメラーゼを用いて合成した。別に、
HeLa細胞を2μMの2−5A−アンチPKR(配列番号6)
又は2−5A−センスPKR(配列番号7)のいずれかと4
時間インキュベートした。標識プローブを、こうしてイ
ンキュベートしたHeLa細胞から単離したRNAに45℃で16
時間ハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーション
後、このRNAをRNアーゼA及びT1で30℃で30分間消化し
た後、37℃で15分間プロテイナーゼK処理を行った。次
いで、このRNA生成物をフェノール抽出により精製し
て、6%ポリアクリルアミド−尿素ゲルに適用した。そ
れら結果は、配列番号6はPKR mRNAの切除を起こした
が、配列番号7は作用しなかったことを示した。
PKRタンパク質自体のレベルも、配列番号6で処理し
たHeLa細胞内で大きく低下した。更なる実験において、
PKRタンパク質のレベルを、PKRに対するモノクローナル
抗体を用いるウェスタンブロット及びECL(化学発光増
強)法(Amersham)で測定した。PKR RNAを標的にする
3つの型の2−5A:AS(配列番号6、配列番号20、及び
配列番号21)各2μMでHeLa細胞を16時間処理すると、
全てでPKRタンパク質レベルが大きく減少した。アンチP
KRアンチセンスオリゴヌクレオチド(配列番号4)で
は、PKRレベルの減少はより小さかった。別の実験で、H
eLa細胞を配列番号6(2μM)で1日に付き2回で3.5
日間処理すると、PKRレベルは大きく減少したが、PKRア
ンチセンスオリゴヌクレオチド単独(配列番号4)及び
p(A2'p)3A−アンチHIVは作用を示さなかった。これ
ら結果は、RNA及びタンパク質の両レベルが2−5A:ASに
より無傷細胞内で下方調節されることを証明している。
PKRが比較的安定な(長命)タンパク質であることを
証明するためにPKR合成のシクロヘキサイミド阻害を行
った。PKRタンパク質生成を誘導する試験において、ml
当たり100μgのポリ(I):ポリ(C)で細胞を16時
間処理することによってPKRレベルの数倍の増加が得ら
れた。配列番号6を1μMでポリ(I):ポリ(C)と
一緒にHeLa細胞に添加すると、配列番号6はPKRのポリ
(I):ポリ(C)誘導を完全に阻止した。対照的に、
2−5A成分を欠いている同じアンチセンスオリゴヌクレ
オチド種(即ち、配列番号4)は、ポリ(I):ポリ
(C)によるPKR誘導を非常に僅かに阻害しただけであ
った。
これら結果は、それらが2−5Aが特定の遺伝子発現を
阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドの能力を大き
く高めることを示している点で重要である。更には、こ
れら発見は、本発明の方法が無傷細胞内の天然mRNA種に
対して有効であることも示している。重要なことは、オ
リゴヌクレオチドを細胞内に導入するのに特殊な技術が
要求されないことである。前述の実験で用いたオリゴヌ
クレオチド及びキメラ分子は、現にある細胞培養物に単
に添加しただけであった。
2−5A:ASが細胞生育に阻害性であるかどうかを確認
するために、本発明者らは、配列番号6の存在下で培養
された生存細胞を測定した。生育可能な細胞数をトリパ
ンブルー色素の存在下で血球計中で測定した。p(A2'
p)3A−アンチPKR(配列番号6)も、p(A2'p)3A−dA
18(配列番号19)も、両方とも2μMで、細胞増殖に阻
害性ではなかった(図9を参照のこと)。アンチPKRオ
リゴヌクレオチド(配列番号4)も、このアッセイで幾
らか細胞毒性を欠いた。従って、2−5A:ASは2μM
で、標的になったmRNAの切断を細胞毒性なしに誘導す
る。
V.キメラ分子での被験体の治療的処理 無傷で未処理の細胞内のRNAの断片を特異的に切断す
る本法を治療用に用いて、それらの細胞が2−5A依存性
RNアーゼを含有する被験体を治療することができる。2
−5A依存性RNアーゼは、爬虫類から鳥類にそしてヒトを
含む哺乳動物に及び種に見出されている。従って、これ
らグループのあらゆる種、並びにそれらの細胞が2−5A
依存性RNアーゼを含有するあらゆる他の種を本法に従っ
て治療することができる。
多くの医学的異常は、RNA、特にmRNAが、少なくとも
その中間段階として関与するメカニズムによってもたら
される。従って、かかる異常は本法に従う治療を受け入
れ易い。例えば、被験体がウィルス感染症にかかってい
るとすると、2−5A:AS分子をその被験体に投与してそ
の感染症を治療することができる。例えば、ウィルス複
製又は感染力に必要なウィルスタンパク質をコードする
RNAを、そのタンパク質の発現を阻害するために、2−5
A:ASの分子による標的にすることができる。HIV感染症
(エイズを導く)、乳頭腫ウィルス感染症(イボを生じ
る)、及びヘルペス感染症を含むあらゆるウィルス感染
症をこの手法で治療することができる。この例として、
そのアンチセンスオリゴヌクレオチド成分がHIVウィル
スのgag又はrev mRNAに相補的である2−5A:AS分子を,H
IVに感染している被験体に投与してウィルス複製を阻害
できる(例えば、Lisziewicz,J.ら,Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA,90:3860−3864(1993)を参照のこと)。
ウィルスの複製に必須のウィルスタンパク質をコード
するRNの分子を切断するために、そのアンチセンス成分
がウィルスの複製に必須のウィルスタンパク質をコード
するウィルスのRNA転写産物に相補的である2−5A:AS分
子を、まず、そのウィルスを保有する被験体に投与す
る。次いで、そのウィルスに感染した細胞の中にその2
−5A:AS分子を取り込ませると、それは、それが相補的
であるウィルスRNA転写産物の切断を指向する。一旦、
ウィルスRNA転写産物が切断されると、それがコードす
るウィルスタンパク質は翻訳されないか又は部分的にし
か翻訳されないであろう。かくして、そのウィルスを効
率的に阻害又はそのウィルスの複製を停止することにな
る。また、そのウィルスが一本鎖RNAウィルスであるな
らば、2−5A:AS分子のアンチセンス成分は,そのウィ
ルスゲノム自体の中の配列に対して向けられ得る。
他の医学的異常も、本発明の方法によるキメラ分子で
治療することができる。例えば、癌を患っている人を治
療して、オンコ遺伝子の過剰産生を止めることができ
る。オンコ遺伝子c−mycの過剰産生に関連する癌を有
する人を、そのアンチセンオリゴヌクレオチド部分がc
−myc RNAに相補的である2−5A:ASの分子を含有する溶
液をその人に投与することにより治療することができ
る。このオンコ遺伝子を含有する細胞は、このキメラ分
子を吸収し、次いでそのキメラ分子がかかる細胞内のc
−myc mRNAとハイブリダイズし、それによってこれらmR
NA分子の特異的切断をもたらすであろう。c−myc mRNA
の切断は、対応するタンパク質へのその十分な翻訳を阻
止し、それによってその疾患発現を阻止する。白血病の
如き他の癌も、BCR−ABL遺伝子のmRNA産物を標的にする
2−5A:AS分子の如きもので治療することができる(例
えば、Szczylik,C.ら,Science,253:562−(1991)を参
照のこと)。
加えて、再狭窄の如き心臓血管異常が、本法に従って
治療することができる。血管の障害を取り除くために行
われる血管形成術後、治療した血管は、血管形成術を施
した部位における細胞壁組織の増殖のためにときどき再
び狭くなる。かかる平滑筋細胞増殖を治療又は予防する
ために、キメラ分子を血管形成術を受けた被験体に投与
することができる。例えば、そのアンチセンスオリゴヌ
クレオチド成分がプロトオンコ遺伝子c−mybから転写
されたmRNAに相補的である2−5A:ASの分子を、静脈内
に又は血管形成術を行うのに用いた血管形成術カテーテ
ルを介する直接輸注により投与することができる(Simo
ns,M.ら,Nature,359:67−(1992)を参照のこと)。c
−myb mRNAは細胞壁平滑筋細胞増殖の媒介に関与してい
るので、2−5A:ASによるこのRNAの標的切断は、かかる
増殖の阻害及び再狭窄の予防又は改善をもたらすであろ
う。
2−5A依存性RNアーゼは、殆どの哺乳動物細胞中に存
在すると考えられるので、癌、ウィルス感染症、遺伝
病、変形性関節炎、リウマチ様関節炎、再狭窄、及び他
の種々の医学的異常の治療のためのタンパク質翻訳の治
療的制御を、この技術を用いて達成することができる。
2−5A:ASキメラ分子を用いる他の治療的用途も意図し
ている。例えば、キメラ分子を用いて、免疫応答を加減
でき(Mojcik,C.F.ら,Clin.Immunol.Immunopath.,67:13
0−136(1993)を参照のこと)、習性を変えることがで
き(Hinrichsen,ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:8601−
8605(1992)を参照のこと)、動物における口蹄病を制
御でき(Polatnick,J.とWool,S,J.Virol.,40:881−889
(1991)を参照のこと)、そして動物又はヒトにおける
寄生性疾患を治療できる(Cornelissen,A.ら,Nucleic A
cids Res.,14:5605−5614(1986)を参照のこと)。一
般に、タンパク質の翻訳により引き起こされるあらゆる
異常を、本発明の方法によるキメラ分子で、そのタンパ
ク質をコードするmRNA分子を切断することによって治療
できる。
2−5A:ASの分子を治療のために投与する場合、その
キメラ分子のアンチセンスオリゴヌクレオチド成分は、
好ましくは、治療される被験体の細胞内の非標的RNAを
切断しないように選ばれる。キメラ分子をこのように選
択するためには、その分子のアンチセンスオリゴヌクレ
オチド成分を、好ましくは、GenBank又はEMBLの如き既
知のRNA及び/又はDNA配列のライブラリーに対してチェ
ックする。Blastコンピュータープログラムの如きプロ
グラムを用いて、これらヌクレオチド配列データバンク
を検索することができる(検索装置及び技術は、例え
ば、Altschul,S.F.ら,“Basic local alignment searc
h tool,"J.Mol.Biol.,215:403−410(1990)に説明され
ている)。標的にされていないが投与されるキメラ分子
に相補的なRNA配列が被験体内に存在することが発見さ
れたなら、好ましくは、代わりのアンチセンスオリゴヌ
クレオチド成分は、そのキメラ分子用に選ばれる。しか
しながら、その発見されたRNA配列が、その被験体内で
安定なタンパク質をコードするか又は被験体を害するこ
となくその発現を一時的に妨げることができるタンパク
質をコードするRNA分子の一部であるなら、かかる発見
されたRNA配列に相補的なキメラ分子を、本法に従い、
依然として被験体に投与してもよい。というのは、かか
る投与はその被験体を害することにはならないだろうか
らである。
キメラ分子は、直接適用によっても、医学的異常によ
って害された組織中への輸注によっても、静脈注射の如
き全身投与によっても被験体に投与することができる。
組織への直接適用によりキメラ分子を局所的に投与する
場合、適用するキメラ分子を、水溶液、ローション、ゼ
リー、又は当該技術分野で公知の他の製剤上の局所用担
体中に存在させてもよい。例えば、粘膜の単純ヘルペス
感染症又は皮膚乳頭腫感染症(例えば、イボ)を治療す
る場合、製剤上の水性担体中の2−5A:ASの如きキメラ
分子の局所溶液剤をかかる害された組織に直接適用して
もよい。直接適用は、この手法で臨床的に治療できる組
織にはより効果的な投与経路を提供する筈である。
被験体の体内にキメラ分子を運ぶ、静脈内、筋肉内、
イオン電気導入、腹腔内、皮下、又は他の全身的又は直
接輸注投与経路により投与する場合、キメラ分子を、好
ましくは、食塩加リン酸緩衝液の如き、当業者に知られ
ている薬学的に許容できる製剤上の担体中に含めて投与
する。キメラ分子は、被験体の体内に薬剤を送達するこ
とについて、当該技術分野で知られている他のあらゆる
手段により投与することもできる。一旦、キメラ分子が
被験体に投与されたら、それらは細胞によって吸収され
て、標的RNA分子の切断をもたらす。
キメラ分子の全身的注射又は直接輸注又は適用は、好
ましい投与経路である。キメラ分子を投与する他の方法
には、リゾレシチン及びリポフェクチンの如き細胞膜透
過性を向上させる物質の同時投与が含まれる。加えて、
哺乳動物宿主に注射する前にキメラ分子をリポソームの
中に詰めてもよい。ポリヌクレオチド分子をリポソーム
の中に詰めるのに周知の方法を利用することができる。
かかる手段は、処理をしなくても細胞が2−5A:AS分子
を自発的に取り込むという発見からみて絶対に必要とい
うものではないが、かかる細胞取り込み促進剤は、一定
の適用においては、キメラ分子治療の威力を向上させる
ため又は一定のキメラ分子の取り込みを促進するために
有益であり得る。
本発明の方法に従って2−5A:AS分子及び他のキメラ
分子を投与する場合、かかる分子を好ましくは治療養生
の間毎日投与する。治療される異常に依存して、治療養
生を、1週間、2週間、1ヵ月、2ヵ月、6ヵ月、1
年、無期限で続けても、又は臨床症状がもはや検出され
なくなるまで続けてもよい。あまり頻繁ではないキメラ
分子の投与も本発明に従い可能である。例えば、キメラ
分子により発現が阻害されるタンパク質をコードする特
定のmRNA分子が継続的に転写されないか又はゆっくり転
写される場合は、キメラ分子組成物を2日に1回、週に
1回、又は臨床家により決められるように投与してもよ
い。
本法に従って投与されるキメラ分子組成物、特に全身
投与される組成物は、好ましくは、約0.001〜1,000mg/k
gの2−5A:ASの如きキメラ分子を含有する。より好まし
くは、かかる組成物は、約0.1〜100mg/kg、なおより好
ましくは、それらは、約1.0〜10mg/kgを含有する。これ
ら重量基準範囲は、もちろん、オリゴヌクレオチドの大
きさに依存して変動するであろう。当業者に知られてい
る他のパラメーターの範囲も、個々の適用に最も有用で
あるように定まるであろう。
局所及び全身投与される組成物は、キメラ分子を約0.
01μM〜10mMの濃度で含有することもできる。より好ま
しくは、かかる組成物は、キメラ分子を約0.1〜100μ
M、なおより好ましくは約1.0〜5.0μMの濃度で含有す
る。
実施例10:白血病の哺乳動物のキメラ分子での治療 白血病と診断されたヒト被験者に、そのアンチセンス
オリゴヌクレオチド成分がBCR−ABL遺伝子のmRNA転写産
物中に存在するヌクレオチドの配列に相補的である2−
5A:AS分子を5mg/kgの用量で静脈内投与する。この用量
を薬学的に許容できる製剤上の担体溶液で投与し、そし
て投与を週に1回で6ヵ月間又は白血病の症状が被験者
にもはや存在しなくなるまで続ける。新生細胞を形成す
るコロニーの数が減少する。
実施例11:単純ヘルペス感染症の哺乳動物のキメラ分子
での治療 そのアンチセンスオリゴヌクレオチド成分が単純ヘル
ペス構造遺伝子のmRNA転写産物中に存在するヌクレオチ
ドの配列に相補的である2−5A:AS分子の5μM水溶液
約5mlをヒト被験者の唇上の単純ヘルペス潰瘍に局所適
用する。この溶液を潰瘍が治癒するまで1日に1回適用
する。
実施例12:眼のヘルペス感染症の哺乳動物のキメラ分子
での治療 そのアンチセンスオリゴヌクレオチド成分が単純ヘル
ペス構造遺伝子のmRNA転写産物中に存在するヌクレオチ
ドの配列に相補的である2−5A:AS分子の5μM水溶液
約5mlをヒト被験者の眼に局所適用して、被験者の眼の
単純ヘルペス感染症を治療する。この溶液を感染症が治
癒するまで1日に1回適用する。
実施例13:HIV感染症の哺乳動物のキメラ分子での治療 ヒト免疫不全ウィルスに感染していると診断されたヒ
ト被験者に、そのアンチセンスオリゴヌクレオチド成分
がrev遺伝子のmRNA転写産物中に存在するヌクレオチド
の配列に相補的である2−5A:AS分子の5.0mM水溶液5ml
を静脈内投与する。投与を週に2回、HIV複製が抑制さ
れるまで無期限に行う。
実施例14:再狭窄を体験している哺乳動物のキメラ分子
での治療 血管形成術を受けた哺乳動物に、そのアンチセンスオ
リゴヌクレオチド成分がプロトオンコ遺伝子c−mybのm
RNA転写産物中に存在するヌクレオチドの配列に相補的
である2−5A:AS分子を50mg/kgの用量で、薬学的に許容
できる製剤上の担体溶液で静脈内投与する。血管形成術
後すぐに投与し、そして週に1回で6週間又は血管形成
術の部位の平滑筋細胞がもはや増殖しなくなるのに必要
なだけ投与する。
実施例15:静脈内又は局所送達用のキメラ分子組成物の
調製 約25mgの配列番号6を、50μl DMSOを含む5mlの食
塩加リン酸緩衝液(pH6)に溶解させる。
本明細書中に引用した文献は、参照によって本明細書
中に組み入れられたものとする。加えて、本明細書中で
言及したキメラ分子の配列は、以下の表3又は配列表の
いずれか又は両方に見出すことができる。一定の具体的
態様によって本発明を説明してきたが、本発明の範囲は
かかる具体的態様によって限定されないと考える。例え
ば、2−5A依存性RNアーゼを用いることによって本法を
説明しているが、他のRNアーゼであって、RNAを分解で
きるようにするため又はかかるRNアーゼのRNA分解能力
を実質的に向上させるため活性化物質を必要とするRNア
ーゼが存在すると考えられる。かくして、活性化物質を
必要とするRNアーゼを、かかる活性化物質をアンチセン
スオリゴヌクレオチドに結合させてからそのオリゴヌク
レオチドをRNAのセンス鎖にハイブリダイズさせること
によって、RNAのセンス鎖を特異的に切断するように仕
向けることができると考えられる。
更に、本発明の方法に用いられるキメラ分子のアンチ
センスオリゴヌクレオチド成分の配列及び性質は、本明
細書に示したかかる部分の具体例に限定されない。従っ
て、当業者は、他のRNアーゼの活性化物質を用いるため
並びに他のアンチセンスオリゴヌクレオチド用いるため
に、本法を本発明の範囲内で修飾できることが分かるで
あろう。加えて、当業者は、本発明の範囲を逸脱するこ
となしに、別の試薬、投与方法、及び他のパラメーター
を用いることができることを理解するであろう。従っ
て、上に詳記した具体的態様は、説明だけを意図したも
のであって限定を意図したものではない。
* ヌクレオチド配列を表すために、本明細書の他の箇
所のように、この表では、5'GTA....TCT G3'表記法を用
いている。5'及び3'はそれぞれヌクレオチド配列の5'末
端及び3'末端を表す。
配列表 配列番号:1 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA ハイポセティカル:No アンチセンス:Yes 配列の特徴 特徴を表す記号:2',5'−結合テトラアデニレート 存在位置:1 to 4 特徴を決定した方法: 他の情報:2'および5'炭素のヒドロキシル基でホスホ
ジエステル結合を介して結合されたヌクレオチド 配列 配列番号:2 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA ハイポセティカル:No アンチセンス:Yes 配列の特徴 特徴を表す記号:2',5'−結合テトラアデニレート 存在位置:1 to 4 特徴を決定した方法: 他の情報:2'および5'炭素のヒドロキシル基でホスホ
ジエステル結合を介して結合されたヌクレオチド 配列 配列番号:3 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA ハイポセティカル:No アンチセンス:Yes 配列
フロントページの続き (73)特許権者 999999999 ザ クリーブランド クリニック リサ ーチ インスティテュート アメリカ合衆国 44195 オハイオ州 クリーブランド,ユークリッド アベニ ュー 9500番地 デパートメント オブ キャンサー バイオロジー ―エヌエ ヌ10 (72)発明者 トランス,ポール アメリカ合衆国 20877 メリーランド 州 ゲイサースバーグ,ブルックス ア ベニュー#5 206番地 (72)発明者 シルバーマン,ロバート アメリカ合衆国 44122 オハイオ州 シェーカー ハイツ,ハードウィック ロード 23199番地 (72)発明者 メイトラ,ラタン アメリカ合衆国 44121 オハイオ州 サウス ユークリッド,ジェネシー ロ ード 1484番地 (72)発明者 レシアク,クリスティーナ アメリカ合衆国 20879 メリーランド 州 ゲイサースバーグ,ブラッシー コ ート 15番地 (56)参考文献 Nature,Vol.289(1981) p.414−7 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) BIOSIS/WPI(DIALOG) PubMed

Claims (39)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の工程:RNA鎖を、該RNA鎖に相補的なア
    ンチセンスオリゴヌクレオチド成分および該アンチセン
    スオリゴヌクレオチド成分に結合された2−5A依存性RN
    アーゼの活性化剤を含むキメラ分子とハイブリダイズさ
    せて、該RNA鎖と該キメラ分子との複合体を形成させる
    こと、および該複合体を2−5A依存性RNアーゼの存在下
    で反応させ、これにより該RNA鎖を特異的に切断するこ
    と、を含む、RNA鎖の特異的切断方法であって、ヒト体
    内における方法を除くRNA鎖の特異的切断方法。
  2. 【請求項2】キメラ分子が、RNA鎖に相補的なアンチセ
    ンスオリゴヌクレオチドを作製し、該アンチセンスオリ
    ゴヌクレオチドを2−5A依存性RNアーゼの活性化剤に結
    合させて、該アンチセンスオリゴヌクレオチドと該活性
    化剤から成るキメラ分子を得ることを含む方法により作
    製される、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】前記の活性化剤が2',5'−オリゴヌクレオ
    チドまたはその類似体である、請求項1または2に記載
    の方法。
  4. 【請求項4】前記の活性化剤が2',5'−オリゴヌクレオ
    チドから成る、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】前記の活性化剤が2−5Aから成る、請求項
    4に記載の方法。
  6. 【請求項6】前記の2−5Aがp5'A2'p5'A2'p5'A2'p5'Aで
    ある、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】前記のRNA鎖が細胞内のmRNAである、請求
    項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】次の工程:細胞を、該細胞内に含まれるRN
    A鎖に結合またはアニールすることができるアンチセン
    ス成分および該アンチセンス成分に結合された2−5A依
    存性RNアーゼの活性化剤を含むキメラ分子と接触させる
    こと、該キメラ分子を細胞の中へ通過させること、およ
    びその後、該キメラ分子とRNA鎖とを2−5A依存性RNア
    ーゼの存在下で反応させ、これにより該RNA鎖の切断を
    引き起こすこと、を含む、2−5A依存性RNアーゼを含有
    する細胞内に含まれるRNA鎖の特異的切断方法であっ
    て、ヒト体内における方法を除くRNA鎖の特異的切断方
    法。
  9. 【請求項9】前記の活性化剤が2',5'−オリゴヌクレオ
    チドまたはその類似体である請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】前記の活性化剤が2−5Aから成る、請求
    項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】前記の2−5Aがp5'A2'p5'A2'p5'A2'p5'A
    である、請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】前記のキメラ分子を0.1〜100μMの濃度
    で細胞と接触させる、請求項7から10のいずれか1項に
    記載の方法。
  13. 【請求項13】前記のキメラ分子を約1.0〜5.0μMの濃
    度で細胞と接触させる、請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】細胞内に含まれるRNA鎖の一本鎖領域に
    結合またはアニールすることができるアンチセンス成分
    を同定する工程をさらに含む、請求項8から10および12
    のいずれか1項に記載の方法。
  15. 【請求項15】前記のアンチセンス成分がアンチセンス
    オリゴヌクレオチドである、請求項8から10、12および
    14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 【請求項16】細胞内に含まれる前記のRNA鎖ががん遺
    伝子またはがん原遺伝子のRNA転写物である、請求項8
    に記載の方法。
  17. 【請求項17】細胞内に含まれる前記のRNA鎖がウイル
    ス性タンパク質のRNA転写物である、請求項8に記載の
    方法。
  18. 【請求項18】細胞内に含まれる前記のRNA鎖がRNAウイ
    ルスのゲノムである、請求項8に記載の方法。
  19. 【請求項19】被検者の少なくとも一部の細胞内に含ま
    れるRNA鎖が医学的症状の発症に関与している、該医学
    的症状を治療するためのキメラ分子および薬理学的に許
    容される担体を含有する医薬組成物であって、該キメラ
    分子が被検者の細胞内の該RNA鎖にアニールまたは結合
    することができるアンチセンス成分および該アンチセン
    ス成分に結合された2−5A依存性RNアーゼの活性化剤を
    含むものである、組成物。
  20. 【請求項20】前記の活性化剤が2',5'−オリゴヌクレ
    オチドまたはその類似体である請求項19に記載の組成
    物。
  21. 【請求項21】前記の活性化剤が2',5'−オリゴヌクレ
    オチドである、請求項20に記載の組成物。
  22. 【請求項22】前記の活性化剤が2−5Aから成る、請求
    項21に記載の組成物。
  23. 【請求項23】前記の2−5Aがp5'A2'p5'A2'p5'A2'p5'A
    である、請求項22に記載の組成物。
  24. 【請求項24】前記のアンチセンス成分がアンチセンス
    オリゴヌクレオチドである、請求項19から21のいずれか
    1項に記載の組成物。
  25. 【請求項25】前記のRNA鎖がmRNAである、請求項19か
    ら21および24のいずれか1項に記載の組成物。
  26. 【請求項26】前記のアンチセンス成分と結合またはア
    ニールすることができるRNA鎖の一本鎖領域が、該アン
    チセンス成分とのアニーリングまたは結合の標的とな
    る、請求項19に記載の組成物。
  27. 【請求項27】前記のRNA鎖ががん遺伝子またはがん原
    遺伝子のRNA転写物である、請求項19に記載の組成物。
  28. 【請求項28】前記のRNA鎖がウイルス性タンパク質のR
    NA転写物である、請求項19に記載の組成物。
  29. 【請求項29】細胞内に含まれる前記のRNA鎖がRNAウイ
    ルスのゲノムである、請求項19に記載の組成物。
  30. 【請求項30】薬理学的に許容される担体が静脈内に、
    局所的に、または希望する組織への直接注入により投与
    するのに適している、請求項19に記載の組成物。
  31. 【請求項31】前記の被検者がヒトである、請求項19か
    ら21、24および25のいずれか1項に記載の組成物。
  32. 【請求項32】2−5A依存性RNアーゼの活性化剤に結合
    された、切断の標的となるDNA鎖に相補的であるか、ま
    たは結合し得るオリゴヌクレオチドを含むアンチセンス
    成分を含むキメラ分子。
  33. 【請求項33】前記のアンチセンス成分が3',5'−オリ
    ゴヌクレオチドから成る、請求項32に記載のキメラ分
    子。
  34. 【請求項34】3',5'−オリゴヌクレオチドがデオキシ
    オリゴヌクレオチドである、請求項33に記載のキメラ分
    子。
  35. 【請求項35】前記の活性化剤が2',5'−オリゴヌクレ
    オチドまたはその類似体である、請求項32から34のいず
    れか1項に記載のキメラ分子。
  36. 【請求項36】前記の活性化剤が2−5Aから成る、請求
    項35に記載のキメラ分子。
  37. 【請求項37】前記のキメラ分子が5'−チオホスフェー
    ト基を含むように修飾されている、請求項32から36のい
    ずれか1項に記載のキメラ分子。
  38. 【請求項38】前記のキメラ分子が3'−テイル部分を含
    むように修飾されている、請求項32から37のいずれか1
    項に記載のキメラ分子。
  39. 【請求項39】前記の3'−テイル部分がアルキルアミン
    基から成る、請求項38に記載のキメラ分子。
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