JP3526260B2 - 記録装置及び再生装置 - Google Patents

記録装置及び再生装置

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JP3526260B2
JP3526260B2 JP2000202475A JP2000202475A JP3526260B2 JP 3526260 B2 JP3526260 B2 JP 3526260B2 JP 2000202475 A JP2000202475 A JP 2000202475A JP 2000202475 A JP2000202475 A JP 2000202475A JP 3526260 B2 JP3526260 B2 JP 3526260B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は記録装置及び再生装
置に関し、例えばオーディオ信号を高い標本化周波数で
ディジタル信号に変換して磁気テープに記録するディジ
タルオーディオテープレコーダに適用し得る。
【0002】
【従来の技術】従来、ディジタルオーディオテープレコ
ーダにおいては、オーディオ信号をディジタル信号に変
換して磁気テープに記録することにより、高音質のオー
ディオ信号を記録再生し得るようになされている。
【0003】すなわちこのディジタルオーディオテープ
レコーダは、順次入力されるオーディオ信号を標本化周
波数48〔kHz〕、又は44.1〔kHz〕でサンプリングして
アナログディジタル変換処理することにより、このオー
ディオ信号を16ビットのディジタル信号に変換する。
【0004】ここで周波数20〔Hz〕から20〔kHz〕の帯
域が人間の可聴周波数帯域と言われていることにより、
このように標本化周波数を選定してディジタルオーディ
オテープレコーダは、人間の可聴周波数帯域とほぼ等し
い周波数帯域で、オーディオ信号をディジタル信号に変
換するようになされている。
【0005】さらにディジタルオーディオテープレコー
ダは、このディジタル信号を所定ブロック単位に分割し
た後、このブロック単位で誤り訂正符号を付加すると共
にインターリーブ処理し、これにより記録データを形成
する。これによりディジタルオーディオテープレコーダ
は、この記録データで磁気ヘッドを駆動し、これにより
この記録データを順次磁気テープに記録するようになさ
れている。
【0006】かくしてディジタルオーディオテープレコ
ーダは、再生時、磁気ヘッドから出力される再生信号を
2値データに変換した後、記録時と逆の処理手順を実行
して元のオーディオ信号を復調するようになされ、これ
により記録再生時の音質劣化を有効に回避し得るように
なされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところでこの種のディ
ジタルオーディオテープレコーダにおいては、回転ドラ
ムの回転速度を通常の2倍の回転速度に設定すると共
に、磁気テープ走行速度を通常の2倍の速度に設定する
ことにより、さらに一段と高音質のオーディオ信号を記
録再生し得るようになされたもの(以下倍速録音再生の
ディジタルオーディオテープレコーダと呼ぶ)が提案さ
れている。
【0008】この倍速録音再生のディジタルオーディオ
テープレコーダによれば、標本化周波数を通常のディジ
タルオーディオテープレコーダの2倍に設定することが
でき、その分録音再生可能な周波数帯域を通常のディジ
タルオーディオテープレコーダの2倍に拡大することが
できる。
【0009】従ってこの倍速録音再生のディジタルオー
ディオテープレコーダによれば、帯域制限に使用するア
ンチエリアシングフィルタの遮断周波数を可聴周波数帯
域に対して十分高い周波数に設定することができ、従来
のディジタルオーディオテープレコーダに比して、可聴
周波数帯域内の過渡特性の劣化を格段的に低減すること
ができる。
【0010】ところがこの倍速録音再生のディジタルオ
ーディオテープレコーダにおいて、録音再生可能な量子
化ビット数は、従来のディジタルオーディオテープレコ
ーダと同一のため、周波数特性を改善し得る反面、従来
のディジタルオーディオテープレコーダに比して振幅特
性は何ら改善されない欠点がある。
【0011】この倍速録音再生のディジタルオーディオ
テープレコーダの特性を有効に利用して振幅特性をも簡
易に向上することができれば、この種のディジタルオー
ディオテープレコーダの音質をさらに向上することがで
き、またこの種のディジタルオーディオテープレコーダ
の使い勝手を向上すると共に、適用分野も拡大し得ると
考えられる。
【0012】ところが倍速録音再生するディジタルオー
ディオテープレコーダにおいては、再生時データの転送
レートも通常のディジタルオーディオテープレコーダの
2倍になるため、ディジタルオーディオ信号について規
格化されたディジタルオーディオインターフェースで再
生データを転送する場合、転送に要する時間が2倍にな
る欠点がある。
【0013】これでは周波数特性を改善し、さらに振幅
特性を改善し得たとしても、再生したオーディオデータ
をリアルタイムで伝送し得なくなる問題がある。
【0014】本発明は以上の点を考慮してなされたもの
で、周波数特性の良い伝送路の特性を有効に利用して高
品質のオーディオ信号を伝送する際に、伝送されたオー
ディオデータの品質を損なうことなくリアルタイムで記
録再生することができる記録装置及び再生装置を提案し
ようとするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め本発明においては、入力される第1のサンプリング周
波数で量子化された量子化ビットがmビット(mは正の
整数)のディジタル信号を第1のサンプリング周波数よ
り低い第2のサンプリング周波数で量子化された量子化
ビットがnビット(n>m、nは正の整数)のディジタ
ル信号に変換する変換手段と、変換手段において変換さ
れた第2のサンプリング周波数で量子化された量子化ビ
ットがnビット(n>m、nは正の整数)のディジタル
信号の可聴周波数帯域の量子化ノイズを抑圧すると共に
nビットの量子化ビットを低減させるノイズシェーパ手
段と、ノイズシェーパ手段において可聴周波数帯域の量
子化ノイズを抑圧され、かつnビットの量子化ビットを
低減させられたディジタル信号を記録媒体に記録する記
録手段とを設けるようにした。
【0016】この結果、記録装置では、入力されるディ
ジタル信号を可聴周波数帯域で帯域制限した後、第2の
サンプリング周波数に変換して出力すれば、再量子化ノ
イズが可聴周波数帯域で抑圧されるようにノイズシェー
ピングした効果を維持して、かつ第2のサンプリング周
波数に変換して伝送されたディジタル信号を記録するこ
とができる。これによりノイズシェーピングして聴感上
の分解能を向上し得、かくして入力されたオーディオデ
ータの品質を損なうことなくリアルタイムで記録するこ
とができる。
【0017】また本発明においては、ノイズシェーパ手
段は、変換手段において変換された第2のサンプリング
周波数で量子化された量子化ビットがnビット(n>
m、nは正の整数)のディジタル信号とノイズフィルタ
手段から出力されるディジタル信号との差分を演算する
第1の演算手段と、第1の演算手段から出力されるディ
ジタル信号を再量子化する量子化手段と、量子化手段か
ら出力されるディジタル信号と第1の演算手段から出力
されるディジタル信号との差分を演算する第2の演算手
段とから構成され、第2の演算手段の出力をノイズフィ
ルタ手段に入力するようにした。
【0018】この結果、記録装置では、可聴周波数帯域
について振幅特性を抑圧し、その分可聴周波数帯域以上
の周波数帯域で振幅特性を強調するようにノイズフィル
タ手段の周波数特性を選定すれば、ノイズシェーパ手段
の出力データにおいては、可聴周波数の量子化ノイズを
抑圧し得る。
【0019】さらに本発明においては、ノイズシェーパ
手段は、変換手段において変換された第2のサンプリン
グ周波数で量子化された量子化ビットがnビット(n>
m、nは正の整数)のディジタル信号の周波数分布を分
析するエネルギー分析手段と、エネルギー分析手段の分
析結果に応じてノイズフィルタ手段の係数を決定する係
数決定手段とを設けるようにした。
【0020】この結果、記録装置では、入力されるディ
ジタル信号のエネルギーが高域又は低域に集中している
場合でも、当該エネルギーが集中する高域又は低域の量
子化ノイズを低減し、さらにこの量子化ノイズを可聴周
波数帯域以上に分布するように設定することができる。
【0021】さらに本発明においては、記録媒体から再
生された第1のサンプリング周波数で量子化された量子
化ビットがnビット(nは正の整数)のディジタル信号
を第1のサンプリング周波数より低い第2のサンプリン
グ周波数に変換するディジタルフィルタ手段と、ディジ
タルフィルタ手段で変換された第2のサンプリング周波
数の量子化ビットがnビット(nは正の整数)のディジ
タル信号を、当該nビットより高い量子化ビットがmビ
ット(m>n、mは正の整数)のディジタル信号に変換
するデシメーションフィルタ手段とを設けるようにし
た。
【0022】この結果、再生装置では、記録媒体から再
生されたディジタル信号を可聴周波数帯域で帯域制限し
た後、当該ディジタル信号よりも量子化ビットが高いデ
ィジタル信号に変換して出力すれば、再量子化ノイズが
可聴周波数帯域で抑圧されるようにノイズシェーピング
した効果を維持して、かつ標本化周波数に変換して伝送
されたディジタル信号を再生し得る。これによりノイズ
シェーピングして聴感上の分解能を向上し得、かくして
伝送されたオーディオデータの品質を損なうことなくリ
アルタイムで再生することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下図面について、本発明の一実
施の形態を詳述する。
【0024】(1)実施の形態の構成 図1において、1は全体としてディジタルオーディオテ
ープレコーダを示し、倍速録音再生のディジタルオーデ
ィオテープレコーダ2を用いてオーディオ信号S1を記
録し、さらに記録したオーディオ信号S2を再生する。
【0025】すなわちディジタルオーディオテープレコ
ーダ1は、入力端子3を介してアナログオーディオ信号
S1をローパスフィルタ(LPF)4に入力し、ここで
通常のディジタルオーディオテープレコーダの場合に比
して2倍の周波数帯域で帯域制限して出力する。
【0026】さらにディジタルオーディオテープレコー
ダ1は、このローパスフィルタ4の出力信号をアナログ
ディジタル変換回路(A/D)5に入力し、ここでディ
ジタル信号に変換する。
【0027】ここでこの実施例の場合、倍速録音再生の
ディジタルオーディオテープレコーダ2は、標本化周波
数2fS (2fS =96〔kHz〕)のディジタルオーディ
オ信号を記録再生し得るように形成され、アナログディ
ジタル変換回路5の標本化周波数は、このディジタルオ
ーディオテープレコーダ2の標本化周波数の32倍の周波
数(すなわち通常のディジタルオーディオテープレコー
ダの標本化周波数をfS で表せば、64fS の周波数でな
る)に選定されるようになされている。
【0028】これによりディジタルオーディオテープレ
コーダにおいては、可聴周波数帯域の上限周波数に対し
て、さらには倍速録音再生のディジタルオーディオテー
プレコーダ2の記録可能な上限周波数に対して、標本化
周波数を充分高い周波数に選定してオーディオ信号の音
質劣化を有効に回避し得るようになされている。
【0029】さらにディジタルオーディオテープレコー
ダ1は、このアナログディジタル変換回路5の出力デー
タD1をデシメーションフィルタ6に出力し、ここで標
本化周波数を低減すると共に、その分出力データのビッ
ト数を増大し、これによりこのディジタルオーディオ信
号D1を標本化周波数2fS 20ビットのディジタルオー
ディオ信号D2に変換する。
【0030】これによりディジタルオーディオテープレ
コーダ1は、このデシメーションフィルタ6でディジタ
ルオーディオ信号D1の周波数帯域を、倍速録音再生の
ディジタルオーディオテープレコーダ2で記録可能な周
波数帯域に低減するようになされている。
【0031】かくして倍速録音再生のディジタルオーデ
ィオテープレコーダ2を使用すれば、標本化周波数2f
S (96〔kHz〕)、16ビットのディジタルオーディオ信
号を記録再生し得、これにより記録再生可能な周波数帯
域を通常のディジタルオーディオテープレコーダの2倍
に拡大することができる。
【0032】これに対してディジタルオーディオテープ
レコーダ1は、デシメーションフィルタ6の出力データ
D2をノイズシェーパ7に出力し、ここでこのディジタ
ル信号のビット数を16ビットに低減する。
【0033】これによりディジタルオーディオテープレ
コーダ1は、このノイズシェーパ7の出力データを倍速
録音再生のディジタルオーディオテープレコーダ2に出
力して記録することにより、従来のディジタルオーディ
オテープレコーダで記録可能な周波数帯域に比して、周
波数帯域を2倍に拡大してオーディオ信号S1を記録す
る。
【0034】さらにこの実施例においては、ノイズシェ
ーパ7でオーディオデータD2のビット数を低減する
際、いわゆるノイズシェーピングの手法を適用して聴感
上の分解能を改善する。
【0035】すなわち図2に示すように、ノイズシェー
パ7は、順次入力される入力データD2を量子化器9に
入力し、ここでこの入力データD2を再量子化して出力
データD3に変換するようになされ、これにより20ビッ
トの入力データD2を16ビットの出力データD3に変換
する。
【0036】このときノイズシェーパ7は、量子化器9
で再量子化する際に発生する量子化誤差データDZを減
算回路10で検出し、ノイズフィルタ11を介してこの
誤差データDZを減算回路12に出力する。
【0037】さらにノイズシェーパ7は、減算回路12
において、入力データD1から誤差データDZを減算
し、これにより量子化器9で再量子化する際の量子化ノ
イズをノイズフィルタ11の周波数特性で決まる特性に
設定し得るようになされている。
【0038】すなわち図3に示すように、可聴周波数帯
域について振幅特性を抑圧し、その分可聴周波数帯域以
上の周波数帯域で振幅特性を強調するようにノイズフィ
ルタ11の周波数特性を選定すれば、ノイズシェーパ7
の出力データD3においては、可聴周波数帯域の量子化
ノイズを抑圧し得る。
【0039】すなわちディジタルオーディオテープレコ
ーダ1においては、量子化ノイズを可聴周波数帯域以上
の帯域に追いやり得、これにより量子化ノイズが可聴周
波数帯域の上限周波数以上に分布するように形成し得
る。これにより再量子化の際の量子化のノイズを聴感上
低減することができる。
【0040】従ってディジタルオーディオテープレコー
ダ1においては、入力されたオーディオ信号S1を単に
標本化周波数2fS 、16ビットのディジタルオーディオ
信号に変換してディジタルオーディオテープレコーダ2
で記録する場合に比して、可聴周波数帯域内で記録可能
なビット数以上の分解能を聴感上得ることができる。
【0041】これによりディジタルオーディオテープレ
コーダ1は、可聴周波数帯域の2倍の周波数帯域を記録
再生することができる倍速録音再生のディジタルオーデ
ィオテープレコーダ2の特性を有効に利用して高音質の
オーディオ信号を記録再生することができる。
【0042】さらにこの実施例において、ディジタルオ
ーディオテープレコーダ1は、図4に示すように具体的
にノイズシェーパ7を形成し、これにより適応予測符号
化の手法を適用してさらに一段と聴感上のノイズを低減
する。すなわちノイズシェーパ7は、入力データD2を
エネルギー分析器14に入力し、ここで所定の時間窓関
数で入力データD2を累積加算することにより、入力デ
ータD2の周波数分布を検出する。
【0043】係数算出器15は、エネルギー分析器14
の検出結果に基づいて、ノイズフィルタ11の係数を切
り換えることにより、入力データD2の周波数特性に対
応して、出力データD2の量子化ノイズが低減するよう
に、さらにこの量子化ノイズを可聴周波数帯域以上に追
いやるように、ノイズフィルタ11の特性を切り換え
る。
【0044】すなわち図5に示すように、係数算出器1
5は、入力信号でなる入力データD1のエネルギーが低
域に集中している場合、図6に示すように低域の量子化
ノイズを低減するようにノイズフィルタ11の係数を設
定し、これにより出力データD2の量子化ノイズを低減
し、さらにこの量子化ノイズが可聴周波数帯域以上に分
布するように設定する。
【0045】これに対して図7に示すように、高域にエ
ネルギーが集中している場合、係数算出器15は、図8
に示すように、低域より中高域の量子化ノイズを低減す
るようにノイズフィルタ11の係数を設定し、これによ
り出力データD2の量子化ノイズを低減し、さらにこの
量子化ノイズが可聴周波数帯域以上に分布するように設
定する。
【0046】これに対して倍速録音再生のディジタルオ
ーディオテープレコーダ2は、回転ドラムの回転速度及
び磁気テープの走行速度を通常のディジタルオーディオ
テープレコーダの2倍の速度に設定し、さらに全体の信
号処理速度を通常のディジタルオーディオテープレコー
ダの2倍の速度に設定するようになされ、これによりノ
イズシェーパ7から出力される標本化周波数96〔kH
z〕、16ビットのディジタルオーディオ信号D3を順次
磁気テープに記録する。
【0047】これに対して再生時、ディジタルオーディ
オテープレコーダ2は、記録時と同様の処理速度で動作
し、これにより順次磁気ヘッドから出力される再生信号
を処理して標本化周波数96〔kHz〕、16ビットのディジ
タルオーディオ信号D4を出力する。
【0048】オーバーサンプリングフィルタ17は、こ
のディジタルオーディオ信号D4を帯域制限して出力
し、ディジタルアナログ変換回路18は、このフィルタ
17の出力データをアナログ信号に変換して出力する。
【0049】これによりディジタルオーディオテープレ
コーダ1は、このアナログ信号をローパスフィルタ19
を介して出力することにより、オーディオ信号S2を再
生することができ、このときこのオーディオ信号S2に
おいては、量子化ノイズが可聴周波数帯域で抑圧するよ
うに、かつ適応予測符号化の手法を適用してこの量子化
ノイズを低減したことにより、単に倍速録音再生のディ
ジタルオーディオテープレコーダ2を用いてオーディオ
信号を記録再生する場合に比して音質を格段的に向上す
ることができる。
【0050】ところでこのようにして再生されたオーデ
ィオデータをディジタル信号の形式で伝送する場合、倍
速録音再生のディジタルオーディオテープレコーダ2か
ら出力される再生データD4を伝送したのでは、この種
のディジタル機器について規格化されたディジタルオー
ディオインターフェースを使用し得なくなる。
【0051】このためこの実施例において、ディジタル
オーディオテープレコーダ1は、標本化周波数2fS
16ビットのディジタル信号D4をディジタルオーディオ
インターフェースの規格を満足する標本化周波数fS
20ビットのディジタル信号D6に変換して出力する。
【0052】さらにこの変換の際、ディジタルオーディ
オテープレコーダ1は、ディジタルフィルタ20を用い
てディジタル信号D4を帯域制限した後、デシメーショ
ンフィルタ21を用いて標本化周波数fS を低減するこ
とにより、ディジタル信号D4の品質を損なうことなく
ディジタル信号D6に変換し得るようになされている。
【0053】すなわちディジタルフィルタ20は、ディ
ジタルオーディオテープレコーダ2から出力される標本
化周波数2fS 、16ビットのディジタル信号D4を入力
し、順次連続するオーディオデータ間で畳込み演算処理
することにより、このディジタル信号D4の帯域を可聴
周波数帯域である周波数24〔kHz〕に帯域制限する。
【0054】このときディジタルフィルタ20は、この
畳込み演算の際に得られる演算処理結果の上位20ビット
を続くデシメーションフィルタ21に出力することによ
り、ディジタル信号D4のビット数を20ビットに拡大し
て出力する。
【0055】これにより図9に示すように、可聴周波数
帯域以上に量子化ノイズが分布するディジタル信号D4
においては、図10に示すように、周波数24〔kHz〕以
上の量子化ノイズが抑圧され、続くデシメーションフィ
ルタ21に出力されることになる。
【0056】デシメーションフィルタ21は、このディ
ジタルフィルタ20の出力データD5を選択的に出力す
ることにより、この出力データD5をディジタルオーデ
ィオインターフェースに適合した標本化周波数48〔kH
z〕、20ビットのオーディオデータD6に変換して出力
する。
【0057】これによりこのオーディオデータD6にお
いては、図11に示すように、周波数48〔kHz〕から量
子化ノイズが折り返すようになり、このとき予めディジ
タルフィルタ20で帯域制限したことにより、可聴周波
数帯域内においては、ノイズシェーピングの効果を維持
することができる。
【0058】すなわち単にディジタルオーディオテープ
レコーダ2から出力されるディジタル信号D4を標本化
周波数48〔kHz〕のオーディオ信号に変換した場合、デ
ィジタル信号D4の可聴周波数帯域外に分布する量子化
ノイズまで折り返しノイズとして可聴周波数帯域に混入
することになる。
【0059】すなわち記録時、ノイズシェーピングして
可聴周波数帯域外に追いやった量子化ノイズが可聴周波
数帯域に混入することになり、ディジタルオーディオイ
ンターフェースを介して伝送するオーディオデータにお
いては、ノイズシェーピングの効果が全く得られなくな
る。
【0060】これに対してこの実施例のように、可聴周
波数帯域で帯域制限した後、標本化周波数48〔kHz〕の
オーディオ信号に変換すれば、ノイズシェーピングの効
果を維持しつつディジタルオーディオインターフェース
を介してディジタル信号D6を伝送することができ、こ
れにより周波数特性の良い伝送路の特性を有効に利用し
て高品質のオーディオ信号を伝送する際に、伝送された
オーディオ信号の品質を損なうことなくリアルタイムで
送出することができる。
【0061】かくしてこのようにしてディジタルオーデ
ィオインターフェースを介して伝送されるオーディオデ
ータD6においても、ディジタルオーディオテープレコ
ーダ2の記録再生ビットである16ビット以上のビット分
解能を聴感上得ることができる。
【0062】(2)実施の形態による効果 以上の構成によれば、ノイズシェーピングの手法を適用
して量子化ノイズが可聴周波数帯域以上に分布するよう
に再量子化して記録したオーディオデータを再生する際
に、再生データを可聴周波数帯域で帯域制限した後、デ
ィジタルオーディオインターフェースの標本化周波数に
変換することにより、ノイズシェーピングの効果を維持
してオーディオデータを送出することができ、これによ
り再生されたオーディオ信号の品質を損なうことなくリ
アルタイムで送出することができる。
【0063】(3)他の実施の形態 なお上述の実施の形態においては、時間窓関数を使用し
てディジタル信号D2のエネルギー分布を検出する場合
について述べたが、本発明はこれに限らず、ディジタル
信号D2を帯域分割してエネルギー分布を検出する場
合、さらには高速フーリエ変換の手法を適用する場合
等、種々のエネルギー分布検出手法を広く適用すること
ができる。
【0064】さらに上述の実施の形態においては、ノイ
ズシェーピングするだけでなく、併せて適応予測符号化
の手法を適用してオーディオ信号を記録する場合につい
て述べたが、本発明はこれに限らず、これに加えてプリ
エンファシス回路及びデイエンファシス回路を使用して
さらに音質を向上するようにしてもよい。
【0065】さらに上述の実施の形態においては、本発
明をディジタルオーディオテープレコーダに適用してデ
ィジタルオーディオ信号を記録再生する場合について述
べたが、本発明はこれに限らず、光デイスク等の記録媒
体を介してディジタルオーディオ信号を記録再生する場
合、さらにはこのような記録媒体以外の種々の伝送路を
介してオーディオ信号を伝送する場合に広く適用するこ
とができる。
【0066】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、入力され
るディジタル信号を可聴周波数帯域で帯域制限した後、
第2のサンプリング周波数に変換して出力することによ
り、再量子化ノイズが可聴周波数帯域で抑圧されるよう
にノイズシェーピングした効果を維持して、かつ第2の
サンプリング周波数に変換して伝送されたディジタル信
号を記録することができ、ノイズシェーピングして聴感
上の分解能を向上し得、かくして入力されたオーディオ
データの品質を損なうことなくリアルタイムで記録する
ことができる記録装置を実現し得る。
【0067】また本発明によれば、記録媒体から再生さ
れたディジタル信号を可聴周波数帯域で帯域制限した
後、当該ディジタル信号よりも量子化ビットが高いディ
ジタル信号に変換して出力することにより、再量子化ノ
イズが可聴周波数帯域で抑圧されるようにノイズシェー
ピングした効果を維持して、かつ標本化周波数に変換し
て伝送されたディジタル信号を再生することができ、ノ
イズシェーピングして聴感上の分解能を向上し得、かく
して伝送されたオーディオデータの品質を損なうことな
くリアルタイムで再生することができる再生装置を実現
し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるディジタルオーディオ
テープレコーダを示すブロック図である。
【図2】そのノイズシェーパを示すブロック図である。
【図3】そのフィルタの特性を示す特性曲線図である。
【図4】ノイズシェーパの具体的構成を示すブロック図
である。
【図5】エネルギーが低域に集中している場合を示す特
性曲線図である。
【図6】その場合のフィルタの周波数特性を示す特性曲
線図である。
【図7】高域にエネルギーが集中している場合を示す特
性曲線図である。
【図8】その場合のフィルタの周波数特性を示す特性曲
線図である。
【図9】ディジタルオーディオテープレコーダ2から出
力されるディジタル信号の説明に供する特性曲線図であ
る。
【図10】ディジタルフィルタの動作の説明に供する特
性曲線図である。
【図11】デシメーションフィルタの動作の説明に供す
る特性曲線図である。
【符号の説明】
1、2、20……ディジタルオーディオテープレコー
ダ、4、19……ローパスフィルタ、5……アナログデ
ィジタル変換回路、6……デシメーションフィルタ、7
……ノイズシェーパ、17……オーバーサンプリングフ
ィルタ、18……ディジタルアナログ変換回路、9……
量子化器、11……ノイズフィルタ、14……エネルギ
ー分析回路、15……フィルタ係数算出回路、20……
ディジタルフィルタ、21……デシメーションフィル
タ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 誠 東京都品川区北品川6丁目7番35号ソニ ー株式会社内 (72)発明者 植木 正明 東京都品川区北品川6丁目7番35号ソニ ー株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−72908(JP,A) 特開 平4−28059(JP,A) 特開 平2−5266(JP,A) 特開 昭62−29219(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 20/10 H03M 7/36

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力される第1のサンプリング周波数で量
    子化された量子化ビットがmビット(mは正の整数)の
    ディジタル信号を上記第1のサンプリング周波数より低
    い第2のサンプリング周波数で量子化された量子化ビッ
    トがnビット(n>m、nは正の整数)のディジタル信
    号に変換する変換手段と、 上記変換手段において変換された第2のサンプリング周
    波数で量子化された量子化ビットがnビット(n>m、
    nは正の整数)のディジタル信号の可聴周波数帯域の量
    子化ノイズを抑圧すると共に上記nビットの量子化ビッ
    トを低減させるノイズシェーパ手段と、 上記ノイズシェーパ手段において可聴周波数帯域の量子
    化ノイズを抑圧され、かつ上記nビットの量子化ビット
    を低減させられたディジタル信号を記録媒体に記録する
    記録手段とを具えることを特徴とする記録装置。
  2. 【請求項2】上記ノイズシェーパ手段は、 上記変換手段において変換された第2のサンプリング周
    波数で量子化された量子化ビットがnビット(n>m、
    nは正の整数)のディジタル信号とノイズフィルタ手段
    から出力されるディジタル信号との差分を演算する第1
    の演算手段と、 上記第1の演算手段から出力されるディジタル信号を再
    量子化する量子化手段と、 上記量子化手段から出力されるディジタル信号と上記第
    1の演算手段から出力されるディジタル信号との差分を
    演算する第2の演算手段とから構成され、 上記第2の演算手段の出力を上記ノイズフィルタ手段に
    入力することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 【請求項3】上記ノイズシェーパ手段は、 上記変換手段において変換された第2のサンプリング周
    波数で量子化された量子化ビットがnビット(n>m、
    nは正の整数)のディジタル信号の周波数分布を分析す
    るエネルギー分析手段と、 上記エネルギー分析手段の分析結果に応じて上記ノイズ
    フィルタ手段の係数を決定する係数決定手段とを具える
    ことを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
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