JP3522343B2 - クラウニング面形成方法 - Google Patents

クラウニング面形成方法

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JP3522343B2 JP18452994A JP18452994A JP3522343B2 JP 3522343 B2 JP3522343 B2 JP 3522343B2 JP 18452994 A JP18452994 A JP 18452994A JP 18452994 A JP18452994 A JP 18452994A JP 3522343 B2 JP3522343 B2 JP 3522343B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械部品等におけるク
ラウニング面、なかでもとくに、トロイダル型無段変速
機におけるパワーローラ側に凸となるクラウニング面を
有するパワーローラ支持部材を製造するのに好適なクラ
ウニング面形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】クラウニング面を有する機械部品とし
て、例えば、トラクションドライブ式のトロイダル型無
段変速機におけるパワーローラ支持部材があり、このよ
うなパワーローラ支持部材は、特願平6−41139号
明細書および図面において記載されたものがある。
【0003】図7および図8は、それぞれトロイダル型
無段変速装置の横断面図および縦断面図であって、図7
の右側に配置される図示しないエンジンの出力は、これ
もまた図示しないトルクコンバータを介して入力軸14
に伝達される。この入力軸14上には入力ディスク16
および出力ディスク18のそれぞれが配置され、これら
の両ディスク16,18の、相互に対向するトロイダル
曲面16a,18aのそれぞれには、パワーローラ20
が押し付け配置されている。ここで、パワーローラ20
は、入力軸14に対して対称位置に配置した2個で一対
をなす。
【0004】各パワーローラ20は、入力ディスク16
および出力ディスク18に接触する内輪20aと、この
内輪20aに、ベアリングボール20bを介して接触す
る外輪20cとからなり、このようなパワーローラ20
は、偏心軸22を介してパワーローラ支持部材24に、
その背面から支持されている。
【0005】また、それぞれのパワーローラ20を支持
するそれぞれのパワーローラ支持部材24は、図8に示
すように、パワーローラ20の回転軸線20dと直交す
る傾転軸線24aの回りでそれらの回動(以下「傾転」
という)運動を許容すべく、図では上下の端部分をそれ
ぞれの球面軸受26,28によって軸支されており、そ
して、上端球面軸受26の相互および、下端球面軸受2
8の相互は、主には、両パワーローラ支持部材24の間
隔を所期した通りに維持すべく機能するそれぞれのリン
ク30,32によって連結されている。なおここで、そ
れぞれのリンク30,32は、それらの中央部をそれぞ
れのリンクポスト34,36によって、ケーシング10
0および、後述する変速制御弁のバルブボディ38に連
結されている。
【0006】各パワーローラ支持部材24の下端部に
は、傾転軸線24aと同軸をなす延長軸40が設けら
れ、この延長軸40には、液圧アクチュエータ42のピ
ストン42aが取付けられている。このピストン42a
は、前記バルブボディ38に設けられたシリンダ内に嵌
合されて、それの上下側に、それぞれの油室42b,4
2cを区画する。さらにまた、両パワーローラ支持部材
24のいずれか一方、図では左側に位置するパワーロー
ラ支持部材24の、延長軸40の下端には、そのパワー
ローラ支持部材24と一体に回動するプリセスカム44
が取付けられており、このプリセスカム44のカム面に
はL字状に折曲された中間部を枢支したカムリンク46
の一端が当接されている。なお、そのカムリンク46の
他端は、調整ねじ48を介して変速制御弁50のスプー
ル52に当接されている。
【0007】ここで、バルブボディ38に設けられた変
速制御弁50は、スプール52に加え、変速指令手段と
してのステップモータ54により、ピニオン56を介し
て軸線方向に移動されるラック軸58と、このラック軸
58の先端部に連結されてスプール52に摺動可能に嵌
まり合うスリーブ60とを備えている。
【0008】このような変速制御弁50において、ステ
ップモータ54を、増速比方向もしくは減速比方向へ正
もしくは逆回転させると、スリーブ60とスプール52
との協働下で、液圧アクチュエータ42に連通される2
つのポート62,64と、ライン圧導入ポート66との
連通および遮断が行なわれる。ここにおいて、ポート6
2は、図の右側の液圧アクチュエータ42の下側油室4
2cおよび、左側液圧アクチュエータ42の上側油室4
2bのそれぞれに連通されており、ポート64は、それ
ぞれの液圧アクチュエータ42の、上述したとは逆の図
の左側の液圧アクチュエータ42の下側油室42cおよ
び、右側液圧アクチュエータ42の上側油室42bにそ
れぞれ連通されている。
【0009】これがため、変速比を変化させるべく、ス
テップモータ54を駆動して、スリーブ60をスプール
52に対して相対変位させると、その変位方向に応じて
ライン圧がポート62,64のいずれか一方に供給さ
れ、そのライン圧は、左右のパワーローラ支持部材24
を、図示の中立位置から上下逆方向へ相対変位させる。
そしてこの結果として、2個一対のパワーローラ20
は、傾転軸線24aの回りに傾転して、入出力ディスク
間での無段変速が行なわれる。
【0010】このような、トラクションドライブ式のト
ロイダル型無段変速機においては、動力伝達のために、
パワーローラ20からパワーローラ支持部材24へ相当
大きな押し付け力がかかり、そのため、パワーローラ支
持部材24の支持面がパワーローラ20に対して凹状
(弓型状)に変形する。パワーローラ支持部材24が変
形すると、各パワーローラ20にかかる荷重が不均一と
なるため、パワーローラ20の耐久性が低下するという
問題がある。
【0011】この問題を解決するために、あらかじめパ
ワーローラ支持部材24の支持面がパワーローラ20側
に凸となるクラウニングを有する面として形成してお
く。こうしておけば、パワーローラ20からの荷重が加
わった際にクラウニング面が変形して平面となって、各
パワーローラ20にかかる荷重が不均一となるのを防ぐ
ことができるため、パワーローラ20の耐久性が低下す
るという問題が解消される。
【0012】従来、上記のクラウニング面の形成方法と
しては、図9に示すように、パワーローラ支持部材10
1の被加工面101a(支持面)を小径のボールエンド
ミル102等の工具を用いて所定のクラウニング面を得
る加工を行なうか、あるいは、放電加工機や電解加工機
等の型加工を用いて加工する方法が採用されていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図9に
おいて示した、被加工面101a(支持面)を小径のボ
ールエンドミル102を用いて所定のクラウニング面を
得る形成方法においては、クラウニング面を得るために
は小径のボールエンドミル102である必要があり、そ
のため加工効率が非常に悪く、また、小径のボールエン
ドミル102によって切削する際に、工具送りにより被
加工面101aに波目状のアンジュレーション(送り
目)が形成されてしまい、通常、パワーローラ支持部材
101におけるクラウニングの高さは数十〜数百ミクロ
ンのオーダであるため、このような波目状のアンジュレ
ーションが形成されると滑らかなクラウニング面が得ら
れず、各パワーローラにかかる荷重が不均一となるとい
う問題がある。
【0014】また、パワーローラ支持部材101の内周
側面101bと被加工面101aとの境界部は、小径の
ボールエンドミル102を用いていることにより、クラ
ウニング加工ができない非有効部102cが必ず存在す
るため、レイアウト上、不利となるという問題もある。
【0015】さらに、上記した放電加工機や電解加工機
等の型加工を加工した場合には、さらに加工効率が悪い
という問題があり、これらの問題を解決することが課題
であった。
【0016】
【発明の目的】本発明は、このような従来の課題に鑑み
てなされたもので、トロイダル型無断変速機のパワーロ
ーラ支持部材におけるクラウニング面の形成において、
加工効率に優れ、滑らかなクラウニング面を得ることの
できるクラウニング面形成方法を提供することを目的と
する。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明に係るクラウニン
グ面形成方法は、請求項1として、炭素鋼や合金鋼等の
鋼素材からなる被加工部材の被加工面にクラウニング面
を形成するに際し、加工される被加工部材がトロイダル
型無段変速機におけるパワーローラ側に凸となるクラウ
ニング面と偏心軸用の穴を有するパワーローラ支持部材
であって、被加工面を大径のエンドミル等を用いて平面
加工し、この被加工面の表面をオーステナイト化温度以
上に加熱し、このとき、穴の周縁部と被加工面の外周部
の加熱深さがそれ以外の部分の加熱深さよりも浅くなる
ように加熱深さの分布を制御して加熱し、この加熱した
被加工面を水や油等によりマルテンサイト変態点以下ま
で冷却し、この際に生ずるマルテンサイト化による被加
工面の表層部の体積膨脹によってクラウニング面を得る
構成とし、請求項2として、被加工面の加熱に高周波誘
導加熱を用いる構成とし、請求項3として、印加する交
流電圧の周波数および形状が異なる複数の加熱コイルを
用いて加熱深さの分布を制御する構成とし、請求項4と
して、マルテンサイト化による被加工面の表層部の体積
膨脹によってクラウニング面を得た後、さらに被加工面
に焼き戻しをする構成としており、上記の構成を課題を
解決するための手段としている。
【0018】
【発明の作用】本発明の請求項1に係るクラウニング面
形成方法は、炭素鋼や合金鋼等の鋼素材からなる被加工
部材の被加工面にクラウニング面を加工するに際し、加
工される被加工部材がトロイダル型無段変速機における
パワーローラ側に凸となるクラウニング面と偏心軸用の
穴を有するパワーローラ支持部材であって、被加工面を
大径のエンドミル等を用いて平面加工し、この被加工面
の表面をオーステナイト化温度以上に加熱し、この加熱
した被加工面を水や油等によりマルテンサイト変態点以
下まで冷却し、この際に生ずるマルテンサイト化による
被加工面の表層部の体積膨脹によってクラウニング面を
得る構成としたことにより、オーステナイト化温度以上
に加熱された被加工面はマルテンサイト変態点以下まで
冷却するとマルテンサイト化による体積膨脹が被加工面
の表層部に生じ、その結果、被加工部材であるパワーロ
ーラ支持部材に曲げモーメントがかかった状態となっ
て、被加工面が曲面のクラウニング面となるとともに、
マルテンサイト化されているため被加工面に硬化層が形
成されることとなり、被加工面(クラウニング面)の強
度および硬度が増すこととなる。すなわち、トロイダル
型無段変速機におけるパワーローラ支持部材が上記した
作用によって、パワーローラ支持部材の支持面のクラウ
ニング面が形成されることとなると共に、耐摩耗性の高
いクラウニング面となり、従来のパワーローラの耐久性
が低下するという問題が解消されることとなる。さら
に、加熱した被加工面を水や油等を用いて焼き入れする
際に、その膨脹した体積は被加工面における加熱深さが
深いほど大きいが、膨脹した体積の大きさによって被加
工面の曲面は決定されるので、被加工面の表面をオース
テナイト化温度以上に加熱するとき、穴の周縁部と被加
工面の外周部の加熱深さがそれ以外の部分の加熱深さよ
りも浅くなるように加熱深さの分布を制御して加熱する
ことにより、任意の3次元曲面が形成されることとな
り、所望のクラウニング面となる。また、最初の被加工
面の平面加工には大径のエンドミル等の工具を用いれば
良く、その結果、加工効率が向上することとなると共
に、小径のボールエンドミルを使用しなくてもよいため
被加工面に工具送りによる波目状のアンジュレーション
(送り目)が形成されることがなく、さらに、被加工部
材であるパワーローラ支持部材のように被加工面と内周
側面とが隣接している場合には、小径のボールエンドミ
ルにより曲面であるクラウニング面を形成する際に境界
部に必ず加工できない非有効部が形成されてしまうが、
本発明に係る方法においては、オーステナイトのマルテ
ンサイト化による被加工面の表層部の体積膨脹によって
クラウニング面を得る前に、大径のエンドミル等により
平面加工されるため、このような非有効部が形成される
ことがなく、レイアウト上有利となる。
【0019】
【0020】さらに、本発明の請求項2に係るクラウニ
ング面形成方法は、被加工面の加熱に高周波誘導加熱を
用いる構成とすることにより、被加工面全体が同時に加
熱され、また、加熱量にばらつきが生じにくくなるとと
もに、加熱場所を特定するのが容易であり、加熱量また
は加熱深さを変えたい場合には、電流量またはコイルに
印加する交流電圧の周波数を変えればよい。
【0021】また、本発明の請求項3に係るクラウニン
グ面形成方法は、印加する交流電圧の周波数および形状
が異なる複数の加熱コイルを用いて加熱深さの分布を制
御する構成とすることにより、被加工面の加熱深さはコ
イルに印加する交流電圧の周波数により決定されるた
め、印加する交流電圧の周波数が異なる複数の加熱コイ
ルを適当な位置にそれぞれ配置すれば加熱深さの分布が
任意に決定されることとなる。
【0022】さらにまた、本発明の請求項4に係るクラ
ウニング面形成方法は、焼き入れのみでは残留応力等に
より変形や割れを生じやすいが、オーステナイトのマル
テンサイト化による被加工面の表層部の体積膨脹によっ
てクラウニング面を得た後、さらに被加工面を焼き戻し
する構成とすることにより、被加工面の靭性が増し、被
加工面が安定したものとなる。
【0023】
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0025】図1は、本発明に係るクラウニング面形成
方法を適用してクラウニング面を形成する被加工部材で
あるトロイダル型無段変速機におけるパワーローラ支持
部材1の形状を示す図である。
【0026】
【0027】図1の(a)は、パワーローラ支持部材1
の正面図であって、また、図1の(b)は、図1の
(a)におけるA−A線断面図であり、また、図1の
(c)は、側面図である。
【0028】図1の(b)において、パワーローラ支持
部材1の凹状断面内部の底面はクラウニング面が形成さ
れる被加工面1aであり、凹状断面内部の底板部1bに
形成された穴1cは、パワーローラ用の偏心軸が挿入さ
れるためのものである。
【0029】ここで、被加工面1aにクラウニング加工
を施すのであるが、被加工面1aに加工するクラウニン
グ面の形状を等高線によって図2に示す。
【0030】穴1cの周辺部分が凸状面の頂点、つま
り、一番高くなっている部分であり、穴1cから離れる
にしたがって滑らかに下っていくものとする。
【0031】次に、パワーローラ支持部材1の被加工面
1aを図2において示したクラウニング面形状に形成す
るための加工手順を説明する。
【0032】まず最初に、図3の(a)に示すように、
クラウニング面となる被加工面1aを大径のエンドミル
Mを用いて平面加工する。従来においては、切削加工に
よってクラウニング面を直接加工していたため、その加
工には小径のエンドミルが必要であったが、本発明にお
いては、クラウニング面を切削加工によって形成するわ
けではないので、大径のエンドミルを使用することがで
き、加工効率を向上させることができると共に、被加工
面1aに工具送りによる波目状のアンジュレーション
(送り目)が形成されることがない。また、従来の小径
のエンドミルを用いた切削加工のように、クラウニング
加工のできない非有効部が形成されることがないため、
レイアウト上有利となる。
【0033】次に、図3の(b)に示すように、高周波
誘導加熱コイルCを用いて被加工面1aを加熱する。こ
の際の加熱温度は、オーステナイト化温度以上の温度で
ある。
【0034】そして、このようにしてオーステナイト化
温度以上に加熱された被加工面1aを冷却ジャケット3
から吐出される水、油、ガス等で急速に冷却して焼き入
れする(図3の(c))。この結果、被加工面1aの表
層部の鋼の組織はオーステナイト組織からマルテンサイ
ト組織となり、マルテンサイト組織のほうが密度が小さ
いため、被加工面1aの表層部に体積膨張が生じて、被
加工部材1に曲げモーメントがかかった状態となるた
め、被加工面1aは曲面となり、結果的に、この曲面が
クラウニング面となる。これと同時に、クラウニング面
は、焼き入れの効果により、硬化して強度および硬度が
増すこととなり、耐摩耗性が改善される。
【0035】しかしながら、このような焼き入れのまま
であると、残留応力や脆化等により使用中に変形や割れ
の原因となるので、これを防ぐために適切な焼き戻しを
施す。この処理は、上記した焼き入れと同様に、再度、
高周波誘導加熱コイルCを用いて被加工面1aを加熱し
(図3の(d))、その後、加熱された被加工面1aを
水、油、ガス等を用いて冷却する(図3の(e))。
【0036】以上のようにして被加工面1aにクラウニ
ング面を形成するのであるが、被加工面1aをオーステ
ナイト化温度以上の温度に加熱し、これを焼き入れする
だけでは図2に示したような所望のクラウニング面形状
を得ることができない。
【0037】そこで、クラウニング面形状は、被加工面
1aの表層部の焼き入れ時における体積膨張の大きさの
分布によって決まるため、この体積膨張の大きさを適当
に制御することによって所望のクラウニング面形状が得
られることとなる。
【0038】したがって、体積膨張の大きさは被加工面
1aの加熱深さによって決定されるため、被加工面1a
の加熱深さの分布を適切に制御してやればよい。
【0039】まず、図2に示したクラウニング面形状を
得るために必要な加熱深さの分布を図4に示す。
【0040】図4に示すように、A−A線断面およびB
−B線断面における加熱深さの分布を示しており、穴1
cの周縁部における加熱深さは、穴1cが変形するのを
防ぐために浅くし、同様に、被加工面1aの外周部にお
いても、これに連続する加工しない部分に変形を及ぼさ
ないように加熱深さを浅くする。そして、より大きな曲
率を必要とする面、つまり、等高線の間隔の狭い部分に
おける加熱深さを深くする。
【0041】このような加熱深さの分布になるように、
オーステナイト化温度以上の温度に加熱して焼き入れす
れば、図2に示したクラウニング面形状を得ることがで
きる。
【0042】ここで、図4に示したような加熱深さの分
布を得るための方法の一例を図5に示す。
【0043】図5に示すように、2つの高周波誘導加熱
コイルC1 およびC2 を被加工面1a上に配置する。そ
して、高周波誘導加熱コイルC1 に印加する交流電圧の
周波数をf1 とし、高周波誘導加熱コイルC2 に印加す
る交流電圧の周波数をf2 とし、かつ、周波数f1 を周
波数f2 より低く設定する。
【0044】被加工面1aのうち、図2に示した等高線
によるクラウニング面形状における等高線の間隔の狭い
部分、つまり、穴1cの周りに配置された環状の高周波
誘導加熱コイルC1 のある部分における曲率を大きくし
たいため、高周波誘導加熱コイルC1 の周波数f1 を高
周波誘導加熱コイルC2 の周波数f2 より低くしてより
深く加熱するようにする。そして、高周波誘導加熱コイ
ルC1 の外周に配置された高周波誘導加熱コイルC2 よ
り、曲率が比較的緩やかでよい部分を加熱する。
【0045】このように被加工面1aを加熱してやるこ
とにより、図4に示したような、加熱深さの分布が得ら
れ、加熱後焼き入れすることで、高周波誘導加熱コイル
C1の部分の被加工面1aの表層部における体積膨張が
大きくなって、より大きな曲率を得ることができ、所望
の形状のクラウニング面を形成することができる。
【0046】このように、被加工面1aの加熱に高周波
誘導加熱コイルを用いることにより、被加工面全体が同
時に加熱され、また、加熱量にばらつきが生じにくくな
り、さらに、加熱深さを変えたい場合には、複数の高周
波誘導加熱コイル形状および印加する周波数をそれぞれ
変えて加熱深さを制御することにより、所望の加熱深さ
を得ることができ、また、実施も比較的容易である。
【0047】以上のようにして、所望の形状のクラウニ
ング面を得ることができるのであるが、例えば、図1の
パワーローラ支持部材1の被加工面1aにクラウニング
面を形成した場合、パワーローラ支持部材1の底板部1
bは弓状に変形し、そのため、2つの側板部1dの相対
位置関係が変わったり、他の場所に変形の影響を及ぼし
たりするおそれがあり、このような影響が発生すると、
最終製品として使用できない。
【0048】このような熱変形の影響を除去するため
に、例えば、側板部1dのようなクラウニング面の形成
時に変形させたくない場所を治具等によりあらかじめ固
定したうえでクラウニング面の加工を行なう、あるい
は、図6に示すように、被加工面1aの裏面1eにおけ
る1fのような部分を、あらかじめ変形量を見込んでそ
れに相当する加熱深さで被加工面1aの加熱と同時に加
熱することにより、2つの側板部1dの相対位置関係等
を一定に保つことができる。
【0049】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の請求
項1に係るクラウニング面形成方法によれば、炭素鋼や
合金鋼等の鋼素材からなるパワーローラ支持部材の被加
工面にクラウニング面を形成する際、被加工面を大径の
エンドミル等を用いて平面加工し、この被加工面の表面
をオーステナイト化温度以上に加熱し、この加熱した被
加工面を水や油等によりマルテンサイト変態点以下まで
冷却し、オーステナイトのマルテンサイト化による被加
工面の表層部の体積膨脹によってクラウニング面を得る
構成としたことにより、著しく簡便な手法でクラウニン
グ面を得ることができると共に、焼き入れされているた
め被加工面に硬化層が形成されることとなり、被加工面
(クラウニング面)の強度および硬度を増すことが可能
となって、パワーローラ支持部材の支持面を耐摩耗性が
高いクラウニング面とすることができ、パワーローラの
耐久性を向上させることができるという優れた効果が得
られる。さらに、加熱した被加工面を水や油等を用いて
焼き入れする際に、その膨脹した体積は被加工面におけ
る加熱深さが深いほど大きいが、膨張した体積の大きさ
によって被加工面の曲面は決定されるので、被加工面の
表面をオーステナイト化温度以上に加熱するとき、穴の
周縁部と被加工面の外周部の加熱深さがそれ以外の部分
の加熱深さよりも浅くなるように加熱深さの分布を制御
して加熱することにより、穴及び被加工面の外周部に連
続する加工しない部分の変形を防止することができると
共に、任意の3次元曲面が形成することができ、その結
果、所望の形状のクラウニング面とすることができる。
【0050】また、最初の被加工面の平面加工には大径
のエンドミル等の工具を用いれば良く、その結果、加工
効率を向上することができると共に、小径のボールエン
ドミルを使用する必要がないため、被加工面に工具送り
による波目状のアンジュレーション(送り目)の形成を
防ぐことができ、さらに、被加工部材であるパワーロー
ラ支持部材のように被加工面と内周側面とが隣接してい
る場合には、小径のボールエンドミルにより曲面である
クラウニング面を加工する際に、被加工面と内周側面と
の境界部に必ず加工できない非有効部が形成されてしま
うが、本発明に係る方法においては、オーステナイトの
マルテンサイト化による被加工面の表層部の体積膨脹に
よってクラウニング面を得る前に、大径のエンドミル等
により平面加工されるため、このような非有効部が形成
されることがなく、レイアウト上有利となるという効果
が得られる。
【0051】
【0052】さらに、本発明の請求項2に記載のよう
に、被加工面の加熱に高周波誘導加熱を用いる構成とす
ることにより、被加工面全体が同時に加熱でき、また、
加熱量のばらつきを押さえることができる。
【0053】また、本発明の請求項3に記載のように、
印加する交流電圧の周波数および形状が異なる複数の加
熱コイルを用いて加熱深さの分布を制御する構成とする
ことにより、被加工面の加熱深さはコイルに印加する交
流電圧の周波数により決定されるため、複数の加熱コイ
ルの電圧の周波数および形状を適切に設定すれば、加熱
深さの分布を任意に決定することができ、その結果、所
望の形状のクラウニング面を得ることができるという優
れた効果が得られる。
【0054】さらにまた、焼き入れのみでは残留応力等
により変形や割れを生じやすいが、本発明の請求項4に
記載のように、オーステナイトのマルテンサイ化による
被加工面の表層部の体積膨脹によってクラウニング面を
得た後、さらに被加工面を焼き戻しする構成とすること
により、被加工面の靭性を増すことができ、被加工面を
安定したものとすることができる。
【0055】
【図面の簡単な説明】
【図1】被加工部材であるパワーローラ支持部材の形状
を示す正面説明図(図1の(a))、図1の(a)にお
けるA−A線断面図(図1の(b))および図1の
(a)の側面図(図1の(c))である。
【図2】パワーローラ支持部材のクラウニング面の形状
を等高線表示した説明図である。
【図3】本発明に係るクラウニング面形成方法の一実施
例を示す説明図である。
【図4】図2のパワーローラ支持部材のクラウニング面
の形状を得るための加熱深さの分布を示す説明図であ
る。
【図5】本発明に係るクラウニング面形成方法に用いる
高周波誘導加熱コイルの一実施例を示す説明図である。
【図6】本発明に係るクラウニング面形成方法の他の実
施例である。
【図7】トロイダル型無段変速装置の構造を示す横断面
説明図である。
【図8】トロイダル型無段変速装置の構造を示す縦断面
説明図である。
【図9】従来のクラウニング面形成方法による加工の様
子を示す説明図である。
【符号の説明】
1 パワーローラ支持部材(被加工部材) 1a 被加工面 1b 底板部 1c パワーローラの偏心軸用穴 1d 側板部 1e 裏面部 1f 裏面加熱部 3 冷却ジャケット C 高周波誘導加熱コイル C1 高周波誘導加熱コイル(低周波用) C2 高周波誘導加熱コイル(高周波用) M 大径エンドミル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C21D 9/32 C21D 9/32 Z F16H 15/38 F16H 15/38 (56)参考文献 特開 昭61−103057(JP,A) 特開 平7−248049(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23P 17/00 C21D 1/10 C21D 9/00 C21D 9/32 F16H 15/38

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼素材からなる被加工部材の被加工面に
    クラウニング面を形成するに際し、加工される被加工部
    材がトロイダル型無段変速機におけるパワーローラ側に
    凸となるクラウニング面と偏心軸用の穴を有するパワー
    ローラ支持部材であって、被加工面を大径のエンドミル
    等を用いて平面加工し、この被加工面の表面をオーステ
    ナイト化温度以上に加熱し、このとき、穴の周縁部と被
    加工面の外周部の加熱深さがそれ以外の部分の加熱深さ
    よりも浅くなるように加熱深さの分布を制御して加熱
    し、この加熱した被加工面を水や油等によりマルテンサ
    イト変態点以下まで冷却し、この際に生ずるマルテンサ
    イト化による被加工面の表層部の体積膨脹によってクラ
    ウニング面を得ることを特徴とするクラウニング面形成
    方法。
  2. 【請求項2】 被加工面の加熱に高周波誘導加熱を用い
    ることを特徴とする請求項1に記載のクラウニング面形
    成方法。
  3. 【請求項3】 印加する交流電圧の周波数および形状が
    異なる複数の加熱コイルを用いて加熱深さの分布を制御
    することを特徴とする請求項2に記載のクラウニング面
    形成方法。
  4. 【請求項4】 マルテンサイト化による被加工面の表層
    部の体積膨脹によってクラウニング面を得た後、さらに
    被加工面に焼き戻しをすることを特徴とする請求項1な
    いし3のいずれかに記載のクラウニング面形成方法。
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