JP3521571B2 - テープ心線の単心分離装置および単心分離方法 - Google Patents

テープ心線の単心分離装置および単心分離方法

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JP3521571B2 JP26381195A JP26381195A JP3521571B2 JP 3521571 B2 JP3521571 B2 JP 3521571B2 JP 26381195 A JP26381195 A JP 26381195A JP 26381195 A JP26381195 A JP 26381195A JP 3521571 B2 JP3521571 B2 JP 3521571B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ケーブル端末で
テープ心線の末端を単心光ファイバに分離する技術に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】光ケーブル端末でテープ心線の末端を単
心光ファイバに分離する技術としては、例えば、特開昭
63−195603号公報に従来技術または実施例とし
て記載されているように、テープ被覆を刃物で皮むきす
るように剥離させ、光ファイバを露出状態とする方法、
テープ心線の下面を当て部材に接着材で貼り付け、上面
も別の当て部材に接着材で貼りつけ、2枚の当て部材を
上下に引き離すことにより、テープ被覆をはがすという
方法があった。
【0003】しかし、従来の刃物を用いる方法では、光
ファイバにまで切り込みを入れてしまうおそれがある。
また、接着剤を用いる方法では、接着剤の硬化に時間が
かかることや、厚肉のテープ被覆の場合、テープ心線の
両端に位置する光ファイバについては、周囲のテープ被
覆樹脂がうまくはがれないといった問題があった。ま
た、接着する部分の長さ相当の装置長さが必要となる
か、あるいは繰り返し接着作業をするかのいずれかが必
要で、装置が大型化するという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みてなされたもので、テープ心線の一部分、例え
ば末端等において、テープ心線を小型の装置で簡単に単
心光ファイバに分離することができるテープ心線の単心
分離方法および単心分離装置を提供することを目的とす
るものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
おいては、テープ心線の末端部分のテープ被覆を短時間
高温に加熱して前記テープ心線内の光ファイバの整列状
態を壊し、前記テープ心線の末端より前記テープ被覆を
引き裂き、前記光ファイバを取り出すテープ心線の単心
分離方法であって、前記加熱中に前記テープ心線を幅方
向に湾曲させることを特徴とするものである。
【0006】請求項2に記載の発明においては、テープ
心線が載置されテープ心線のテープ被覆を加熱する加熱
部と、前記テープ心線を前記加熱部に押し付ける押圧部
を有するテープ心線の単心分離装置であって、前記加熱
部と前記押圧部とが、前記テープ心線を幅方向に湾曲さ
せるように互いに凹凸をもって湾曲していることを特徴
とするものである。
【0007】請求項3に記載の発明においては、請求項
2に記載のテープ心線の単心分離装置において、前記加
熱部は、前記テープ被覆の樹脂材料のガラス転移点以上
の温度に前記テープ被覆を加熱することを特徴とするも
のである。
【0008】請求項4に記載の発明においては、請求項
2または3に記載のテープ心線の単心分離装置におい
て、前記加熱部の長手方向の長さは、前記テープ心線の
単心分離する区間の長さよりも短いことを特徴とするも
のである。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のテープ心線の単
心分離装置の実施の形態を説明する斜視図である。図
中、1はテープ心線、2はホルダ、2aは加熱体、2b
は位置決め穴、3は押さえ板、3aは押圧突起、3bは
位置決め突起、4は回動軸である。この実施の形態は、
テープ心線1の末端部分の一部が載置され、載置された
テープ心線1のテープ被覆を加熱する加熱体2aと、こ
のテープ心線1を加熱体2aに押し付ける押圧突起3a
を有するテープ心線の単心分離装置である。
【0010】テープ心線1を手でテープの末端へ向かっ
て引き抜くと、テープ心線1の末端部分のテープ被覆が
短時間高温に加熱され、光ファイバの整列状態を壊し、
テープ心線の末端よりテープ被覆を引き裂いて中の光フ
ァイバを取り出すことができる。
【0011】 加熱体2aは、ホルダ2の
中心部分にあって略半円筒形状である。したがって、こ
の内面は湾曲しており凹部を形成し、ここにテープ心線
1が載置される。一方、押圧突起3aは、押さえ板3の
下面に取り付けられ略半円柱形状の凸部である。押さえ
板3は、回動軸4によりホルダ2の左右の軸受けに取り
付けられ、回動軸4を中心として回動する。ホルダ2の
上面にかぶせられると、位置決め突起3bが位置決め穴
2bに係合し、押圧突起3aは、加熱体2aの凹部にあ
るテープ心線1を押圧する。位置決め突起3bは、位置
決め穴2bにはまり込むが、このとき、図示しない係合
手段によって、押さえ板3がロックされるようにしても
よい。
【0012】加熱体2aの凹部断面の内径は、テープ心
線1の長手方向に沿う中心部において最小となり、両端
に近づくにつれてなめらかに曲線状に広がる。一方、押
圧突起3aの凸部断面の外径は、テープ心線1の長手方
向に沿う中心部において、最大となり、両端に近づくに
つれてなめらかに曲線状に狭まる。その結果、押さえ板
3がホルダ2にかぶせられたとき、加熱体2aおよび押
圧突起3aは、中心部において最も接近し、中心部でテ
ープ心線1が最も強く押圧されることになる。もちろ
ん、加熱体の内面を、半円筒面のように長手方向の断面
形状が変化しないように形成してもよい。この場合、押
圧部突起の形状は、それに合わせたものが用いられる。
加熱体2aのテープ心線1の長手方向に沿う両側の部分
は、押さえ板3によって覆われず、この部分では、テー
プ心線1は押圧突起3aにより押圧されない。
【0013】図2は、テープ心線およびテープ心線の加
熱状態の説明図であり、図2(A)は加熱前のテープ心
線の断面図、図2(B)は加熱体および加熱中のテープ
心線の断面図、図2(C)は加熱後のテープ心線の断面
図である。図中、図1と同様な部分には同じ符号を用い
て説明を省略する。1aは光ファイバ、1bはテープ被
覆、1cはテープ被覆の薄肉部分である。
【0014】図2(A)に示すように、加熱前のテープ
心線1は、樹脂被覆された4本の光ファイバ1aが横に
並べられたものにテープ被覆1bが施されたもので、光
ファイバ1aの相互間および光ファイバ1aとテープ被
覆1bとの間が非接着状態である単心分離型テープ心線
である。
【0015】図2(B)に示すように、テープ心線1の
末端から所定長離れた位置において、押圧突起3aでテ
ープ心線1の上面を押圧することにより、テープ心線1
の下面を加熱体2aに押しつけ、テープ心線1を幅方向
に湾曲させた状態で加熱する。この状態で、図1中のの
矢印で示すようにテープ心線1の末端側を引き抜くと、
テープ末端までのテープ心線1が加熱される。
【0016】図2(C)に示すように、加熱されたテー
プ心線1は、断面が丸まった状態に変化する。光ファイ
バ1aは整列状態が壊され、テープ被覆1bは光ファイ
バ1aからはがれて収縮する。テープ被覆1bは、4本
の光ファイバ1aの跡形として、薄肉部分1cを光ファ
イバ1aの本数にほぼ応じた数だけ有する。この薄肉部
分1cは、テープ心線1の長手方向に脆弱なスリットと
なり、テープ心線1の末端面からは、4本の光ファイバ
1aがわずかに突出した状態となる。
【0017】作業者が、テープ心線1のテープ末端部か
ら薄肉部分1cを破ってテープ被覆1bに裂け目を作り
出し、薄肉部分1cのスリットに沿って長手方向に引き
裂くことにより、所定長にわたり、光ファイバ1aを容
易に取り出すことができる。その際、補助的に刃物を用
いてテープ被覆1bを切っても、光ファイバ1aを傷つ
けるおそれは少ない。テープ心線1としては、4心テー
プに限られず、3心を超えるテープ心線でもよい。ま
た、光ファイバと類似形状の介在などの線材を有するテ
ープ状集合体のテープ被覆の除去を行なうこともでき
る。
【0018】図1に示したテープ心線の単心分離装置を
使用し、テープ心線1の末端部ではなく任意の中間部分
において、テープ心線1の所定長区間を加熱することに
より、テープ心線の単心分離およびテープ被覆1bの除
去を行なうことも可能である。この場合も、テープ被覆
1bは、光ファイバ1aからはがれて収縮しており、薄
肉部分1cがテープ心線1の長手方向に脆弱なスリット
となっている。
【0019】したがって、加熱の後、作業者が側面から
力をかけて薄肉部1cを歪ませて薄肉部1cの強度を弱
め、テープ被覆1bを2方向に引っ張って引き裂いてテ
ープ被覆1bを壊すことにより、裸の光ファイバ1aを
4本の単心線として取り出す。この取り出し方法は、テ
ープ心線1の末端部においても可能である。
【0020】図2(C)に示したように、テープ被覆1
bが光ファイバ1aからはがれて収縮する現象について
説明する。テープ被覆1bの樹脂層は、4本の光ファイ
バ1aに紫外線硬化性樹脂が塗布され、この紫外線硬化
性樹脂に外から紫外線を当てることにより形成される。
このとき、先に外側から固化して外形をつくり、内側は
外側の層に固定されながら固化するため、内側の方がよ
り大きな成型歪みを有している。
【0021】テープ心線1の表面が加熱された際に、テ
ープ被覆1bの樹脂層は、最初、熱膨張すると同時にそ
の弾性率が低下し、さらに、この樹脂層のガラス転移点
以上に加熱されることにより成型歪が開放され、樹脂層
の内側がより大きく収縮する。このとき、テープ被覆1
bの樹脂層が光ファイバ1aからはがれ、テープ被覆1
bの外周が略円形となるような変形が生じ、再びガラス
転移点以下になると収縮したまま樹脂層が硬化すると考
えられる。なお、ガラス転移点とは、ガラス転移を示す
高分子物質において、鎖状高分子の熱運動が激しくなっ
てゴム状になる温度である。
【0022】上述したテープ心線の単心分離装置の実施
の形態では、テープ心線1を加熱体2aに押しつけた状
態で、テープ心線1を引き抜くことにより、テープ心線
1の長手方向に沿う加熱体2aの長さが短くても、テー
プ心線1の長手方向に十分長い区間の被覆を除去するこ
とができる。例えば、後述する実施例のように4cmの
加熱体2aを用いて20cmの区間のテープ被覆1bの
除去することができる。したがって、装置を小型化する
ことができる。しかし、加熱体2aの長さをテープ心線
1の加熱部分の長さに合わせて、これとほぼ等しくても
よい。
【0023】上述した説明では、図1に示したように、
加熱部2aにより、テープ心線1を凸状に湾曲させた側
から加熱したが、押圧突起3a側を加熱部として凹状に
湾曲させた側から加熱してもよいし、両側から加熱して
もよい。
【0024】
【実施例】図2(A)に示したテープ心線1として、外
径が250μmで紫外線硬化樹脂で被覆された4本の光
ファイバ1aに紫外線硬化樹脂のテープ被覆1bが施さ
れたものを用いて検討を行った。テープ被覆1bの幅は
1.1mm、厚さは0.4mmである。図1に示した加
熱体2aとして、内面が直径1.5mmの半円形で、テ
ープ心線1に沿う長手方向の長さが40mmの半円筒状
体を用いた。
【0025】加熱体2aの加熱温度を300℃とし、4
心のテープ心線1の末端から20cmの位置を押圧突起
3aで加熱体2aに押しつけたまま、テープ心線1を1
cm/1secの速度で末端まで引き抜いた。この結
果、テープ心線1の約20cmの末端部分が300℃の
加熱体2aに4秒程度密着されて加熱された。加熱後の
テープ心線1は断面が丸まって、図2(C)に示したよ
うな構造に変化した。
【0026】上述した実施例では、加熱体2aの加熱温
度は300℃としたが、テープ被覆1bの被覆樹脂材料
のガラス転移点を上回る140℃以上であれば同様の効
果を得ることができる。しかし、テープ被覆1bの比熱
により温度上昇に対する抵抗があるために、実用的な加
熱時間、すなわち、テープ心線1の末端部分の各位置を
数秒以内で加熱するためには、ガラス転移点をさらに上
回る180℃以上の温度を用いることが望ましい。
【0027】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1に記載の発明によれば、テープ心線の末端部分のテー
プ被覆を短時間高温に加熱してテープ心線内の光ファイ
バの整列状態を壊し、テープ心線の末端よりテープ被覆
を引き裂き、光ファイバを取り出すテープ心線の単心分
離方法であって、加熱中にテープ心線を幅方向に湾曲さ
せることから、テープ心線を簡単に単心光ファイバに分
離することができる。
【0028】ケーブル端末でテープ状光ファイバ心線内
の単心線のそれぞれに別の単心線を接合して分岐結合す
る際など、テープ状光ファイバ心線内の単心線分離が必
要とされる場合に、これを簡便に行えるという効果があ
る。従来の刃物を用いる方法のように光ファイバを傷つ
けるおそれがなく、また、従来の接着剤を用いるものの
ように作業ごとに消耗品を必要としないという効果があ
る。
【0029】請求項2に記載の発明によれば、テープ心
線が載置されテープ心線のテープ被覆を加熱する加熱部
と、テープ心線を加熱部に押し付ける押圧部を有するテ
ープ心線の単心分離装置であって、加熱部と押圧部と
が、テープ心線を幅方向に湾曲させるように互いに凹凸
をもって湾曲していることから、テープ心線を簡単に単
心光ファイバに分離することができる。テープ状光ファ
イバ心線内の単心線分離が必要とされる場合、小型の装
置で簡便にこれを行えるという効果がある。加熱部とし
ては、小型の電熱ヒータを用いることができ、この電熱
ヒータを電池で加熱することができるため、小型でかつ
安価に装置を実現することができる。
【0030】請求項3に記載の発明によれば、加熱部が
テープ被覆の樹脂材料のガラス転移点以上の温度にテー
プ被覆を加熱することから、テープ被覆が光ファイバか
らはがれて収縮しテープ被覆の薄肉部分がテープ心線の
長手方向に脆弱なスリットとなるから、一層容易にテー
プ心線を単心光ファイバに分離することができるという
効果がある。
【0031】請求項4に記載の発明によれば、加熱部に
挿入されるテープ心線の長手方向に沿う加熱部の長さ
が、テープ心線の単心分離する区間の長さよりも短いこ
とから、装置をさらに小型化することができるという効
果がある。テープ心線を加熱体に押しつけた状態でテー
プ心線を引き出すことにより、テープ心線の長手方向に
十分長い区間を加熱でき、この区間のテープ心線の単心
分離をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のテープ心線の単心分離装置の実施の形
態を説明する斜視図である。
【図2】テープ心線およびテープ心線の加熱状態の説明
図であり、図2(A)は加熱前のテープ心線の断面図、
図2(B)は加熱体および加熱中のテープ心線の断面
図、図2(C)は加熱後のテープ心線の断面図である。
【符号の説明】
1…テープ心線、2…ホルダ、2a…加熱体、3…押さ
え板、3a…押圧突起 1a…光ファイバ、1b…テープ被覆、1c…テープ被
覆の薄肉部分。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−206704(JP,A) 特開 平1−147503(JP,A) 特開 平7−49424(JP,A) 特開 平8−171021(JP,A) 実開 平1−90003(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 6/00 333 H02G 1/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テープ心線の末端部分のテープ被覆を短
    時間高温に加熱して前記テープ心線内の光ファイバの整
    列状態を壊し、前記テープ心線の末端より前記テープ被
    覆を引き裂き、前記光ファイバを取り出すテープ心線の
    単心分離方法であって、前記加熱中に前記テープ心線を
    幅方向に湾曲させることを特徴とするテープ心線の単心
    分離方法。
  2. 【請求項2】 テープ心線が載置されテープ心線のテー
    プ被覆を加熱する加熱部と、前記テープ心線を前記加熱
    部に押し付ける押圧部を有するテープ心線の単心分離装
    置であって、前記加熱部と前記押圧部とが、前記テープ
    心線を幅方向に湾曲させるように互いに凹凸をもって湾
    曲していることを特徴とするテープ心線の単心分離装
    置。
  3. 【請求項3】 前記加熱部は、前記テープ被覆の樹脂材
    料のガラス転移点以上の温度に前記テープ被覆を加熱す
    ることを特徴とする請求項2に記載のテープ心線の単心
    分離装置。
  4. 【請求項4】 前記加熱部の長手方向の長さは、前記テ
    ープ心線の単心分離する区間の長さよりも短いことを特
    徴とする請求項2または3に記載のテープ心線の単心分
    離装置。
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