JP3520896B2 - リードフレーム及びそれを用いた光モジュールの形成方法 - Google Patents

リードフレーム及びそれを用いた光モジュールの形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光素子を搭載し樹
脂封止されることにより光モジュールを形成するための
リードフレームに関し、特に、樹脂封止により、光素子
に対し高精度で結合する集光レンズ等の光学要素を一体
成型するのに好適なリードフレームに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、発光素子又は受光素子のいずれか
一方の光素子と、光素子の制御用回路とを同一のリード
フレームに搭載し、光素子と回路を別個に樹脂封止した
構造を有する光モジュールを形成するために、図6に示
すようなリードフレーム2と樹脂封止用金型4が用いら
れていた。
【0003】リードフレーム2には、複数個の光モジュ
ールを一括形成するための複数組のリードパターン6
と、サイドフレーム部(リードフレームの周縁部分)に
設けられた一対の位置決め孔8が形成されている。各組
のリードパターン6には、光素子を搭載するための第1
の搭載部10と、回路用の電子素子を搭載するための第
2の搭載部12が含まれている。
【0004】樹脂封止用の金型4には、第1の搭載部1
0及び光素子を樹脂封止するためのキャビティとなる凹
部14と、第2の搭載部12及び回路用の電子素子を樹
脂封止するためのキャビティとなる凹部16が、各組の
リードパターン6に対応して加工形成され、更に位置決
め孔8に対応する一対の位置決め用ガイドピン18が設
けられている。
【0005】そして、リードフレーム2の第1,第2の
搭載部10,12に前記所定の素子を搭載した後、位置
決め用ガイドピン18を位置決め孔8に嵌挿することに
よってリードフレーム2と金型4との位置合わせを行
い、凹部14,16内に樹脂を注入することで第1,第
2の搭載部10,12を独立に樹脂封止していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
光モジュール形成方法では、位置決め用ガイドピン18
を位置決め孔8に嵌挿することによって、金型4とリー
ドフレーム2の位置合わせを行うが、例えば、リードフ
レーム2が温度変化等に応じて変形することに因り、キ
ャビティとなる凹部14,16と第1,第2の搭載部1
0,12が相対的に偏移する場合がある。このため、樹
脂封止にて形成される樹脂成型部が第1,第2の搭載部
10,12の正規の位置からずれたり、その位置ズレに
起因して樹脂成型部が歪む等の問題があった。
【0007】特に、第1の搭載部10に搭載された光素
子の光軸と一致した集光レンズを樹脂成型部の表面に一
体成型することによって、光素子と集光レンズとの光軸
合わせを必要としない無調芯型の光モジュールを形成す
る場合にあっては、この樹脂成型部の位置ズレや歪み等
が、そのまま光素子と集光レンズとの結合効率の悪化を
招くことになり、極めて大きな問題となっていた。
【0008】例えば、光素子と集光レンズとの光軸ズレ
の許容量を30μm以内に収めることが要求される微細
構造の無調芯型光モジュールを形成するために、図6の
リードフレーム2を用いた従来の光モジュール形成方法
を適用した結果、光軸ズレが50μmを超える場合があ
った。
【0009】本発明は、このような従来技術の課題に鑑
みてなされたものであり、主として、樹脂封止にて一体
成型される集光レンズ等の光学要素と光素子との光軸ズ
レを大幅に抑制し、光結合効率の高い無調芯型の光モジ
ュールを形成するのに好適なリードフレームを提供する
ことを目的とする。
【0010】このような目的を達成するために、少なく
とも発光素子又は受光素子のいずれか一方の光素子を搭
載する第1の搭載部と、回路構成用の電子素子を搭載す
る第2の搭載部とを有するリードフレームにおいて、前
記第1の搭載部を支承するサポートリード部の一端に、
樹脂封止用金型に設けられた位置決め用ガイドピンを嵌
挿させる少なくとも一対の位置決め孔を備えることとし
た。このリードフレームでは、前記少なくとも一対の位
置決め孔は、前記光素子を搭載する第1の搭載部の所定
部位を挟んで設けられるようにしてもよい。このリード
フレームでは、前記第1の搭載部と第2の搭載部は、イ
ンナーリードを介して連結されることにより実質的に独
立した構造を有するようにしてもよい。このリードフレ
ームでは、前記位置決め孔に加えて、前記リードフレー
ムの周縁部分であるサイドリード部に、前記樹脂封止用
金型に設けられた他の位置決め用ガイドピンを嵌挿させ
る他の位置決め孔を備えるようにしてもよい。
【0011】また、前記のリードフレームを用いた光モ
ジュール形成方法において、前記第1の搭載部に少なく
とも発光素子又は受光素子のいずれか一方の光素子を搭
載し、前記第2の搭載部に回路構成用の電子素子を搭載
する第1の工程と、前記サポートリード部の前記位置決
め孔に前記樹脂封止用金型に設けられた前記位置決め用
ガイドピンを嵌挿して前記リードフレームを型締めし、
前記金型に封止用の樹脂を注入することにより、前記第
1の搭載部及び光素子と、前記第2の搭載部及び電子素
子を夫々樹脂封止する第2の工程とを備えることとし
た。
【0012】
【作用】位置ズレの制約が最も厳しい光素子搭載用の第
1の搭載部を支承するサポートリード部に一対の位置決
め孔が設けられているため、これらの位置決め孔に対応
させて金型の位置決め用ガイドピンを嵌挿することによ
り、極めて高い位置決め精度で、第1の搭載部及びそれ
に搭載された光素子を樹脂封止する。更に、光素子に対
し極めて高い光軸精度で集光レンズ等の光学要素を一体
成型する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
と共に説明する。図1は、リードフレームの全体構造を
示す平面図、図2ないし図4は、このリードフレームを
用いた光モジュールの形成方法を説明するための説明
図、図5は、形成された光モジュールの構造を示す説明
図である。
【0014】図1において、リードフレーム20には、
複数個の光モジュールを一括形成するための複数組(同
図では4組)のリードパターン22と、樹脂封止の際に
金型と位置合わせするための複数対の位置決め孔24
a,24bが打ち抜き加工等によって形成されている。
位置決め孔24a,24bは、リードフレーム20の周
縁部分であるサイドリード部の所定部分に穿設され、一
方の位置決め孔24aは円形、金型に設けられた位置決
め用ガイドピンとのクリアランスを確保するために長円
に形成されている。
【0015】各組のリードパターン22には、発光素子
又は受光素子のいずれか一方の光素子を搭載するための
第1の搭載部26と、光素子駆動用回路等を構成するた
めの電子素子を搭載するための第2の搭載部28と、第
2の搭載部28の両側に併設された複数本の外部リード
端子30と、第1,第2の搭載部26,28間を電気的
・機械的に連結する複数本のインナーリード32が含ま
れている。また、これらの部分26〜32は、樹脂封止
後に切除される複数のサポートリードによって連結され
支承されている。
【0016】第1の搭載部26は、略矩形状のサポート
リード部34の内側に一体形成されて支承されており、
サポートリード部34はサイドリード部から延在するL
アングル状の細いサポートリード36a,36bで支承
され、サポートリード部34と第1の搭載部26の間も
同様の細いサポートリードで連結されている。
【0017】更に、サポートリード部34には、第1の
搭載部26の所定部位(光素子が搭載される部位)を挟
んで、一対の位置決め孔38a,38bが穿設されてい
る。一方の位置決め孔38aは、金型に設けられている
位置決め用ガイドピンとのクリアランスを確保するため
に、リードフレーム20の長手方向に沿った長円、他方
の位置決め孔38bは、円形に形成されている。
【0018】一方、樹脂封止用の金型は、図2に示すよ
うに、一対の金型40,42の組み合わせにて構成され
ている。
【0019】これらの金型40,42の対向面には、各
光素子形成領域に対応させて、リードフレーム20の第
1の搭載部26及びこれに搭載される光素子を樹脂封止
するためのキャビティとなる円筒状の凹部44,46
と、第2の搭載部28及びこれに搭載される電子素子を
樹脂封止するためのキャビティとなる矩形状の凹部4
8,50が加工形成されている。また、金型40の凹部
44の底端部には、光素子と光軸合わせされる微細な集
光レンズを一体形成するための凹部Xが備えられてい
る。
【0020】更に、金型40の凹部44を挟む両側の所
定位置には、前記サポートリード部34に設けられてい
る位置決め孔38a,38bに嵌挿する円錐台状の位置
決め用ガイドピン52a,52bが設けられると共に、
サイドリード部に設けられている位置決め孔24a,2
4bに嵌挿する円錐台状の位置決め用ガイドピン54
a,54bが設けられている。また、金型42には、こ
れらの位置決め用ガイドピン52a,52bと54a,
54bが嵌合する嵌合穴56a,56bと58a,58
bが形成されている。
【0021】次に、光モジュールの形成方法を説明す
る。リードフレーム20の表面側の第1の搭載部26の
予め決められた位置に光素子LD、第2の搭載部に電子
素子を夫々ダイボンディングにて固定する。光素子が発
光素子の場合にはその発光面を上方に、受光素子の場合
にはその受光面を上方に向けて搭載する。
【0022】次に、図2に示すように、光素子及び電子
素子を搭載した側を金型40に向け、リードフレーム2
0の裏面側を金型42に向けて、これらの金型40,4
2間に装着する。位置決め用ガイドビン52a,52b
と54a,54bがリードフレーム20の位置決め孔3
8a,38bと24a,24b内を通って、金型42の
嵌合穴56a,56bと58a,58bに夫々嵌合する
ことにより、リードフレーム20と金型40,42との
位置合わせが行われる。
【0023】この型締めの際に、温度変化に因ってリー
ドフレーム20に伸縮等の変形が生じたときには、サイ
ドリード部に設けられている位置決め孔24a,24b
に金型40の位置決め用ガイドピン54a,54bを嵌
挿することでリードフレーム20全体にその変形量に応
じた歪みが発生し、他方の位置決め用ガイドピン52
a,52bに対する位置決め孔38a,38bの相対位
置が偏位する場合がある。
【0024】しかし、図3の要部拡大縦断面図に示す如
く、位置決め用ガイド52a,52bが位置決め孔38
a,38bに侵入する際に、これらのガイドピン52
a,52bに対して円形の位置決め孔38bが主、長円
の位置決め孔38aが従に作用するため、位置決め用ガ
イドピン52a,52bは位置決め孔38a,38bに
侵入することができる。更に、前記の相対偏位は、サポ
ートリード部34とサイドリード部間を連結しているL
アングル状の細いリードパターン36a,36bが変形
することによって吸収されるため、位置決め用ガイドピ
ン52a,52bが位置決め孔38a,38b中に確実
に嵌挿することとなる。
【0025】更に、位置ズレの制約が最も厳しい光素子
搭載用の第1の搭載部26を支承するサポートリード部
34に一対の位置決め孔38a,38bが設けられてい
るため、これらの位置決め孔38a,38bに位置決め
用ガイドピン52a,52bを嵌挿することにより、光
素子LDと集光レンズ形成用の凹部Xを極めて高い位置
決め精度で一致させる。このため、後述の樹脂封止で一
体成型される集光レンズ60と光素子LDの光軸ズレを
大幅に抑制することができる。
【0026】次に、凹部44,46,48,50内に、
光素子LDの発光波長感度又は受光波長感度に対して透
明な樹脂を注入し、固化後に金型40,42から取り出
すことによって、図4に示すような、第1の搭載部26
及び光素子LDを封止し表面に集光レンズ60を備えた
第1の樹脂成型部62と、第2の搭載部28及び電子素
子を封止する第2の樹脂成型部64が形成される。
【0027】尚、図4(a)は、樹脂封止後のリードフ
レームを示す平面図、同図(b)は側面図である。
【0028】次に、リードフレーム20の不要なサポー
トリード部とサイドリード部を切除することにより、図
5(a)に示すように、第1,第2の樹脂成型部62,
64とこれらを連結するインナーリード32、及び外部
リード端子30から成る中間品を形成する。そして、イ
ンナーリード32及び外部リード端子30を曲げ加工す
ることによって、最終的に同図(b)(c)に示すよう
なデュアルインライン型の光モジュールを完成する。
尚、同図(b)は、発光素子を内蔵した送信用光モジュ
ール、同図(c)は受光素子を内蔵した受信用光モジュ
ールの側面形状を示している。
【0029】このように、この実施の形態によれば、光
素子搭載用の第1の搭載部26を支承するサポートリー
ド部34の指定位置に一対の位置決め孔38a,38b
を設け、これらの金型40の位置決め用ガイドピン52
a,52bを嵌挿するようにしたので、光素子LDと樹
脂封止用の凹部44,44aとの位置ズレを大幅に抑制
し、更に、必然的に集光レンズ60と光素子LDの光軸
ズレを大幅に抑制することができる。尚、実際に光モジ
ュールを形成した結果、この集光レンズ60と光素子L
Dの光軸ズレを30μm以内に抑えることができ、光結
合効率の高い無調芯型の光モジュールを形成することが
できた。
【0030】更に、複数個の光モジュールを一括形成す
る場合であっても、各光モジュールに対応するサポート
リード部34に位置決め孔38a,38bを設けること
によって、夫々の集光レンズ60と光素子LDを高精度
で光軸合わせすることができ、製造工程の飛躍的な簡略
化及び量産化を可能にする。
【0031】尚、この実施の形態では、透明な樹脂のみ
を用いて樹脂封止しているが、少なくとも集光レンズ6
0を一体成型するための第1の樹脂成型部62を透明樹
脂で形成し、第2の樹脂成型部64は透明樹脂で形成し
なくともよい。
【0032】また、金型40,42で構成される一つの
金型で第1,第2の樹脂成型部62,64を同時に形成
する場合を説明したが、第1の樹脂成型部62と第2の
樹脂成型部64を夫々別個の金型で形成するようにして
もよい。
【0033】また、各サポートリード部34に一対ずつ
の位置決め孔38a,38bを設ける場合を述べたが、
更にそれ以上の個数の位置決め孔を追加すると共に、こ
の追加した位置決め孔に対応する位置決め用ガイドを金
型に設けて、夫々を嵌挿させることで、更なる位置決め
精度の向上を図るようにしてもよい。
【0034】また、集光レンズを一体形成する場合を説
明したが、本発明は、他の機能を有する光学要素を極め
て高い精度で一体形成することを可能にするものであ
る。
【0035】また、4個の光モジュールを一括形成する
ためのリードフレームについて説明したが、本発明は、
4個以上の光モジュールを一括形成するリードフレーム
にも適用することができる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、光
素子搭載用の第1の搭載部を支承するサポートリード部
に、樹脂封止用金型の位置決め用ガイドピンを嵌挿させ
る位置決め孔を設けたので、位置ズレの制約が厳しい集
光レンズ等の光学要素を樹脂封止と同時に一体成型する
ことができる。これにより、発光素子又は受光素子の光
軸調整を必要としない極めて結合効率の高い無調芯型の
光モジュールを形成することができる。また、製造工程
の飛躍的な簡略化、量産化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態にのリードフレームの構造を示す平
面図である。
【図2】樹脂封止用金型の構造及びリードフレームとの
対応関係を示す斜視図である。
【図3】位置決め精度の向上が得られる原理を説明する
ための要部拡大縦断面図である。
【図4】樹脂封止されたリードフレームの構造を示す説
明図である。
【図5】製造された光モジュールの構造を示す説明図で
ある。
【図6】従来の光モジュール形成用リードフレームの構
造及び光モジュール形成方法を説明するための斜視図で
ある。
【符号の説明】
20…リードフレーム、22…リードパターン、24
a,24b…位置決め孔、26…第1の搭載部、28…
第2の搭載部、32…インナーリード、34…サポート
リード部、36a,36b…サポートリード、38a,
38b…位置決め孔、40,42…金型、52a,52
b,54a,54b…位置決め用ガイドピン、44,4
8,46,50…樹脂封止用の凹部、60…集光レン
ズ、62…第1の樹脂成型部、64…第2の樹脂成型
部、X…集光レンズ形成用の凹部。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも発光素子又は受光素子のいずれ
    か一方の光素子を搭載する第1の搭載部と、回路構成用
    の電子素子を搭載する第2の搭載部とを有するリードフ
    レームにおいて、 前記第1の搭載部を支承するサポートリード部の一端
    に、樹脂封止用金型に設けられた位置決め用ガイドピン
    を嵌挿させる少なくとも一対の位置決め孔が備えられて
    いることを特徴とするリードフレーム。
  2. 【請求項2】前記少なくとも一対の位置決め孔は、前記
    光素子を搭載する第1の搭載部の所定部位を挟んで設け
    られることを特徴とする請求項1に記載のリードフレー
    ム。
  3. 【請求項3】前記第1の搭載部と第2の搭載部は、イン
    ナーリードを介して連結されることにより実質的に独立
    した構造を有することを特徴とする請求項1に記載のリ
    ードフレーム。
  4. 【請求項4】前記位置決め孔に加えて、当該リードフレ
    ームの周縁部分であるサイドリード部に、前記樹脂封止
    用金型に設けられた他の位置決め用ガイドピンを嵌挿さ
    せる他の位置決め孔が備えられていることを特徴とする
    請求項1に記載のリードフレーム。
  5. 【請求項5】光モジュールの形成方法であって、 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載されたリー
    ドフレームの 第1の搭載部に少なくとも発光素子又は受
    光素子のいずれか一方の光素子を搭載し、前記第2の搭
    載部に回路構成用の電子素子を搭載する第1の工程と、 前記サポートリード部の前記位置決め孔に前記樹脂封止
    用金型に設けられた前記位置決め用ガイドピンを嵌挿し
    て前記リードフレームを型締めし、前記金型に封止用の
    樹脂を注入することにより、前記第1の搭載部及び光素
    子と、前記第2の搭載部及び電子素子を夫々樹脂封止す
    る第2の工程とを備えることを特徴とする光モジュール
    の形成方法。
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