JP3519470B2 - 停滞水の拡散装置 - Google Patents

停滞水の拡散装置

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JP3519470B2
JP3519470B2 JP28019994A JP28019994A JP3519470B2 JP 3519470 B2 JP3519470 B2 JP 3519470B2 JP 28019994 A JP28019994 A JP 28019994A JP 28019994 A JP28019994 A JP 28019994A JP 3519470 B2 JP3519470 B2 JP 3519470B2
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盛康 宝田
宗広 山崎
謙三 奥井
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、停滞水の拡散装置に
関し、とくには、湖沼、入海などにおける停滞水を拡散
させて水質の改善をもたらすものである。 【0002】 【従来の技術】たとえば、入海の深部は海水の交換が十
分に行われずに海水が停滞することが多く、このこと
は、その入海に、河川からの水が流入する場合において
もまたほぼ同様である。 【0003】そして、海水がこのように停滞する場所に
は、貧酸素水塊や富栄養状態が生じ易く、この結果とし
ての、藻や赤潮の多量発生によって、魚貝類の生育およ
び成育環境が著しく損われることになるという問題があ
った。 【0004】ところが、従来は、このような停滞域の水
質を積極的に改善することについての何の特別な提案も
なされておらず、わずかに、鋼製もしくはコンクリート
製の剛構造物をもって、外海の海流の一部を入海に取込
むことが提案されているにすぎない。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかるに、この提案技
術では、建設コストが高く、施工期間が長くなることに
加えて、施工に際する水質汚染等が不可避となるという
問題があり、さらには、環境改善を目的として建設した
剛構造物が、逆に環境に悪影響を与えるに至った場合
に、それを簡単に撤去することができないという問題も
あった。 【0006】この発明は、従来技術の有するこのような
問題点を解決することを課題として検討した結果なされ
たものであり、この発明の目的は、停滞水を確実に拡散
させて水質を十分に改善することができる他、安価にし
、工期を十分短くすることができ、また、施工に際す
る水質汚染等のおそれがほとんどなく、しかも、所要に
応じて、かつ迅速に浮上および沈下させることができる
停滞水の拡散装置を提供するにある。 【0007】 【0008】この発明の、停滞水の拡散装置は、水の停
滞域に向かう偏向水流を生じさせる、少なくとも一の導
流堤を主水流中に配設するとともに、水の停滞域の外側
部分に、偏向水流の乗り越えを許容する堰堤を配設し、
前記導流堤および堰堤のそれぞれを、加圧気体の給排に
より、全長にわたって連続的に、または間欠的に膨縮変
形する筒状体と、この筒状体に、それのほぼ全長にわた
って取付けた、好ましくは水底に達するスカートとで構
成したものである。 【0009】 【0010】この拡散装置では、導流堤によって所要の
偏向水流を発生させることにより、その偏向水流を水の
停滞域へ確実に流入させることができ、また、その偏向
水流を、停滞域の外側部分に設けた堰堤に越流させるこ
とによって、停滞域内の水に、主には垂直面内での渦流
を発生させて、その停滞水を、偏向越流水に十分均等に
混合させることができるので、停滞域への、貧酸素水塊
の発生および富栄養状態の発生を効果的に防止すること
ができる。 【0011】また、この装置では、導流堤および堰堤の
それぞれを、加圧気体の給排によって膨縮変形する筒状
体とスカートとで構成していることから、筒状体への加
圧気体の供給量を加減することで、それらの堤の浮力、
いいかえれば、それらの堤の、水面に対する相対位置を
所要に応じて調整して、所期した量の偏向水流および越
流を容易にもたらすことができ、しかも、波の高いとき
その他の、堤の不要時もしくは、堤の保護が必要となっ
た時には、筒状体からの完全排気を行うことにより、そ
れらの堤を簡易、迅速に水底に沈下させることができ
る。 【0012】そしてさらには、ここにおける堤の配設
は、筒状体への給排気管の接続と、堤のアンカー取りと
によって、極めて短期間のうちに、水質汚染等の問題を
生じることなく、かつ安価に行うことができる。 【0013】 【実施例】以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1は、この発明に係る装置を入海に適用した
場合を例示する図であり、図中1は入海を、2はその入
海1に河口を有する河川をそれぞれ示す。ここで、入海
1の外側には潮流3があるものとし、一方、入海内の河
口2aの近傍部分には水の停滞域4が存在するものとす
る。 【0014】そこでこの例では、潮流3を偏向させて、
入海内への水流を生じさせる第1の可撓性導流堤5を入
海1の外側に配設するとともに、その入海内に、このよ
うにして発生された偏向水流6を、停滞域4に向けてさ
らに偏向させる第2の可撓性導流堤7配設し、また、水
の停滞域4の外側部分に、さらなる偏向水流8の乗り越
えを許容する堰堤9を配設する。 【0015】このことによれば、水の停滞域内に、偏向
水流8が単に流入するのみならず、堰堤9を乗り越えた
その偏向水流8の有する、十分大きな運動エネルギ、位
置エネルギ等により、停滞域4の水に、ほぼ垂直面内の
渦流が生じ、これによって、停滞水が、偏向越流水に十
分均等に混合拡散されることになる。なお、停滞水の渦
流は、上述したところに加えて、もしくは代えて水平面
内にて発生させることもできる。 【0016】ところで、このような装置における、それ
ぞれの導流堤5,7および堰堤9は、図2に導流堤5を
例にとって示すように、加圧気体の給排によって膨縮変
形して浮力の増減をもたらす筒状体11と、この筒状体11
の下縁から、それのほぼ全長にわたって垂下した、可撓
膜体状のスカート12と、このスカート12の長さ方向に所
定の間隔をおいて設けられて、上下方向に延びる補強ス
トリップ13とを具えてなる。 【0017】ここで、筒状体11は、それをその全長にわ
たって連続的に膨縮変形させ得ることはもちろんである
が、筒状体内を、一定間隔毎に設けた隔壁等によって、
複数の気体嚢に分割し、それらのそれぞれを相互に独立
させて膨縮変形させるよう構成した場合には、筒状体11
の損傷によって特定の気体嚢からの気体洩れが生じて
も、筒状体全体としての浮力に重大な影響を及ぼすこと
がない。なお図3に示すところでは、筒状体11の長さ方
向に間隔をおいて所定長さの気体嚢11a を形成してお
り、このことによってもまた上述したと同様の効果をも
たらすことができる。 【0018】ところで、このように構成してなる導流堤
5,7および堰堤9の設置は、水底に沈下させた錘、図
3に示すところではH形鋼14に、カーテン12、ひいて
は、そこに取付けた補強ストリップ13を連結することに
より行うことができ、場合によっては、このことに加え
て、筒状体11が、水流よって押し流され、または、水
中に引き込まれるのを防止すべく、図2に示すように、
その筒状体11をもまた、適当な錘15に長手方向に適宜な
間隔をもってアンカー取りすることによっても行うこと
ができる。 【0019】ここで、H形鋼14は、筒状体11、カーテン
12等の浮力ならびに、カーテン12に作用する水圧に打勝
つに十分な水中重量を有するものとして、導流堤等の不
測の変位を防止する。従って、かかる条件を満たし得る
限りにおいて、H形鋼14を、L形鋼、平板、一本もしく
は複数本の棒状材料などとすることもできる。 【0020】導流堤5,7および堰堤9の、所定位置へ
のこのような設置状態において、それぞれの筒状体11
に、図示しない加圧気体供給源から加圧気体を供給して
その筒状体11を所要に応じて膨脹させることにより、そ
の膨脹度合に応じて、筒状体11を水面上もしくは、水中
の所要高さに浮揚させることができ、かかる浮揚状態に
おいて、カーテン12は、筒状体11から水底までの間の水
流を有効に堰止め、または、その水流の流動方向を変更
すべく機能する。 【0021】従って、入海1の外側に所要の向きで配設
した第1の導流堤5は、筒状体11を水面上に十分に浮上
させた浮揚姿勢の下で、潮流3の所要量を、その導流堤
5に沿って入海内へ偏向させることができ、そして、入
海1の内側に所要の向きで配設した第2の導流堤7は、
これもまた、第1の導流堤5と同様の浮揚姿勢で、偏向
水流6を、その導流堤7に沿って、水の停滞域4に向け
てさらに偏向させることができる。 【0022】また、停滞域4の外側部分に配設したこの
例の堰堤9は、図4に略線側面図で示すように、筒状体
11を、水中の中間位置に浮揚させ、またスカート12を、
導流堤5,7のそれらよりも幾分大きく傾けた姿勢に維
持することで、偏向水流8の乗り越えを許容する。ここ
で、筒状体11の高さは、偏向水流8の有する運動エネル
ギーの大きさとの関連において適宜に選択することがで
き、それが十分大きい場合には、筒状体11を水面上に浮
揚させることも可能である。 【0023】ところで、堰堤9を乗り越えた偏向水流8
は、図4に示すように、停滞域内の水に垂直面内での渦
流をもたらし、これによって、停滞水は偏向越流水に十
分均等に混合され拡散されることになる。それ故に、停
滞水の水質が改善されて、魚貝類の生育および成育環境
が十分良好に維持されることになる。 【0024】この一方において、波浪等に対して導流堤
5,7および堰堤9を保護する必要が生じた場合あるい
は、それらを撤去する必要が生じた場合には、筒状体11
からの排気を行って、それらの全てを水底に沈降させる
ことにより、要求に速かに対処することができ、後者の
場合には、それぞれの堤5,7,9および錘を事後的に
引上げることで、環境汚染等の不都合なしに簡易・迅速
に撤去することができる。以上この発明を図示例に基づ
いて説明したが、この発明は、湖沼等の停滞域に対して
も、上述したところはほぼ同様にして適用することがで
きる。 【0025】 【発明の効果】かくして、この発明によれば、停滞域の
水を、それの外側の水をもって十分均等に混合拡散させ
ることができ、これがため、その停滞域への藻や赤潮の
発生を有効に防止して、魚貝類の、すぐれた生育および
成育環境をそのまま維持することができる。また、この
発明の装置では、所要位置への錘の沈設と、それぞれの
錘に対する堤のアンカー取りとを行うことで、各堤を、
所期した通りの位置へ簡単に、しかも、迅速に配設する
ことができるので、極めて短い施工期間にて、低コスト
で、水質汚染等を生じることなく装置を設置することが
できる。従って、この装置は、それが不要になった場合
の撤去をもまた、環境汚染のおぞれなしに簡易・迅速に
行うことができる。かてて加えて、の発明の装置では、
筒状体の膨縮変形量を調整することで、各堤を所期した
高さに浮揚させることができるので、常に適正な量の偏
向水流および偏向越流をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】この発明の適用例を示す略線説明図である。 【図2】堤の構造を示す略線斜視図である。 【図3】堤のアンカー取りを例示する要部斜視図であ
る。 【図4】堰堤の配設態様を例示する略線側面図である。 【符号の説明】 1 入海 2 河川 2a 河口 3 潮流 4 停滞域 5,7 導流堤 6,8 偏向水流 9 堰堤 11 筒状体 11a 気体嚢 12 スカート 13 補強ストリップ 14 H形鋼 15 錘
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 宗広 広島県呉市広末広2丁目2番2号 工業 技術院 中国工業技術研究所内 (72)発明者 奥井 謙三 神奈川県横浜市戸塚区戸塚町2069−72 (56)参考文献 特開 平6−280232(JP,A) 特開 昭54−99332(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02B 1/00 E02B 3/02

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 水の停滞域に向かう偏向水流を発生させ
    る、少なくとも一の導流堤を主水流中に配設するととも
    に、水の停滞域の外側部分に、偏向水流の乗り越えを許
    容する堰堤を配設してなり、 前記導流堤および堰堤のそれぞれを、加圧気体の給排に
    よって膨縮変形する筒状体と、この筒状体に、それのほ
    ぼ全長にわたって取付けたスカートとで構成してなる停
    滞水の拡散装置。
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JP5527824B2 (ja) * 2011-04-26 2014-06-25 和高 杉村 水制
CN111441307B (zh) * 2020-04-03 2021-07-23 福建省水利水电勘测设计研究院 一种城市内河与湖泊水体分流隔离方法
CN115419006B (zh) * 2022-08-31 2023-06-02 西北农林科技大学 一种改善污染支流与宽浅河流交汇区水质的方法
CN115874579B (zh) * 2022-12-15 2023-09-26 宿迁市宿城区水利工程建设服务中心 一种导流河结构及其施工方法

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