JP3518136B2 - 新規調味料素材 - Google Patents

新規調味料素材

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JP3518136B2
JP3518136B2 JP04277296A JP4277296A JP3518136B2 JP 3518136 B2 JP3518136 B2 JP 3518136B2 JP 04277296 A JP04277296 A JP 04277296A JP 4277296 A JP4277296 A JP 4277296A JP 3518136 B2 JP3518136 B2 JP 3518136B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種食品にpH中性領
域において「あつみのある酸味」を呈する物質、およ
び、高甘味度甘味料を含有する各種食品、および辛味成
分を含有する各種食品の呈味質、特に後味特性を改善す
る物質に関する。
【0002】
【従来の技術】各種料理のベースとして、畜肉エキス、
チキンエキス、魚介類エキス、野菜エキスなどの天然エ
キスが業務用として広く用いられている。これらの天然
エキスの機能は、食品に複雑な味と幅を与える、コクを
与える、食品材料の味の不足を補うなどとされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの天然
エキスは高価であり、入手しがたいものであるため、一
般的には、これら天然エキスの一部を用いた加工品およ
び代替品が製造・市販され利用されている。また、かつ
お節、煮干、だし昆布、シイタケなどの基本だし、およ
びこれらの天然材料に食塩、砂糖、うま味調味料、アミ
ノ酸などを配合した風味調味料も広く使われている。こ
れら市販の天然エキスの加工品および代替品などは、そ
の組成がグルタミン酸ナトリウムを中心としたアミノ
酸、核酸、有機酸などの低分子物質を主成分に構成され
ているために、やはり天然のエキスと比較してみると、
呈味が単純であり、ぼけているという欠点を有してい
る。従来、このような欠点を補うためには、HVP(植
物蛋白分解物)、HAP(動物蛋白分解物)、酵母エキ
ス等を添加することにより、コク味、複雑味を付与し、
呈味の改善を計っているが、HVPおよびHAPは、分
解臭を有している事、また、酵母エキスは、酵母特有の
風味を有しているため、自ずからその使用量に制限が生
じ、いわゆるモデルとした天然エキスとは明らかに呈味
・風味が異なり満足できるものではない。特に、味全体
をひきたて、味にしまりと深みを与える、「あつみのあ
る酸味」、「しまり」という言葉で示されるような呈味
において、顕著な違いが有るという問題点を有してい
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
天然エキス代替品および基本だしの調味力の増強、「あ
つみのある酸味」の付与を目指して研究を重ねた結果、
透析膜および電気透析膜、ゲル濾過クロマトグラフィ
ー、分配クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー
等を使って牛肉熱水抽出液中より「あつみのある酸味」
を付与する画分を分画分取し、ついに以下の性質を有す
る新規アミノ酸誘導体を単離する事に成功した(構造式
,,)。また、市販試薬クレアチンと市販試薬メ
チルグリオキサールとを混合し、加熱する事により当該
新規アミノ酸誘導体を得る事にも成功した。更に、単離
した新規アミノ酸誘導体画分および市販試薬より調製し
た新規アミノ酸誘導体混合溶液を濃縮後、アルコール類
を加えて室温放置しておくと無色透明の板状結晶を生じ
る事が観察され、X線結晶構造解析の結果、本化合物は
結晶化により構造異性体(構造式,,)となる事
をみいだした。
【0005】 (分子量):185 (分子式):C7H11N3O3 (構造式): N-(1-メチル-4-オキソ-2-イミダ
ゾリン-2-イル)アラニン
【0006】
【化3】
【0007】 N-(1-メチル-4-オキソ-イミダゾリ
ジン-2,2-イリデン)アラニン
【化4】
【0008】 N-(1-メチル-4-ヒドロキシ-3-イ
ミダゾリン-2,2-イリデン)アラニン
【化5】
【0009】 N-(5-メチル-4-オキソ-1-イミダ
ゾリン-2-イル)ザルコシン
【化6】
【0010】 N-(4-メチル-5-オキソ-1-イミダ
ゾリン-2-イル)ザルコシン
【化7】
【0011】 N-(4-メチル-5-ヒドロキシ-2,5
-イミダゾル-2-イル)ザルコシン
【化8】
【0012】本物質は、他の既知の有機酸や無機酸とは
異なり、中性pH領域においても酸味を呈し、既存の天
然エキスの加工品および代替物、あるいは基本だし類に
添加すれば、これらの調味力を増強し、味全体をひきた
て、味に「あつみのある酸味」と深みを付与できること
をみいだし、本発明を完成するに至った。また、本化合
物は、いやな後味を有する各種食品に添加する事によ
り、後味のしつこさを弱めて、すっきりした味に変える
効果を有していた。特に、本化合物は、高甘味度甘味料
の一つであるアスパルテームを含む食品に添加した場
合、アスパルテームの呈味質における問題点である、
「くどい甘味がいつまでも口中に残る」を低減し、呈味
性の良好な食品に変える効果を有する事、他の高甘味度
甘味料であるサッカリン、チクロ、ステビア糖転移品、
アセスルファーム K等に添加した場合は、これらを含
む食品の問題点である「苦味および渋味が強く違和感が
あり、また、嚥下後も不快感が伴うため、好ましくない
後味の印象により、呈味質全体が損なわれ易い」を低減
する効果を有する事をみいだした。さらに、キムチスー
プのような強い辛味を持つ食品に本化合物を添加した場
合は、この強い辛味をやわらげ、全体をマイルドにする
効果を有することをみいだした。
【0013】
【発明の実施の形態】すなわち、本発明は、上記一般式
(1)および(2)(例えば、構造式)で
表される新規アミノ酸誘導体からなる調味料素材に関す
る。
【0014】
【化9】 ただし、X、YはNまたはNH、ZはOまたはOHであ
り、 (1)X=NかつY=NHのときは、Z=Oで、*1およ
び*3が2重結合 (2)X=NHかつY=Nのときは、Z=Oで、*2およ
び*3が2重結合 (3)X=NかつY=Nのときは、Z=OHで、*2*お
よび4が2重結合
【0015】
【化10】 ただし、X、YはNまたはNH、ZはOまたはOHであ
り、 (1)X=NHかつY=Nのときは、Z=Oで、*1およ
び*4が2重結合 (2)X=NかつY=NHのときは、Z=Oで、*2およ
び*4が2重結合 (3)X=NかつY=Nのときは、Z=OHで、*1*お
よび3が2重結合
【0016】本発明の新規アミノ酸誘導体を上記の天然
エキス加工品および代替品、あるいは基本だし類に添加
することにより、これら既存の調味料に「あつみのある
酸味」を付与でき、天然エキスに類似した高品質の呈味
を持つ天然エキス加工品および代替品の製造法を提供
し、また高品質の基本だしの製造法を提供できる。
【0017】ここで言う「あつみのある酸味」とは、通
常食品加工に用いられている有機酸(クエン酸、コハク
酸、乳酸、リン酸等)等が呈する舌を強く刺す酸味では
なく、酸味は呈するが口全体に広がるような天然エキス
が有するマイルドな酸味を言う。また、これら有機酸お
よび酸性アミノ酸などの酸味物質は、中性pHにおいて
は酸味を呈さず、だし等に「あつみのある酸味」を付与
する事はできないことは言うまでもない。また、従来調
味機能を有すると紹介されているアンセリン、カルノシ
ン、クレアチン、クレアチニン、核酸類、糖類は、上記
のように中性pH領域で酸味を呈する機能を有しない。
【0018】本発明で用いる動植物は特に制限はなく、
牛肉、豚肉、鶏肉、魚肉など通常の食品工業に用いられ
ているものを任意に使用することができる。また、酵母
エキスなどを同様に処理して、中性pHにおいても「あ
つみのある酸味」を付与する物質を得ることも可能であ
る。
【0019】「あつみのある酸味」を付与する新規アミ
ノ酸誘導体を得る方法は、例えば水にクレアチンまたは
クレアチニン1〜100mMと、メチルグリオキサール
またはピルビン酸またはジヒドロキシアセトンまたはグ
リセルアルデヒドまたはグルコースまたはフラクトース
またはこれらのリン酸エステルを1〜100mMになる
ように混合する。このときのpHは1〜14、温度は5
〜95゜C、混合時間は6時間以内で良い。
【0020】混合溶液を、濃縮後、アルコール類を加え
て室温放置しておくと、結晶が析出し、この新規アミノ
酸誘導体を得ることができる。
【0021】「あつみのある酸味」を付与する上記新規
アミノ酸誘導体を得る方法は、たとえば、牛肉水抽出液
または熱水抽出液を遠心分離機またはろ過機などによ
り、残渣、オリ、油脂を除去後、市販セルロース系の透
析膜に当該抽出液をいれ、水に対して透析することによ
り、高分子物質を取り除いた後、透過液を電気透析膜も
しくはゲル濾過・分配・逆相等の分離モードを有する各
種カラムを用いて処理することにより上記の新規アミノ
酸誘導体を得る。もちろん、クレアチニンとアラニン等
を原料として合成法により本新規アミノ酸誘導体を得る
事も可能である。
【0022】このようにして得られた「あつみのある酸
味」を付与する、分子量185の上記構造を有する新規
アミノ酸誘導体を、日本料理のだし、たとえば、かつお
節、鶏肉、魚貝、こんぶ、牛肉、シイタケなどの素汁に
添加、または、西洋料理のスープストック、たとえば、
牛肉、鶏肉、豚肉、魚貝などの素汁に添加、中華料理の
タン、たとえば、牛肉、鶏肉、豚肉、ハム、貝柱、アワ
ビ、エビ、スルメ、シイタケ、ハクサイ、セロリなどの
素汁に添加することにより、これらに「あつみのある酸
味」を付与し、その呈味機能を増強させることが判明し
た。また、前述のごとく、上記の天然エキスの加工品お
よび代替品、特にアミノ酸混合物として比較的安価に利
用できるHVP、HAP、酵母エキスに添加し、安価な
ビーフエキスに添加した場合も、味全体をひきしめ、
「あつみのある酸味」を付与すると共に味の増強がみら
れ、高品質なものに改良することができる。尚、「あつ
みのある酸味」を付与する新規アミノ酸誘導体の濃度
は、添加対象とする食品、調味料に応じてその至適と思
われる使用範囲が異なるが、上記のいずれの場合も、液
中濃度が0.01%〜0.5%(固型物重量)となるよ
うに添加することにより、従来のだしなどに欠けていた
「あつみのある酸味」を付与し、味全体を整え、味のぼ
けを抑制することができた。また、本化合物は、いやな
後味を有する各種食品に添加する事により後味のしつこ
さを弱めて、すっきりした味に変える効果を有してい
た。
【0023】本発明の「あつみのある酸味」を付与する
新規アミノ酸誘導体は、強い呈味発現機能を有し、調味
料としての利用、各種加工食品、栄養食品、医療食等へ
の添加が可能で、さらには畜産物、水産物資源の有効利
用に貢献し得るものである。添加方法としては、そのま
ま添加しても良いし、水などにあらかじめ溶解させた後
で添加しても良い。
【0024】以下に、「あつみのある酸味」を付与する
上記新規アミノ酸誘導体を得る方法と添加効果を製造
例、実施例をあげて、説明する。尚、本発明はこれら製
造例、実施例によって制限されるものではない。
【0025】(製造例1:抽出法)牛肉すね肉約6kg
を約5〜10cm角に切り、30リットルの寸胴アルミ
鍋に取り、水8リットルを加え、90〜95゜Cにて、
約7時間煮熟し、熱水抽出液約5リットルを得た。熱水
抽出液から、牛肉および生成したオリを取り除いた後、
同抽出液を一夜、冷蔵した。冷蔵中に生じた抽出液面の
油脂およびオリをさらに60メッシュのフルイなどで除
去後、更にシャープレス超遠心分離機(毎分15,000回
転、中村電気製作所製)により細かい沈澱物および固形
物をとり除いた。遠心分離により茶褐色透明になった上
清を凍結乾燥した。凍結乾燥粉末を8g/dlとなるよ
うに水に溶解させた後、限外ろ過膜(分画分子量10,
000)を用いて高分子成分を充分に除去した。得られ
た低分子画分液を電気透析膜(旭化成製マイクロアシラ
イザーG3、膜孔径分子量約1,000)を用いて処理
し、得られた外液(分子量約1,000以下)をさら
に、電気透析膜(膜孔径分子量約100)により処理
し、内液画分すなわち、牛肉熱水抽出液の分子量約10
0−1,000画分を得た。得られた液は、凍結乾燥に
より粉末化した。なお、電気透析膜での処理は、透析液
の電導度および電流値がゼロになるところを終点とし
た。
【0026】このようにして得た牛肉熱水抽出液の分子
量約100−1000画分をゲル濾過クロマトグラフィ
ー(Sephadex G-25カラム、 50x540m
m、ファルマシア バイオテク社(株)製、溶離液:2
0mM 酢酸アンモニウム)、分配クロマトグラフィー
(HPLC、TSKgel Carbon 500カラ
ム、21.5x150mm 東ソー(株)製、溶離液:
0.05%TFA→0.05%TFA/アセトニトリル=
50/50グラディエント)、逆相クロマトグラフィー
(HPLC、Capcellpak C18 UG120
カラム、20x250mm、(株)資生堂製、溶離液:
0.05%TFA→0.05%TFA/アセトニトリル=
50/50、 グラディエント)等の種々の方法によって
「あつみのある酸味」付与成分を分取した。分取した成
分の純度を逆相クロマトグラフィー(HPLC、Ult
ronVX−ODSカラム、4.6x250mm、信和
化工(株)社製、溶離液:0.05%TFA→0.05%
TFA/アセトニトリル=50/50 グラディエン
ト)で調べたところ、ほぼ単一物質であった。
【0027】(解析例)上記製造例で得られた「あつみ
のある酸味」付与成分の物理化学的性質は、以下のとお
りである。
【0028】(分子量解析結果)上述の方法で牛肉熱水
抽出液より得られた新規アミノ酸誘導体は、以下の性質
を有する。高速原子衝撃質量分析(以下FAB-MSと
略す)解析より、分子量は185と求められた。
【0029】(分子式解析結果)上記分子量の情報およ
び1H-NMRおよび13C-NMRよりC7H11N3O3と決
定された。
【0030】(構造式解析結果)1H-NMRおよび13C
-NMRの測定結果より、アラニンまたは乳酸骨格が存
在し、クレアチニン様の骨格が存在すると推定された。
また、異種核間遠隔結合相関(HMBC)解析より上記
2つの部分構造を縮合させた構造として、標記の構造
(3)(4)および(5)を推定した。なお本物質は、
NMRスペクトルより一組の構造異性体をなしている。
【0031】(X線結晶構造解析結果)本物質の濃厚液
にメチルアルコールを約4倍量添加し、室温放置したと
ころ、数日後に無色透明の板状結晶が析出したため、こ
れを減圧濾過し結晶を分取した。これをX線結晶構造解
析したところ、標記の構造(6)(7)および(8)と
判定された。すなわち、標記(3)(4)および(5)
は、結晶化によりその構造異性体の(6)(7)および
(8)へと構造が変化する事が判明した。
【0032】(製造例2:化学合成法)試薬クレアチニ
ン(ナカライテスク製)70g、及び、試薬メチル-2-
ブロモプロピオネート(メルクジャパン製)114ml
を原料として、化13に示すスキームにより上記新規ア
ミノ酸化合物約15gを得た。得られた化合物の構造を
前述のFAB-MS,1H-NMRおよび13C-NMRより
解析したところ、牛肉熱水抽出物から得たものと同一で
ある事が確認された。この時の収率は、約12%(モル
換算)であった。
【0033】
【化11】
【0034】(製造例3:加熱生成法)試薬クレアチニ
ン(ナカライテスク製)0.5M溶液とアラニン(味の
素製)0.5M溶液とをpH10にて、30時間加熱し
た。得られた反応液をDEAE TOYOPEARL
(11.2cmX20cm)カラムにて処理し、未反応
のクレアチニンとアラニンを除去した。この時、溶離液
は20mM酢酸アンモニウム、流速は18.5ml/m
in、検出は280nmにおける吸光度とした。各フラ
クション中の当該新規アミノ酸誘導体の含量をCarb
on 500カラムにより分析した。更に、この新規ア
ミノ酸誘導体を含むフラクションを集めて濃縮後、分取
用Carbon 500カラムを用いて新規アミノ酸誘
導体を単一に分取した。得られた化合物の構造を前述の
FAB-MS,1H-NMRおよび13C-NMRより解析し
たところ、牛肉熱水抽出物から得たものと同一である事
が確認された。
【0035】(製造例4:加熱生成法)クレアチンとメ
チルグリオキサールをそれぞれ50mMになるように水
に溶解し、pHを4.5、温度を95゜Cで4時間攪拌
を行い、イオン交換樹脂DIAION SK1B(三菱
化学(株)製、4cm×40cm)に吸着させ、2Nア
ンモニア水で溶出、さらにこれを活性炭により常法通り
脱色することにより上記新規アミノ酸誘導体24.6m
Mを得た。得られた化合物の構造をESI−MS、1H
−NMRおよび13C−NMRより解析したところ、牛
肉熱水抽出物から得たものと同一であることが確認され
た。このときの収率は、49.2%(モル換算)であっ
た。
【0036】(製造例5:混合生成法)クレアチンとメ
チルグリオキサールをそれぞれ50mMになるように水
に溶解し、pHを13.0、温度を30゜Cで2時間攪
拌を行い、前法と同様に処理し、上記新規アミノ酸誘導
体45.1mMを得た。得られた化合物の構造をESI
−MS、1H−NMRおよび13C−NMRより解析し
たところ、牛肉熱水抽出物から得たものと同一であるこ
とが確認された。このときの収率は、90.1%(モル
換算)であった。
【0037】(製造例6:加熱生成法)クレアチンとピ
ルビン酸をそれぞれ100mMになるように水に溶解
し、pHを1.0、温度を95゜Cで2時間攪拌を行
い、前法と同様に処理し、上記新規アミノ酸誘導体2.
2mMを得た。得られた化合物の構造をESI−MS、
1H−NMRおよび13C−NMRより解析したとこ
ろ、牛肉熱水抽出物から得たものと同一であることが確
認された。このときの収率は、2.2%(モル換算)で
あった。
【0038】(製造例7:加熱生成法)クレアチンとジ
ヒドロキシアセトンをそれぞれ10mMになるように水
に溶解し、pHを13.0、温度を70゜Cで2時間攪
拌を行い、前法と同様に処理し、上記新規アミノ酸誘導
体7.85mMを得た。得られた化合物の構造をESI
−MS、1H−NMRおよび13C−NMRより解析し
たところ、牛肉熱水抽出物から得たものと同一であるこ
とが確認された。このときの収率は、78.5%(モル
換算)であった。
【0039】(製造例8:混合生成法)クレアチンとジ
ヒドロキシアセトンリン酸エステルをそれぞれ10mM
になるように水に溶解し、pHを13.0、温度を30
゜Cで2時間攪拌を行い、前法と同様に処理し、上記新
規アミノ酸誘導体8.88mMを得た。得られた化合物
の構造をESI−MS、1H−NMRおよび13C−N
MRより解析したところ、牛肉熱水抽出物から得たもの
と同一であることが確認された。このときの収率は、8
8.8%(モル換算)であった。
【0040】(製造例9:加熱生成法)クレアチンとグ
ルコースをそれぞれ10mMになるように水に溶解し、
pHを13.0、温度を95゜Cで2時間攪拌を行い、
前法と同様に処理し、上記新規アミノ酸誘導体6.50
mMを得た。得られた化合物の構造をESI−MS、1
H−NMRおよび13C−NMRより解析したところ、
牛肉熱水抽出物から得たものと同一であることが確認さ
れた。このときの収率は、65.0%(モル換算)であ
った。
【0041】(製造例 10:加熱生成法)クレアチン
とフラクトースをそれぞれ10mMになるように水に溶
解し、pHを13.0、温度を95゜Cで2時間攪拌を
行い、前法と同様に処理し、上記新規アミノ酸誘導体
6.64mMを得た。得られた化合物の構造をESI−
MS、1H−NMRおよび13C−NMRより解析した
ところ、牛肉熱水抽出物から得たものと同一であること
が確認された。このときの収率は、66.4%(モル換
算)であった。
【0042】(呈味機能評価)このようにして得た新規
アミノ酸誘導体の「あつみのある酸味」付与機能を市販
コンソメスープに、0.05%(固型物重量)となるよ
うに上乗せ添加し、その呈味をパネル5名にてプロファ
イル評価した。この結果、上記新規アミノ酸誘導体を添
加したサンプルは、市販コンソメに「あつみのある酸
味」を付与した。
【0043】さらに、新規アミノ酸誘導体の適性添加量
を調べる目的で、同様に市販コンソメスープに同画分を
0.01%、0.03%、0.05%、0.1%、0.2
%、0.5%(固型物重量)添加し、同様にパネルを用
いて評価した。この結果、同画分を添加したサンプル
は、いずれもコントロールである市販コンソメスープの
もつ風味を変える事なく、コク味、あつみの増強に加え
て、いわゆる味全体をひきしめ、「あつみのある酸味」
を付与することが判明した。しかし、その添加効果は、
0.2%以上の添加では、大差がみられず、経済的な事
を考えると0.05%程度の添加で充分であると推定さ
れた。
【0044】このようにして新規アミノ酸誘導体を市販
コンソメスープに添加し、官能評価を実施した。配合比
は次の通りとした。すなわち、市販コンソメキューブ一
個(5g)および本発明の新規アミノ酸誘導体粉末0.
3gに水(湯)を加えて全量を300mlとした。
【0045】対照として、無添加のコンソメスープを調
製し、2種類のスープについて、2点比較法で味覚パネ
ル20名による官能評価を実施した。結果を表1に示し
た。
【0046】
【表1】
【0047】(呈味機能評価)新規アミノ酸誘導体の呈
味改善機能をアスパルテームにより調べた。すなわち、
アスパルテーム(味の素(株)製)0.11gに蒸留水
を加えて、100mlとし(砂糖10%相当の甘味
度)、これに上記新規アミノ酸誘導体(クレアチニンと
アラニンの縮合物)を50mg(2.7mM)添加し
た。また、同様にクレアチニン30.5mg(2.7m>
M)とアラニン24.1mg(2.7mM)を同時に添加
したサンプルも評価した。無添加区を対照にして、訓練
されたパネル8名を用いて呈味プロファイルテストを実
施した。この結果、表2に示すように、新規アミノ酸誘
導体は、アスパルテームの後に引く甘味を抑制し、かな
りすっきりした甘味に変える機能を有する事が明かとな
った。この機能は、クレアチニンとアラニンを添加した
ものにはみられなかった。
【0048】
【表2】
【0049】(呈味機能評価)同様に、市販高甘味度甘
味料への新規アミノ酸誘導体添加効果を調べた。市販、
サッカリンナトリウム(山田製薬(株)製)、「α-G-
スウィート」(=ステビア糖転移製品:東洋精糖(株)
製)、「Sunett」(=アセスルファーム K:ヘ
キスト(株)製)、シクロヘキシルスルファミン酸ナト
リウム(=チクロ:東京化成工業(株)製)、をそれぞ
れ0.11g、0.10g、0.21g、0.33gを
100mlメスフラスコにとり、蒸留水を加えて、10
0mlとした(砂糖10%相当甘味度)。これに、上記
の新規アミノ酸誘導体(クレアチニンとアラニンの縮合
物)を50mg添加した。無添加区を対照にして、訓練
されたパネル10名を用いて呈味プロファイルテストを
実施した。この結果を表3に示したが、新規アミノ酸誘
導体の添加により、苦味および渋味がほとんどなくな
り、また、後味への甘味、苦味、渋味が低減され、すっ
きりした甘味質へと変化する事が判明した。
【0050】
【表3】
【0051】(呈味機能評価)新規アミノ酸誘導体の呈
味付与機能を市販キムチスープに、0.01%(固型物
重量)となるように上乗せ添加し、その呈味をパネル6
名にてプロファイル評価した。この結果、上記新規アミ
ノ酸誘導体を添加したサンプルは、対照の市販キムチス
ープのもつ「強いシャープな辛味」をやわらげ、全体に
「マイルド感」を付与することが明かとなった。
【0052】
【発明の効果】本発明の新規アミノ酸誘導体の製法は、
天然エキス加工品、その代替物、あるいは基本だしなど
に添加することにより、これら既存の調味料に「あつみ
のある酸味」を付与でき、天然エキスに類似した高品質
の呈味を持つ天然エキス加工品、代替品叉は基本だしを
提供できる。また、本発明の新規アミノ酸誘導体の製法
は、高甘味度甘味料およびこれらを用いた加工食品など
に添加することにより、これら既存の高甘味度甘味料の
もつ苦味、渋味、くどい甘さを抑制し、後味に強く残る
これらの呈味を低減する事が可能であり、高品質の呈味
を持つ高甘味度甘味料を提供できる。さらに、キムチス
ープなどの辛味を有する食品に本発明アミノ酸誘導体を
添加することにより、これら既存の強い辛味をやわら
げ、全体をマイルドにすることが可能であり、高品質の
呈味を持つ辛味食品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例で得た単離サンプルのUltron V
X−ODS カラムクロマトグラフィーチャート。
【図2】製造例で得た単離サンプルのFAB-MS チャ
ート。
【図3】製造例で得た単離サンプルの1H-NMRチャー
ト(pH約2)。
【図4】製造例で得た単離サンプルの13C-NMRチャ
ート(pH約2)。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の一般式(1)〜(2)のいずれから
    なる新規アミノ酸誘導体。 【化1】 ただし、X、YはNまたはNH、ZはOまたはOHであ
    り、 (1)X=NかつY=NHのときは、Z=Oで、*1およ
    び*3が2重結合 (2)X=NHかつY=Nのときは、Z=Oで、*2およ
    び*3が2重結合 (3)X=NかつY=Nのときは、Z=OHで、*2*お
    よび4が2重結合 【化2】 ただし、X、YはNまたはNH、ZはOまたはOHであ
    り、 (1)X=NHかつY=Nのときは、Z=Oで、*1およ
    び*4が2重結合 (2)X=NかつY=NHのときは、Z=Oで、*2およ
    び*4が2重結合 (3)X=NかつY=Nのときは、Z=OHで、*1*お
    よび3が2重結合
  2. 【請求項2】クレアチンもしくはクレアチニン及びメチ
    ルグリオキサールもしくはピルビン酸を反応せしめるこ
    とを特徴とする請求項1記載の新規アミノ酸誘導体の製
    造方法。
  3. 【請求項3】クレアチンもしくはクレアチニン及びジヒ
    ドロキシアセトンもしくはグリセルアルデヒドもしくは
    これらの誘導体を反応せしめることを特徴とする請求項
    1記載の新規アミノ酸誘導体の製造方法。
  4. 【請求項4】クレアチンもしくはクレアチニン及び単糖
    もしくは二糖もしくはオリゴ糖もしくはこれらの誘導体
    を反応せしめることを特徴とする請求項1記載の新規
    ミノ酸誘導体の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1記載の一般式(1)〜(2)のい
    ずれからなる新規アミノ酸誘導体を添加された新規調味
    料素材。
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