JP3517259B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP3517259B2
JP3517259B2 JP23428593A JP23428593A JP3517259B2 JP 3517259 B2 JP3517259 B2 JP 3517259B2 JP 23428593 A JP23428593 A JP 23428593A JP 23428593 A JP23428593 A JP 23428593A JP 3517259 B2 JP3517259 B2 JP 3517259B2
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研二 江取
耕太郎 檀上
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基体への熱の影響を最
小限に抑えて磁気記録層を加熱することができる磁気記
録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】基体の片面あるいは両面の全域またはス
トライプ状に磁気記録層が形成された磁気記録媒体は、
例えば、プリペイドカード、定期券、乗車券、入場券、
車券、馬券、商品券、株券、証書、通帳、磁気タグ等の
金券、証券類や、IDカード、キャッシュカード、クレ
ジットカード、会員カード等のカード類、磁気テープ、
磁気転写テープ、磁気ラベル等して幅広く使用されてい
る。従来、このような磁気記録媒体は、磁気記録層に高
い記録密度で情報を書込み、外部から簡単には記録情報
を読み出せないようにしたものである。
【0003】しかしながら、磁気記録層の特性上、記録
された情報の書換え、消去が自在であるため、偽造、変
造が可能であり、近年、大きな社会問題としてクローズ
アップされている。特に、現在は磁気ストライプの入手
が容易であるため、類似のカードを製造することも可能
であり、さらに、現在の仕様のように、磁気記録媒体の
表面に磁気記録層が露出している場合、磁気転写技術に
より磁気記録情報を他の磁気記録層に移すことが容易に
できてしまうという問題もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような問題を解決
するために、磁気記録層に用いる磁性材料を保磁力の高
いものとした磁気記録媒体が開発されている。この磁気
記録媒体は、磁気記録層を加熱して磁性材料の保磁力を
低下させることにより、入手容易な通常の磁気ヘッドに
よる記録、再生が可能となり、常温状態では通常の磁気
ヘッドによる記録、再生が困難であり、偽造、変造がで
きないものである。
【0005】しかしながら、上記のような磁気記録媒体
は、一般に基体として樹脂シートを使用しているため、
カード発行時等において磁気記録層を加熱すると、基体
にまで熱が拡散してしまい、この結果、基体が熱により
劣化したり変形を生じてしまうという問題があった。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、基体への熱の影響を最小限に抑えながら
磁気記録媒体の磁気記録層を加熱することが可能な磁気
記録媒体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明は基体と、該基体上に磁気記録層を有
する磁気記録媒体において、前記磁気記録層は加熱によ
り保磁力が低下する磁性材料を含有し、加熱状態で磁気
記録を行うものであり、少なくとも前記基体と前記磁気
記録層との間に断熱層が形成されており、該断熱層は厚
みが0.5〜300μmの範囲であり、熱伝導率が0.
01〜0.20kcal/m・h・kの範囲であるよう
な構成とした。
【0008】
【作用】磁気記録媒体を構成する断熱層は、少なくとも
基体と磁気記録層との間に形成されており、磁気記録層
が加熱された際の磁気記録層から基体への熱拡散は、上
記の断熱層により有効の防止され、基体への熱の影響を
最小限に抑えられる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。
【0010】図1は本発明の磁気記録媒体の1例を示す
概略断面図である。図1において、磁気記録媒体1は、
基体2と、この基体2上に断熱層3を介して設けられた
磁気記録層4を備えている。上記の磁気記録層4は、基
体2側に位置する第1磁気記録層4aと、この第1磁気
記録層4a上に設けられた第2磁気記録層4bとの2層
構成を有している。そして、第1磁気記録層4aおよび
第2磁気記録層4bに含まれる磁性材料は、互いに異な
るキュリー点および保磁力を有している。
【0011】基体2は、基体として要求される耐熱性、
強度、剛性、隠蔽性、光不透過性等を考慮して、ナイロ
ン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテー
ト、塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリカーボネー
ト等の樹脂、銅、アルミニウム等の金属、紙、含浸紙等
の材料の中から適宜選択した材料の単独あるいは組み合
わせた複合体により構成することができる。このような
基体2の厚さは、0.005mm〜5mm程度とすることが
できる。
【0012】断熱層3は、磁気記録層4が加熱された際
に、磁気記録層4から基体2への熱拡散を防止すること
を目的に形成されたものであり、特に、基体2のガラス
転移点を超えるような温度まで磁気記録層4を加熱する
場合に、熱による基体の変形、劣化等を有効に防止する
ものである。
【0013】このような断熱層3は、熱伝導率が非常に
低い材料を一般的樹脂に分散したものとすることができ
る。断熱層に使用する熱伝導率が非常に低い材料として
は、ケイ酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、シリ
カアルミナファイバー、石綿、フォームガラス、パーラ
イト、バーミキュライト、ケイソウ土等を挙げることが
できる。また、上記のような低熱伝導率材料のバインダ
ーとしての樹脂は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、塩化
ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ウレタン系樹脂
等を用いることができる。
【0014】また、断熱層3は、硬質フォームラバー、
ポリウレタンフォーム、発砲ポリスチレン、ポリエチレ
ンフォーム、フェノールフォーム、硬質塩化ビニルフォ
ーム、軟質塩化ビニルフォーム、ユリアフォーム等によ
り形成することもできる。
【0015】このような断熱層3の厚さは0.5〜30
0μm、好ましくは1〜50μm程度とすることができ
る。また、断熱層3の熱伝導率は、0.01〜0.20
kcal/m・h・kの範囲であることが好ましい。断熱層
3の形成は、成形フィルムの状態で基体2上に積層して
もよく、あるいは樹脂に低熱伝導率材料を分散した塗料
を基体2に塗布することにより行ってもよい。
【0016】図1に示される例では、基体2の全面に断
熱層3と磁気記録層4が形成されているが、断熱層3は
少なくとも基体2と磁気記録層4との間に形成されてい
ればよく他の態様も可能である。
【0017】例えば、図2の例では、基体2の一部にス
トライプ状の磁気記録層4を備え、断熱層3は、この磁
気記録層4と基体2との間を含めて基体2全面に形成さ
れている。
【0018】また、図3に示される例では、基体2の全
面に比較的厚く形成した断熱層3の一部にストライプ状
の磁気記録層4が形成されている。
【0019】さらに、図4に示される例では、基体2に
形成された磁気記録層用の凹部2a内に断熱層3を介し
て磁気記録層4がストライプ状に形成されている。この
場合、後述するように磁気転写シートとして基材上に磁
気記録層、断熱層、接着剤層が形成されたものを使用し
て凹部2a内に転写することが簡便である。
【0020】磁気記録層4においては、上述のように、
磁気記録層4を構成する第1磁気記録層4aが含有する
磁性材料、および第2磁気記録層4bが含有する磁性材
料は、一方が他方よりも高い保磁力と低いキュリー点T
cを有している。ここで、高保磁力、低キュリー点を有
する磁気記録層を第1磁気記録層4aにするか、第2磁
気記録層4bにするかは、下記の効果を勘案して選択す
ることができる。
【0021】第1磁気記録層4aが高保磁力、低キュリ
ー点Tcを有する磁気記録層であり、第2磁気記録層4
bが低保磁力、高キュリー点を有する磁気記録層である
場合、上層の第2磁気記録層4bが下層の第1磁気記録
層4aを隠蔽する。したがって、高保磁力、低キュリー
点の磁性材料からなる第1磁気記録層4aの存在に偽造
者が気づき難いことになる。また、低保磁力の磁性材料
からなる第2磁気記録層4bが上層にあるため、磁気転
写によるトラブルが発生し難くなる。さらに、第2磁気
記録層4bを構成する磁性材料の平均粒子径を0.1μ
m以下とすることにより、第2磁気記録層4bにおける
赤外線の透過性が向上する。このため、赤外線による光
加熱方式を用いたとき、第1磁気記録層4aが隠蔽され
ているにもかかわらず、第1磁気記録層4aのみを選択
的に加熱することができるという効果がある。
【0022】一方、第1磁気記録層4aが低保磁力、高
キュリー点Tcを有する磁気記録層であり、第2磁気記
録層4bが高保磁力、低キュリー点を有する磁気記録層
である場合、第2磁気記録層4bが上層であるため、加
熱により高保磁力層である第2磁気記録層4bを直接的
に加熱し易くなる。また、加熱しながらの磁気記録時に
おいて、熱上昇分布が上層の第2磁気記録層4bである
高保磁力、低キュリー点を有する磁気記録層に集中し、
下層の第1磁気記録層4aである低保磁力、高キュリー
点を有する磁気記録層への熱拡散が少なくてすむため、
第1磁気記録層4aのキュリー点を比較的低くでき、熱
によるダメージも少なくすることができる。さらに、磁
気記録時において、磁気ヘッドから遠い層が、低保磁力
の磁気記録層であるため、磁場強度(書込電流値)を小
さくすることができる。さらにまた、上層が高保磁力の
磁気記録層であるため、偽造者がその下層の第1磁気記
録層4aに気づきにくいという効果がある。
【0023】このような構成の磁気記録層4は、低いキ
ュリー点Tcを有する磁気記録層のキュリー点Tcより
も低い温度で加熱することにより、第1磁気記録層4a
と第2磁気記録層4bの飽和書込み電流値が略同一、も
しくは近づくことにより、低保磁力の磁性材料の特定の
書込み電流設定値(例えば、飽和電流値の1.5〜2.
0倍)よりも高保磁力の磁性材料の飽和電流値の方が小
さくなる。
【0024】例えば、第1磁気記録層4aが高保磁力、
低キュリー点Tcを有する磁気記録層であり、第2磁気
記録層4bが低保磁力、高キュリー点を有する磁気記録
層である場合、キュリー点Tcよりも低い温度で加熱し
て高保磁力磁気記録層である第1磁気記録層4aの保磁
力を下げ、飽和書込み電流値を第2磁気記録層4bの飽
和書込み電流値と略同一か、もしくは、近づけることが
できる。これにより、低保磁力の磁性材料の特定の書込
み電流設定値(例えば、飽和電流値の1.5〜2.0
倍)よりも高保磁力の磁性材料の飽和電流値の方を小さ
くすることができる。この際、加熱温度が低すぎると、
高保磁力磁気記録層である第1磁気記録層4aの飽和書
込み電流値が第2磁気記録層4bの飽和書込み電流値と
同一のレベルにならないか、もしくは低保磁力磁気記録
層に書込む時の書込み電流値において、高保磁力磁気記
録層の飽和書込みができないため、加熱条件の下限を低
キュリー点Tcの1/2程度の温度に設定することが好
ましい。また、両磁気記録層4a,4bのキュリー点が
近いと低保磁力磁気記録層である第2磁気記録層4bの
保磁力も低下を来すことになる。このため、両磁気記録
層4a,4bのキュリー点の差を100℃以上に設定し
て、低保磁力磁気記録層の保磁力低下を防止することが
好ましい。さらに、第1磁気記録層4aと第2磁気記録
層4bへの磁気記録が互いに影響を受けないようにする
ため、両磁気記録層4a,4bの保磁力の差を2倍以上
に設定することが好ましい。
【0025】高保磁力、低キュリー点Tcを持つ磁気記
録層を構成する磁性材料としては、例えばキュリー点の
低いCrO2 、AO・n{(Fe1-X-Y CrX ZnY
23 }、AO・n{(Fe1-X CrX23 }、A
O・n{(Fe1-X AlX 23 }、AO・n{(F
1-X GaX23 }、AO・n{(Fe1-X-Y-Z
X CrY AlZ23 }、AO・n{(Fe1-X-Y
CrX GaY23}(上記においてAはSrまたは
Baのうちの1種または2種、n=5〜6)で表される
ようなSrフェライト、Baフェライト類、Nd−Fe
−B−Mn、Nd−Fe−B−Mn−Al、Nd−Fe
−B−Mn−Cr、Nd−Fe−B−Mn−Al−Cr
等のNd−Fe−B系合金類等の磁性微粒子が挙げられ
る。そして、上記の磁性微粒子が適当な樹脂あるいはイ
ンキビヒクル中に分散されてなる分散物を、グラビア
法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の塗布方法に従
って塗布することにより磁気記録層を形成することがで
きる。
【0026】また、低保磁力、高キュリー点を持つ磁気
記録層を構成する磁性材料としては、例えばγ−Fe2
3 、Co被着γ−Fe23 、Fe34 、Fe、F
e−Cr、Fe−Co、Co−Cr、Co−Ni、Ba
フェライト、Srフェライト、CrO2 等の磁性微粒子
が挙げられる。
【0027】そして、上記の磁性微粒子が適当な樹脂あ
るいはインキビヒクル中に分散されてなる分散物を、グ
ラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の塗布方
法に従って塗布することにより低保磁力、高キュリー点
の磁気記録層を形成することができる。また、真空蒸着
法、スパッタリング法、メッキ法等により形成すること
もできる。
【0028】尚、上記の磁性材料の平均粒子径を0.1
μm以下とすることにより、磁気記録層の赤外線の透過
性が向上し、赤外線による光加熱方式を併用する場合、
照射された赤外線が加熱の不要な磁気記録層(高キュリ
ー点の磁気記録層)を透過して所定の磁気記録層を加熱
することが可能となる。
【0029】上記の磁性微粒子が分散される樹脂あるい
はインキビヒクルとしては、ブチラール樹脂、塩化ビニ
ル/酢酸ビニル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリエス
テル樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、スチレン/
マレイン酸共重合体樹脂等が用いられ、必要に応じてニ
トリルゴム等のゴム系樹脂あるいはウレタンエラストマ
ー等が添加される。また、耐熱性を考慮して、ポリアミ
ド、ポリイミド、ポリエーテルサルホン等のガラス転移
温度(Tg)の高い樹脂、あるいは硬化反応によりTg
が上昇する系を用いることができる。上記のような樹脂
あるいはインキビヒクル中に磁性微粒子が分散されてな
る分散物中に、必要に応じて界面活性剤、シランカップ
リング剤、可塑剤、ワックス、シリコーンオイル、ガー
ボン等の顔料を添加してもよい。
【0030】上記のような磁性材料、樹脂あるいはイン
キビヒクルを用いて形成される第1磁気記録層4aおよ
び第2磁気記録層4bの厚さは、塗布方法により形成さ
れる場合には1〜100μm、好ましくは5〜20μm
程度である。また、真空蒸着法、スパッタリング法、メ
ッキ法等により形成される場合には100Å〜1μm、
好ましくは500〜2000Å程度である。
【0031】上述の例では、磁気記録層4は第1磁気記
録層4aおよび第2磁気記録層4bの2層構成である
が、3層以上の積層構造であってもよい。また、磁気記
録層4は、保磁力およびキュリー点の異なる3種以上の
磁性材料により構成されていてもよい。3層構造の磁気
記録層としては、例えば(高保磁力・低キュリー点)/
(低保磁力・高キュリー点)/(高保磁力・低キュリー
点)とすることにより、高保磁力層と低保磁力層の書込
み波形をより同一のものとすることができる。また、保
磁力を3段階として中間保磁力層に更に別の磁気データ
を書込んだり、キュリー点を3段階として加熱温度を2
段階に設定したりすることにより、より高度な記録・再
生システムとすることができる。
【0032】さらに、磁気記録層4は積層構造ではな
く、単一の層で構成され、保磁力およびキュリー点の異
なる2種以上の磁性材料を混合して含有するものでもよ
い。この場合も、多層構造の場合と同じ効果が得られ、
さらに、構成層が少ないため、磁気記録層の最下部と磁
気ヘッドとの距離を小さくできるという利点がある。
【0033】図5は本発明の磁気記録媒体の他の例を示
す概略断面図である。図5において、本発明の磁気記録
媒体11は基体12と、この基体12上に断熱層13を
介して設けられた磁気記録層14、回折格子および/ま
たはホログラム層15とを備えている。上記の磁気記録
層14は、基体12側に位置する第1磁気記録層14a
と、この第1磁気記録層14a上に設けられた第2磁気
記録層14bとの2層構成を有している。そして、第1
磁気記録層14aおよび第2磁気記録層14bに含まれ
る磁性材料は、互いに異なるキュリー点および保磁力を
有している。
【0034】基体12、断熱層13および磁気記録層1
4は、上述の磁気記録媒体1の基体2、断熱層3および
磁気記録層4と同様の構成とすることでき、ここでの説
明は省略する。
【0035】本発明の磁気記録媒体11に用いられる回
折格子および/またはホログラム層15は、一般に樹脂
から構成され、単一構造あるいは多層構造のいずれでも
よい。多層構造の場合は、例えば基材フィルム上に回折
格子やホログラムを形成するための樹脂を設けたもの、
あるいは、回折格子やホログラムを形成するための樹脂
自体が積層構造となっていてもよい。さらに、全域が回
折格子層であってもホログラム層であってもよく、また
回折格子層とホログラム層とが混在していてもよい。
【0036】ホログラム層は、平面ホログラム、体積ホ
ログラムのいずれでもよく、平面ホログラムの場合、レ
リーフホログラムが量産性、耐久性およびコストとの面
から好ましく、体積ホログラムの場合、リップマンホロ
グラムが画像再現性および量産性の面から好ましい。
【0037】その他、フルネルホログラム、フラウンホ
ーファホログラム、レンズレスフーリエ変換ホログラ
ム、イメージホログラム等のレーザー再生ホログラム、
およびレインボーホログラム等の白色光再生ホログラ
ム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラ
ム、コンピュータホログラム、ホログラムディスプレ
イ、マルチプレックスホログラム、ホログラフィックス
テレオグラム、ホログラフィック回折格子等を用いるこ
とができる。
【0038】回折格子層は、ホログラム記録手段を利用
した前記ホログラフィック回折格子により構成すること
もできるが、電子線描画装置等を用いて機械的に回折格
子を作成することにより、計算に基づいて任意の回折光
が得られる回折格子を作成することができる。干渉縞を
記録するための回折格子形成用感光材料あるいはホログ
ラム形成用感光材料としては、銀塩、重クロム酸ゼラチ
ン、サーモプラスチック、ジアゾ系感光材料、フォトレ
ジスト、強誘電体、フォトクロミックス材料、サーモク
ロミックス材料、カルコゲンガラス等が使用できる。
【0039】本発明においては、回折格子層やホログラ
ム層の形成材料として、ポリ塩化ビニル、メチルメタア
クリレートのようなアクリル、ポリスチレン、ポリカー
ボネート等の熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル、メラ
ミン、エポキシ、ポリエステル(メタ)アクリレート、
ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アク
リレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオ
ール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレ
ート、トリアジン系アクリレート等の熱硬化性樹脂を硬
化させたもの、あるいは上記の熱可塑性樹脂と熱硬化性
樹脂との混合物を使用することができる。
【0040】さらに、回折格子層やホログラム層の形成
材料として、ラジカル重合性不飽和基を有する熱成形性
物質が使用可能であり、これには下記の2種のものがあ
る。 (1)ガラス転移点が0〜250℃のポリマー中にラジ
カル重合性不飽和基を有するもの。より具体的には、下
記の〜に示される化合物を重合もしくは共重合させ
たポリマーに対して、後述する方法(イ)〜(ニ)によ
りラジカル重合性不飽和基を導入したものを挙げること
ができる。
【0041】 水酸基を有する単量体:N−メチロー
ルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメ
タクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2
−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−
3−フェノキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキ
シ−3−フェノキシプロピルアクリレート等。
【0042】 カルボキシル基を有する単量体:アク
リル酸、メタクリル酸、アクリロイルオキシエチルモノ
サクシネート等。
【0043】 エポキシ基を有する単量体:グリシジ
ルメタクリレート等。
【0044】 アジリジニル基を有する単量体:2−
アジリジニルエチルメタクリレート、2−アジリジニル
プロピオン酸アリル等。
【0045】 アミド基を有する単量体:アクリルア
ミド、メタクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミ
ド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルア
ミノエチルメタクリレート等。
【0046】 スルフォン基を有する単量体:2−ア
クリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸等。
【0047】 イソシアネート基を有する単量体:
2,4−トルエンジイソシアネートと2−ヒドロキシエ
チルアクリレートの1モル対1モル付加物等のジイソシ
アネートと、活性水素を有するラジカル重合単量体の付
加物等。
【0048】 上記の共重合体のガラス転移点を調節
したり、硬化膜の物性を調節したりするために、上記の
化合物と、この化合物と共重合可能な以下のような単量
体と共重合させることもできる。共重合可能な単量体と
しては、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、
エチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピル
メタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルメタク
リレート、ブチルアクリレート、イソブチルメタクリレ
ート、イソブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレ
ート、t−ブチルアクリレート、イソアミルメタクリレ
ート、イソアミルアクリレート、シクロヘキシルメタク
リレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘ
キシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト等が挙げられる。
【0049】次に、上述のようにして得られた重合体を
以下に述べる方法(イ)〜(ニ)により反応させ、ラジ
カル重合性不飽和基を導入することにより、回折格子形
成樹脂あるいはホログラム形成樹脂を得ることができ
る。
【0050】(イ) 水酸基を有する単量体の重合体ま
たは共重合体の場合には、アクリル酸、メタクリル酸等
のカルボキシル基を有する単量体等を縮合反応させる。
【0051】(ロ) カルボキシル基、スルフォン基を
有する単量体の重合体または共重合体の場合には、上記
の水酸基を有する単量体を縮合反応させる。
【0052】(ハ) エポキシ基、イソシアネート基あ
るいはアジリジニル基を有する単量体の重合体または共
重合体の場合には、上記の水酸基を有する単量体もしく
はカルボキシル基を有する単量体を付加反応させる。
【0053】(ニ) 水酸基あるいはカルボキシル基を
有する単量体の重合体または共重合体の場合には、エポ
キシ基を有する単量体あるいはアジリジニル基を有する
単量体、ジイソシアネート化合物と水酸基含有アクリル
酸エステル単量体の1対1モルの付加物を付加反応させ
る。
【0054】上記の反応を行うには、微量のハイドロキ
ノン等の重合抑制剤を加え、乾燥空気を送りながら行う
ことが好ましい。
【0055】(2)融点が0〜250℃であり、ラジカ
ル重合性不飽和基を有する化合物。具体的には、ステア
リルアクリレート、ステアリルメタクリレート、トリア
クリルイソシアヌレート、シクロヘキサンジオールジア
クリレート、シクロヘキサンジオールジメタクリレー
ト、スピログリコールジアクリレート、スピログリコー
ルジメタクリレート等が挙げられる。
【0056】また、本発明における回折格子形成樹脂あ
るいはホログラム形成樹脂としては、上記(1)、
(2)を混合して用いることもでき、さらに、それらに
対してラジカル重合性不飽和単量体を加えることもでき
る。このラジカル重合性不飽和単量体は、電離放射線照
射の際、架橋密度を向上させ、耐熱性を向上させるもの
であり、上述の単量体の他に、エチレングリコールジア
クリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポ
リエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレング
リコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリ
レート、ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチ
ロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロ
パントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジア
クリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタ
エリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリ
トールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメ
タクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレ
ート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、
エチレングリコールジグリシジルエーテルジアクリレー
ト、エチレングリコールジグリシジルエーテルジメタク
リレート、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテ
ルジアクリレート、ポリエチレングリコールジグリシジ
ルエーテルジメタクリレート、プロピレングリコールジ
グリシジルエーテルジアクリレート、プロピレングリコ
ールジグリシジルエーテルジメタクリレート、ポリプロ
ピレングリコールジグリシジルエーテルジアクリレー
ト、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルジ
メタクリレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテ
ルテトラアクリレート、ソルビトールテトラグリシジル
エーテルテトラメタクリレート等を用いることができ
る。このような単量体は、上記の共重合体混合物の固形
分100重量部に対して、0.1〜100重量部の割合
で用いることが好ましい。また、上記のものは電子線に
より充分に硬化することが可能であるが、紫外線照射で
硬化させる場合には、増感剤としてベンゾキノン、ベン
ゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエー
テル類、ハロゲン化アセトフェノン類、ビアチル類等の
紫外線照射によりラジカルを発生するものも用いること
ができる。
【0057】また、後述する磁気記録層の加熱を効率よ
く行うために、回折格子層15あるいはホログラム層1
5を熱伝導性の高いものとすることが好ましい。ここ
で、回折格子層15あるいはホログラム層15を構成す
る上記の樹脂の熱伝導率κは、0.1〜0.3( Joule
/m・sec ・k)と低いものである。このため、熱伝導
率κが10( Joule/m・sec ・k)以上の添加剤、例
えばエチレングリコール、グリセリン、ジオクチルフタ
レート等の可塑剤(κは数百( Joule/m・sec・
k))、TiO2 、BeO、SiO2 等の酸化剤(κは
数十〜数百( Joule/m・sec ・k))等を回折格子層
15あるいはホログラム層15に含有させることが好ま
しい。
【0058】回折格子層15あるいはホログラム層15
は、従来公知の方法により形成することができる。例え
ば、ホログラムがレリーフホログラムである場合、干渉
縞が凹凸の形で記録されたホログラム原版をプレス型と
して用い、このホログラム原版上にホログラム形成用樹
脂シートを載置し、加熱ロール等の手段により両者を加
熱圧接し、ホログラム形成用樹脂シート表面にホログラ
ム原版の凹凸模様を複製する方法によって、レリーフ形
成面を有するホログラム層15を得ることができる。ホ
ログラムが、体積ホログラムである場合、フォトポリマ
ー等を基材上にコーティング形成し、予め作成してある
ホログラム原板と重ね合わせて、スリット状のレーザー
光を照射することにより、巻取複製することができる。
その後、熱現像等の処理をしてもよい。いずれにして
も、個々の記録体ができるだけ個別の再生像を保持でき
るように複製版を多く準備したり、ランダムパターンと
したり、種々工夫することができる。
【0059】本発明の磁気記録媒体は、図6に示される
ように、上述のような回折格子層15あるいはホログラ
ム層15と、磁気記録層14との間に薄膜層16を備え
ていてもよい。薄膜層16は回折あるいはホログラム効
果をより効果的に発現するものであればよく、通常、一
般的な反射性金属薄膜が使用される。また、ホログラム
が透明型ホログラムの場合、後述するような磁気記録層
14上の着色層や絵柄を隠蔽しない材質であればよく、
例えば回折格子層15あるいはホログラム層15とは屈
折率の異なる透明材料、厚みが200Å以下の反射性金
属薄膜層が挙げられる。
【0060】前者の場合、透明材料の屈折率は回折格子
層15あるいはホログラム層15よりも大きくても小さ
くてもよいが、屈折率の差は0.1以上、好ましくは
0.5以上であり、屈折率の値は1.0以上であること
が好ましい。このように、屈折率の異なる透明薄膜層を
設けることにより、回折あるいはホログラム効果を発現
でき、しかも、下層の着色や絵柄を隠蔽させない作用が
得られる。
【0061】また、後者の場合は、反射性金属薄膜では
あるが、厚みが200Å以下であるため、光波の透過率
が大きく、そのため回折あるいはホログラム効果の発現
作用とともに、表示部非隠蔽作用を発揮する。すなわ
ち、反射性金属薄膜中を光波が通過する場合、その振幅
は一波長当たり、exp(−2πK)で急激に減少する
ため、その膜厚が200Åを越えると透過率はかなり小
さいものとなる。したがって、膜厚を200Å以下とす
ることにより透過率は充分なものとなり、回折あるいは
ホログラム効果を発現させることができる。また、膜厚
を200Å以下とすることにより、従来みられた高い輝
度の銀白色による外観上の違和感も解消する。
【0062】上記のような薄膜層16の形成に用いられ
る材料としては、以下のような(1)〜(6)の材料が
挙げられる。 (1)回折格子層またはホログラム層よりも屈折率が大
きい透明連続薄膜 これには、可視領域で透明なものと、赤外あるいは紫外
領域で透明なものとがあり、前者は表1に、後者は表2
にそれぞれ示す。表中、nは屈折率を示す(以下、
(2)〜(6)においても同様)。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】 (2)回折格子層またはホログラム層よりも屈折率が大
きい透明強誘電体 上記の透明強誘電体の例を表3に示す。
【0065】
【表3】 (3)回折格子層またはホログラム層よりも屈折率が小
さい透明連続薄膜 上記の透明連続薄膜の例を表4に示す。
【0066】
【表4】 (4)厚さ200Å以下の反射性金属薄膜 反射性金属薄膜は、複素屈折率を有し、この複素屈折率
n*はn*=n−iKで表される。ここで、nは屈折
率、Kは吸収係数を示す。
【0067】本発明に使用できる反射性金属薄膜の材質
を表5に示し、併せて上記のnおよびKの値を示す。
【0068】
【表5】 また、上記の表5に挙げた材質の他に、Sn,In,T
e,Ti,Fe,Co,Zn,Ge,Pb,Cd,B
i,Se,Ga,Rb等の金属が使用可能である。さら
に、上記の金属の酸化物、窒化物等も使用可能であり、
また、金属、その酸化物、窒化物等は、単独で用いるこ
ともでき、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても
よい。 (5)回折格子層またはホログラム層と屈折率の異なる
樹脂 回折格子層またはホログラム層に対して屈折率が大きい
もの、小さいもの、いずれでもよい。これらの例を表6
に示す。
【0069】
【表6】 また、上記の表6に挙げた樹脂の他に、一般的な合成樹
脂が使用可能であるが、特に回折格子層またはホログラ
ム層との屈折率の差が大きい樹脂が好ましい。 (6)上記の(1)〜(5)に示される材質を適宜組み
合わせてなる積層体 上記の(1)〜(5)の材質の組み合わせは任意であ
り、また層構成における各層の上下位置関係も任意に選
択できる。
【0070】上記の(1)〜(6)の薄膜層のうち、
(4)の薄膜層の厚さは200Å以下が好ましく、
(1)〜(3)および(5)、(6)の薄膜層の厚さ
は、薄膜層が透明性を維持できる範囲であればよく、使
用する材質により適宜設定することができ、一般的には
10〜10000Å程度、好ましくは100〜5000
Å程度である。
【0071】上記の(1)〜(4)に示されるような材
質を用いて薄膜層を形成する方法としては、真空蒸着
法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオ
ンプレーティング法、電気メッキ法等の一般的薄膜形成
手段を用いることができる。また、上記の(5)に示さ
れるような材質を用いて薄膜層を形成する場合は、一般
的なコーティング方法等を用いることができる。さら
に、上記の(6)に示されるような材質を用いて薄膜層
を形成する場合は、上記の各手段、方法等を適宜組み合
わせて用いることができる。
【0072】尚、上記の(5)に示されるような材質を
用いる場合、透明材料である限り薄膜でなくてもよく、
0.5μm以上、好ましくは1.0〜3.0μmの厚み
を有する樹脂層を形成してもよい。特に、透明型とする
ことで、磁気記録層、絵柄層との積層であることが一目
で判別できるようにする。また、光学的加熱の際は、光
が直接磁気記録層へ届くため、より効果的である。
【0073】上述のように、本発明の磁気記録媒体11
では磁気記録層14上に回折格子層15またはホログラ
ム層15が存在することにより、磁気記録層が露出する
のが防止され、磁気記録層に書き込まれている情報を直
接別のカードの磁気ストライプに移す磁気転写が困難と
なる。そして、回折格子層15またはホログラム層15
は、外観上美しく、それ自体の製造が容易ではなく、類
似品の作製は困難であり、本発明の磁気記録媒体は、偽
造、変造の困難な磁気記録媒体である。
【0074】また、本発明の磁気記録媒体は、回折格子
層15またはホログラム層15上に保護層を備えるもの
でもよい。回折格子層15またはホログラム層15上へ
の保護層の形成は、合成樹脂フィルムをラミネートする
か、エクストルージョンコート法によるか、あるいは合
成樹脂塗料を塗布することにより行うことができる。保
護層を構成する樹脂としては、耐久性、耐熱性あるいは
他の層との密着性等を考慮して、上述の着色層を形成す
るに際して用いられる合成樹脂類と同様のものでもよ
く、また、物理的特性の高い紫外線・電子線硬化型の樹
脂がより好ましい。
【0075】保護層形成用の電離放射線硬化性樹脂とし
ては、分子中に重量性不飽和結合またはエポキシ基を有
するプレポリマ−、オリゴマー、および/または単量体
等による混合樹脂組成物が利用される。尚、上記のプレ
ポリマ−やオリゴマーの具体例は、不飽和ジカルボン酸
と多価アルコールとの縮合物等による不飽和ポリエステ
ル類をはじめ、ポリエステルメタクリレート、ポリエー
テルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラ
ミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステ
ルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアク
リレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアク
リレート、メラミンアクリレート等のアクリレート類等
が挙げられる。さらに、単量体の具体例は、スチレン、
α・メチルスチレン等によるスチレン系単量体、アクリ
ル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリ
ル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アク
リル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸
フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタ
クリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチ
ル、メタクリル酸フェニル等のメタクリル酸エステル
類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチ
ル、メタクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エ
チル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)
エチル、メタクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミ
ノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミ
ノ)プロピル等の不飽和酸の置換アミノアルコールエス
テル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和
カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレー
ト、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチ
ルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオー
ルジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレー
ト、トリエチレングリコールジアクリレート等のジアク
リレート化合物、ジプロピレングリコールジアクリレー
ト、エチレングリコールアクリレート、プロピレングリ
コールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタ
クリレート等の多官能性化合物、トリメチロールプロパ
ントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリ
チオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグ
リコール等の分子中に2個以上のチオール基を有するポ
リチオール化合物等が利用される。保護層を上記のよう
な電離放射線硬化型樹脂により形成する場合、電離放射
線硬化型樹脂によるコーティング剤の塗工適性を考慮し
て、通常、上述のプレポリマーまたはオリゴマーの5〜
95重量%と、単量体および/またはポリチオール化合
物の95〜5重量%との混合組成物が利用される。ま
た、電離放射線硬化型樹脂によるコーティング剤中に
は、このコーティング剤が紫外線の照射により硬化され
る場合、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン
類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α・アミロキシ
ムエステル、テトラメチルメウラムモノサルファイド、
チオキサントン類等による光重合開始剤と、必要に応じ
てn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブ
チルホスフィン等の光増感剤とを添加してもよいことは
勿論である。
【0076】保護層を形成する際のコーティング剤の塗
工方法は、ロールコート、カーテンフローコート、ワイ
ヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グ
ラビアリバースコート、エアナイフコート、キスコー
ト、ブレードコート、スムーズコート、コンマコート等
の公知の方法を用いることができる。
【0077】また、電離放射線硬化型樹脂による保護層
形成における硬化には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低
圧水銀灯、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メ
タルハライドランプ等の光源からの紫外線照射、あるい
は、コックロフトワルトン型、ハンデグラフ型、共振変
圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン
型、高周波型等の各種電子線加速器による100〜10
00keV、好ましくは100〜300keVのエネル
ギーの電子線照射が用いられる。
【0078】尚、保護層には、耐久性、耐熱性を向上さ
せるために、テフロンパウダー等の粉体、好ましくは軟
化点が100℃以上であり透明性が高い粒径が数μm、
さらにはサブミクロン程度の微粉体が含有されてもよ
い。また、保護層中にシリコーン、ポリエチレンワック
ス等を添加して表面に剥離性を与えてもよい。
【0079】尚、このような保護層と、回折格子層15
あるいはホログラム層15との間に、両層の接着性を高
め、かつ回折格子層15あるいはホログラム層15の耐
久性を高めるために、硬化型アクリル系樹脂、セルロー
ス系樹脂、ビニル系樹脂等からなるオーバプリント層を
設けてもよい。また、上記の薄膜層16と磁気記録層1
4との間には、両層の接着性を高めるために、塩化ビニ
ル/酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ウレタン系
樹脂等からなるアンカー層を設けてもよい。
【0080】また、本発明の磁気記録媒体は、各層間に
必要に応じて接着層を備えていてもよい。この場合の接
着層は、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/
酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/プロピオン酸共重合
体、ゴム系樹脂、シアノアクリレート樹脂、セルロース
系樹脂、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン系共重合体
等のバインダーに、必要に応じて可塑剤、安定剤、硬化
剤等を添加した後、溶剤あるいは希釈剤で充分に混練し
てなる接着層用塗料を用いて塗布することにより形成す
ることができる。接着層用塗料の塗布は、グラビア法、
ロール法、ナイフエッジ法等の塗布方法により行うこと
ができる。特に、磁気記録層上に接着層を設ける場合、
磁気記録層の再溶解を防止するため、熱可塑性樹脂をエ
マルジョン化して塗布し、乾燥してヒートシール型の接
着層とすることが好ましい。
【0081】本発明では、磁気記録媒体1の磁気記録層
4上に、あるいは磁気記録媒体11の磁気記録層14上
に、あるいは、図7〜図9に示されるように、隠蔽・装
飾効果をもたせるための着色層や絵柄を設けてもよい。
【0082】図7に示される磁気記録媒体11は、レリ
ーフホログラムの方式により記録されたホログラム層1
5と、ホログラム層15を構成する材料の屈折率と異な
る屈折率を有する上述の透明材料からなる薄膜層16と
からなる透明型ホログラムを有している。そして、磁気
記録層14と薄膜層16との間に接着剤層18が存在す
るとともに、絵柄17が形成されている。絵柄17は図
のように、磁気記録層14に接していても、薄膜層16
に接していてもよく、さらに、接着剤層18中にあって
もよい。このように、絵柄17を薄膜層16の下に設け
ると、ホログラムの照明光と観察者に対する角度依存性
により、ホログラム再生像が見える角度から磁気記録媒
体11を観察すれば、絵柄17がホログラム再生像に隠
蔽され、また、上記の角度と異なる角度から観察すれ
ば、ホログラム再生像に隠蔽されずに絵柄17を観察す
ることができる。
【0083】図8に示される例では、磁気記録媒体11
は、体積ホログラムであるリップマンホログラムの方式
により記録されたホログラム層15と磁気記録層14と
の間に、着色層19が形成されている。リップマンホロ
グラムからなるホログラム層15は実質的に透明であ
り、ホログラム再生像の見やすさの点および磁気記録層
を隠蔽するという点から、暗色の着色塗料によって着色
層19を構成することが好ましい。また、リップマンホ
ログラムは反射再生光の波長選択性を有しているため、
反射再生光の波長と異なる反射波長をもつ着色塗料で着
色層19を構成したり、あるいは反射再生光によるホロ
グラム再生像の色と補色の関係にある着色塗料を用いる
ことが、装飾性を考慮すると好ましい。尚、接着剤に着
色塗料を混入して着色接着剤としても同様の効果が得ら
れる。
【0084】図9に示される例では、磁気記録媒体11
は、電子線描画装置により機械的に描画することにより
回折格子が記録された回折格子層15上に、または回折
格子層15と反射性金属からなる薄膜層16との間に絵
柄17が形成されている。このように、薄膜層16の上
に絵柄層17を形成すると、薄膜層16で反射された光
を背景として、絵柄17を常時観察することができる。
また、回折格子層15上に絵柄17を形成する場合に
は、記録・再生時における磁気ヘッドの走査等のこすれ
により絵柄17が消失することを防ぐために、上述した
ような保護層20を設けることが好ましい。
【0085】着色層や絵柄はエチルセルロース、硝酸セ
ルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルロ
ースアセテートプロピオネート、酢酸セルロース等のセ
ルロース誘導体、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチ
レン等のスチレン樹脂、あるいはスチレン共重合樹脂、
ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポ
リアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリ
ル樹脂またはメタクリル樹脂の単独あるいは共重合樹
脂、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フ
ェノール樹脂、重合ロジン等のロジンエステル樹脂、ポ
リ酢酸ビニル樹脂、クマロン樹脂、ビニルトルエン樹
脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン
樹脂、ブチラール樹脂等のバインダーに、着色すべき色
に応じて各種の顔料を添加し、さらに必要に応じて、可
塑剤、安定剤、ワックス、グリース、乾燥剤、乾燥補助
剤、硬化剤、増粘剤、分散剤を添加した後、溶剤あるい
は希釈剤で充分に混練してなる着色塗料あるいはインキ
を用いて、通常のグラビア法、ロール法、ナイフエッジ
法、オフセット法等の塗布方法あるいは印刷方法によ
り、所望部分に形成できる。
【0086】上記の断熱層13、磁気記録層14および
回折格子層15および/またはホログラム層15を基体
12上に設ける方法としては、磁気転写シートを作製
し、従来公知の方法に従って接着剤層、断熱層、第1磁
気記録層、第2磁気記録層、薄膜層および回折格子およ
び/またはホログラムを基体12上に転写することが簡
便である。
【0087】図10は、本発明の磁気記録媒体の製造に
用いることのできる磁気転写シートの一例を示す概略断
面図である。図10において磁気転写シート21は、基
材22上に剥離層23を介して回折格子および/または
ホログラムとなる樹脂層を形成し、レリーフ母型への熱
圧接等の上述の方法により回折格子あるいはホログラム
レリーフパターンを形成して回折格子層および/または
ホログラム層24とする。次に、反応性蒸着、スパッタ
リング等の方法を用いて回折格子層および/またはホロ
グラム層24上に薄膜層25を形成し、この薄膜層25
上に第2磁気記録層26bおよび第1磁気記録層26a
からなる磁気記録層26を印刷法、コーティング法等に
より形成する。さらに、第1磁気記録層26a上に断熱
層27をラミネートあるいは塗布により形成し、断熱層
27上に接着剤層28を形成する。この場合、回折格子
層および/またはホログラム層24から接着剤層28ま
でが転写層となる。
【0088】このように作製した磁気転写シート21
を、接着剤層28が基体12上に当接するように熱圧着
(例えば、150℃、10分間、100kg/cm2 のよう
な条件)し、その後、剥離層23によりベース基材22
を剥離することによって、基体12上に接着剤層、断熱
層、第1磁気記録層、第2磁気記録層、薄膜層および回
折格子層および/またはホログラム層を設けることがで
きる。
【0089】磁気転写シート21を構成する回折格子層
および/またはホログラム層24、薄膜層25、磁気記
録層26、断熱層27は、上述の磁気記録媒体を構成す
る断熱層13、磁気記録層14、回折格子層および/ま
たはホログラム層15、薄膜層16の形成と同様にして
形成することができる。また、上記の接着剤層28は、
アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、
ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ゴム
系樹脂、アイオノマー系樹脂等の公知の接着剤を用いて
形成することができる。この接着剤層22の厚さは、
0.1〜50μm、好ましくは1〜10μm程度とする
ことができる。勿論、剥離層とホログラム層との間に上
述の保護層を形成してもよい。
【0090】次に、上述のような本発明の磁気記録媒体
への記録方法について説明する。
【0091】本発明の磁気記録媒体への記録方法は、上
述のような磁気記録媒体の磁気記録層を加熱しながら磁
気記録を行う。すなわち、磁気記録層を加熱することに
より、磁気記録層を構成する高保磁力の磁性材料の飽和
書込み電流値を低保磁力の磁性材料の飽和書込み電流値
と略同一、もしくは近づけて、磁気記録層を構成してい
るすべての磁性材料に同時に書込みを行うものである。
そして、加熱または記録条件は、2種類の設定でもよ
く、また、各々の磁気記録媒体に固有の条件(磁気記録
媒体1つ1つで異なる条件)としてもよく、このように
2種以上の条件を設定することにより、偽造、変造する
ことがより困難となる。
【0092】そして、上記のような磁気記録層の加熱に
おいて、本発明の磁気記録媒体は、基体と磁気記録層と
の間に断熱層が形成されているため、磁気記録層の加熱
にともなう磁気記録層の周辺の基体の温度上昇を有効に
防ぐことができる。
【0093】上記のような加熱を行うための加熱手段と
しては、加熱ローラ、遠赤外線ランプ、レーザー加熱、
磁気ヘッドによる加熱等が用いられる。
【0094】加熱ローラは、回折格子層あるいはホログ
ラム層の表面を傷付けないように、シリコンラバーのよ
うな軟質部材により周面を覆われたものが好ましい。ま
た、ローラ径は一周で加熱領域をすべて加熱できるよう
な大きさとし、一周目の表面温度と二周目の表面温度の
差に起因した加熱ムラを防止することが好ましい。例え
ば、長さ85mmのカードの全長に亘って加熱する場合
は、直径を25mm以上に設定した1個の加熱ローラを用
いることができ、あるいは直径が5mm以下のローラを回
転方向に複数配列した加熱ローラを用いることもでき
る。このような加熱ローラの表面温度は50〜300℃
の範囲で適宜設定し、加熱ローラの速度は10〜200
mm/sec.とすることが好ましい。
【0095】遠赤外線ランプによる加熱は、例えば15
0Wハロゲンランプを所定の磁気記録幅に集光して照射
し、書込み領域の磁気記録層を50〜300℃の範囲で
任意に加熱することにより行える。この遠赤外線ランプ
による加熱によれば、回折格子層あるいはホログラム層
に熱ダメージを与えることなく磁気記録層のみを加熱す
ることができる。さらに、集光時に焦点を磁気記録層近
傍に設定することにより、より効率的に磁気記録層を加
熱することができる。
【0096】レーザー加熱は、気体レーザー装置、固体
レーザー装置、半導体レーザー装置等を使用して行うこ
とができる。この中でも、特にヘリウム−ネオンレーザ
ー、アルゴンガスレーザー、炭酸ガスレーザー等の気体
レーザー、YAGレーザー等の固体レーザーが好まし
く、レーザーパワーは10〜1000W程度とする。ま
た、後述するように、加熱と同時に回折格子あるいはホ
ログラムの再生を行う場合にも、同様のレーザーを使用
することができる。尚、受光素子への熱ダメージを防止
するために、光減衰フィルターあるいはビームスリッタ
ーを受光素子の直前に配設することが好ましい。また、
回折格子あるいはホログラムの再生専用としては、レー
ザーパワーが1〜50mW程度のヘリウム−ネオンレー
ザー、半導体レーザーが好ましい。
【0097】磁気ヘッドによる加熱は、磁気ヘッドを5
0〜120℃程度まで加熱して行うことができる。磁気
ヘッドの加熱には、例えば磁気ヘッドを構成するリング
ヘッドに巻着したニクロム線に通電するか、あるいは赤
外線ランプを用いて磁気ヘッドを加熱する等の方法があ
る。
【0098】次に、実験例を示して本発明の磁気記録媒
体を更に詳細に説明する。 (実験例1)厚さ188μmのポリエチレンテレフタレ
ートフィルムの片面に、下記の組成の断熱層形成用の塗
工液をグラビアコート法により塗布し、その後、溶剤を
除去して断熱層(厚さ30μm)を形成した。この断熱
層の熱伝導率は、0.05kcal/m・h・kであった。
【0099】 (断熱層形成用の塗工液) ・ポリエステル樹脂 … 40重量部 ・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 … 10重量部 ・パーライト保温材 … 20重量部 ・メチルエチルケトン … 30重量部 ・トルエン … 20重量部 さらに、上記の断熱層上に、下記の組成を有する各塗工
液をグラビアコート法により塗布して、第1磁気記録層
(厚さ10μm)、第2磁気記録層(厚さ10μm)を
形成した。
【0100】 (第1磁気記録層形成用の塗工液) ・Srフェライト (保磁力= 6000 Oe 、キュリー点=140 ℃)… 36重量部 ・ウレタン樹脂 … 12重量部 ・トルエン … 20重量部 ・メチルエチルケトン … 15重量部 ・メチルイソブチルケトン … 15重量部 ・イソシアネート系硬化剤 2重量部 (第2磁気記録層形成用の塗工液) ・γ−Fe23 (保磁力=300 Oe 、キュリー点=575 ℃) … 36重量部 ・ウレタン樹脂 … 12重量部 ・トルエン … 20重量部 ・メチルエチルケトン … 15重量部 ・メチルイソブチルケトン … 15重量部 ・イソシアネート系硬化剤 2重量部 以上のように作成したシートを86mm×54mmの大きさ
のカード状に打ち抜いて、図1に示されるような本発明
の磁気記録媒体とした。
【0101】次に、この磁気記録媒体の磁気記録層をヒ
ートロール方式により130℃まで加熱して、第1磁気
記録層、第2磁気記録層の飽和書込み電流値を約60m
Aとした状態で、書込み電流90mAで420FRPI
の信号を記録した。この書き込みにおいて、基体の熱変
形はまったく発生しなかった。そして、磁気記録媒体を
冷却した後に読取りを行ったところ、約400mVの出
力で信号を良好に読み取ることができた。
【0102】しかし、上記の断熱層を介することなく、
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
の片面に直接磁気記録層を形成した磁気記録媒体に上記
と同様の条件で書き込みを行ったところ、基体であるポ
リエチレンテレフタレートフィルムに熱変形が発生し、
使用不能となった。 (実験例2)厚さ25μmのポリエチレンテレフタレー
トフィルムの片面に、下記の組成の剥離層形成用の塗工
液をグラビアコート法により塗布し、その後、溶剤を除
去して剥離層(厚さ1μm)を形成した。
【0103】 (剥離層形成用の塗工液) ・酢酸セルロース樹脂 … 5重量部 ・メタノール … 25重量部 ・メチルエチルケトン … 45重量部 ・トルエン … 25重量部 ・メチロール化メラミン樹脂 … 0.5重量部 ・パラトルエンスルフォン酸 …0.05重量部 この剥離層上に、実験例1にて使用したのと同様の第2
磁気記録層用の塗工液、第1磁気記録層用の塗工液をグ
ラビアコート法により塗布して、第2磁気記録層(厚さ
10μm)、第1磁気記録層(厚さ10μm)を順次形
成した。さらに、第1磁気記録層上に、下記の組成の接
着剤層形成用の塗工液をグラビアコート法により塗布
し、接着剤層(厚さ5μm)を形成して転写シートを作
製した。
【0104】 (接着剤層形成用の塗工液) ・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 … 20重量部 ・アクリル樹脂 … 10重量部 ・酢酸エチル … 20重量部 ・トルエン … 50重量部 一方、硬質ポリ塩化ビニルシート(大平化学(株)製
厚さ700μm)の片面に、上記の接着剤層形成用の塗
工液をグラビアコート法により塗布して接着剤層(厚さ
10μm)を形成して基体とした。
【0105】この基体の接着剤層上にポリウレタンフォ
ームフィルム(日本ポリウレタン(株)製 厚さ50μ
m、熱伝導率=0.05kcal/m・h・k)を重ね、さ
らに、ポリウレタンフォームフィルム上に、上記のよう
に作製した転写シート(12.7mm幅にスリットしたも
の)を接着層が当接するように重ね合わせ、この転写シ
ート側から150℃、2m/分の条件で加熱して仮転写
した。その後、転写シートのポリエステルフィルムを剥
離して接着剤層、第1磁気記録層、第2磁気記録層がこ
の順に積層されたストライプを、ポリウレタンフォーム
フィルム(断熱層)上に設けた。次に、熱圧着(150
℃、100kg/cm2 、10分間)して一体化し、86mm
×54mmの大きさのカード状に打ち抜いて、図2に示さ
れるような本発明の磁気記録媒体とした。
【0106】次に、実験例1と同様に、磁気記録媒体の
磁気ストライプ部をヒートロール方式により130℃ま
で加熱して、第1磁気記録層、第2磁気記録層の飽和書
込み電流値を約60mAとした状態で、書込み電流80
mAで200FRPIの信号を記録した。この書き込み
において、基体の熱変形はまったく発生しなかった。そ
して、磁気記録媒体を冷却した後に読取りを行ったとこ
ろ、約500mVの出力で信号を良好に読み取ることが
できた。
【0107】しかし、上記のポリウレタンフォームフィ
ルム(断熱層)を介することなく、硬質ポリ塩化ビニル
シート(大平化学(株)製 厚さ700μm)上に直接
転写テープを用いて磁気ストライプを形成した磁気記録
媒体に上記と同様の条件で書き込みを行ったところ、基
体である硬質ポリ塩化ビニルシートに熱変形が発生し、
使用不能となった。 (実験例3)厚さ25μmのポリエチレンテレフタレー
トフィルムの片面に、実験例2に同様にして剥離層、第
2磁気記録層、第1磁気記録層を形成した。そして、第
1磁気記録層上に、実験例1にて使用したのと同様の断
熱層形成用の塗工液をグラビアコート法により塗布して
断熱剤層(厚さ30μm)を形成した。さらに、この断
熱層上に実験例2と同様にして接着剤層を形成して転写
シートを作製した。
【0108】一方、硬質ポリ塩化ビニルシート(大平化
学(株)製 厚さ700μm)の片面に、幅13.7m
m、深さ50μmの凹部を形成して基体とした。
【0109】次に、この基体の凹部に上記のように作製
した転写シート(12.7mm幅にスリットしたもの)を
接着層が当接するように重ね合わせ、この転写シート側
から150℃、2m/分の条件で加熱して仮転写した。
その後、転写シートのポリエステルフィルムを剥離して
接着剤層、断熱層、第1磁気記録層、第2磁気記録層が
この順に積層されたストライプを設けた。次に、熱圧着
(150℃、100kg/cm2 、10分間)して一体化
し、86mm×54mmの大きさのカード状に打ち抜いて、
図4に示されるような本発明の磁気記録媒体とした。
【0110】次に、実験例1と同様に、磁気記録媒体の
磁気ストライプ部をヒートロール方式により130℃ま
で加熱して、第1磁気記録層、第2磁気記録層の飽和書
込み電流値を約60mAとした状態で、書込み電流80
mAで200FRPIの信号を記録した。この書き込み
において、基体の熱変形はまったく発生しなかった。そ
して、磁気記録媒体を冷却した後に読取りを行ったとこ
ろ、約500mVの出力で信号を良好に読み取ることが
できた。
【0111】しかし、上記の転写シート(断熱層あり)
の代わりに実験例2にて作成した転写シート(断熱層な
し)を用いて作成した磁気記録媒体に、上記と同様の条
件で書き込みを行ったところ、基体である硬質ポリ塩化
ビニルシートに熱変形が発生し、使用不能となった。
【0112】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば少
なくとも基体と磁気記録層との間に断熱層が形成されて
いるので、磁気記録層が加熱されても、磁気記録層から
基体への熱拡散が防止され、特に、基体のガラス転移温
度以上にまで磁気記録層が加熱される場合に、上記の熱
拡散の防止が有効であり、基体が熱により劣化、変形し
易い磁気記録媒体に対しても、基体への熱の影響を最小
限に抑えながら磁気記録層に磁気記録情報を記録するこ
とができ、磁気記録媒体の発行の迅速化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の1例を示す概略断面図
である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の他の例を示す概略断面
図である。
【図3】本発明の磁気記録媒体の他の例を示す概略断面
図である。
【図4】本発明の磁気記録媒体の他の例を示す概略断面
図である。
【図5】本発明の磁気記録媒体の他の例を示す概略断面
図である。
【図6】本発明の磁気記録媒体の他の例を示す概略断面
図である。
【図7】本発明の磁気記録媒体の他の例を示す概略断面
図である。
【図8】本発明の磁気記録媒体の他の例を示す概略断面
図である。
【図9】本発明の磁気記録媒体の他の例を示す概略断面
図である。
【図10】本発明の磁気記録媒体の他の例を示す概略断
面図である。
【符号の説明】
1,11…磁気記録媒体 2,12…基体 3,13…断熱層 4,14…磁気記録層 4a,14a…第1磁気記録層 4b,14b…第2磁気記録層 5…回折格子および/またはホログラム層 6…薄膜層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−320620(JP,A) 特開 平3−187017(JP,A) 特開 昭63−253526(JP,A) 実開 昭55−75840(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/62

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体と、該基体上に磁気記録層を有する
    磁気記録媒体において、前記磁気記録層は加熱により保磁力が低下する磁性材料
    を含有し、加熱状態で磁気記録を行うものであり 、少な
    くとも前記基体と前記磁気記録層との間に断熱層が形成
    されており、該断熱層は厚みが0.5〜300μmの範
    囲であり、熱伝導率が0.01〜0.20kcal/m
    ・h・kの範囲であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記磁気記録層は少なくとも低キュリー
    点、高保磁力の磁性材料を有することを特徴とする請求
    項1に記載の磁気記録媒体。
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