JPH0714147A - 磁気記録媒体および磁気記録媒体の記録方法 - Google Patents

磁気記録媒体および磁気記録媒体の記録方法

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JPH0714147A
JPH0714147A JP5177686A JP17768693A JPH0714147A JP H0714147 A JPH0714147 A JP H0714147A JP 5177686 A JP5177686 A JP 5177686A JP 17768693 A JP17768693 A JP 17768693A JP H0714147 A JPH0714147 A JP H0714147A
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recording layer
magnetic
recording medium
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JP5177686A
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English (en)
Inventor
Yoshiki Sasaki
芳樹 佐々木
Kotaro Danjo
耕太郎 檀上
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 偽造、変造が極めて困難であるとともに、仮
に偽造、変造を受けた場合でも、外観上容易に識別でき
る磁気記録媒体、およびこの磁気記録媒体の記録方法を
提供する。 【構成】 基体上に、少なくとも低キュリー点、高保磁
力の磁性材料を含む磁気記録層を設け、上記基体を構成
する材料の耐熱度、融点およびガラス転移点のうち少な
くとも最も低いものが、上記キュリー点よりも低いよう
に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低キュリー点、高保磁
力の磁性材料を含む磁性層を備え、偽造、変造の困難は
磁気記録媒体およびこの磁気記録媒体の記録方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】基体の片面あるいは両面の全域またはス
トライプ状に磁気記録層が形成された磁気記録媒体は、
例えば、プリペイドカード、定期券、乗車券、入場券、
車券、馬券、商品券、株券、証書、通帳、磁気タグ等の
金券、証券類や、IDカード、キャッシュカード、クレ
ジットカード、会員カード等のカード類、磁気テープ、
磁気転写テープ、磁気ラベル等して幅広く使用されてい
る。従来、このような磁気記録媒体は、磁気記録層に高
い記録密度で情報を書込み、外部から簡単には記録情報
を読み出せないようにしたものである。
【0003】しかしながら、磁気記録層の特性上、記録
された情報の書換え、消去が自在であるため、偽造、変
造が可能であり、近年、大きな社会問題としてクローズ
アップされている。特に、現在は磁気ストライプの入手
が容易であるため、類似のカードを製造することも可能
であり、さらに、現在の仕様のように、磁気記録媒体の
表面に磁気記録層が露出している場合、磁気転写技術に
より磁気記録情報を他の磁気記録層に移すことが容易に
できてしまうという問題もある。
【0004】このような問題を解決するために、磁気ス
トライプに用いる磁性材料を保磁力の高いものとした磁
気記録媒体が開発されている。この磁気記録媒体は、磁
気ストライプを加熱して磁性材料の保磁力を低下させる
ことにより、入手容易な通常の磁気ヘッドによる記録、
再生が可能となり、常温状態では通常の磁気ヘッドによ
る記録、再生が困難であり、偽造、変造ができないもの
である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような磁気記録媒体は、従来の磁気記録媒体と比較し
て、記録、再生時に加熱を必要とすることが異なるのみ
であり、この事実が一旦判明してしまえば、何らかの加
熱手段を用いて偽造、変造を行うことは容易であるとい
う問題があった。
【0006】上記のように、磁気記録層に記録された情
報の偽造、変造を防止するための手段が種々開発されて
いるが、簡単かつ効果的な偽造、変造防止手段は未だ確
立されていない。
【0007】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、偽造、変造が極めて困難であるととも
に、仮に偽造、変造を受けた場合でも、外観上容易に識
別できる磁気記録媒体、およびこの磁気記録媒体の記録
方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の磁気記録媒体は基体と、該基体上に
設けられた磁気記録層とを備え、前記磁気記録層は少な
くとも低キュリー点、高保磁力の磁性材料を含み、前記
基体を構成する材料の耐熱度、融点およびガラス転移点
のうち少なくとも最も低いものが前記磁気記録層のキュ
リー点よりも低いような構成とした。
【0009】また、本発明の磁気記録媒体の記録方法
は、上記の磁気記録媒体の磁気記録層を、磁気記録媒体
の搬送方向と直角の方向において磁気記録層の両端より
も中央の温度が高くなるように温度分布をもたせて加熱
しながら磁気記録を行うような構成とした。
【0010】
【作用】基体上に設けられた磁気記録層は、低キュリー
点および高保磁力の磁性材料を含むため、磁気記録層を
加熱することにより磁気記録層を構成する高保磁力の磁
性材料の飽和書込み電流値が低下し、通常の磁気記録装
置による記録、再生が可能となるが、基体を構成する材
料の耐熱度、融点およびガラス転移点のうち少なくとも
最も低いものが磁気記録層のキュリー点よりも低いた
め、偽造を目的として磁気記録媒体全体を加熱した場
合、基体に変形が生じて使用が不可能となり偽造が有効
に防止される。そして、カード発行等の正規の記録は、
磁気記録媒体の搬送方向と直角の方向において磁気記録
層の両端よりも中央の温度が高くなるように温度分布を
もたせて磁気記録層を加熱することにより、基体の熱変
形を生じさせることなく行うことができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。
【0012】図1は本発明の磁気記録媒体の一例を示す
概略断面図である。図1において、本発明の磁気記録媒
体1は、基体2と、この基体2上に設けられた磁気記録
層3を備えている。本発明の磁気記録媒体では、上記の
磁気記録層3は、低キュリー点および高保磁力の磁性材
料を含んでおり、基体2は、耐熱度、融点およびガラス
転移点のうち少なくとも最も低いものが磁気記録層のキ
ュリー点よりも低いような材料で構成されていることを
特徴とする。すなわち、偽造等を目的として磁気記録媒
体1を加熱した際に、基体に変形が生じて使用不能とな
ることにより偽造を未然に防止するものである。この目
的のために、基体2の材料は、耐熱度、融点およびガラ
ス転移点のうち少なくとも1つがキュリー点以下、好ま
しくは40℃乃至キュリー点の範囲にあるようにする。
これにより、磁気記録媒体1が加熱されると基体2は確
実に変形を生じることになる。
【0013】基体2の材料としては、下記のような材料
を挙げることができる。 ・ポリエチレンフィルム:耐熱度80〜120℃ 融点110〜140℃ ・エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム:耐熱度60
℃ ・ポリプロピレンフィルム:融点176℃ ・ポリスチレンフィルム:ガラス転移点80〜100℃ ・ポリ2−クロルスチレンフィルム:ガラス転移点11
9℃ ・ポリtert−ブチルスチレンフィルム:ガラス転移点1
30℃ ・セロファンフィルム:耐熱度150℃ ・ポリ塩化ビニルフィルム:耐熱度80℃ ガラス転移点70〜87℃ ・ポリふっ化ビニルフィルム:ガラス転移点50℃ ・ポリビニルアルコールフィルム:ガラス転移点85℃ ・ポリエステルフィルム:耐熱度150℃ ・ポリカーボネートフィルム:耐熱度130℃ 融点220℃ ガラス転移点140℃ ・ポリ4フッ化エチレンフィルム:耐熱度260℃ 融点325℃ ガラス転移点126℃ ・ポリ3フッ化エチレンフィルム:ガラス転移点45℃ 融点205〜210℃ ・ポリエチルメタクリレートフィルム:ガラス転移点6
6℃ ・ポリメチルメタクリレート:ガラス転移点105℃ ・ポリアクリロニトリルフィルム:ガラス転移点105
℃ ・ポリアミドフィルム(ナイロン6):ガラス転移点5
0℃ 融点215℃ ・ポリアミドフィルム(ナイロン6・6):ガラス転移
点57℃ ・ポリイミドフィルム:耐熱度400℃ ・ポリアセタールフィルム:融点175〜180℃ ガラス転移点40℃ ・セラミック基材:融点350〜1000℃ ・アルミニウム箔:融点660℃ ・銅箔:融点100℃ 上記のような材料は、単独あるいは組み合わせた複合体
として使用することができ、下記の磁性材料に応じて適
宜選定することができる。尚、本発明において、耐熱度
はASTM−D759−66による値を意味する。
【0014】このような基体2の厚さは、0.005mm
〜5mm程度とすることができる。
【0015】磁気記録層3を構成する磁性材料は、上記
のように低キュリー点Tcと高保磁力を有するものであ
る。このような高保磁力、低キュリー点Tcを持つ磁性
材料としては、例えばCrO2 (Tc124℃)、Cr
Te(Tc60℃)、Fe3C(Tc202℃)、Mn2
Sb(Tc277℃)、Ni(Tc358℃)、Fe
(Tc770℃)、Fe34 (Tc587℃)、Fe
3 Al(Tc423℃)、その他、γ−Fe23 、C
o被着γ−Fe23 、Fe−Cr、Fe−Co、Co
−Ni、Baフェライト、Srフェライト、AO・n
{(Fe1-x-y Crx Zny23 }、AO・n
{(Fe1-x Crx23 }、AO・n{(Fe1-x
Alx23 }、AO・n{(Fe1-x Gax2
3 }、AO・n{(Fe1-x-y-z Gax Cry Alz
23 }、AO・n{(Fe1-x-y Crx Gay2
3 }(上記においてAはSrまたはBaのうちの1種ま
たは2種、n=5〜6)で表されるようなSrフェライ
ト、Baフェライト類、Nd−Fe−B−Mn、Nd−
Fe−B−Mn−Al、Nd−Fe−B−Mn−Cr、
Nd−Fe−B−Mn−Al−Cr等のNd−Fe−B
系合金類等が挙げられ、そのキュリー点Tcは50〜8
00℃程度である。そして、上記の磁性微粒子を適当な
樹脂あるいはインキビヒクル中に分散してなる分散物
を、グラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の
塗布方法に従って塗布することにより磁気記録層を形成
することができる。
【0016】上記の磁性微粒子が分散される樹脂あるい
はインキビヒクルとしては、ブチラール樹脂、塩化ビニ
ル/酢酸ビニル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリエス
テル樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、スチレン/
マレイン酸共重合体樹脂等が用いられ、必要に応じてニ
トリルゴム等のゴム系樹脂あるいはウレタンエラストマ
ー等が添加される。また、耐熱性を考慮して、ポリアミ
ド、ポリイミド、ポリエーテルサルホン等のガラス転移
温度(Tg)の高い樹脂、あるいは硬化反応によりTg
が上昇する系を用いることができる。上記のような樹脂
あるいはインキビヒクル中に磁性微粒子が分散されてな
る分散物中に、必要に応じて界面活性剤、シランカップ
リング剤、可塑剤、ワックス、シリコーンオイル、ガー
ボン等の顔料を添加してもよい。
【0017】上記のような磁性材料、樹脂あるいはイン
キビヒクルを用いて形成される磁気記録層3の厚さは、
塗布方法により形成される場合には1〜100μm、好
ましくは5〜20μm程度である。また、真空蒸着法、
スパッタ法、メッキ法等により形成される場合には10
0Å〜1μm、好ましくは500〜2000Å程度であ
る。
【0018】上記の本発明の磁気記録媒体1は、磁気記
録層3のキュリー点Tcよりも低い温度、例えば(Tc
−30℃)〜Tcの範囲、あるいは1/2Tc〜Tcの
範囲内における加熱温度で、後述する本発明の記録方法
にしたがって磁気記録層3を加熱することにより、磁気
記録層3の保磁力が下がって飽和書込み電流値が低下
し、通常の磁気ヘッド(低保磁力磁性材料を用いた磁気
記録層の記録、再生用の磁気ヘッド)による記録が可能
となる。そして、上記のように基体2を構成する材料の
耐熱度、融点およびガラス転移点のうち少なくとも最も
低いものが、磁気記録層3のキュリー点よりも低いた
め、偽造を目的として磁気記録媒体全体を加熱した場
合、基体2に変形が生じて、偽造が容易に判別される。
さらに、本発明の磁気記録媒体1では、基体2を構成す
る材料の耐熱度、融点およびガラス転移点のうち少なく
とも最も低いものが、上記の加熱温度よりも低くなるよ
うに設定することができる。これにより、偽造を目的と
した磁気記録媒体全体の加熱により、基体2がより容易
に変形することになる。
【0019】尚、上記の本発明の磁気記録媒体では、磁
気記録層が基体の一方の面の全面に形成されているが、
図2に示されるように、基体2の一部にストライプ状に
磁気記録層3を形成したものであってもよい。
【0020】図3は本発明の磁気記録媒体の他の例を示
す概略断面図である。図3において、本発明の磁気記録
媒体11は、基体12と、この基体12上に設けられた
磁気記録層13、回折格子および/またはホログラム層
14とを備えている。上記の磁気記録層13は、基体1
2側に位置する第1磁気記録層13aと、この第1磁気
記録層13a上に設けられた第2磁気記録層13bとの
2層構成を有している。そして、第1磁気記録層13a
および第2磁気記録層13bに含まれる磁性材料は、互
いに異なるキュリー点および保磁力を有している。
【0021】基体12は、上述の例で示したような基体
を用いることができる。この場合、耐熱度、融点、ガラ
ス転移点のうち少なくとも最も低いものが、下記のよう
に第1磁気記録層13aおよび第2磁気記録層13bの
うち高い保磁力と低いキュリー点Tcを有する方の磁気
記録層のキュリー点Tcよりも低いような基体を選択す
る必要がある。
【0022】磁気記録層13を構成する第1磁気記録層
13aが含有する磁性材料、および第2磁気記録層13
bが含有する磁性材料は、一方が他方よりも高い保磁力
と低いキュリー点Tcを有するものである。したがっ
て、第1磁気記録層13aが高保磁力、低キュリー点を
有する磁気記録層であり、第2磁気記録層13bが低保
磁力、高キュリー点を有する磁気記録層とすることがで
き、また、その逆の構成としてもよい。
【0023】このような構成の磁気記録層13は、低い
キュリー点Tcを有する磁気記録層のキュリー点Tcよ
りも低い温度で加熱することにより、第1磁気記録層1
3aと第2磁気記録層13bの飽和書込み電流値を略同
一にできることを特徴とする。
【0024】例えば、第1磁気記録層13aが高保磁
力、低キュリー点Tcを有する磁気記録層であり、第2
磁気記録層13bが低保磁力、高キュリー点を有する磁
気記録層である場合、キュリー点Tcよりも低い温度で
加熱して高保磁力磁気記録層である第1磁気記録層13
aの保磁力を下げ、飽和書込み電流値を第2磁気記録層
13bの飽和書込み電流値と略同一とすることができ
る。この際、加熱温度が低すぎると、高保磁力磁気記録
層である第1磁気記録層13aの飽和書込み電流値が第
2磁気記録層13bの飽和書込み電流値と同一のレベル
にならないため、加熱条件の下限を1/2Tc乃至(T
c−30℃)の温度範囲に設定することが好ましい。ま
た、両磁気記録層13a,13bのキュリー点が近いと
低保磁力磁気記録層である第2磁気記録層13bの保磁
力も低下を来すことになる。このため、両磁気記録層1
3a,13bのキュリー点の差を100℃以上に設定し
て、低保磁力磁気記録層の保磁力低下を防止することが
好ましい。さらに、第1磁気記録層13aと第2磁気記
録層13bへの磁気記録が互いに影響を受けないように
するため、両磁気記録層13a,13bの保磁力の差を
2倍以上に設定することが好ましい。
【0025】高保磁力、低キュリー点Tcを持つ磁気記
録層を構成する磁性材料としては、上述の例で示した磁
性材料が挙げられる。
【0026】また、低保磁力、高キュリー点を持つ磁気
記録層を構成する磁性材料としては、例えばγ−Fe2
3 、Co被着γ−Fe23 、Fe34 、Fe、F
e−Cr、Fe−Co、Co−Cr、Co−Ni、Ba
フェライト、Srフェライト、CrO2 等の磁性微粒子
が挙げられる。そして、上記の磁性微粒子が適当な樹脂
あるいはインキビヒクル中に分散されてなる分散物を、
グラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の塗布
方法に従って塗布することにより磁気記録層を形成する
ことができる。また、Fe、Fe−Cr、Fe−Co、
Co−Cr等の金属または合金、あるいはその酸化物を
用いて、真空蒸着法、スパッタ法、メッキ法等により形
成することもできる。
【0027】尚、上記の磁性材料の平均粒子径を0.1
μm以下とすることにより、磁気記録層の赤外線、紫外
線の透過性が向上し、後述する磁気記録層の加熱手段が
赤外線あるいは紫外線である場合、照射された赤外線、
紫外線が加熱の不要な磁気記録層を透過して所定の磁気
記録層を加熱することが可能となる。
【0028】このように、本発明の磁気記録媒体11の
磁気記録層13は、その第1磁気記録層13aおよび第
2磁気記録層13bが上述のような特性を備えているた
め、低キュリー点Tcよりも低い加熱温度、例えば(T
c−30℃)〜Tcの範囲、あるいは1/2Tc〜Tc
の範囲内における加熱温度で、後述する本発明の記録方
法にしたがって、磁気記録層13を加熱して両磁気記録
層の飽和書込み電流値を略同一とすることにより第1磁
気記録層13a、第2磁気記録層13b同時の書込みが
可能となる。
【0029】しかし、上記のように基体12を構成する
材料の耐熱度、融点およびガラス転移点のうち少なくと
も最も低いものが、磁気記録層13の低いキュリー点T
cを有する磁気記録層のキュリー点Tcよりも低いた
め、偽造を目的として磁気記録媒体全体を加熱した場
合、基体12に変形が生じて偽造が容易に判別される。
【0030】また、例えば、第1磁気記録層13aが高
保磁力、低キュリー点Tcを有する磁気記録層であり、
第2磁気記録層13bが低保磁力、高キュリー点を有す
る磁気記録層である場合、キュリー点Tcよりも低い温
度で加熱したときに、高保磁力磁気記録層である第1磁
気記録層13aの保磁力が低下して、第2磁気記録層1
3bの保磁力と同等となる点(クロスポイント)が存在
する。本発明では、基体12を構成する材料の耐熱度、
融点およびガラス転移点のうち少なくとも最も低いもの
が、このクロスポイントよりも低いように、あるいは、
上記の加熱温度よりも低いように設定することができ
る。これにより、偽造を目的とした磁気記録媒体全体の
加熱により、基体12がより容易に変形することにな
る。
【0031】一方、上記のような加熱を行うことなく通
常の磁気記録装置により第1磁気記録層13aおよび第
2磁気記録層13bの磁気情報を同時に書換えることは
困難である。すなわち、例えば第1磁気記録層13aが
高保磁力磁気記録層であり、第2磁気記録層13bが低
保磁力磁気記録層であるとした場合、通常の磁気記録装
置により第2磁気記録層13bの書換えが可能であって
も、この第2磁気記録層13bの不正に書換えられた情
報と、第1磁気記録層13aに記録されている情報とが
混在することになり、情報の読み出しが不可能となっ
て、偽造が容易に判別される。
【0032】また、通常の磁気記録装置による第1磁気
記録層13aの書換えが可能である場合、一般に高保磁
力磁気記録層の飽和書込み電流値が大きいため、低保磁
力磁気記録層である第2磁気記録層13bには、その出
力飽和値以上の書込み電流が与えられることになる。し
たがって、第2磁気記録層13bの出力低下が生じて書
込み不十分となり、両磁気記録層同時の書換えは不可能
となり、偽造が有効に防止される。
【0033】また、飽和書込み電流値は、磁気記録層の
保磁力、厚さ、磁材充填率、磁気記録層と磁気ヘッドと
の距離等により変動するため、同一の飽和書込み電流値
を有するホログラム・磁気ストライプを偽造すること自
体が困難であり、さらに、上記の加熱条件と飽和書込み
電流値を見出だすことが極めて困難である。例えば、加
熱温度が5℃ずれることにより、飽和書込み電流値に1
0%以上の変動が生じる。
【0034】図3に示される例では、磁気記録層13は
第1磁気記録層13aおよび第2磁気記録層13bの2
層構成であるが、3層以上の積層構造であってもよい。
また、磁気記録層13は、保磁力およびキュリー点の異
なる3種以上の磁性材料により構成されていてもよい。
3層構造の磁気記録層としては、例えば(高保磁力・低
キュリー点)/(低保磁力・高キュリー点)/(高保磁
力・低キュリー点)とすることにより、高保磁力層と低
保磁力層の書込み波形をより同一のものとすることがで
きる。また、保磁力を3段階として中間保磁力層に更に
別の磁気データを書込んだり、キュリー点を3段階とし
て加熱温度を2段階に設定したりすることにより、記録
・再生をより高度なものとし、偽造、変造をより困難な
ものとするこができる。
【0035】さらに、磁気記録層が積層構造ではなく、
図1あるいは図2に示されるような単一の磁気記録層で
あって、かつ保磁力およびキュリー点の異なる2種以上
の磁性材料を混合して含有するものでもよい。この場合
も、多層構造の場合と同じ効果が得られ、さらに、構成
層が少ないため、磁気記録層の最下部と磁気ヘッドとの
距離を小さくできるという利点がある。
【0036】また、本発明の磁気記録媒体に用いられる
回折格子および/またはホログラム層14は、一般に樹
脂から構成され、単一構造あるいは多層構造のいずれで
もよい。多層構造の場合は、例えば基材フィルム上に回
折格子やホログラムを形成するための樹脂を設けたも
の、あるいは、回折格子やホログラムを形成するための
樹脂自体が積層構造となっていてもよい。さらに、全域
が回折格子層であってもホログラム層であってもよく、
また回折格子層とホログラム層とが混在していてもよ
い。
【0037】ホログラム層は、平面ホログラム、体積ホ
ログラムのいずれでもよく、平面ホログラムの場合、レ
リーフホログラムが量産性、耐久性およびコストとの面
から好ましく、体積ホログラムの場合、リップマンホロ
グラムが画像再現性および量産性の面から好ましい。
【0038】その他、フルネルホログラム、フラウンホ
ーファホログラム、レンズレスフーリエ変換ホログラ
ム、イメージホログラム等のレーザー再生ホログラム、
およびレインボーホログラム等の白色光再生ホログラ
ム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラ
ム、コンピュータホログラム、ホログラムディスプレ
イ、マルチプレックスホログラム、ホログラフィックス
テレオグラム、ホログラフィック回折格子等を用いるこ
とができる。
【0039】回折格子層は、ホログラム記録手段を利用
した前記ホログラフィック回折格子により構成すること
もできるが、電子線描画装置等を用いて機械的に回折格
子を作成することにより、計算に基づいて任意の回折光
が得られる回折格子を作成することができる。干渉縞を
記録するための回折格子形成用感光材料あるいはホログ
ラム形成用感光材料としては、銀塩、重クロム酸ゼラチ
ン、サーモプラスチック、ジアゾ系感光材料、フォトレ
ジスト、強誘電体、フォトクロミックス材料、サーモク
ロミックス材料、カルコゲンガラス等が使用できる。
【0040】本発明においては、回折格子層やホログラ
ム層の形成材料として、ポリ塩化ビニル、メチルメタア
クリレートのようなアクリル、ポリスチレン、ポリカー
ボネート等の熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル、メラ
ミン、エポキシ、ポリエステル(メタ)アクリレート、
ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アク
リレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオ
ール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレ
ート、トリアジン系アクリレート等の熱硬化性樹脂を硬
化させたもの、あるいは上記の熱可塑性樹脂と熱硬化性
樹脂との混合物を使用することができる。
【0041】さらに、回折格子層やホログラム層の形成
材料として、ラジカル重合性不飽和基を有する熱成形性
物質が使用可能であり、これには下記の2種のものがあ
る。 (1)ガラス転移点が0〜250℃のポリマー中にラジ
カル重合性不飽和基を有するもの。より具体的には、下
記の〜に示される化合物を重合もしくは共重合させ
たポリマーに対して、後述する方法(イ)〜(ニ)によ
りラジカル重合性不飽和基を導入したものを挙げること
ができる。
【0042】 水酸基を有する単量体:N−メチロー
ルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメ
タクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2
−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−
3−フェノキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキ
シ−3−フェノキシプロピルアクリレート等。
【0043】 カルボキシル基を有する単量体:アク
リル酸、メタクリル酸、アクリロイルオキシエチルモノ
サクシネート等。
【0044】 エポキシ基を有する単量体:グリシジ
ルメタクリレート等。
【0045】 アジリジニル基を有する単量体:2−
アジリジニルエチルメタクリレート、2−アジリジニル
プロピオン酸アリル等。
【0046】 アミド基を有する単量体:アクリルア
ミド、メタクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミ
ド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルア
ミノエチルメタクリレート等。
【0047】 スルフォン基を有する単量体:2−ア
クリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸等。
【0048】 イソシアネート基を有する単量体:
2,4−トルエンジイソシアネートと2−ヒドロキシエ
チルアクリレートの1モル対1モル付加物等のジイソシ
アネートと、活性水素を有するラジカル重合単量体の付
加物等。
【0049】 上記の共重合体のガラス転移点を調節
したり、硬化膜の物性を調節したりするために、上記の
化合物と、この化合物と共重合可能な以下のような単量
体と共重合させることもできる。共重合可能な単量体と
しては、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、
エチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピル
メタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルメタク
リレート、ブチルアクリレート、イソブチルメタクリレ
ート、イソブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレ
ート、t−ブチルアクリレート、イソアミルメタクリレ
ート、イソアミルアクリレート、シクロヘキシルメタク
リレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘ
キシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト等が挙げられる。
【0050】次に、上述のようにして得られた重合体を
以下に述べる方法(イ)〜(ニ)により反応させ、ラジ
カル重合性不飽和基を導入することにより、回折格子形
成樹脂あるいはホログラム形成樹脂を得ることができ
る。
【0051】(イ) 水酸基を有する単量体の重合体ま
たは共重合体の場合には、アクリル酸、メタクリル酸等
のカルボキシル基を有する単量体等を縮合反応させる。
【0052】(ロ) カルボキシル基、スルフォン基を
有する単量体の重合体または共重合体の場合には、上記
の水酸基を有する単量体を縮合反応させる。
【0053】(ハ) エポキシ基、イソシアネート基あ
るいはアジリジニル基を有する単量体の重合体または共
重合体の場合には、上記の水酸基を有する単量体もしく
はカルボキシル基を有する単量体を付加反応させる。
【0054】(ニ) 水酸基あるいはカルボキシル基を
有する単量体の重合体または共重合体の場合には、エポ
キシ基を有する単量体あるいはアジリジニル基を有する
単量体、ジイソシアネート化合物と水酸基含有アクリル
酸エステル単量体の1対1モルの付加物を付加反応させ
る。
【0055】上記の反応を行うには、微量のハイドロキ
ノン等の重合抑制剤を加え、乾燥空気を送りながら行う
ことが好ましい。
【0056】(2)融点が0〜250℃であり、ラジカ
ル重合性不飽和基を有する化合物。具体的には、ステア
リルアクリレート、ステアリルメタクリレート、トリア
クリルイソシアヌレート、シクロヘキサンジオールジア
クリレート、シクロヘキサンジオールジメタクリレー
ト、スピログリコールジアクリレート、スピログリコー
ルジメタクリレート等が挙げられる。
【0057】また、本発明における回折格子形成樹脂あ
るいはホログラム形成樹脂としては、上記(1)、
(2)を混合して用いることもでき、さらに、それらに
対してラジカル重合性不飽和単量体を加えることもでき
る。このラジカル重合性不飽和単量体は、電離放射線照
射の際、架橋密度を向上させ、耐熱性を向上させるもの
であり、上述の単量体の他に、エチレングリコールジア
クリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポ
リエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレング
リコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリ
レート、ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチ
ロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロ
パントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジア
クリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタ
エリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリ
トールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメ
タクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレ
ート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、
エチレングリコールジグリシジルエーテルジアクリレー
ト、エチレングリコールジグリシジルエーテルジメタク
リレート、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテ
ルジアクリレート、ポリエチレングリコールジグリシジ
ルエーテルジメタクリレート、プロピレングリコールジ
グリシジルエーテルジアクリレート、プロピレングリコ
ールジグリシジルエーテルジメタクリレート、ポリプロ
ピレングリコールジグリシジルエーテルジアクリレー
ト、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルジ
メタクリレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテ
ルテトラアクリレート、ソルビトールテトラグリシジル
エーテルテトラメタクリレート等を用いることができ
る。このような単量体は、上記の共重合体混合物の固形
分100重量部に対して、0.1〜100重量部の割合
で用いることが好ましい。また、上記のものは電子線に
より充分に硬化することが可能であるが、紫外線照射で
硬化させる場合には、増感剤としてベンゾキノン、ベン
ゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエー
テル類、ハロゲン化アセトフェノン類、ビアチル類等の
紫外線照射によりラジカルを発生するものも用いること
ができる。
【0058】また、後述する磁気記録層の加熱を効率よ
く行うために、回折格子層14あるいはホログラム層1
4を熱伝導性の高いものとすることが好ましい。ここ
で、回折格子層14あるいはホログラム層14を構成す
る上記の樹脂の熱伝導率κは、0.1〜0.3( Joule
/m・sec ・k)と低いものである。このため、熱伝導
率κが10( Joule/m・sec ・k)以上の添加剤、例
えばエチレングリコール、グリセリン、ジオクチルフタ
レート等の可塑剤(κは数百( Joule/m・sec・
k))、TiO2 、BeO、SiO2 等の酸化剤(κは
数十〜数百( Joule/m・sec ・k))等を回折格子層
14あるいはホログラム層14に含有させることが好ま
しい。
【0059】回折格子層14あるいはホログラム層14
は、従来公知の方法により形成することができる。例え
ば、ホログラムがレリーフホログラムである場合、干渉
縞が凹凸の形で記録されたホログラム原版をプレス型と
して用い、このホログラム原版上にホログラム形成用樹
脂シートを載置し、加熱ロール等の手段により両者を加
熱圧接し、ホログラム形成用樹脂シート表面にホログラ
ム原版の凹凸模様を複製する方法によって、レリーフ形
成面を有するホログラム層14を得ることができる。ホ
ログラムが、体積ホログラムである場合、フォトポリマ
ー等を基材上にコーティング形成し、予め作成してある
ホログラム原板と重ね合わせて、スリット状のレーザー
光を照射することにより、巻取複製することができる。
その後、熱現像等の処理をしてもよい。いずれにして
も、個々の記録体ができるだけ個別の再生像を保持でき
るように複製版を多く準備したり、ランダムパターンと
したり、種々工夫することができる。
【0060】本発明の磁気記録媒体は、図4に示される
ように、上述のような回折格子層14あるいはホログラ
ム層14と、磁気記録層13との間に薄膜層15を備え
ていてもよい。薄膜層15は回折あるいはホログラム効
果をより効果的に発現するものであればよく、通常、一
般的な反射性金属薄膜が使用される。また、ホログラム
が透明型ホログラムの場合、後述するような磁気記録層
13上の着色層や絵柄を隠蔽しない材質であればよく、
例えば回折格子層14あるいはホログラム層14とは屈
折率の異なる透明材料、厚みが200Å以下の反射性金
属薄膜層が挙げられる。
【0061】前者の場合、透明ざいりょうの屈折率は回
折格子層14あるいはホログラム層14よりも大きくて
も小さくてもよいが、屈折率の差は0.1以上、好まし
くは0.5以上であり、屈折率の値は1.0以上である
ことが好ましい。このように、屈折率の異なる透明薄膜
層を設けることにより、回折あるいはホログラム効果を
発現でき、しかも、下層の着色や絵柄を隠蔽させない作
用が得られる。
【0062】また、後者の場合は、反射性金属薄膜では
あるが、厚みが200Å以下であるため、光波の透過率
が大きく、そのため回折あるいはホログラム効果の発現
作用とともに、表示部非隠蔽作用を発揮する。すなわ
ち、反射性金属薄膜中を光波が通過する場合、その振幅
は一波長当たり、exp(−2πK)で急激に減少する
ため、その膜厚が200Åを越えると透過率はかなり小
さいものとなる。したがって、膜厚を200Å以下とす
ることにより透過率は充分なものとなり、回折あるいは
ホログラム効果を発現させることができる。また、膜厚
を200Å以下とすることにより、従来みられた高い輝
度の銀白色による外観上の違和感も解消する。
【0063】上記のような薄膜層1の形成に用いられる
材料としては、以下のような(1)〜(6)の材料が挙
げられる。 (1)回折格子層またはホログラム層よりも屈折率が大
きい透明連続薄膜 これには、可視領域で透明なものと、赤外あるいは紫外
領域で透明なものとがあり、前者は表1に、後者は表2
にそれぞれ示す。表中、nは屈折率を示す(以下、
(2)〜(6)においても同様)。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】 (2)回折格子層またはホログラム層よりも屈折率が大
きい透明強誘電体 上記の透明強誘電体の例を表3に示す。
【0066】
【表3】 (3)回折格子層またはホログラム層よりも屈折率が小
さい透明連続薄膜 上記の透明連続薄膜の例を表4に示す。
【0067】
【表4】 (4)厚さ200Å以下の反射性金属薄膜 反射性金属薄膜は、複素屈折率を有し、この複素屈折率
n*はn*=n−iKで表される。ここで、nは屈折
率、Kは吸収係数を示す。
【0068】本発明に使用できる反射性金属薄膜の材質
を表5に示し、併せて上記のnおよびKの値を示す。
【0069】
【表5】 また、上記の表5に挙げた材質の他に、Sn,In,T
e,Ti,Fe,Co,Zn,Ge,Pb,Cd,B
i,Se,Ga,Rb等の金属が使用可能である。さら
に、上記の金属の酸化物、窒化物等も使用可能であり、
また、金属、その酸化物、窒化物等は、単独で用いるこ
ともでき、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても
よい。 (5)回折格子層またはホログラム層と屈折率の異なる
樹脂 回折格子層またはホログラム層に対して屈折率が大きい
もの、小さいもの、いずれでもよい。これらの例を表6
に示す。
【0070】
【表6】 また、上記の表6に挙げた樹脂の他に、一般的な合成樹
脂が使用可能であるが、特に回折格子層またはホログラ
ム層との屈折率の差が大きい樹脂が好ましい。 (6)上記の(1)〜(5)に示される材質を適宜組み
合わせてなる積層体 上記の(1)〜(5)の材質の組み合わせは任意であ
り、また層構成における各層の上下位置関係も任意に選
択できる。
【0071】上記の(1)〜(6)の薄膜層のうち、
(4)の薄膜層の厚さは200Å以下が好ましく、
(1)〜(3)および(5)、(6)の薄膜層の厚さ
は、薄膜層が透明性を維持できる範囲であればよく、使
用する材質により適宜設定することができ、一般的には
10〜10000Å程度、好ましくは100〜5000
Å程度である。
【0072】上記の(1)〜(4)に示されるような材
質を用いて薄膜層を形成する方法としては、真空蒸着
法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオ
ンプレーティング法、電気メッキ法等の一般的薄膜形成
手段を用いることができる。また、上記の(5)に示さ
れるような材質を用いて薄膜層を形成する場合は、一般
的なコーティング方法等を用いることができる。さら
に、上記の(6)に示されるような材質を用いて薄膜層
を形成する場合は、上記の各手段、方法等を適宜組み合
わせて用いることができる。
【0073】尚、上記の(5)に示されるような材質を
用いる場合、透明材料である限り薄膜でなくてもよく、
0.5μm以上、好ましくは1.0〜3.0μmの厚み
を有する樹脂層を形成してもよい。特に、透明型とする
ことで、磁気記録層、絵柄層との積層であることが一目
で判別できるようにする。また、光学的加熱の際は、光
が直接磁気記録層へ届くため、より効果的である。
【0074】上述のように、本発明の磁気記録媒体11
では磁気記録層13上に回折格子層14またはホログラ
ム層14が存在することにより、磁気記録層が露出する
のが防止され、磁気記録層に書き込まれている情報を直
接別のカードの磁気ストライプに移す磁気転写が困難と
なる。そして、回折格子層14またはホログラム層14
は、外観上美しく、それ自体の製造が容易ではなく、類
似品の作製は困難であり、本発明の磁気記録媒体は、偽
造、変造の困難な磁気記録媒体である。
【0075】また、本発明の磁気記録媒体は、回折格子
層14またはホログラム層14上に保護層を備えるもの
でもよい。回折格子層14またはホログラム層14上へ
の保護層の形成は、合成樹脂フィルムをラミネートする
か、エクストルージョンコート法によるか、あるいは合
成樹脂塗料を塗布することにより行うことができる。保
護層を構成する樹脂としては、耐久性、耐熱性あるいは
他の層との密着性等を考慮して、上述の着色層を形成す
るに際して用いられる合成樹脂類と同様のものでもよ
く、また、物理的特性の高い紫外線・電子線硬化型の樹
脂がより好ましい。
【0076】保護層形成用の電離放射線硬化性樹脂とし
ては、分子中に重量性不飽和結合またはエポキシ基を有
するプレポリマ−、オリゴマー、および/または単量体
等による混合樹脂組成物が利用される。尚、上記のプレ
ポリマ−やオリゴマーの具体例は、不飽和ジカルボン酸
と多価アルコールとの縮合物等による不飽和ポリエステ
ル類をはじめ、ポリエステルメタクリレート、ポリエー
テルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラ
ミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステ
ルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアク
リレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアク
リレート、メラミンアクリレート等のアクリレート類等
が挙げられる。さらに、単量体の具体例は、スチレン、
α・メチルスチレン等によるスチレン系単量体、アクリ
ル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリ
ル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アク
リル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸
フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタ
クリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチ
ル、メタクリル酸フェニル等のメタクリル酸エステル
類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチ
ル、メタクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エ
チル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)
エチル、メタクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミ
ノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミ
ノ)プロピル等の不飽和酸の置換アミノアルコールエス
テル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和
カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレー
ト、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチ
ルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオー
ルジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレー
ト、トリエチレングリコールジアクリレート等のジアク
リレート化合物、ジプロピレングリコールジアクリレー
ト、エチレングリコールアクリレート、プロピレングリ
コールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタ
クリレート等の多官能性化合物、トリメチロールプロパ
ントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリ
チオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグ
リコール等の分子中に2個以上のチオール基を有するポ
リチオール化合物等が利用される。保護層を上記のよう
な電離放射線硬化型樹脂により形成する場合、電離放射
線硬化型樹脂によるコーティング剤の塗工適性を考慮し
て、通常、上述のプレポリマーまたはオリゴマーの5〜
95重量%と、単量体および/またはポリチオール化合
物の95〜5重量%との混合組成物が利用される。ま
た、電離放射線硬化型樹脂によるコーティング剤中に
は、このコーティング剤が紫外線の照射により硬化され
る場合、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン
類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α・アミロキシ
ムエステル、テトラメチルメウラムモノサルファイド、
チオキサントン類等による光重合開始剤と、必要に応じ
てn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブ
チルホスフィン等の光増感剤とを添加してもよいことは
勿論である。
【0077】保護層を形成する際のコーティング剤の塗
工方法は、ロールコート、カーテンフローコート、ワイ
ヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グ
ラビアリバースコート、エアナイフコート、キスコー
ト、ブレードコート、スムーズコート、コンマコート等
の公知の方法を用いることができる。
【0078】また、電離放射線硬化型樹脂による保護層
形成における硬化には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低
圧水銀灯、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メ
タルハライドランプ等の光源からの紫外線照射、あるい
は、コックロフトワルトン型、ハンデグラフ型、共振変
圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン
型、高周波型等の各種電子線加速器による100〜10
00keV、好ましくは100〜300keVのエネル
ギーの電子線照射が用いられる。
【0079】尚、保護層には、耐久性、耐熱性を向上さ
せるために、テフロンパウダー等の粉体、好ましくは軟
化点が100℃以上であり透明性が高い粒径が数μm、
さらにはサブミクロン程度の微粉体が含有されてもよ
い。また、保護層中にシリコーン、ポリエチレンワック
ス等を添加して表面に剥離性を与えてもよい。
【0080】尚、このような保護層と、回折格子層14
あるいはホログラム層14との間に、両層の接着性を高
め、かつ回折格子層14あるいはホログラム層14の耐
久性を高めるために、硬化型アクリル系樹脂、セルロー
ス系樹脂、ビニル系樹脂等からなるオーバプリント層を
設けてもよい。また、上記の薄膜層15と磁気記録層1
3との間には、両層の接着性を高めるために、塩化ビニ
ル/酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ウレタン系
樹脂等からなるアンカー層を設けてもよい。
【0081】また、本発明の磁気記録媒体は、各層間に
必要に応じて接着層を備えていてもよい。この場合の接
着層は、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/
酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/プロピオン酸共重合
体、ゴム系樹脂、シアノアクリレート樹脂、セルロース
系樹脂、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン系共重合体
等のバインダーに、必要に応じて可塑剤、安定剤、硬化
剤等を添加した後、溶剤あるいは希釈剤で充分に混練し
てなる接着層用塗料を用いて塗布することにより形成す
ることができる。接着層用塗料の塗布は、グラビア法、
ロール法、ナイフエッジ法等の塗布方法により行うこと
ができる。特に、磁気記録層上に接着層を設ける場合、
磁気記録層の再溶解を防止するため、熱可塑性樹脂をエ
マルジョン化して塗布し、乾燥してヒートシール型の接
着層とすることが好ましい。
【0082】本発明では、磁気記録媒体1の磁気記録層
3上に、あるいは磁気記録媒体11の磁気記録層13上
に、あるいは、図5〜図7に示されるように、隠蔽・装
飾効果をもたせるための着色層や絵柄を設けてもよい。
【0083】図5に示される磁気記録媒体11は、レリ
ーフホログラムの方式により記録されたホログラム層1
4と、ホログラム層14を構成する材料の屈折率と異な
る屈折率を有する上述の透明材料からなる薄膜層15と
からなる透明型ホログラムを有している。そして、磁気
記録層13と薄膜層15との間に接着剤層17が存在す
るとともに、絵柄16が形成されている。絵柄16は図
のように、磁気記録層13に接していても、薄膜層15
に接していてもよく、さらに、接着剤層17中にあって
もよい。このように、絵柄16を薄膜層15の下に設け
ると、ホログラムの照明光と観察者に対する角度依存性
により、ホログラム再生像が見える角度から磁気記録媒
体11を観察すれば、絵柄16がホログラム再生像に隠
蔽され、また、上記の角度と異なる角度から観察すれ
ば、ホログラム再生像に隠蔽されずに絵柄16を観察す
ることができる。
【0084】図6に示される例では、磁気記録媒体11
は、体積ホログラムであるリップマンホログラムの方式
により記録されたホログラム層14と磁気記録層13と
の間に、着色層18が形成されている。リップマンホロ
グラムからなるホログラム層14は実質的に透明であ
り、ホログラム再生像の見やすさの点および磁気記録層
を隠蔽するという点から、暗色の着色塗料によって着色
層18を構成することが好ましい。また、リップマンホ
ログラムは反射再生光の波長選択性を有しているため、
反射再生光の波長と異なる反射波長をもつ着色塗料で着
色層18を構成したり、あるいは反射再生光によるホロ
グラム再生像の色と補色の関係にある着色塗料を用いる
ことが、装飾性を考慮すると好ましい。尚、接着剤に着
色塗料を混入して着色接着剤としても同様の効果が得ら
れる。
【0085】図7に示される例では、磁気記録媒体11
は、電子線描画装置により機械的に描画することにより
回折格子が記録された回折格子層14上に、または回折
格子層14と反射性金属からなる薄膜層15との間に絵
柄16が形成されている。このように、薄膜層15の上
に絵柄層16を形成すると、薄膜層15で反射された光
を背景として、絵柄16を常時観察することができる。
また、回折格子層14上に絵柄16を形成する場合に
は、記録・再生時における磁気ヘッドの走査等のこすれ
により絵柄16が消失することを防ぐために、上述した
ような保護層19を設けることが好ましい。
【0086】着色層や絵柄はエチルセルロース、硝酸セ
ルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルロ
ースアセテートプロピオネート、酢酸セルロース等のセ
ルロース誘導体、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチ
レン等のスチレン樹脂、あるいはスチレン共重合樹脂、
ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポ
リアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリ
ル樹脂またはメタクリル樹脂の単独あるいは共重合樹
脂、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フ
ェノール樹脂、重合ロジン等のロジンエステル樹脂、ポ
リ酢酸ビニル樹脂、クマロン樹脂、ビニルトルエン樹
脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン
樹脂、ブチラール樹脂等のバインダーに、着色すべき色
に応じて各種の顔料を添加し、さらに必要に応じて、可
塑剤、安定剤、ワックス、グリース、乾燥剤、乾燥補助
剤、硬化剤、増粘剤、分散剤を添加した後、溶剤あるい
は希釈剤で充分に混練してなる着色塗料あるいはインキ
を用いて、通常のグラビア法、ロール法、ナイフエッジ
法、オフセット法等の塗布方法あるいは印刷方法によ
り、所望部分に形成できる。
【0087】尚、上述の本発明の磁気記録媒体は、基体
の全面に磁気記録層を設けたものであるが、図2に示さ
れるように、基体の一部にストライプ状に磁気記録層を
設けてもよい。
【0088】上記の磁気記録層13および回折格子層1
4および/またはホログラム層14を基体12上に設け
る方法としては、磁気転写シートを作製し、従来公知の
方法に従って接着剤層、第1磁気記録層、第2磁気記録
層、薄膜層および回折格子および/またはホログラムを
基体12上に転写することが簡便である。
【0089】図8、本発明の磁気記録媒体の製造に用い
ることのできる磁気転写シートの一例を示す概略断面図
である。図8において磁気転写シート21は、基材22
上に剥離層23を介して回折格子および/またはホログ
ラムとなる樹脂層を形成し、レリーフ母型への熱圧接等
の上述の方法により回折格子あるいはホログラムレリー
フパターンを形成して回折格子層および/またはホログ
ラム層24とする。次に、反応性蒸着、スパッタリング
等の方法を用いて回折格子層および/またはホログラム
層24上に薄膜層25を形成し、この薄膜層25上に第
2磁気記録層26bおよび第1磁気記録層26aからな
る磁気記録層26を印刷法、コーティング法等により形
成する。そして、最後に第1磁気記録層26a上に接着
剤層27を形成する。この場合、回折格子層および/ま
たはホログラム層24から接着剤層27までが転写層と
なる。
【0090】このように作製した磁気転写シート21
を、接着剤層27が基体12上に当接するように熱圧着
(例えば、150℃、10分間、100kg/cm2 のよう
な条件)し、その後、剥離層23によりベース基材22
を剥離することによって、基体12上に接着剤層、第1
磁気記録層、第2磁気記録層、薄膜層および回折格子層
および/またはホログラム層を設けることができる。
【0091】磁気転写シート21を構成する回折格子層
および/またはホログラム層24、薄膜層25、磁気記
録層26は、上述の磁気記録媒体を構成する磁気記録層
13、回折格子層および/またはホログラム層14、薄
膜層15の形成と同様にして形成することができる。ま
た、上記の接着剤層27は、アクリル系樹脂、ビニル系
樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系
樹脂、エポキシ系樹脂、ゴム系樹脂、アイオノマー系樹
脂等の公知の接着剤を用いて形成することができる。こ
の接着剤層22の厚さは、0.1〜50μm、好ましく
は1〜10μm程度とすることができる。勿論、剥離層
とホログラム層との間に上述の保護層を形成してもよ
い。
【0092】次に、本発明の磁気記録媒体の記録方法に
ついて説明する。
【0093】本発明の磁気記録媒体の記録方法は、上述
のような磁気記録媒体の磁気記録層を加熱しながら磁気
記録を行うことを特徴とする。すなわち、磁気記録層を
加熱することにより、磁気記録層を構成する高保磁力の
磁性材料の飽和書込み電流値を低下させて書込みを行う
ものであり、あるいは、磁気記録層を構成する磁性材料
が高保磁力の磁性材料と低保磁力の磁性材料からなる場
合、磁気記録層を加熱することにより、磁気記録層を構
成する高保磁力の磁性材料の飽和書込み電流値を低保磁
力の磁性材料の飽和書込み電流値と略同一にし、磁気記
録層を構成しているすべての磁性材料に同時に書込みを
行うものである。
【0094】より具体的には、上記の磁気記録媒体の加
熱において、磁気記録領域のみを媒体搬送方向に均一に
加熱するとともに、媒体搬送方向と直角な方向に所定の
温度分布を設けるものである。上記の温度分布は、磁気
記録領域の両端よりも中央部の温度を高くするものであ
り、その温度差は5〜50℃程度が好ましい。また、磁
気記録領域の加熱温度範囲は、磁気記録層を構成する高
保磁力、低キュリー点の磁性材料のキュリー点Tcとし
たときに、(Tc−30℃)〜Tcあるいは1/2Tc
〜Tcの範囲とする。
【0095】上記のように、磁気記録領域のみの加熱に
おいて、さらに磁気記録領域の幅方向に温度分布を設け
ることにより、磁気記録領域の周辺の基体の温度上昇を
有効に防ぐことができる。このため、上述の本発明の磁
気記録媒体のように基体を構成する材料の耐熱度、融点
およびガラス転移点のうち少なくとも最も低いものがキ
ュリー点Tcよりも低いような場合であっても、基体に
加熱の悪影響を与えることなく記録、再生が可能とな
る。
【0096】上記のような加熱を行うための加熱手段と
しては、加熱ローラ、遠赤外線ランプ、レーザー加熱、
磁気ヘッドによる加熱等が用いられる。
【0097】加熱ローラは、回折格子層あるいはホログ
ラム層の表面を傷付けないように、シリコンラバーのよ
うな軟質部材により周面を覆われたものが好ましい。ま
た、ローラ径は一周で加熱領域をすべて加熱できるよう
な大きさとし、一周目の表面温度と二周目の表面温度の
差に起因した加熱ムラを防止することが好ましい。例え
ば、長さ85mmのカードの全長に亘って加熱する場合
は、直径を25mm以上に設定した1個の加熱ローラを用
いることができ、あるいは直径が5mm以下のローラを回
転方向に複数配列した加熱ローラを用いることもでき
る。このような加熱ローラの表面温度は50〜300℃
の範囲で適宜設定し、加熱ローラの速度は10〜200
mm/sec.とすることが好ましい。
【0098】遠赤外線ランプによる加熱は、例えば15
0Wハロゲンランプを所定の磁気記録幅に集光して照射
し、書込み領域の磁気記録層を50〜300℃の範囲で
任意に加熱することにより行える。この遠赤外線ランプ
による加熱によれば、回折格子層あるいはホログラム層
に熱ダメージを与えることなく磁気記録層のみを加熱す
ることができる。さらに、集光時に焦点を磁気記録層近
傍に設定することにより、より効率的に磁気記録層を加
熱することができる。
【0099】レーザー加熱は、気体レーザー装置、固体
レーザー装置、半導体レーザー装置等を使用して行うこ
とができる。この中でも、特にヘリウム−ネオンレーザ
ー、アルゴンガスレーザー、炭酸ガスレーザー等の気体
レーザー、YAGレーザー等の固体レーザーが好まし
く、レーザーパワーは10〜1000W程度とする。ま
た、後述するように、加熱と同時に回折格子あるいはホ
ログラムの再生を行う場合にも、同様のレーザーを使用
することができる。尚、受光素子への熱ダメージを防止
するために、光減衰フィルターあるいはビームスリッタ
ーを受光素子の直前に配設することが好ましい。また、
回折格子あるいはホログラムの再生専用としては、レー
ザーパワーが1〜50mW程度のヘリウム−ネオンレー
ザー、半導体レーザーが好ましい。
【0100】磁気ヘッドによる加熱は、磁気ヘッドを5
0〜120℃程度まで加熱して行うことができる。磁気
ヘッドの加熱には、例えば磁気ヘッドを構成するリング
ヘッドに巻着したニクロム線に通電するか、あるいは赤
外線ランプを用いて磁気ヘッドを加熱する等の方法があ
る。
【0101】次に、実験例を示して本発明の磁気記録媒
体を更に詳細に説明する。 (実験例1)厚さ25μmのポリエチレンテレフタレー
トフィルムの片面に、下記の組成の剥離層形成用の塗工
液をグラビアコート法により塗布し、その後、溶剤を除
去して剥離層(厚さ1μm)を形成した。さらに、この
剥離層上に、下記の組成を有する各塗工液をグラビアコ
ート法により塗布して、第2磁気記録層(厚さ10μ
m)、第1磁気記録層(厚さ10μm)および接着剤層
(厚さ5μm)を順次形成して転写シートを作製した。
【0102】 (剥離層形成用の塗工液) ・酢酸セルロース樹脂 … 5重量部 ・メタノール … 25重量部 ・メチルエチルケトン … 45重量部 ・トルエン … 25重量部 ・メチロール化メラミン樹脂 … 0.5重量部 ・パラトルエンスルフォン酸 …0.05重量部 (第2磁気記録層形成用の塗工液) ・γ−Fe2 O3 (保磁力=300 Oe 、キュリー点=575 ℃) … 36重量部 ・ウレタン樹脂 … 12重量部 ・トルエン … 20重量部 ・メチルエチルケトン … 15重量部 ・メチルイソブチルケトン … 15重量部 ・イソシアネート系硬化剤 2重量部 (第1磁気記録層形成用の塗工液) ・Srフェライト (保磁力=6000 Oe 、キュリー点=140 ℃)… 36重量部 ・ウレタン樹脂 … 12重量部 ・トルエン … 20重量部 ・メチルエチルケトン … 15重量部 ・メチルイソブチルケトン … 15重量部 ・イソシアネート系硬化剤 2重量部 (接着剤層形成用の塗工液) ・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 … 20重量部 ・アクリル樹脂 … 10重量部 ・酢酸エチル … 20重量部 ・トルエン … 50重量部 上記のように作製した転写シートを12.7mm幅にスリ
ットして転写テープとし、この磁気転写テープを耐熱度
(ASTM−D759−66)60℃のポリエチレンフ
ィルム(三井東圧(株)製 厚さ100μm)上に、接
着層が当接するように重ね合わせ、転写テープ側から5
0℃、2m/分の条件で加熱して仮転写した。その後、
転写テープのポリエステルフィルムを剥離して接着剤
層、第1磁気記録層、第2磁気記録層が、この順に積層
されたストライプを設けた。
【0103】次に、予めオフセット印刷により文字、絵
柄を印刷した厚さ560μmの硬質塩化ビニルコアを、
上記のようにストライプを設けたポリエチレンフィルム
と、ストライプを設けていない同じポリエチレンフィル
ムとで挟んだ状態で熱圧着(150℃、100kg/cm
2 、10分間)して一体化し、86mm×54mmの大きさ
のカード状に打ち抜いて本発明の磁気記録媒体を得た。
【0104】以上のようにして作成した磁気記録媒体
を、第1磁気記録層の磁性材料のキュリー点(140
℃)付近である100℃まで加熱したところ、基体を構
成するポリエチレンフィルム層が熱変形を生じ、使用不
能となった。
【0105】一方、磁気記録媒体の12.7mm幅の磁気
ストライプの略中央の5mm幅程度の領域のみを記録方向
全長に亘ってヒートロール方式により130℃まで加熱
して、第1磁気記録層、第2磁気記録層の飽和書込み電
流値を約60mAとした状態で、書込み電流80mAで
磁気情報を記録した。この書込みにおいて、基体の熱変
形は全く発生しなかった。そして、磁気記録媒体を冷却
した後に読取りを行ったところ、約500mVの出力で
磁気情報を良好に読み取ることができた。
【0106】次に、上記の磁気情報が記録された磁気記
録媒体に室温において書込み電流80mAで別の磁気情
報を記録し、その後、読取りを行ったところ、約400
〜600mVの出力が得られたものの、2種の磁気デー
タが混在しており、磁気情報を読み取ることができなか
った。 (実験例2)磁気記録媒体の基体を構成する樹脂フィル
ムとして、耐熱度(ASTM−D759−66)60℃
のポリエチレンフィルム(三井東圧(株)製 厚さ10
0μm)の代わりに、融点が220℃のポリエステルフ
ィルム(東レ(株)製 厚さ250μm)を使用し、第
1磁気記録層形成用の塗工液としてキュリー点=300℃
のSrフェライトを含有したものを使用した他は、実験
例1と同様にして本発明の磁気記録媒体を得た。
【0107】この磁気記録媒体を、第1磁気記録層の磁
性材料のキュリー点(300℃)付近である230℃ま
で加熱したところ、基体を構成するポリエステルフィル
ム層が熱変形を生じ、使用不能となった。
【0108】また、実験例1と同様に、磁気記録媒体の
12.7mm幅の磁気ストライプの略中央の5mm幅程度の
領域のみを記録方向全長に亘って赤外線加熱方式により
250℃まで加熱して磁気情報の書込み、読取りを行っ
たところ、実験例1と同様の結果を得た。 (実験例3)磁気記録媒体の基体を構成する樹脂フィル
ムとして、耐熱度(ASTM−D759−66)60℃
のポリエチレンフィルム(三井東圧(株)製 厚さ10
0μm)の代わりに、ガラス転移点が100℃のポリス
チレン(東レ(株)製 厚さ100μm)を使用した他
は、実験例1と同様にして本発明の磁気記録媒体を得
た。
【0109】この磁気記録媒体を、第1磁気記録層の磁
性材料のキュリー点(140℃)付近である120℃ま
で加熱したところ、基体を構成するポリスチレンフィル
ム層が熱変形を生じ、使用不能となった。
【0110】また、実験例1と同様に、磁気記録媒体の
12.7mm幅の磁気ストライプの略中央の5mm幅程度の
領域のみを記録方向全長に亘ってレーザー加熱方式によ
り130℃まで加熱して磁気情報の書込み、読取りを行
ったところ、実験例1と同様の結果を得た。
【0111】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば磁
気記録層を構成する低キュリー点、高保磁力の磁性材料
を、キュリー点よりも低い温度で加熱することにより、
飽和書込み電流値を低下させた状態で磁気情報の記録を
行い、その後は、通常の磁気記録装置により加熱を行わ
ないで磁気記録層の磁気情報を書換えることは困難であ
り、また、飽和書込み電流値は、磁気記録層を構成する
磁性材料の保磁力、磁気記録層の厚さ、磁性材料の充填
率、磁気記録層と磁気ヘッドとの距離等により変動する
ため、同一の飽和書込み電流値を有する磁気記録層を偽
造すること自体が困難であり、さらに、上記の加熱条件
と飽和書込み電流値を見出すことが困難であり、また、
基体を構成する材料の耐熱度、融点およびガラス転移点
のうち少なくとも最も低いものが磁気記録層のキュリー
点よりも低いため、単純に加熱すると、基体に変形が生
じて使用不可能となり、偽造、変造が極めて困難であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一例を示す概略断面図
である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の他の例を示す概略断面
図である。
【図3】本発明の磁気記録媒体の他の例を示す概略断面
図である。
【図4】本発明の磁気記録媒体の一例を示す概略断面図
である。
【図5】本発明の磁気記録媒体の他の例を示す概略断面
図である。
【図6】本発明の磁気記録媒体の他の例を示す概略断面
図である。
【図7】本発明の磁気記録媒体の一例を示す概略断面図
である。
【図8】本発明の磁気記録媒体の製造に用いることので
きる磁気転写シートの一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1,11…磁気記録媒体 2,12…基体 3,13…磁気記録層 13a…第1磁気記録層 13b…第2磁気記録層 14…回折格子および/またはホログラム層 15…薄膜層 21…磁気転写シート 22…基材 23…剥離層 24…回折格子および/またはホログラム層 25…薄膜層 26…磁気記録層 26a…第1磁気記録層 26b…第2磁気記録層 27…接着剤層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体と、該基体上に設けられた磁気記録
    層とを備え、前記磁気記録層は少なくとも低キュリー
    点、高保磁力の磁性材料を含み、前記基体を構成する材
    料の耐熱度、融点およびガラス転移点のうち少なくとも
    最も低いものが前記磁気記録層のキュリー点よりも低い
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記磁気記録層は異なるキュリー点およ
    び保磁力を有する2種以上の磁性材料を含み、前記基体
    を構成する材料の耐熱度、融点およびガラス転移点のう
    ち少なくとも最も低いものが、加熱した際の前記各磁性
    材料のキュリー点のクロスポイントよりも低いことを特
    徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記基体を構成する材料の耐熱度、融点
    およびガラス転移点のうち少なくとも最も低いものが、
    前記磁気記録媒体の記録あるいは再生時の加熱温度より
    も低いことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記磁気記録層は、2種以上の磁性材料
    が混合して含まれる1つの層で構成されていることを特
    徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気記録媒
    体。
  5. 【請求項5】 前記磁気記録層は、互いに異なった磁性
    材料を含む複数の層が積層さて構成されていることを特
    徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気記録媒
    体。
  6. 【請求項6】 前記磁気記録層の少なくとも一部に回折
    格子および/またはホログラムを備えることを特徴とす
    る請求項1乃至5のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載の磁気
    記録媒体の磁気記録層を、磁気記録媒体の搬送方向と直
    角の方向において磁気記録層の両端よりも中央の温度が
    高くなるように温度分布をもたせて加熱しながら磁気記
    録を行うことを特徴とする磁気記録媒体の記録方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US11981636B2 (en) 2017-05-15 2024-05-14 Cognition Therapeutics, Inc. Compositions for treating neurodegenerative diseases

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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