JP3513568B2 - 油性ゲル成型体およびその製造方法 - Google Patents

油性ゲル成型体およびその製造方法

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JP3513568B2 JP34526295A JP34526295A JP3513568B2 JP 3513568 B2 JP3513568 B2 JP 3513568B2 JP 34526295 A JP34526295 A JP 34526295A JP 34526295 A JP34526295 A JP 34526295A JP 3513568 B2 JP3513568 B2 JP 3513568B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、油性ゲル成型体
に関し、さらに詳しくは、ゲルとゲル被覆材とが強固に
結合され、初期形状、寸法および諸特性を長期間にわた
って維持できる高弾性油性ゲル成型体およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からゴム成分を油状溶媒に溶解さ
せ、架橋処理を施した油性ゲルが使用されている。この
ようなゲルは弾性、柔軟性、保型性に優れ、かつ高温で
可塑化成形ができ、室温では上記特性を具備しているの
で、例えば褥瘡予防用のマットなどの応力分散材や防音
・防振材などに利用されている。
【0003】しかしながら、この種のゲル材は上記の用
途で長期間使用すると、ゲルがゲル被覆材のフィルムの
中で、丸まったり(丸まること)、位置ずれなどが起こ
って元の状態に復帰しにくいか、もしくは変形してしま
うか、さらにはゲルが破損するなどといったゲル自体と
ゲル被覆材との接着性に起因する問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上述した
点に鑑みてなされたものであって、従来のゲル組成物に
ポリイソシアネートを加え、ゲルとフィルムからなる被
覆材とを接着させてゲルがゲル被覆材から分離して惹き
起こされる位置ずれ、丸まりおよび破損を防止するとと
もに、機械的強度を向上させて長期間にわたってその形
状、寸法および諸特性を維持できる高ゲル弾性、高強度
の油性ゲル成型体を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、これらの課
題を解決するために、従来のゲルと被覆材との接着性お
よびゲルの機械的強度に関与するゲル構成成分について
検討した結果、ゲル組成の改良、すなわちゲルの組成分
として被覆材と化学親和性(反応性)を有するポリイソ
シアネート化合物を添加することにより、上記の目的を
達成することを見出し、この発明を完成した。
【0006】すなわち、この発明は分子内に二重結合を
有する高分子量固形ゴムおよび低分子量液状ゴムからな
るゴム成分と、該ゴム成分を溶解する油性成分と、ポリ
イソシアネートおよび有機過酸化物とからなる液状組成
物をポリイソシアネートと反応可能なフィルムの袋内に
充填、ゲル化成型してなる、ゲル化成型体と袋内面とが
架橋結合されている油性ゲル成型体をその要旨とするも
のである。
【0007】また、この発明の油性ゲル成型体の製造方
法は、分子内に二重結合を有する高分子量固形ゴムおよ
び低分子量液状ゴムからなるゴム成分を油性成分に溶解
し、得られた溶液にポリイソシアネートおよび有機過酸
化物を添加して液状組成物とし、該液状組成物をポリイ
ソシアネートを反応可能なフィルムの袋内に充填したの
ち、加熱して該液状組成物をゲル化成型するとともに、
得られるゲル化成型体と袋内面とを架橋結合することを
要旨とする。
【0008】
【作用】この発明の油性ゲル成型体によれば、高分子量
固形ゴムおよび低分子量液状ゴムの油性成分溶液にポリ
イソシアネートと架橋剤を添加し、これを袋状被覆材に
充填した状態で架橋処理して、被覆材とポリイソシアネ
ートとの架橋、または液状ゴムとポリイソシアネートの
重付加からなるウレタン結合を有するポリマーとの分子
間力による結合、あるいは水素結合などによって、ゲル
化成型体と被覆材とが化学結合、または二次結合的に接
着されるようになる。その結果、得られるゲル化成型体
は被覆材と強固に結合されているため、長期間にわたる
使用中の種々の荷重に起因するゲル弾性変形に対して被
覆材から分離、または部分剥離することなく、被覆材と
一体となって変形し、回復することが可能となる。
【0009】さらに、ポリイソシアネートと固形ゴムお
よび液状ゴムとの架橋により生成した架橋点からなる網
状構造が新しく形成され加わる結果、ゲルの機械的強度
が向上した。すなわちゲルに加えられる三次元方向の引
張、または圧縮の荷重に対して強い抵抗力を有し、これ
らの荷重による変形は荷重の解除とともに容易に元の形
状と寸法に回復する。また、これらの設計された適度な
架橋度によってゲルの引張、または圧縮強さは増し、熱
的環境下ならびに繰り返し荷重によるゲル組織の破壊は
避けられる。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明に使用する油性成分とし
ては、ゲルの製造時の温度領域で蒸発性の極めて低い高
沸点化合物であって、高分子量固形ゴムおよび低分子量
液状ゴムを室温で溶解できるものを用いることができ
る。例えば、オリーブ油、ヒマシ油などの植物油、流動
パラフィン、プロセスオイルなどの鉱物油、セバシン酸
ジエチル、フタル酸ジオクチル、アジピン酸ジオクチ
ル、桂皮酸エチル、フェニル酢酸エチル、オレイン酸エ
チル、安息香酸ベンジルなどのエステル油、スクワラ
ン、スクワレンなどの動物油などの可塑剤が用いられ
る。
【0011】この発明に使用する高分子量固形ゴムとし
ては、例えば、天然ゴムやポリイソプレンゴム、ポリブ
タジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリ
ロニトリル−ブタジエン共重合体、クロロプレンゴム、
イソブチレン−イソプレン共重合体、スチレン−クロロ
プレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン三元
共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン三元共重合
体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、アク
リルゴムなどの分子内に少なくとも1個の二重結合を有
する合成ゴムを用いることができる。これらの合成ゴム
のうち、保型性、柔軟性、品質の安定性の点から、合成
ゴム、特にポリブタジエンゴムやポリイソプレンゴム、
スチレン−ブタジエン共重合体が好ましい。上記高分子
量固形ゴムは、油性成分100重量部に対して5〜30
重量部、好ましくは 6〜13重量部の範囲内で使用す
ることができる。その使用量が5重量部より少ない場合
は、架橋後においてもチキソトロピックな挙動をする液
体となって十分安定な成型ゲルは得ることはできず、他
方30重量部より多い場合には、極端な高粘性体を生成
して目的の特性および成形加工性を得ることはできな
い。
【0012】この発明に使用する低分子量液状ゴムとし
ては、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、アク
リロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジ
エン共重合体、クロロプレンゴム、1,3ペンタジエン
ゴムなどを用いることができる。これらの液状ゴムは、
ゲル組織の機械的強度を向上させる役割を担うものであ
って、付加重合によって線状重合体を生成して、分子間
力による相互の引き合い、または相互の絡み合い、すな
わちcatenaneやknotsなどによって架橋点
をつくったり、または架橋によって網状構造を形成した
り、あるいはポリイソシアネートとの重付加によりウレ
タン結合を有するポリマーを生成したりして、ゲル組織
を強化するものである。これらの液状ゴムは、分子内に
官能基をもたないもの、または分子内主鎖にOH基やC
OOH基を有するもの、あるいは分子の両末端にOH基
を有するものなどを含む。上記低分子量液状ゴムは、高
分子量固形ゴムを溶解した粘稠な溶液100重量部に対
して5〜30重量部、好ましくは9 〜13重量部の範
囲で使用することができる。その使用量が5重量部より
少ない場合は、架橋後のゲルに強度の向上は見られず、
他方30重量部より多いときは、極端に高粘性体となっ
て目的の特性を有するゲルは得られない。
【0013】本発明の油性ゲル成型体の組成分である上
記高分子量固形ゴムおよび低分子量液状ゴムは、室温下
もしくは溶解速度を速めるために、例えば50〜150
℃の温度の加熱下で、必要ならば窒素気流中で所定比率
で前記油性成分に添加、攪拌、溶解し、粘稠な液状物と
する。また、上記の溶解の際には、必要に応じて各種配
合剤を加えることができる。例えば、ゲルの熱、光およ
び酸素酸化による劣化を防ぐための老化防止剤、紫外線
防止剤、酸化防止剤など、またゲルに特別な機能を付与
するための着色用顔料、染料、香料などの充填剤、さら
にカーボンブラック、アエロジル、チタン白、炭酸カル
シウム、各種クレーなどの補強用充填剤などが挙げられ
る。これらのうち、カーボンブラック、アエロジル、ク
レーなどは架橋後のゲルの弾性係数を増大させる傾向を
有するものであるが、その使用量を適宜に決定すれば、
目的とする柔軟性、機械的強度ならびに耐久性を保有
し、かつ熱安定性に優れた高弾性ゲルの生成に支障をき
たすことはない。上記各種配合剤の使用量は、ゲル組成
物の全量に対して約40重量部以下とするのがよい。
【0014】本発明に使用するポリイソシアネートは、
ゲルとポリウレタン被覆材との接着性を向上させる、す
なわち両者を化学的親和力および化学結合によって強固
に接着するする役割を担うものであって、分子内にOH
基やCOOH基などの活性水素を有する液状ゴムなどと
重付加反応によりウレタン結合を有するポリマーを生成
したり、ポリウレタン被覆材と反応して架橋を生成する
ものであればよい。ポリイソシアネートとしては、有機
過酸物などの触媒により六員環などの開裂、付加などの
影響を受けない、水素添加によって分子内に安定なシク
ロヘキシル環を有する分子量が300〜800でNCO
基含有量5.0〜30%、固形分100%の脂環型ポリ
イソシアネート、例えば、H12MDI(水添MDI)、
6XDI、IPDI、トランスシクロヘキサン1,4
−ジイソシアネートなどが好ましい。これらの脂環型ポ
リイソシアネートは、高分子量固形ゴム100重量部に
対して0.05〜10重量部、好ましくは3 〜 9重
量部の範囲で使用され、前記高分子量固形ゴムと低分子
量液状ゴムの粘稠な油性液状組成物中に後述する架橋剤
と共に添加し、攪拌、分散される。
【0015】本発明に使用する架橋剤は、上記液状組成
物中のゴム成分とポリイソシアネート成分との架橋およ
び重付加によるウレタン結合を有するポリマー、または
ポリイソシアネートとポリウレタン被覆材との化学結合
に与るものであって、適正温度下の活性化エネルギーで
ラジカルを生成する有機過酸化物、または、放射線を用
いることができる。有機過酸化物としては、ラウロイル
パーオキシド、アセチルパーオキシド、ベンゾイルパー
オキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘ
キサノンパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエ
ート、ジクミルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−
2−エチルヘキサノエート、クメンハイドロパーオキシ
ド、過酢酸、ビニル系モノマーと酸素との低分子共重合
体過酸化物などを用いることができる。これらの有機過
酸化物は、前記ゲル液状組成物中にその分解温度以下の
温度で添加、攪拌、分散され、架橋処理時には、その分
解温度以上の温度に加熱されて架橋などの反応を行う。
この場合、有機過酸物の添加量は液状組成物100重量
部に対して0.05〜40重量部、好ましくは0.2〜
0.9重量部の範囲とする。必要に応じてナフテン酸コ
バルトやコクテン酸スズなどの架橋促進剤を添加するこ
ともできる。また、放射線架橋の場合は、γ線や電子線
などの放射線を0.25〜5Mrad、好ましくは0.
5〜3Mradの範囲で照射する。照射線量が0.25
Mrad未満の場合は、十分なゲル強度を有する架橋構
造体を得ることはできず、また5Mradを超える照射
線量では、架橋密度が大きくなる結果、ゲル自体が凝集
して、含有された油性成分がブルーミングなどの現象を
起こすことがある。
【0016】本発明の油性ゲル成型体は、前記架橋剤、
ポリイソシアネートなどを分散した未架橋液状組成物
を、弾性を有し、ゲル中の組成分が移行してもその影響
を受けない材質の袋、例えば所定形状のポリウレタンフ
ィルムからなる袋に充填するか、または金属の型に流し
込んだり、押出機で押出成形したり、あるいは塗布装置
を用いて布、紙、剥離紙などの表面に塗布したりした
後、架橋処理することにより、袋、フィルム、シートな
どの形状で得られる。このようにして得られたゲル成型
体のカバー材としては、メリヤス布、不織布、織布、編
布などが用いられる。
【0017】上記のようにして得られたゲル成型体の反
発応力は、レオメーター試験機による直径10mm球状
プローブの10mm侵入テストで100〜250gの範
囲とする必要がある。反発応力が100g以下になると
荷重下における使用でゲルが破損したり、変形してしま
うことがある。反対に、反発応力が250g以上になる
とゲルの動きが拘束されて目的とする圧力分散効果が得
られなくなってしまう。
【0018】
【実施例】次にこの発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。 実施例1 流動パラフィン255gにポリイソプレンゴム(シス
1,4結合98%、ムーニー粘度〔ML1+4、100
℃〕90)15gを細かく切断しながら配合し、窒素ガ
ス雰囲気下で100℃に加熱して完全に溶解させ、粘稠
な溶液としこの溶液を40℃以下まで冷却し、分子内に
官能基を有さない液状ポリイソプレンゴム30gを加え
充分攪拌を行なった後、t−ブチルパーオキシ−2−エ
チルヘキサノエート2.2gと固形分100%のHMD
I系ポリイソシアネート(含有量19.7重量%)1.
0gを加えてよく攪拌し分散させた。この配合物を袋状
のウレタンフィルム(14cm×14cm)に充填し脱
気処理した。脱気処理終了後、袋に酸素が混入しないよ
うに袋をシールし、120℃で120分間加熱架橋処理
すると、厚さが20mmの柔軟で強度のある高弾性ゲル
マットが得られた。上記配合物を深さ15mmの直径4
7mmの円盤型金型に流し込み脱気処理後、ウレタンフ
ィルムにて配合物の酸素を遮断し、上記架橋条件にてゲ
ルを得た。得られた厚み15mmの直径47mmの円盤
型ゲルの応力分散特性を室温で伝導式応力測定機レオメ
ーター(不動工業社製、NRM−3002D型)を用い
て測定したところ反発応力は約140gであった。袋充
填して得られたゲルを褥瘡予防マットとして使用したと
ころ良好な耐圧分散を示し、使用中にゲルが破れること
やゲルがゲル被覆材中で丸まるようなことはなかった。
【0019】実施例2 セバシン酸ジエチル240gにスチレン−ブタジエンゴ
ム(スチレン量24モル%、ムーニー粘度〔ML+4、
100℃〕32)30gを細かく切断しながら配合し、
窒素ガス雰囲気下で100℃に加熱して完全に溶解さ
せ、粘稠な溶液としこの溶液を40℃以下まで冷却し、
分子内の側鎖にOH基を有する液状ポリイソプレンゴム
30gを加え十分攪拌を行なった後、ベンゾイルパーオ
キシドをジオクチルフタレート中に分散させたペースト
物0.9gと固形分100%のHMDI系ポリイソシア
ネート(含有量19.7重量%)1.0gをよく分散さ
せた。この配合物を袋状のウレタンフィルム(14cm
×14cm)に充填し脱気処理した。脱気処理終了後袋
に酸素が混入しないように袋にシールし、120℃で1
20分間加熱架橋処理すると、厚さが20mmの柔軟で
強度のある高弾性ゲルマットが得られた。上記配合物を
金型(深さ15mmで直径47mmの円盤型)に流し込
み脱気処理した。酸素を遮断した状態で120℃で2時
間加熱処理すると、厚さが15mmの柔軟な高弾性ゲル
マットが得られた。得られたゲルの応力分散特性を応力
測定機レオメーター(不動工業社製、NRM−3002
D型)を用いて測定したところ反発応力は約210gで
あった。袋充填して得られたゲルを褥瘡予防マットとし
て使用したところ良好な耐圧分散を示し、使用中にゲル
が破れることやゲルがゲル被覆材中で丸まるようなこと
はなかった。
【0020】実施例3 セバシン酸ジエチル255gにポリイソプレンゴム(シ
ス1,4結合98%、ムーニー粘度〔ML1+4、10
0℃〕90)15gを細かく切断しながら配合し、窒素
ガス雰囲気下で100℃に加熱して完全に溶解させ、粘
稠な溶液としこの溶液を40℃以下まで冷却し、分子内
に官能基を有さない液状ブダジエンゴム30gを加え充
分攪拌を行なった後、ベンゾイルパーオキシドをジオク
チルフタレート中に分散させたペースト物2.2gとH
MDI系ポリイソシアネート(含有量30重量%)1.
3gをよく分散させる。この配合物を袋状のウレタンフ
ィルム(14cm×14cm)に充填し脱気処理した。
脱気処理終了後袋に酸素が混入しないように袋をシール
し、120℃で120分間加熱架橋処理すると、厚さが
20mmの柔軟で強度のある高弾性ゲルマットが得られ
た。上記配合物を金型(深さ15mmで直径47mmの
円盤型)に流し込み脱気処理をした。酸素を遮断した状
態で120℃で2時間加熱処理すると、厚さが15mm
の柔軟な高弾性ゲルマットが得られた。得られたゲルの
応力分散特性を応力測定機レオメーター(不動工業社
製、NRM−3002D型)を用いて測定したところ反
発応力は約200gであった。袋充填して得られたゲル
を褥瘡予防マットとして使用したところ良好な耐圧分散
を示し、使用中にゲルが破れることやゲルがゲル被覆材
で丸まるようなことはなかった。
【0021】実施例4 フタル酸ジオクチル255gにスチレン−イソプレン−
スチレンゴム20gを細かく切断しながら配合し、窒素
ガス雰囲気下で100℃に加熱して完全に溶解させ、粘
稠な溶液としこの溶液を40℃以下まで冷却し、分子内
に官能基を有さない液状イソプレンゴム25gを加え十
分攪拌を行なった後、t−ブチルパーオキオシ−2−エ
チルヘキサノエート1.65gとHMDI系ポリイソシ
アネート(含有量30重量%)1.0gを加えてよく攪
拌し分散させた。この配合物を袋状のウレタンフィルム
(14cm×14cm)に充填し脱気処理した。脱気処
理終了後袋に酸素が混入しないように袋をシールし、1
20℃で120分間加熱架橋処理すると、厚さが20m
mの柔軟で強度のある高弾性ゲルマットが得られた。上
記配合物を深さ15mmの直径47mmの円盤型金型に
流しこみ脱気処理をした。酸素を遮断した状態で120
℃で2時間加熱処理すると厚さが15mmの柔軟な高弾
性ゲルマットが得られた。得られたゲルの応力分散特性
を応力測定機レオメーター(不動工業社製、NRM−3
002D型)を用いて測定したところ反発応力は約22
5gであった。袋充填して得られたゲルを褥瘡予防マッ
トとして使用したところ良好な耐圧分散を示し、使用中
にゲルが破れることやゲルがゲル被覆材中で丸まるよう
なことはなかった。
【0022】実施例5 セバシン酸ジエチル155gと流動パラフィン100g
との混合液にポリイソプレンゴム(シス1,4結合98
%、ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕90)15
gを細かく切断しながら配合し、窒素ガス雰囲気下で1
00℃に加熱して完全に溶解させ、粘稠な溶液としこの
溶液を40℃以下まで冷却し、分子内に官能基を有さな
い液状イソプレンゴム30gを加え十分攪拌を行なった
後、ベンゾイルパーオキシドをジオクチルフタレート中
に分散させたペースト物1.65gと100%固形物の
HMDI系ポリイソシアネート(含有量19.7重量
%)1.0gをよく分散させる。この配合物を袋状のウ
レタンフィルム(14cm×14cm)に充填し脱気処
理した。脱気処理終了後袋に酸素が混入しないように袋
をシールし、120℃で120分間加熱架橋処理する
と、厚さが20mmの柔軟で強度のある高弾性ゲルマッ
トが得られた。上記配合物を金型(深さ15mmで直径
47mmの円盤型)に流し込み脱気処理をした。酸素を
遮断した状態で120℃で2時間加熱処理すると、厚さ
が15mmの柔軟な高弾性ゲルマットが得られた。得ら
れたゲルの応力分散特性を応力測定機レオメーター)不
動工業社製、NRM−3002D型)を用いて測定した
ところ反発応力は約130gであった。袋充填して得ら
れたゲルを褥瘡予防マットとして使用したところ良好な
耐圧分散を示し、使用中にゲルが破れることやゲルがゲ
ル被覆材中で丸まるようなことはなかった。
【0023】比較例1 流動パラフィン255gにポリイソプレンゴム(シス
1,4結合98%、ムーニー粘度〔ML+4、100
℃〕90)15gを細かく切断しながら配合し、窒素ガ
ス雰囲気下で100℃に加熱して完全に溶解させ、粘稠
な溶液としこの溶液を40℃以下まで冷却し、分子内に
官能基を有さない液状ポリイソプレンゴム30gを加え
十分攪拌を行なった後、t−ブチルパーオキシ−2−エ
チルヘキサノエート2.0gを加えてよく攪拌し分散さ
せた。この配合物を袋状のウレタンフィルム(14cm
×14cm)に充填し脱気処理した。脱気処理終了後袋
に酸素が混入しないように袋をシールし、120℃で1
20分間加熱架橋処理すると、厚さが20mmのゲルマ
ットが得られた。上記配合物を深さ15mmの直径47
mmの円盤型金型に流し込み脱気処理をした。酸素を遮
断した状態で120℃で120分間加熱架橋処理する
と、厚さが15mmの柔軟な高弾性ゲルが得られた。上
記配合により得られた厚み15mmの直径47mmの円
盤型ゲルの応力分散特性を室温で応力測定機レオメータ
ー(不動工業社製、NRM−3002D型)を用いて測
定したところ反発応力は約140gであった。袋充填し
て得られたゲルを褥瘡予防マットとして使用したところ
良好な耐圧分散を示したが、使用中にゲルが袋の中で丸
まることが認められた。
【0024】比較例2 セバシン酸ジエチル255gにポリイソプレンゴム(シ
ス1,4結合98%、ムーニー粘度〔ML+1、100
℃〕90)15gを細かく切断しながら配合し、窒素ガ
ス雰囲気下で100℃に加熱して完全に溶解させ、粘稠
な溶液としこの溶液を40℃以下まで冷却し、分子内に
官能基を有さない液状ブタジエンゴム30gを室温下で
混合させ、粘稠な溶液としこの溶液にt−ブチルパーオ
キシ−2−エチルヘキサノエート2.0gをよく分散さ
せる。この配合物を袋状のウレタンフィルム(14cm
×14cm)に充填し脱気処理した。脱気処理終了後袋
に酸素が混入しないように袋をシールし、120℃で1
20分間加熱架橋処理すると、厚さが20mmのゲルマ
ットが得られた。上記配合物を金型(深さ15mmで直
径47mmの円盤型)に流し込み120℃で2時間加熱
処理すると、厚さが15mmの柔軟な高弾性ゲルが得ら
れた。得られたゲルマットの応力分散性を応力測定機レ
オメーター(不動工業社製、NRM−3002D型)を
用いて測定したところ反発応力は約200gであった。
袋充填して得られたゲルを褥瘡予防マットとして使用し
たところ良好な耐圧分散を示したが、使用中にゲルが袋
の中で丸まることが認められた。以下の表1に本発明の
実施例で得られたゲル試料の諸特性を比較例のそれとと
もに示す。
【0025】
【表1】
【0026】評価方法 反発応力 応力測定機レオメーター本体と連動する棒に連設された
直径10mmの鋼球を直径47mm厚さ15mmの円盤
型ゲル試料内に徐々に沈めてゆき鋼球と棒にかかる応力
を反発応力とした。 耐圧分散 袋充填して得られたゲル試料を褥瘡予防マットとして実
用したときの荷重分散の度合いをチェックした。 実用性試験 上記と同一のゲル試料を褥瘡予防マットとして約1週間
使用して、ゲルの丸まり、ズレ、変形、破れなどの有無
について実用性を評価した。
【0027】
【発明の効果】以上、説明したように、この発明によれ
ば、高分子量固形ゴムおよび低分子量液状ゴムの油性液
状組成物にポリイソシアネートを添加し、ポリウレタン
被覆材に充填した状態で架橋処理して、この液状組成物
をゲル化するとともに、ゲルとポリウレタン被覆材とを
二次結合(化学親和力)および化学結合により強固に接
着させたので、長期間使用しても、被覆材内でのゲルの
丸まり、ズレ、分離などがなくなった。
【0028】また、活性多重結合を有するポリイソシア
ネートを用いて、高分子量および低分子量ゴムとの架橋
反応によって、ゲル中に化学結合による架橋点を作り、
適度な網状構造を形成させたので、ゲルの機械的強度が
向上し、従来品にみられた長期保存における荷重下の形
くずれやゲルの破損を防ぐことが可能となった。またク
ッション材として長時間使用した場合においても、従来
品にみられたゲルがゲル被覆材中で丸まったり、変形し
てしまったり、またはゲルが破れたりするような問題が
発生しなくなった。
【0029】さらに、本発明の油性ゲル成型体は、上記
のように、化学結合である架橋点からなる網状構造のゲ
ルを形成させているので、従来のゴム/油または部分架
橋ゴム/油のような物理的混合固溶態ゲルにみられる温
度による構造破壊はなく、高温領域までゲル構造は安定
に存在し、熱安定性に優れている。例えば、−30℃の
温度領域でも柔軟性や丸まり、ズレ、変形、破損などの
耐久性の低下はなく、80〜150℃の高温領域におい
ても常温時のゲル弾性が80%以上も保持され、またゲ
ルの原形および寸法を保っている。この高温下の熱安定
性は加熱殺菌を必要とする用途などにゲルの使用を有利
にする。また室温下の保存安定性に関しても、特公昭4
7−18409号公報、特公昭54−4734号公報に
記載されたゲルよりも優れていることが実証されてい
る。
【0030】また、上述のように、化学結合による架橋
点で網状構造が構成されていることに起因する冷一熱非
可逆性の本発明のゲルは、直径47mm厚さ12mmの
円盤型ゲル試料を直径10mmの球状プローブ10mm
侵入テスト(レオメータ)において圧縮(反発)応力1
00〜250gという高いゲル弾性を示す。
【0031】この発明の油性ゲル成型体は、上述の通
り、長期間使用の安定性のほか多くの優れた特性を具備
しているため、各分野での幅広い応用が可能である。特
にその中でも、本発明の油性ゲル成型体は人体の軟組織
に近い物性を備えているので、褥瘡予防用材料、痛部の
痛み防止材料、医薬徐放材料に有用であり、その他保温
材、衝撃吸収材、クッション材などの各種応力分散材料
に有効に利用することができる。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内に二重結合を有する高分子量固形
    ゴムおよび低分子量液状ゴムからなるゴム成分と、該ゴ
    ム成分を溶解する油性成分と、ポリイソシアネートおよ
    び有機過酸化物とからなる液状組成物をポリイソシアネ
    ートと反応可能なフィルムの袋内に充填、ゲル化成型し
    てなる、ゲル化成型体と袋内面とが架橋結合されている
    ことを特徴とする油性ゲル成型体。
  2. 【請求項2】 フィルムがポリウレタンである請求項1
    記載の油性ゲル成型体。
  3. 【請求項3】 応力分散用マットである請求項1記載の
    油性ゲル成型体。
  4. 【請求項4】 褥瘡予防用マットである請求項3記載の
    油性ゲル成型体。
  5. 【請求項5】 分子内に二重結合を有する高分子量固形
    ゴムおよび低分子量液状ゴムからなるゴム成分を油性成
    分に溶解し、得られた溶液にポリイソシアネートおよび
    有機過酸化物を添加して液状組成物とし、該液状組成物
    をポリイソシアネートと反応可能なフィルムの袋内に充
    填したのち、加熱して該液状組成物をゲル化成型すると
    ともに、得られるゲル化成型体と袋内面とを架橋結合す
    ることを特徴とする油性ゲル成型体の製造方法。
  6. 【請求項6】 フィルムがポリウレタンである請求項5
    記載の油性ゲル成型体の製造方法。
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