JP4102507B2 - 低弾性率ゴム組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエチレン・プロピレン・ジエンゴムまたは/およびエチレン・プロピレンゴムをゴム成分とする低弾性率ゴム組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は前記ゴム成分と特定量の軟化剤、気泡を含有し、通信ケーブルクロージャー等のシール用として好適な低弾性率ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン・プロピレン・ジエンゴム(以下、EPDMと略称することがある)、エチレン・プロピレンゴム(以下、EPMと略称することがある)を利用するゴム組成物には、例えば次の特許公報記載のものが知られている。
・特開昭51−122170号公報: ゴムまたはプラスチックまたはこれらの混合物において、エチレン・プロピレン系共重合体を少なくとも15重量物以上含むものを主成分とし、これに発泡剤を添加した組成物を成型加熱発泡せしめたシーリング剤が開示されている。
【0003】
・特開昭63−35634号公報:特定のエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体を必須成分とするスポンジゴム組成物が開示されている。
・特開平1−320139号公報:ゴムに対して吸水樹脂と親水性プレポリマーを特定量配合する、ゴム発泡体の製造方法が開示されている。
・特開平6−65410号公報: オレフィン系熱可塑性エラストマー、吸水性樹脂、無機フィラー、軟化剤を特定量含有し、発泡させる吸水性樹脂発泡体を開示しているが、ここにおける軟化剤は可塑性エラストマー100重量部に対し2〜20重量部程度しか添加されていない。
【0004】
・特開平7−145258号公報:エチレン−α・オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム、カルボン酸またはカルボン酸無水物を含有するエチレン系共重合体、周期律表第II族または第III族の金属元素の水酸化物、加硫剤、発泡剤をを含有するスポンジゴム組成物に関する発明が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、EPDMあるいはEPMゴム組成物は種々の用途に向けて成分の異なるいくつかのものが知られているが、当然のことながらその用途によって要求される特性も異なる。
例えば、通信ケーブルクロージャーの分野において、EPDMゴム組成物をシール用として使用しようとするとき、広い温度範囲、とりわけ−30℃〜0℃の低温領域でも圧縮永久歪が小さく柔軟性に優れていることが要求される。ここでいうクロージャーとは、電線や光ファイバーの分岐・接続のための容器を意味する。
【0006】
しかしながら、これまでに知られたEPDM、EPM組成物を低温領域における前記シール用に供することは、特性面から困難である。例えば、従来の組成物では、−20℃での圧縮永久歪が90%を越え、また室温と−20℃では硬度の変化も非常に大きいことから、−30℃ 〜 −20℃のような低温下におけるシール性が悪化し、漏れが発生する恐れがある。また硬度が上昇することによって、シールに必要な圧縮が十分に行えないという問題がある。さらに、柔軟性が不十分であって圧縮を行うことが困難であったり、粘着性が不足するためにケーブルと密着し難いという組成物が殆どである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、ゴム組成物を改良すべく種々研究した結果、EPDMまたは/およびEPMに比較的多量の軟化剤を配合し、かつ気泡体積率を特定の範囲に調整することにより、低温下でも永久圧縮歪が小さく柔軟性に優れたゴム組成物が得られることを見出し、さらに検討して本発明を完成したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、
1)ゴム成分がエチレン・プロピレン・ジエンゴムまたは/およびエチレン・プロピレンゴムであり、該ゴム成分100重量部と軟化剤200重量部以上とを含有し、かつ気泡を可撓性材料からなる壁をもつ小球である独立気泡として体積分率で20〜70%含むことを特徴とする低弾性率ゴム組成物、および
2)前記エチレン・プロピレン・ジエンゴムの性状が、(a)100℃におけるムーニー粘度が90〜130である、(b)ジエンがエチリデンノルボネンである、(c)ヨウ素価が20以下である、(d)エチレンとプロピレンの合計量中のエチレン量が55%以下である、ことを特徴とする上記1)項に記載の低弾性率ゴム組成物、
である。
【0009】
本発明のゴム組成物は、低弾性率を示す。例えば、JIS A硬度が10以下であり、1/1コーン針入度で表す硬度は常温で50以上である。この組成物は、低温から高温領域に亘って柔軟性を示し、かつ圧縮永久歪が小さいとういう特性を有する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のゴム組成物において、EPDMまたは/およびEPMが使用されるが、これら自体は公知のものを使用できる。これらゴム成分は、耐候性、耐老化性、加硫速度あるいは配合の自由度の観点からみて、特にクロージャー用のゴム組成物の調製に使用できる。これらにおいて、耐候性や耐老化性の面からみると、EPRの方が二重結合を有していないことから好ましく、一方加硫する場合は二重結合を有しているEPDMの方が適している。また、EPDMは、多量の充填剤や軟化剤を配合できるため、硬度の比較的高いものから低いものまで自由に設計できるという長所がある。
【0011】
EPDMとしては、次の性状を有するものが好ましく使用できる。
ここでいうEPDMとは、エチレン、プロピレンおよびジエンの3成分からなるが、エチレンとプロピレンの合計量を100としたときに、エチレンの比率が高いものはゴムとしての強度が高くなるという長所を有するが、低温では結晶化するという欠点がある。通常、エチレン比率が50〜75%程度のEPDMが人手可能であるが、本発明ではこれらの中から55%以下のもの、とりわけ50%付近のものが好ましく選択される。エチレン比率が、55%以下であれば−20℃下においても圧縮永久歪が、エチレン比率70%程度のものに比べて、格段に向上する。
【0012】
EPDMのムーニー粘度は、その分子量の指標になり、分子量が高いほど粘度は大きく、逆に分子量が低くなれば粘度も低くなる。本発明においては、100℃におけるムーニー粘度が90〜130、好ましくは100〜120のEPDMが使用される。EPDMの分子量が高いとき、強度か高くなるというメリットがある反面、軟化剤を多量に充填するという本発明の目的達成が困難になり、かつ加硫後のゴムの粘着性か不足してくる。ムーニー粘度が130を越えるような高分子量ものは,上記の理由で好ましくない。一方、ムーニー粘度が90未満のものは軟化剤を多量に充填することができ、粘着性も良いが、加硫物の強度が著しく低くなって使用に耐えないものとなる。ムーニー粘度が100〜120程度のEPDMがより好ましく使用される。
【0013】
EPDMのヨウ素価は、本ゴム中のジエン成分量の指標となり、ヨウ素価が大きいときジエン成分が多いことを表す。ヨウ素価が大きくなると反応性が高くなり、加硫が容易になるが、ジエン成分に起因する耐老化性や耐候性の悪化も引き起こし易くなる。本発明においては、耐老化性、耐候性を考慮して、ヨウ素価は20以下であるEPDMが好ましく選択される。また、EPDMを構成するジエンとしてはエチリデンノルボーネン(ENB)とジシクロペンタジエン(DCPD)が一般に用いられるが、ヨウ素価を20以下とするためには、加硫速度の速いENBの方が望ましい。ただし、ENBと同等以上の加硫速度を持つジエン成分であれば、ENBに限定されるものではない。
【0014】
一方、EPMとしては、前記EPDMにおけると同様のムーニー粘度およびエチレン量を有するものが好ましく使用される。
本発明ゴム組成物の特徴の一つは、ゴム成分100重量部に対して、軟化剤を200重量部以上と、多量に含有させることにある。軟化剤の含有量は、好ましくは300〜700重量部であり、さらに好ましくは300〜500重量部である。このような多量の軟化剤を含有させることによって、広い温度範囲、特に低温で圧縮永久歪等の特性に優れ、自己粘着性を有するシール用ゴム組成物が得られる。
【0015】
軟化剤としては、流動点がJIS K2269nの測定基準で−40℃以下であり、SP(Solubility Parameter)値が6〜8のものが好ましい。このように流動点が−40℃以下のものを選択することにより、本ゴム組成物が低温領域においても柔軟性を維持しかつゴムとしての容易な変形能力を保つことができる。一般的に、ゴムに軟化剤を添加する時には親和性の高いもの同士を選択するが、本発明においてはSP値が6〜8の軟化剤を選択する。その結果、例えばEPDMのSP値が7〜8程度であることからその100重量部に対し、300〜700重量部という多量の軟化剤を混和することが可能となる。
【0016】
上記のような流動点およびSP値を持つ軟化剤であれば、本発明において特に限定することなく用いられるが、とりわけパラフィン系プロセスオイルやエチレン・プロピレンの低分子量成分からなるオイル等の中より好ましく選択される。軟化剤の粘度は特に限定されないが、動粘度の高いものほど、例えば40℃における動粘度が50以上のものは、得られる加硫ゴムの粘着性か高くなる傾向があことからより好ましく用いられる。
【0017】
軟化剤の具体例としては、商品名;ダイアナプロセスオイルPX−32あるいはPX−90(出光興産)、スタノールLP40(エッソ石油)、ルーカントHC−10(三井石油化学)などが例示される。
本発明におけるゴム組成物のもう一つの特徴は、気泡を前記のように体積分率で20〜70%含有させることにある。これによって、ゴム組成物がスポンジ構造となり、自己粘着性や低温での圧縮永久歪を過大にせず、かつ圧縮・高温下でも優れた形状回復性を付与できる。この場合、気泡を独立して存在させるとき,クロージャー用シール材としてが好ましいものとなる。すなわち、スポンジ構造では、気泡が独立した状態のものと(独立気泡)と相互に連なった状態のもの(連続気泡)があるが、連続気泡のみでは内部の気密を保つことができないために、クロージャー用シール材としては不適当である。独立気泡とするためには発泡剤を入れて加硫時に発泡させる方法と気体を内在させた可撓性の壁を持つ小球を配合する方法がある。発泡剤を入れて加硫時に反応・発泡させる方法では、ムーニー粘度と加硫速度、反応速度のバランスがとれていることが必要であり、条件設定に手間を要する。また、条件設定がうまくいかないときは、独立気泡ではなく連続気泡となることもあるので注意を要する。
【0018】
一方、気体(例えば、イソペンタン、イソブタン、石油エーテルなど)を内在させた小球(マイクロバルーン)をゴム組成物中に分散させると、前述したような問題は生じない。ところが、従来、小球を通常の硬さを有するゴム組成物に配合して混練すると可撓性の壁が壊れてしまうという問題が見られる。本発明においては、軟化剤を前述のように多量に含有せしめており、ゴム組成物がJIS A硬度で10以下の極めて柔軟なものとしているために、混練機中で攪拌してもマイクロバルーンが壊れることはない。さらに、気泡を供給するための小球としては加熱すると体積が膨張してバルーンになるタイプのものもあり、このタイプは混練中に添加して加硫時に発泡させる。本発明においてはこのタイプのものも使用できる。
【0019】
発泡剤としては、無機発泡剤、ニトロソ化合物、アゾ化合物、スルホニル・ヒドラジド等が用いられ、必要に応じて発泡助剤を使用する。無機発泡剤としては、重曹、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等が挙げられる。ニトロソ化合物としては、N,N’−ジニトロソ・ペンタメチレン・テトラミンを、またアゾ化合物としては、アゾジカルボンアミド、アゾビス・イソブチロニトリル、バリウム・アゾジカルボキシレート等を使用できる。また、スルホニル・ヒドラジドとしてはベンゼン・スルホニル・ヒドラジド、p、p’−オキシビス(ベンゼンスルホニル・ヒドラジド)、トルエン・スルホニル・ヒドラジドおよびこれらの誘導体等が用いられる。発泡助剤としては、サリチル酸、尿素およびこれらの誘導体等が用いられる。
【0020】
気体を内在させた可撓性壁を有する小球としては、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体を材料としたものが挙げられる。この小球は、混練中に大きな剪断力がかかると壊れてしまうが、本発明のように軟化剤を多量に含ませることによって、破壊を避けることができる。加硫中に膨張させるタイプでは,塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0021】
気泡は、膨張した状態で計算して、ゴム組成物中に体積分率20〜70%、好ましくは25〜65%、より好ましくは30〜55%となるように含有せしめることにより、長期間圧縮しても回復性に優れたシール材として使用可能な特性を付与できる。気泡の体積率が20%未満であれば、回復性が劣り、70%を越えると小球を覆いきれないために、強度低くなり、小球が端部から除去される恐れがある。
【0022】
本発明のゴム組成物は、後述するように、一般に加硫が施されるので、その時には高温に曝される。可撓性壁を有する小球の耐熱性が加硫温度以下で、ゴムが固まるまでに壁が溶融してしまうと、気泡が破壊してしまう。そのために、可撓性壁はできるだけ高温に耐えられる材質で、かつゴムの加硫温度はできるだけ低く、短時間であることが望ましい。もっとも、配合したすべての気泡が残存する必要はなく、要は最終的に体積率が20%以上であればよい。また、たとえ可撓性壁が溶融してつぶれてもゴムが流れない程度に加硫が進んでおれば、気泡を内部にとどめることができるので、圧縮性を確保できる。
【0023】
本発明のゴム組成物は、圧縮永久歪をより小さくし柔軟性を高める目的等から、加硫化すること好ましい。この加硫化には硫黄もしくは含硫黄化合物を用いるのがよい。すなわち、過酸化物加硫によるとー般的に良好な圧縮永久歪が得られるが、これは高温領域においてであり、低温領域では逆に分子運動の柔軟な硫黄加硫の方が好ましく適用される。またプロピレン含量の比較的多いEPDMを使用する場合、過酸化物を使用するとゴムの劣化につながる恐れもある。
【0024】
加硫には、硫黄加硫、過酸化物加硫、もしくはこれらの併用加硫を採用できるが、具体的には加硫温度は低く短時間で済ませるように適宜に条件や組み合わせを選択すればよい。ここで過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイト、1,1−ビス−t−ブチルペロキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、あるいは1−ビス(t−ブチルペロキシ)シクロドデカン等の比較的低い1分半減期を持つ過酸化物を用いると、気泡が壊れにくいので有利である。その他の過酸化物の場合は、架橋助剤を使用することによって架橋剤を無使用に比べてより低温で架橋することができる。
【0025】
本発明のゴム組成物をシール材として使用する場合、気泡が一様に分散していてもよいし、気泡が分布を持っていてもよい。例えば、厚み方向に上部と下部に気泡が多く、中心部には気泡が少ないかあるいは存在しない構造でもよい。またこれらの部分は、加硫成形時より一体になっていてもよいし、別々に加硫後接着により一体化されていてもよい。
【0026】
本発明のゴム組成物における軟化剤と気泡の具体的な含有量は、用途がどのようなものであるかを考慮して、必要な特性が得られるように適宜決定される。例えば、通信ケーブルクロージャーとして使用するとき、低温領域から高温領域に亘って、すなわち通常−30℃〜60℃の範囲において、柔軟性を有するとともに圧縮永久歪が小さいことが要求される。この場合、常温での硬度は1/1コーンの針入度で表わすとき50以上であることが望まれるが、好ましくは65以上、さらに好ましくは80以上である。硬度が50未満であるときは硬すぎてシール性が劣ってくる。針入度の上限は、100以上になると粘着性が大きくなり過ぎることと、軟化剤の添加量が極めて増えるために好ましくない。軟化剤の具体的な量は、主としてこのように選択されるが、それ以外にも他の添加物等により異なってくることはいうまでもない。
【0027】
本発明のゴム組成物には、必要に応じて補強剤、充填剤、灘燃剤、粘着付与剤、加硫活性剤、顔料、加工助剤、加硫促進剤、紫外線安定剤あるいは老化防止剤等を添加することができる。
補強剤としては、例えばシリカ、カーボンブラック等を0〜300重量部添加することができる。充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、クレイ、炭酸マグネシウム等を0〜300重韓部が使用できる。灘燃剤としては、例えば水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン等を0〜100重量部用いることができる。
【0028】
粘着付与剤としては、例えばクマロンーインデン樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂等や、液状ポリブテンあるいは液状ポリイソプレン等の低分子量成分を0〜200重量部用いることができる。なお、液状ポリブテンや液状ポリイソプレン等の低分子量成分はSP値が6〜8で、流動点が−40℃以下のものは、本発明における軟化剤として使用できる。
【0029】
加硫活性剤としては、亜鉛華、ステアリン酸等を用いることができ、合計で3〜200重量部使用できる。過酸化物加硫の場合にはそれに適した架橋助剤を用いるのがよい。例えば、多官能性モノマー、多官能性ポリマー、硫黄化合物等であり、具体的にはトリアリルイソシアヌレート、キノンジオキシム等が使用可能である。
【0030】
顔料としては、有機系、無機系のものをいずれも使用でき、例えばリトポン、酸化チタン、カーボンブラック等があげられる。加工助剤としては、例えばステアリン酸、脂肪酸エステル等を0〜50重量部使用可能である。加硫促進剤としては例えばチアゾール系、チウラム系、ジチオカーバメート系あるいはスルフェンアミド系等ものを2〜20重量部程度において使用できる。
【0031】
本発明のゴム組成物は、前記ゴム成分と前記軟化剤および気泡供給剤を配合し、混練することによって製造される。ここで、軟化剤は前記のように200重量部以上、好ましくは300〜700重量部添加されるが、この量を一度にゴム成分に投人すると、他の添加剤がゴム中で良好に分散しなくなる。また軟化剤が均一にゴム成分中に混ざり難く、完全混合までに極めて長時間を要するという問題がある。これを避けるために、ゴム成分にはまず軟化剤以外の他の添加剤および軟化剤0〜100重量部程度を加えて混練しておくことにより、軟化剤以外の添加剤を十分に分散させることができる。この後、残りの軟化剤をー度にもしくは数回に分割して投入すると、作業性よく、全体が均一なゴム組成物が得られる。混練は、通常のニーダーが使用可能である。
【0032】
【実施例】
以下に、比較例とともに実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。
なお、以下において調製されたゴム組成物の物性は次の方法により測定した。[試験方法]
圧縮永久歪率: 試験材料について、直径80mmで中心に直径22mmの孔を2個有するゴムを25%圧縮し,100℃下、10日間保持した。その後、圧縮から開放し、室温下放置して30分後に歪み量を測定し、初期の歪み(100とする)に対する百分率を求め、圧縮永久歪率とした。
【0033】
針入度: JISK2220のちょう度測定法に従い、1/1サイズの円錐Aを使用して測定した。測定温度は23℃とした。
実施例1
EPDMとして住友化学工業製のエスプレン532(エチレンとプロピレンの合計量100に対するエチレンの含量;50重量%、100℃におけるムーニー粘度;110、ヨウ素価;12g/100g、ジエン成分;ENB)100重量部と表1に示す添加剤をニーダーで混練した。
【0034】
【表1】
Figure 0004102507
【0035】
混練後、EPDMは砕けて粉状を呈した。この混練物に、軟化剤としてパラフィン系プロセスオイル(商品名;ダイアナPX−90、出光興産製, 流動点;−40℃、動粘度;40℃において110cSt, SP値;7.1)をまず100重量部投入した。この段階で混練中に十分にトルクかかかるまで混練した。ここで得られたゴム組成物中の各成分の分散性は非常に良好であった。このゴム組成物を混練しながら、さらに残りの軟化剤を3回に分けて投入した。
【0036】
次に、塩化ビニリデン、アクリルニトリル等の共重合体で殻を構成し、その内部に気体を含んだ小球である、エクスパンセル社の091DE−80(真比重0.03、平均粒径50〜80μm)を体積率で43%となるように添加した。
かくして得られたゴム組成物を、金型中で160℃で30分間加硫して、所定の形状に成形し、試験に供した。その結果を後記の表2に示す。
【0037】
実施例2
EPDMとして住友化学工業製のエスプレン532(エチレンとプロピレンの合計量100に対するエチレンの含量;50重量%、100℃におけるムーニー粘度;110、ヨウ素価;12g/100g、ジエン成分;ENB)100重量部と前記の表1に示す添加剤をニーダーで混練した。
【0038】
混練後、EPDMは砕けて粉状を呈した。この混練物に、軟化剤としてパラフィン系プロセスオイル(商品名;ダイアナPX−90、出光興産製, 流動点;−40℃、動粘度;40℃において110cSt, SP値;7.1)を100重量部分割して投入した。
次いで、上記の混練物に、塩化ビニリデン、アクリルニトリル等の共重合体で殻を構成し、その内部に気体を含んだ小球である、エクスパンセル社の091DU−80(膨張後の真比重0.04、平均粒径40〜60μm)を膨張後の体積率が56%となるように添加した。この段階で混練中に十分にトルクかかかるまで混練した。ここで得られたゴム組成物中の各成分の分散性は非常に良好であった。このゴム組成物を混練しながら、さらに残りの軟化剤を3回に分けて投入した。
【0039】
かくして得られたゴム組成物を、金型中で170℃で30分間加硫して、所定の形状に成形し、試験に供した。その結果を後記の表2に示す。
比較例1
前記実施例1において、小球を添加しなかったこと以外は同様に処理して、ゴム組成物を調製した。その品質試験の結果を後記の表2に示す。
【0040】
比較例2
前記実施例2において、小球の添加量を体積分率で10%としたこと以外は同様に処理して、ゴム組成物を調製した。その品質試験の結果を後記の表2に示す。
比較例3
前記実施例2において、小球の添加量を体積分率で80%としたこと以外は同様に処理して、ゴム組成物を調製した。しかし、その組成物には小球がうまく保持されなかった。
【0041】
【表2】
Figure 0004102507
【0042】
表2の針入度および圧縮永久歪の測定結果から、実施例1および2で得られたゴム組成物は、比較例1および2のものに比べて、圧縮永久歪率が小さいこと、すなわち圧縮しても回復力に優れており、柔軟性に富む特性を有することがわかる。
【0043】
【発明の効果】
本発明の低弾性率のゴム組成物は、柔軟性がありかつ低温でも圧縮永久歪が小さい上に、高温で長期間放置後も、圧縮後の回復が早く、高いシール効果を有する。従って、通信ケーブルクロージャー等のシール材料として好適である。

Claims (2)

  1. ゴム成分がエチレン・プロピレン・ジエンゴムまたは/およびエチレン・プロピレンゴムであり、該ゴム成分100重量部と軟化剤200重量部以上とを含有し、かつ気泡を可撓性材料からなる壁をもつ小球である独立気泡として体積分率で20〜70%含むことを特徴とする低弾性率ゴム組成物。
  2. 前記エチレン・プロピレン・ジエンゴムの性状が、(a)100℃におけるムーニー粘度が90〜130である、(b)ジエンがエチリデンノルボネンである、(c)ヨウ素価が20以下である、(d)エチレンとプロピレンの合計量中のエチレン量が55%以下である、ことを特徴とする請求項に記載の低弾性率ゴム組成物。
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