JP3510679B2 - カラー陰極線管 - Google Patents

カラー陰極線管

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JP3510679B2 JP20035894A JP20035894A JP3510679B2 JP 3510679 B2 JP3510679 B2 JP 3510679B2 JP 20035894 A JP20035894 A JP 20035894A JP 20035894 A JP20035894 A JP 20035894A JP 3510679 B2 JP3510679 B2 JP 3510679B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、カラー受像管、特
に、シャドウマスクを備えたカラー受像管に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、シャドウマスク型カラー受像管
は、実質的に矩形状のフェースプレートと、これにつな
がるスカート部と、フェースプレートに対向配置される
円筒状のネックと、スカート部とネックとを連接するフ
ァンネルとから構成されるガラス製外囲器を有してい
る。そして、フェースプレートの内面には赤、緑及び青
に発光する蛍光体が規則的に配列された蛍光面が形成さ
れている。一方、ネック内には赤、緑及び青に対応する
複数の電子ビームを射出する電子銃が配設されている。
【0003】また、蛍光面と所定の間隔で近接対向する
位置には、規則的に配列された多数の電子ビーム開孔を
有するシャドウマスクが配設されている。このシャドウ
マスクは、その周辺をマスクフレームに接合され、マス
クホルダーを介してスカート部のスタッドピンに係り止
めされている。シャドウマスクの電子ビーム開孔の断面
形状は、蛍光面側の表面開孔(以降、大孔と称す)の面
積が電子銃側の表面開孔(以降、小孔と称す)よりも大
きくなるように形成されている。それにより、シャドウ
マスクの周辺部において、電子ビームが電子ビーム開孔
に対して斜めに入射する場合でも、一定の電子ビーム量
を確保している。
【0004】このような構成のカラー受像管において、
シャドウマスクは、電子ビーム開孔と幾何学的に1対1
の関係にある各色蛍光体のみに正しく射突するように電
子ビームを通過させる機能を有しており、色選別電極と
も呼ばれる重要な構成要素である。このシャドウマスク
の電子ビーム開孔には円形状のものと矩形状のものがあ
る。なお、文字や図形を高精細に表示するディスプレイ
管用としては円形状のものが、テレビジョン用として用
いられる民生用管としては矩形状のものが用いられるの
が普通である。
【0005】例えば、矩形状の電子ビーム開孔は、その
長辺が実質的に矩形状のフェースプレートの短辺(垂直
軸)と実質的に平行に延びるように形成され、垂直方向
に並んだ複数の開孔を有する垂直配列を水平方向に多数
列並べて形成されている。各垂直配列の電子ビーム開孔
の隣合う短辺は、フェースプレートの長辺(水平軸)と
実質的に平行なブリッジ部を介して配列されている。
【0006】また、シャドウマスクの周辺部にいくほど
電子ビームの入射角度、即ちマスク法線もしくは開孔中
心軸と電子ビーム軌道とがなす角度、が大きくなり、入
射した電子ビームの一部が開孔の孔縁または孔壁に射突
する率が高くなる。その結果、蛍光面における電子ビー
ムスポットの形状が歪むという問題を生じ、輝度やホワ
イトユニホミティを低下させる。
【0007】近年、人間工学的な見地から、外光反射が
少なく歪みの少ない画像が求められる。このような要求
からパネルのフラット化は必須のものとなっている。こ
れに伴って、蛍光面と相対的な関係を有するシャドウマ
スクもフラット化したものが必要となる。このようにフ
ラット化されたシャドウマスクでは、電子ビームの入射
角度は必然的に大きくなり、特にマスク周辺部における
ビーム入射角度の増加が著しくなる。この結果、上記ビ
ームスポット形状の歪も著しくなる。
【0008】また、ビームスポット歪の問題は、シャド
ウマスク材の板厚が厚いほど、また高解像度を得るため
に電子ビーム開孔のピッチが小さくしたものほど生じ易
くなる。
【0009】このビーム欠けを防止する手段として、特
公昭47−7670号公報、特開昭50−142160
号公報、特開昭57−57449公報においては、シャ
ドウマスクの電子銃側の小孔の開孔中心に対して蛍光面
側の大孔の開孔中心を電子ビームが抜ける方向にずらし
た、いわゆるオフセンターマスクが提案されている。こ
のようなオフセンターマスクとすることにより、入射す
る電子ビームが開孔側壁や大孔の開孔縁に射突してビー
ムスポットの欠けを生ずる恐れを回避することができ
る。
【0010】しかしながら、オフセンターマスクの場
合、電子ビーム開孔のビーム通過量、即ち通過電子ビー
ムの幅は、小孔の開口縁の内、開孔中心に対してマスク
中心側に位置した端縁と、大孔と小孔との境界部の内、
開孔中心に対してマスク中心からの放射方向外側に位置
した端縁との位置によって決定される。この場合、電子
ビーム開孔に入射した電子ビームの一部は、小孔を規定
している側面の内、開孔中心に対してマスク中心からの
放射方向外側に位置した部分によって遮蔽され、実際の
通過電子ビームの幅は小孔の開孔径よりも小さくなる。
フラットスクエア管の場合はこの程度が大きくなってし
まう。また、境界部の位置、即ちシャドウマスクの小孔
の表面開口から境界部までの距離が変動すると、通過電
子ビームの幅も変動することになり、蛍光面での電子ビ
ームのランディング余裕度の少ないカラー受像管ではホ
ワイトユニフォミティの低下を引き起こす。
【0011】さらに、フラット化されたシャドウマスク
においては、小孔を規定している側面の内、開孔中心に
対してマスク中心からの放射方向外側に位置した部分に
電子ビームが射突して反射する割合が増加する。これ
は、通常、シャドウマスクの電子ビーム開孔はエッチン
グにより穿設されるため、小孔側面の内、電子銃側端部
が小孔の開孔中心軸となす角は、小孔側面の内、境界部
側端部が小孔の開孔中心軸となす角より小さくなる。そ
して、小孔と大孔とのオフセット量を大きくとると、電
子ビームが抜ける側の境界部が電子銃側に近づくことに
なり、電子ビームが射突する小孔側面が開孔中心線とな
す角が小さくなる。その結果、蛍光面中心側に向かう反
射電子ビームが増加するものと考えられる。このような
反射電子ビームは何等制御されていないので、所定の蛍
光体以外の蛍光体に射突して蛍光体を発光させ、画面全
体の黒レベルが低下してコントラストを大幅に低下させ
る。その結果、昼光の下でテレビ画面を視認した場合と
同じ状況となり、カラーテレビとしての画像品位は低下
する。
【0012】このように、電子ビームが電子ビーム開孔
の開孔側壁や大孔端に射突してビームスポット歪が発生
しないよう、大孔と小孔の開孔中心を互いに必要量ずら
したとしても、シャドウマスクがより平坦で電子ビーム
の入射角度が大きなカラー受像管ではコントラスト低下
の原因となる不所望の反射電子ビームの発生を避けるこ
とができない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、以上の問
題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子ビー
ムスポット歪を発生させることなく所望の電子ビームの
み電子ビーム開孔を通過させるとともに、開孔側壁に電
子ビームが射突して反射しても反射電子ビームが不必要
な蛍光体を発光させることのないカラー受像管を提供す
ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明に係るカラー陰極線管は、内面に蛍光体ス
クリーンが形成されたフェースプレートと、上記蛍光体
スクリーンに対向配置され、蛍光体スクリーンに向けて
電子ビームを出射する電子銃と、上記フェースプレート
と電子銃との間に蛍光体スクリーンと対向して配置され
たシャドウマスクとを備えている。このシャドウマスク
は、規則的に配列され上記電子ビームが通過する多数の
電子ビーム開孔を有し、各電子ビーム開孔は、シャドウ
マスクの上記蛍光面側の表面に開口した大孔と、シャド
ウマスクの上記電子銃側の表面に開口しているとともに
上記大孔に連通した小孔とを有している。上記シャドウ
マスクの周辺部に位置した各電子ビーム開口の小孔は、
小孔の壁面の内、シャドウマスクの中心側に位置する部
分が上記小孔の中心軸となす角度に比較して、小孔の壁
面の内、シャドウマスク中心に対して放射方向外側に位
置する部分が上記小孔の中心軸となす角度の方が大きく
なるように形成されている。
【0015】また、この発明に係る他のカラー陰極線管
は、内面に蛍光体スクリーンが形成されたフェースプレ
ートと、上記蛍光体スクリーンに対向配置され、蛍光体
スクリーンに向けて電子ビームを出射する電子銃と、上
記フェースプレートと電子銃との間に蛍光体スクリーン
と対向して配置されたシャドウマスクとを備えている。
このシャドウマスクは、規則的に配列され上記電子ビー
ムが通過する多数の電子ビーム開孔を有し、各電子ビー
ム開孔は、シャドウマスクの上記蛍光面側の表面に開口
した大孔と、シャドウマスクの上記電子銃側の表面に開
口しているとともに上記大孔に連通した小孔と、大孔と
小孔との境界部により規定された最小径部とを有してい
る。上記シャドウマスクの周辺部に位置した各電子ビー
ム開孔の小孔は、小孔の壁面の内、少なくともシャドウ
マスク中心に対して放射方向外側に位置する部分におい
て、シャドウマスクの厚さ方向中間部から小孔の開口縁
まで延びる壁面部分が小孔の中心軸となす角度は上記最
小径部近傍の壁面部分が小孔中心軸となす角度より大き
く形成されている。
【0016】この発明に係る更に他のカラー陰極線管
は、内面に蛍光体スクリーンが形成されたフェースプレ
ートと、上記蛍光体スクリーンに対向配置され、蛍光体
スクリーンに向けて電子ビームを出射する電子銃と、上
記フェースプレートと電子銃との間に蛍光体スクリーン
と対向して配置されたシャドウマスクとを備えている。
このシャドウマスクは、規則的に配列され上記電子ビー
ムが通過する多数の電子ビーム開孔を有し、各電子ビー
ム開孔は、シャドウマスクの上記蛍光面側の表面に開口
した大孔と、シャドウマスクの上記電子銃側の表面に開
口しているとともに上記大孔に連通した小孔と、大孔と
小孔との境界部により規定された最小径部とを有してい
る。上記シャドウマスクの周辺部に位置した各電子ビー
ム開孔において、小孔の壁面の内、少なくともシャドウ
マスク中心に対して放射方向外側に位置する部分は、上
記放射方向を膨出方向とした膨出部を有している。
【0017】
【0018】
【作用】この発明によれば、従来は小孔の開孔中心軸に
対して略対称にエッチングされていた開孔壁を、少なく
ともシャドウマスク周辺部の小孔において、電子ビーム
が抜ける側となるマスク周辺側壁面が開孔中心軸となす
角をマスク中心側壁面が開孔中心軸となす角よりも大き
くしている。つまり、少なくとも周辺部における小孔の
壁面の開孔中心軸に対する傾斜が、マスク中心側壁面に
比しマスク周辺側壁面が大となるようにすれば、マスク
中心から放射方向外側(電子ビームが抜ける側)の小孔
の壁面に電子ビームが射突しても蛍光面側に反射する度
合いを減少させることができる。
【0019】なお、開孔断面の電子ビームが通過する側
を考えたとき、大孔の蛍光面側端部と大小孔が合致する
境界部を結ぶ直線が開孔中心軸となす角を、電子ビーム
軌道が開孔中心軸となす角よりも大きくすることで、大
孔壁に電子ビームが射突して発生するビームスポット歪
を抑制することができる。
【0020】このとき、電子銃側の小孔の壁面全体の傾
斜を変化させようとすると、従来の壁面傾斜を制御して
いないものに比べて開孔径まで変化させるおそれがあ
る。大小孔が合致する部分近傍は最小径部として電子ビ
ーム径を決定する部分であるので、この最小径部近傍の
壁面傾斜を変化させるようなことはせず、最小径部を決
定する部分以外の傾斜を調整してもよい。このような場
合、シャドウマスクの少なくとも周辺部における小孔の
板厚方向中間部の壁面が開孔中心軸となす角度が、最小
径部近傍の壁面が開孔中心軸となす角度より大きくなる
ようにすればよい。
【0021】また、このようなシャドウマスクを製造す
るには、レジスト膜をパターニングするための焼付けパ
ターンを工夫すればよい。即ち、小孔の焼付けパターン
を、上記小孔を形成する位置に対応して設けられた不透
光な多数のドットパターンを含む第1のパターンと、少
なくともマスク材の周辺部に位置した各ドットパターン
の外側に所定のギャップをもって設けられた独立のサブ
パターンを含む第2のパターンとから構成すればよい。
このような焼付けパターンとすることで、上記第1のパ
ターンは主として小孔のマスク中心側壁面と最小径部を
形成するためのパターンとして機能し、上記第2のパタ
ーンはマスク周辺側壁面の傾斜を調整するためのパター
ンとして機能する。この第1と第2のパターンの間隔、
第2のパターンの寸法により所定の壁面傾斜にすること
ができる。
【0022】
【実施例】以下図面を参照しながら、本発明の実施例に
ついて詳細に説明する。図1に示すように、この実施例
に係るカラー陰極線管は、ガラス製の外囲器22を備え、
この外囲器22は、実質的に矩形状のフェースプレート20
と、これにつながるスカート部21と、スカート部21に一
体に接合された漏斗状のファンネル23と、から構成され
ている。フェースプレート20の内面には赤、緑及び青に
発光する蛍光体が規則的に配列された蛍光体スクリーン
24が形成されている。一方、ファンネル23のネック30内
には、赤、緑及び青に対応する3本の電子ビーム32R 、
32G 、32B を射出する電子銃32が配設されている。この
電子銃32は陰極線管の管軸Z上に配設されている。
【0023】また、外囲器22内において、蛍光体スクリ
ーン24と所定の間隔で近接対向する位置には、規則的に
配列された多数の電子ビーム開孔12を有するほぼ矩形状
のシャドウマスク26が配設されている。シャドウマスク
26は、その周縁がマスクフレーム27に接合され、マスク
フレーム27から延出したマスクホルダー28をスカート部
21に固定されたスタッドピン29に嵌合することにより、
フェースプレート20の内側に設置されている。図2に示
すように、シャドウマスク26は、正面からみた場合に矩
形状をなし、管軸Zが通る中心Oと、中心を通る鉛直軸
Yおよび水平軸Xを有してる。
【0024】そして、電子銃32から放出される3電子ビ
ーム32R 、32G 、32B をファンネル23の外側に装着され
た偏向ヨーク34の発生する磁界により偏向し、電子ビー
ムをシャドウマスク26により選別して、蛍光体スクリー
ン24を水平、垂直走査することにより、フェースプレー
ト20にカラー画像が表示される。
【0025】図3および図4に示すように、シャドウマ
スク26は0.13mmの板厚の金属薄板で形成され、この
金属薄板に円形の電子ビーム開孔12が0.3mmの孔ピッ
チで規則的に形成されている。各電子ビーム開孔12は、
シャドウマスク26の電子銃32側の表面26aに開口した小
孔40と、シャドウマスクの蛍光体スクリーン24側の表面
26bに開口しているとともに小孔40に連通した大孔42と
を有してる。小孔40は開口径0.14mmを有するほぼ円
弧状の凹所で構成され、大孔42は、開口径0.28mmを
有するほぼ円弧状の凹所で構成され、これらの凹所の底
部で互いに連通している。そして、小孔40と大孔42との
境界部43により、電子ビーム開孔12の開孔径を決定する
電子ビーム開孔の最小径部が規定されている。
【0026】図4からよく分かるように、シャドウマス
ク26の中心部において、電子銃32から出射された電子ビ
ームはシャドウマスク表面に対してほぼ垂直に入射する
ため、各電子ビーム開孔12の小孔40および大孔42は互い
に同軸的に形成されている。これに対して、シャドウマ
スク26の周辺部において、電子ビームはシャドウマスク
表面に対して、および電子ビーム開孔12に対し、傾斜し
て入射する。そのため、周辺部においては、各電子ビー
ム開孔12の大孔42は小孔40に対して、シャドウマスク中
心Oの放射方向外側に偏心して形成されている。
【0027】つまり、各電子ビーム開孔12において、水
平方向に沿った境界部43と大孔42の開口縁との間の距離
を、小孔40の中心軸40cからシャドウマスク中心Oと反
対方向についてΔ1、小孔40の中心軸40cからシャドウ
マスク中心Oへ向かう方向についてΔ2、でそれぞれ示
した場合、シャドウマスクの中央近傍の電子ビーム開孔
ではΔ1はΔ2と同等であるのに対し、シャドウマスク
の周辺部の電子ビーム開孔ほどΔ1はΔ2よりも大きく
なるように構成されている。
【0028】また、各電子ビーム開孔12の小孔40の壁面
の傾斜状態は以下のようになっている。つまり、小孔40
の壁面は、小孔40の開口端縁と境界部43とを通って延び
る直線が、小孔の中心軸40cと、シャドウマスク表面26
aに対して蛍光体スクリーン24側で交差するように形成
されている。言い替えると、小孔40の壁面は、小孔の開
口縁から境界部43に向かって先細に形成されている。
【0029】さらに、シャドウマスク26の周辺部に位置
した電子ビーム開孔12については、小孔40の壁面の内、
中心軸40cに対してシャドウマスク中心Oと反対側(図
4において右側)に位置した部分(放射方向外側部分)
40aが小孔中心軸40cとなす角θ1は、小孔の壁面の
内、中心軸40cに対してシャドウマスク中心O側(図4
において左側)に位置した部分(マスク中心側部分)40
bが小孔中心軸40cとなす角θ2よりも大きくなってい
る。
【0030】従来のシャドウマスクによれば、小孔壁面
の傾斜状態は小孔中心軸に対して略対称になっているの
で、小孔壁面の放射方向外側部分に電子ビームが射突す
ると、ここで反射した電子ビームは蛍光体スクリーンの
中心方向に向かう傾向が高かった。これに対し、本実施
例では、小孔壁面の放射方向外側部分40aは、小孔中心
軸40cに対して、マスク中心側部分40bよりも大きな角
度傾斜して形成されているため、放射方向外側部分で反
射した電子ビームが蛍光体スクリーン側に向かう割合を
減少させることができる。その結果、反射電子ビームに
よる不必要な蛍光体の発光を防止し、コントラストの向
上を図ることができる。
【0031】また、電子銃側に開口した小孔40の壁面全
体の傾斜を緩やかにしようとすると電子ビーム開孔径自
体が変化するおそれがある。そのため開孔径を一定のレ
ベルに保ったままにすると小孔壁面の放射方向外側部分
が小孔中心軸となす角を大きくすることができず、反射
電子ビームが蛍光体スクリーン側へ向かうことになって
いた。これに対し、本実施例では小孔壁面の傾斜を部分
的に変化させているので、電子ビーム開孔径に与える影
響は小さく、開孔径を所定の値に維持することができ
る。
【0032】一方、本実施例によれば、小孔中心軸40c
に対する電子ビーム44の入射角度をβとし、中心軸40c
に対しての放射方向外側部分における境界部43と大孔42
の開口端縁とを結ぶ線46が中心軸40cとなす角度をγと
する時、大孔42は、角度γが角度βよりも大きくなるよ
うに形成されている。
【0033】そのため、シャドウマスク26周辺部におい
ても、電子ビーム開孔12に入射し開孔12の最小径部、つ
まり、境界部43で仕切られた電子ビームは、大孔42の開
口縁によって遮蔽されることなく蛍光体スクリーン24に
入射する。従って、蛍光体スクリーン上に形成されるビ
ームスポットに欠けが生じることを防止でき、最小径部
によって所望の形状に規定された歪のないビームスポッ
トを得ることができる。
【0034】なお、図4に示すように、小孔40から境界
部43までの距離tはシャドウマスク強度の点からは大き
な方がよい。しかし、エッチングによる電子ビーム開孔
穿設の点から見ると、距離tを大きくするためには小孔
40側からのシャドウマスクのエッチング量を増やす必要
がある。エッチング量を増やすと水平方向のエッチング
量も必然的に増加するため、その分だけ焼き付けパター
ン寸法を小さくしなければならず、これはパターンのむ
ら品位の低下をもたらす。
【0035】また、小孔40のエッチング量を増やすため
には小孔へ供給するエッチング液量を増加させる必要が
ある。通常、エッチング工程時、小孔側表面は水平に搬
送するマスク材の上側に位置するが、スプレーノズルを
揺動してマスク材上のエッチング液や液の当たりを均一
に保持していても、液量の増加に伴って不均一な液溜ま
りが生じエッチングむらを引き起こす。従って、距離t
の大きさは均一なエッチングが比較的容易に維持できる
観点からマスク板厚の1/3以下が好ましい。
【0036】なお、上記実施例においては、円形の電子
ビーム開孔について説明したが、図5ないし図7に示す
ような矩形状の電子ビーム開孔についても上記構成を適
用することができる。つまり、矩形状の電子ビーム開孔
の場合でも、シャドウマスク周縁部に位置した各電子ビ
ーム開孔12を、その小孔40の壁面の放射方向外側部分40
aが小孔中心軸40cとなす傾斜角度θ1が小孔壁面の中
心側部分が小孔中心軸40cとなす傾斜角度θ2よりも大
きくなるように形成することにより、上記実施例と同一
の効果を得ることができる。なお、図5ないし図7にお
いて、上記実施例と同一の構成部分には同一の符号を付
している。
【0037】上記実施例は小孔中心線40cに対してシャ
ドウマスク中心側とその反対の周辺側とで小孔壁面の傾
斜、即ち、小孔40の開孔端縁と境界部43とを結ぶ直線が
中心線となす角、を変えているが、境界部は最小径部と
して電子ビーム径を決定する部分であるので、この最小
径部近傍部分では小孔壁面の傾斜状態を従来のものと同
様にしておく方がよい。小孔の壁面の傾斜を変化させる
には小孔側焼付けパターンのドット径を変化させること
が考えられるが、このような場合は大小孔の合致位置が
変化して開孔径が安定しなくなるからである。
【0038】そこで、図8および図9に示すこの発明の
第2の実施例によれば、電子ビームを仕切る最小径部近
傍の小孔壁面状態はそのままに維持し、小孔側壁面のマ
スク板厚方向中間部から小孔開口までの傾斜を変化させ
ることにより、反射電子ビームが蛍光体スクリーンに到
達することを抑制している。
【0039】つまり、図8に示すように、シャドウマス
ク26の周辺部において、電子ビーム開孔12の小孔40の壁
面の内、放射方向外側部分40a、つまり、小孔中心軸40
cに対してシャドウマスク中心Oと反対側に位置した部
分を考えた場合、最小径部近傍の壁面部分が小孔中心軸
40cとなす角λ1よりも、最小径部近傍より小孔開口縁
の壁面部分40dが中心軸40cとなす角λ2を大きくし
ている。また、図9に示すように、シャドウマスクを電
子銃側から見た場合、シャドウマスクの少なくとも周辺
部に位置した電子ビーム開孔12の小孔40は、最小径部43
近傍の部分を除く小孔壁面の内、少なくともシャドウマ
スクの中心Oに対して放射方向外側となる部分、つま
り、電子ビームが電子ビーム開孔を抜ける方向の部分が
放射方向に膨出した形状となる。小孔40をこのような形
状とすることにより、最小径部43は電子ビーム径を決定
する部分として機能し、膨出部は小孔壁面の部分的な傾
斜を制御して反射電子ビームが蛍光体スクリーンに到達
するのを防止する。
【0040】従って、第2の実施例によれば、最小径部
43が形成されるマスク板厚方向の高さ、開孔径等を変化
させることなく、蛍光体スクリーンに到達する反射電子
ビームを低減することができる。なお、第2の実施例
は、矩形の電子ビーム開孔を有するシャドウマスクにも
適用することができる。
【0041】次に、第2の実施例に係るシャドウマスク
の製造方法について円形の電子ビーム開孔を例に図面を
参照して説明する。本実施例のシャドウマスクは、シャ
ドウマスクをエッチング加工する際のパターンを工夫す
ることで容易に形成することができるが、以下工程の流
れに沿って説明する。
【0042】まず、所望の板厚のほぼ矩形のマスク材を
アルカリ溶液などで脱脂洗浄後、マスク材の両面にレジ
スト膜を被着形成する。その後、レジスト膜を形成した
マスク材の両面に目的の大孔パターンおよび小孔パター
ンを各々密着配置し、紫外線光源にて開孔パターン潜像
をレジスト膜に形成する。開孔パターンの作成は、例え
ば米国ガーバー社製のフォトプロッターを用いて行う。
【0043】シャドウマスクに対する電子ビームの入射
角は、マスク中央部に比較して周辺部の方が大きくな
る。そのため、マスクの種類によっては、図4に示すよ
うに、必要な距離Δ1を取るため各大孔及び小孔の合わ
せ状態がマスク周辺部に行くに従ってずれていくものも
ある。また、開孔ピッチが小さくなるに従って大孔径も
小さくなり、取り得るΔ1も小さくなるため、大孔と小
孔との間のずらし量を大きく取らねばならないマスクも
ある。さらに、マスク板厚が厚くなるに従って必要とす
る距離Δ1が大きくなり、ずらし量を大きく取らねばな
らないマスクもある。これらのシャドウマスクを作成す
るために用いられるマスク開孔パターンは、パターンの
各位置に依って必要な大孔パターンに対する小孔パター
ン、または小孔パターンに対して大孔パターンを合わせ
た際、大孔、小孔同志の中心軸がずれた状態にある。当
然、マスクによってはマスク全面に亘り大小孔の合わせ
ずれを生じなくても良いものもある。
【0044】このような構造のマスク開孔を製造するた
めの焼き付け用パターンは、穿設しようとするマスクの
開孔形状に合わせて円形ドットパターンが多数配列して
なるものである。また、焼付け用パターンは、大孔、小
孔の別々に必要であり、その形態は大小孔で異なる。
【0045】図10(a)は大孔用のパターン、図10
(b)は小孔用のパターンをそれぞれ示している。図1
0(a)に示すように、大孔パターンは不透光のドット
パターン50で形成され、各ドットの径Dsは基本的にシ
ャドウマスク全面で同じである。但し、エッチングによ
って形成されたマスク開孔径が均一なマスク仕様にもか
かわらずエッチングによってグレードがつく場合や、グ
レードがつくマスク仕様の場合には、大孔パターンのド
ット径もマスクの場所に応じて適当に変化させる必要が
ある。
【0046】一方、図10(b)は、図2の第1象限に
おけるシャドウマスクの中心部および各軸端部に位置す
る小孔パターン状態を概略的に示している。周辺部にお
いて、小孔パターンは、径は大孔よりも小さいが、大孔
と同じ形態の不透光の多数の円形ドットパターン51を含
む第1のパターンと、電子ビームが抜ける側に膨出部を
形成するための独立した多数の円弧パターン52(サブパ
ターン)を含む第2のパターンとを有している。
【0047】ここで、小孔側の円形ドットパターン51の
各ドットの中心は大孔側のドットパターンの各ドットの
中心と略対応もしくは必要に応じてオフセットされてい
る。なお、シャドウマスクの中心から任意の位置までの
領域においては、マスク開孔への電子ビーム入射角が小
さく、小孔開孔端でのビームのけられを発生させないた
めに必要なΔ1の値は小さいので、小孔は大孔と同じ形
態の不透光の円形ドットパターン51のみで形成されてい
る。
【0048】次に、シャドウマスクの水平軸方向周辺部
に用いられる小孔パターンについて図11(a)ないし
図11(d)を参照して詳細に説明する。大孔のパター
ンドット径Dsが一定でも小孔ドットパターン51のドッ
ト径Dnを変化させた場合、エッチングによって得られ
るマスク開孔寸法d(図9参照)が変化する。従って、
小孔のパターンドット径Dnは基本的にマスク全面で均
一である。一方、図11(a)に示すように、小孔のド
ットパターン51とは独立して電子ビームが抜ける側、つ
まり、ドットパターン51の放射方向外方、に配置される
円弧パターン52は、マスク中心からある程度離れたとこ
ろから形成される。円弧パターン52の半径方向の幅a、
円周方向の長さb、パターンドット51とのギャップgの
各寸法に関しては、シャドウマスクの位置に応じて、円
弧パターン42が形成され始めた箇所から放射状に最外周
まで同一とする場合と、漸次変化する場合とがある。そ
して、円弧パターン52の寸法は、電子ビーム開孔の最小
径部に影響を与えず、かつ、小孔の壁面を所定の傾斜に
できるように適宜設定すればよい。なお、第2のパター
ンは、円弧状に限らず、図11(c)に示すように、直
線状パターン54としてもよい。
【0049】また、エッチング工程においては、図11
(a)の斜線部が腐食され、ドットパターン51と円弧パ
ターン52との間に存在するレジスト膜は浮いた状態とな
りやすい。マスクの種類によってはスプレーされたエッ
チング液の衝撃力によってこの部分のレジスト膜がマス
ク材から剥離されやすくなる恐れがあり、剥離したエッ
チング液中のレジスト膜がスプレーノズルを詰まらせる
恐れもある。このような場合は、図11(b)に示すよ
うに、円弧パターン52を適当な間隔で分断された破断円
弧パターン、または図11(d)に示すように破断直線
状パターンで構成するとよい。但し、破断円弧あるいは
破断直線パターンの破断の間隔は目的とする膨出部形成
に影響を与えない範囲で設定する必要がある。
【0050】パターンドット51と円弧パターン52とのギ
ャップgは、あまり小さいとエッチング工程でのサイド
エッチングの進行によって短時間に小孔ドット部と連結
し、必要とする膨出部が形成されないだけでなく、開孔
の変形を生ずる恐れがある。一方、ギャップgが大き過
ぎると、円弧パターンが小孔ドットパターンと連結しに
くくなり、目的とする膨出部が形成された開孔形状とす
ることができなくなる。従って、小孔ドットパターンお
よび円弧パターンの各サイドエッチング量と両者が連結
した後の連結部の深さ方向のエッチング量を加味して、
ギャップgを設計する必要がある。
【0051】円弧パターン52の半径方向の幅aは、この
幅を大きくするほどサイドエッチング量および深さ方向
のエッチング量が増加する方向となる。即ち、この幅を
大きく取り過ぎると電子ビーム開孔形状が膨出部の形成
方向に変形しやすくなり、目的とする膨出部を形成する
ことができなくなる。
【0052】従って、膨出部の深さ方向のエッチング量
を抑制することによってシャドウマスクの小孔壁面傾斜
を調整することができるので、この円弧パターン52の半
径方向の幅aはむしろ細い方がよい。しかしながら、実
際にレジスト膜に焼き付けられる幅は、マスク材表面の
粗度状態とレジスト膜の解像度およびレジスト膜厚に依
存する。従って、レジスト材として一般的なカゼインと
重クロム酸アンモニウムとを用いる場合は、幅aは、1
0乃至30μmの範囲で選択するのが望ましい。
【0053】以上、説明したマスク焼き付け用パターン
の作成は、フォトプロッターを用いて自動作画される。
まず、高解像度用ガラス乾板をその乳剤面を上にしてプ
ロッター上に吸着固定する。そして、磁気記録データに
記録されたパターン作画データをコンピュータを介して
プロッタに伝達し、プロッタにより、乳剤面上にデータ
に従って光を照射しパターン潜像を形成する。
【0054】作画終了後、現像・水洗・停止・定着・水
洗・乾燥工程を順次経て目的とするマスク焼き付け用パ
ターンを作成する。なお、実際にはシャドウマスク製造
工程に用いるワーキングパターンは、フォトプロッター
によって作画されたパターンそのものではなく、作画パ
ターンを反転してガラス乾板に密着させ反対の像を形成
し、欠点などを修正してマスクパターンとする。次い
で、このマスクパターンを再度反転してガラス乾板に密
着させて作成したパターンをワーキングパターンとす
る。マスクパターンが準備されれば、必要な枚数分の密
着反転を行うことによって必要数のワーキングパターン
を容易に作成することができる。尚、大孔の円弧パター
ンは直線捕間によって円弧を形成する作画手段を用いて
もよい。
【0055】次いで、上述のように所定のパターンの形
成されたレジスト膜に、約40℃の温水をスプレーする
ことにより未露光部分のレジスト膜を溶解除去し、この
後のエッチングにて開孔を形成すべき部分のマスク材を
露出させる。以上の現像終了後、レジスト膜の耐エッチ
ング性を向上させるため約200℃の温度で熱処理を行
う。その後、マスク材が鉄を主成分とするものであれ
ば、高温の塩化第2鉄溶液をスプレーすることによりレ
ジスト膜の存在しないマスク材の開孔対応部をエッチン
グし、目的の寸法及び断面形状を有する電子ビーム開孔
を穿設する。エッチング終了後、レジスト膜を除去し洗
浄乾燥して目的のシャドウマスクが得られる。
【0056】大孔および小孔の壁面形状およびこれら大
孔および小孔の境界部、つまり、最小径部の形状を目的
の形状とするためのエッチング方法として最も重要なこ
とは、大孔および小孔の開口端側からのエッチングが進
行して大孔および小孔が貫通した後、貫通した開孔内を
エッチング液が吹き抜けないようにすることである。そ
の方法について図12(a)ないし図12(h)を参照
して説明する。
【0057】第1の方法は、図12(a)に示すよう
に、大孔用のレジスト膜62および小孔用のレジスト膜64
が形成され、大孔側が上で小孔側が下に保持されたマス
ク材60を、大孔側面がエッチングされないように保護フ
ィルム66で被覆した状態で水平に搬送しながら小孔側か
らのみ必要量のエッチングを行う。この工程では、小孔
側のレジスト膜64でパターニングされた小孔ドットパタ
ーン51及びその外周の円弧状パターン52からエッチング
溶液によって、マスク材60の小孔及び円弧状パターン対
応部のエッチングが進行する。そして、図12(b)に
示すように、小孔および円弧状パターン対応部は連結す
ることなく深さ方向及び横方向(サイドエッチング)に
エッチングが進行する。さらにエッチングが進行する
と、図12(c)に示すように、サイドエッチングの進
行によって小孔及び円弧状パターン対応部が互いに連通
する。この連通により、側面の中間部から開口端までの
間に膨出部40dを有する小孔40が形成される。
【0058】次いで、大孔側の保護フィルム66を剥が
し、洗浄乾燥後、図12(d)に示すように、小孔40の
穿設部にエッチング抵抗材68を充填し乾燥する。その
後、大孔側のみから目的とする電子ビーム開孔形状が得
られるまでエッチングを施す。この場合、大孔のエッチ
ングにより開孔が貫通形成されても、小孔40は抵抗材68
が充填されているため、図12(f)に示すように、エ
ッチング液は開孔部を通り抜けることがない。大孔およ
び小孔の合致後、大孔は拡大して行くが、小孔40は所望
の形状が維持され、結果として形成された開孔は目的と
する断面形状を有することになる。その後、図12
(g)に示すように、レジスト膜62、64およびエッチン
グ抵抗材68を除去し、マスク材26を洗浄および乾燥する
ことにより、電子ビーム開孔のエッチングが終了する。
【0059】なお、エッチングの進行に伴ってサイドエ
ッチが生じ、このサイドエッチによって開孔端部のレジ
スト膜には庇部が生ずる。そして、この庇部が小孔40の
穿設部へのエッチング抵抗材68の充填を阻害する恐れが
ある。そのため、小孔部のサイドエッチ量、エッチング
時間を少なくすることが望ましい。もし、小孔40のエッ
チング時間を長くしなければ目的の小孔断面形状が得ら
れない場合は、図12(c)に示す工程と図12(d)
に示す工程との間において、図12(h)に示すよう
に、大孔42側の保護フィルム66を張り付けたままの状態
で、小孔側のレジスト膜64を剥離液を吹き付けて除去し
た後、エッチング抵抗材68を小孔40に充填するようにし
てもよい。この場合、図12(d)ないし図12(f)
でレジスト膜64が除去されているものとすれば、工程の
流れ自体は同様である。また、レジストパターン開孔寸
法に近い孔寸法を形成した方が寸法変動が少ないことか
ら、マスク材に対するエッチング液の衝撃力の大きなス
プレーノズルの使用が適している。
【0060】第2の方法は、小孔側が上、大孔側が下に
保持されたマスク材を水平に搬送しながら両面から同時
に所定時間、エッチングを施す。このエッチングで小孔
部を目的の形状とするが、第1の方法と同様にサイドエ
ッチ量を少なくするには、エッチング液の衝撃力の大き
なスプレーノズルの使用が適している。次いでマスク材
の洗浄乾燥後、小孔部のエッチング穿設部を含めてエッ
チング抵抗材を充填する。その後、第1の方法と同様に
大孔部よりエッチングを施し、目的とする開孔断面形状
を得る。
【0061】以上のエッチング手法は、いわゆる2段エ
ッチングと称される手法で、電子ビーム開孔寸法を実質
的に決定する小孔の寸法が1段目のエッチングで決定さ
れ固定されるため、通常の両面からエッチングを行い、
大孔と小孔の貫通後も貫通部を通してエッチング液を吹
き抜けさせる方法に比べて、開孔寸法の変動が非常に少
ない。従って、高精細シャドウマスクの製造に適してい
る。
【0062】なお、上記第2の実施例においては、小孔
の壁面の内、シャドウマスク中心に対して放射方向外側
部分に膨出部を設ける構成としたが、図13に示すよう
に、小孔の全周に亘って膨出部を設けるようにしてもよ
い。つまり、シャドウマスク26の周辺部において、電子
ビーム開孔12の小孔40の壁面は、その全周に亘って、最
小径部43近傍の壁面部分が小孔中心軸40cとなす角λ1
よりも、小孔壁面の板厚方向中間部から小孔開孔までの
壁面部分40dが中心軸40cとなす角λ2を大きくしてい
る。このような構成においても、最小径部43は電子ビー
ム径を決定する部分として機能し、膨出部は小孔壁面の
傾斜を制御して反射電子ビームが蛍光体スクリーンに到
達するのを防止する。
【0063】上記構成の小孔をエッチングにより形成す
る場合、図14(a)および図14(b)に示すよう
に、レジスト膜64に形成される小孔パターンは、多数の
円形ドットパターン51からなる第1のパターンと、各円
形ドットパターンの外周にこれと同軸的に形成された多
数の環状パターン70からなる第2のパターンとを有して
いる。環状パターン70の幅a、環状パターンと円形ドッ
トパターンとの間のギャップgは上記第2の実施例と同
様にして設定される。そして、このような構成のレジス
ト膜および前述したエッチング方法を用いることによ
り、図13に示す電子ビーム開孔が形成され、第2の実
施例と同様の効果を奏することができる。
【0064】なお、環状パターン70は、図14(c)に
示すように、所定数に分割した形状に形成されていても
よい。さらに、上記実施例は電子ビーム開孔形状が円形
の場合を主として説明したが、矩形状の電子ビーム開孔
であっても適用可能である。
【0065】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、シャドウ
マスクの電子ビーム開孔に入射する電子ビームは、開孔
側壁に射突することによるビーム欠けを生ずることがな
く、また、開孔内で反射電子ビームが発生しても蛍光面
に到達することはない。従って、このようなシャドウマ
スクを用いたカラー受像管は黒しずみが良く、ホワイト
ユニフォミティの優れた良質の画面を提供することがで
きる。また、シャドウマスクの電子ビーム開孔の寸法変
動が極めて少ないため、むら品位の良く蛍光面の品位を
向上したカラー受像管とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の第1の実施例に係るカラー陰
極線管を示す断面図である。
【図2】図2は図1に示すカラー陰極線管の正面図であ
る。
【図3】図3はシャドウマスクの中心部および周辺部を
拡大して概略的に示す平面図である。
【図4】図4は図3の線IV−IVに沿った断面を示す断面
図である。
【図5】図5は電子ビーム開孔を矩形状にした変形例を
示し、シャドウマスクの一部を示す平面図である。
【図6】図6は図5の線VI−VIに沿った断面を示す断面
図である。
【図7】図7は図5の線VII −VII に沿った断面を示す
断面図である。
【図8】図8は発明の第2の実施例に係るカラー陰極線
管のシャドウマスクの一部を示す断面図である。
【図9】図9は発明の第2の実施例に係るカラー陰極線
管のシャドウマスクの一部を示す平面図である。
【図10】図10はレジストパターンを説明するための
図であり、(a)は大孔用パターン、(b)は小孔用パ
ターンを示す平面図である。
【図11】図11は小孔用パターンを拡大して示す平面
図であり、(a)は円弧状パターンを有する小孔パター
ンを拡大して示す平面図、(b)は分割された円弧状パ
ターンを有する小孔パターンを拡大して示す平面図、
(c)は直線状パターンを有する小孔パターンを拡大し
て示す平面図、(d)は分割された直線状パターンを有
する小孔パターンを拡大して示す平面図である。
【図12】図12(a)ないし(h)はシャドウマスク
のエッチング工程をそれぞれ示す断面図である。
【図13】図13はこの発明の第3の実施例に係るカラ
ー陰極線管のシャドウマスクの一部を示す断面図であ
る。
【図14】図14は図13のマスクを形成するための小
孔用パターンを示す図であり、図14(a)は上記シャ
ドウマスクの小孔用のレジスト膜の平面図、(b)は小
孔パターンを拡大して示す平面図、(c)は小孔パター
ンの変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
26…シャドウマスク 12…電子ビーム開孔 40…小孔 40a…小孔の放射方向外側部分 40b…小孔のマスク中心側部分 40c…小孔中心軸 40d…小孔壁面板厚方向中間部から開口縁までの壁面部
分 42…大孔 43…最小径部 θ1…小孔の放射方向外側部分が小孔中心軸となす角 θ2…小孔のマスク中心側部分が小孔中心軸となす角 λ1…最小径部近傍の壁面部分がが小孔中心軸となす角 λ2…小孔壁面板厚方向中間部から開口縁までの壁面部
分が小孔中心軸となす角
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−96664(JP,A) 実開 昭48−81762(JP,U) 実公 昭50−33084(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 29/07 H01J 9/14

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内面に蛍光体スクリーンが形成されたフ
    ェースプレートと、上記蛍光体スクリーンに対向配置さ
    れ、蛍光体スクリーンに向けて電子ビームを出射する電
    子銃と、 上記フェースプレートと電子銃との間に蛍光体スクリー
    ンと対向して配設されたシャドウマスクとを具備し、上
    記シャドウマスクは、規則的に配列され上記電子ビーム
    が通過する多数の電子ビーム開孔を有し、各電子ビーム
    開孔は、シャドウマスクの上記蛍光面側の表面に開口し
    た大孔と、シャドウマスクの上記電子銃側の表面に開口
    しているとともに上記大孔に連通した小孔とを有してな
    るカラー陰極線管において、上記シャドウマスクの周辺
    部に位置した各電子ビーム開孔の小孔は、小孔の壁面の
    内、シャドウマスク中心側に位置する部分が上記小孔の
    中心軸となす角度に比較して、小孔の壁面の内、シャド
    ウマスク中心に対して放射方向外側に位置する部分が上
    記小孔の中心軸となす角度の方が大きくなるように形成
    されていることを特徴とするカラー陰極線管。
  2. 【請求項2】 上記各電子ビーム開孔は、小孔と大孔と
    が合致しているとともに最小径部を構成する境界部を有
    し、上記シャドウマスクの周辺部において、上記大孔
    は、小孔中心軸の放射方向外側部分における境界部と大
    孔の開口端縁とを結ぶ線が小孔中心軸となす角度が、小
    孔中心軸に対する電子ビームの入射角度よりも大きくな
    るように形成されていることを特徴とする請求項1記載
    のカラー陰極線管。
  3. 【請求項3】 上記シャドウマスクの厚さ方向に沿った
    上記小孔の開口縁から上記境界部までの距離は、シャド
    ウマスクの厚さの1/3以下に形成されていることを特
    徴とする請求項記載のカラー陰極線管。
  4. 【請求項4】 上記シャドウマスクの周辺部において、
    各電子ビーム開孔の大孔は、小孔に対して、シャドウマ
    スク中心から離間する方向へ偏心して設けられているこ
    とを特徴とする請求項1記載のカラー陰極線管。
  5. 【請求項5】 内面に蛍光体スクリーンが形成されたフ
    ェースプレートと、上記蛍光体スクリーンに対向配置さ
    れ、蛍光体スクリーンに向けて電子ビームを出射する電
    子銃と、 上記フェースプレートと電子銃との間に蛍光体スクリー
    ンと対向して配設されたシャドウマスクとを具備し、上
    記シャドウマスクは、規則的に配列され上記電子ビーム
    が通過する多数の電子ビーム開孔を有し、各電子ビーム
    開孔は、シャドウマスクの上記蛍光面側の表面に開口し
    た大孔と、シャドウマスクの上記電子銃側の表面に開口
    しているとともに上記大孔に連通した小孔と、大孔と小
    孔との境界部により規定された最小径部とを有してなる
    カラー陰極線管において、上記シャドウマスクの周辺部
    に位置した各電子ビーム開孔の小孔は、小孔の壁面の
    内、少なくともシャドウマスク中心に対して放射方向外
    側に位置する部分において、上記最小径部近傍の壁面部
    分が小孔中心軸となす角度よりも、最小径部近傍より小
    孔開口縁側の壁面部分が小孔中心軸となす角度が大きく
    形成されていることを特徴とするカラー陰極線管。
  6. 【請求項6】 上記各電子ビーム開孔は、小孔と大孔と
    合致しているとともに最小径部を構成する境界部を有
    し、上記シャドウマスクの周辺部において、上記大孔
    は、小孔中心軸の放射方向外側部分における境界部と大
    孔の開口端縁とを結ぶ線が小孔中心軸となす角度が、小
    孔中心軸に対する電子ビームの入射角度よりも大きくな
    るように形成されていることを特徴とする請求項5記載
    のカラー陰極線管。
  7. 【請求項7】 内面に蛍光体スクリーンが形成されたフ
    ェースプレートと、上記蛍光体スクリーンに対向配置さ
    れ、蛍光体スクリーンに向けて電子ビームを出射する電
    子銃と、上記フェースプレートと電子銃との間に蛍光体
    スクリーンと対向して配設されたシャドウマスクとを具
    備し、上記シャドウマスクは、規則的に配列され上記電
    子ビームが通過する多数の電子ビーム開孔を有し、各電
    子ビーム開孔は、シャドウマスクの上記蛍光面側の表面
    に開口した大孔と、シャドウマスクの上記電子銃側の表
    面に開口しているとともに上記大孔に連通した小孔と、
    大孔と小孔との境界部により規定された最小径部とを有
    してなるカラー陰極線管において、上記シャドウマスク
    の周辺部に位置した各電子ビーム開孔において、小孔の
    壁面の内、少なくともシャドウマスク中心に対して放射
    方向外側に位置する部分は、上記放射方向を膨出方向と
    した膨出部を有していることを特徴とするカラー陰極線
    管。
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