JP3509892B2 - 成形機の温度フィードバック制御方法 - Google Patents

成形機の温度フィードバック制御方法

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JP3509892B2
JP3509892B2 JP06532693A JP6532693A JP3509892B2 JP 3509892 B2 JP3509892 B2 JP 3509892B2 JP 06532693 A JP06532693 A JP 06532693A JP 6532693 A JP6532693 A JP 6532693A JP 3509892 B2 JP3509892 B2 JP 3509892B2
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  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Control Of Temperature (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、射出成形機やダイカス
トマシン等の成形機における温度フィードバック制御方
法に係り、特に、加熱手段としてのヒータは備えるも、
冷却は大気放冷にゆだねる(強制冷却媒体による冷却手
段をもたない)、例えば加熱シリンダや金型等の温度制
御対象の温度を、PID(比例・積分・微分)制御動作
に基づくフィードバック制御によってコントロールする
ようにした成形機の温度フィードバック制御方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、射出成形機の加熱シリンダの温
度制御条件は、良品を成形する上での重要なファクター
の1つであり、この加熱シリンダの各部の温度を、PI
D(比例・積分・微分)制御動作に基づくフィードバッ
ク制御によってコントロールするようにした射出成形機
が知られている。公知のように、PID動作は、「P」
動作で単位ステップ入力に対し大きさK倍の出力とし、
「I」動作で単位ステップ入力に対し出力を積分作用に
よって直線的に増減させたものとし、「D」動作で微分
作用により時間進みを生じさせ、これら「P」,
「I」,「D」動作を同時に行なわせることにより、フ
ィードバック制御を行なうようになっている。
【0003】このPID制御動作に基づくフィードバッ
ク制御によって加熱シリンダの温度コントロールを行な
うと、加熱シリンダを予め設定された成形運転のための
設定温度値まで昇温完了させた後、所定時間が経過する
と、温度は精度良く安定する。しかしながら、マシン
(射出成形機)の運転開始に先立ち、加熱シリンダのヒ
ータに対する通電制御を開始した場合には、上記設定温
度値まで温度を立ち上げる際に温度のオーバーシュート
が発生する。また、加熱シリンダの温度が安定状態に入
った後ヒータに対する通電制御を中断し、再びヒータに
対する通電制御を開始した場合(再開した場合)にも、
設定温度値まで温度を立ち上げる際に温度のオーバーシ
ュートが発生する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図6は、従来の温度制
御手法を用いて、加熱シリンダの温度が室温とほぼ同程
度である状態からヒータへの通電制御を開始した際の温
度変化の様子を示す説明図である。同図において、To
は設定温度値であり、Tm は実測温度値である。同図に
示すように、ヒータへの通電制御を開始すると、加熱シ
リンダの温度を設定温度値To (例えば200℃)まで
急速に昇温させるため、実測温度値Tm は室温から設定
温度値To を目指して急速に立ち上がり、斯様に実測温
度値Tm が急傾斜で立ち上がった結果(急速昇温させた
結果)、昇温過程の終期で実測温度値Tm が設定温度値
o を比較的に大きく超えてしまい、温度オーバーシュ
ートが発生する。
【0005】この温度オーバーシュートが発生すると、
加熱シリンダの冷却メカニズムは大気による自然放冷で
あるため、温度が下がるに時間がかかり、オーバーシュ
ート後、ハンチングが収まり、さらにこの後PID制御
動作に用いられる積分値(I制御値)が安定した信頼性
のある値となるまでに、かなりの時間を要するものとな
っていた。すなわち、設定温度値To まで一気に昇温さ
せるように制御した結果、加熱シリンダの温度が精度の
良い安定状態となるまでに却って時間のかかるものとな
り、成形品が安定するまでに時間がかかるという問題が
あった。
【0006】図7は、同様に従来の温度制御手法を用い
て、加熱シリンダの温度が安定状態に入った後ヒータに
対する通電制御を中断し、再びヒータに対する通電制御
を開始した場合(再開した場合)の温度変化の様子を示
す説明図である。この場合は、PID制御変数のうちI
(積分)の変数が初期化された(0となった)状態でス
タートするため、スタートしてから暫くは強制的に加熱
をする状態となって、温度オーバーシュートが発生し、
図6で述べたマシンの運転開始前の昇温時と同様の問題
を生じ、また、温度オーバーシュート時の成形品には
「ヤケ」不良が発生し易くなる。
【0007】従って、本発明の解決すべき技術的課題
は、上記した従来技術のもつ問題点を解消することにあ
り、その目的とするところは、ヒータへの通電制御を開
始した際等の昇温過程時に温度オーバーシュートが発生
することなく、トータル的に見れば加熱シリンダの温度
が安定状態になるまでの時間が大幅に短縮可能な成形機
の温度フィードバック制御方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記した目的を
達成するため、温度制御対象の実測温度値を計測し、該
計測した実測温度値と設定温度値とを比較して、実測温
度値が設定温度値に近づくように温度制御対象の温度を
PID(比例・積分・微分)制御動作に基づくフィード
バック制御によってコントロールする成形機の温度フィ
ードバック制御方法において、前記温度制御対象を加熱
するためのヒータに対しP(比例)制御が機能する予め
設定されたP設定範囲に入った時点から、前記温度制御
対象の温度が成形運転時のコンスタントな設定温度値に
上昇するまでの間の過渡的期間は、前記P設定範囲に入
った時点の前記温度制御対象の実測温度値を起点とし、
前記コンスタントな設定温度値を終点とする、所定傾斜
角度をもつ温度勾配直線を、フィードバック制御のため
の過渡的目標設定温度条件とするように、される。
【0009】
【作用】温度制御対象たる例えば加熱シリンダの温度が
例えば室温にある状態から、加熱シリンダに付設された
ヒータに対する通電制御の開始指令(加熱シリンダの温
調制御開始指令)が到来すると、温度フィードバック制
御ブロックは、加熱シリンダの温度をコンスタントな成
形運転時の設定温度値To まで急速に上昇させるべくP
ID制御動作に基づいてヒータを通電制御する。この当
初の通電制御は、従来と同様にヒータに連続通電を行う
P(比例)制御が機能しないPID動作であり、これに
よって、加熱シリンダの温度は上記コンスタントな設定
温度値Toを目指して急速に上昇する。加熱シリンダの
温度が上記コンスタントな設定温度値To の手前の所定
温度に達したことが検知されると、すなわち、ヒータに
対しP(比例)制御を機能させる予め設定されたP設定
範囲に入ったことが検知されると、ヒータに対しP(比
例)制御を機能させるための制御開始指令が発せられ、
例えば設定値(指令値)生成出力部は、加熱シリンダの
温度を計測する温度検知センサからの実測温度値Tm
と、予め設定されたコンスタントな所定値である成形運
転時の設定温度値を格納した例えば成形運転時温度設定
データ格納部内の成形運転時の設定温度値To とを取り
込み、上記したP設定範囲に入った時点の実測温度値T
m を起点とし成形運転時の設定温度値To を終点とした
所定傾斜角度をもつ温度勾配直線に基づく指令値(過渡
的目標設定温度値)Tx を、所定タイミングで次々に生
成する。温度フィードバック制御ブロックは、上記設定
値(指令値)生成出力部から到来する過渡的目標設定温
度値Tx と、温度検知センサから到来する実測温度値T
m とを取り込み、実測温度値Tm を過渡的目標設定温度
値Tx に一致させるようにPID制御動作のための演算
処理を行なって、フィードバック制御出力をヒータドラ
イバに対し出力し、これによってヒータを適宜に通電制
御して上記した温度勾配直線に沿って加熱シリンダを昇
温させる。過渡的目標設定温度値Tx が成形運転時のコ
ンスタントな設定温度値To に達すると(加熱シリンダ
の温度が成形運転時の設定温度値To に達すると)、設
定値(指令値)生成出力部は、フィードバック制御のた
めの指令値を成形運転時の設定温度値To に切り替え
て、この設定温度値To を温度フィードバック制御ブロ
ックへ出力するようになり、温度フィードバック制御ブ
ロックは、成形運転時の設定温度値To と実測温度値T
m とを取り込んで、同様に実測温度値Tm を設定温度値
o に一致させるようにPID制御動作のための演算処
理を行なって、フィードバック制御出力をヒータドライ
バに対し出力する。また、このPID制御動作のための
演算式中で用いられる積分値(I制御値;偏差の所定期
間の累積値)は、その最新値が例えば温度フィードバッ
ク制御ブロック内のバッテリーバックアップされたRA
M領域に書替え・更新して保持される。
【0010】斯様にすることにより、加熱シリンダの昇
温開始の途中から指令値(過渡的目標設定温度値)T
x 、すなわち所定の温度勾配直線に従うようにフィード
バック制御されるため、オーバーシュートが生じること
が可及的に少なくなる。このため、成形運転時の設定温
度値To に達するまでの時間は従来に比して長めとなる
も、設定温度値To まで昇温された後、PID制御動作
に用いられる積分値(I制御値)が安定した信頼性のあ
る値となるまでの時間で比較すると、つまり最終的に安
定したPID制御動作状態となるまでのトータル時間で
見れば、従来に比して大幅に時間短縮を図ることが可能
となる。また、PID制御動作のための演算式中で用い
られる積分値は、その最新値が不揮発性メモリに保持さ
れているため、ヒータに対する通電制御の終了(もしく
は中断)後、通電制御を開始(もしくは再開)した際に
は、当初から不揮発性メモリ内の安定制御時の積分値
(I制御値;偏差の所定期間の累積値)を用いることが
できるため、当初からより安定したPID動作に基づく
フィードバック制御を行なうことが可能となる。さらに
また、温度フィードバック制御を実行している最中に、
成形運転時の設定温度値To が変更された場合も、上述
したP設定範囲内の昇温過渡行程時と同様の動作制御を
行なうため、この際にもオーバーシュートが生じること
が可及的に少なくなり、変更後の設定温度値To に従う
安定したPID制御動作状態となるまでの時間も短くな
る。
【0011】
【実施例】以下、本発明の1実施例を図1〜図5によっ
て説明する。図1は本実施例に係る射出成形機の加熱シ
リンダの温度フィードバック制御系を示す説明図であ
る。
【0012】図1において、1は図示せぬスクリューを
内蔵した加熱シリンダ、2は該加熱シリンダ1の先端に
取り付けられたノズル、3…は加熱シリンダ1の外周各
部並びにノズル2の外周に巻装されたヒータ(バンドヒ
ータ)であり、このヒータ3…を適宜通電制御すること
によって、加熱シリンダ1の各部並びにノズル2がそれ
ぞれ設定された温度にコントロールされる。また、各ヒ
ータ3…を取り付けた個所には、加熱シリンダ1の各部
並びにノズル2の温度を計測するための温度検知センサ
4が設けられている。なお、本実施例においては説明の
簡略化のために、加熱シリンダ1の先端側のヒータ3を
代表させて以下の説明を行なう。
【0013】図1は、上記した加熱シリンダ1の先端側
のヒータ3によって温度コントロールされる部位(以
下、これを単に加熱シリンダと称す)のための温度フィ
ードバック制御系のみが示されており、同図において、
5は温度フィードバック制御ブロック(以下、温度FB
制御ブロックと称す)、6は設定値(指令値)生成出力
部、7は成形運転時温度設定データ格納部、8はヒータ
通電出力作成部、9はヒータドライバであり、温度FB
制御ブロック5内には、偏差検出部51、PID演算部
52、出力変換生成部(通電率演算・出力生成部)53
などが備えられている。
【0014】上記成形運転時温度設定データ格納部7に
は、予め設定されたコンスタントな所定値である成形運
転時の設定温度値To のデータが書替え可能な形で格納
されており、この成形運転時の設定温度値To は、前記
設定値(指令値)生成出力部6によって取り込まれる。
設定値(指令値)生成出力部6は、成形運転時温度設定
データ格納部7内の成形運転時の設定温度値To と、前
記温度検知センサ4からの加熱シリンダの実測温度値T
m とを取り込み、この設定温度値To と実測温度値Tm
とを用いた適宜演算・判定処理によって、安定状態領域
に入っていると判断した場合には、コンスタントな設定
温度値To を指令値として前記温度FB制御ブロック5
へ出力し、P(比例)制御が機能する予め設定されたP
設定範囲にあり、且つ、温度制御の過渡的状態領域にあ
ると判断した場合には、後述するようにして過渡的目標
設定温度値Tx を算出・生成して、この過渡的目標設定
温度値Tx を指令値として温度FB制御ブロック5へ出
力する。
【0015】前記温度FB制御ブロック5の偏差検出部
51には、温度検知センサ4からの実測温度値Tm と、
上記した設定値(指令値)生成出力部6からの過渡的目
標設定温度値Tx もしくは設定温度値To とが、それぞ
れ適宜サンプリング周期で供給される。偏差検出部51
では、実測温度値Tm と過渡的目標設定温度値Tx 、も
しくは実測温度値Tm と(コンスタントな)設定温度値
o とから、両者Tm,Tx 、もしくは両者Tm ,To
の差分を算出し、これを偏差(温度の偏差)eとして前
記PID演算部52へ出力する。
【0016】PID演算部52では、入力された偏差e
を用いて、PID(比例・積分・微分)動作に基づくフ
ィードバック処理を行なうための演算処理、すなわち、
次の式による演算処理を実行し、実測温度値Tm を過
渡的目標設定温度値Tx もしくはコンスタントな設定温
度値To に一致させるための操作量uを算出する。なお
式において、P,Ti ,Td はPID定数である。
【0017】
【数1】
【0018】また、上記式における積分値(I制御
値;偏差の所定期間の累積値)は、その最新値が、温度
FB制御ブロック5のバッテリーバックアップされたR
AM領域に書替え・更新して保持されるようになってお
り、マシンの電源をOFFしても積分値は記憶・保持さ
れるようになっている。
【0019】そして、前記温度FB制御ブロック5の出
力変換生成部(通電率演算・出力生成部)53では、P
ID演算部52からの出力たる操作量uを、操作量値→
制御出力値yの出力変換式たる次の式によって、制御
出力値yを演算処理して求める。
【0020】 y=(u+1)/2 式 本実施例においては、上記制御出力値yは、単位制御時
間内における前記ヒータ3への通電率を示す出力データ
となっており、これが前記ヒータ通電出力作成部8を介
して前記ヒータドライバ9へ供給される。ヒータドライ
バ9では、ヒータ通電出力作成部8からの指令に基づ
き、ヒータ3をON/OFF制御する。
【0021】図2は、上記ヒータ通電出力作成部8,ヒ
ータドライバ9による駆動電圧出力波形を示しており、
同図において、ts は制御周期時間、ty は通電時間で
あり、該通電時間ty は、 ty=ts×y で表わされる。
【0022】次に、上記した構成による本実施例の動作
を、図3〜図5を用いて説明する。図3は、加熱シリン
ダ1の温度が室温とほぼ同程度である状態からヒータ3
への通電制御(加熱シリンダ1の温調制御)を開始した
際の温度変化の様子を示す説明図である。同図におい
て、To は前記成形運転時温度設定データ格納部7に予
め設定・記憶されたコンスタントな設定温度値であり、
m は前記温度検知センサ4の出力たる加熱シリンダ1
の実測温度値である。また、Tx は、前記設定値(指令
値)生成出力部6によって生成・出力される過渡的目標
設定温度値である。
【0023】いま、加熱シリンダ1の温度が例えば室温
にある状態から、加熱シリンダ1に付設されたヒータ3
に対する通電制御の開始指令(加熱シリンダ1の温調制
御開始指令)が到来すると、温度FB制御ブロック5
は、加熱シリンダ1の温度をコンスタントな成形運転時
の設定温度値To まで急速に上昇させるべくPID制御
動作に基づいてヒータ3を通電制御する。この当初の通
電制御は、従来と同様にヒータ3に連続通電を行うP
(比例)制御が機能しないPID動作であり、これによ
って、加熱シリンダ1の温度は上記コンスタントな設定
温度値To を目指して急速に上昇する。加熱シリンダ1
の温度が上記コンスタントな設定温度値Toの手前の所
定温度に達したことが温度検知センサ4で検知される
と、すなわち、図3に示すような、ヒータに対しP(比
例)制御を機能させるようにした予め設定されたP設定
範囲に入ったことが検知されると、本発明の特徴である
後記する過渡的目標設定温度条件に従って実行される、
P(比例)制御を機能させるPID動作制御開始指令が
発せられる。
【0024】上記したP(比例)制御を機能させるPI
D動作制御開始指令が到来すると、設定値(指令値)生
成出力部6は、温度検知センサ4からの実測温度値Tm
と、成形運転時温度設定データ格納部7内の予め設定さ
れたコンスタントな設定温度値To とを取り込み、先ず
現在の実測温度値Tm (すなわち、前記P設定範囲に入
った時点の実測温度値Tm )を指令値として、この指令
値と設定温度値To とを対比する。この対比結果は、指
令値<設定温度値To であるので、設定値(指令値)生
成出力部6は、指令値を、 指令値(=過渡的目標設定温度値Tx )←(指令値+傾
斜値) として生成し、生成した指令値(=過渡的目標設定温度
値Tx )を前記温度FB制御ブロック5に出力する。つ
まり、設定値(指令値)生成出力部6は、指令値が設定
温度値To に達するまでは、上記した指令値←(指令値
+傾斜値)とする処理を所定タイミング周期で行ない、
生成した指令値(過渡的目標設定温度値)Tx を所定タ
イミングで次々に温度FB制御ブロック5に出力する。
【0025】換言するなら、設定値(指令値)生成出力
部6は、昇温途中からの過渡的期間は図3に示すよう
に、前記P設定範囲に入った時点の実測温度値Tm を起
点とし、成形運転時の設定温度値To を終点とした、所
定傾斜角度θをもつ温度勾配直線に基づく指令値(過渡
的目標設定温度値)Tx を、所定タイミングで次々に生
成して、これを温度FB制御ブロック5に出力する。こ
こで、上記温度勾配直線の傾き(上記傾斜値を算出する
ためのデータ)は、本実施例では、例えば2〜10℃/
分程度に設定される。
【0026】そして、昇温途中からの過渡的期間中に
は、温度FB制御ブロック5は、設定値(指令値)生成
出力部6から到来する過渡的目標設定温度値Tx と、温
度検知センサ4から到来する実測温度値Tm とを取り込
み、実測温度値Tm を過渡的目標設定温度値Tx に一致
させるようにPID制御動作のための演算処理を行なっ
て、この演算結果に基づく指令を前記ヒータ通電出力作
成部8を介して前記ヒータドライバ9に対し出力し、こ
れによってヒータ3を適宜に通電制御して上記した温度
勾配直線に沿って加熱シリンダ1のヒータ3部分を昇温
させる。
【0027】過渡的目標設定温度値Tx が成形運転時の
設定温度値To に達すると(換言するなら、加熱シリン
ダ1のヒータ3部分の温度が成形運転時の設定温度値T
o に達すると)、設定値(指令値)生成出力部6は、フ
ィードバック制御のための指令値を成形運転時の前記し
た設定温度値To に切り替えて、この設定温度値To
温度FB制御ブロック5へ出力するようになる。これに
より、温度FB制御ブロック5は、成形運転時の設定温
度値To と実測温度値Tm とを取り込んで、同様に実測
温度値Tm を設定温度値To に一致させるようにPID
制御動作のための演算処理を行なって、この演算結果に
基づく指令をヒータ通電出力作成部8を介してヒータド
ライバ9に対し出力する。
【0028】斯様にすることにより、加熱シリンダ1の
昇温途中から指令値(過渡的目標設定温度値)Tx に従
うように、すなわち所定の温度勾配直線に従うようにフ
ィードバック制御されるため、図3で2点鎖線で示した
従来技術の如きオーバーシュートが生じる虞が可及的に
低減される。このため、成形運転時の設定温度値To
達するまでの時間は従来に比して長めとなるも、設定温
度値To まで昇温された後、PID制御動作に用いられ
る積分値(I制御値)が安定した信頼性のある値となる
までの時間で比較すると、つまり最終的に安定したPI
D制御動作状態となるまでのトータル時間で見れば、従
来に比して大幅に時間短縮を図ることが可能となる。ま
た、PID制御動作のための演算式中で用いられる積分
値は、その最新値がバッテリーバックアップされたRA
Mに保持されているため、ヒータ3に対する通電制御の
終了(もしくは中断)後、通電制御を開始(もしくは再
開)した際には、当初からバッテリーバックアップされ
たRAM内の安定制御時の積分値(I制御値;偏差の所
定期間の累積値)を用いることができるため、当初から
より安定したPID動作に基づくフィードバック制御を
行なうことが可能となる。
【0029】図4は、加熱シリンダ1の温度が安定状態
に入った後ヒータ3に対する通電制御を中断し、再びヒ
ータ3に対する通電制御を開始した場合(再開した場
合)の温度変化の様子を示す説明図である。この場合
も、設定値(指令値)生成出力部6は、図3で説明した
のと同様の処理動作を行なう。すなわち、前記したP設
定範囲内にある昇温時の過渡的期間中には、設定値(指
令値)生成出力部6は、P設定範囲に入った時点、もし
くは、通電制御再開時に既にP設定範囲に入っている場
合には通電制御再開時点の実測温度値Tm を起点とし、
成形運転時の設定温度値To を終点とした、所定傾斜角
度θをもつ温度勾配直線に基づく指令値(過渡的目標設
定温度値)Tx を、所定タイミングで次々に生成して、
これを温度FB制御ブロック5に出力する。そして、過
渡的目標設定温度値Tx が成形運転時の設定温度値To
に達すると(加熱シリンダ1の温度が成形運転時の設定
温度値To に達すると)、設定値(指令値)生成出力部
6は、フィードバック制御のための指令値を成形運転時
の前記した設定温度値To に切り替えて、この設定温度
値To を温度FB制御ブロック5へ出力する。
【0030】従って、加熱シリンダ1の温度が安定状態
に入った後ヒータ3に対する通電制御を中断し、再びヒ
ータ3に対する通電制御を再開した場合にも、図4で2
点鎖線で示した従来技術の如きオーバーシュートが生じ
る虞が可及的少なくなる。このため、通電制御を再開し
た時点から最終的に安定したPID制御動作状態となる
までのトータル時間で見れば、従来に比して大幅に時間
短縮を図ることが可能となる。かつ、PID制御動作の
ための演算式中で用いられる積分値は、その最新値がバ
ッテリーバックアップされたRAMに保持されているた
め、ヒータ3に対する通電制御の再開時点の当初から、
バッテリーバックアップされたRAM内の安定制御時の
積分値(I制御値;偏差の所定期間の累積値)を用いる
ことができるため、当初からより安定したPID動作に
基づくフィードバック制御を行なうことが可能となる。
【0031】なお、前記したP設定範囲は任意に設定可
能であるが、例えば本実施例では、コンスタントな前記
設定温度値To の±10〜30%程度に設定される。
【0032】図5は、本実施例による温度フィードバッ
ク制御系で実行される前記P設定範囲内での制御処理フ
ローを示す図である。ヒータ3に対するP(比例)制御
を機能させるPID動作制御の開始指令(実測温度値T
m がP設定範囲に入ったことを検知したことに基づく指
令)が到来すると、ステップST1において、温度検知
センサ4からの現在の実測温度値Tm を指令値とし、ス
テップST2に進む。ステップST2では、上記指令値
と、予め設定されたコンスタントな設定温度値To とを
対比して、指令値と設定温度値To の大小関係を判定
し、指令値<設定温度値To ならステップST3へ進
み、指令値>設定温度値To ならステップST6へ進
み、指令値=設定温度値To ならステップST9へ進
む。ステップST3〜ステップST5は、昇温時の過渡
的目標設定温度条件に従った制御期間に対応する処理ス
テップで、ステップST3では、ステップST2での指
令値を、指令値(=過渡的目標設定温度値Tx )←(指
令値+傾斜値)として、ステップST4に進む。ステッ
プST4では、ステップST3で作成された新たな指令
値が設定温度値To を上回ったか否かが問われ、NOな
らステップST9へ進み、YESならステップST5へ
進む。ステップST5では、ステップST3で作成され
た新たな指令値を用いず、指令値←設定温度値To とし
て、これを指令(目標)出力値として温度FBブロック
5へ出力し、ステップST9へ進む。ステップST9で
は、温度FBブロック5により、指令値と前記実測温度
値Tm とを用いて前述した如きPID動作に基づく温度
フィードバック制御を行なって、ステップST2へ戻
る。
【0033】ステップST6〜ステップST8は、降温
時の過渡的目標設定温度条件に従った制御期間に対応す
る処理ステップで、ステップST6では、ステップST
2での指令値を、指令値(=過渡的目標設定温度値T
x )←(指令値−傾斜値)として、ステップST7に進
む。ステップST7では、ステップST6で作成された
新たな指令値が設定温度値To を下回ったか否かが問わ
れ、NOならステップST9へ進み、YESならステッ
プST8へ進む。ステップST8では、ステップST3
で作成された新たな指令値を用いず、指令値←設定温度
値To として、これを指令(目標)出力値として温度F
Bブロック5へ出力し、ステップST9へ進む。
【0034】上記した処理フローの説明から明らかなよ
うに、本実施例の過渡的目標設定温度条件に従う温度制
御手法を用いれば、PID動作に基づく温度フィードバ
ック制御を実行している最中に、成形運転時の設定温度
値To が変更された場合も、P設定範囲内にある昇温ま
たは降温過渡期間は、変更前の設定温度値To を起点と
し変更後の設定温度値To を終点とする、所定傾斜角度
をもつ温度勾配直線に沿うような指令値(過渡的目標設
定温度値Tx )に基づいてフィードバック制御を行なう
ことができる。従って、温度フィードバック制御を実行
している最中に、成形運転時の設定温度値To が高めに
変更された場合でも、図3,図4で説明したP設定範囲
内の昇温過渡行程時と同様の動作制御を行なうため、こ
の際にもオーバーシュートが生じることが可及的に低減
され、変更後の設定温度値To に従った安定したPID
制御動作状態となるまでの時間も短くなる。
【0035】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、ヒータへ
の通電制御を開始した際等の昇温過程時に温度オーバー
シュートが発生する虞が可及的に少なくなり、トータル
的に見れば加熱シリンダの温度が安定状態になるまでの
時間が大幅に短縮可能な成形機の温度フィードバック制
御方法が提供でき、その価値は多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例に係る射出成形機の加熱シリ
ンダの温度フィードバック制御系を示す説明図である。
【図2】本発明の1実施例によるヒータドライバの駆動
電圧出力波形の1例を示す説明図である。
【図3】本発明の1実施例による温度制御方法を適用し
た際の、加熱シリンダの温度が室温とほぼ同程度である
状態からヒータへの通電制御を開始した際の温度変化の
様子を示す説明図である。
【図4】本発明の1実施例による温度制御方法を適用し
た際の、加熱シリンダの温度が安定状態に入った後ヒー
タに対する通電制御を中断し、再びヒータに対する通電
制御を再開した場合の温度変化の様子を示す説明図であ
る。
【図5】本発明の1実施例による温度フィードバック制
御系で実行される処理フローを示す説明図である。
【図6】従来技術による温度制御方法を適用した際の、
加熱シリンダの温度が室温とほぼ同程度である状態から
ヒータへの通電制御を開始した際の温度変化の様子を示
す説明図である。
【図7】従来技術による温度制御方法を適用した際の、
加熱シリンダの温度が安定状態に入った後ヒータに対す
る通電制御を中断し、再びヒータに対する通電制御を再
開した場合の温度変化の様子を示す説明図である。
【符号の説明】 1 加熱シリンダ 3 ヒータ 4 温度検知センサ 5 温度フィードバック制御ブロック(温度FB制御ブ
ロック) 51 偏差検出部 52 PID演算部 53 出力変換生成部(通電率演算・出力生成部) 6 設定値(指令値)生成出力部 7 成形運転時温度設定データ格納部 8 ヒータ通電出力作成部 9 ヒータドライバ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/78 B29C 45/73 B29C 45/74 B22D 17/32

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度制御対象の実測温度値を計測し、該
    計測した実測温度値と設定温度値とを比較して、実測温
    度値が設定温度値に近づくように温度制御対象の温度を
    PID(比例・積分・微分)制御動作に基づくフィード
    バック制御によってコントロールする成形機の温度フィ
    ードバック制御方法において、 前記温度制御対象を加熱するためのヒータに対しP(比
    例)制御が機能する予め設定されたP設定範囲に入った
    時点から、前記温度制御対象の温度が成形運転時のコン
    スタントな設定温度値に上昇するまでの間の過渡的期間
    は、前記P設定範囲に入った時点の前記温度制御対象の
    実測温度値を起点とし、前記コンスタントな設定温度値
    を終点とする、所定傾斜角度をもつ温度勾配直線を、フ
    ィードバック制御のための過渡的目標設定温度条件とす
    ることを特徴とする成形機の温度フィードバック制御方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載において、 前記温度制御対象の温度をフィードバック制御している
    際に、前記成形運転時のコンスタントな設定温度値が変
    更された場合には、前記温度制御対象の温度が変更後の
    コンスタントな設定温度値に移行するまでの間の過渡的
    期間は、前記変更前のコンスタントな設定温度値を起点
    とし、前記変更後のコンスタントな設定温度値を終点と
    する、所定傾斜角度をもつ温度勾配直線を、フィードバ
    ック制御のための過渡的目標設定温度条件とすることを
    特徴とする成形機の温度フィードバック制御方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載において、 前記ヒータに対する通電制御を終了した際には、前記温
    度制御対象の温度を前記PID(比例・積分・微分)制
    御動作に基づいてフィードバック制御した際の最終の積
    分値が、記憶手段に格納・保持されることを特徴とする
    成形機の温度フィードバック制御方法。
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