JP3509238B2 - 溶融樹脂への強化繊維混入方法及びこれを実施する装置 - Google Patents

溶融樹脂への強化繊維混入方法及びこれを実施する装置

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JP3509238B2 JP29524994A JP29524994A JP3509238B2 JP 3509238 B2 JP3509238 B2 JP 3509238B2 JP 29524994 A JP29524994 A JP 29524994A JP 29524994 A JP29524994 A JP 29524994A JP 3509238 B2 JP3509238 B2 JP 3509238B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融樹脂への繊維混入
方法、及び、これを実施する装置に関するものであり、
強化繊維含有熱可塑性樹脂組成物を成型部に射出する射
出装置等に利用される。
【0002】
【従来技術及び課題】繊維強化樹脂を成型する場合、従
来は、熱可塑性樹脂中に強化繊維素材を含有せしめた繊
維強化樹脂ペレットを用い、通常のスクリュー式の射出
機によって成型装置の金型内に射出供給していた。この
方法は、強化繊維を含有していない通常の樹脂を成型装
置の金型内に射出供給して樹脂製品を得る場合と同様に
して繊維強化樹脂製品が得られるという利点があり、か
かる目的で使用される繊維強化樹脂ペレットとしては、
長繊維強化樹脂ペレットと短繊維強化樹脂ペレットが知
られている。
【0003】前者の長繊維強化樹脂ペレットは、ロービ
ング繊維の周りを樹脂で被覆したものを所定の長さに切
断したものであって、ペレットの長さと同じ長さの繊維
を含有しているが、樹脂と繊維が混練されていないため
にペレット中に繊維が分散しておらず、これを通常の射
出機によって成型装置の金型内に射出供給して製品を成
型した場合には、射出機内で繊維を分散させるために強
い剪断力を受けるため、ペレット状態での繊維長は長く
ても射出時には繊維長が短くなって、成形品中の繊維長
も短くなるという問題がある。
【0004】一方、後者の短繊維強化樹脂ペレットは、
押出機中で繊維と樹脂が予め混練されてペレット化して
いるために、繊維の分散性は良好であるが、繊維長が極
端に短くなり、これを通常の射出機によって成型装置の
金型内に射出供給して製品を成型した場合には、成型品
中の繊維の分散性は良好であるが、繊維長が短く、補強
効果に乏しいという問題がある。
【0005】このように、従来方法では成型された繊維
強化樹脂製品内の含有繊維長さが短く、この含有繊維に
よる強化度合いが不十分であった。特に、コンパネのよ
うに、大きな機械的強度が要求される繊維強化樹脂製品
では、前記強化不足による強度不足が大きな問題であっ
た。前記コンパネのような製品の場合、要求される強度
を確保するには、出来だけ繊維長が長く、且、強化繊維
が製品中に均一に分散混入されている必要があるが、上
記従来の方法による製品の場合、これには程遠いもので
あった。
【0006】上記従来の方法を改善したものとして、強
化繊維素材と樹脂ペレットの夫々を、同時にスクリュー
式射出機に投入する方法(特開平6−8278号)や射
出機内の溶融樹脂中に強化繊維を投入する方法(特開平
2−153714号、特開平4−286617号)が提
案されている。しかし、これらの方法は繊維長さがある
程度長く維持出来たとしても必ずしも十分ではなくまた
分散性に劣ると言う問題があって、何れの方法も繊維長
と分散性の両方を満足させることができなかった。さら
に、これらの方法では、得られた製品中の強化繊維の充
填率にバラツキが生じるという問題があった。
【0007】このような問題を解決するためには、スク
リュー式射出機の外部で溶融樹脂に強化繊維を混入させ
ることが、有益であることが判明し、この点について
は、既に、特願平6−246590号として提案した。
本発明は、このように、溶融樹脂に強化繊維を混入させ
るに際して、溶融樹脂中に強化繊維が均一に分配混入さ
れるようにすることを、その課題とする。
【0008】
【0009】
【技術的手段】上記課題を解決するための本発明の技術
的手段は、『溶融樹脂を保護筒の内面に接触しないよう
に筒状に流下させて、この筒状に流下される溶融樹脂の
上流端から前記筒状に流下される溶融樹脂の筒の内面に
強化繊維を分配付着させるようにした』ことである。
【0010】
【作用・効果】このものでは、溶融樹脂が単一棒状とな
っている場合に比べて、強化繊維と溶融樹脂との接触面
積が格段に大きくなり、溶融樹脂への強化繊維の分配度
合いが向上する。
【0011】また、溶融樹脂に対して繊維が分配付着さ
れているために、強い剪断等で繊維を分散させる必要が
なく、樹脂も溶融状態で供給されているため、樹脂溶融
のための剪断をかける必要もない。従って、例えば、ス
クリュー式射出機のスクリュー部に前記状態で強化繊維
を分配混入させた溶融樹脂を投入して射出成型した場
合、強化繊維の分散が良好になり、繊維長も長く維持す
ることが可能となる。
【0012】さらに、このような方法で強化繊維を溶融
樹脂中に分配混入させた強化繊維含有樹脂を押出機に供
給して繊維強化樹脂ペレットを製造した場合、繊維の分
散性が良好で、しかも繊維長の長い繊維強化樹脂ペレッ
トを得ることができる。
【0013】又、請求項2に定義するように、『長尺の
強化繊維を一定長さに裁断するカッターを設け、このカ
ッターから分配放出される裁断強化繊維を溶融樹脂の流
下域にて分配付着させるようにした』方法では、カッタ
ーによって一定長さに裁断された強化繊維が、流下溶融
樹脂に対して散乱状態で接触することとなるから、溶融
樹脂への強化繊維の分配度合が一層向上する。
【0014】請求項3の発明は、上記請求項1の発明の
を実施する為の装置であり、『合成樹脂を加熱溶融して
溶融樹脂を押し出す為の溶融押出機(1)と、この溶融押
出機の吐出口(11)に連設され下面に溶融樹脂の出口部を
設けたノズル(6)と、このノズル(6)の下方の溶融樹脂流
下域を囲むように設けた筒状の保護筒(14)とからなり、
前記ノズル(6)の出口部を環状孔とし、この環状孔出口
部から流下される溶融樹脂が前記保護筒の内面と接触し
ないように前記環状孔出口部の外側に前記保護筒を配置
すると共に、前記環状孔によって囲まれる範囲にノズル
(6)を上下に貫通する貫通孔(60)を設け、前記貫通孔(6
0)の上端開放部を強化繊維の投入口(601)とした』もの
である。これにより、上記請求項1の発明が確実且円滑
に実施できる。
【0015】また、請求項4のように、請求項3の発明
において、貫通孔(60)の上端開放部を強化繊維の投入口
(601) の上方に長尺の強化繊維を一定長さに裁断するカ
ッターを設け、裁断された強化繊維群を散乱状態で前記
投入口(601) に投入するようにしてもよい。
【0016】
【実施例】次に、上記した本発明の実施例を図面に従っ
て詳述する。まず、本発明の方法及び装置の参考例を、
これらの方法及び装置を採用した図1に示すような構成
の射出装置に基づいて説明する。この射出装置は、溶融
押出機(1) から押し出された溶融樹脂を、スクリュー式
射出機(2) の樹脂投入口(21)から投入する形式である。
そして、この溶融押出機(1) と前記樹脂投入口(21)との
間に、本発明の方法及び装置が採用される。
【0017】前記溶融押出機(1) の溶融樹脂の吐出口(1
1)の近傍上方には長尺強化繊維(L)を一定長さの強化繊
維(L1)(L1)に裁断する為のロービングカッター(3) が設
けられる。そして前記強化繊維(L1)(L1)の落下経路が前
記吐出口(11)に連設されるノズル(6) の出口部(63)から
溶融樹脂が垂れ下がるように流下して投入される経路
(以下、単に流下経路という)の上流端部で合流するよ
うに、前記ロービングカッター(3) の配設位置が設定さ
れている。
【0018】以下前記装置各部について詳述する。 [溶融押出機(1) について]溶融押出機(1) は、加熱筒
(10)内にスクリュー(12)を設けたもので、前記スクリュ
ー(12)の基端部の上方に開口させた供給口(13)からペレ
ット状又はパウダー状の熱可塑性樹脂が投入される。
【0019】前記スクリュー(12)は回転駆動装置(121)
によって回転されて供給口(13)より投入された熱可塑性
樹脂を溶融押出機(1) の先端に設けた吐出口(11)に送り
出す。この間に前記熱可塑性樹脂が加熱筒(10)からの加
熱とスクリュー(12)の剪断作用による発熱とによって溶
融される。なお、前記吐出口(11)にはノズル(6) が連設
され、この側面に形成した出口部(63)は、図2のよう
に、水平方向に長い扁平な矩形状に設定されており、こ
の断面形状の出口部(63)からの単位時間当たりの吐出量
は、スクリュー(12)の回転速度によって決定される。ま
た、総吐出量は、スクリュー(12)の総回転量によって決
定される。
【0020】また、前記吐出口(11)とスクリュー(12)と
の間には、シャットオフバルブ(16)が挿入されており、
溶融樹脂の吐出時には、このシャットオフバルブ(16)は
開放しており、溶融樹脂の吐出停止時に閉鎖される。さ
らに、前記吐出口(11)とスクリュー式射出機(2) の上記
樹脂投入口(21)との間には筒状の保護筒(14)が設けら
れ、この保護筒(14)の上端には、ロート状の投入口部(1
5)が形成され、この投入口部(15)の上方にロービングカ
ッター(3) が配置されている。なお、前記保護筒(14)の
断面の大きさは、吐出口(11)から吐出される溶融樹脂の
断面よりも大きく設定されており、前記溶融樹脂と保護
筒(14)の内面とは接触しない。 [ロービングカッター(3) について] ロービングカッター(3) は、リールに巻き取られた多数
本の長尺強化繊維(L)(L)を扁平に広げた状態で送り出す
フィードロール(31)(31)と、これの出口側に設け且前記
長尺強化繊維(L)(L)の移送幅よりも長いカッティングロ
ール(32)とからなり、このカッティングロール(32)は、
下方のフィードロール(31)に対して回転状態で対接する
複数の刃を具備し、前記刃とフィードロール(31)とによ
って長尺強化繊維(L) が一定長さの強化繊維(L1)(L1)に
裁断されるものである。従って、前記フィードロール(3
1)(31)による長尺強化繊維(L)(L)の移送幅に応じた範囲
(前記移送幅よりも少し広い範囲)に、強化繊維(L1)(L
1)が分散して落下する。
【0021】そして、前記強化繊維(L1)(L1)の落下方向
が上記投入口部(15)に向かうように、前記カッティング
ロール(32)の配設位置及び回転方向が設定されている。
また、強化繊維(L1)(L1)の落下範囲と上記吐出口(11)か
ら吐出されて流下する溶融樹脂(61)の幅とは略一致させ
ている。なお、前記カッティングロール(32)による切断
長さはカッティングロール(32)に植設した刃の配列ピッ
チによって決定され、強化繊維(L1)の長さは3mm〜2
0mmに設定される。
【0022】この参考例では、長尺強化繊維(L) として
は、1100tex のロービングガラス繊維の9本をフィード
ロール(31)(31)間に送り込み、繊維長15mmに裁断す
る様にしている。また、カッティングロール(32)からの
強化繊維(L1)(L1)の落下量は3Kg/minに設定している。 [スクリュー式射出機(2) について] スクリュー式射出機(2) は、公知の一般的なスクリュー
式の射出成型機と基本的には同じであるが、通常、材料
投入用に設けられたホッパーが上記した樹脂投入口(21)
に変更されている。
【0023】また、スクリュー式射出機(2) 内のスクリ
ュー(22)としてはフルフライトスクリューが採用され、
先端にはチェックリング機構を具備するミキシングヘッ
ド(24)が取り付けられている。前記スクリュー(22)は、
其端部から先端部にかけて、フィードゾーン(221) 、コ
ンプレッションゾーン(222) 、メタリングゾーン(223)
の3つのゾーンにこの順序で3分されている。前記フィ
ードゾーン(221) の溝深さは32.8mmに、コンプレ
ッションゾーン(222) の溝深さは32.8mmから1
9.3mmへのテーパーに、メタリングゾーン(223) の
溝深さは19.3mmに設定され、夫々のゾーン長さの
比が2:1:1に設定されている。
【0024】そして、このスクリュー(22)の圧縮比は4
以下、好ましくは3以下、特に、2以下に設定されるこ
とが望ましく、また、みかけの剪断速度は100sec
-1以下、好ましくは、50sec-1に設定されることが
望ましい。ここで、上記圧縮比は次式で与えられる 圧縮比=フィーゾゾーンの溝深さ/メタリングゾーンの
溝深さ また、みかけの剪断速度は次式で与えられる。
【0025】みかけ剪断速度=πDn/60H ただし、D:スクリュー(22)の直径(mm) n:スクリュー(22)の回転数(r.p.m) , H:溝深さ(m
m) なお、前記スクリュー(22)はスクリュー駆動装置(25)に
より回転駆動されると共に、軸線方向に往復移動され
る。
【0026】[溶融樹脂押し込み装置] この参考例のスクリュー式射出機(2) では、バレル(20)
における投入口(21)の形成部、つまり、スクリュー(22)
の基端部には、投入される溶融樹脂をスクリュー式射出
機(2) 内に食込ませる為に、図3又は図4に示すよう
に、往復駆動源(40)によって往復駆動されると共にその
先端がスクリュー(22)の表面に接触する形状(円弧状)
に設定された押し込み棒(4) が設けられている。前記押
し込み棒(4) の先端部は、前記投入口(21)の周縁に対し
て、スクリュー(22)の表面が回転する方向の両端部の何
れか一方に一致させてある。
【0027】従って、回転状態にあるスクリュー(22)に
対して投入口(21)から溶融樹脂を投入し、前記往復駆動
源(40)により往復移動させると、スクリュー(22)の表面
に溜った溶融樹脂は、投入口(21)からスクリュー(22)の
溝部内に強制的に押し込まれる。又、前記スクリュー(2
2)を収容する孔部(23)に拡大孔部(231) が形成され、こ
の拡大孔部(231) は孔部(23)の断面においてスクリュー
(22)の表面が入り込む側(以下、前記食込み側(211) と
いう)から一定範囲に形成されている。前記拡大孔部(2
31) の横断面形状は、孔部(23)の断面に対して外側に膨
らむ形状に設定されている。また、拡大孔部(231) のス
クリュー(22)の軸線方向における断面形状は円弧状に設
定されている。
【0028】従って、上記押し込み棒(4) によってスク
リュー(22)の溝部内に押し込まれた溶融樹脂は、前記食
込み側(211) に向かって移動されると円滑に拡大孔部(2
31)内に押し込まれて、その後、スクリュー(22)の回転
によって溶融樹脂がスクリュー(22)の先端側に移送され
る。また、特に、図3のものでは、上記押し込み棒(4)
によって押し込まれた溶融樹脂は、前記食込み側(211)
から拡大孔部(231) 内に円滑に押し込まれて、その後、
スクリュー(22)の回転によって溶融樹脂がスクリュー(2
2)の先端側に移送される。
【0029】なお、前記拡大孔部(231) の横断面の端縁
は、投入口(21)の周縁に達していてる。また、前記往復
駆動装置(40)は振動的に前記押し込み棒(4) を往復駆動
する構成であってもよい。 [射出成型動作について]上記した各装置は、図5に示
すフローチャートに基づいた制御動作を実行させるよう
にしたコンピュータ式の制御装置によって制御される。
【0030】上記装置による繊維強化樹脂製品の成型の
実際を前記フローチャートに基づいて説明する。上記装
置を始動させると、溶融押出機(1) に熱可塑性樹脂(例
えばポリプロピレン樹脂)が投入されて、溶融樹脂が吐
出口(11)から吐出され始めるとロービングカッター(3)
が始動し、溶融樹脂の吐出口(11)からの流下域に強化繊
維(L1)(L1)が混入される。(ステップ81) この場合、このポリプロピレン樹脂とガラス繊維の場
合、既述の10Kg/minの供給速度で、ガラス繊維充填率
30WT%にしている。
【0031】そして、同時にスクリュー式射出機(2) の
運転が開始されて、スクリュー駆動装置(25)及び往復駆
動源(40)が駆動状態となる。これにより、投入口(21)に
投入された溶融樹脂はスクリュー(22)によって先端側に
移送される。この移送の間に強化繊維と溶融樹脂との混
練が更に促進される。なお、この時の圧縮比は4以下に
設定され、みかけの剪断速度は100sec-1に設定され
ていることから、従来のものに比べて、強化繊維の切断
の度合いが少ない。
【0032】そして、スクリュー(22)によって移送され
る溶融樹脂の量が増えると、スクリュー(22)の先端側に
溶融樹脂が貯留され、この貯留量に応じてスクリュー(2
2)が後退する。この貯留量が繊維強化樹脂製品の樹脂量
との関係で決定される設定量になると、スクリュー駆動
装置(25)による回転が停止されて(ステップ82)、そ
の後、スクリュー駆動装置(25)によりスクリュー(22)が
軸線方向に押し出されて、成型金型内に前記貯留樹脂が
射出される。(ステップ83)前記スクリュー(22)の回
転停止と同時に回転駆動装置(121) の回転が停止され、
ロービングカッター(3) の運転が停止される。従って、
スクリュー(22)の停止状態で、溶融樹脂と強化繊維との
混合体が投入口(21)に投入される動作が停止される。
【0033】なお、通常、溶融押出機(1) 内では、スク
リュー(12)の回転を停止しても、吐出口(11)からの溶融
樹脂の吐出動作が即座には停止されにくい。そこで、上
記参考例のものでは、図1に示すように、保護筒(14)内
に溶融樹脂の流下を遮断する為のシャッター(5) を設
け、溶融押出機(1) の吐出口(11)の上流側近傍に設けた
シャットオフバルブ(16)と同期的に作動させるようにし
ている。
【0034】そこで、溶融樹脂投入時には、前記シャッ
トオフバルブ(16)及びシャッター(5) を開放し(ステッ
プ80、84)、スクリュー(22)の停止時に前記シャッ
トオフバルブ(16)及びシャッター(5) を閉じる(ステッ
プ 821)構成としてある。従って、スクリュー(22)の停
止時に余分な、溶融樹脂が投入される不都合が解消され
る。
【0035】そして、溶融樹脂投入動作終了後に上記射
出動作が終了して、スクリュー(22)が初期位置に復帰す
ると、シャットオフバルブ(16)及びシャッター(5) を開
放して上記した一連の動作が繰り返されることとなる。
上記参考例の溶融押出機(1) の吐出口(11)は扁平な矩形
状に設定されて、強化繊維(L1)(L1)の落下範囲と前記吐
出口(11)から吐出される溶融樹脂の横幅とは略一致させ
ているから、前記溶融樹脂に対して強化繊維(L1)(L1)が
均一に分配付着されることとなる。したがって、上記一
連の動作によって成型された繊維強化樹脂製品内の強化
繊維の分散も均一になる。
【0036】因に、上記参考例のように、ポリプロピレ
ン樹脂とガラス繊維の繊維強化樹脂製品を製造するもの
とし、10Kg/minの供給速度、スクリュー(22)のフィー
ドゾーン(221) の溝深さは32.8mm、コンプレッシ
ョンゾーン(222) の溝深さは32.8mmから19.3
mmへのテーパー、メタリングゾーン(223) の溝深さは
19.3mmに設定したフルフライトスクリューを採用
し、圧縮比は1.7、みかけの剪断速度を50sec-1
に設定した、条件で成型したものでは、繊維強化樹脂製
品内の平均強化繊維長さは3.5mm以上で、この強化
繊維の分散度合いも良好であった。この場合の平均強化
繊維長さは既述従来の方法によるものよりも長く、しか
も、分散性も大幅に向上している。なお、上記装置で
は、吐出口(11)から吐出される溶融樹脂に対して、ロー
ビングカッター(3) から落下する強化繊維(L1)(L1)を直
接分配付着させて、溶融樹脂に強化繊維を混入させた
が、予め裁断された強化繊維(L1)(L1)群を振動フィーダ
を用いて溶融樹脂の流下経路の上部に分配付着させても
よい。
【0037】次に、本発明の実施例を、図6、図7に基
づいて説明する。ロービングカッター(3) によって裁断
された強化繊維(L1)(L1)を直接分配付着する場合や振動
フィーダを用いる場合の何れであっても、溶融樹脂への
強化繊維(L1)(L1)の分配混入の為には、図6、7の方法
(装置)を採用する。図6、7の方法は、溶融押出機
(1) の吐出口(11)にノズル(6) を連設して、このノズル
(6) の下面に環状の出口部(63)を形成してこの出口部(6
3)から溶融樹脂を下方に向かって筒状に吐出させる構成
とし、このノズル(6) 内に前記環状の出口部(63)によっ
て囲まれる範囲に上下に貫通する貫通孔(60)を形成し、
この貫通孔(60)の上端開放部に漏斗を連設して強化繊維
の投入口(601) としたものである。そして、この投入口
(601) の上方にロービングカッター(3) (振動フィーダ
でも良い)を配置し、このロービングカッター(3) によ
って裁断された強化繊維(L1)(L1)群を前記貫通孔(60)内
に落下させる。これにより、筒状の溶融樹脂(61)内に前
記強化繊維(L1)(L1)が分配された態様で投入口(21)に投
入される。
【0038】このとき、例えばエアー抜きの吸収口を設
け、筒中の空気を抜く機構を導入すれば、スクリュー(2
2)中の繊維含有溶融樹脂中に空気が含まれることもな
く、これを射出供給して得られる製品中にボイドもな
く、物性値がより向上した製品が得られるという効果が
生じる。この場合には、溶融樹脂に対する強化繊維(L1)
(L1)の分配度合いが一層向上する。この場合、溶融樹脂
に強化繊維(L1)(L1)が包まれた態様で分配して投入口(2
1)に投入されるから、この投入口(21)内に投入されてか
ら、スクリュー(22)のフィードゾーン(221) 〜メタリン
グゾーン(223) に達するまでの間に、強化繊維(L 1)(L1)
が十分に均一に分散されるからである。
【0039】
【0040】
【0041】以上の各ノズル(6) の出口部(63)は、ノズ
ル(6) の下面に出口部(63)を形成する。流下溶融樹脂相
互が接触する心配がないから、強化繊維の分配混入機会
が一層増えることとなり、強化繊維の溶融樹脂への分配
が均一化され易い。
【0042】なお、上記装置では、シャッター(5) を保
護筒(14)の途中に設けたが吐出口(11)の近傍上流側に設
けてもよく、上記したようにノズル(6) を設けたもので
は、このノズル(6) 内に設けてもよい。また、溶融押出
機(1) としては、ペレット状又はパウダー状の熱可塑性
樹脂を加熱筒(10)内でスクリュー(12)によって移送する
ことにより、溶融樹脂を吐出口(11)から連続的に吐出で
きる構成のものが採用されているが、これを、定量吐出
式とすることも可能である。この場合、例えば、上記溶
融押出機(1) の吐出口(11)に続けて溶融樹脂の貯留部を
設けてこの貯留部に定量吐出ポンプを設ければよい。
【0043】尚、上記した本発明の方法及び装置は、上
記実施例のようにスクリュー式射出機を組合されて実施
される以外に、ペレットを造粒するための押出機などの
他の成型装置と組み合せて用い得ることは言うまでもな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例による方法を実施する装置の全
体図
【図2】溶融押出機(1) の吐出口(11)とロービングカッ
ター(3) との関係を示す正面図
【図3】投入口(21)におけるスクリュー(22)と押し込み
棒(4) との関係の詳細図
【図4】拡大孔部(231) の他の例の説明図
【図5】上記参考例の制御装置のフローチャート図
【図6】本発明の実施例による吐出口(11)に連設される
ノズル(6) の説明図
【図7】本発明の実施例による溶融樹脂(61)の断面と強
化繊維(L1)(L1)の関係図
【符号の説明】
(1) ・・・溶融押出機 (11)・・・吐出口 (2) ・・・スクリュー射出機 (21)・・・投入口 (22)・・・スクリュー (3) ・・・ロービングカッター (L1)・・・強化繊維
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−141519(JP,A) 特開 昭56−89839(JP,A) 特開 昭53−119962(JP,A) 特開 昭53−57265(JP,A) 特開 昭52−74663(JP,A) 特開 昭51−138747(JP,A) 特開 昭51−28871(JP,A) 特開 昭50−103561(JP,A) 特開 昭49−87753(JP,A) 特開 昭48−946(JP,A) 特開 昭47−2191(JP,A) 特開 平8−156055(JP,A) 特開 平8−142120(JP,A) 特開 平6−246590(JP,A) 特開 平6−200048(JP,A) 特開 平6−8278(JP,A) 特開 平4−286617(JP,A) 特開 平3−51107(JP,A) 特開 平2−153714(JP,A) 実開 昭53−92067(JP,U) 実開 昭51−38063(JP,U) 特公 昭48−38628(JP,B1) 実公 昭42−20300(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29B 7/00 - 15/14 B29C 31/00 - 31/10 B29C 47/00 - 47/96 B29C 70/00 - 70/88

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融樹脂を保護筒の内面に接触しないよ
    うに筒状に流下させて、この筒状に流下される溶融樹脂
    の上流端から前記筒状に流下される溶融樹脂の筒の内面
    に強化繊維を分配付着させるようにした溶融樹脂への強
    化繊維混入方法。
  2. 【請求項2】 長尺の強化繊維を一定長さに裁断するカ
    ッターを設け、このカッターから分配放出される裁断強
    化繊維を溶融樹脂の流下域にて分配付着させるようにし
    た請求項1に記載の溶融樹脂への強化繊維混入方法。
  3. 【請求項3】 合成樹脂を加熱溶融して溶融樹脂を押し
    出す為の溶融押出機(1)と、この溶融押出機の吐出口(1
    1)に連設され下面に溶融樹脂の出口部を設けたノズル
    (6)と、このノズル(6)の下方の溶融樹脂流下域を囲むよ
    うに設けた筒状の保護筒(14)とからなり、前記ノズル
    (6)の出口部を環状孔とし、この環状孔出口部から流下
    される溶融樹脂が前記保護筒の内面と接触しないように
    前記環状孔出口部の外側に前記保護筒を配置すると共
    に、前記環状孔によって囲まれる範囲にノズル(6)を上
    下に貫通する貫通孔(60)を設け、前記貫通孔(60)の上端
    開放部を強化繊維の投入口(601)とした溶融樹脂への強
    化繊維の混入装置。
  4. 【請求項4】 貫通孔(60)の上端開放部を強化繊維の投
    入口(601)の上方に長尺の強化繊維を一定長さに裁断す
    るカッターを設け、裁断された強化繊維群を散乱状態で
    前記投入口(601)に投入するようにした請求項3に記載
    の溶融樹脂への強化繊維の混入装置。
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