JP3504397B2 - 弾性繊維紡糸工程用油剤 - Google Patents
弾性繊維紡糸工程用油剤Info
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Description
し、更に詳しくはエーテルカルボン酸塩類を含有する繊
維同士の膠着性が少なく、解舒性良好なポリウレタン弾
性繊維を得るための経日安定性に優れた油剤に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、ポリウレタン弾性繊維は、繊
維同士の膠着性が大きいため、後加工工程での解舒性の
悪さが問題となっている。 【0003】この膠着を防止する方法としては、タル
ク、シリカ、コロイダルアルミナ等の固体微粒子を水性
または油性スラリーとして繊維に付与する方法、高級脂
肪酸の金属塩粉末を水または鉱物油に分散させる方法
(特公昭41ー286号公報)等離型効果を主体とした
方法が提言されている。 【0004】しかし、固体粒子をベースオイル、特に本
用途で主に使用されているものは鉱物油やジメチルポリ
シロキサンのため、これらの中で分散させることは非常
に困難であり、分散させても経時で固体粒子が油剤中に
沈澱してしまい、繊維への均一付着が難しく、膠着防止
性が発現できなくなる問題がしばしば起こり、さらに糸
道上に脱落堆積物(スカム)が蓄積するなど長期的に安
定な操業性を得ることは困難とされている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
とするところは経日安定性に優れ、かつポリウレタン弾
性繊維を製造する際に、紡糸から後加工工程におけるス
カム発生防止、チーズ上での繊維同士の膠着防止および
解舒性を向上し、紡糸から後加工工程において良好な操
業性が得られるポリウレタン弾性繊維紡糸工程用油剤を
提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは経日安定性
に優れかつ膠着防止、解舒性を向上させるポリウレタン
弾性繊維紡糸工程用油剤を得るべく鋭意検討した結果、
エーテルカルボン酸塩類を含有する油剤が上記問題点を
解決することを見いだし、本発明に到達した。 【0007】 すなわち本発明は一般式(1)で表わさ
れるエーテルカルボン酸塩類を含有することを特徴とす
る弾性繊維紡糸工程用油剤である。 【0008】 R−O−(AO)m(CH2)nCOOM (1) 【0009】式中、Rは炭素数6〜25のアルキル基ま
たはアルケニル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、
Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムカ
チオンまたはアミンカチオン、mは0〜10の整数、n
は1〜3の整数を表わす。 【0010】一般式(1)において、Rとしては、炭素
数6〜25の直鎖または分岐鎖のアルキル基(ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウ
ンデシル基、2−エチルデシル基、ドデシル基、トリデ
シル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシ
ル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル
基、エイコシル基、ヘキコシル基、ドコシル基等)およ
びアルケニル基(ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテ
ニル基、デセニル基、2−エチルデセニル基、ウンデセ
ニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセ
ニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタ
デセニル基、ノナデセニル基等)等が挙げられる。これ
らRで示される基のうち好ましいものは炭素数12〜2
4の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。これらは2
種以上の混合物であってもよい。 【0011】一般式(1)において、Mとしては、アル
カリ金属(リチウム、カリウム、ナトリウム等)および
アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)が挙
げられる。これらMで示される金属のうち好ましいもの
はアルカリ土類金属である。これらは2種以上の混合物
であってもよい。 【0012】一般式(1)において、Aとしては、炭素
数2〜4のアルキレン基(エチレン基、プロピレン基、
ブチレン基等)が挙げられる。これらAで示される基の
うち好ましいものはエチレン基、プロピレン基である。
これらは2種以上の混合物であってもよい。混合物の場
合、ランダム、ブロックのいずれでもよい。 【0013】一般式(1)で表わされるエーテルカルボ
ン酸塩類はアルカリ触媒の存在下、高級アルコールまた
は高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物をモノ
ハロゲン化脂肪酸もしくはその塩またはアクリル酸もし
くはその塩と反応させ、必要により得られた反応物をア
ルカリ金属またはアルカリ土類金属にて塩を形成させる
ことにより製造することができる。 【0014】また、本発明のエーテルカルボン酸塩類の
含有量としては、通常全油剤に対し0.1〜20重量%
であり、好ましくは0.5〜10重量%である。0.1
重量%未満では膠着防止性が不十分であり、20重量%
を越えた場合は油剤全体の粘度が著しく上昇する傾向に
あるため、細デニールの糸を紡糸する際に、糸切れなど
の問題が生じることがある。 【0015】本発明のエーテルカルボン酸塩類を含有す
る油剤の粘度は、均一付着、ローラ巻き付き防止のため
に、25℃で100cst以下が好ましい。 【0016】本発明のエーテルカルボン酸塩類を含有す
る油剤のベースオイルとしては、紡糸から後加工工程で
の各種ローラーまたはガイド類との摩擦低減のために、
通常ジオルガノポリシロキサンおよび/または鉱物油の
使用が好ましい。 【0017】ジオルガノポリシロキサンとしては、ジメ
チルポリシロキサンやジメチルポリシロキサンのメチル
基の一部がその他のアルキル基、フェニル基で置換され
たもの等が挙げられる。いづれの場合も、配合油全体の
粘度が100cst以下である限り任意のものを選んで
も良いが、通常3〜50cstのものが好ましい。粘度
が3cst未満であると揮発性が高く、糸への付着が難
しくなる傾向があり、また50cstを越えると配合油
全体の粘度コントロールが難しくなることがある。 【0018】鉱物油としては、配合油全体の粘度が25
℃で100cst以下である限り任意のものを選んでも
良いが、通常25℃における粘度が3〜50cstのも
のが好ましい。粘度が3cst未満であると揮発性が高
く糸への付着が難しくなる傾向があり、また、50cs
tを越えると配合油全体の粘度コントロールが難しくな
ることがある。 【0019】 本発明の弾性繊維紡糸工程用油剤には、
さらに必要により膠着防止成分、例えば、タルク、シリ
カ、コロイダルアルミナ等の鉱物性固体微粒子、あるい
は高級脂肪酸の金属粉末塩、あるいはパラフィン、ポリ
エチレン等の常温固体ワックス、あるいはポリエーテル
変性シリコン、アミノ変性シリコン、エポキシ変性シリ
コン、シリコンレジン等の変性シリコンやつなぎ剤とし
て、アルコール類、脂肪酸エステル類等、本発明のエー
テルカルボン酸塩類の性能を損なわない程度に追加配合
して良く、追加させることで膠着防止効果を増大させる
ことができる。また、さらに制電剤、酸化防止剤、紫外
線吸収剤等、通常紡糸油剤に使用される成分を配合する
ことができる。 【0020】本発明の油剤はポリウレタン繊維の紡糸工
程において、紡出後、糸が巻き取られるまでの任意の位
置でローラ給油やノズル給油等で糸に付与させることが
できる。本発明の油剤は、通常ポリウレタン弾性繊維に
対して0.5〜10重量%、好ましくは1〜8重量%付
与させる。 【0021】 【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を更に
詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。 【0022】実施例および比較例で得られた油剤の経日
安定性、油剤を付与した糸のスカム発生、膠着性の試験
法は以下の通りである。 (イ) 経日安定性 調製した油剤を100mlのガラス製ボトルに入れ30
℃の恒温槽中に60日間放置した後、外観を肉眼で観察
し、作成直後の外観と比較し、次の基準で評価した。 −評価基準− ○:変化無し △:若干沈澱物が有る ×:沈澱物多い (ロ) スカム発生 ポリウレタン繊維の溶融紡糸において、調整した油剤を
ローラ給油で油剤付着量がフィラメント重量に対し6%
になるよう付与させ、300m/分でチーズに巻き取
り、40dのポリウレタン繊維を得た。紡糸開始24時
間後の糸道でのスカム発生の有無を目視にて観察し、次
の基準で評価した。 −評価基準− ○:発生無し △:発生有り ×:発生多い (ハ) 膠着性 巻き取ったチーズから10m/分の速度で糸を解舒し、
解舒張力を測定した。解舒張力が小さいほど糸同士の膠
着性が小さいことを示す。 【0023】 【実施例】表1記載のエーテルカルボン酸塩類(A〜
E)を表2記載の組成で配合し、全量を100部にする
ことで本発明の弾性繊維紡糸工程用油剤を調整した。経
日安定性、スカム、膠着性の評価結果を併せて表2に示
す。 【0024】 【表1】 【0025】表2の変性シリコンは下記のものを使用し
た。 【0026】 アミノ変性シリコン :KF−861(信越化学株式会社製) ポリエーテル変性シリコン:KF−351(信越化学株式会社製) エポキシ変性シリコン :SF−8413(東レ・ダウコーニング株式会社 製) シリコンレジン :BY16−877(東レ・ダウコーニング株式会 社製) 【0027】 【表2】 【0028】表2から明らかなように、本発明のエーテ
ルカルボン酸塩類を含有した油剤は経日安定性に優れて
いることが判る。 【0029】また、本発明の実施例1〜7は膠着性に関
しても従来の油剤と同等以上の膠着防止性を有し、かつ
糸道でのスカム発生が著しく低減されることが判る。 【0030】 【発明の効果】従来、ポリウレタン繊維を製造する際
に、ステアリン酸マグネシウム等のように固体粒子の剥
離性を利用して糸同士の膠着を防止させる方法が取られ
ているが、このような剤を含む油剤で処理すると、油剤
の経日安定性が悪く、沈殿物などが生じ糸への付着ムラ
など長期的に安定な操業性を得ることは出来なかった。
しかし、本発明のエーテルカルボン酸塩類を含有する弾
性繊維紡糸工程用油剤を用いて製造する場合には油剤自
身が経日安定性に優れかつ糸同士の膠着防止性にも優れ
ており、さらに糸道上でのスカム発生が少ないことか
ら、ポリウレタン弾性繊維を紡糸から後加工工程におい
て長期的に安定な操業性を保ちながら製造することがで
きるものである。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 一般式(1)で表されるエーテルカルボ
ン酸塩類を含有することを特徴とする弾性繊維紡糸工程
用油剤。 R−O−(AO)m(CH2)nCOOM (1) 式中、Rは炭素数6〜25のアルキル基またはアルケニ
ル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、Mはアルカリ
金属、アルカリ土類金属、アンモニウムカチオンまたは
アミンカチオン、mは0〜10の整数、nは1〜3の整
数を表わす。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25177295A JP3504397B2 (ja) | 1995-09-04 | 1995-09-04 | 弾性繊維紡糸工程用油剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25177295A JP3504397B2 (ja) | 1995-09-04 | 1995-09-04 | 弾性繊維紡糸工程用油剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0978450A JPH0978450A (ja) | 1997-03-25 |
JP3504397B2 true JP3504397B2 (ja) | 2004-03-08 |
Family
ID=17227697
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25177295A Expired - Fee Related JP3504397B2 (ja) | 1995-09-04 | 1995-09-04 | 弾性繊維紡糸工程用油剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3504397B2 (ja) |
-
1995
- 1995-09-04 JP JP25177295A patent/JP3504397B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH0978450A (ja) | 1997-03-25 |
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