JP3502192B2 - 粉体塗料組成物 - Google Patents

粉体塗料組成物

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JP3502192B2 JP16118895A JP16118895A JP3502192B2 JP 3502192 B2 JP3502192 B2 JP 3502192B2 JP 16118895 A JP16118895 A JP 16118895A JP 16118895 A JP16118895 A JP 16118895A JP 3502192 B2 JP3502192 B2 JP 3502192B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐衝撃性、耐チッピン
グ性に優れると共に、耐候性にも優れる熱硬化性粉体塗
料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】 [エコロジー等の観点からの塗料の技術分野における研
究開発動向と粉体型塗料への期待]近年、塗料の技術分
野において、ローカル又はグローバルな環境保全、労働
安全衛生環境改善、火災や爆発の予防、省資源等、の観
点から、溶剤型塗料にかわって、粉体型塗料への期待が
大きくなってきた。そして、歴史的又は社会的要請によ
り、粉体型塗料の高機能化・多様化への期待が大きくな
るに従い、粉体型塗料にも、溶剤型塗料に匹敵する高度
な塗膜性能(例えば、耐衝撃性、耐酸性雨性等)が要求
されるようになってきた。しかしながら、粉体型塗料に
要求される塗膜性能が厳しくなってきたにもかかわら
ず、必ずしも、このような要求を完全に満足する粉体型
塗料が上市されてきたとはいえない。
【0003】従来型の粉体塗料の具体例としては、例え
ば、ビスフェノ−ルAを主体とするエポキシ樹脂及びポ
リエステル樹脂粉体塗料が挙げられる。しかしながら、
これらは耐候性に問題があるばかりでなく、環境の酸性
化に伴い、最近になり特に問題となってきた酸性雨に対
する耐性にも問題があり、自動車車体塗装等の屋外での
使用を前提とした用途に問題があった。
【0004】その欠点を克服すべく、特公昭48−38
617号により、アクリル系粉体塗料が提案され、顕著
な耐候性の改善が実現した。しかしながら、耐衝撃性の
観点からは、このアクリル系粉体塗料も、従来型ポリエ
ステル系粉体塗料に比較して劣っていた。すなわち、耐
候性、耐酸性雨性及び耐衝撃性を同時に満足する粉体型
塗料が、必ずしも上市されているとはいえなかった。
【0005】このように、耐候性、耐酸性雨性及び耐衝
撃性を同時に満足する粉体型塗料が市場から要望され、
このような塗料を上市すべく研究開発も精力的にすすめ
られてきた。
【0006】[アクリル系粉体塗料塗膜の耐衝撃性の改
良に関する従来技術]アクリル系粉体塗料に関して、塗
膜の耐衝撃性の改良について、このような開発経緯の
中、例えば、以下の(1) 〜(3) のような技術が開示され
てはきたが、未だ決定的な解決方法が見い出されたとは
いえない。
【0007】例えば、以下の、(1) の技術(特開平5−
112743号)は、二塩基酸等を混合することによ
り、そして、(2) の技術(特開昭63−165463
号)は、アルキルチタネートを混合することにより、そ
れぞれ、低温度硬化性やリコート性の改善を図ったもの
であるが、いずれも、耐衝撃性は二次的な効果として挙
げられているにすぎず、その効果は必ずしも充分なもの
ではなかった。
【0008】(1) 特開平5−112743号 特開平5−112743号(名称:粉末形の被覆組成
物、出願人:ヘキストAG)には、硬化性に優れた粉末
形の被覆組成物を得る技術が開示されている。すなわ
ち、(A)グリシジル基を含有する共重合体、(B)脂
肪族又は脂環式二塩基酸、その無水物又は二塩基酸のポ
リオ−ル−変性無水物、(C)場合により顔料及び他の
添加剤、を含む粉末形の被覆組成物に関する技術が開示
されている。
【0009】ここで、共重合体(A)は、1,000〜
10,000の数平均分子量(Mn)及び30〜90℃
のガラス転移温度を有し、そして、a)少なくとも20
重量%のグリシジルアクリレ−ト又はグリシジルメタク
リレ−ト、b)35〜50重量%のスチレン、c)10
〜45重量%の脂肪族的に不飽和なモノカルボン酸又は
ジカルボン酸の1又は多数のアルキルエステル及びd)
0〜50重量%のオレフィン的に不飽和な1又は多数の
他の単量体からなる共重合体である。
【0010】しかしながら、この技術においては、耐衝
撃性は二次的な効果として挙げられているにすぎず、そ
の効果は必ずしも充分なものではなかった。
【0011】(2) 特開昭63−165463号 特開昭63−165463号(名称:熱硬化性アクリル
樹脂粉体塗料組成物、出願人:関西ペイント(株))に
は、特定のグリシジル基官能性アクリル樹脂、脂肪族二
塩基酸(無水物)及びアルキルチタネ−ト化合物を主成
分とする、低温で溶融・硬化し、しかも硬度、耐衝撃
性、耐屈曲性等に優れた塗膜を与える熱硬化性アクリル
樹脂粉体塗料組成物に関する技術が開示されている。
【0012】すなわち、(A)(メタ)アクリル酸の炭
素原子数1〜14のアルキルエステルと、(メタ)アク
リル酸のグリシジルエステルとを主成分として共重合さ
せて得られるグリシジル基官能性アクリル樹脂、(B)
脂肪族二塩基酸(好ましくはアジピン酸、セバシン酸、
デカンジカルボン酸、ムコン酸等)もしくはその無水
物、及び(C)式Ti(OR)4(Rは、炭素原子数1
5〜20のアルキル基)で示されるアルキルチタネ−ト
化合物(例:テトラペンタデシルチタネ−ト等)、を主
成分とする熱硬化性アクリル樹脂粉体塗料組成物に関す
る技術が開示されている。
【0013】しかしながら、この技術においては、耐衝
撃性は二次的な効果として挙げられているにすぎず、そ
の効果は必ずしも充分なものではなかった。
【0014】(3) 特公昭62−25709号 特開昭59−230068号(特公昭62−25709
号、登録1417360号、名称:新規な粉体塗料用エ
ポキシ樹脂組成物、出願人:旭化成工業(株))には、
エポキシ樹脂に、特定のエポキシ変性ゴムを特定量含有
させてなる、耐衝撃性、可撓性、耐食性に優れる、低温
においても衝撃吸収能を消失しない新規な粉体塗料用エ
ポキシ樹脂組成物に関する技術が開示されている。
【0015】すなわち、(A)分子中に2個以上のエポ
キシ基を有するエポキシ当量400〜2500のエポキ
シ樹脂97〜65(重量)部に、(B)(1)トルエン
に不溶のゲル含量が50%以上である基層ゴム粒子を、
(2)1分子当り0.5個以上のエポキシ基と、0.1
〜1.0個のアクリロイル基を有する重合性エポキシ化
合物及び/又はモノエチレン性グリシジルエステル又は
エ−テルと、(3)エチレン性単量体とでグラフト変性
したエポキシ変性ゴムを、ゴム分として3〜35部含有
してなる新規な粉体塗料用エポキシ樹脂組成物に関する
技術が開示されている。
【0016】以下に、前記技術の構成要素及び作用効果
について概説する。
【0017】i) 樹脂成分 前記技術で使用される樹脂成分は、「エポキシ樹脂」で
ある。
【0018】前記技術で用いられる「エポキシ樹脂」な
る語の概念には、文言上、狭義のエポキシ樹脂(ビスフ
ェノールAジグリシジルエーテル系エポキシ樹脂)を包
含するのみならず、広義のエポキシ樹脂(分子内に2個
以上のエポキシ基を有する樹脂)をも包含する。ここ
で、狭義のエポキシ樹脂とは、工業的にも最も大きな圧
倒的なシェアを有し、当業者により、通常、単に「エポ
キシ樹脂」と称することが慣用化されている、ビスフェ
ノールAジグリシジルエーテル系エポキシ樹脂である。
【0019】しかしながら、前記技術のエポキシ樹脂と
しては、最も好ましい態様(ベスト・モード)をはじめ
とした全ての記載について、前記狭義のエポキシ樹脂の
みが挙げられるのみであり、前記狭義のエポキシ樹脂以
外の広義のエポキシ樹脂については、何等開示がない。
【0020】ii) 硬化剤成分 前記技術に用いられる硬化剤は、特に限定されていな
い。
【0021】前記技術に用いられる硬化剤の具体例とし
て、ノボラックフェノール樹脂、ジシアンジアミド、イ
ミダゾール類、ヒドラジド類、芳香族アミン類、酸無水
物が開示されている。
【0022】iii) ゴム粒子 前記技術において、硬化剤により架橋した樹脂の連続相
(海)、及び、ゴム粒子の分散相(島)とから成る海島
構造を有する塗膜を形成させることにより、塗膜の耐衝
撃性を向上させることを企図して、特定の条件を有する
ゴム粒子が、発明の構成要素となっている。特定の条件
を有するゴム粒子とは、粒子表面に、エポキシ基又はグ
リシジル基を導入したものである。
【0023】ゴム粒子の表面に、特定量のエポキシ基を
導入しなければならない理由は、海島構造を有する高分
子多相系マトリックスにおいては、その均一性を確保す
るために、海と島の界面エネルギー又は相溶性が重要な
問題となるために、海島間の相溶性又は界面接着性を改
善することにあると思料される。
【0024】iv) 作用効果及び用途 前記技術において、その用途の具体例としては、耐衝撃
性が要求される、鋼管の外面塗装、棒鋼の被覆、電気絶
縁、塗料が例示されている。
【0025】(4) 特公昭62−25709号と本発明と
の異同 特公昭62−25709号と本発明との異同を以下に説
明する。
【0026】i) 樹脂成分 前記技術で使用される樹脂成分は、「エポキシ樹脂」で
ある。
【0027】本発明者らは、例えば、自動車等の車両の
ボディーやシャシー表面のように、走行中に砂利や小石
が大きな相対速度で衝突し、又、遮蔽物のない屋外で太
陽光線や厳しい気象条件に暴露される塗膜について鋭意
検討を重ねた結果、前記技術の最も好ましい態様(ベス
ト・モード)においても、耐チッピング性、耐候性及び
外観が劣ることを確認した。
【0028】前記技術の用途に関する開示内容から判断
するに、前記技術の発明者らは、その用途として、前述
した様な、例えば、自動車等の車両のボディーやシャシ
ー表面のような用途を予定していないものと思料され
る。すなわち、屋内用途や遮蔽物のある屋外用途を予定
していたものと思料される。
【0029】一方、本発明で使用される樹脂成分として
は、その様な用途においても、優れた耐候性を発揮す
る、分子内に2個以上のエポキシ基を有するアクリル樹
脂及び/又はメタクリル樹脂を採用した。
【0030】すなわち、本発明で使用される樹脂剤成分
は、本発明の構成において、例えば、自動車等の車両の
ボディーやシャシー表面のように、優れた外観(平滑
性、鮮映性等)が要求され、走行中に砂利や小石が大き
な相対速度で衝突し、又、遮蔽物のない屋外で太陽光線
や厳しい気象条件に暴露される場合に、優れた外観、耐
衝撃性、耐チッピング性を発揮することに大きく寄与す
る。
【0031】先に述べた様に、本発明で使用される樹脂
成分は、前記技術で定義されるエポキシ樹脂の概念に、
文言上含されるけれども、前記技術に具体的に開示され
てはいない。したがって、耐紫外線性、耐太陽光線性を
はじめとした耐候性という作用効果の観点からは、本発
明で使用される樹脂成分は、前記技術で定義されるエポ
キシ樹脂の概念に対して、具体的に開示されていない部
分を選択した下位概念であり、かつ他の成分と組合わせ
ることにより予想外の顕著な効果を与えるものである。
【0032】ii) 硬化剤成分 前記技術に用いられる硬化剤は、特に限定されていな
い。
【0033】本発明者らは、例えば、自動車等の車両の
ボディーやシャシー表面のように、走行中に砂利や小石
が大きな相対速度で衝突し、又、遮蔽物のない屋外で太
陽光線や厳しい気象条件に暴露される塗膜について鋭意
検討を重ねた結果、前記技術の最も好ましい態様(ベス
ト・モード)からゴム粒子の構成要素を除外した塗膜で
は、耐衝撃性、耐候性及び外観が劣ることを確認した。
【0034】一方、本発明で使用する硬化剤は、多価カ
ルボン酸(b1)及び多価カルボン酸線状無水物(b
2)からなる群から選択された少なくとも1種類の多価
カルボン酸系化合物(B)である。この具体例は後に詳
述する。
【0035】本発明で使用される硬化剤成分は、本発明
の構成において、例えば、自動車等の車両のボディーや
シャシー表面のように、優れた外観(平滑性、鮮映性
等)が要求され、走行中に砂利や小石が大きな相対速度
で衝突し、又、遮蔽物のない屋外で太陽光線や厳しい気
象条件に暴露される場合に、優れた外観、耐衝撃性、耐
チッピング性を発揮することに大きく寄与する。
【0036】本発明で使用される硬化剤成分は、前記技
術の硬化剤の概念に、文言上包含される。しかしなが
ら、特定の種類の硬化剤を選択して他の特定の樹脂成分
及びゴム粒子と組合わせることにより、耐衝撃性及び耐
チッピング性の点で予想外の顕著な作用効果を与える観
点からは、本発明で使用される硬化剤成分は、前記技術
の硬化剤の概念に対して、特別に選択した下位概念であ
る。
【0037】iii) ゴム粒子 前記技術において、粒子表面に、特定量のエポキシ基
(高分子1分子当たりエポキシ基0.5個以上)を導入
したゴム粒子が、発明の構成要素となっている。ゴム粒
子の表面に、特定量のエポキシ基を導入しなければなら
ない理由は、上述の通り、海島構造を有する高分子多相
系マトリックスにおいて、海島間の相溶性又は界面接着
性を改善することにあると思料される。
【0038】本発明者らは、例えば自動車等の車両のボ
ディーやシャシー表面のように、走行中に砂利や小石が
大きな相対速度で衝突し、又、遮蔽物のない屋外で太陽
光線や厳しい気象条件に暴露される塗膜について鋭意検
討を重ねた結果、前記技術の最も好ましい態様(ベスト
・モード)では、耐衝撃性については優れるものの、耐
チッピング性については劣り、さらには、塗膜外観が劣
ることを確認した。
【0039】本発明者らは、前記技術においては、海島
間の相溶性又は界面接着性を改善するために、海と島の
両者に、共通する官能基であるエポキシ基を高密度配置
しているが、そのために、海島間の架橋密度が高くなり
すぎてしまうために、粒子周辺の超局所的な弾性率が高
くなりすぎてしまい、局所的な衝撃を吸収しきれずに、
耐チッピング性(局所的な耐衝撃性)も劣るものと考察
した。
【0040】一方、本発明で用いるゴム粒子において
は、その様な粒子表面にエポキシ基を導入する必要は無
い。本発明においては、例えば、分散相(島)を構成す
る、コア/シェル構造を有する粒子(C)は、シェル
(粒子表面)高分子として、連続相(海)を構成するア
クリル系及び又はメタクリル系共重合体が有する溶解度
パラメーター(SP値)に近傍のものを選択することに
より、又は、適当な相溶化剤を第三成分として導入する
ことにより、粒子表面にエポキシ基又はグリシジル基を
全く導入することなく又は高密度で導入することなく、
均一な高分子多相系を実現することができる。
【0041】本発明で使用される粒子成分は、本発明の
構成において、例えば、自動車等の車両のボディーやシ
ャシー表面のように、優れた外観(平滑性、鮮映性等)
が要求され、走行中に砂利や小石が大きな相対速度で衝
突し、又、遮蔽物のない屋外で太陽光線や厳しい気象条
件に暴露される場合に、優れた耐衝撃性のみならず、優
れた耐チッピング性や優れた外観を発揮することに大き
く寄与する。
【0042】したがって、本発明で使用されるコア/シ
ェル構造を有する粒子は、前記技術のゴム粒子に包含さ
れない。
【0043】iv) 作用効果及び用途 前記技術において、その用途の具体例としては、耐衝撃
性が要求される、鋼管の外面塗装、棒鋼の被覆、電気絶
縁、塗料が例示されている。前記技術において、発明の
作用効果としては、塗膜の耐衝撃性の改善、特に低温に
おける耐衝撃性が開示されている。上述した通り、本発
明者らは、例えば、自動車等の車両のボディーやシャシ
ー表面のように、走行中に砂利や小石が大きな相対速度
で衝突し、又、遮蔽物のない屋外で太陽光線や厳しい気
象条件に暴露される塗膜について鋭意検討を重ねた結
果、前記技術の最も好ましい態様(ベスト・モード)で
は、500g鋼球落下のような広い面積の耐衝撃性につ
いては優れるものの、小石衝突のような局所的な耐衝撃
性である耐チッピング性については劣り、さらには、塗
膜外観が劣ることを確認した。
【0044】前記技術の発明者らは、その用途として、
例えば、自動車等の車両のボディーやシャシー表面のよ
うに、走行中に砂利や小石が大きな相対速度で衝突し、
又、遮蔽物のない屋外で太陽光線や厳しい気象条件に暴
露されるような用途を予定していないものと思料され
る。
【0045】一方、本発明の作用効果は、前記技術によ
る塗膜では得ることが困難な、優れた耐候性、耐チッピ
ング性、耐衝撃性、外観特性を同時に実現することがで
きる。したがって、本発明は、前記技術を応用すること
が困難な、前述の用途における塗膜に、きわめて好適に
応用することができる。
【0046】v) 特公昭62−25709号と本発明
との異同 したがって、上記の i)〜iv) から明らかなように、特
公昭62−25709号と本発明は、その構成要素及び
作用効果を異にする。
【0047】すなわち、本発明によれば、前記技術とは
異なる構成を採用することにより、前記技術を応用する
ことが困難な、例えば、自動車等の車両のボディーやシ
ャシー表面のように、走行中に砂利や小石が大きな相対
速度で衝突し、又、遮蔽物のない屋外で太陽光線や厳し
い気象条件に暴露される塗膜に、きわめて好適に応用す
ることができる。
【0048】[耐チッピング性]本出願の特許請求の範
囲又は明細書において用いる「チッピング」なる語の概
念は、ピンポイントに短時間で荷重を負荷したの際の衝
撃破壊の現象を包含し、特に自動車塗料の技術分野にお
いては、飛来してくる小石と衝突した際に自動車車体塗
膜が被る傷付きの現象をも包含する。本出願の特許請求
の範囲又は明細書において用いる「耐チッピング性」な
る語の概念は、「チッピング」に対する塗膜の抵抗性を
包含する。
【0049】耐チッピング性の評価方法の具体例として
は、例えば、米国で採用されている、自動車用塗膜の試
験法SAE−J400、ASTM D−370に従った
グラベロメーターによる飛石試験が挙げられる。これら
の評価法では、所定粒度の小石を、所定の力で塗膜に衝
突させて、それにより生じた塗膜傷直径を評価すること
により判定される。
【0050】[耐衝撃性]本出願の特許請求の範囲又は
明細書において用いる「耐衝撃性」なる語の概念は、広
い面積に短時間で荷重を負荷した際の衝撃破壊の現象を
包含し、特に自動車塗料の技術分野においては、大きな
物と衝突した際に自動車車体塗膜が被る傷付きの現象を
も包含する。
【0051】耐衝撃性の評価方法の具体例としては、例
えば、耐衝撃性試験(デュポン式衝撃性試験)JIS
K5400 6.13.3に従ったものが挙げられる。
これらの評価法では、おもり(500g又は1kgの2
種類)を塗膜に落下した際に、塗膜に割れやはがれが発
生する落下高さを評価することにより判定される。
【0052】[耐衝撃性と耐チッピング性の相関関係]
従来、粉末塗料の技術分野においては、塗膜の耐衝撃性
と耐チッピング性の概念の違いがほとんど認識されず、
また、塗膜の耐衝撃性が重視されることはあったが、塗
膜の耐チッピング性の重要性については、ほとんど注意
されることがなかった。すなわち、塗膜について耐衝撃
性について評価しても、塗膜について耐チッピング性に
ついて評価することはほとんどなく、耐衝撃性と耐チッ
ピング性の相関関係については検討されてはこず、耐衝
撃性に優れることが、必ずしも、耐チッピング性に優れ
るとはいえなかった。
【0053】例えば、特開平3−221567号におい
ては、粉体塗料の硬化形式として酸/イソシアネート反
応により粉体塗料塗膜を硬化せしめ、それにより塗膜の
耐衝撃性を改善する技術が開示されている。この特開平
3−221567号においてさえ、塗膜の耐チッピング
性の概念が全く想到されず、また、塗膜の耐衝撃性のみ
重視し、塗膜の耐チッピング性の重要性について全く注
意されていない。
【0054】このような背景から、本発明者らは、粉体
塗料により形成した塗膜の、耐衝撃性と耐チッピング性
との間の相関関係について着目した。例えば、米国特許
3,845,016号(Santokh S.Laba
na等)、米国特許3,919,347号(Themi
stoklis Katsimbas等)、特開平5−
112743号等には、グリシジル基/酸無水物基反応
により硬化せしめた粉体塗料塗膜は、耐衝撃性に劣るこ
とが記載されている。
【0055】本発明者らは、これらに開示されている塗
膜について耐衝撃性について追試したところ、確かに耐
衝撃性に劣っていることが確認された。本発明者らは、
これらに開示されている塗膜について、同時に、耐チッ
ピング性についても独自に試験したが、耐衝撃性に劣っ
ているにもかかわらず、耐チッピング性については逆に
優れていることが確認された。すなわち、少なくともこ
れら事例に関する限り、耐衝撃性と耐チッピング性との
間には相関関係がないことが確認された。
【0056】本発明者らは、この結果に立脚し、また、
アクリル系をはじめとする粉体塗料の従来技術につい
て、当業者が、耐衝撃性を解決課題とすることはあった
が、耐チッピング性を解決課題とすることがほとんどな
かったことに着目し、粉体塗料により形成した塗膜に、
耐衝撃性のみならず、耐チッピング性をも付与すること
を解決課題とした。本発明者らは、このような観点か
ら、高分子化学領域の「ポリマーアロイ」又は「ポリマ
ーブレンド」の分野における、ミクロ相分離構造による
タフニング機構の概念を、粉体塗料の技術分野に応用
し、塗膜に耐衝撃性と耐チッピング性を同時に付与する
という、全く新規な技術的思想に基づき鋭意検討を進め
た。
【0057】従来技術とは対照的に、本発明は、コア中
にガラス転移点計算値20℃以下の重合体を配し、シェ
ル中にガラス転移点計算値40℃以上の重合体を配し
た、コア/シェル構造を有する粒子を分散相(島)とし
て、有機高分子を含む連続相(海)中に、前記有機高分
子の三次元架橋網目構造及び又はIPN(inter−
penetrating network)構造によ
り、均一に保持し又は封じ込めることにより、前記コア
/シェル構造を有する粒子の耐衝撃性により、得られる
塗膜全体に、優れた耐衝撃性及び耐チッピング性を付与
するという技術的思想に基づいている点で、新規性を有
する。
【0058】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点に鑑み、エポキシ樹脂粉体塗料やポリエステ
ル粉体塗料の欠点である耐候性を改善し、かつ、ポリエ
ステル粉体塗料に匹敵する優れた耐衝撃性を有し、さら
には、従来ほとんど当業者により注目されなかった耐チ
ッピング性についても優れた、アクリル系粉体塗料を提
供することを目的とする。
【0059】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術の問題点を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、グ
リシジル基(エポキシ基)を有するアクリル系共重合
体、多価カルボン酸及び/又はその無水物、さらに、ガ
ラス転移点計算値20℃以下のコアを有し、ガラス転移
点計算値40℃以上の少なくとも1つのシェルによりコ
アが少なくとも部分的に覆われているコア/シェル構造
を有する粒子を、均一分散するという新しい試みによ
り、耐衝撃性(従来のデュポン衝撃試験で評価される耐
衝撃性)のみならず、耐チッピング性(飛石試験により
評価されるピンポイント集中荷重負荷による耐衝撃性)
をも同時に達成できるという知見を見出し、本発明を完
成するに至った。
【0060】 即ち、本発明の上記目的は、単量体(a
1)として、少なくとも1つのグリシジル基及び少なく
とも1つの不飽和二重結合を分子内に有するエチレン性
不飽和単量体、及び、単量体(a2)として、少なくと
も1つの不飽和二重結合を分子内に有し、かつ、グリシ
ジル基を分子内に有さないエチレン性不飽和単量体を含
む反応系で重合して得られる少なくとも1種類のアクリ
ル系及び/又はメタクリル系共重合体(A)、多価カル
ボン酸(b1)及び多価カルボン酸無水物(b2)から
なる群から選択された少なくとも1種類の多価カルボン
酸系化合物(B)、並びに、ガラス転移点計算値20℃
以下のコアを有し、ガラス転移点計算値40℃以上であ
りかつ実質的にグリシジル基を含まない少なくとも1つ
のシェルによりコアが少なくとも部分的に覆われている
コア/シェル構造を有する粒子(C)を含む熱硬化性粉
体塗料組成物により達成される。
【0061】以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0062】[アクリル系及び/又はメタクリル系共重
合体(A)]アクリル系及び/又はメタクリル系共重合
体(A)は、単量体(a1)として、少なくとも1つの
グリシジル基及び少なくとも1つの不飽和二重結合を分
子内に有するエチレン性不飽和単量体、及び、単量体
(a2)として、少なくとも1つの不飽和二重結合を分
子内に有し、かつ、グリシジル基を分子内に有さないエ
チレン性不飽和単量体、を含む反応系で重合して得られ
る。
【0063】この樹脂剤成分(A)は、後に詳述する硬
化剤成分(B)と共に本発明の構成において、例えば自
動車等の車両のボディーやシャシー表面のように、優れ
た外観(平滑性、鮮映性等)が要求され、走行中に砂利
や小石が大きな相対速度で衝突し、又、遮蔽物のない屋
外で太陽光線や厳しい気象条件に暴露される場合に、優
れた外観、耐衝撃性、耐チッピング性を発揮することに
大きく寄与する。
【0064】本出願の特許請求の範囲又は明細書におい
て用いる「共重合体」なる語の概念は、「コポリマー」
なる語の概念と相互に等価である。コポリマー(共重合
体)の配列の様式は、ランダム共重合体、交替共重合
体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれで
もよい。高分子は、線状、大環状、分岐状、星形、三次
元網目状等のいずれでもよい。
【0065】[単量体(a1)及び(a2)]アクリル
系及び/又はメタクリル系共重合体(A)を重合する際
に使用する、少なくとも1つのグリシジル基及び少なく
とも1つの不飽和二重結合を分子内に有するエチレン性
不飽和単量体(a1)の具体例としては、例えば、グリ
シジルメタクリレ−ト、グリシジルアクリレ−ト、メチ
ルグリシジルメタクリレ−ト、メチルグリシジルアクリ
レ−ト、アクリルグリシジルエ−テル等が挙げられ、こ
れらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用する
ことができる。
【0066】アクリル系及び/又はメタクリル系共重合
体(A)を重合する際に使用する、少なくとも1つの不
飽和二重結合を分子内に有し、かつ、グリシジル基を分
子内に有さないエチレン性不飽和単量体(a2)の具体
例としては、メチル−、エチル−、n−プロピル−、イ
ソプロピル−、n−ブチル−、イソブチル−、sec−
ブチル−、tert−ブチル−、n−アミル−、イソア
ミル−、n−ヘキシル−、シクロヘキシル−、2−エチ
ルヘキシル−、オクチル−、2−エチルオクチル−、デ
シル−、ドデシル−、オクタデシル−、ステアリル−、
シクロヘキシル−、ベンジル−、フェニル−、ヒドロキ
シエチル−、2−ヒドロキシプロピル−、3−ヒドロキ
シプロピル−、2−ヒドロキシブチル−、3−ヒドロキ
シブチル−、4−ヒドロキシブチル−、ポリエチレング
リコールモノ−、1,4−ブタンジオールモノ−、ジメ
チルアミノ−等のアクリル酸エステル又はメタクリル酸
エステルを含むアクリル酸誘導体又はメタクリル酸誘導
体、マレイン酸やイタコン酸等のジカルボン酸のエステ
ル類、ビニルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメ
タクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジアセト
ンメタクリルアミド等のアミド類等が挙げられ、これら
は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用すること
ができる。
【0067】アクリル系及び/又はメタクリル系共重合
体(A)を重合する際に使用する、少なくとも1つの不
飽和二重結合を分子内に有し、かつ、グリシジル基を分
子内に有さないエチレン性不飽和単量体(a2)の他の
具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニ
ルトルエン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビ
ニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン
等の芳香族ビニル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ふ
っ化ビニル、モノクロロトリフルオロエチレン、テトラ
フルオロエチレン、クロロプレン等のハロゲン化エチレ
ン系不飽和単量体類、アクリロニトリルやメタアクリロ
ニトリル等のニトリル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビ
ニル等のビニルエステル類、エチレン、プロピレン、イ
ソプレン、ブタジエン、炭素数4乃至20のα−オレフ
ィン等のα−オレフィン類、ラウリルビニルエーテル等
のアルキルビニルエーテル類、ビニルピロリドン、4−
ビニルピロリドン等の含窒素ビニル類、などを包含する
エチレン系不飽和単量体が挙げられ、これらは1種又は
2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0068】アクリル系及び/又はメタクリル系モノマ
ーは、アクリル系及び/又はメタクリル系共重合体
(A)の製造に用いる全モノマーに対し、通常60〜1
00モル%、更に80〜100モル%の範囲で使用する
ことが好ましい場合が多い。これが60モル%未満で、
これ以外の単量体(40モル%以上の分)として、例え
ばスチレン等の芳香族ビニル類を多用した場合は、塗膜
の耐候性の悪化が顕著となる傾向にある。また、アクリ
ロニトリル等のニトリル類を多用した場合は、塗膜の着
色が顕著となる傾向にあり、外観上好ましくない。
【0069】本出願の特許請求の範囲又は明細書におい
て用いる「誘導体」なる語の概念には、特定の化合物の
水素原子が、他の原子あるいは原子団Rによって置換さ
れたものを包含する。ここでRは、少なくとも1個の炭
素原子を含む1価の炭化水素基であり、より具体的に
は、脂肪族、実質的に芳香族度の低い脂環族、これらを
組み合わせた基、又はこれらが水酸基、カルボキシル
基、アミノ基、窒素、硫黄、けい素、りんなどで結合さ
れるような2価の残基であってもよく、これらのうち特
に、狭義の脂肪族系の構造のものが好ましい。Rは、上
記のものに、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、
アリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、ア
リルオキシル基、ハロゲン(F、Cl、Br等)基等が
置換した基であってもよい。
【0070】これらの置換基を適宜選択することによ
り、本発明に係る粉体塗料組成物により形成される塗膜
の諸特性を制御することができる。
【0071】[アクリル系及び/又はメタクリル系共重
合体(A)のガラス転移点]塗料組成物の貯蔵安定性、
塗料焼付時塗料組成物流動性低下に起因する塗膜平滑性
等を考慮して、一般的には、アクリル系及び/又はメタ
クリル系共重合体(A)のガラス転移点計算値は、20
〜120℃が好ましく、40〜110℃がより好まし
い。
【0072】[アクリル系及び/又はメタクリル系共重
合体(A)の数平均分子量]同様に、アクリル系及び/
又はメタクリル系共重合体(A)の数平均分子量は、一
般的には、1,000〜10,000の範囲が好まし
い。ここで、数平均分子量は、ポリスチレンを標準とし
てゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GP
C)により評価することができる。
【0073】[アクリル系及び/又はメタクリル系共重
合体(A)のエポキシ当量]塗料焼き付け時の低温硬化
性が達成されず硬化性が不足し耐溶剤性が低下する問
題、塗膜の表面が平滑とならず好ましい塗膜外観が得ら
れにくくなる問題、等を考慮して、一般的には、アクリ
ル系及び/又はメタクリル系共重合体(A)のエポキシ
当量が、好ましくは200〜1,000g/eqになる
ように、より好ましくは300〜800g/eqとなる
ように、少なくとも1つのグリシジル基(エポキシ基)
及び少なくとも1つの不飽和二重結合を分子内に有する
エチレン性不飽和単量体(a1)の仕込比率を調製す
る。
【0074】ここで、エポキシ当量とは、エポキシ基の
1g当量当たりの樹脂の重量g数で表され、単位はg/
eqである。エポキシ当量を求める為に、樹脂中のグリ
シジル基の量を測定する方法としては、グリシジル基を
開環させる作用を有する開環剤と樹脂とを、該開環剤の
過剰雰囲気下で反応させ、未反応分の開環剤を逆滴定す
る方法が一般的であり、「塩酸ピリジン法」、「過塩素
酸法」等があり、何れを選択してもかまわない。開環剤
/滴定指示薬/滴定剤としては、前者では、塩酸ピリジ
ン溶液/フェノールフタレイン+チモールブルーのメタ
ノール溶液/KOHのメタノール溶液が、後者では、氷
酢酸+セチルトリメチルアンモニウムブロマイド/パテ
ントブルーNAの酢酸溶液+チモールブルーのメタノー
ル溶液/過塩素酸の(無水)酢酸溶液が、それぞれ使用
される。また、上記2法から測定されるエポキシ当量
は、共に次式で与えられる。
【0075】
【数1】 W:樹脂の重量(g) X:滴定液の濃度X規定(mol/L) F:滴定液の力価(ファクター) V1 :樹脂溶液への滴定量(ml) V2 :ブランクへの滴定量(ml)。
【0076】[アクリル系及び/又はメタクリル系共重
合体(A)の合成法]アクリル系及び/又はメタクリル
系共重合体(A)の合成法は、実質的に所望の特性を有
するものが得られるのであれば、特に限定されない。ア
クリル系及び/又はメタクリル系共重合体(A)は、公
知・公用の常法により合成することができる。アクリル
系及び/又はメタクリル系共重合体(A)は、溶液重合
法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法を包含するラ
ジカル重合法により調製することができるが、特に、溶
液重合法が好適に用いられる。
【0077】また、アクリル系及び/又はメタクリル系
共重合体(A)の分子量を調整する方法としては、ドデ
シルメルカプタンなどのメルカプタン類、ジベンゾイル
スルフィドなどのジスルフィド類、チオグリコール酸2
−エチルヘキシルなどのチオグリコール酸の炭素数1〜
18のアルキルエステル類、四臭化尿素などのハロゲン
化炭化水素類の連鎖移動剤、イソプロピルアルコール、
イソプロピルベンゼン、トルエン等の連鎖移動効果の大
なる有機溶剤の存在下に重合する等の手段を用いること
ができる。
【0078】[多価カルボン酸系化合物(B)]多価カ
ルボン酸系化合物(B)は、多価カルボン酸(b1)及
び多価カルボン酸無水物(b2)からなる群から選択さ
れた少なくとも1種類の化合物である。この化合物
(B)は、アクリル系及び/又はメタクリル系共重合体
(A)分子内に存在するエポキシ基(グリシジル基)と
反応する硬化剤成分である。
【0079】この多価カルボン酸系化合物(B)として
は、脂肪族、芳香族、脂環式の何れの化合物も使用でき
る。芳香族多価カルボン酸の具体例としては、例えば、
イソフタル酸、トリメリット酸等が挙げられ、これらは
単独で又は組み合わせて使用することができる。脂環式
多価カルボン酸の具体例としては、例えば、ヘキサヒド
ロフタル酸、テトラヒドロフタル酸等が等が挙げられ、
これらは単独で又は組み合わせて使用することができ
る。また、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂等
も使用できる。
【0080】但し、本発明においては、脂肪族多価カル
ボン酸系化合物を用いることが、平滑性、耐衝撃性、耐
候性等の塗膜特性の点で好ましい。
【0081】本出願の特許請求の範囲又は明細書におい
て用いる「脂肪族」なる語の概念には、狭義の脂肪族の
みならず、実質的に芳香族度が低い脂環族をも包含す
る。すなわち、この「脂肪族」化合物なる語の概念に
は、少なくとも1個の炭素原子を含む2価の炭化水素基
を分子内に有する、実質的に芳香族度の低い化合物から
なる群をも包含し、具体的には、狭義の脂肪族基のみな
らず、実質的に芳香族度の低い脂環族基、これらを組み
合わせた基、又はこれらが水酸基、窒素、硫黄、けい
素、りんなどで結合されるような2価の残基を分子内に
有する化合物からなる群をも包含し、さらに具体的に
は、上記のものに、例えば、アルキル基、シクロアルキ
ル基、アリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル
基、アリルオキシル基、ハロゲン(F、Cl、Br等)
基等が置換した基を分子内に有する化合物からなる群を
も包含する。これらの置換基を適宜選択することによ
り、本発明に係る共重合体の諸特性(耐熱性、強靱性、
分解性、強度特性、分解性等)を制御することができ
る。本出願の特許請求の範囲又は明細書において用いる
「脂肪族」化合物なる語の概念には、一種類の化合物の
みならず、二種類以上の組み合わせによるものをも包含
する。
【0082】以下、この脂肪族多価カルボン酸系化合物
の例について説明する。
【0083】[脂肪族多価カルボン酸(b1)]脂肪族
多価カルボン酸(b1)は、実質的に、分子内にカルボ
キシル基を、少なくとも2個有する脂肪族化合物であれ
ば、特に制限されず、1種類または2種類以上を用いる
ことができる。
【0084】脂肪族多価カルボン酸(b1)の具体例と
しては、脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。脂肪族ジカ
ルボン酸の具体例としては、例えば、コハク酸、グルタ
ル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライ
ン酸、セバシン酸、クエン酸、マレイン酸、シトラコン
酸、イタコン酸、グルタンコン酸、ウンデカン2酸、ド
デカン2酸、ペンタデカン2酸、トリデカン2酸、テト
ラデカン2酸、ヘキサデカン2酸、オクタデカン2酸、
アイコサン2酸、ドコサン2酸、テトラドコサン2酸等
が挙げられ、これらの中では、ドデカンジカルボン酸が
好ましく、これらは、単独でまたは2種類以上を併せて
用いることができる。
【0085】平滑性、耐衝撃性、耐候性等の塗膜特性に
関して、脂環族多価カルボン酸については、芳香族度が
高くなるに従い、塗膜特性が劣化する傾向がある。
【0086】[脂肪族多価カルボン酸無水物(b2)]
本出願の特許請求の範囲又は明細書で用いる「アンヒド
リド」、「アンヒドリド基」、「アンヒドリド結合」及
び「ポリアンヒドリド」なる語の概念には、MARUZ
EN高分子大辞典(丸善刊・1994年)・996〜9
98頁の「ポリアンヒドリド」の項に記載されているそ
れぞれの語に関する概念をも包含する。本出願の特許請
求の範囲又は明細書で用いる「酸無水物」及び「アンヒ
ドリド」なる語の概念は、相互に等価の概念であり、本
出願の特許請求の範囲又は明細書で用いる「酸無水物」
または「アンヒドリド」なる語の概念には、化学大辞典
・第3巻(共立出版刊・1963年)・996頁左欄〜
997頁右欄記載の「酸無水物」の項に記載されている
概念をも包含する。
【0087】本発明においては橋架け効果等の点から、
線状の脂肪族多価カルボン酸無水物が好ましい。以下、
この多価カルボン酸線状酸無水物の例について説明す
る。
【0088】脂肪族多価カルボン酸線状無水物(b2)
は、実質的に、分子内にカルボキシル基を有するかまた
は有しない、線状の2量体以上のオリゴまたはポリの脂
肪族の酸無水物(アンヒドリド)であって、分子内に実
質的に存在するカルボキシル基及び/又は酸無水物(ア
ンヒドリド)基を、少なくとも2個有する化合物であれ
ば、特に制限されず、1種類または2種類以上を用いる
ことができる。
【0089】本出願の特許請求の範囲又は明細書におい
て、「線状」なる語の概念には、線状のみならず、線状
の2量体以上のオリゴまたはポリの脂肪族の酸無水物
(アンヒドリド)が、線状と同様の作用を奏する大環状
を形成している場合をも包含する。
【0090】脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物(b
2)の具体例としては、1種類または2種類以上の脂肪
族多価カルボン酸を脱水縮合して得られる線状重縮合物
が挙げられる。
【0091】脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物(b
2)として使用することができる、耐チッピング性改善
に特に有効な無水物としては、1種類の脂肪族多価カル
ボン酸を脱水縮合して得られる線状重縮合物のある種の
ものは、次の一般式で表すことができる。
【0092】 HO−[−OC(CH2mCOO−]n−H ここで、mは1以上、nは2以上であり、好ましくはm
は30以下である。
【0093】2種類以上の脂肪族多価カルボン酸の共重
合線状縮合物を使用することもできる。
【0094】脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物(b
2)の耐チッピング性改善に特に有効な具体例として
は、上記脂肪族多価カルボン酸(b1)の脱水線状縮合
物が挙げられ、これらの中では、アジピン酸、ピメリン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカ
ン2酸、ドデカン2酸、アイコサン2酸、オクタデカン
2酸の脱水線状縮合物がより好ましく、ドデカン2酸の
脱水線状縮合物がさらに好ましい。
【0095】例えば、本出願に係る粉体塗料組成物か
ら、その構成要素であるコア/シェル構造を有する粒子
(C)を除いた組成物から生成した塗膜でさえも、耐衝
撃性については充分なものではないが、耐チッピング性
に関しては、ある程度の顕著な改善効果を示す。
【0096】脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物(b
2)は、融点が40〜150℃の範囲にあるように調製
することが好ましい。
【0097】[脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物(b
2)による架橋結合形成]無水こはく酸や無水フタル酸
のような、(脂肪族)多価カルボン酸の環状無水物を、
アクリル系及び/又はメタクリル系共重合体(A)と反
応させると、該無水物は、アクリル系及び/又はメタク
リル系共重合体(A)分子中の特定のグリシジル基のエ
ポキシ環とのみ反応する確率が高いため、複数のアクリ
ル系及び/又はメタクリル系共重合体(A)分子を橋架
けする効果が小さい。
【0098】一方、脂肪族多価カルボン酸の(共)重合
線状縮合物を、共重合体(A)と反応させると、該縮合
物は、アンヒドリド基部分で開裂して複数のフラグメン
トとなり、それぞれが、別々のアクリル系及び/又はメ
タクリル系共重合体(A)分子中のグリシジル基と反応
するため、複数のアクリル系及び/又はメタクリル系共
重合体(A)分子を橋架けする効果が発揮される。
【0099】[多価カルボン酸系化合物の使用量]共重
合体(A)中のグリシジル基1当量に対し、多価カルボ
ン酸(b1)中のカルボキシル基は、0.1〜1.2当
量が望ましく、0.2〜1.1当量が好ましく、0.3
〜1.0当量がより好ましい。また、共重合体(A)中
のグリシジル基1当量に対し、多価カルボン酸無水物
(b2)中の酸無水物基は、同様に、0.1〜1.2当
量が望ましく、0.2〜1.1当量が好ましく、0.3
〜1.0当量がより好ましい。さらに、共重合体(A)
中のグリシジル基1当量に対し、多価カルボン酸系化合
物(B)分子中に存在するカルボキシル基及び/又は酸
無水物基の合計当量は、0.5〜1.3当量が望まし
く、0.6〜1.2当量が好ましく、0.7〜1.0当
量がさらに好ましい。多価カルボン酸系化合物の使用量
がこの範囲から離れると塗膜の耐溶剤性や耐衝撃性など
の特性が劣化する傾向にある。
【0100】[コア/シェル構造を有する粒子(C)]
コア/シェル構造を有する粒子(C)は、ガラス転移点
計算値20℃以下のコアを有し、ガラス転移点計算値4
0℃以上の少なくとも1つのシェルによりコアが少なく
とも部分的に覆われているコア/シェル構造を有する。
【0101】本発明の組成物を用いて塗膜を形成する
と、このコア/シェル構造を有する粒子(C)を分散相
(島)として、有機高分子を含む連続相(海)中に、前
記有機高分子の三次元架橋網目構造及び/又はIPN構
造により、均一に保持し又は封じ込めることにより、前
記コア/シェル構造を有する粒子(C)の耐衝撃性によ
り、塗膜全体に優れた耐衝撃性及び耐チッピング性を付
与できる。
【0102】(1) 「コア」、「シェル」及び「コア/シ
ェル」なる語の概念 本出願の特許請求の範囲又は明細書において用いる「コ
ア」、「シェル」及び「コア/シェル」なる語は、これ
らの語が高分子化学において一般的に有する概念を完全
に包含するが、必ずしも等価なものではない。例えば、
本発明に係る「コア/シェル」粒子に関しては、「コ
ア」が少なくとも部分的に「シェル」に包まれている態
様、コア中又は粒子中に微小空隙(マイクロボイド、ボ
イド、キャビティーを包含する。以下の記述において同
様。)を1つ以上有するような態様、コア中又は粒子中
に微小空隙を1つ以上有し該空隙が粒子の外側の空間と
連結する通路を1つ以上有するような態様、等をも包含
する。このように、本出願の特許請求の範囲又は明細書
において用いる「コア」、「シェル」及び「コア/シェ
ル」なる語は、これらの語が高分子化学において一般的
に有する概念と、必ずしも等価なものではないのではあ
るが、本発明に係るヘテロポリマー系の本質的「態様」
について屡々言及するに当たり便宜的に用いるものとす
る。
【0103】なお、高分子化学においては、一般的に、
「コア」なる語は、「核(core,center,n
ucleus)」、「芯(core,center)」
及び「種(seed)」なる語と等価に用いられ、「シ
ェル(shell)」なる語は、「殻(shell,s
kin,husk)」、「鞘(sheath)」及び
「おおい(robe)」なる語と等価に用いられる。し
たがって、本出願の特許請求の範囲又は明細書において
用いる「コア」なる語については、「核(core,c
enter,nucleus)」、「芯(core,c
enter)」及び「種(seed)」なる語と同等に
用いることもできる。同様に、「シェル」なる語につい
ては、「殻(shell,skin,husk)」、
「鞘(sheath)」及び「おおい(robe)」な
る語と同等に用いることもできる。
【0104】(2) 「粒子」なる語の概念 本出願の特許請求の範囲又は明細書において用いる「粒
子」なる語の概念には、これらの語が高分子化学におい
て一般的に有する概念を完全に包含するが、必ずしも等
価なものではない。本出願の特許請求の範囲又は明細書
において用いる「粒子」の走査電子顕微鏡的形態の態様
に関しては、例えば、ラズベリー状又は金米糖(こんぺ
いとう、ポルトガル語のconfeito)状の多くの
突起を有するような態様、赤血球状の偏平な態様、ラグ
ビーボール状の回転楕円体様の態様、大腸菌状の紡錘形
様の態様、内部に1つ以上の空隙(ボイド)を有する様
な中空粒子の態様、鈴のように中空粒子の中にさらに非
中空粒子を有するような態様、ロシアの民芸品のマトリ
ョーシカのように中空粒子の内部にさらに中空粒子を1
つ以上有するような態様、等をも包含する。本出願の特
許請求の範囲又は明細書において用いる「粒子」なる語
の概念には、例えば、ポリマーエマルジョン、ラテック
ス、ポリマーサスペンジョンを構成するマイクロスフィ
アをも包含する。このように、本出願の特許請求の範囲
又は明細書において用いる「粒子」なる語は、これらの
語が高分子化学において一般的に有する概念と、必ずし
も等価なものではないのではあるが、本発明に係るヘテ
ロポリマー系の本質的「態様」について屡々言及するに
当たり便宜的に用いるものとする。
【0105】(3) 「連続的な乳化重合又は懸濁重合」、
「多段階継続的重合」又は「継続的重合」の概念 本出願の特許請求の範囲又は明細書において用いる「連
続的な乳化重合又は懸濁重合」、「多段階継続的重合」
又は「継続的重合」なる記載の概念は、水系連続相(水
系媒体)において予備生成した粒子、すなわち、種(s
eed)ポリマー粒子を、1又は2以上の引き続く工程
に、単量体と共に適用して重合することにより、種ポリ
マーの上に、1又は2以上のポリマーを堆積させる(d
epositさせる)ことにより、1又は2以上のポリ
マー層を積層させ、かつ、粒子直径を増加させていく、
乳化重合又は懸濁重合の技術を包含する。ここで、「単
量体」なる語の概念には、1又は2以上の種類の単量体
を包含し、「ポリマー」なる語の概念には、ホモポリマ
ー及びコポリマーを包含する。コポリマー(共重合体)
の配列の様式は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブ
ロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれでもよ
い。
【0106】(4) 単一態様性(unimodal)継続
的重合ヘテロポリマー 多段階継続的重合においては、ある段階から引き続くす
ぐ次の段階で、界面活性剤を全く追加添加しなければ、
反応系において実質的にミセルが生成しないので、その
段階の反応系に存在するモノマーは全て、すぐ前の段階
の反応系から得られた粒子上に取り込まれ、かつ物理的
及び/又は化学的に緊密に結合する。このような反応様
式を、粒子製造のプロセスにおいて、一貫して採用する
と、実際の結果はともかく、原理的には、1種類のみの
コア/シェル構造又はポリマー堆積構造を有する粒子を
得ることができるはずである。
【0107】このような粒子を、「単一態様性(uni
modal)」継続的重合ヘテロポリマーと称する。前
記単一態様性継続的重合へテロポリマーについては、例
えば、特公平3−9124号(Kowalskiら)・
10欄31行〜11欄8行において、さらに詳細に説明
されている。その記載は、参照により、本出願明細書に
記載した事項又は開示からみて、当業者が直接的かつ一
義的に導き出せる事項又は開示とする。
【0108】(5) 多態様性(polymodal)継続
的重合ヘテロポリマー 一方、ある段階から引き続く、すぐ次の段階で、ミセル
を形成し得る量の、すなわち、CMC(臨界ミセル形成
濃度)以上の量の、界面活性剤を追加添加すると、その
段階の反応系に存在するモノマーについては、一部分の
モノマーは、すぐ前の段階の反応系から得られた粒子上
に取り込まれ、かつ物理的及び又は化学的に緊密に結合
し、残りの部分のモノマーは、すぐ前の段階の反応系か
ら得られた粒子上に取り込まれず、付加的ミセルに取り
込まれて、付加的粒子を生成する。このような反応様式
を、粒子製造のプロセスにおいて採用する場合、実際の
結果はともかく、原理的には、多種多様なコア/シェル
構造又はポリマー堆積構造を有する粒子を得ることがで
きるはずである。
【0109】このような粒子を、「多態様性(poly
modal)」−例えば、「二元態様性」、「三元態様
性」または「多元態様性(multimodal)」−
継続的重合ヘテロポリマーと称する。前記多態様性継続
的重合へテロポリマーについては、例えば、特公平3−
9124号(Kowalskiら)・10欄31行〜1
1欄8行において、さらに詳細に説明されている。その
記載は、参照により、本出願明細書に記載した事項又は
開示からみて、当業者が直接的かつ一義的に導き出せる
事項又は開示とする。
【0110】意図する「単一態様性」又は「多態様性」
を有する粒子の生成を実現するためには、界面活性剤の
種類・濃度・添加様式・添加の時期と期間等、及び、界
面活性剤とモノマーとの相対比率等、を適宜設定すれば
よい。
【0111】(6) コア/シェル構造を有する粒子の多態
様性 本発明に係る粒子は、単一態様性であっても、多態様性
であってもよい。多態様性の場合は、一般的には、二元
態様性が好ましい。多態様性の場合は、一般的には、主
たる態様が約60%乃至約90%を構成していることが
好ましく、約75%乃至約85%を構成していることが
より好ましい。
【0112】(7) 種ポリマー 本出願の特許請求の範囲又は明細書において用いる「種
(seed)ポリマー」なる語の概念は、予備的に生成
したポリマー粒子であり、重合における第1段階の生成
ポリマー粒子、又は、継続的重合の最終段階を除く任意
の段階の生成ポリマー粒子であってもよい。したがっ
て、1又は2以上の継続的段階によって、その後シェル
を備えることを意図したポリマー粒子は、それ自体、種
ポリマー粒子上にシェル形成ポリマーを堆積させる次の
段階において、その段階のための種ポリマーと称する。
したがって、種ポリマー又はコアは、単一段階又は継続
的重合の工程において製造することができる。
【0113】(8) ヘテロポリマーのガラス転移点(T
g)の評価 特定の単量体組成を有する重合体のガラス転移点(T
g)は、フォックス(Fox)の式により計算により求
めることができる。ここで、フォックスの式とは、共重
合体を形成する個々の単量体について、その単量体の単
独重合体のTgに基づいて、共重合体のTgを算出する
ためのものであり、その詳細は、ブルテン・オブ・ザ・
アメリカン・フィジカル・ソサエティー,シリーズ2
(Bulletin of the American
Physical Society,Series
2)1巻・3号・123頁(1956年)に記載されて
いる。その記載は全て、引用文献及び引用範囲を明示し
たことにより本出願明細書の開示の一部とし、明示した
引用範囲を参照することにより、本出願明細書に記載し
た事項又は開示からみて、当業者が直接的かつ一義的に
導き出せる事項又は開示とする。
【0114】フォックスの式による共重合体のTgを評
価するための基礎となる各種エチレン性不飽和単量体に
ついてのTgは、例えば、新高分子文庫・第7巻・塗料
用合成樹脂入門(北岡協三著、高分子刊行会、京都、1
974年)168〜169頁の表10−2(塗料用アク
リル樹脂の主な原料単量体)に記載されている数値を採
用することができる。その記載は全て、引用文献及び引
用範囲を明示したことにより本出願明細書の開示の一部
とし、明示した引用範囲を参照することにより、本出願
明細書に記載した事項又は開示からみて、当業者が直接
的かつ一義的に導き出せる事項又は開示とする。
【0115】(9) A層/B層からなるコア/シェル構造
を有する粒子の態様 本発明に係る粒子のある態様においては、エマルジョン
の分散相を構成する粒子が、A層/B層からなるコア/
シェル構造を有している。A層及びB層のガラス転位点
計算値は通常は−50℃〜100℃である。
【0116】i)A層(コア):A層(コア)は、実質的
に、ガラス転移点計算値20℃以下であればよい。
【0117】ii)B層(シェル):B層(シェル)は、
ガラス転移点計算値40℃以上であればよい。
【0118】(10)A層/B層からなるコア/シェル構造
を有する粒子の調製の態様 前記態様の粒子は、例えば、以下のように調製すること
ができる。
【0119】A層を形成する、コア単量体の混合液を一
括添加又は連続滴下して重合する。次に、A層の重合体
が得られた後、B層を形成する、シェル単量体混合液を
一括添加又は連続滴下して重合し、A層/B層からなる
コア/シェル構造を有する粒子を得ることができる。こ
こで、単量体は、予め、純水及び界面活性剤と混合して
乳化物としてもよい。
【0120】(11)コア/シェル構造を有する粒子の調製
方法 コア/シェル構造を有する粒子の調製方法は、所望する
粒子の特性(層構造、非中空構造、中空構造、形態、粒
度、粒度分布、単一態様性/多態様性等)を実質的に実
現できる手段であれば特に制限されない。例えば、予め
合成ゴムエマルジョンを釜内に仕込んでおき、そこにビ
ニル系単量体とラジカル重合開始剤とを添加して重合さ
せる、いわゆる乳化重合法によって好ましく調製するこ
とができるが、懸濁重合法によっても調製することもで
きる。
【0121】(12)界面活性剤 コア/シェル構造を有する粒子の水系分散液の製造方法
において用いる界面活性剤は、水系連続相中に、単量体
を含む分散相を、実質的に持続的に安定して均一に形成
するものであれば特に制限されない。コア/シェル構造
を有する粒子の水系分散液の製造方法において用いる界
面活性剤としては、通常の乳化重合に用いられる公知の
界面活性剤を、単独で又は混合して、好適に使用され得
る。
【0122】以下に、ノニオン系界面活性剤、アニオン
系界面活性剤及びカチオン系界面活性剤の具体例を列挙
するが、これらは、単独で又は組み合わせて、好適に使
用することができる。
【0123】i) アニオン系界面活性剤 アニオン系界面活性剤の具体例としては、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウム(DBS、SDS)、ラウリ
ル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスル
ホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナト
リウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ステア
リン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ナトリウムジ
オクチルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ジアルキルスル
ホコハク酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ter
t−オクチルフェノキシエトキシポリ−(40)−エト
キシエチル硫酸ナトリウム塩等が挙げられ、これらは単
独で又は混合して用いることができる。
【0124】ii) ノニオン系界面活性剤 ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエ
チレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチル
フェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルフェニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリ
マー、tert−オクチルフェノキシエチルポリ−(3
9)−エトキシエタノール、ノニルフェノキシエチルポ
リ−(40)−エトキシエタノール等が挙げられ、これ
らは単独で又は混合して用いることができる。
【0125】iii) カチオン系界面活性剤 カチオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリルトリ
メチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチル
アンモニウムクロライド等が挙げられ、これらは単独で
又は混合して用いることができる。
【0126】(13)種ポリマー重合時の界面活性剤の使用
量 コア/シェル構造を有する粒子の水系分散液の製造方法
において用いる界面活性剤の使用量は、反応系において
実質的にミセルを形成する量、あるいは、水系連続相中
に、単量体を含む分散相を、実質的に持続的に安定して
均一に形成する量であれば特に制限されない。
【0127】一般的には、界面活性剤の種類や濃度は、
界面活性剤特有のCMC(臨界ミセル形成濃度)値や、
HLB(親水性疎水性バランス)値を考慮しつつ、所望
する粒子の特性(層構造、中空構造、形態、粒度、粒度
分布、単一態様性/多態様性等)を実質的に実現できる
条件を適宜選択する。
【0128】ある態様においては、前記界面活性剤の使
用量は、反応系に供給した単量体全部の合計重量を基準
として、0.1乃至10重量%を使用することができ
る。このような態様においては、界面活性剤使用量を、
0.1重量%以下に減少させていくと、重合安定性が低
下し、重合中にゲル化しやすい傾向がみられる。一方、
界面活性剤使用量を、10重量%以上に増加させていく
と、被膜を形成した際の被膜の耐水性が低下していく傾
向がみられる。
【0129】また、過硫酸塩系重合開始剤を使用する別
の態様においては、前記界面活性剤の使用量は、反応系
に存在する単量体全部の合計重量を基準として、0乃至
2.0重量%使用することができる。
【0130】(14)多段階継続的重合における界面活性剤
の使用量 過硫酸塩系重合開始剤を使用するある態様において、界
面活性剤の使用量は、重合の第1段階において供給され
た単量体全部の合計重量を基準として、0乃至2.0重
量%であればよい。
【0131】界面活性剤の使用量を低レベルに維持しな
がら乳化重合を行なうことにより、ポリマー生成の継続
的段階は、最も新しく形成されたポリマーを、先行の段
階で生成して得た現存する分散ポリマー粒子上に堆積す
ることができる。ここで、「界面活性剤の使用量を低レ
ベルに維持しながら乳化重合を行なう」とは、一般的
に、その段階の反応系において、界面活性剤の使用量を
CMC値に相当する量よりも低く保つことを意味する。
【0132】このような「界面活性剤の使用量を低レベ
ルに維持しながら乳化重合を行なう」という条件の限定
は、一般的には好ましいものであって、かつ、単一態様
性生成物を得るためのものであるとはいうものの、ある
態様の反応系においては、CMC値に相当する量以上の
量の界面活性剤を用いたとしても、好ましい性質を有す
る又は過剰でない数量の分散ミセル又は粒状体の生成を
伴うことが見い出されている。このような「界面活性剤
の使用量を低レベルに維持しながら乳化重合を行なう」
という条件の限定は、多段階継続的重合の各段階におい
て、ミセルの数を制御し、その結果、前の段階において
生成した粒状体又はミセルの上に、その段階において生
成するポリマーを堆積させるという効果をもたらす。
【0133】(15)重合温度 コア/シェル構造を有する粒子の水系分散液の製造方法
において採用する重合温度は、重合反応が実質的に充分
に進行すれば特に制限されない。
【0134】重合温度は、使用する単量体の種類、重合
開始剤の種類等を勘案して設定し、一般的には、約10
乃至約100℃の温度範囲が好ましく、約30乃至約9
0℃の温度範囲がより好ましい。
【0135】各種重合開始剤に好適な重合温度は、例え
ば、化学モノグラフ第15巻・高分子合成の化学(大津
隆行著、化学同人、京都、1968年)63頁・表3−
2「開始剤の分類」に記載されており、本発明に係る水
系分散液の製造方法においても、このような条件を好適
に採用することができる。その記載は全て、引用文献及
び引用範囲を明示したことにより本出願明細書の開示の
一部とし、明示した引用範囲を参照することにより、本
出願明細書に記載した事項又は開示からみて、当業者が
直接的かつ一義的に導き出せる事項又は開示とする。
【0136】過硫酸塩系重合開始剤を使用する場合は、
一般的に、約60乃至約90℃の温度範囲が好ましい。
酸化還元系重合開始剤を使用する場合は、一般的に、約
30乃至約70℃の温度範囲が好ましく、約30乃至約
60℃の温度範囲がより好ましく、約30乃至約45℃
の温度範囲がさらに好ましい。
【0137】(16)重合開始剤の種類 コア/シェル構造を有する粒子の水系分散液の製造方法
において使用する重合開始剤の具体例としては、過酸化
水素、過酸化第3ブチル、過硫酸アンモニウム、過硫酸
アルカリ金属(金属;ナトリウム、カリウム又はリチウ
ム)の過硫酸塩類、アゾビスイソブチロニトリル等のア
ゾ系化合物類、クメンハイドロパーオキサイドやter
t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物類
等の、乳化重合において一般的に用いられる水溶性遊離
基開始剤が挙げられ、これらは単独又は混合物として使
用することができる。
【0138】前記重合開始剤の他の具体例としては、前
記重合開始剤と共に還元剤を用いることにより酸化還元
系を形成する酸化還元(レドックス)重合開始剤が挙げ
られる。前記還元剤としては、メタ重亜硫酸、ヒドロ亜
硫酸、次亜硫酸アルカリ金属等の亜硫酸塩類、スルホキ
シル酸ホルムアルデヒドナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリ
ウム、L−アスコルビン酸、鉄イオン等の金属イオン等
が挙げられ、これらは単独又は混合物として使用するこ
とができる。
【0139】コア/シェル構造を有する粒子の水系分散
液の製造方法においては、例えば、化学モノグラフ第1
5巻・高分子合成の化学(大津隆行著、化学同人、京
都、1968年)62〜72頁・「ラジカル重合の開始
剤」の項に列挙されているものも、単独又は混合物とし
て好適に使用することができる。その記載は全て、引用
文献及び引用範囲を明示したことにより本出願明細書の
開示の一部とし、明示した引用範囲を参照することによ
り、本出願明細書に記載した事項又は開示からみて、当
業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項又は開示とす
る。
【0140】(17)重合開始剤の使用量 コア/シェル構造を有する粒子の水系分散液の製造方法
において用いる重合開始剤の使用量は、反応速度が実質
的に確保できる量であれば特に制限されない。一般的に
は、重合開始剤の使用量は、供給する単量体の合計重量
100重量部に対して、0.01乃至4重量部の範囲が
好ましい。また、酸化還元(レドックス)系において用
いる還元剤の使用量は、やはり、供給する単量体の合計
重量100重量部に対して、0.01乃至4重量部の範
囲が好ましい。前記重合開始剤の添加方式は、一括添加
でも、連続添加でもよい。
【0141】(18)多段階継続的重合の各段階において生
成するポリマーの分子量 多段階継続的重合の各段階において生成するポリマーの
重量平均分子量は、一般的には、約3,000,000
乃至約100,000程度であり、連鎖移動剤を使用す
る場合は約100,000以下である。重合の過程にお
いて架橋が生じる場合には、ポリマーの分子量は顕著に
増加し得る。例えば、約500,000乃至約20,0
00程度の相対的に低い重量平均分子量を所望するある
態様においては、エチレン的不飽和モノマーの使用量を
抑制し、かつ、そのかわりに連鎖移動剤を0.05乃至
2%以上用いる。
【0142】(19)連鎖移動剤 コア/シェル構造を有する粒子の水系分散液の製造方法
においては、必要に応じてメルカプタン類等の連鎖移動
剤を使用することもできる。連鎖移動剤の具体例として
は、第2ブチルメルカプタンのような低級アルキルメル
カプタン類が挙げられ、これらは単独で又は組み合わせ
て使用することができる。
【0143】(20)粒径 コア/シェル構造を有する粒子の平均直径は、実質的に
組成物の系が継続的に安定して均一であり、実質的に貯
蔵安定性と作業性が充分に確保されれば特に制限されな
い。
【0144】特に、耐衝撃性、耐チッピング性の改善効
果の観点から、粒子(C)の一次粒子の直径は0.01
〜5μmが好ましく、さらに塗膜の外観、特に平滑性を
も併せて考慮すると0.01〜1.5μmがより好まし
い。ここで一次粒子とは、コア/シェル構造を有する最
小の粒子単位を意味する。したがって、工業的な生産を
考慮した場合に、粒子径の制御、粉砕コストの点からエ
マルジョン重合法が最も有利と考えられる。粒子径は、
コールター・カウンターN4(コールター社製)により
評価することができる。
【0145】(21)コアポリマー/シェルポリマーの重量
比 コア/シェル型粒子のコアポリマー/シェルポリマーの
重量比は、所望するコア/シェル構造を実質的に確保で
きるものであれば特に制限されない。
【0146】本発明に係るコア/シェル型粒子のコアポ
リマー/シェルポリマーの重量比は、一般的には、5対
95乃至90対10であることが好ましい。前記重量比
が、前記の好ましい数値範囲から離れるに従って、コア
/シェル間の架橋形成の程度が低下し、被膜形成した際
の被膜の架橋密度も低下し、それに伴い被膜の耐溶剤性
や耐水性等の性能も低下する傾向がみられる。
【0147】(22)添加剤 コア/シェル構造を有する粒子には、必要に応じて、通
常のポリマーエマルジョン組成物において使用される添
加剤を添加することができる。添加剤の具体例として
は、例えば、消泡剤、分散剤、増粘剤、顔料、顔料分散
剤、浴剤、造膜補助剤、有機溶剤、可塑剤、防腐剤、防
菌剤、防錆剤、チクソ剤(チクソトロピー又は揺変性を
抑制する添加剤)等が挙げられ、これらは単独で又は組
み合わせて使用することができる。
【0148】[コア/シェル構造を有する粒子の態様]
コア/シェル構造を有する粒子(C)を構成するコア成
分とシェル成分は、いわゆるコア/シェル構造の形態を
有する重合体を構成するそれぞれの成分であり、コア成
分とは内側部分を形成する成分の名称であり、シェル成
分とは外側部分を形成する成分の名称であり、一般的に
は、グラフト共重合体である。
【0149】粒子(C)のコアは、一般的には、少なく
とも1つの不飽和二重結合を分子内に有するエチレン性
不飽和単量体を含む反応系で重合して得られ、シェルは
それと同じ又は異なる少なくとも1つの不飽和二重結合
を分子内に有するエチレン性不飽和単量体を含む反応系
で重合して得られる。
【0150】この粒子(C)は、ジエン系単量体及び/
又は不飽和単量体を重合してなる合成ゴムをコア成分と
し、ビニル系重合体をシェル成分とするグラフト共重合
体から成ることが好ましい。
【0151】(1) コアの態様 コア成分をなす合成ゴムの原料であるジエン系単量体の
具体例としては、ブタジエンやイソプレン等が挙げられ
る。
【0152】不飽和系単量体としては、(1)2−エチ
ルヘキシルアクリレートやブチルアクリレート、エチル
アクリレート、メチルアクリレート等のアルキルアクリ
レート及び/又はメチルメタアクリレートやn−ブチル
メタアクリレート等のアルキルメタアクリレート、
(2)酢酸ビニルの如きビニルエステル、(3)塩化ビ
ニルや塩化ビニリデンの如きビニルハライド及び/又は
ビニリデンハライド、(4)アクリロニトリル、アクリ
ルアミド等の不飽和単量体、(5)ヒドロキシエチルア
クリレートやヒドロキシメタアクリレート、メチロール
アクリルアミド、メチロールメタアクリルアミド等の水
酸基含有不飽和単量体、(6)アクリル酸、メタアクリ
ル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等のカルボン酸基含
有不飽和単量体、(7)スチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン等の芳香族系不飽和単量体、また架
橋を目的とした(8)2−クロロエチルビニルエーテル
等の含ハロゲン単量体、(9)グリシジルアクリレー
ト、アリルグリシジルエーテル、等のグリシジル基含有
不飽和単量体、等が挙げられる。これら不飽和系単量体
は1種でも良く、2種以上組み合わせて使用しても良
い。
【0153】これらから得られる合成ゴムの具体例とし
ては、例えば、ポリブタジエンやポリイソプレン、ポリ
アクリル酸エステルゴム、ポリ塩化ビニル、スチレン−
ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン
ブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共
重合体、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重
合体、等が挙げられる。これらの中では、ポリブタジエ
ンやポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、
ポリアクリル酸エステルゴムが好ましい。
【0154】コア又は合成ゴムのガラス転位温度は、2
0℃以下であり、0℃以下がより好ましい。ガラス転移
温度が20℃を上回る場合、耐衝撃性、耐チッピング
性、共に改善効果が十分に得られない傾向がみられる。
コア又は合成ゴムのガラス転移温度は、示差走査熱量計
(DSC)測定により実測することもできるし、フォッ
クスの式により算出することもできる。
【0155】(2) シェルの態様 シェル成分であるビニル系重合体とは、ビニル系単量体
の1種及び/又は2種以上を重合してなる重合体であ
る。
【0156】ビニル系単量体の具体例としては、例え
ば、(1)2−エチルヘキシルアクリレートやブチルア
クリレート、エチルアクリレート、メチルアクリレート
等のアルキルアクリレート及び/又はメチルメタアクリ
レートやn−ブチルメタアクリレート等のアルキルメタ
アクリレート、(2)酢酸ビニルの如きビニルエステ
ル、(3)塩化ビニルや塩化ビニリデンの如きビニルハ
ライド及び/又はビニリデンハライド、(4)アクリロ
ニトリル、アクリルアミド等の不飽和単量体、(5)ヒ
ドロキシエチルアクリレートやヒドロキシメタアクリレ
ート、メチロールアクリルアミド、メチロールメタアク
リルアミド等の水酸基含有不飽和単量体、(6)アクリ
ル酸、メタアクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等
のカルボン酸基含有不飽和単量体、(7)スチレン、α
−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族系不飽和
単量体等が挙げられ、これらは単独で又は組み合わせて
使用することができる。
【0157】これらのうち特に好ましいのは、上記
(1)のアルキルアクリレート、アルキルメタアクリレ
ート、(7)の芳香族系不飽和単量体の単独重合体やそ
れらの組み合わせからなる共重合体である。ところで、
グリシジル基含有不飽和単量体を使用した場合、マトリ
ックス樹脂である(メタ)アクリル系共重合体(A)と
シェルとの界面接着性が必要以上に強まり、得られる塗
装塗膜の平滑性を損ない、外観上問題を生じる。
【0158】シェル又はビニル系重合体のガラス転移温
度は、コア/シェル構造を有する粒子(C)の合成後の
乾燥工程での作業性、アクリル系及び/又はメタクリル
系共重合体(A)との相溶性又は分散性の観点から40
℃以上である。
【0159】シェル又はビニル系重合体のガラス転移温
度は、示差走査熱量計(DSC)測定により実測するこ
ともできるし、フォックスの式により算出することもで
きる。本出願の特許請求の範囲又は明細書において用い
る「相溶性」なる語の概念は、「相容性」又は「コンパ
ティビリティー」なる語の概念と相互に等価であり、例
えば、「新版高分子辞典(高分子学会編、朝倉書店、東
京、1988年)」・437頁左欄〜438頁右欄の
「ポリマーブレンド」の項に記載されている「相溶性」
又は「相容性」の概念を包含し、高分子多相系が相溶性
又は高相溶性であることを包含し、高分子多相系が非相
溶性又は低相溶性である場合に第三成分である「相溶化
剤」(「相容化剤」「コンパティビライザー」をも包含
する。)を高分子多相系に少量添加することにより相溶
性を改善する概念をも包含する。その記載は全て、引用
文献及び引用範囲を明示したことにより本出願明細書の
開示の一部とし、明示した引用範囲を参照することによ
り、本出願明細書に記載した事項又は開示からみて、当
業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項又は開示とす
る。高分子多相系が相溶性又は高相溶性である場合は、
一般的に、著しい材料物性の向上を発現する。
【0160】本出願の特許請求の範囲又は明細書におい
て用いる「相溶化剤」なる語の概念には、例えば、「ポ
リマーアロイ−基礎と応用−(高分子学会編、東京化学
同人、東京、1981年)」に記載されている「相溶化
剤」、「相容化剤」又は「コンパティビライザー」の概
念をも包含する。その記載は全て、引用文献又は引用範
囲を明示したことにより本出願明細書の開示の一部と
し、明示した引用範囲を参照することにより、本出願明
細書に記載した事項又は開示からみて、当業者が直接的
かつ一義的に導き出せる事項又は開示とする。
【0161】[コアとシェルの機能区分]コアとシェル
の機能区分については、弾性率の高いコアが衝撃吸収性
を、一方、弾性率の低いシェルがマトリックス樹脂への
分散性、相容性、接着性を支配するものと考えられる。
また、具体的な衝撃吸収の原理については、河合らによ
る報告(Journal of Macromolec
ular SciencePhysics,17巻,4
27〜頁(1980年))、松尾らの報告(Polym
er Engineering Science,9,
197〜頁,(1969年))等に記載されている。す
なわち、ミクロ相分離構造を有するポリマー中で、弾性
率の差によりゴム相界面に応力集中を生じ、この界面か
らマトリックス樹脂に向かって荷重方向と垂直の方向に
マイクロクレーズを生じるという破壊機構の中で説明さ
れている。
【0162】[コア/シェル構造を有する粒子(C)の
市販されている製品の具体例]コア/シェル構造を有す
る粒子(C)としては、既販の衝撃性改良剤(インパク
トモディファイヤー)の中にも使用可能なものがある。
これらは、本発明者らが合成したものと同等の効果が確
認された。
【0163】これらの具体例としては、例えば、合成ゴ
ムがポリアクリル酸エステル系のものとしては、呉羽化
学(株)製の「PARALOID KM 330」、
「PARALOID EXL 2315」、鐘淵化学
(株)製の「カネエース FM」;合成ゴムがスチレン
−ブタジエン系のものとしては、呉羽化学(株)製の
「BTAIII N2」、「BTA 712」;ポリブタジ
エン系のものとしては、呉羽化学(株)製の「PARA
LOID EXL 2602」、「BTA 751」
「BTAIII NX」等が挙げられる。
【0164】[溶解度パラメータ]分散相(島)を構成
する、このコア/シェル構造を有する粒子(C)は、シ
ェル(粒子表面)高分子として、連続相(海)を構成す
るアクリル系及び/又はメタクリル系共重合体が有する
溶解度パラメーター(SP値)に近傍のものを選択する
ことにより、又は、適当な相溶化剤を第三成分として導
入することにより、粒子表面にエポキシ基又はグリシジ
ル基を全く導入することなく又は高密度で導入すること
なく、均一な高分子多相系を実現することができる。
【0165】[コアシェル構造を有する粒子(C)の使
用量]耐衝撃性、あるいは硬度、耐熱性低下の点から、
コアシェル構造を有する粒子(C)の使用量は、アクリ
ル系及び/又はメタクリル系重合体(A)及び多価カル
ボン酸系化合物(B)の合計量100重量部に対して、
2〜50重量部が適当である。望ましくは5〜30重量
部である。2重量部以下の場合、耐衝撃性の改良効果が
十分でない傾向にあり、一方、50重量部を越える場
合、塗膜の硬度、耐熱性、さらには外観の悪化が著しい
傾向にある。
【0166】[添加剤]本発明の熱硬化性粉体塗料用組
成物にはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド
等の合成樹脂、或いは繊維素誘導体のような各種樹脂を
本発明の目的を損なわない程度に配合してもよく、その
他に顔料、流動調整剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸
収剤、ベンゾイン、帯電防止剤、酸化防止剤等の通常用
いられている塗料添加剤を配合してもよい。またクリヤ
−コ−トとして使用する場合に少量の顔料を配合し、完
全に隠蔽性の発現しない程度に着色してもよい。
【0167】[溶融混練装置]溶融混練装置としては、
通常、加熱ロール機、加熱ニーダー機、押出機(エクス
トルーダー)等を使用する。本発明の熱硬化性粉体塗料
組成物を配合する方法の具体例としては、ロール機、ニ
ーダー機、ミキサー(バンバリー型、トランスファー型
等)、カレンダー設備、押出機(エクストルーダー)等
の混練機や捏和機を、適宜、組み合わせ、各工程の条件
(温度、溶融若しくは非溶融、回転数、真空雰囲気、不
活性ガス雰囲気等)を、適宜、設定して、充分に均一に
混合し、その後、粉砕装置により、均一な微細粉末状態
の粉体塗料組成物を得る方法を採用することができる
が、これらに限定されるものではない。
【0168】[粉体塗料組成物の調製法]粉体塗料を製
造するには周知の何れの方法も採用することができ、加
熱ロール、エクストルーダーなどの混練機による混合が
一般的である。(A)、(B)及び(C)を含む組成物
を機械的に混練する際の被混練物の温度は、実質的に均
一な粉体塗料組成物を調製できれば特に制限されない。
【0169】但し、本発明においてはコア/シェル構造
を有する粒子(C)が、アクリル系及び/又はメタクリ
ル系共重合体(A)の中に均一に分散せず、極在化した
場合、十分な衝撃吸収効果が得られない場合があり得
る。特に、コア/シェル構造を有する粒子(C)を水溶
液中で重合、さらに得られた重合体を乾燥工程を経て製
造した場合、一次粒子が乾燥時に凝集し、100μm程
度の凝集体(二次粒子)を形成する場合が見られ、この
ような場合、粉体塗料の製造(混練)過程で二次粒子が
一次粒子に解砕される必要を生じる。そこで、この解砕
を助ける目的で混練温度を高め、アクリル系及び/又は
メタクリル系共重合体(A)、多価カルボン酸系化合物
(B)のいずれか1成分以上を軟化させながら混練する
方法が有効となる。
【0170】そこで具体的には機械的に混練する際の被
混練物の温度を、アクリル系及び/又はメタクリル系共
重合体(A)のガラス転移温度近傍、多価カルボン酸系
化合物(B)の溶融温度のいずれかのうち最も低い温度
に対して、同じ、またはそれ以上とすることが好まし
い。
【0171】(A)、(B)及び(C)を含む組成物を
機械的に混練する際の被混練物の温度は、一般的には、
(A)のガラス転位転位点計算値より30℃低い温度、
及び、(B)の溶融温度の、何れか低い温度より高い温
度が採用される。この温度条件をはずれ、被混練物の温
度を、アクリル系及び/又はメタクリル系共重合体
(A)のガラス転移温度近傍、多価カルボン酸系化合物
(B)の溶融温度、のいずれよりも低い温度で混練した
場合は、コア/シェル構造を有する粒子(C)の二次粒
子が残存するため、十分な耐衝撃性、耐チッピング性を
得るためには過大な混練エネルギーを要するため不利と
なる。
【0172】以上の点を考慮し、コア/シェル構造を有
する粒子(C)を効率よく分散させる具体的な混練方法
として次のような方法が採用できる。
【0173】(1) 所定の混練温度範囲において、アクリ
ル系及び/又はメタクリル系共重合体(A)、多価カル
ボン酸系化合物(B)、コアシェル構造を有する粒子
(C)を同時に混練。
【0174】(2) 所定の混練温度範囲において、アクリ
ル系及び/又はメタクリル系共重合体(A)とコア/シ
ェル構造を有する粒子(C)のみを予め混練。さらに、
この混練物と多価カルボン酸系化合物(B)とを、同様
の温度範囲で混練。
【0175】(3) アクリル系及び/又はメタクリル系共
重合体(A)を有機溶剤溶液とした後、これにコア/シ
ェル構造を有する粒子(C)を均一分散し、この混合溶
液(またはスラリー)から脱溶剤することで、アクリル
系及び/又はメタクリル系共重合体(A)とコア/シェ
ル構造を有する粒子(C)のみを予め均一混合(尚、有
機溶剤としてはキシレン、トルエン等が使用可)。さら
に、この混合物と多価カルボン酸系化合物(B)とを、
所定の温度範囲で混練。
【0176】特に、(3) の方法は、アクリル系及び/又
はメタクリル系共重合体(A)をキシレン、トルエン等
の有機溶媒中で溶液重合法により調製する場合に、重合
終了〜脱溶剤開始の間にコア/シェル構造を有する粒子
(C)を分散させることにより工程の簡略化も可能であ
る。また、混練器中での均一分散を促進する目的で、被
混練物全体を常温で機械的に予備混合しておくことも有
効であり、この目的でヘンシェルミキサー等が使用でき
る。
【0177】混練工程により調製された塊状塗料の内部
で、コア/シェル構造を有する粒子(C)が一次粒子の
状態で均一に分散しているか否かは、光学顕微鏡、走査
型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、コールーターカウン
ター等の手法により確認できる。混練により得られた塊
状塗料は、冷却の後、平均粒径10〜90μm程度とな
るように粉砕される。使用される粉砕器としては、ハン
マーミル等が挙げられる。
【0178】本発明の粉体塗料組成物に添加剤等を加え
る配合混練工程の一態様を例示すると、本発明の熱硬化
性粉体塗料組成物に、必要に応じ、ブロッキング防止
剤、表面調整剤、可塑剤、帯電調整剤、顔料、充填剤、
増量剤等の添加剤を加え、40〜130℃の範囲で、充
分に溶融混練し、冷却後、適当な粒度(通常、100メ
ッシュ以下)に均一に粉砕し製造される。
【0179】[塗装方法及び焼付方法]粉砕により得ら
れた粉体塗料は、静電塗装法、流動浸漬法等の塗装方法
によって、熱硬化性粉体塗料組成物の粉末を、対象物に
付着せしめ、加熱して熱硬化させ塗膜を形成させる。本
発明の熱硬化性粉体塗料組成物の焼付けは、通常、約1
00〜約150℃、より好ましくは、約120℃〜約1
40℃の温度において、通常約10〜約60分間、行な
うことにより、共重合体(A)と硬化剤(B)との架橋
反応を行なうことができる。焼付け後、室温まで冷却
後、優れた特性を有する塗膜を得ることができる。
【0180】 この塗膜は、分散相として、ガラス転移
点計算値20℃以下のコアを有し、ガラス転移点計算値
40℃以上でありかつ実質的にグリシジル基を含まない
少なくとも1つのシェルによりコアが少なくとも部分的
に覆われているコア/シェル構造を有する粒子を有し、
連続相として、三次元架橋網目構造及び/又はIPN構
造を有する有機高分子を有し、かつ前記連続相の三次元
架橋網目構造及び/又はIPN構造により、分散相を連
続相内に均一に保持している。
【0181】この塗膜は、通常、前記連続相の三次元架
橋網目構造及び/又はIPN構造により、分散相を連続
相内に均一に保持することにより、分散相の有する耐衝
撃性により、塗膜全体の耐衝撃性及び耐チッピング性を
発現する機能を有する。
【0182】本出願明細書において、実施例、製造例及
び態様は、本出願に係る発明の内容の理解を支援するた
めのものであって、その記載によって、本発明がなんら
限定される性質のものではない。
【0183】
【実施例】本発明を、さらに具体的に説明するために、
以下に実施例及び比較例等を挙げて説明する。「部」及
び「%」は特に説明のない限り重量によるものである。
【0184】[塗装板の調製]ポリエステル−メラミン
架橋の黒色塗料を、りん酸亜鉛処理を施した0.8mm
厚の梨地鋼板に、30μ厚で塗装し、その後、焼付けを
して、下地処理鋼板を調製した。
【0185】[性能評価]性能評価は次のようにして行
なった。
【0186】(1) 耐衝撃性試験(デュポン式衝撃性試
験) JIS K5400 6.13.3に従って実施した。
ここで採用したおもりの重量は、500g及び1kgで
ある。評価結果の数値は、塗膜に割れやはがれの発生し
た落下高さで示した。
【0187】(2) チッピング試験(飛石式衝撃性試験) 米国の自動車用塗膜の試験法SAE−J400及びAS
TM D−370に従ったグラベロメーター(菅試験機
(株)製)を使用した。塗装した鋼板を−20℃の冷凍
庫中4時間放置し、さらにその後、直ちに−30℃のド
ライアイス・メタノール浴中で5分間冷却し、塗装鋼板
をドライアイスメタノール浴から引き上げ、グラベロメ
−タ−にセット、直ちに砕石を吹き付けて試験した。ド
ライアイスメタノール浴からの引き上げから、砕石を吹
き付けまでの所要時間は5秒以内とした。砕石はJIS
A5001に規定された道路用砕石7号を使用した。
塗装鋼板毎に50gの砕石を使用し、一気に衝突させ
た。吹き付けのために使用した圧縮空気の圧力は4Kg
f/cm2(ゲージ)とした。砕石の衝突により傷を受
けた鋼板は、10分間室温で放置した後、剥離しかけた
塗膜をマスキングテープを用いて完全に剥した。
【0188】耐チッピング性の良否は、傷の平均直径に
より表した。したがって、傷の直径が小さいほど、耐チ
ッピング性が良好である。
【0189】(3) 耐候性試験 QUVテスターによる1000時間の促進テストを行
い、促進テスト前後の塗膜の光沢度を測定し、光沢残存
率(%)を求めた。光沢残存率は次式により計算した。
【0190】
【数2】 (4) 耐酸性試験 10vol%の硫酸を塗膜表面に滴下し、室温にて1日
放置した後拭き取り、外観を観察した。その結果、痕跡
の無いものを〇、痕跡の付いているものを×として示し
た。
【0191】(5) 目視外観 塗膜外観を観察し、特に平滑性の優れているものを◎、
平滑性の良好なものを〇、平滑性の普通のものを△、平
滑性の劣るものを×とした。
【0192】(6) 耐溶剤性 キシロールを含浸させたガーゼで塗膜表面を往復50回
擦った後、その塗膜を観察した。その結果、痕跡の無い
ものを〇、痕跡の付いているものを×として示した。
【0193】(7) 塗膜硬度試験 鉛筆引っかき試験(JIS K5400 6.14に準
ずる。)により実施した。表示は鉛筆の硬度記号で示し
た。
【0194】[製造例1、2](アクリル系共重合体の
製造) 撹拌機、温度計、還流コンデンサ−及び窒素導入管を備
えた4ッ口フラスコにキシレン66.7部を仕込み、還
流温度まで昇温した。ここに表1に示す単量体(部)と
重合開始剤としてN,N’−アゾビスイソブチロニトリ
ルを5時間に渡り滴下して、更にその後は100℃で5
時間保持した。得られた重合溶液の溶剤を除去すること
によりアクリル系共重合体(製造例1と製造例2)を得
た。表1に、得られた共重合体の特性値も併せて記載し
た。
【0195】
【表1】 [製造例3](粒子の製造) まず、コア成分のポリアクリル酸エステルゴムを次の様
にして調製した。
【0196】フラスコ中に、水44.2部と界面活性剤
(商品名ペレックスSS−L、花王社製)0.1部、重
合開始剤過硫酸カリウム0.2部を仕込んだ。窒素気流
下中、温度を75℃に保った。次にブチルアクリレート
22.5部とアクリロニトリル15.8部とメタアクリ
ル酸1.2部と界面活性剤(ペレックスSS−L)0.
3部と水15.7部とで予め乳化した液を窒素気流下
中、75℃に保ったフラスコ中に4時間掛けて連続的に
滴下して反応させた。その後3時間、残モノマー重合を
実施し、その反応液を室温まで冷却した。生成したポリ
アクリル酸エステルゴムは固形分40%、粘度22cp
sであった。
【0197】次にこれを用いてシェル成分を次の様にし
て反応してグラフト共重合体粒子を調製した。得られた
ポリアクリル酸エステルゴムのラテックス40.0部と
水30.0部と重合開始剤過硫酸カリウム0.2部をフ
ラスコに仕込み、窒素気流下中、温度を75℃に保っ
た。次に、メチルメタアクリレート9.2部とスチレン
5.4部とアクリル酸0.4部と界面活性剤(ペレック
スSS−L)0.3部と水14.5部とで予め乳化した
液を窒素気流下中、75℃に保ったフラスコ中に6時間
かけて連続的に滴下して反応させた。その後2時間、残
モノマーの重合を実施し、その反応液を室温まで冷却し
た。生成したグラフト共重合体ラテックスを凝集沈殿ろ
過し、乾燥して水をとばして粉体化した。
【0198】実施例1、2、3、6で使用する製造例3
の粒子の平均粒子径実測値は0.3μm、コアのガラス
転移点計算値は−5℃、シェルのガラス転移点計算値は
106℃であった。
【0199】[製造例4](粒子の製造) まず、コア成分のポリアクリル酸エステルゴムを次の様
にして調製した。フラスコ中に、水41.4部と界面活
性剤(ペレックスSS−L)0.1部、重合開始剤過硫
酸カリウム0.2部を仕込んだ。窒素気流下中、温度を
75℃に保った。次に、ブチルアクリレート35.8部
とアクリロニトリル4.5部とメタアクリル酸2.0部
と界面活性剤(ペレックスSS−L)0.3部と水1
5.7部とで予め乳化した液を窒素気流下中、75℃に
保ったフラスコ中に4時間掛けて連続的に滴下して反応
させた。その後3時間、残モノマー重合を実施し、その
反応液を室温まで冷却した。生成したポリアクリル酸エ
ステルゴムは固形分43%、粘度25cpsであった。
【0200】次にこれを用いてシェル成分を次の様にし
て反応してグラフト共重合体粒子を調製した。得られた
ポリアクリル酸エステルゴムのラテックス40.6部と
水34.2部と重合開始剤過硫酸カリウム0.2部をフ
ラスコに仕込み、窒素気流下中、温度を75℃に保っ
た。次に、メチルメタアクリレート5.4部とイソブチ
ルアクリレート3.4部とグリシジルメタクリレート
1.0部と界面活性剤(ペレックスSS−L)0.2部
と水15.0部とで予め乳化した液を窒素気流下中、7
5℃に保ったフラスコ中に6時間かけて連続的に滴下し
て反応させた。その後2時間、残モノマーの重合を実施
し、その反応液を室温まで冷却した。生成したグラフト
共重合体ラテックスを凝集沈殿ろ過し、乾燥して水をと
ばして粉体化した。
【0201】比較例6で使用する製造例4の粒子の平均
粒子径実測値は0.4μm、コアのガラス転移点計算値
は−39℃、シェルのガラス転移点計算値は41℃であ
った。尚、シェルを構成する反応性基を有する重合性単
量体であるグリシジルメタクリレートの使用量は、計算
上、コア100重量部に対して5.7部となっている。
【0202】[実施例1、2]アクリル系共重合体(製
造例1、2)とドデカン2酸と粒子(製造例3)及び酸
化チタンを表2に示す割合(部)で配合した。これを熱
ロールにて90℃の条件下溶融混練して冷却後、粉砕機
にて微粉砕し、150メッシュの篩を通過した区分を集
め粉体塗料を得た。得られた粉体塗料を燐酸処理鋼板に
静電スプレーにて60〜70μmの膜厚になるよう塗装
後、130℃で30分間加熱しテスト板を得た。
【0203】[実施例3]酸化チタンを用いないこと以
外は実施例1と同様のテスト板を得た。
【0204】[実施例4、5]実施例4では粒子として
市販の衝撃性改良剤PALALOID EXL2315
(呉羽化学(株)社製)を使用した以外は、全く実施例
1と同様の方法によりテスト板を得た。また、実施例5
では同様に市販の衝撃性改良剤PALALOID EX
L2602(呉羽化学(株)社製)を使用した以外は、
全く実施例1と同様の方法によりテスト板を得た。
【0205】配合割合は、実施例1と同様であり、表2
に示した。ここで使用された市販品は、共に、シェルに
ポリメチルメタアクリレートホモポリマーを有する呉羽
化学(株)社製のもので、コアについては、EXL23
15の方がn−ブチルアクリレートを主成分とする架橋
型アクリルゴム、EXL2602の方がスチレン−ブタ
ジエン共重合体であり、いずれも本発明のコア/シェル
構造を有する粒子に相当するものである。
【0206】実施例4で使用した粒子EXL2315の
平均粒子径は0.4μm、コアのガラス転位温度は−3
4℃(直径のみ実測値)、シェルのガラス転位温度は8
5℃であった。実施例5で使用した粒子EXL2602
の平均粒子径は0.2μm、コアのガラス転位温度は−
73℃(共に実測値)、シェルのガラス転位温度は90
℃であった。
【0207】[実施例6、7]実施例6では多価カルボ
ン酸として無水物基を有するドデカン2酸無水物(HO
−[OC(CH210COO]3 −H)を使用した以外
は、全く実施例1と同様の方法によりテスト板を得た。
また、実施例7では同様にドデカン2酸無水物を使用し
た以外は、全く実施例4と同様の方法によりテスト板を
得た。
【0208】これらの配合割合を、表2に示す。
【0209】[比較例1]ポリエステル系粉体塗料の主
剤(商品名ER−8105、ユニチカ社製)74.1部
と硬化剤であるトリグリシジルイソシアヌレート5.9
部と酸化チタン20.0部とを配合した。これを実施例
1と同様の方法により粉体塗料とし、燐酸処理鋼板に静
電スプレーにて60〜70μmの膜厚になるよう塗装
後、200℃で20分間加熱しテスト板を得た。
【0210】[比較例2]実施例1において、粒子を使
用しない他は全く実施例1と同様の方法によりテスト板
を得た。
【0211】[比較例3]実施例7において、粒子を使
用しない他は全く実施例7と同様の方法によりテスト板
を得た。
【0212】[比較例4、5]比較例4では、特公昭6
2−25709号の実施例1に準拠して塗膜を得た。即
ち、まずアクリル酸による変性度10%の重合性エポキ
シ化合物を、原料ビスフェノールA型のエポキシ樹脂と
してエピコート828(油化シェル製、エポキシ当量=
190)を使用して調製した。次に、得られた重合性エ
ポキシ化合物とポリブタジエンゴムラテックスとアクリ
ルモノマーを用いてエポキシ/アクリル変性ゴム粒子を
調製した。これは表面にエポキシ基を有する粒子であ
る。次いで、このエポキシ/アクリル変性ゴム粒子と、
エポキシ樹脂(エピコート1004、油化シェル社製、
エポキシ当量=950)と、硬化剤としてジシアンジア
ミドと、流動調製剤(商品名モダフロー、モンサント社
製)とを、表3に示す割合で混合して塗工し、塗工後1
70℃で20分間加熱して塗膜を形成した。
【0213】また、比較例5では、比較例4の塗料配合
に表3に示す様に、硬化触媒としてアミキュアPN−2
3(味の素社製)、及び無機顔料として酸化チタンを併
用した以外は、比較例4と同様に塗膜を得た。
【0214】[比較例6]実施例7において、表4に示
す割合で、製造例4により製造された粒子を使用した他
は全く実施例7と同様の方法によりテスト板を得た。
【0215】実施例1〜7及び比較例1〜6で形成した
塗膜の性能評価結果を表5に示す。表5の実施例1〜7
の結果から分かるように、本発明の組成物はアクリル系
の粉体塗料の耐候性を損なうことなく、耐衝撃性につい
てポリエステル系塗料と同等或いは、それ以上の値を示
しており、また耐酸性試験、目視外観、他の点でも何等
問題無いことから、塗料としての実用的な通常物性も有
している。
【0216】
【表2】
【0217】
【表3】
【0218】
【表4】
【0219】
【表5】
【0220】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の粉体塗料組
成物は、エポキシ樹脂粉体塗料やポリエステル粉体塗料
の欠点である耐候性を改善し、かつ、ポリエステル粉体
塗料に匹敵する優れた耐衝撃性を有し、さらには、従来
ほとんど当業者により注目されなかった耐チッピング性
についても優れている。
【0221】また、本発明の粉体塗料組成物は、優れた
耐候性、耐チッピング性、耐衝撃性、外観特性を同時に
実現できるので、例えば、自動車等の車両のボディーや
シャシー表面のように、走行中に砂利や小石が大きな相
対速度で衝突し、又、遮蔽物のない屋外で太陽光線や厳
しい気象条件に暴露される塗膜に、きわめて好適に応用
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石野 元淳 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 関 真志 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 宮脇 孝久 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−112743(JP,A) 特開 平3−227382(JP,A) 特開 昭62−236871(JP,A) 特開 平7−188587(JP,A) 特公 昭62−25709(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 5/00 - 201/10

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単量体(a1)として、少なくとも1つ
    のグリシジル基及び少なくとも1つの不飽和二重結合を
    分子内に有するエチレン性不飽和単量体、及び、単量体
    (a2)として、少なくとも1つの不飽和二重結合を分
    子内に有し、かつ、グリシジル基を分子内に有さないエ
    チレン性不飽和単量体を含む反応系で重合して得られる
    少なくとも1種類のアクリル系及び/又はメタクリル系
    共重合体(A)、 多価カルボン酸(b1)及び多価カルボン酸無水物(b
    2)からなる群から選択された少なくとも1種類の多価
    カルボン酸系化合物(B)、並びに、 ガラス転移点計算値20℃以下のコアを有し、ガラス転
    移点計算値40℃以上でありかつ実質的にグリシジル基
    を含まない少なくとも1つのシェルによりコアが少なく
    とも部分的に覆われているコア/シェル構造を有する粒
    子(C)を含む熱硬化性粉体塗料組成物。
  2. 【請求項2】 粒子(C)のコアは、少なくとも1つの
    不飽和二重結合を分子内に有するエチレン性不飽和単量
    体を含む反応系で重合して得られ、シェルはそれと同じ
    又は異なる少なくとも1つの不飽和二重結合を分子内に
    有しかつ実質的にグリシジル基を含まないエチレン性不
    飽和単量体を含む反応系で重合して得られる請求項1記
    載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  3. 【請求項3】 アクリル系及び/又はメタクリル系共重
    合体(A)のガラス転移点計算値が、20〜120℃で
    ある請求項1記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  4. 【請求項4】 アクリル系及び/又はメタクリル系共重
    合体(A)の数平均分子量が、1,000〜10,00
    0である請求項1記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  5. 【請求項5】 アクリル系及び/又はメタクリル系共重
    合体(A)のエポキシ当量が、200〜1,000g/
    eqである請求項1記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  6. 【請求項6】 多価カルボン酸(b1)が脂肪族多価カ
    ルボン酸である請求項1記載の熱硬化性粉体塗料組成
    物。
  7. 【請求項7】 多価カルボン酸無水物(b2)が脂肪族
    多価カルボン酸線状酸無水物である請求項1記載の熱硬
    化性粉体塗料組成物。
  8. 【請求項8】 脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物が、
    下記一般式 HO−[OC(CH2mCOO]n−H (mは1以上、nは2以上の数を示す)で表わされる請
    求項7記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  9. 【請求項9】 脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物が、
    アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、
    セバシン酸、ウンデカン2酸、ドデカン2酸、アイコサ
    ン2酸、オクタデカン2酸からなる群より選択された少
    なくとも1種類の脂肪族多価カルボン酸から生成された
    線状酸無水物である請求項7記載の熱硬化性粉体塗料組
    成物。
  10. 【請求項10】 アクリル系及び/又はメタクリル系共
    重合体(A)中のグリシジル基1当量に対し、多価カル
    ボン酸系化合物(B)分子中のカルボキシル基及び/又
    は酸無水物基が0.5〜1.3当量である請求項1記載
    の熱硬化性粉体塗料組成物。
  11. 【請求項11】 少なくとも1つのシェルによりコアが
    少なくとも部分的に覆われているコア/シェル構造を有
    する粒子(C)のシェルを構成する重合性単量体とし
    て、少なくとも1つのカルボキシル基を有する単量体を
    含む請求項1記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  12. 【請求項12】 少なくとも1つのシェルによりコアが
    少なくとも部分的に覆われているコア/シェル構造を有
    する粒子(C)の平均直径が0.01〜5μmである請
    求項1記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  13. 【請求項13】 少なくとも1つのシェルによりコアが
    少なくとも部分的に覆われているコア/シェル構造を有
    する粒子(C)の使用量が、アクリル系及び/又はメタ
    クリル系共重合体(A)及び多価カルボン酸系化合物
    (B)の合計100重量部に対して、2〜50重量部で
    ある請求項1記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  14. 【請求項14】 アクリル系及び/又はメタクリル系共
    重合体(A)、多価カルボン酸系化合物(B)、及び、
    少なくとも1つのシェルによりコアが少なくとも部分的
    に覆われているコア/シェル構造を有する粒子(C)を
    含む混合物を機械的に均一に混練する際の、被混練物の
    温度が、(i)アクリル系及び/又はメタクリル系共重
    合体(A)のガラス転移点計算値より30℃低い温度、
    及び、(ii)多価カルボン酸系化合物(B)の溶融温
    度、のうち何れか低い方の温度よりも高い請求項1記載
    の熱硬化性粉体塗料組成物の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項1記載の組成物からなる粉体塗
    料を用いて得た塗膜であって、分散相としてコア/シェ
    ル構造を有する粒子(C)を有し、連続相としてアクリ
    ル系及び/又はメタクリル系共重合体(A)及び多価カ
    ルボン酸系化合物(B)の三次元架橋網目構造及び/又
    はIPN構造を有する有機高分子を有し、かつ、前記連
    続相の三次元架橋網目構造及び/又はIPN構造によ
    り、前記分散相を前記連続相内に均一に保持した塗膜。
  16. 【請求項16】 前記連続相の三次元架橋網目構造及び
    /又はIPN構造により前記分散相を前記連続相内に均
    一に保持することにより、前記分散層の有する耐衝撃性
    により塗膜全体の耐衝撃性及び耐チッピング性を発現す
    る機能を有する請求項15記載の塗膜。
  17. 【請求項17】 請求項1記載の組成物からなる粉体塗
    料を用いて得た塗膜であって、分散相としてコア/シェ
    ル構造を有する粒子(C)を有し、連続相としてアクリ
    ル系及び/又はメタクリル系共重合体(A)及び多価カ
    ルボン酸系化合物(B)の三次元架橋網目構造及び/又
    はIPN構造を有する有機高分子を有し、かつ、前記連
    続相の三次元架橋網目構造及び/又はIPN構造によ
    り、前記分散相を前記連続相内に均一に保持した塗膜を
    有する車両。
  18. 【請求項18】 前記連続相の三次元架橋網目構造及び
    /又はIPN構造により前記分散相を前記連続相内に均
    一に保持することにより、前記分散層の有する耐衝撃性
    により塗膜全体の耐衝撃性及び耐チッピング性を発現す
    る機能を有する請求項17記載の車両。
  19. 【請求項19】 塗膜形成した際に塗膜が、分散相とし
    てコア/シェル構造を有する粒子(C)を有し、連続相
    としてアクリル系及び/又はメタクリル系共重合体
    (A)及び多価カルボン酸系化合物(B)の三次元架橋
    網目構造及び/又はIPN構造を有する有機高分子を有
    し、かつ、前記連続相の三次元架橋網目構造及び/又は
    IPN構造が前記分散相を前記連続相内に均一に保持し
    うる機能を有する請求項1記載の熱硬化性粉体塗料組成
    物。
  20. 【請求項20】 前記塗膜が、前記連続相の三次元架橋
    網目構造及び/又はIPN構造により前記分散相を前記
    連続相内に均一に保持することにより、前記分散相の有
    する耐衝撃性により塗膜全体の耐衝撃性及び耐チッピン
    グ性を発現する機能を有する請求項19記載の熱硬化性
    粉体塗料組成物。
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