JP3502134B2 - 冷陰極 - Google Patents

冷陰極

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JP3502134B2
JP3502134B2 JP33777293A JP33777293A JP3502134B2 JP 3502134 B2 JP3502134 B2 JP 3502134B2 JP 33777293 A JP33777293 A JP 33777293A JP 33777293 A JP33777293 A JP 33777293A JP 3502134 B2 JP3502134 B2 JP 3502134B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は平面ディスプレイや微少
真空管等の応用分野に於いて、常温で電子を放出する冷
陰極に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の冷陰極で代表的なスピント型冷陰
極というのは、図6に示すように、下部電極42上に、
先端の尖った微少突起電極45が真空中に突出して形成
されており、この上に開口部を有するように電子の引出
し電極46が形成してあり、下部電極42と引出し電極
46との間に電圧を印加すると、微少突起電極45の突
起の先端部分に電界が集中して、107〜108V/cm
程度の強電界部分から電子が放出されるというものであ
る。
【0003】この様な放出電子の方向が、基板面に対し
てほぼ垂直のいわゆる縦型といわれる冷陰極は、微少突
起電極45の形成方法が基板により異なる。例えばシリ
コン基板のような結晶性基板では、引出し電極を蒸着し
てパターニングした後に、KOH等でウエットエッチン
グを行なうと、エッチングレートが結晶の面方位により
極端に異なるという現象を利用した異方性エッチング法
を用いて、ピラミッド形状の微少突起電極を形成し、冷
陰極を作成している。或は、更に、これの表面を酸化し
た後に、エッチングにより酸化物を除去して先端をより
先鋭化するという技術も駆使されている。
【0004】他方、ガラス等のような廉価で大面積が容
易に得られる基板では、下部電極の上部に絶縁膜を介し
引出し電極を形成して、更に間隔を空けて微少突起電極
堆積用のマスクを作成した後に、このマスクを通して、
微少電極となる金属原子或は分子を真空中で蒸着により
下部電極上に堆積させる。
【0005】堆積が進行するに連れて、蒸着マスクの周
辺部分にも同様に金属原子或は分子が堆積して、蒸着マ
スクの開口面積が徐々に減少するため、下部電極上に堆
積する微少電極の形状が結果的に円錐状になる。
【0006】この様にして円錐状の微少突起電極を堆積
した後、引出し電極と微少突起電極を残して、蒸着マス
クごと余分な蒸着金属薄膜を除去することにより冷陰極
を作成していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の縦型冷陰極で
は、その製造に於いて半導体工業で用いられるようなフ
ォトリソグラフィ技術とエッチング技術や真空蒸着技術
が駆使される。しかし、このような製造方法では、フォ
トリソグラフィ工程とエッチング工程に於いて、微少突
起電極パターンの転写時の解像度やレジストの均一性の
問題から、製造する微少突起電極の先端形状が微妙にば
らつく。
【0008】この先端形状のばらつきが、電子放出を行
なう微少突起電極先端の電界強度分布に大きく影響する
ので、電子放出特性に大きなばらつきとなって現われ、
冷陰極の製造歩留まりや均一性が悪く問題となってい
た。
【0009】特に、平面ディスプレイ用の冷陰極として
は、その放射電流値の均一度は隣接セル間で1%以下程
度と要求が厳しい為、1ピクセルに1個の冷陰極を用い
たのでは実使用に耐えない。また、単一冷陰極からの電
子放出では、先端にガスの吸着等が起こると電子放出能
が激変するので、雑音が多くて実使用に耐えない。
【0010】そこで、1ピクセル内に1000個程度の
冷陰極を形成し、並列駆動することにより統計的にピク
セル間の電流ばらつきを小さく押さえ、同時に雑音を小
さく押さえる等によってこの問題を回避しているのが現
状である。
【0011】ところが、平面ディスプレイ等では、一定
の輝度を得るために定放射電流モードでセルを駆動する
のが通例であるが、このような多数の特性の異なる冷陰
極を並列駆動する際には、冷陰極の微少突起電極の先端
がジュール熱による温度上昇のため放射電流値が増加し
て熱暴走を起こしてしまい、ついには微少突起電極の先
端部が破壊されるに至る。
【0012】その後、この冷陰極の分担していた電流が
他の冷陰極に振り分けられるため、次に大きな電子放射
能を持つ冷陰極が破壊に至り、次々と連鎖反応的に破壊
が進行してセルが破壊される。
【0013】これを避けるためには、並列駆動する冷陰
極に電流バランス用の抵抗を直列に挿入して並列駆動す
る方法がとられている。しかしこのために直列抵抗層を
別に作り込む工程が必要となり、歩留まり低下の一因と
なるのが問題でもあった。
【0014】また、引出し電極と微少突起電極との間に
印加する電圧を実用的な数十V程度に低くする為に、微
少突起電極の先端を先鋭化させて電界をその先端に集中
させている。ところが、その先端部分の表面原子に残留
ガスイオン等が付着する、或は、先端の原子がイオン衝
撃によるスパッタや強電界、温度上昇等により脱離した
りすると、電子放出サイトが移動して電子放出能が変化
する、即ち、放射電流値が変動するという、いわゆる電
流雑音を生ずる。これがディスプレイや微少真空管を構
成する際の大きな問題となっていた。
【0015】ディスプレイ等の用途には、1ピクセル内
の冷陰極数を極端に多くして並列駆動することにより電
流雑音、即ち画面のちらつきを統計的に少なく押さえる
方法で改善しているが、従来のフォトリソグラフィー技
術を用いる方法ではμmサイズの冷陰極となるため高密
度化に限界がある。更にセル内の冷陰極の高密度化が課
題となっていた。
【0016】本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなさ
れたもので、極めて微少な大きさで高密度に集積可能
で、しかも低印加電圧でも動作が可能であり、製造が容
易な冷陰極を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】金属または半導体の少な
くとも何れかを含む導電性基材と、前記導電性基材の一
表面上に形成された少なくとも1つ以上の孔を有し、珪
素を含む直鎖のフッ化炭化水素系分子を有する絶縁層
と、前記孔に形成され前記絶縁層の厚み以下の高さを
有する微小電極と、前記絶縁層の前記導電性基材と対向
する面上に形成され、かつ、前記微小電極と非接触の上
部電極とを具備し、前記絶縁層のフッ化炭化水素系分子
と前記導電性基材とが、シロキサン結合を有する冷陰極
である。
【0018】絶縁層中に設けた孔の大きさは、直径、長
軸または一辺の何れかの長さが、1000nm以下が好
ましい。
【0019】 金属または半導体の少なくとも何れかを
含む導電性基材と、前記導電性基材の一表面上に形成さ
れた少なくとも1つ以上の孔を有し、珪素を含む直鎖状
のフッ化炭化水素系分子を有する絶縁層と、前記孔に形
成される前記絶縁層の厚み以下の高さを有する微小電極
と、前記導電性基材と前記微小電極との界面に形成され
た50nm以下の厚さのトンネル絶縁膜と、前記絶縁層
の前記導電性基材と対向する面上に形成され、かつ、前
記微小電極と非接触の上部電極とを具備し、前記絶縁層
のフッ化炭化水素系分子と前記トンネル絶縁膜とが、シ
ロキサン結合を有することを特徴とする冷陰極である
【0020】 また、微少電極の主成分が、炭素原子
あることが好ましい
【0021】
【0022】
【0023】
【作用】絶縁層中の孔に形成した微少電極の高さが当該
絶縁層の厚み以下のため、導電性基材と上部電極間に電
圧を印加すると、上部電極と絶縁層との界面と微少電極
の高さとのギャップで規定される電界強度に応じて、当
該微少電極上部より電子を放出する電子放出微少電極と
なる。
【0024】このギャップ間隔は、通常μmオーダー以
下を有する絶縁膜の厚みよりもはるかに小さな値をとる
構造とすることができるため、例えば10V程度の印加
電圧でも微少電極周辺部の電界強度は107V/cmの
高電界強度に達し、電子の電界放出が起こる。これが本
願発明の冷陰極の原理である。
【0025】この様に、上記構造とすることにより、微
少電極の先端の形状よりも前記ギャップ間隔が電子放出
特性に大きく寄与することになるが、薄膜堆積技術等を
駆使してこのギャップ間隔を均一に制御することは、微
少電極の先端形状の制御よりも容易であるため、均一な
電子放出特性を有する冷陰極の製造が容易になるという
作用がある。
【0026】また、孔の直径、長軸または一辺の長さを
1000nm以下にすると、微少電極の上部表面全般に
わたってほぼ均一に電界印加できるため好ましい。
【0027】すなわち、微少電極のサイズが極めて小さ
いために、高密度に集積化が可能となる作用があり、更
に、並列駆動する場合には、高密度集積化が可能なので
セル内の素子数を多くすることにより、電流ばらつきや
雑音が減少し、また、冷陰極素子当りの電流が小さくな
りので素子寿命が延びるという作用もある。
【0028】導電性基材と微少電極との界面にトンネル
絶縁膜を介すると、電子が導電性基材から前記トンネル
絶縁膜を通るときにトンネル抵抗層として機能し、冷陰
極を並列駆動する時に冷陰極素子間の電流バランス抵抗
として機能するため、冷陰極素子間の電流ばらつきを押
さえて、熱暴走破壊を抑制する作用がある。
【0029】なお、当該トンネル絶縁膜は、微少電極と
導電性基材との間だけに選択的に形成することで本来の
機能を発揮するが、工業的には導電性基材全域に所定厚
みを有するトンネル絶縁膜を形成することが好ましい。
【0030】更に、微少電極材料の主成分を炭素原子と
することにより、絶縁膜材料の、金属または半導体から
なる導電性基材と炭素原子からなる電子放射微少電極と
の親和性の違いにより、絶縁膜を選択的に前記導電性基
材上に形成できるという作用がある。また、冷陰極製造
後に前記微少電極と上部電極とがマイクロショートした
場合に、導電性基材と前記上部電極との間にパルス状の
高電圧を印加することにより微少電極の先端部の炭素原
子を蒸発させてマイクロショートを切断することができ
る。これは、多数の冷陰極の並列駆動を行なうセル等で
はセルの欠陥修復が可能であるという作用がある。
【0031】また、絶縁層としては、珪素、チタンまた
はアルミニウムの内少なくとも何れかを含む直鎖状のフ
ッ化炭化水素系分子で構成されると、絶縁特性が向上す
るため好ましい。特に、当該フッ化炭化水素系分子が、
導電性基材またはトンネル絶縁膜の何れかと共有結合を
介して結合すると、強靱な結合が形成できると共に、当
該フッ化炭化水素系分子の長さで絶縁膜の膜厚が規定で
きるため好ましい。
【0032】また、この際に、共有結合がシロキサン結
合である、或は、少なくとも1単位格子層以上のシロキ
サン系単分子膜を介した共有結合とすることにより、珪
素からシロキサンへの反応性が高く、また導電性基材上
または、トンネル絶縁膜の何れかの上に強固に固定され
るため、素子の寿命が長いという作用もある。
【0033】更に、シロキサン系共有結合は、基材表面
上に存在する活性水酸基と珪素含有フッ化炭化水素系分
子とが化学吸着反応を起こして固定されるため、導電性
基材やトンネル絶縁膜の材料と微少電極材料を選択する
ことにより、微少電極表面には固定されずに、導電性基
材やトンネル絶縁膜の表面上にのみ化学吸着膜を形成す
ることが可能となり冷陰極の製造が容易であるという作
用がある。
【0034】また、絶縁層に酸化物または窒化物の何れ
か一方を用いることにより、素子の耐熱性や、絶縁性が
有機物絶縁膜を用いる場合よりも向上し、高温での使用
が可能となるという作用がある。
【0035】上部電極の材料として、主成分が炭素原子
を含む材料を用いることにより、微少電極と前記上部電
極とがマイクロショートした場合に、導電性基材と前記
上部電極との間にパルス状の高電圧を印加することによ
り、上部電極の微少電極直上の孔の周辺部のショートし
ている部位の炭素原子を蒸発させてマイクロショートを
切断することができ、多数の冷陰極の並列駆動を行なう
セル等でのセルの欠陥修復が可能であるという作用があ
る。
【0036】また、上部電極の材料として、共役不飽和
環状炭化水素系構造を含む、例えばアルキル置換オリゴ
チオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、あるいはグ
ラファイト等の導電性分子の内少なくとも1種からなる
導電性有機分子を用いることにより、導電性有機分子の
寸法が絶縁膜のピンホールよりも大きいために、ピンホ
ールの中に入り込むことがなく、また、特に分子オーダ
ーの微少電極構造では絶縁層の欠如部(孔)にも前記導
電性有機分子が入ることが抑止されるため、導電性基材
と上部電極間のマイクロショートの発生を防止するとい
う作用がある。
【0037】
【実施例】図1により本第1の発明の実施例を説明す
る。基板1上に導電性基材2を形成したものの上に、絶
縁層中の孔(以下絶縁層欠如部と称する場合もある)4
を有する絶縁層3を形成する。この絶縁層欠如部4には
微少電極5が形成され、微少電極5の表面高さが絶縁層
3の高さよりも等しいか低くなるように、即ち同図でギ
ャップ間隔g≧0となるように、形成する。更に絶縁膜
3上には上部電極6が形成され、かつ、微少電極5の直
上部分の上部電極6には孔を空けた構造とする。この様
にして冷陰極を構成する。
【0038】図2には本発明の別の実施例を説明する。
冷陰極の構造は図1の実施例とほぼ同じであるが、異な
る点は、導電性基材2と微少電極5との間に、50nm
以下の膜厚のトンネル絶縁膜8が形成された構造となっ
ている。もちろん図2に於いて絶縁膜3と導電性基材2
との間にトンネル絶縁膜8が有っても無くてもどちらで
もよいのは原理より明らかである。
【0039】次に、具体的な実施例について説明する。
まず第1図を用いて説明する。基板1にガラスを用い、
導電性基材2としてアルミニウムを用いた場合につい
て、その製造方法を中心として説明する。
【0040】まず、初めに図1に示した構成で、微少電
極5の材料として炭素原子を用いる場合について説明す
る。炭素薄膜を堆積した後に、薄い薄膜を形成したとき
に島状構造を呈する例えば金等の金属原子をマスク材料
として薄く堆積して、酸素プラズマ中に曝して酸化させ
てエッチングする、または、イオンミリングにより炭素
薄膜をエッチングする等して炭素からなる微少電極5を
形成するマスク材料を残存させておいても良いし、また
は、例えば液体中で超音波洗浄することにより除去する
こともできる。
【0041】絶縁層3に、例えばSiO2のような酸化
物を反応性スパッタにより堆積することにより、炭素か
らなる微少電極5上には堆積せず、導電性基材2上に選
択的に堆積する。その後、金属または半導体からなる上
部電極を斜め蒸着などの手法を用いて、絶縁層3の上部
のみに堆積させて冷陰極を製造する。
【0042】この様にして作成する微少電極のサイズ
は、数100nm以下と極めて小さく高密度に分散して
いる。また、絶縁層3の膜厚と微少電極5の膜厚との差
は、数十nm程度に容易に制御できるため、導電性基材
2と上部電極6間に例えば10V程度の電圧を印加する
だけで、微少電極5の周辺部から電子が電界放出するこ
とになる。
【0043】上記に於いて、絶縁膜3を堆積した後に、
例えばアーク放電等により炭素薄膜を絶縁膜の厚み以下
の厚みに堆積することにより、グラファイトまたは場合
によってはC60フラーレン等を含む炭素電極からなる上
部電極6と微少電極5とが同時に形成され冷陰極が製造
できる。この時、マイクロショートが発生するようであ
れば、真空下もしくは不活性ガス下で導電性基材2と上
部電極6間に高電圧パルスを印加することにより、当該
ショート部分の炭素被膜をスパッタして素子を良品とす
ることも可能である。
【0044】なお、上記では図1の構造について説明し
たが、図2のように導電性基材2上に50nm以下のト
ンネル絶縁膜が形成されている場合でも同様に製造でき
る。
【0045】同様に、導電性基材2にアルミニュウムを
用いる場合で、微少電極材料として金属または半導体を
用いる場合について説明する。導電性基材2上に、例え
ば金などのような薄膜形成初期過程で島状構造を呈し、
酸化されにくい金属を用いて数十nm以下の高さの微少
電極5を形成する。
【0046】酸化性ガス雰囲気下で加熱することによ
り、アルミニウムの導電性基材2の表面を酸化して酸化
アルミニウムの絶縁層3を形成する。このとき、微少電
極5の形成されている直下の導電性基材2のアルミニュ
ウムは酸化されず、微少電極5を取り囲むように酸化に
より体積が増加した絶縁層3が成長する。
【0047】酸化は、絶縁層3の高さ(膜厚)が微少電
極5の高さよりも高くなったときに停止する。その後、
上記実施例のような手法を用いて上部電極を形成して冷
陰極が完成する。
【0048】なお、微少電極5の材料にSiやGe等の
半導体を用いた場合には、半導体薄膜を形成した後に、
酸化速度を遅らせるためのマスク材となるような例えば
金などの点状薄膜を形成した後に酸化して、マスク材の
無い部分の半導体薄膜を絶縁体に変え、かつ、体積膨張
を起こさせて絶縁層3を成長させて、微少電極5よりも
高くなった時点で酸化を停止する。
【0049】その後、上記のように上部電極6を形成し
て冷陰極を完成する。この場合には、マスク材の金属は
微少電極5の一部としてそのまま使用できる。
【0050】上記実施例で、絶縁層3の材料として酸化
物を用いて説明したが、反応性窒素雰囲気下で窒化物を
形成することも可能であり、原理的には上記と全く同様
の実施が可能である。この場合の導電性基材2の材料と
してアルミニウム以外に例えばSi等の半導体材料も使
用できる。
【0051】次に、絶縁層の材料として珪素を含む直鎖
状のフッ化炭化水素系化学吸着膜を用いる場合につい
て、図3を用いて具体的な実施例を説明する。なお、本
発明でいうフッ化炭化水素系とは、炭化水素系基の水素
の一部が弗素で置換されたものであり、全フッ化炭素も
含むこと当然であり、また、O、N、S等の異種原子を
含む場合もある。基板1上に形成された導電性基材2、
或はその上に形成されたトンネル絶縁膜8(図3ではト
ンネル絶縁膜を形成した例を図示している)上に、上記
実施例のように微少電極5を形成する。
【0052】微少電極5として、例えば炭素を用いるこ
ともできるし、或は金等の表面に水酸基を形成し難い金
属材料を用いることもできる。
【0053】微少電極5を形成後、基板1を一端に反応
活性な例えばクロロシラン等の珪素基を有し、他端に炭
化水素基またはフッ化炭化水素基の何れかを有する化学
吸着剤を溶解した非水系有機溶媒中に浸漬し、非水系有
機溶媒中で化学反応(化学吸着反応という)を起こさせ
て単分子膜(この様にして得られる単分子膜を化学吸着
単分子膜という)を形成する。
【0054】但し、この反応の際に、吸着される側の表
面に例えば水酸基等の活性水素の存在が有ることが必要
であるので、表面に活性水素がほとんど無い上記のよう
な微少電極5の表面には化学吸着がほとんど起こらな
い。
【0055】従って、微少電極5が形成されていない導
電性基材2、或はその上に形成されたトンネル絶縁膜8
の表面に選択的に化学吸着が起こり、図3の様に微少電
極5の部分が絶縁層欠如部4となった構造で化学吸着単
分子膜9を形成する。
【0056】ここで化学吸着単分子膜9は、基板表面と
強固な共有結合を介してつながっているため、基板表面
を削り取らない限り一般には剥離しない程度の付着強度
を有し、良好な絶縁膜13として機能する。この様にし
て形成した絶縁層13の上に、微少電極5の直上の少な
くとも一部分に孔の空いた上部電極6を形成して冷陰極
を製造する。但し、この様な化学吸着膜の製造方法は、
上記例で示した液相での吸着以外にも、例えば気相中で
化学吸着する方法もある。
【0057】以上を具体的に説明する。基板としては何
れでも良いが、簡単のためにSi基板を用い、導電性基
材2としては高濃度にドープしたp型Si(100)面
のドーピング層を用いて説明する。
【0058】基板1を過酸化水素、アンモニア、水
(1:4:10)の混液でボイルして導電性基材2の表
面の洗浄を行なった後、フッ酸水溶液で導電性基材2の
表面の酸化膜を除去して水洗後、すぐに乾燥させる。こ
のときには数nmの厚さの自然酸化膜が形成されるがそ
の最表面には水酸基が無数に形成される。この酸化膜が
トンネル絶縁膜8となる。
【0059】その後、炭素や、金属または半導体からな
る点状の微少電極5を、絶縁膜高さよりも低くなるよう
に、例えば1〜2nm程度の高さに形成する。その後、
フッ化炭化水素系のシラン系界面活性剤を化学吸着させ
ることによりフッ化炭化水素系化学吸着膜9をトンネル
絶縁膜8上に形成して絶縁層13を得る。
【0060】絶縁層9上には、斜めから真空蒸着する方
法や、無電界鍍金等を用いることにより上部電極6を形
成する。この方法で、微少電極5の上部の少なくとも一
部分は孔が空いた上部電極が形成できる。上部電極6の
材料は炭素や、金属、或は、半導体であっても同様な効
果がある。
【0061】また、図4では、導電性基材2或はトンネ
ル絶縁膜8(図4ではトンネル絶縁膜を形成した例を図
示している)の表面に上記実施例と同様に微少電極5を
形成した後、クロロシラン結合を含む物質を接触させ、
その後、未反応のクロロシラン結合を含む物質を洗浄
し、水と反応させ導電性基材2或はトンネル絶縁膜8の
表面に1単位格子層のシロキサン系単分子膜18を形成
させるか、このシロキサン系単分子膜の形成工程を複数
回繰り返し累積して、複数個の単位格子層のシロキサン
系単分子膜18(図5では1単位格子層のシロキサン系
単分子膜を図示している)を形成する。この際にも、図
3のように、上記実施例で説明したように微少電極5の
表面に水酸基が少ない様にしておけば、シロキサン単分
子膜18は微少電極5以外の導電性基材2或はトンネル
絶縁膜8の表面に形成される。
【0062】その後、直鎖状のシラン系界面活性剤を化
学吸着させると、絶縁膜23が図4の様に微少電極5の
部分が絶縁層欠如部4となった構造で形成される。この
例では、本発明の冷陰極の絶縁膜23に用いる化学吸着
単分子膜は、このシロキサン系単分子膜18を介してト
ンネル絶縁膜8上に結合していることになる。
【0063】この様にシロキサン単分子膜18を介して
フッ化炭化水素系のシラン系界面活性剤を化学吸着させ
る方法を採用すると、表面に露出した親水性基が少ない
導電性基材2或はトンネル絶縁膜8の場合でも、フッ化
炭化水素系のシラン系界面活性剤を高密度に化学吸着す
ることができるため好ましい結果が期待できる。
【0064】このクロロシラン結合を有する材料として
は例えば、SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2、C
l−(SiCl2O)n−SiCl3、Hp(R13-pSi
(R 2nSiClm(R33-m等が挙げられ、一般には
Cl−Si結合数が多い方がシラン系界面活性剤を高密
度に化学吸着できるため好ましい。但し、式中nは整
数、m及びpは1〜3の整数、R1及びR3は低級アルキ
ル基、R2は炭素数1以上のメチレン基である。
【0065】特に、クロロシラン結合を含む物質として
SiCl4を用いれば、分子が小さく水酸基化に対する
活性も大きいので、下部電極2の表面を均一に親水化す
る効果が大きく好ましい。
【0066】なお、本発明の冷陰極に用いる化学吸着単
分子膜は、一層の単分子膜でもよく又単分子累積膜でも
良いが、単分子累積膜の場合には累積層間でも化学結合
していることが要求される。
【0067】また、図3、及び図4ではトンネル絶縁酸
化膜8が形成された場合に付いて説明したが、表面にド
ーピングを行なった(導電性基材2として形成した)S
i基板等では、表面の酸化膜をフッ酸で除去した後、酸
化膜を形成せずに水酸基で表面を終端することもできる
ことが知られているが、これを用いればトンネル絶縁酸
化膜8を形成せずに化学吸着単分子膜9や、シロキサン
単分子膜18が形成できる。
【0068】次に、化学吸着処理について具体的に説明
する。化学吸着を行なう方法には種々有るが、一例とし
て、化学吸着剤に、一端にクロロシリル(−SiCln
3-n)基又はアルコキシシラン(−Si(OA)n
3-n)基を含有し、他端に炭化水素基又はフッソ置換し
た炭素を含有するシラン系界面活性剤を用いた場合につ
いて説明する。但し式中のnは1〜3の整数であり、X
は水素、低級アルキル基又は低級アルコキシ基を表わ
し、Aは低級アルキル基を表わす。
【0069】但し、上記シラン系界面活性剤の内クロロ
シラン系界面活性剤は、室温下で化学吸着反応が行え、
確実に化学吸着単分子膜が形成できるため好ましい。ク
ロロシラン系界面活性剤の内でも、トリクロロシラン基
(即ち式中のnが3)であると、吸着分子間でもシロキ
サン結合を介するため好ましい。
【0070】また、本発明に供されるシラン系界面活性
剤は、吸着分子密度を向上させるには直鎖状が好まし
い。具体的にはCH3−(R)m−SiCln3-n、CF
3−(CF2p−(R)m−SiCln3-n、Clq3-q
Si−(R)m−SiCln3 -n、Clq3-qSi−
(CF2p−(R)m−SiCln3-nで表わされるク
ロロシラン系界面活性剤が好ましい。但し式中pは0ま
たは正の整数、mは0または1、Rは炭素数1以上のメ
チレン基、含ビニレン基の炭素数1以上のメチレン基、
含シリコン原子の炭素数1以上のメチレン基または含酸
素原子の炭素数1以上のメチレン基の何れか、Xは水素
原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基、n、q
は1〜3の整数である。
【0071】更に、具体的には例えば直鎖状炭化水素系
のシラン系界面活性剤では、CH3(CH29SiC
3、CH3(CH215SiCl3、CH3CH2O(CH
215SiCl3、CH3(CH22Si(CH32(C
215SiCl3等が、直鎖状フッ化炭化水素系のシラ
ン系界面活性剤では、CF3(CH22SiCl3、CF
3(CH22Si(CH32(CH215SiCl3、C
3(CH22Si(CH 32(CH212SiCl3
CF3(CH22Si(CH32(CH215SiC
3、CF3(CF23(CH22SiCl3、CF3(C
25(CH22SiCl3、CF3(CF27(C
22SiCl3、CF3(CF29(CH22SiCl
3、CF3(CF23(CH22Si(CH32(C
29SiCl3、CF3(CF27(CH22Si(C
32(CH25SiCl3、CF3(CF27(C
22Si(CH32(CH29SiCl3、CF3(C
27(CH22Si(CH32(CH210SiC
3、CF3(CF27(CH22Si(CH32(CH
216SiCl3、CF3CH2O(CH215SiCl3
CF3COO(CH215SiCl3、Cl3Si(C
22(CF26(CH22SiCl3等が挙げられ
る。
【0072】又、上記式中のR基がビニレン基を含有す
ると、触媒、光又は高エネルギー線照射等で不飽和結合
を重合させることにより、分子間に結合が生じより強固
な単分子膜となるため好ましい。
【0073】特に、直鎖状フッ化炭化水素系のシラン系
界面活性剤を用いると耐熱性、電気絶縁特性も良好であ
るため特に好ましい。なお、特にクロロシラン系界面活
性剤を用いる場合には、界面活性剤と水分との反応性が
高いため一般には、非水系雰囲気中にて化学吸着を行な
い、化学吸着単分子膜を形成した後に化学吸着単分子膜
を水分に接触させずに洗浄する必要がある。この洗浄工
程を経なければ未反応のクロロシラン系界面活性剤が水
分と反応して白濁し、浮遊コンタミ(夾雑物)となり、
化学吸着単分子膜に付着してリーク電流の増加や冷陰極
素子動作不良といった特性劣化の原因となる。
【0074】また、これらの界面活性剤は非水系の有機
溶剤に溶解させる必要があり、このような溶剤として
は、例えばシクロヘキサン、n−ヘキサデカン、トルエ
ン、キシレン、ジシクロヘキシル、四塩化炭素、クロロ
ホルム等が単独又は複数種混合して用いられる。
【0075】クロロシラン系以外のシラン系界面活性剤
の場合には、これ以外に例えばメチルアルコ−ルやエチ
ルアルコ−ル等も適用できる。特に、フッ化炭化水素系
のクロロシラン系界面活性剤の場合には、上記のような
溶剤の他に直鎖状含フッ素系溶剤も親和性がよい為使用
できる。
【0076】なお、化学吸着剤はクロロシラン基または
アルコキシシラン系に限定されず、例えばクロロチタネ
ート、アルコキシチタネート等の反応性チタン、あるい
は、反応性アルミニウムを有しても良いこと勿論であ
る。
【0077】更に、具体的な化学吸着方法に付いて説明
する。一例としてフッ化炭化水素系のクロロシラン系界
面活性剤としてCF3(CF27(CH22SiCl3
用いる場合には、非水系の溶媒である80%シクロヘキ
サン、12%四塩化炭素、8%クロロホルムの混合溶剤
に10%の濃度で溶かした溶液を調整し、基板1を2時
間程度浸漬する。
【0078】トンネル酸化絶縁膜8の表面には、前記の
実施例の処理により、水酸基が多数形成されるので、フ
ッ化炭化水素系のクロロシラン系界面活性剤の例えば一
つのSiCl基の塩素と、水酸基とが脱塩酸反応し、ト
ンネル酸化絶縁膜8の微少電極5の形成されていない露
出した表面全面に亘り(化1)に示す結合が生成され、
フッ化炭化水素系化学吸着単分子膜9がトンネル酸化絶
縁膜8の表面とシロキサン結合を介して結合される。
【0079】この絶縁層13の膜厚は、分子構造からお
よそ15Åである。なお、単分子膜は極めて強固に化学
結合しているので、全く剥離することがなかった。
【0080】
【化1】
【0081】次に、シロキサン単分子膜18を介してフ
ッ化炭化水素系化学吸着単分子膜9を製造する方法につ
いて具体的に説明する。トリクロロシリル結合を含む物
質としてSiCl4を、非水系溶媒のクロロホルム溶媒
に1重量パーセント溶解した溶液に基板1を30分間程
度浸漬すると、図4に示したトンネル酸化絶縁膜8の表
面に形成された水酸基と、トリクロロシリル基を含む物
質の塩素原子とで脱塩酸反応を生じ、トリクロロシリル
基を含む物質のクロロシリル単分子膜が形成される。
【0082】このように、トリクロロシリル基を含む物
質としてSiCl4 を用いれば、トンネル酸化絶縁膜8
の表面に少量のOH基13しか存在していなくとも、ト
ンネル酸化絶縁膜8の表面で脱塩酸反応が生じ(化2)
のように分子が−SiO−結合を介して表面に固定され
る。
【0083】
【化2】
【0084】なお、この時、一般には未反応のSiCl
4 もクロロシリル単分子膜上に存在するため、その後、
クロロホルムの非水系の溶媒で洗浄して、さらに水で洗
浄すると、トンネル酸化絶縁膜8の表面の水酸基と未反
応のSiCl4 分子は除去され、図4に示したようにト
ンネル酸化絶縁膜8の表面に(化3)等のシロキサン単
分子膜18が得られる。
【0085】
【化3】
【0086】なお、このときできたシロキサン単分子膜
18は、トンネル酸化絶縁膜8の表面と−SiO−の化
学結合を介して完全に結合されているので、剥がれるこ
とが全く無い。また、得られたシロキサン単分子膜18
は、表面にSiOH結合を数多く持ち、当初の水酸基の
およそ3倍程度の数が生成されるため、後で吸着する化
学吸着単分子膜の密度が高くなりピンホールが少なくな
る。
【0087】この後、基板1をフッ化炭化水素系のクロ
ロシラン系界面活性剤として例えばCF3(CF2
7(CH22SiCl3を用いて、前述の具体的な実施例
のように1時間程度化学吸着を行い、シロキサン単分子
膜18を介してトンネル酸化絶縁膜8と結合させて、図
4に示したように絶縁膜23を形成する。
【0088】なお、このようにして作成した絶縁層23
は、剥離試験を行なっても全く剥離することがなかっ
た。また、上記の具体的実施例では単分子膜一層の場合
と、シロキサン単分子膜一層の後にフッ化炭化水素系の
クロロシラン系界面活性剤層を一層化学吸着させた場合
を示したが、本発明の化学吸着単分子膜は一層に限らず
多層に累積してもその効果は変化するものではない。
【0089】更にまた、上記実施例では、含フッ化炭化
水素クロロシラン系界面活性剤としてCF3(CF27
(CH22SiCl3を用いたが、CF3−(CF2p
(R)m−SiCln3-nで表わされるクロロシラン系
界面活性剤のRの部分に、例えばビニレン基(−CH=
CH−)やエチニレン基(−C≡C−)を付加したり組
み込んで置けば、単分子膜形成後5メガラド程度の電子
線照射で架橋できるので、さらに単分子膜の硬度を向上
させることも可能である。
【0090】なお、フッ化炭化水素系界面活性剤として
上記のもの以外にも例えばCF3CH2O(CH215
iCl3、CF3(CH22Si(CH32(CH215
SiCl3、F(CF24(CH22Si(CH3
2(CH29SiCl3、CF3COO(CH215SiC
3、CF3(CF25(CH22SiCl3等のトリク
ロロシラン系界面活性剤を始め、例えばCF3CH2
(CH215Si(CH32Cl、CF3(CH22Si
(CH32(CH215Si(CH32Cl、CF3CH
2O(CH215Si(CH3)Cl2、CF3COO(C
215Si(CH32Cl等のクロロシラン系界面活
性剤が利用できた。
【0091】また、例えばCF3(CF27(CH22
Si(OCH33、CF3CH2O(CH215Si(O
CH33等のアルコキシシラン系界面活性剤も、界面活
性剤溶液を加熱することにより同様の効果が得られた。
さらに、例えばCH3(CH29SiCl3、CH3(C
215SiCl3、CH3CH2O(CH215SiC
3、CH3(CH22Si(CH32(CH215Si
Cl3、Cl3Si(CH2 2(CF26(CH22Si
Cl3等の炭化水素基を有するクロロシラン系界面活性
剤でも、同様に室温で化学吸着単分子膜が形成され、良
好な絶縁層が形成できる。なお、例えばCl3Si(C
22(CF26(CH22SiCl3の様に両末端が
クロロシランで終端された物は、化学吸着後に塩素基が
水酸基に置き変わり表面に出るので、上部電極材料との
付着性は特に良い。
【0092】次に、上記の具体的実施例に記載したよう
に、絶縁層13または23を形成した後に、上部電極6
を形成する方法に付いて述べる。絶縁層13または23
を形成した基板1を、例えば真空装置内に蒸着源の方向
に対して斜めに設置して真空排気した後に、例えば真空
度100Torr程度のヘリューム雰囲気中で2本の黒
鉛等の炭素棒の間に電流を流してアーク放電を起こさ
せ、絶縁層3上に炭素薄膜からなる上部電極6を形成す
る。このままでも良いが、更に金やAl等の金属薄膜を
重ねて真空蒸着して上部電極6を形成しても良い。
【0093】なお、この様に炭素薄膜を形成した場合に
は、マイクロショートが発生した場合でも、真空下もし
くは不活性ガス下で導電性基材2と上部電極6間に高電
圧パルスを印加することにより、ショート部分の炭素被
膜をスパッタして素子を良品とすることも可能である。
【0094】なお、炭素薄膜の形成方法において、アー
ク放電法に付いて記載したが、これに限るものではな
く、他に、電子ビーム蒸着法、スパッタ法、イオンビー
ムスパッタ法、CVD法、レーザーアブレーション法等
の方法が可能であるのは言うまでもない。
【0095】また、上部電極6の材料として、環状炭化
水素構造を含む導電性分子として、アルキル置換オリゴ
チオフェンを用いる場合には、例えば、ジエチルクイン
ケチオフェン(C25(C4SH2525 )をクロ
ロホルムに1mg/ml程度溶解して塗布、乾燥して上
部電極4を形成できる。あるいは、例えば10-5Tor
r以上の真空中で、タングステンボートにのせたジエチ
ルクインケチオフェンを抵抗加熱により蒸発させ、数千
オングストロームの厚さの上部電極を形成することも出
来る。
【0096】前者の場合には、絶縁層13または23の
上部電極6側の末端に水酸基が形成され、親水性表面と
なっている方が、溶液の塗れが良く均一に塗布すること
が出来る。後者の場合は、絶縁層13または23の上部
電極6側の末端に水酸基が形成されていなくても良い
が、末端がフッ素原子で終端されているよりも水素やメ
チル基となっている方が導電性分子の均一な付着が実現
できる。このようにして作成した冷陰極の特性は、何れ
も炭素薄膜を上部電極に用いたものと同様であった。
【0097】更に、図5に示すように、上部電極材料と
して環状炭化水素構造を含む導電性分子を用いる場合に
付いて説明する。環状炭化水素構造を含む導電性分子3
4として、ポリピロール、ポリアニリンを用いる場合で
は、ポリビニールアルコール(PVA)に酸化剤として
FeCl3 を30重量%混合した希釈水溶液を、酸化物
または窒化物、或は、化学吸着単分子膜からなる絶縁層
3に薄く塗布、乾燥した後、ピロール蒸気、あるいは、
アニリン蒸気を接触させて、モノマー蒸気を重合させて
ポリマーとして上部電極6を形成する。
【0098】この場合には、絶縁層3の化学吸着単分子
膜の上部電極側の末端は、水酸基が付いていて親水性表
面となっていることが望ましい。また、この場合には、
PVA−FeCl3 薄膜は、高抵抗層であるため、この
層が特性のばらつきとなるので出来るだけ薄い方が好ま
しい。
【0099】環状炭化水素構造を含む導電性分子34の
分子サイズが、絶縁膜3のピンホール24のサイズより
も大きい場合には、導電子分子34がピンホール24に
入り込むことが妨げられるために、マイクロショートが
起こりにくい。
【0100】また、絶縁層3の孔(欠如部)4にも同様
に入り難く、表面張力等を調整することで絶縁層欠如部
4内に導電性分子34が入らないようにすることができ
るため、簡単に冷陰極の上部電極が形成できる。
【0101】この様にして作成した冷陰極のリーク電流
や電子放出特性などは、若干ばらつきは大きいものの、
炭素薄膜を上部電極に用いたものとほぼ同様であった。
【0102】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明は金属ま
たは半導体の少なくとも何れかを含む導電性基材と、こ
の導電性基材の一表面上に形成された少なくとも1つ以
上の孔を有する絶縁層と、この孔に形成された絶縁層の
厚み以下の高さを有する微少電極と、絶縁層の導電性基
材と対向する面上に形成された微少電極と非接触状態の
上部電極とを具備した冷陰極であるため、絶縁層の分子
オーダーやクラスターサイズの微少な孔に、電子放出用
の微少電極を構成するので、極めて高密度に集積が可能
であるので、本発明の冷陰極を多数配置して1セルを構
成して並列駆動する場合には、冷陰極1素子当りの放出
電流値は僅かでよい為素子の長寿命化が図られ、電流雑
音も極めて少なくなる効果がある。
【0103】この際、トンネル酸化絶縁膜が形成されて
いる場合には、素子間の電流バランスが良好となり、セ
ル内、セル間の電流ばらつきが押さえられる効果と共
に、連鎖反応的な素子劣化も防止できる効果がある。
【0104】本発明の冷陰極においては、絶縁膜と微少
電極との極僅かの高さの差が、上部電極と微少電極との
間隔となり、この間に電圧を印加するので、十V程度の
小さな電圧でも電子放出が起こり、駆動電圧の低減の効
果がある。
【0105】また、微少電極の主材料を炭素原子とする
ことにより、絶縁膜形成時に濡れ性の違いを利用して、
微少電極部分に孔(欠如部)を有する絶縁膜が容易に製
造でする構造であるため、製造性に優れ歩留まり向上に
効果がある。
【0106】また、素子製造後にマイクロショートが発
生した場合にでも、高電圧パルスを印加することにより
ショート部分をスパッタすることで、セル全体を良品に
修復させ易いという効果もある。
【0107】更に、電子放射微少電極の主材料を金属ま
たは半導体の何れかとすることにより、極薄膜を形成し
クラスターを作って微少電極とすることが出来るため、
フトリソグラフ工程を用いなくてもよいため、製造工程
が簡素化できる効果がある。
【0108】絶縁層に、下部電極と化学結合した直鎖状
のフッ化炭化水素系化学吸着膜を用いる場合には、機械
的に安定、かつ、強固である。
【0109】また、化学吸着膜の厚みが分子オーダーで
揃っているために、特性ばらつきの少ない冷陰極が、化
学吸着工程により形成できるため、大面積の表示素子の
冷陰極としても容易に、かつ、安価に、製造が可能であ
るという効果がある。
【0110】また、絶縁層の材料として、酸化物または
窒化物を用いることにより素子の耐熱性に優れるため、
高温プロセスを導入することができるため、素子の製造
工程で、微少電極や上部電極の材料の選択範囲が広がり
製造が容易になるという効果がある。
【0111】さらに、上部電極の材料として炭素原子を
用いることにより、微少電極と前記上部電極とがマイク
ロショートした場合に、導電性基材と前記上部電極との
間にパルス状の高電圧を印加することにより、上部電極
の微少電極直上の孔の周辺部のショートしている部位の
炭素原子を蒸発させてマイクロショートを切断すること
ができ、多数の冷陰極の並列駆動を行なうセル等でのセ
ルの欠陥修復が可能であるという作用効果がある。ま
た、微少電極材料が炭素の場合には、微少電極の形成と
同時に上部電極が形成できるという効果もある。
【0112】更に、環状炭化水素構造を含む導電性分子
を用いることにより、化学吸着単分子膜のピンホールサ
イズより分子サイズの大きな物を用いた場合には、特に
冷陰極のリーク電流密度の少ない素子が容易に製造で
き、素子の製造工程が簡略化されるという効果があり、
化学吸着単分子膜からなる絶縁層の上記の特徴を活かし
た冷陰極を容易、かつ、歩留まり良く製造することが出
来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷陰極の一実施例を示す断面構造図
【図2】本発明の冷陰極の別の実施例を示す断面構造図
【図3】本発明の冷陰極の他の実施例で、絶縁層に化学
吸着単分子膜を用いた例を示し、基板表面を分子レベル
まで拡大した断面構造図
【図4】本発明の冷陰極の他の実施例で、絶縁層に化学
吸着単分子膜を用いた他の例を示し、基板表面を分子レ
ベルまで拡大した断面構造図
【図5】本発明の冷陰極の別の実施例で、上部電極に環
状炭化水素構造を含む導電性分子を用いた例を示し、基
板表面を分子レベルまで拡大した断面構造図
【図6】従来の冷陰極の例を示す断面構造図
【符号の説明】
1 基板 2 導電性基材 3、13、23 絶縁層 4 絶縁層欠如部 5 電子放射微少電極 6 上部電極 7 電源 8 トンネル酸化絶縁膜 9 化学吸着単分子膜 18 シロキサン単分子膜 24 ピンホール 34 環状炭化水素構造を含む導電性分子 35 ピンホール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 正則 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−150837(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 1/30

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属または半導体の少なくとも何れかを
    含む導電性基材と、前記導電性基材の一表面上に形成さ
    れた少なくとも1つ以上の孔を有し、珪素を含む直鎖
    のフッ化炭化水素系分子を有する絶縁層と、前記孔に形
    成され前記絶縁層の厚み以下の高さを有する微小電極
    と、前記絶縁層の前記導電性基材と対向する面上に形成
    され、かつ、前記微小電極と非接触の上部電極とを具備
    、前記絶縁層のフッ化炭化水素系分子と前記導電性基
    材とが、シロキサン結合を有することを特徴とする冷陰
    極。
  2. 【請求項2】 絶縁層中の孔の直径、長軸、または一辺
    の何れかの長さが、1000nm以下であることを特徴
    とする、請求項1記載の冷陰極。
  3. 【請求項3】 金属または半導体の少なくとも何れかを
    含む導電性基材と、前記導電性基材の一表面上に形成さ
    れた少なくとも1つ以上の孔を有し、珪素を含む直鎖状
    のフッ化炭化水素系分子を有する絶縁層と、前記孔に形
    成される前記絶縁層の厚み以下の高さを有する微小電極
    と、前記導電性基材と前記微小電極との界面に形成され
    た50nm以下の厚さのトンネル絶縁膜と、前記絶縁層
    の前記導電性基材と対向する面上に形成され、かつ、前
    記微小電極と非接触の上部電極とを具備し、前記絶縁層
    のフッ化炭化水素系分子と前記トンネル絶縁膜とが、シ
    ロキサン結合を有することを特徴とする冷陰極。
  4. 【請求項4】 微小電極材料の主成分が、炭素原子であ
    ることを特徴とする、請求項1または3何れかに記載の
    冷陰極。
  5. 【請求項5】 微小電極の材料が、金属または半導体の
    何れかであることを特徴とする、請求項1または3何れ
    かに記載の冷陰極。
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