JP3499910B2 - 平板マグネトロンスパッタリング装置 - Google Patents

平板マグネトロンスパッタリング装置

Info

Publication number
JP3499910B2
JP3499910B2 JP34116193A JP34116193A JP3499910B2 JP 3499910 B2 JP3499910 B2 JP 3499910B2 JP 34116193 A JP34116193 A JP 34116193A JP 34116193 A JP34116193 A JP 34116193A JP 3499910 B2 JP3499910 B2 JP 3499910B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
target
magnet
electron source
electron
filament
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP34116193A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07166349A (ja
Inventor
啓次 石橋
Original Assignee
アネルバ株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by アネルバ株式会社 filed Critical アネルバ株式会社
Priority to JP34116193A priority Critical patent/JP3499910B2/ja
Publication of JPH07166349A publication Critical patent/JPH07166349A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3499910B2 publication Critical patent/JP3499910B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子源を備えた平板マ
グネトロンスパッタリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図7は従来の平板マグネトロンスパッタ
リング装置の概略構成を示す正面断面図である。真空容
器10には、矢印12の方向へ排気する排気系14と、
矢印16の方向へガスを導入するガス導入系18と、基
板20を保持する基板ホルダー22が設置されている。
真空容器10に取り付けられたカソードホルダー24は
絶縁物25により電気的に真空容器10から絶縁されて
いる。このカソードホルダー24には、ターゲット26
をボンディングしたバッキングプレート(裏板)28が
取り付けられ、このバッキングプレート28の背面側
に、所定の磁極配置にした磁石ユニット30が設置され
ている。冷却媒体32はカソードホルダー24の内部に
供給され、カソードホルダー24とバッキングプレート
28と磁石ユニット30とを冷却する。スパッタリング
に必要な電力は電源系34から供給される。カソードホ
ルダー24の周囲にはシールド板36があり、カソード
ホルダー24とバッキングプレート28がスパッタされ
るのを防いでいる。
【0003】このような平板マグネトロンスパッタリン
グ装置では、ターゲットから発生する負イオンや、ター
ゲットを衝撃して電荷は失うがエネルギーをほとんど保
持したまま散乱される中性Ar等の高速粒子により、基
板上の薄膜が成膜中に衝撃を受けて、膜特性の劣化を生
じる問題があった。例えば、InとSnの酸化物から成
るターゲットを用いて通称ITOと呼ばれる透明導電膜
を作製する場合、高速粒子の膜衝撃により膜の比抵抗が
ある値(基板温度が200℃の条件で、2×10-4Ω・
cm程度)以下にはならなかった。
【0004】この高速粒子の衝撃を低減するためには、
高速粒子のエネルギーの大小に直接関係する放電電圧を
下げればよく、そのための方法がいくつか知られてい
る。最もよく行なわれる方法は、カソードホルダー内の
磁石を改良して、ターゲット表面上の磁場を強くする方
法である(例えば特開平2−232358号)。この方
法は、磁場を強くすることによって、電子の閉じ込めを
強化してプラズマ密度を上げ、その結果、放電電圧を低
下させるものである。しかし、磁場を強くするに従って
放電電圧は飽和する傾向があり、この方法ではある程度
までしか放電電圧を下げることができなかった。
【0005】他の方法としては、ターゲットに印加する
高周波に直流を重畳する方法がある(例えば特開平3−
249171号)。この方法は、高周波電源を用いてプ
ラズマを発生させるとともに、ローパスフィルタを介し
てターゲットに直流電圧を印加することにより、放電電
圧を低下させるものである。しかし、この方法では電源
系が複雑となり、実際の操作性もインピーダンス整合が
とりにくい等の問題があった。
【0006】さらに別の方法として、ターゲットの外周
付近にフィラメントを配置した3極スパッタリング装置
(例えば、S. D. DahlgrenとE. D. McClanahanが3rd Sy
mposium on the Deposition of Thin Films by Sputter
ing (Sept. 9-10, 1969) pp.20-30 において報告したよ
うな装置)を用いても放電電圧を下げることができる。
しかし、フィラメントの電位は、電子を放出できるよう
に、プラズマ電位よりも低くなっているため、プラズマ
中の正イオンによりフィラメントがスパッタされてしま
い、膜中にフィラメントの構成元素が混入してしまうと
いった問題があった。またフィラメントの輻射熱により
基板が必要以上に加熱される等の問題もあった。
【0007】本願発明者は、以上のような問題点を解決
するために、先に、図8に示すような、ターゲットの外
周近傍に電子源を配置したスパッタリング装置を発明し
た(特願平5−163799号)。この発明が上述の図
7の従来装置と異なるところは、ターゲットの外周近傍
に配置した電子源と、そのための電源系統である。以下
の図8の説明においては、図7に示した構成要素と同一
のものについては同一符号を付してその説明を省略す
る。図8の装置は、本願出願時点では未公開のものであ
って従来技術ではないが、本願発明の基礎となるもので
あるから、先願発明として以下に説明する。
【0008】図8において、この平板マグネトロンスパ
ッタリング装置では、ターゲット26の外周近傍に環状
の電子源38を配置している。電子源38は、フィラメ
ント40と、このフィラメント40を覆うカバー42と
で構成されている。カバー42は、カバー本体43と、
絶縁物45と、ターゲット26の側に電子放出口46を
有する引き出し電極44とを備えている。フィラメント
40は、全体として環状の電子放出口46の後ろ側に、
これを包囲するように配置されている。フィラメント4
0はフィラメント電源50に接続され、フィラメント端
子は絶縁物52によってカバー本体43から絶縁されて
いる。引き出し電極44とフィラメント40の間には可
変直流電圧源54が接続されている。そして、引き出し
電極44は接地されている。引き出し電極44の電位は
フィラメント40の電位よりも高くされ、フィラメント
40で発生した電子は引き出し電極44に向かい、電子
放出口46から引き出される。これによりターゲット2
6上の放電空間中の電子が増加し、スパッタガスの電離
を促進することができる。その結果、プラズマ密度が増
加するため、放電電圧が低下し、膜を衝撃する高速粒子
のエネルギーを小さくすることができる。また、この平
板マグネトロンスパッタリング装置では、フィラメント
40はカバー42に覆われているので、プラズマ中の正
イオンによってフィラメントがスパッタされることがな
く、フィラメント40の構成元素が膜中に混入すること
がなくなる。さらにフィラメント40の輻射熱はカバー
42に遮られるので、フィラメント40によって基板2
0が必要以上に加熱されることがなくなる。
【0009】また、上述の先願発明とは別に、ターゲッ
ト上に電子を供給して放電電圧を低下させる方法とし
て、プラズマガンと、そのプラズマガンからの電子をタ
ーゲット上へ導くための磁場を発生させるコイルとを設
けたスパッタリング装置がある(特開平5−59544
号)。この装置の概略の構成を図9と図10に示す。
【0010】図9は、真空容器56の側面にプラズマガ
ン57を配置した場合の平面断面図であって、プラズマ
ガン57からの電子を、コイル58が発生する磁力線5
9によりターゲット60上へ導くものである。プラズマ
ガン57からターゲット60上へ導かれる電子は、磁力
線59に沿ったらせん状の軌跡61を描く。ターゲット
60の背面にはマグネトロン放電のための磁石ユニット
69が配置されている。
【0011】この従来例では、プラズマガン57から電
子が供給される側のプラズマ密度が高くなり、ターゲッ
ト60上でのプラズマ密度の分布が、図において左右非
対称となってしまい、作製される膜の膜厚や特性も同様
に左右非対称となってしまう。このような非対称性を改
善するために、プラズマガンとコイルを複数個配置しよ
うとすると、各コイルの磁場が干渉してしまい、電子を
効率良くターゲット60上へ供給できないといった問題
が生じる。また、電子の供給手段としてプラズマガンと
コイルを用いているため、基本的に環状構造とすること
ができず、ターゲット60上へ、その外周から平均的に
電子を供給することができない、といった問題もある。
【0012】図10はプラズマガンを用いた別の従来例
であり、ターゲット62の背面にプラズマガン63とコ
イル64を配置したものである。(A)は真空容器の内
部の平面図であり、(B)は(A)のB−B線断面図で
ある。ターゲット60の中央には電子の取り出し口65
を設けてあり、プラズマガン63から発生する電子はこ
の電子の取り出し口65を通って真空容器66の内部に
導かれる。電子は、コイル64の発生する磁力線67に
沿ってらせん状の軌跡68を描く。ターゲット62の背
面にはマグネトロン放電のための磁石ユニット70が配
置されている。
【0013】この従来例では、ターゲット62の背面に
プラズマガン63とコイル64を配置して電子を供給す
る構成になっているので、ターゲット62に対向配置さ
れた基板71は、プラズマガン63に対しても対向した
位置になる。そのため、基板71はプラズマガン63か
らの電子衝撃を直接受けてしまい、基板71が必要以上
に加熱されてしまうといった問題がある。
【0014】このような、図9と図10に示した従来例
の装置に対して、図8に示した先願発明の装置では、熱
電子を発生させるフィラメント40と、このフィラメン
ト40を覆うカバー42とから成る環状の電子源40を
設けているため、ターゲット26の上方へその外周から
平均的に電子を供給することができる。また、引き出し
電極44により電子の放出方向が限定されるので、基板
20が電子源38からの電子衝撃を直接受けることがな
いといった利点がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】図8に示す先願発明は
上述のように優れたものであるが、次のような問題があ
る。図11の(A)は図8の装置のカソード24と電子
源38の付近を示す正面切断端面図である。この図で
は、ターゲット26の背面に配置した磁石ユニット30
によって形成される磁力線のうち、電子放出口46を通
る磁力線47と、プラズマを収束させるための代表的な
磁力線49とを示している。ここで、磁力線47の方向
が問題となる。すなわち、電子放出口46での磁力線4
7の方向が、電子の放出方向51(電子源38から電子
を引き出すための電界方向)と平行になっていないこと
が問題である。電子放出口46から出た電子は、磁力線
47に沿ってらせん状の軌跡を描くので、磁力線47の
方向と電子放出方向とが平行になっていないと、電子は
放出口近傍にトラップされやすく、ターゲット26の上
方の放電空間へ電子を供給する効率が悪くなる。
【0016】また、シールド板36の形状によっては、
この図に示すように、磁力線47がシールド板36を貫
く場合がある。このような場合には、トラップされた電
子のほとんどは、磁力線47に沿ったらせん状の軌跡を
描いてシールド板36に流れ込んでしまい、ターゲット
26の上方の放電空間への電子の供給効率が極端に悪く
なってしまう。さらに、フィラメント40と引き出し電
極44との電位差が小さい場合には、フィラメント40
から発生する熱電子は、引き出し電極44に到達する前
に磁場にトラップされてしまい、電子放出口46から放
出されない恐れもある。
【0017】このような問題を避けるために、図11の
(B)に示すように、電子源38を傾斜させる方法が考
えられる。すなわち、電子を効率良くターゲット26上
の放電空間へ供給するために、電子放出方向51と、電
子放出口46を通る磁力線47の方向とが平行になるよ
うに、電子源38の姿勢を変更する。しかし、このよう
な配置にすると、電子放出口46を通してターゲット2
6がフィラメント40の輻射熱を受けてしまい、ターゲ
ット26が変質してしまうといった問題が生じる。
【0018】本発明の目的は、放電電圧を効果的に下げ
ることができ、かつ良好な特性の薄膜を作製できる平板
マグネトロンスパッタリング装置を提供することにあ
る。本発明の別の目的は、電子源の配置姿勢に依存する
ことなく、ターゲット上方の放電空間へ電子を効率的に
供給できる平板マグネトロンスパッタリング装置を提供
することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の平板マグネトロ
ンスパッタリング装置は、ターゲットの外周近傍に環状
の電子源を配置し、この電子源の背後に環状の磁石を配
置している。そして、この磁石の電子源側の磁極が、タ
ーゲット背面に配置した外側磁石のターゲット側の磁極
とは反対の極性になるようにしている。例えば、ターゲ
ット背面の外側磁石のターゲット側の磁極がN極の場合
には、電子源の背後の磁石の電子源側の磁極をS極とす
る。これとは逆に、ターゲット背面の外側磁石のターゲ
ット側の磁極がS極の場合には、電子源の背後の磁石の
電子源側の磁極をN極とする。
【0020】なお、本発明において、電子源の「背後」
とは、電子源の電子放出口とは反対側の位置を指す。
【0021】本発明は、また、電子源の背後に環状の磁
石を配置して、電子源の電子放出口から放出される電子
の放出方向と、前記電子放出口を通過して前記外側磁石
のターゲット側の磁極に達する磁力線が前記電子放出口
において向く方向とを実質的に平行にしている。
【0022】電子放出口から放出される電子の放出方向
は、ターゲットの表面に対して実質的に平行にするか、
または垂直にすることができる。
【0023】
【作用】本発明によれば、電子源の背後の環状の磁石の
電子源側の磁極を、ターゲット背面に配置した外側磁石
のターゲット側の磁極とは反対の極性になるようにした
ので、電子源の配置姿勢に依存することなく、電子源の
電子放出口での磁力線の方向を電子の放出方向と平行に
することができる。これにより、電子をこの磁力線に沿
って効率良くターゲット上まで輸送することができ、タ
ーゲット上の放電空間中に電子を多量に供給できる。そ
の結果、スパッタガスの電離が促進され、プラズマ密度
が増加し、放電電圧を効果的に低下させることができ
る。したがって、膜を衝撃する高速粒子のエネルギーが
小さくなる。
【0024】本発明は、電子源の背後に磁石を配置する
ことによって電子放出口での磁力線の方向と電子放出方
向を平行にするので、電子の放出方向を任意の方向に設
定できる。
【0025】
【実施例】図1の(A)は、本発明の第1実施例の平板
マグネトロンスパッタリング装置におけるカソードと電
子源の付近を示す正面断面図である。(B)は(A)と
同じ部分を切断端面図で示したものである。この図1に
おいて、図7に示す従来技術および図8に示す先願発明
と同一の構成要素については、同一の符号を付して詳し
い説明を省略する。また、図1に示す以外の装置構成
は、図7に示す従来技術と同じである。
【0026】図1の(A)において、この平板マグネト
ロンスパッタリング装置では、ターゲット26の外周近
傍に電子源38を配置している。電子源38は、フィラ
メント40と、このフィラメント40を覆うカバー42
とで構成されている。カバー42は、カバー本体43
と、絶縁物45と、ターゲット26の側に電子放出口4
6を有する引き出し電極44とを備えている。フィラメ
ント40は、全体として環状の放出口46の後ろ側に、
これを包囲するように配置されている。フィラメント4
0に接続する電源系は図8に示すものと同じである。引
き出し電極44の電位はフィラメント40の電位よりも
高くされ、フィラメント40で発生した電子は引き出し
電極44に向かい、電子放出口46から引き出される。
電子源38の背後には環状の磁石72を配置している。
【0027】ターゲット26の背面の磁石ユニット30
は、ターゲット26の表面に垂直な方向に磁化された内
側磁石31と、この内側磁石31の周囲に配置されて内
側磁石31とは磁化の方向が逆向きの環状の外側磁石3
3と、ヨーク35とで構成されている。この実施例で
は、内側磁石31のターゲット側がS極であり、外側磁
石33のターゲット側がN極である。
【0028】(B)に示すように、この電子源38で
は、電子放出口46から放出される電子の放出方向51
は、ターゲット26の表面に平行となっている。そし
て、電子源38の背後の環状の磁石72は、その電子源
側の磁極(S極)が、ターゲット26の背面の外側磁石
33のターゲット側の磁極(N極)とは反対の極性にな
っている。このような磁極配置により、電子源38の電
子放出口46を通る磁力線74の電子放出口46での方
向を、電子放出方向51(すなわち、電子を引き出す電
界方向)と実質的に平行にすることができる。これによ
り、フィラメント40と引き出し電極44との間の電位
差が小さい場合でも、電子を磁力線74に沿って効率良
くターゲット26の上方まで輸送することができ、ター
ゲット26上の放電空間に電子を多量に供給できる。そ
の結果、スパッタガスの電離が促進され、プラズマ密度
が増大し、放電電圧を効果的に低下させることができ
る。
【0029】ところで、磁力線74がシールド板36を
貫くような場合は、電子は磁力線74に沿ってらせん状
の軌跡を描いてシールド板36に流れてしまい、ターゲ
ット26の上方に電子を供給できなくなる。そこで、磁
力線74がシールド板36を貫かないように、シールド
板36の形状及び寸法には注意する必要がある。
【0030】図2は、電子源38とその背後の環状磁石
72とを鉛直面で切断した状態の斜視図である。
【0031】図3は電子源38の平面断面図である。環
状のカバー42の内部には1本のらせん状のフィラメン
ト40が設置され、その両端は1対の端子76、77に
接続されている。
【0032】図4は電子源の変更例の平面断面図であ
る。この変更例では、一つの環状のカバー78の内部に
2本のフィラメント79、80を設置して、一方のフィ
ラメント79の両端を1対の端子81、82に接続し、
他方のフィラメント80の両端を1対の端子83、84
に接続してある。なお、フィラメントを3本以上にする
こともできる。
【0033】図5は電子源の別の変更例の平面断面図で
ある。この変更例では、概略半円形の2個のカバー8
5、86を組み合わせて実質的に環状の電子源を構成し
ている。それぞれのカバーの内部には、フィラメント8
7、88が1本ずつ配置されている。なお、カバーを3
個以上に分割することもできる。
【0034】図6の(A)は、本発明の第2実施例の平
板マグネトロンスパッタリング装置におけるカソードと
電子源の付近を示す正面切断端面図である。この実施例
は、電子源の配置姿勢を変更したものであり、電子源3
8aの電子放出口46aの位置がターゲット26の表面
の高さとほぼ同じになるようにし、かつ、電子放出方向
51aがターゲット26の表面に垂直になるようにして
いる。電子源38aの背後に配置する磁石72aは、タ
ーゲット26の表面に垂直な方向に磁化されていて、電
子源側の磁極(S極)は、ターゲット26の背面に配置
した外側磁石33のターゲット側の磁極(N極)とは反
対の極性となっている。この実施例においても、磁石7
2aを配置したことにより、電子放出口46での磁力線
74aの向きを、電子放出方向51aに平行にすること
ができる。これにより、第1実施例と同様に、電子を磁
力線74aに沿って効率良くターゲット26の上方まで
輸送でき、ターゲット26上の放電空間に電子を多量に
供給できる。
【0035】この実施例では、電子放出口46aがター
ゲット26の表面とほぼ同じ高さになるように電子源3
8aを配置しているが、電子放出口46aでの磁力線7
4aの向きが電子放出方向51aと平行になる限り、電
子放出口46aの高さがターゲット26の表面の高さと
一致しなくても構わない。
【0036】この実施例では、電子源38aの背後の磁
石72aは、電子源38aの下方に位置している。そし
て、ターゲット26の表面に垂直な方向に磁化されてい
て、上下方向に延びている。このような配置にすると、
電子放出口46aをターゲットシールド36の上面の高
さ位置よりも下げることができる。したがって、ターゲ
ット・基板間距離を狭くする場合にも電子源38aが邪
魔にならない。また、ターゲット・基板間にシャッター
などの可動機構を配置する場合にも、同様に電子源38
aが邪魔にならない。さらに、この実施例の環状磁石7
2aは、図1に示す第1実施例の環状磁石72と比較し
て、その外径寸法がかなり小さくなり、配置スペースが
節約できる。
【0037】図6の(B)は、本発明の第3実施例の平
板マグネトロンスパッタリング装置におけるカソードと
電子源の付近を示す正面切断端面図である。この実施例
では、電子源38bの配置姿勢を変更して、ターゲット
26の中心線90に対して、外側斜め上方に電子を放出
するようにしたものである。電子源38bの背後に磁石
72bを配置することと、この磁石の72bの電子源側
の磁極(S極)をターゲット26の背面に配置した外側
磁石33のターゲット側の磁極(N極)とは反対の極性
にすること、については、第1実施例及び第2実施例と
同様である。これにより、電子放出口46bでの磁力線
74bの向きを、電子放出方向51bに平行にすること
ができる。この第3実施例においても、電子を磁力線7
4bに沿って効率良くターゲット26の上方まで輸送で
き、ターゲット26上の放電空間に電子を多量に供給で
きる。
【0038】以上の第1〜第3実施例において、図示し
た磁石の極性を全て反対にした場合でも、全く同様の効
果が得られる。
【0039】この発明では、電子源の背後に磁石を配置
したことにより、電子源の姿勢に依存せずに、電子放出
口での磁力線の向きを電子放出方向に平行にすることが
可能となった。したがって、電子源の姿勢はかなり自由
に選択できることになる。ただし、電子放出口が基板や
ターゲットに対向するような電子源姿勢は好ましくな
い。その理由は、電子放出口を通して基板やターゲット
がフィラメントの輻射熱を受けてしまい、成膜に悪影響
を与えたり、ターゲットが変質したりする、などの不都
合があるからである。
【0040】上述の実施例では、電子源のカバー42と
して、断面が長方形のものを示したが、その断面形状
は、円形あるいはその他の形状でもよい。また、電子源
のカバー42の構成も、カバー本体43と引き出し電極
44とを絶縁物45を介して接続した構造に限定され
ず、カバー本体と引き出し電極を一体にしたものでもよ
い。さらに、引き出し電極44をメッシュ状にして、こ
のメッシュの網目から電子を引き出すようにしてもよ
い。
【0041】上述の実施例ではターゲットの形状につい
ては特に明記していないが、電子源及びその背後に配置
する磁石の形状は、ターゲットの形状に合わせた環状構
造にすることができる。例えば、円形ターゲットに対し
ては円形の環状構造、矩形ターゲットや楕円形ターゲッ
トに対しては、矩形あるいは楕円形の環状構造にするこ
とができる。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、電子源の配置姿勢に依
存することなく、電子源の電子放出口での磁力線の方向
を、電子の放出方向と平行にできるので、ターゲット上
の放電空間中に電子を効率良く多量に供給でき、スパッ
タガスの電離を促進することができる。これにより、プ
ラズマ密度が増大し、効果的に放電電圧を低下させるこ
とができる。この結果、膜を衝撃する高速粒子のエネル
ギーが小さくなり、良好な特性を有する薄膜の作製が可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例のカソードと電子源の付近
を示す正面断面図と、切断端面図である。
【図2】電子源とその背後の環状磁石を鉛直面で切断し
た状態の斜視図である。
【図3】電子源の平面断面図である。
【図4】電子源の変更例の平面断面図である。
【図5】電子源の別の変更例の平面断面図である。
【図6】本発明の第2実施例と第3実施例についてカソ
ードと電子源の付近を示す正面切断端面図である。
【図7】従来の平板マグネトロンスパッタリング装置の
概略構成を示す正面断面図である。
【図8】環状の電子源を備えた先願発明の装置の正面断
面図である。
【図9】プラズマガンとコイルを備えた従来装置の平面
断面図である。
【図10】プラズマガンとコイルを備えた別の従来装置
の平面図と正面断面図である。
【図11】図8に示す装置のカソードと電子源の付近を
示す正面切断端面図である。
【符号の説明】
26 ターゲット 30 磁石ユニット 31 内側磁石 33 外側磁石 36 シールド板 38 電子源 40 フィラメント 42 カバー 43 カバー本体 44 引き出し電極 46 電子放出口 51 電子放出方向 72 磁石 74 磁力線

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ターゲット表面近傍にプラズマを収束す
    るため、平板状のターゲットの背面に、平板状ターゲッ
    トの表面に垂直な方向に磁化された内側磁石と、この内
    側磁石の周囲に配置されて内側磁石とは磁化の方向が逆
    向きの環状の外側磁石とで構成された磁石とを配置した
    平板マグネトロンスパッタリング装置において、 平板状ターゲットの外周近傍に環状の電子源を配置し、
    この電子源に、熱電子を発生させるフィラメントと、こ
    のフィラメントを覆うカバーとを設け、このカバーに電
    子放出口を形成し、 前記電子源の背後に環状の磁石を配置し、この環状の磁
    石の電子源側の磁極を前記外側磁石のターゲット側の磁
    極とは反対の極性にしたことを特徴とする平板マグネト
    ロンスパッタリング装置。
  2. 【請求項2】 ターゲット表面近傍にプラズマを収束す
    るため、平板状のターゲットの背面に、平板状ターゲッ
    トの表面に垂直な方向に磁化された内側磁石と、この内
    側磁石の周囲に配置されて内側磁石とは磁化の方向が逆
    向きの環状の外側磁石とで構成された磁石とを配置した
    平板マグネトロンスパッタリング装置において、 平板状ターゲットの外周近傍に環状の電子源を配置し、
    この電子源に、熱電子を発生させるフィラメントと、こ
    のフィラメントを覆うカバーとを設け、このカバーに電
    子放出口を形成し、 前記電子源の背後に環状の磁石を配置し、前記電子放出
    口から放出される電子の放出方向と、前記電子放出口を
    通過して前記外側磁石のターゲット側の磁極に達する磁
    力線が前記電子放出口において向く方向とを実質的に平
    行にしたことを特徴とする平板マグネトロンスパッタリ
    ング装置。
  3. 【請求項3】 前記電子放出口から放出される電子の放
    出方向を、ターゲットの表面に対して実質的に平行にし
    たことを特徴とする請求項1または2に記載の平板マグ
    ネトロンスパッタリング装置。
  4. 【請求項4】 前記電子放出口から放出される電子の放
    出方向を、ターゲットの表面に対して実質的に垂直にし
    たことを特徴とする請求項1または2に記載の平板マグ
    ネトロンスパッタリング装置。
JP34116193A 1993-12-13 1993-12-13 平板マグネトロンスパッタリング装置 Expired - Fee Related JP3499910B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34116193A JP3499910B2 (ja) 1993-12-13 1993-12-13 平板マグネトロンスパッタリング装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34116193A JP3499910B2 (ja) 1993-12-13 1993-12-13 平板マグネトロンスパッタリング装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07166349A JPH07166349A (ja) 1995-06-27
JP3499910B2 true JP3499910B2 (ja) 2004-02-23

Family

ID=18343818

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34116193A Expired - Fee Related JP3499910B2 (ja) 1993-12-13 1993-12-13 平板マグネトロンスパッタリング装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3499910B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100748160B1 (ko) * 2005-11-16 2007-08-09 주식회사 에스에프에이 스퍼터링 마그네트론 소스
JP2010024532A (ja) * 2008-07-24 2010-02-04 Asahi Glass Co Ltd マグネトロンスパッタ装置、成膜方法、及び光学部品の製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5845892B2 (ja) * 1980-06-23 1983-10-13 大阪真空化学株式会社 スパツタ蒸着装置
JPS6220866A (ja) * 1985-07-19 1987-01-29 Sumitomo Metal Mining Co Ltd スパツタ装置
JPS6372875A (ja) * 1986-09-17 1988-04-02 Hitachi Ltd スパツタリング装置
JPS6455815A (en) * 1987-08-27 1989-03-02 Sanyo Electric Co Sputtering apparatus for manufacturing thin magnetic film

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07166349A (ja) 1995-06-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3397786B2 (ja) マグネトロンスパッタイオンプレーティング
KR100659828B1 (ko) 이온화 물리적 증착 방법 및 장치
JPH0627323B2 (ja) スパツタリング方法及びその装置
EP0660372B1 (en) Plasma beam generating method and apparatus which can generate a high-power plasma beam
JPS5952957B2 (ja) マグネトロン型スパッタ装置のカソ−ド部
US6160350A (en) Ion plating apparatus
US4716340A (en) Pre-ionization aided sputter gun
US6761804B2 (en) Inverted magnetron
RU2187218C1 (ru) Источник ионов (варианты)
JP4473852B2 (ja) スパッタ装置及びスパッタ方法
JPH0689446B2 (ja) 薄膜形成装置
JP3499910B2 (ja) 平板マグネトロンスパッタリング装置
JP2849771B2 (ja) スパッタ型イオン源
JPH0660393B2 (ja) プラズマ集中型高速スパツタ装置
JP3406769B2 (ja) イオンプレーティング装置
JP2674995B2 (ja) 基板処理方法およびその装置
JP2928105B2 (ja) スパッタリング装置
JPH05171435A (ja) 薄膜形成装置
JP3766569B2 (ja) マグネトロンスパッタ装置
RU2101383C1 (ru) Способ катодного распыления
JPH06346233A (ja) スパッタリング装置
JP4219925B2 (ja) マグネトロンスパッタ装置
JP3427450B2 (ja) イオン源装置
JP3764276B2 (ja) マグネトロンスパッタ方法及び装置
JPH03150355A (ja) スパッタリング装置

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081205

Year of fee payment: 5

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081205

Year of fee payment: 5

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081205

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091205

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees