JP3498784B2 - 可変動弁機構 - Google Patents

可変動弁機構

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JP3498784B2
JP3498784B2 JP4552498A JP4552498A JP3498784B2 JP 3498784 B2 JP3498784 B2 JP 3498784B2 JP 4552498 A JP4552498 A JP 4552498A JP 4552498 A JP4552498 A JP 4552498A JP 3498784 B2 JP3498784 B2 JP 3498784B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関のクラン
ク軸と同期回転可能な回転伝達部材に対するカムシャフ
トの回転位相を油圧により可変調整する可変動弁機構に
関し、特に、スプリングのバネ力によりベーン部材をロ
ックすると共に、遅角側または進角側油室への圧油供給
に応じてロックを解除するベーン式カム位相可変装置に
関する。 【0002】 【関連する背景技術】油圧ベーン式カム位相可変装置
は、クランク軸と同期回転する回転伝達部材と一体回転
可能な収容部材と、この収容部材内に収容されたベーン
を有しカムシャフトと一体回転可能なベーン部材とを含
み、ベーンと収容部材との間に形成された油室に対して
圧油を給排することによりカム位相を変化させて吸気弁
と排気弁とのバルブオーバラップ期間を可変調整するも
ので、エンジン始動性やエンジン出力の向上に寄与す
る。油圧ベーン式カム位相可変装置には、比較的廉価に
製造可能であるという利点がある一方で、エンジン始動
時にカム位相が変動するという欠点がある。 【0003】すなわち、エンジンの運転停止に伴ってカ
ム位相可変装置の油室への圧油供給が停止すると、エン
ジン上部に位置する油室内の圧油がシリンダヘッド内へ
抜け、圧油を介するベーンと収容部材との結合が解除さ
れ、ベーンは収容部材内で自由に回転可能になる。この
様な状態でのエンジン始動中、吸気弁または排気弁の開
弁から最大リフトまでの期間ではカム回転を抑制する負
の駆動トルクがカムを介してカムシャフトに加わり、最
大リフトから閉弁までの期間ではカム回転を促進する正
の駆動トルクがカムシャフトに加わる。この結果、圧油
による拘束のないベーンが収容部材内で移動してカム位
相が変動し、失火が発生し易くなる。 【0004】上記の駆動トルクによるカム位相ずれを防
止するため、特開平9−60508号公報に記載のバル
ブタイミング調整装置は、ベーンロータ9(この参照符
号は公報に記載のものである)を最遅角位置にロックす
るロック機構を有している。ベーンロータ9のベーン9
a、9bは、チェーンスプロケット1及びフロントプレ
ート4と共にハウジング部材を構成するシューハウジン
グ3のシュー3a、3bにより形成された扇状空間部に
収容されている。 【0005】上記のロック機構は、ベーン9a、9bに
形成した収容孔8に収容される大径部とフロントプレー
ト4に形成したストッパ穴20に嵌合する小径部とから
なるストッパピストン7と、収容孔内に配されピストン
7をフロントプレート側へ付勢するスプリング18と、
収容孔内でピストン小径部とベーン内壁との間に介在す
るガイドリング19とを有している。ガイドリングとピ
ストン大径部との間においてベーンロータには遅角油圧
室に連通する油圧室23が形成され、ストッパ穴とピス
トン小径部との間においてフロントプレートには進角油
圧室に連通する油圧室24が形成されている。そして、
油圧室23、24への圧油供給がなくかつベーンが最遅
角位置にあるときにスプリング18の付勢力によりピス
トン7がストッパ穴20に嵌合する一方、いずれかの油
圧室に圧油が供給されたときにピストンがストッパ穴か
ら離脱してロックが解除される。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】上記のバルブタイミン
グ調整装置は、カムシャフトに加わる駆動トルクによる
位相ずれを防止可能であるが、ロック用のスプリングに
加えて、ロック解除用の2つの油圧室、両油圧室への2
系統の圧油供給系および両油圧室を区分するガイドリン
グを設ける必要があり、装置が大型になる。 【0007】本発明の目的は、エンジン停止中のカム位
相ずれを防止するロック機構をコンパクトに構成して小
型軽量化を図った可変動弁機構を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明の可変動弁機構
は、内燃機関のクランク軸と同期回転する回転伝達部材
と一体回転可能な収容部材と、カムシャフトと一体回転
可能でかつ収容部材に対して相対回転可能なベーン部材
と、可動体を付勢手段により付勢して収容部材のロック
穴へ可動体を嵌入させるロック機構と、可動体と共にベ
ーン部材に設けられ進角側油室または遅角側油室からの
油圧をロック穴へ選択的に導入する切替バルブとを備
え、遅角側油室への油圧供給時と進角側油室への油圧供
給時に油圧を切替バルブを介してロック穴へ導いて可動
体をロック穴から離脱させることを特徴とする。 【0009】上記構成の可変動弁機構では、ベーン部材
が相対回転して可動体がロック穴に整合すると、遅角側
または進角側油室への油圧供給がなければ、付勢手段の
付勢力により可動体がロック穴に嵌入してベーン部材が
ロックされる。一方、遅角側または進角側油室への油圧
供給が行われると、いずれの場合にも切替バルブを介し
て油圧がロック穴へ導入されて可動体が反ロック穴側へ
付勢され、可動体がロック穴から離脱してロックが解除
される。この様に、本発明の可変動弁機構では、遅角側
油室からの油圧と進角側油室からの油圧を、可動体と
にベーン部材に設けられた切替バルブを介してロック穴
という同一部位にロック解除油圧として作用させる。こ
のため、ロック解除油圧供給経路の大部分が一系統にま
とめられてロック機構がコンパクトになり、可変動弁機
構の小型軽量化が図られる。そして、内燃機関の運転停
止中に遅角側油室および進角側油室からの油抜けが生じ
たとしても、付勢手段の付勢力によりロック状態が維持
されるのでカム位相ずれを来すことはなく、次回の内燃
機関の始動時の失火発生が防止される。 【0010】本発明において、好ましくは、可動体は、
ベーン部に形成したロックピン孔に摺動自在に配された
円筒状のロックピンからなる。この好適態様によれば、
ロックピン孔及びロック穴をロックピンに適合する円筒
状に形成すれば良く、ロックピン、ロックピン孔及びロ
ック穴の形状が単純になって簡単かつ正確に加工できる
ことになる。また、ロックピンとロックピン孔との摺動
面間からの油漏れが少なくなり、ロックピン孔内でのロ
ックピンの摺動運動すなわちロック動作及びロック解除
動作が迅速に行われる。また、ロックピンの配設ならび
にロックピン孔及びロック穴の形成に伴うベーン部材や
収容部材の回転バランスの悪化が防止または抑制され
る。 【0011】本発明において、好ましくは、切替バルブ
は、ベーン部に形成したバルブピストン孔に収容された
バルブピストンを有する。バルブピストン孔は、ベーン
部および可動体のそれぞれに形成したロック解除油圧供
給用の油路を介してロック穴に連通すると共に進角側油
室および遅角側油室に連通可能にされている。進角側油
室への油圧供給時、バルブピストンは、進角側油室とバ
ルブピストン孔とを連通させると共に遅角側油室とバル
ブピストン孔との連通を遮断する。遅角側油室への油圧
供給時、バルブピストンは、遅角側油室とバルブピスト
ン孔とを連通させると共に進角側油室とバルブピストン
孔との連通を遮断する。 【0012】この好適態様によれば、切替バルブをベー
ン部に設けることができる。また、バルブピストン孔か
らロック穴までのロック解除油圧供給経路が、進角側油
室からロック穴への油圧供給と遅角側油室からロック穴
への油圧供給とに共用され、ロック解除油圧供給経路の
大部分が一系統にまとめられる。より好ましくは、バル
ブピストンは円筒状のピンからなる。この好適態様によ
れば、バルブピストン及びバルブピストン孔の加工を簡
単かつ正確に行える。また、バルブピストンとバルブピ
ストン孔との摺動面間からの油漏れが少なくなり、バル
ブピストン孔内でのバルブピストンの摺動運動すなわち
油圧選択動作が迅速に行われる。また、バルブピストン
の配設およびバルブピストン孔の形成に伴うベーン部材
の回転バランスの悪化が防止または抑制される。 【0013】より好ましくは、バルブピストン孔はカム
シャフト軸線方向にベーン部を貫通して形成される。こ
の好適態様によれば、カムシャフト軸線まわりの可変動
弁機構の回転による遠心力はバルブピストン孔軸線に直
交する方向に作用するので、油圧選択のためのバルブピ
ストンの摺動運動はこの遠心力の影響を受けずに的確に
行われる。また、バルブピストンはその移動限度位置に
おいて収容部材に当接し、バルブピストン用の抜け止め
は不要である。 【0014】好ましくは、ベーン部の先端面と収容部材
と対向面との間にベーンシールが配され、ベーン部の先
端面とバルブピストン孔とに開口するシール油圧供給用
の油路がベーン部に形成される。この好適態様によれ
ば、進角側または遅角側油室への油圧供給時に進角側ま
たは遅角側油室からの油圧がシール油圧供給用の油路を
介してベーンシールに作用してシール性が向上する。 【0015】より好ましくは、シール油圧供給用の油路
は、ベーン部に形成したロック解除油圧供給用の油路と
整合して形成される。この好適態様によれば、双方の油
路を一度に加工可能で、加工コストが低減可能になる。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態による
可変動弁機構としてのベーン式カム位相可変装置を説明
する。本実施形態のカム位相可変装置は、DOHCエン
ジンの吸気側カムシャフトに付設されて排気弁に対する
吸気弁のオーバラップ量を可変制御するもので、以下の
説明では吸気弁側の構成を主に説明する。但し、本装置
は、エンジンの排気側または吸排気側の双方に配設可能
である。 【0017】図1において、DOHCエンジンのシリン
ダヘッドとロッカーカバー2(二点鎖線で模式的に示
す)との接合部位には、吸気側のカムシャフト10を回
転自在に支持するカムジャーナル15が設けられてい
る。ロッカーカバー2はシリンダヘッドカバーの一部を
構成する。カムシャフト10には、ロッカアームを介し
て吸気弁に当接するカム4が形成され、カムシャフト1
0の回転につれて吸気弁が開閉するようになっている。 【0018】エンジンのクランク軸(図示略)は、ベル
トやチェーンなどの回転力伝達要素を介して吸気側のカ
ムプーリやカムスプロケット(回転伝達部材20)に連
結されている。本実施形態の回転力伝達要素は、軽量化
及びコスト低減を図るため例えば合成樹脂製の歯付きベ
ルト6(図2)により構成され、回転伝達部材20はカ
ムプーリで構成されている。カムプーリ20は、円板状
の主体部22と、歯付きベルト6と噛み合う歯付きフラ
ンジ24と、カムシャフト10の端部に外嵌されたボス
部26とを有している。すなわち、カムプーリ20は、
カムシャフト10と同軸に配されると共にカムシャフト
10により回転可能に支持され、歯付きベルト6を介し
て伝達されるクランク軸の回転力を受けて回転するよう
になっている。 【0019】本実施形態のカム位相可変装置は、後で詳
述するように装置各部の回転慣性、重量及び外形寸法の
低減ならびに装置の回転バランスの向上をも企図してい
る。これに関連して、カムプーリ主体部22の外周側に
は、カムプーリ20の回転慣性及び重量の低減のため、
例えば4つの溝孔22a(図2)が形成されている。図
2中、参照符号20aは、クランク軸に対するカムシャ
フト10の回転位相の位置決めに供されるマークを示
す。 【0020】カムプーリ20のボス部26及びカムジャ
ーナル15の対向周面間には、エンジン外部への油漏れ
を防止するリング状のオイルシール17が配されてい
る。カムシャフト10回りの潤滑などに用いられた油
は、カムシャフト10、カムジャーナル15及びオイル
シール17により画成された環状空間10d(図3)と
カムジャーナル15に形成された油路15cとを介し
て、エンジン内部に戻される。 【0021】カム位相可変装置は、例えば4本のボルト
23(図3)によりカムプーリ主体部22の外方端面に
固定されカムプーリ20と一体回転可能なベーンハウジ
ング(収容部材)30と、ボルト14によりカムシャフ
ト10の端面に固定されカムシャフト10と一体に回転
可能なベーンロータ(ベーン部材)40とを有し、各要
素30、40はカムシャフト10及びカムプーリ20と
同軸に配されている。ベーンハウジング30およびベー
ンロータ40は、例えばアルミニウムなどを基材とする
軽合金からなる素材を押し出し成形したもので、重量及
び回転慣性の低減が図られている。この様に回転慣性が
小さいカム位相可変装置にあっては、クランク軸とカム
プーリ20とを連結する回転力伝達要素に加わる負荷が
小さくなり、従って、この回転力伝達要素を上記の歯付
きベルト6で構成可能になる。なお、以下において、カ
ム位相可変装置での要素配列や回転バランス等に関連し
て、要素10,20,30及び40を一括してカム駆動
系と称することがある。 【0022】ベーンロータ40は、これを収容するベー
ンハウジング30との間に供給される圧油を介してベー
ンハウジング30と駆動的に連結された状態でハウジン
グ30と一体に回転するようにされている。クランク軸
の回転力は、カムプーリ20、ベーンハウジング30お
よびベーンロータ40を介してカムシャフト10へ伝達
される。 【0023】カムプーリ20は、カムシャフト10に嵌
合する上記のボス部26を有し、カムシャフト10に対
して相対回転可能になっている。また、ベーンロータ4
0は、ハウジング30内で該ハウジングに対して例えば
約40度の所定角度範囲内で回動可能になっている。そ
して、ベーンロータ40がハウジング30内で回動する
と、カムプーリ20に対するカムシャフト10の回転位
相が変化して、吸気弁と排気弁とのバルブオーバラップ
量が変化することになる。本実施形態では、ベーンロー
タ40が図6に示す最遅角側の回動位置をとったときに
バルブオーバラップ量を略ゼロにしてエンジンの始動性
向上を図る一方、エンジン回転の上昇につれてバルブオ
ーバラップ量を増大させて吸気効率向上を図るようにし
ている。 【0024】詳しくは、ベーンロータ40は、円筒状の
主体部42と、ロータ主体部42の周面に互いに直径方
向に対向して設けた2つのベーン44とを有している
(図2)。ロータ主体部42のカムシャフト側の端面に
はピン穴42b(図3)が形成され、このピン穴42b
に整合してカムシャフト10の対向端面にピン孔が形成
されている。そして、両ピン穴に配されるピン8(図
3)により、カムシャフト10に対するベーンロータ4
0の取付位置を位置決めするようにしている。 【0025】ベーン44は、ベーンロータ主体部42か
ら半径方向外方へ延びている。各ベーン44は、縦断面
でみて先細形状(本実施形態では略台形状)に形成さ
れ、これにより、半径方向外方部位でのベーン44の重
量が低減され、従って、ベーン44の回転慣性が大幅に
低減される。また、各ベーン44は、ベーンロータ回転
中心を通るベーン長手方向軸線に関して対称な断面形状
を有している。この様な先細形状のベーン44を設けた
ベーンロータ40は、回転慣性が小さく、しかも、ベー
ンロータ回転中心ひいてはカム駆動系10、20、30
及び40の回転軸線まわりの回転バランスに富み、回転
振動が抑制される。 【0026】ベーンハウジング30は、ハウジング本体
32とハウジング端壁34とを有している。ハウジング
本体32はベーン数と同数(例えば2つ)の周壁部32
aを有し、各ハウジング周壁部32aの両縁から一対の
隔壁32b、32cが互いに平行にベーンロータ半径方
向内方へ延びている。また、各ベーンの隔壁32bの内
面は他方のベーンの隔壁32cの内面と面一をなし、両
隔壁は隔壁結合部32dを介して互いに結合されてい
る。隔壁結合部32dの内周面は縦断面円弧状に形成さ
れてベーンロータ主体部42の外周面に摺接しており、
ベーンロータ40を回転自在に支持している。隔壁結合
部32dには、ボルト23が挿通するボルト孔23aが
形成されている。 【0027】上述のようにベーン44が先細形状である
ので、カム位相可変範囲を所要のものにしつつ、ハウジ
ング周壁部32aの周方向長さを短くすることができ
る。このため、ハウジング30の回転慣性を低減するべ
く、隔壁結合部32d回りでハウジング30の半径方向
外方部分を除肉可能になる。ベーンハウジング30の各
対の隔壁32b、32cは、ハウジング周壁部32a、
ハウジング端壁34及びカムプーリ主体部22と協働し
てベーン44を収容するベーン収容室を画成している。
換言すれば、本実施形態のカムプーリ主体部22は、ハ
ウジング要素32及び34と共に収容部材を構成してい
る。ベーン44の先端周面とハウジング周壁部32aの
内周面との間にはベーンシール49が配され、このシー
ル49とベーン44とにより、ベーン収容室は進角側油
室47と遅角側油室48との2つに区分されている(図
2)。即ち、ベーンハウジング30とベーンロータ40
との間には各ベーン44を挟んで2対の油室47,48
が画成されている。そして、両油室47、48の所要の
一方に圧油を供給することにより、ハウジング30内で
ベーンロータ40を回動させるようにしている。 【0028】本実施形態によるベーンハウジング30及
びベーンロータ40は、上記のように押し出し成形によ
り得られるもので、両要素30、40の対向面などは必
要に応じてブローチ盤などを用いて切削加工される。上
記のように各ベーンの隔壁32b、32cを互いに平行
に設けると共に両隔壁の内面がベーンロータ直径方向に
対向する他方のベーンの隔壁32c、32bの内面と面
一をなすように設けることにより、ブローチ加工が容易
になると共に加工精度が向上し、また、加工面の検査が
容易になる。 【0029】次に、油室47、48に対する圧油の給排
について説明する。図1に示すように、カムジャーナル
15には、カムシャフト10の長手方向軸線に略直交し
てそれぞれ延びる第1及び第2油路15a、15bが形
成されている。油路15a、15bの外方端は、オイル
コントロールバルブ(OCV)50の第1及び第2出口
ポート51、52にそれぞれ連通している。OCV50
の第1入口ポート53は、油タンク60から汲み上げた
油を加圧する油ポンプ62の吐出側に連通する油供給パ
イプ63に接続され、第2入口ポート54はリターンパ
イプ64に接続されている。後述のように第1油路15
aは遅角側油室47に連通しており、OCV50が図1
に示す切換位置(遅角位置)50aをとって第1入口ポ
ート53と第1出口ポート51とが連通すると共に第2
入口ポート54と第2出口ポート52とが連通したと
き、油ポンプ62からの圧油が遅角側油室48に供給さ
れるようになっている。一方、OCV50が別の切換位
置(進角位置)50bをとって第1入口ポート53と第
2出口ポート52とが連通すると共に第2入口ポート5
4と第1出口ポート51とが連通したとき、進角側油室
47への圧油供給が行われる。そして、OCV50を例
えば電子制御ユニット(図示略)によりエンジン回転数
に応じてデューティ制御して油室47,48に対する圧
油の給排を制御し、カムシャフト10に対するカムプー
リ20の回転位相を可変制御するようにしている。ま
た、OCV50が中立位置50cをとって入口ポート5
3、54と出口ポート51、52との連通が遮断される
と、回転位相が維持されることになる。即ち、OCV
は、油ポンプ62等と共にベーンロータ40を必要に応
じて油圧により遅角側または進角側へ回転させる油圧供
給手段を構成している。 【0030】カムジャーナル15に形成され圧油給排経
路の一部を構成する第1及び第2油路15a、15bの
内方端は、カムシャフト10の周面に形成された第1及
び第2環状溝11a、11bにそれぞれ開口している。
カムシャフト10には、第1環状溝11aからカムシャ
フト軸線の手前までそれぞれ延びる第1半径方向孔12
aと、第2環状溝11bからカムシャフト軸線まで延び
る第2半径方向孔12bとがカムシャフト半径方向に形
成されている。第1半径方向孔12aはベーン数と同数
設けられている。カムシャフト10が如何なる回転位置
をとったときにも、孔12aは第1環状溝11aに連通
し、孔12bは第2環状溝11bに連通している。ま
た、カムシャフト10には、孔12a、12bの内方端
からカムシャフト端面までそれぞれ延びる第1及び第2
長手方向孔13a、13bがカムシャフト軸線方向に形
成されている。第2長手方向孔13bはカムシャフト軸
線上に一つ設けられ、第1長手方向孔13aはカムシャ
フト軸線から偏倚した半径方向位置においてベーン数と
同数設けられている。 【0031】第2長手方向孔13bは段付き孔であっ
て、第2半径方向孔12bに連通する小径部と、六角穴
付きの中空ボルト14が螺着される大径部とを有してい
る。中空ボルト14は、ベーンロータ主体部42にこれ
と同軸に形成された段付き貫通孔42a内に配され、中
空ボルト14の頭部は、段付き貫通孔42aの大径部に
収容されている。中空ボルト14の中空部14aは、ベ
ーンロータ主体部42の内周面(段付き貫通孔42a形
成面)と、ハウジング端壁34の中央部のネジ孔35に
螺着された六角穴付きボルト36の内方端面と、中空ボ
ルト14の頭部外面とにより画成される断面U字状の油
路41に連通している(図1)。 【0032】油室47,48への圧油給排経路に関連し
て、ベーンロータ40において、ロータ主体部42に
は、カムシャフト10の2つの第1長手方向孔13aに
整合して2つの短い第1長手方向孔45aがベーンロー
タ軸線方向に形成され、また、それぞれの孔45aから
ベーンロータ半径方向外方に延びる2つの第1半径方向
孔46aが形成されている。孔46aの外方端は、ベー
ン44の根元付近でロータ主体部42の外周面に開口し
て遅角側油室48に連通している(図2)。また、第1
半径方向孔46aに関して反カムシャフト側に偏倚した
ベーンロータ厚さ方向位置において、ベーンロータ主体
部42には第2半径方向孔46bがベーンロータ半径方
向に形成されている(図1)。孔46bは、その内方端
がロータ主体部42の段付き貫通孔42aの大径部に開
口し、その外方端がベーン44の根元付近においてロー
タ主体部42の外周面に開口して進角側油室47に連通
している(図2)。 【0033】上記の環状溝、半径方向孔および長手方向
孔は、油路15aまたは15bと油室48または47と
を連通させる油路を構成している。図2から明らかなよ
うに、2つの半径方向孔46aはベーンロータ回転中心
を通る一つの直線上に設けられている。このため、一回
の孔加工で2つの孔46aを同時に形成して加工コスト
を低減できる。また、ベーンロータ40に孔46aを形
成しても、ベーンロータ回転中心に対するベーンロータ
40の回転バランス(カム駆動系の回転バランス)が損
なわれることがない。孔46bについても同様である。 【0034】カム位相可変装置は、吸気弁と排気弁との
オーバラップ量を最小値(たとえばゼロ)にするべくベ
ーン44を最遅角側回転位置にロックするためのロック
機構を有している。図2ないし図4に示すように、本実
施形態のロック機構は、ベーン数と同数(例えば2つ)
のロックピン(可動体)70およびスプリング(付勢手
段)80を有している。各ロックピン70は、ベーン厚
さ方向に各ベーン44を貫通して形成されたロックピン
孔44a内に移動自在に配されている。ロックピン70
のハウジング端壁側半部には、スプリング80を収容す
るスプリング室(収容室)71がロックピン長手方向に
形成されている。ロックピン70は、スプリング80に
より、カムプーリ主体部22に形成されたロック穴22
b側(ロック方向)へ常時付勢されており、ベーンロー
タ40が最遅角側回転位置まで移動したとき、ロック穴
への油圧供給がなければ、ロックピン先端部70aがロ
ック穴22bに嵌入して、ベーンロータ40を最遅角位
置にロックするようになっている(図4及び図6)。こ
のロック状態では、ベーンハウジング30からベーンロ
ータ40に加えられる回転トルクは2つのロックピン7
0で分担される。このときにロックピン70に加わる剪
断力に耐えるように、ロックピン70は例えば鉄系材料
で構成されている。 【0035】ロックピン70は、進角側及び遅角側油室
47、48のいずれか一方への圧油供給に応じてハウジ
ング端壁34側へ移動して、ロックを解除するようにな
っている。本実施形態では、進角側油室47への圧油供
給および遅角側油室48への圧油供給に応動する切替バ
ルブにより、進角側油室47と遅角側油室48との連通
を遮断しつつ、進角側油室47または遅角側油室48か
らの圧油をロック穴22b内へロック解除用油圧として
選択的に導入するようにしている。この様に、油室4
7、48からのロック解除用油圧をロック機構の同一部
位(ロック穴)に導入する構成によれば、ロック解除用
油圧経路の大部分を一系統に集約でき、ロック機構をコ
ンパクトにでき、設計自由度が向上し、また、加工が簡
便になり、ロック機構の配設に伴うベーンロータ40の
回転アンバランスを防止または低減できる。 【0036】図4に示すように、切替バルブはストレー
トピンからなるバルブピストン(弁体)90を有し、バ
ルブピストン90は、ロックピン孔44aよりも半径方
向外方位置においてベーン厚さ方向(カムシャフト軸線
方向)にベーン44を貫通して延びるバルブピストン孔
44b内に移動自在に配されている。バルブピストン9
0を直円筒状のストレートピンで構成すると、バルブピ
ストン孔44bを直円筒状の孔に形成すれば良く、従っ
て、ピストン90及びピストン孔44bの加工が容易に
なると共に切替バルブの配設に伴うベーンロータ40の
回転アンバランスを防止または低減でき、また、要素9
0、44b間からの圧油漏れが少なくなるので、ピスト
ン90の圧油選択動作(ピストン孔内でのピストン移
動)が迅速に行われる。バルブピストン90をベーン4
4内部に配置した構成では、ピストン孔44bをベーン
44を貫通して設けることができ、有底のピストン孔を
ハウジング30側に設ける場合に比べてピストン孔44
bの加工が容易になる。そして、ピストン90をカムシ
ャフト軸線方向に配置すると、ベーンロータ40の回転
に伴ってピストン90に加わる遠心力はベーンロータ周
方向すなわちピストン直径方向に作用するので、ピスト
ンはベーンにより支持され、この遠心力に起因してピス
トン孔44b内で移動することがない。すなわち、圧油
選択のためのピストン90のピストン孔内での移動は遠
心力の影響を受けずに的確かつ円滑に行われる。また、
ピストン90はその移動限界位置ではハウジング端壁3
4またはプーリ主体部22に当接するので、ピストンの
抜け止めを設ける必要もない。 【0037】図5に示すように、各ベーン44のハウジ
ング端壁34側の端面及びカムプーリ主体部22側の端
面には、ロック解除油圧供給用の油通路44c、44d
がそれぞれ形成されている。油通路44cの両端は進角
側油室47及びバルブピストン孔44bに開口し、油通
路44dの両端は遅角側油室48及びバルブピストン孔
44bに開口している。このバルブピストン孔44b
は、ロック穴22bに連通している。すなわち、ロック
解除油圧供給用の油通路44eがベーン44に形成さ
れ、油通路72及び73がロックピン70に形成されて
いる。油通路44eはベーン長手方向軸線に沿って延
び、その両端はバルブピストン孔44bおよびロックピ
ン孔44aにそれぞれ開口している。油通路72はロッ
クピン直径方向に形成され、その両端はロックピン70
の外周面にそれぞれ開口している。油通路72の開口端
は拡径されており、ロックピン70が図3に示すロック
解除位置にあるか或いは図4に示すロック位置にあるか
にかかわらず、油通路44eと油通路72とが連通する
ようになっている。油通路73はロックピン長手方向軸
線に沿って延び、その両端は油通路72およびロック穴
22bにそれぞれ開口している。 【0038】ロック解除時の背圧除去のため、各ベーン
44のハウジング端壁側にはスプリング室71に連通す
る溝44iが形成され、また、この溝44iに連通する
呼吸孔44jがベーン44に形成されている(図4)。
呼吸孔44jはベーン厚さ方向に延びて、カムシャフト
10の先端面周縁に環状に形成された面取り部分10a
に開口している。この面取り部分10aは、カムシャフ
ト10の先端部にカムシャフト軸線方向に形成された呼
吸穴10bとこの呼吸穴10bからカムシャフト外周面
に向けて半径方向外方へ延びる呼吸穴10c(図3)と
を介して、環状空間10dに連通している。上記要素4
4i、44j、10a、10b及び10cは、スプリン
グ室71を環状空間10dに連通させる連通路を構成し
ている。上述のように、環状空間10dは、カムジャー
ナル15の油路15cを介してエンジン内部に連通して
いる。 【0039】上記構成において、油通路44cを介して
進角側油室47からバルブピストン孔44bに圧油が供
給されると、バルブピストン90がカムプーリ主体部2
2側へ移動し(図5)、油通路44dと油通路44eと
の連通がピストン90により遮断されると共に油通路4
4cと油通路44eとがピストン孔44bを介して連通
し、油室47からの圧油は、ベーン44の油通路44e
とロックピン70の油通路72、73とを介してロック
穴22b内に流入する。また、油通路44dを介して遅
角側油室48からバルブ44bに圧油が供給されると、
バルブピストン90がハウジング端壁34側へ移動し、
圧油が油通路44e、72及び73を介してロック穴2
2b内に流入する。油室47または48からロック穴へ
供給された圧油は、ロックピン70をスプリング80の
バネ力に抗してハウジング端壁側へ付勢する。このと
き、スプリング室71内の油は、ベーン44の溝44i
及び呼吸孔44jとカムシャフト10の面取り部分10
a、呼吸穴10b、10cとを介して環状空間10dへ
排出され、更に、カムジャーナル15の油路15cを介
してエンジン内部へ戻される。この結果、ロックピン7
0は、スプリング室71内の油による背圧を受けずにロ
ック穴22bから離脱し、ロック解除が円滑に行われ
る。また、スプリング室71内の油がシリンダヘッドカ
バー内の環状空間10dに排出されるので、油分による
歯付きベルト6の劣化は生じない。 【0040】図4中、参照符号44hは、ロック解除油
圧供給用の油通路44eを加工するときの加工孔を表
す。すなわち、孔44h及び油通路44eを一回のドリ
ル加工でベーン44の頂面側から形成可能である。加工
孔44hの両端はベーン44の頂面およびピストン孔4
4bに開口しており、進角側または遅角側油室47、4
8からピストン孔44bに供給された圧油は加工孔44
hを介してベーンシール49の直下に作用し、ベーンシ
ール49のシール性を向上させる。 【0041】上記の2つのロックピン孔44aはベーン
ロータ回転中心に関して互いに対称に配され、ロックピ
ン孔44aに収容されるロックピン70同士もベーンロ
ータ回転中心に関して対称に配されている。上記のロッ
ク穴22b、油通路44c及び44dもベーンロータ回
転中心に関して対称に配されている。この様に、ロック
機構の各種要素を好ましくは油路を含めてロータベーン
回転中心に関して対称に設けることにより、ロック機構
の配設に伴うベーンロータ40の回転バランス悪化を回
避することができる。 【0042】以下、上記構成のカム位相可変装置の作用
を説明する。エンジン運転中、エンジン回転数が略一定
であって現在のカム位相(吸排気弁のオーバラップ量)
が適正であれば、オイルコントロールバルブ50は、そ
の入口ポート53、54と出口ポート51、52との連
通が遮断される中立位置50cに保持される。この場
合、進角側及び遅角側油室47、48に対する圧油の給
排がなされず、カム位相可変装置のベーン44は油室4
7、48に満たされた油により移動不能に拘束される。
この結果、ベーンハウジング30とベーンロータ40と
の相対回転位置が固定されてカム位相が維持された状態
で、クランク軸の回転に同期してカムプーリ20、ベー
ンハウジング30、ベーンロータ40及びカムシャフト
10が回転し、カムシャフト10のカム4により吸気弁
が開閉される。上述のように、ベーンハウジング30お
よびベーンロータ40の各部は、ベーンロータ回転中心
に関する回転バランスを考慮して構成されており、従っ
て、要素30及び40の回転に伴う回転振動は充分に抑
制される。 【0043】その後、エンジン回転が上昇すると、オイ
ルコントロールバルブ50は、第1入口ポート53と第
2出口ポート52とが連通すると共に第2入口ポート5
4と第1出口ポート51とが連通する進角位置50bに
切り換えられる。この結果、油ポンプ62からの圧油
は、カムジャーナル15の第2油路15bとカムシャフ
ト10の第2環状溝11b、第2半径方向孔12b及び
第2長手方向孔13bとを介して中空ボルト14の中空
部14aへ流入し、更に、油路41とベーンロータ主体
部42の第2半径方向孔46bとを介して進角側油室4
7に供給される。油室47への圧油供給により、ベーン
44に進角方向(ハウジング隔壁32c側)への付勢力
が作用し、ベーン44は遅角側油室48内の油を排出し
つつベーンハウジング30のベーン収容室内で進角方向
へ移動する。この結果、ベーンロータ40はベーンハウ
ジング30と共に回転しつつ、ハウジング30に対して
進角方向へ相対回転し、カム位相が進角される。 【0044】進角方向へのベーン44の移動中、遅角側
油室48内の油は、ベーンロータ主体部42の第1半径
方向孔46a及び第1長手方向孔45aを介してカムシ
ャフト10の第1長手方向孔13aに流入し、次いで、
カムシャフト10の第1半径方向孔12aおよび第1環
状溝11aとカムジャーナル15の第1油路15aとオ
イルコントロールバルブ50を介してシリンダヘッド内
へ排出され、油タンク60へ戻る。 【0045】また、上記のように進角側油室47へ圧油
が供給されると、既に述べたように、油室47内の圧油
は、油通路44c、44e、72及び73を介してロッ
ク穴22b内に流入して、ロックピン70をロック解除
方向へ付勢する。このとき、ロックピン70は既にロッ
ク解除状態にあるので、このロック解除状態が維持され
る(図2および図3)。 【0046】その後、エンジン回転が低下すると、オイ
ルコントロールバルブ50は、第1入口ポート53と第
1出口ポート51とが連通すると共に第2入口ポート5
4と第2出口ポート52とが連通する図1に示す遅角位
置50aに切り換えられる。この結果、油ポンプ62か
らの圧油は、オイルコントロールバルブ50が進角位置
にある場合の油排出経路に対応する経路を逆方向に辿っ
て遅角側油室48に供給される。油室48への圧油供給
により、ベーン44に遅角方向(ハウジング隔壁32b
側)への付勢力が作用し、ベーン44は進角側油室47
内の油を排出しつつベーンハウジング30のベーン収容
室内で遅角方向へ移動する。この結果、ベーンロータ4
0はベーンハウジング30と共に回転しつつ、ハウジン
グ30に対して遅角方向へ相対回転し、カム位相が遅角
される。進角側油室47からの油排出は、オイルコント
ロールバルブ50が進角位置にある場合の圧油供給経路
に対応する経路を逆方向に辿って行われ、圧油が油タン
ク60へ戻る。 【0047】また、遅角側油室48への圧油供給時、既
に述べたように、油室48内の圧油は、油通路44d、
44e、72及び73を介してロック穴22b内に流入
して、ロックピン70をロック解除方向へ付勢し、これ
によりロック解除状態にされる(図2および図3)。エ
ンジンを運転停止させる直前では、エンジンはアイドル
運転されている。このアイドル運転中、ベーン収容室内
でベーン44が最遅角位置まで回動するように、図1に
示す遅角位置にあるオイルコントロールバルブ50を介
して油ポンプ62から遅角側油室48へ圧油が供給され
る。この結果、ベーンロータ40が最遅角位置に保持さ
れる。このときロックピン70はロック穴22bに略整
合するが、油室48からロック穴22bへの圧油供給に
よりロック解除状態が維持される。 【0048】エンジンが運転停止状態にある間、ロック
ピン70はスプリング80のバネ力を受けてロック穴2
2bに嵌入し(図6)、ベーン44は最遅角位置にロッ
クされる。このエンジン停止中、カムジャーナル15よ
りも上方位置にある進角側および遅角側油室47、48
内の油はシリンダヘッド内に抜けるが、ベーン44のロ
ック状態はスプリング80のバネ力により維持される。
従って、次のエンジン始動時、ベーン44はエンジン始
動に適した最遅角位置にロックされており、エンジンは
失火発生を伴うことなく円滑に始動する。 【0049】本発明の可変動弁機構は上記実施形態のも
のに限定されず、種々に変形可能である。例えば、上記
実施形態では2枚ベーンのカム位相可変装置を説明した
が、ベーン数は2つに限定されない。4枚ベーンの装置
を図7に例示する。この装置はベーン44が4つである
点を除き上記実施形態のものと略同一構成であり、実施
形態のものに対応する要素を図7に同一符号で示し、説
明を省略する。エンジンに通常装備される油ポンプを圧
油供給源として利用した場合、油圧増大によるベーンロ
ータ回転力の増大には制約があるが、ベーン数を増加さ
せると、ベーン全体の合計受圧面が広くなり、圧油の給
排に伴って発生するベーンロータ回転力を大きなものに
できる。図7の変形例では直径方向に対向する2つのベ
ーンのみにロック機構を設けたが、全てのベーンにロッ
ク機構を設けても良い。 【0050】上記の実施形態および変形例では、ベーン
44を径方向外方側ほどベーン幅方向寸法が連続的に小
さくなるような断面台形状に形成して先細にしたが、こ
れに限定されない。例えば、ベーンを、矩形状や台形状
などの任意形状断面を有した幅広の基端側半部と任意形
状断面の幅狭の先端側半部とで構成可能である。また、
ベーンを先細にすることも必須ではない。 【0051】上記実施形態では、付勢手段収容室(スプ
リング室71)と環状空間10dとを連通させる連通路
を、要素44i、44j、10a、10b及び10cに
より構成したが、連通路の構成はこれに限定されず、ま
た、連通路を設けることも必須ではない。上記実施形態
のロック機構では、ロック穴22bをベーン44の最遅
角側回動位置に合致するような位置に設けたが、ベーン
44の最遅角側回動位置よりも僅かに進角側へ偏倚した
位置にロック穴22bに形成すると共にロックピン先端
部70aの周面及びロック穴22bの周面にテーパを付
けても良い。この場合、ロック状態においてベーン44
とベーンハウジング隔壁32bとの間にクリアランスが
付与され、ロック機構のロック解除作動特性が向上し、
エンジン始動時の打音の発生が防止される。 【0052】なお、ロック機構はハウジング側に設けて
も良いが、ベーン部材に設けた方がカム位相可変装置の
カム軸方向の長さがコンパクトに構成でき好ましい。 【0053】 【発明の効果】本発明の可変動弁機構は、クランク軸と
同期回転する回転伝達部材と一体回転可能な収容部材
と、カムシャフトと一体回転可能でかつ収容部材に対し
て相対回転可能なベーン部材と、可動体を付勢手段によ
り付勢して収容部材のロック穴へ嵌入させるロック機構
と、可動体と共にベーン部材に設けられ進角側油室また
は遅角側油室からの油圧をロック穴へ選択的に導入する
切替バルブとを備えるので、内燃機関の運転停止中に油
室からの油抜けが生じたとしても、付勢手段の付勢力に
よりロック状態を維持でき、次回の内燃機関の始動時の
失火発生を防止できる。また、本発明では、遅角側油室
への油圧供給時と進角側油室への油圧供給時に油圧をロ
ック穴へ導いて可動体をロック穴から離脱させるので、
遅角側油室からの油圧と進角側油室からの油圧をロック
穴という同一部位にロック解除油圧として作用させるこ
とができ、ロック解除油圧供給経路の大部分が一系統に
まとめられてロック機構をコンパクトに構成でき、可変
動弁機構の小型軽量化を図れる。油圧を同一部位に導く
構成においてベーン部材内に可動体を設けることによ
り、ベーン部材のカム軸方向の長さが短くでき、カム位
相可変装置全体がコンパクトに構成できる。このため、
搭載性に優れるだけでなく重量及び回転慣性の低減が図
られるため、内燃機関の回転応答性を阻害せず、ベルト
やチェーンなどのカム駆動力伝達要素への負担が小さく
耐久性の悪化を引き起こさない。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施形態によるカム位相可変装置を
図2のI−I線に沿って示す長手方向断面図である。 【図2】カム位相可変装置を図3のII−II線に沿っ
て示す横断面図である。 【図3】ロック解除状態のカム位相可変装置を図2のI
II−III線に沿って示す断面図である。 【図4】カム位相可変装置の部分拡大断面図である。 【図5】図2のV−V線に沿う断面図である。 【図6】カム位相可変装置をロック状態で示す横断面図
である。 【図7】本発明の変形例による4枚ベーン式カム位相可
変装置を示す横断面図である。 【符号の説明】 4 カム 10 カムシャフト 20 カムプーリ 22b ロック穴 30 ベーンハウジング 40 ベーンロータ 44 ベーン 44a ロックピン孔 44b バルブピストン孔 44c、44d、44e、72、73 油通路 44h 加工孔 47 進角側油室 48 遅角側油室 49 シール 50 オイルコントロールバルブ 62 油ポンプ 70 ロックピン 71 スプリング室 80 スプリング 90 バルブピストン
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−280018(JP,A) 特開 平9−250311(JP,A) 特開 平11−36824(JP,A) 特開 平11−141315(JP,A) 特開 平11−148380(JP,A) 特開 平11−182270(JP,A) 特開 平11−193871(JP,A) 特開 平11−200903(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01L 1/34

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 内燃機関のクランク軸から回転力が伝達
    される回転伝達部材と一体回転可能な収容部材と、 上記収容部材内に配され上記収容部材との間に遅角側油
    室及び進角側油室を画成するベーン部を有し、上記内燃
    機関の吸気弁または排気弁を開閉するカム部が形成され
    たカムシャフトと一体回転可能でかつ上記収容部材に対
    して相対回転可能なベーン部材と、 上記遅角側油室または上記進角側油室に油圧を選択的に
    供給する油圧供給手段と、 上記ベーン部材の相対回転により可動体が上記収容部材
    のロック穴に整合したとき、上記可動体内に配された付
    勢手段の付勢力により上記可動体を上記ロック穴へ嵌入
    させ、また、上記遅角側油室への油圧供給時と上記進角
    側油室への油圧供給時に上記油圧を上記ロック穴へ導い
    て上記可動体を上記ロック穴から離脱させるロック機構
    と、 上記進角側油室または上記遅角側油室からの油圧を上記
    ロック穴へ選択的に導入する切替バルブとを備え、 上記可動体と上記切替バルブとが前記ベーン部材に設け
    られたことを特徴とする可変動弁機構。
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