JP3497884B2 - 放熱器の製造方法 - Google Patents

放熱器の製造方法

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忠善 大橋
圭一郎 太田
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昭和電工株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、例えばアルミニウム製
の中空押出型材の表皮を削り起して針状フィンを形成
る放熱器の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、オーディオ機器等に組込まれ
て、トランジスターやIC等、半導体素子の温度上昇を
抑える放熱器(ヒートシンク)は知られている。 【0003】この種の放熱器等の熱交換部材に設けられ
る針状フィンは非常に高い熱伝導率を有するフィンとし
て知られており、現在までに種々の針状フィンの成形方
法が提案されているが、いずれも量産化には至っていな
い。 【0004】その原因は次の通りである。 (1) 針状フィンを熱交換部材に固定する方法(例え
ばブレージング法、半田付け法等)が非常に難しい。 (2) 限られたスペース内で伝熱面積の占める割合が
大きいコンパクト型熱交換器では、伝熱面積を確保する
ために、針状フィンの本数を多くしなければならず、従
って部品点数が膨大なものとなり、針状フィン付き熱交
換部材の製造が面倒である。 (3) 針状フィンの成形コストが既存のプレート・フ
ィンあるいはコルゲート・フィンに比べて非常に高くつ
く。 【0005】更に、本出願人は、アルミニウム製の押出
型材の表面に複数の凹溝を形成し、切削工具を用いて凹
溝よりも浅く削り起こして、その押出型材の表面に、複
数の針状フィンを一体的に形成する方法を提案している
(例えば、特開昭63−260728号公報)。 【0006】これによれば、簡単に針状フィンが形成さ
れるので、低コストの針状フィン型熱交換部材を製造で
きる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た熱交換部材では、製造段階において細い針状フィンを
切削加工で立上げるため、針状フィンが前後左右にねじ
れ易く、これがねじれると、フィン間にピッチの乱れが
生じてフィンの粗密ができ、空気の流れが悪くなって、
放熱器の放熱効率が低下するという問題がある。 【0008】また、外観美が損なわれ、商品価値を低下
させるという問題がある。 【0009】 そこで、本発明の目的は、上述した従来
の技術が有する問題点を解消し、前後左右に倒れない整
然とした針状フィンを有する放熱器の製造方法を提供す
ることにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、断面略方形の複数の中空部を有する中空
押出型材の表面を、前記複数の中空部を含む面に沿って
前記複数の中空部の下縁よりも下方に下がる位置まで切
削工具の刃を進ませるようにして削り起こし、前記中空
押出型材の表面に、多数の細い針状フィン部と各針状フ
ィン部の先端をつなぐ連結部とを有する複数の針状フィ
ンを一体的に形成したものである。 【0011】 【作用】本発明によれば、針状フィンは、複数の中空部
を含む面に沿って削り起こされるので、結果的にこの針
状フィンは細い複数の針状フィン部を含むことになり、
これにより空気接触面積が増大するので、従来の針状フ
ィンタイプの放熱器とほぼ同等の放熱効率を有する。し
かも各針状フィン部の先端は連結部によりつながれるの
で、長細い複数の針状フィン部の先端が前後左右に倒れ
たり、ばらばらになることはないので、製品外観として
は、整然として見栄えが向上する。 【0012】 【実施例】以下、本発明による放熱器の一実施例を図面
を参照して説明する。なお、この明細書においては、ア
ルミニウムの語は、純アルミニウムのほかにアルミニウ
ム合金を含んでいるものとする。 【0013】図2において、1はアルミニウム製の押出
型材を示している。この押出型材1には、押出型材1の
長さ方向に延びるように、断面略方形の複数の中空部
3,3…3が設けられている。この例において、押出型
材1の大きさ(以下、数字は概略の寸法を示す)は、幅
120mm、長さ115mm、高さ8mmであり、中空
部3の大きさは、幅1.5mm、高さ3mmであり、中
空部3は隣接する中空部3との間に1mmの間隔をあけ
て設けられている。 【0014】図1を参照して、押出型材1の表皮1aは
複数回に亘って削り起こされ、この削り起こしは切削工
具(図示せず)を用いて行われる。 【0015】これによれば、押出型材1の表面には、複
数枚の針状フィン5,5…5が形成され、図7に示すよ
うに、放熱器100が形成される。 【0016】この針状フィン5の削り起こし方は公知で
あるので、その詳細な説明は省略するが、例えば、切削
工具の刃面を押出型材1の表面に当てて、その切削工具
を前方に押し出すようにして削り起こす。 【0017】削り起された時の針状フィン5と針状フィ
ン5との間の間隔は2mmで、その時の高さは20mm
である。 【0018】この針状フィン5(幅120mm、高さ2
0mm)は、複数の中空部3,3…3を含む面に沿って
削り起こされる。ただし、この時には中空部3の下縁よ
りもわずかに下方に下がる位置まで切削工具の刃を進ま
せるようにして、針状フィン5を削り起こすことが望ま
しい。余り深く削り込むと、切削工具の刃面に過大な切
削力が加わり、刃が磨耗し易くなるからである。 【0019】その結果、針状フィン5は長細い短冊状の
複数の針状フィン部5a(幅1.5mm、高さ15m
m)を含み、各針状フィン部5aの先端は連結部5b
(幅5mm)によりつながれる。 【0020】これによれば、針状フィン5には複数の開
口5c(幅2mm、高さ15mm)が設けられ、各開口
5cを通じても空気が進入するので、この放熱器100
は空気を流す方向に制限を受けることがなく、しかも空
気接触面積が増大するので、従来の針状フィンタイプの
放熱器とほぼ同等の放熱効率を有する。 【0021】上記のように構成されるので、この実施例
によれば、製造段階において、長細い針状フィン部5a
が前後左右にねじれることはなく、きわめて整然として
いるので、製造後の見栄えはよく、しかも開口5cを通
じても空気が通るので、放熱効率を向上させることがで
きる。 【0022】図3、及び図4は他の実施例を示してい
る。 【0023】この実施例によれば、図4に示すように、
押出型材11には複数条の溝aが設けられ、この溝aと
溝aの間の押出型材11の表皮bは切削工具200を用
いて削り起こされる。この切削工具200はバイト20
0aとバイト押え200bとから成り、このバイト押え
200bには互いに異なる角度の傾斜面X,Yが形成さ
れている。そしてこの切削工具200よって押出型材1
1の表皮bを削り起こすと、押出型材11の表面には、
図3に示すように、複数枚の針状フィン15が設けら
れ、よって放熱器100が形成される。 【0024】いうまでもなく、針状フィン15は、複数
の中空部13,13…13を含む面に沿って削り起こさ
れるが、このときにバイト押え200bの傾斜面X,Y
の角度の違いによって、隣り合う針状フィン15Aと1
5Bは、異なった角度で削り起こされる。これによれ
ば、空気が図中左右に流れるとして、その空気の流れ方
向に見ると、針状フィン15Aと15Bは、互い違いに
空気の通り路内に突出して、千鳥状に配列されるので、
空気が針状フィン15に接触し易くなるので、放熱効率
を向上させることができる。 【0025】上述の切削工具200をバイト200aと
バイト押え200bとの2分割の構造にしたのは、かり
にバイト200aが磨耗したならば、その部分だけを交
換できるようにするためである。 【0026】また、以上のように削り起こされるので、
この針状フィン15は長細い短冊状の複数の針状フィン
部15aを含み、各針状フィン部15aの先端は連結部
15bによりつながれる。 【0027】これによれば針状フィン15には複数の開
口15cが設けられ、各開口15cを通じて空気が進入
するので、放熱効率が向上し、針状フィンタイプの放熱
器と同等の放熱効率を有すると共に、各針状フィン15
がきれいに整然として形成されるので、放熱器の外観美
が向上する。 【0028】なお、押出型材11の大きさ、針状フィン
15の大きさ、ピッチ等は上述の実施例のものとほぼ同
じである。 【0029】図5、及び図6は夫々別の実施例を示して
いる。 【0030】これによれば、針状フィン25が削り起こ
されると、この針状フィン25のフィン面には複数の開
口25cが設けられ、各開口25cの周囲には針状フィ
ン部25aが設けられる。この針状フィン部25aは、
先端が連結部25b1 によって連結されるだけではな
く、針状フィン部25aは、中程の位置においても連結
部25b2 によって連結される。 【0031】この針状フィン25を有する放熱器を製造
するには、まず、針状フィン25を削り起した時に、フ
ィン面に上述の開口25cが設けられるように、予め所
定の位置に中空部を設けた押出型材(図示せず)を準備
する。そして、この押出型材の表面を公知の手順に従っ
て削り起こすことにより、押出型材の表面に針状フィン
25を形成する。 【0032】これによれば、針状フィン部25aが連結
部25b1 だけでなく、連結部25b2 によっても連結
されるので、切削加工を施す際に、針状フィン部25a
のねじれが少なくなるので、針状フィン25をきれいに
整然と仕上げることができるし、しかも針状フィンタイ
プの放熱器と同等の放熱効率を有するものを提供するこ
とができる。 【0033】要するに、この実施例によれば、アルミニ
ウム製の押出型材1,11をベースとしたときに、この
ベースに針状フィン5,15(又は25)が一体化され
るので、放熱器100の製作が簡単になると共に、針状
フィン5,15(又は25)の針状フィン部5a,15
a(又は25a)が左右前後にねじれたり、ばらばらに
なることがないので、空気の通りがよくなり、放熱効率
が向上するなどの効果が得られる。 【0034】以上、一実施例に基づいて本発明を説明し
たが、本発明は、これに限定されるものではなく、種々
の変形実施が可能である。 【0035】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、押出型材の表面に、多数の細い針状フィン部
と各針状フィン部の先端をつなぐ連結部とを有する複数
の針状フィンを一体的に形成したものであるから、放熱
効率が向上すると共に、放熱器の製作は簡単になり、且
つ各針状フィン部の先端は連結部によりつながれるの
で、針状フィン部の先端が前後左右に倒れたり、ばらば
らになることはないので、製品外観としては、整然とし
て見栄えのよいものになる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明による放熱器の一実施例を示す斜視図で
ある。 【図2】図1の放熱器のベースとなる中空部を有する押
出型材の斜視図である。 【図3】他の実施例を示す斜視図である。 【図4】図3の放熱器のベースとなる中空部を有する押
出型材の斜視図である。 【図5】別の実施例を示す針状フィンの正面図である。 【図6】更に別の実施例を示す針状フィンの正面図であ
る。 【図7】放熱器の全体の構造を示す斜視図である。 【符号の説明】 1,11 押出型材 3,13 中空部 5,15 針状フィン 5a,15a 針状フィン部 5b,15b 連結部 100 放熱器
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−260728(JP,A) 実開 平6−14775(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F28F 3/04

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 断面略方形の複数の中空部を有する中空
    押出型材の表面を、前記複数の中空部を含む面に沿って
    前記複数の中空部の下縁よりも下方に下がる位置まで切
    削工具の刃を進ませるようにして削り起こし、前記中空
    押出型材の表面に、多数の細い針状フィン部と各針状フ
    ィン部の先端をつなぐ連結部とを有する複数の針状フィ
    ンを一体的に形成したことを特徴とする放熱器の製造方
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