JP3497352B2 - 走行する被加熱材の直接通電加熱装置 - Google Patents

走行する被加熱材の直接通電加熱装置

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JP3497352B2
JP3497352B2 JP20099297A JP20099297A JP3497352B2 JP 3497352 B2 JP3497352 B2 JP 3497352B2 JP 20099297 A JP20099297 A JP 20099297A JP 20099297 A JP20099297 A JP 20099297A JP 3497352 B2 JP3497352 B2 JP 3497352B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は連続的に走行する鋼
線や鋼板などの被加熱材を熱処理などするために直接通
電して加熱する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】連続的に走行する被加熱材を加熱して焼
鈍などの熱処理を行なう工程は多数実施されているが、
トンネル式の加熱炉を通過させて加熱するごく一般的な
方式のほかに直接通電加熱が用いられることがある。直
接通電加熱は図6に示すように走行する被加熱材1の少
なくとも2箇所に通電ロール32、33を接触させ、そ
の間に電源31を接続することにより被加熱材1自体を
電気抵抗により発熱させるものである。直接通電加熱は
輻射や対流に伝熱を依存する加熱炉に比較して熱効率が
著しく高く、またきわめて急速に材料を昇温でき、設備
も比較的安価であるという利点を有する。
【0003】直接通電加熱は上記のように原理的には最
低限電源と2個の通電ロールがあれば行なえるものの実
際の設備としてはそれだけでは不十分である。すなわち
通電ロール間には、被加熱材の加熱に必要な電圧がかか
っており、通電ロールより外側で被加熱材を接地するロ
ーラーなどがあると接地を通して電流が流れてしまい、
通電ロール間以外の部分も加熱されてしまう。また図6
に示すように電源31の変圧器の2次巻線の中点を接地
34して電圧を振り分けても通電ロール32、33の部
分の対地電位はたとえば100Vといった電圧になるこ
ともあり、なんらかの対策を講じないと通電加熱装置か
らずっと離れたところで被加熱材に接触しても感電する
といったことになる。
【0004】上記のようなことを防止するため実際の設
備においては図6に示すように対地電位が高い通電ロー
ル32、33の外側の部分に接地ロール35、36を設
け、これより外側の部分の被加熱材には通電加熱の電圧
が及ばないようにすることが行なわれる。そしてこのま
までは通電ロール32、33と接地ロール35、36間
の被加熱材1に大電流が流れてしまうので、その間にチ
ョーク37、38すなわち限流リアクトルを設けて電流
を制限している。このチョークは被加熱材1を取り巻く
磁路を有し、被加熱材が貫通する窓が開いた鉄心そのも
のである。
【0005】ところで特開昭63−128125号およ
び特開平1−142032号には連続的に走行する線材
または帯材の直接通電加熱装置の別の方式のものが開示
されている。それは図7に示すように電源に接続する巻
線を設けた変圧器2の鉄心の窓に被加熱材1を貫通さ
せ、この変圧器の上流・下流両側にそれぞれ被加熱材に
接触する通電ロール3、4を設けてその間をブスバー5
など低抵抗の回路で結線したものである。この装置にお
いては被加熱材1自体が変圧器2の2次コイルを形成す
ることになり、被加熱材1に発生した起電力により通電
ロール間のブスバー5を通して電流が流れて加熱される
ことになる。このように通電加熱装置の本体に変圧器が
形成されているとみなせるので、以下においてはこれを
インライン変圧器方式と称することにする。これに対し
先に説明した従来からの通電加熱装置を区別するときに
は外部電源方式ということにする。このインライン変圧
器方式の装置においては両方の通電ロール3、4を接地
39、40することができるので、前記の外部電源方式
においては必要な接地ロールが本質的に不要となる。し
たがって設備が簡単になり、また通電ロールの部分に触
れても感電するおそれがなく安全であり優れた方法であ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところでインライン変
圧器方式においては上記のように原理的には両方の通電
ロール3、4の箇所でそれぞれ接地39、40して不都
合ないのであるが、接地の状態によっては両方の通電ロ
ール間を結合するブスバー5のほかにかなりの接地電流
41がバイパスすることがある。これはそれぞれの接地
39、40の接地抵抗が低いとき、たとえば両方の通電
ロールとも建屋構造物に接触した場合に構造物の鉄骨を
通じて低抵抗の回路が形成されているときなどに顕著に
なる。ブスバーの電流自体がたとえば数千アンペアとい
った大電流なのでその一部が分流してもかなりの大電流
になり、ロール類のベアリングの寿命に悪影響を及ぼし
たり、場合によっては構造物の継手のボルトが過熱した
りすることも考えられる。したがって一方の通電ロー
ル、たとえば出側の通電ロール4の位置でのみ接地する
のが好ましい。
【0007】このような理由でたとえば図7において一
方の通電ロール4だけを接地40した場合、他方の通電
ロール3の部分の被加熱材には数V程度の低電圧ではあ
るが対地電位が現われる。これはブスバーに大電流が流
れることによる電圧降下にさらに他方の通電ロール3の
ブラシの電圧降下が加わったものである。この場合、ブ
ラシの電圧降下は抵抗分、ブスバーの電圧降下はリアク
タンス分が主なのでこれらのベクトル和ということにな
る。なお前記一方の通電ロール4の部分の接地40はブ
スバー5の一端で行なうのが普通なので、この場合こち
ら側の被加熱材にも通電ロール4のブラシの電圧降下分
の対地電位が現われるがこれは小さいので無視できる。
【0008】上記の他方の通電ロール3の対地電位をそ
のままにしておくと、他方の通電ロール側の別の場所で
被加熱材1が低抵抗で接地されたとき、前記の両方の通
電ロールを接地した場合と同じ状況になってブスバー5
の電流と並行にかなりの接地電流が流れることが考えら
れる。この対策としては図7の接地してない通電ロール
より上流側の被加熱材と接するたとえばキャリヤロー
ル、デフレクタロール、ピンチロール、巻き取り機等の
プロセス機器を電気絶縁することが考えられる。しかし
ながら連続走行する被加熱材と接しながらこれを搬送あ
るいは何らかの処理を行なう機器の数は非常に多いのが
普通である。したがって電気絶縁によって対処しようと
すると建設費の増大を招くと共に絶縁を維持するための
保全作業のコストも必要となる。
【0009】上記のようなことから本発明は図7に示し
たようなインライン変圧器方式の通電加熱装置におい
て、被加熱材が加熱装置から離れた位置で接地された場
合でも接地回路に過大な電流が流れるおそれのないもの
を提供することを課題とする。特に通電加熱装置はそれ
だけで単独使用されることは少なく、一連のプロセスを
実行する中の一つの装置として設けられることが多いの
で、これに隣接する他の装置におけるロール類の接地状
況などがどのようになっていても不都合が生ずることが
ないように当初から設計しておくことが接地電流による
ベアリング等の焼損事故防止等のため好ましい。このよ
うにして置かないと、初めに設備を設置したときには前
後の装置の状況を確認できて不都合が生じなくても、後
日隣接する装置を改造したときに不測の問題を生ずる場
合もあるからである。本発明はこのような状況に鑑みて
前後の他の装置を含めて接地状況がどのようにあっても
確実に対処できるものを低コストで提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】インライン変圧器方式に
おいて上記のような問題の発生を防止する手段として
は、先に図6によって説明した外部電源方式の場合と同
様に接地されていない側の通電ロールの外側には接地ロ
ールを設け、これと通電ロールとの間にチョークを設け
ればよい。しかしこのようにすることによってインライ
ン変圧器方式においても片側の通電ロール側では接地ロ
ールとチョークが必要となり、外部電源方式に比較して
の利点が一部失われることになる。ただインライン変圧
器方式ではチョークが負担しなければならない電圧はた
とえば5Vといった値で、外部電源方式の場合のたとえ
ば250V程度よりはるかに小さいので、これの鉄心は
ずっと小さいもので済む。したがってこのように接地ロ
ール等が必要になってもインライン変圧器方式の利益は
かなり大きいことは事実である。
【0011】本発明は上記の被加熱材に現われる対地電
位の問題ひいては接地されていない通電ロール側の被加
熱材と接するプロセスライン機器に流れる電流による問
題を低コストで解決するものであって、連続的に走行す
る被加熱材を電源に接続する巻線を設けた変圧器の鉄心
に貫通させ、前記変圧器の両側においてそれぞれ被加熱
材に接触する通電ロールを設けてその間を導電材で結線
した直接通電加熱装置において、前記通電ロールのうち
の一方の通電ロールを接地するとともに、前記被加熱材
が貫通する窓を有する鉄心に巻回数1回の巻線が巻かれ
たチョークを他方の通電ロールの前記変圧器と反対側に
設け、前記巻線に流れる電流によりチョークに発生した
磁束によって被加熱材に誘起される電圧が被加熱材の対
地電位を相殺する極性に巻線の両端を前記一方の通電ロ
ールと他方の通電ロールとに接続したことを特徴とする
走行する被加熱材の直接通電加熱装置である。
【0012】また、連続的に走行する被加熱材を電源に
接続する巻線を設けた変圧器の鉄心に貫通させ、前記変
圧器の両側においてそれぞれ被加熱材に接触する通電ロ
ールを設けてその間を導電材で結線した直接通電加熱装
置において、前記通電ロールのうちの一方の通電ロール
を接地するとともに、前記被加熱材が貫通する窓を有す
る鉄心に巻回数1回の巻線が巻かれた第1のチョークを
他方の通電ロールの前記変圧器と反対側に設け、前記巻
線に流れる電流によりチョークに発生した磁束によって
被加熱材に誘起される電圧が被加熱材の対地電位を相殺
する極性に巻線の両端を前記一方の通電ロールと他方の
通電ロールとに接続し、さらに前記被加熱材が貫通する
窓を有する鉄心よりなる第2のチョークを第1のチョー
クの前記他方の通電ロールと反対側に設けたことを特徴
とする走行する被加熱材の直接通電加熱装置である。ま
たここにおいて、第1のチョークと第2のチョークと
は、貫通する被加熱材の走行方向に積層された鉄心の積
層厚さの一部分に巻線を設けて第1のチョークの部分と
し、残りの積層厚さの部分を第2のチョークの部分とす
ることにより、一体になったものであることも特徴とす
る。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は本発明の直接通電加熱装置
の例を示すものである。1は連続的に走行する被加熱材
であって、電源に接続する1次巻線を設けた変圧器2の
鉄心を貫通している。この変圧器の上流・下流両側には
それぞれ被加熱材に接触する通電ロール3、4が設けら
れ、その間を低電気抵抗のブスバー5で結線して直接通
電加熱装置が構成されている。そして本発明の装置にお
いては前記通電ロールのうちの一方の通電ロール4を接
地8するとともに、他方の接地しない通電ロール3の変
圧器2と反対側には、被加熱材1が貫通する窓を有する
鉄心に巻回数1回の巻線7が巻かれたチョーク6を設け
る。この巻線の両端は一方の通電ロール3と他方の通電
ロール4とに巻線に流れる電流によりチョークに発生し
た磁束によって被加熱材に誘起される電圧が被加熱材の
対地電位を相殺する極性に接続する。以下においては便
宜上、下流側すなわち高温側の通電ロール4の部分が接
地されて、上流側すなわち低温側の通電ロール3に隣接
してチョーク6が設けられているとして説明するが、そ
の逆でも本発明の本質には関係なく、差し支えない。
【0014】このように構成することにより上流側の通
電ロール3の位置における被加熱材1の対地電位VC
相殺する誘起電圧を被加熱材のチョーク6を貫通する部
分に発生させることができる。すなわちこの場合、チョ
ーク6は巻線7に流れる電流により励磁され、チョーク
鉄心内に磁束が発生する。この磁束は巻線と同じくチョ
ーク窓内を貫通している被加熱材1とも鎖交するため、
被加熱材には巻線7の両端の電圧に等しい電圧を誘起す
る。これにより前述の従来技術においては必要であった
接地ロールを設けることなしに被加熱材の対地電位VC
を相殺することができる。
【0015】チョーク6の巻線7に流れる電流I1 はチ
ョークの鉄心の励磁電流そのものであり、これによって
発生した磁束を微分した逆起電力が上流側通電ロール3
における対地電位VC に対抗することになる。実際の設
計の順序としてはまずチョークが発生すべき逆起電力E
[V](実効値)が与えられ、これに見合う磁束Φ[W
b]が下記(1)式で計算できるので、鉄心の材料に応
じて設計磁束密度B[T]を定めれば鉄心の断面積S
[m2 ]が下記(2)式で求まる。 21/2 E=2πfNΦ ・・・・・・(1) S=Φ/B ・・・・・・(2) ただしfは周波数、Nはコイルの巻数(=1)
【0016】一方、被加熱材が貫通すべき鉄心の窓の寸
法により磁路長L[m]が決まるから、これと透磁率の
データにより設計磁束密度Bを得るための励磁電流I
[A](実効値)が下記(3)式で計算できる。 I=L・B/(μ0 μr N・21/2 ) ・・・・・(3) ただしμ0 は真空の透磁率(=4π×10-7[H/
m])、μr は鉄心の比透磁率
【0017】本発明に使用するチョークは巻線の巻数は
1回しかあり得ないから励磁アンペア・ターンそのもの
が励磁電流になる。したがって一般の変圧器の設計のよ
うに巻線の巻数で励磁電流を調節することはできないか
ら、巻線7の電流I1 はたとえば30Aといったかなり
大きな値になるように設計される。インライン変圧器方
式の場合の通電ロールの部位の対地電位は先にも述べた
ようにたとえば5Vと、外部電源方式の場合のたとえば
250Vといった値よりずっと低いので、チョークはは
るかに少ない磁束、言い換えればはるかに小断面積の鉄
心ですむことになる。
【0018】図2は図1の装置における等価回路である
が、チョーク6のリアクタンス13と巻線7に接続され
る線路のインピーダンス14とが直列に接続され、これ
に上流側の通電ロール3の対地電位VC が掛かり、電流
1 が流れることになる。チョーク6によって被加熱材
1に誘起される電圧はリアクタンス13に掛かっている
電圧と同じである。すなわち図1中に記載したようにチ
ョーク6の入り側における巻線の回路の電位と被加熱材
の電位は常に同じV1 である。したがって図2のごとく
リアクタンス13は1つのものとして表現され、図2中
に記載した点の電位がV1 となる。またこのときの電流
1 は巻線の回路だけでなく被加熱材にも電流が流れて
いるときにはこれらの合計である。また図2中に記載し
た以外の線路のインピーダンスは距離が短いことから無
視している。このように巻線7に接続される線路のイン
ピーダンス14による電圧降下があるので、チョーク6
の上流位置での被加熱材の対地電位V1 は完全にゼロに
はならずわずかの電圧が残ることになる。この電圧V1
は通電ロールの部位の対地電位VC がたとえば5Vの場
合において、0.3Vといった値である。なおこのイン
ピーダンス14は抵抗分は小さく、ほとんどがリアクタ
ンス分である。
【0019】上記の場合にチョーク6の上流側で被加熱
材1が接地されたとき、図2に示すようにこの被加熱材
の接地16と下流側の通電ロールの接地15との間で電
流Ie が流れる。この場合巻線に接続される線路のイン
ピーダンス14との並列の回路となるので、電流はこれ
と接地回路のインピーダンスとの比に依存して分配され
る。このため接地回路の抵抗が比較的大きければ電流I
e はさほど大きくならず問題ない。したがって通電加熱
装置に付帯する設備などにおいて予想される接地回路の
抵抗があまり低くなければ図1のような装置でよいこと
になる。
【0020】ところで図1の装置においてこれの上流位
置での被加熱材の接地回路の抵抗が低い場合、たとえば
チョークの巻線に接続される線路のインピーダンスと同
じであれば1対1に分配される。チョークの巻線の電流
は先に述べたように通常たとえば30Aといった値に設
計されるので、この場合接地回路の電流は15Aという
ことになる。このような電流になるとベアリングの寿命
への悪影響も考えられるので、通電加熱装置に付帯する
設備が複雑でまた将来これの改造が予想されるような場
合などにおいては、接地抵抗が低くなっても接地回路の
電流を十分に低くするようにしておくことが好ましいと
いえる。
【0021】図1の通電加熱装置の場合、接地回路の電
流を制限するにはチョークの鉄心の断面積を大にすれば
よいが、電流を十分に下げるには大きな鉄心が必要にな
る。たとえば図2において、接地16の回路のインピー
ダンスがチョークの巻線に接続される線路のインピーダ
ンス14と同じの場合、先の例で接地回路の電流Ie
15Aとなるところ、3Aに制限することを想定する。
先に例として述べたように通電ロールの対地電位VC
5Vでチョークの巻線に接続される線路のインピーダン
ス14に掛かる電圧V1 が0.3Vの場合、位相が同じ
とすればチョークによる逆起電力は4.7Vになる。こ
の場合に接地回路の電流Ie を3Aにするには、巻線の
方にも同じ3Aの電流が分流するとすると6A、すなわ
ち先の状態の5分の1の電流で対地電位VC を負担しな
ければならない。巻線回路の電流I1 が小さくなればこ
れによって発生する線路のインピーダンス14両端の電
圧V1 は小さくなって無視できるから、チョークは対地
電位VC である5Vの逆起電力を発生させる必要があ
る。つまり先の5分の1の電流で先の4.7Vより大き
い5Vの逆起電力を発生させる必要があり、(5V÷
4.7V)×5=5.3で約5倍の鉄心が必要になる。
【0022】このように図1の装置で被加熱材が上流の
どこかで低い接地抵抗で接地したときのことを想定して
チョークを設計するとかなり大きなものが必要になる。
そこで図3はこのような問題を解決した本発明の直接通
電加熱装置の例をを示したものである。被加熱材1、変
圧器2、通電ロール3、4およびブスバー5に係る構成
は先に示した図1の場合と同じである。そして前記通電
ロールのうちの一方の通電ロール4を接地8するととも
に、他方の接地しない通電ロール3の変圧器2と反対側
には、被加熱材1が貫通する窓を有する鉄心に巻回数1
回の巻線10が巻かれた第1のチョーク9を設ける。こ
の巻線の両端は一方の通電ロール3と他方の通電ロール
4とに被加熱材の対地電位を相殺する極性に接続する。
この第1のチョーク9は図1に示した装置におけるチョ
ーク6と構成、機能とも同じであり、鉄心の寸法の設計
なども同じ考え方で行なえる。図3の装置においてはさ
らに被加熱材1が貫通する窓を有する鉄心よりなる第2
のチョーク11を第1のチョーク9の前記他方の通電ロ
ール4と反対側、すなわちこの例では上流側に設ける。
この第2のチョーク11は通常第1のチョーク9に隣接
してか、後に説明するように第1のチョークと一体のも
のとして設けられる。第2のチョーク11は第1のチョ
ーク9と異なり巻線は有さず、単に被加熱材が貫通する
だけである。
【0023】図4は図3の装置の等価回路を示す図であ
る。先の図2と同様に第1のチョーク9のリアクタンス
17と巻線10に接続される線路のインピーダンス18
とが直列に接続され、これに上流側の通電ロール3の対
地電位VC が掛かり、電流I1 が流れることになる。第
1のチョーク9によって被加熱材1に誘起される電圧は
リアクタンス17に掛かっている電圧と同じで、チョー
ク9の上流位置での被加熱材の対地電位はV1 となり、
完全にゼロにはならないことなど回路の原理は先の図2
の場合と同じである。先の例でいうと上流側の通電ロー
ル3の対地電位VC は5V、第1のチョーク9の上流位
置での被加熱材の対地電位はV1 は0.3V、巻線10
に流れる電流I1 は30Aといった値になる。この場合
において第2のチョーク11の上流側で被加熱材1が接
地されたとき、図4に示すように第2のチョークのリア
クタンス19を介して被加熱材の接地16と下流側の通
電ロールの接地15との間で電流I2 が流れる。このリ
アクタンス19は第1のチョークの巻線回路のインピー
ダンス18より容易に大きな値にできるので、接地回路
の電流I2 を巻線回路の電流I1 よりずっと小さな値に
できることになる。
【0024】図4の等価回路について先の例と同様に具
体的な数値をいうと、上流側の通電ロール3の対地電位
C が5Vの場合において、第1のチョーク9の上流位
置での被加熱材の対地電位V1 の0.3Vが第2のチョ
ークのリアクタンス19が負担すべき電圧ということに
なる。そしてこのときの第2のチョークの電流、すなわ
ち接地回路の電流I2 を先の例のように3Aとすると、
この電流は第1のチョークの電流I1 の30Aの10分
の1である。したがって第2のチョークの鉄心の断面積
は第1のチョークの(0.3V÷4.7V)×10=
0.6倍あれば良い。つまり第1と第2のチョークを加
えても、単一のチョークで同じように接地電流を制限す
る場合より小さい鉄心で済むことになる。しかも先の単
一のチョークの場合の例では接地回路のインピーダンス
とチョークの巻線に接続される線路のインピーダンスと
が同じで電流が1対1に分配されるとして計算したもの
で、接地回路のインピーダンスがこれより低ければ接地
回路の電流はさらに増える。一方図3の装置においては
接地回路のインピーダンスに影響されることなく同じよ
うに接地電流を制限できる。
【0025】本発明に使用するチョークは透磁率が高い
ことが要求されるので鉄心の材料は方向性珪素鋼板を使
用するのがよい。線材や幅の狭い帯材の通電加熱に使用
するときにはトロイダルやレーストラックの形状の巻鉄
心が使用できるが、広幅の帯材用など大型のものは貫通
する被加熱材の走行方向に積層された積鉄心を使用すれ
ばよい。第1と第2のチョークを配置する場合、別個の
ものを隣接して配置して当然差し支えないが、積鉄心の
場合一体のものとして設置のスペースと手間の削減を図
ることができる。これは図5に示すように鉄心21の積
層厚さの一部分23に巻線22を設けて第1のチョーク
の部分とし、残りの積層厚さの部分24を第2のチョー
クの部分とすれば良い。なお図5において25は巻線2
2の端子部分であり、26は巻線を形成する銅板の厚み
の分だけ鉄心に隙間を開けるための鉄製などのスペーサ
である。
【0026】
【発明の効果】本発明の通電加熱装置によれば、加熱装
置の外部において被加熱材に電圧が現われるのを接地ロ
ールを用いることなしに簡易な設備で防止することがで
きる。また被加熱材が他の設備など通電加熱装置の外に
おいて接地されたとき、接地回路に流れる電流をきわめ
て小さな値に抑制できるのでベアリングの損傷などの事
故を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の通電加熱装置の例を示す図
【図2】図1の装置の等価回路を示す図
【図3】本発明の通電加熱装置の例を示す図
【図4】図3の装置の等価回路を示す図
【図5】本発明に使用するチョークの例を示す図
【図6】従来の外部電源方式の通電加熱装置を示す図
【図7】従来のインライン変圧器方式の通電加熱装置を
示す図
【符号の説明】
1 被加熱材 2 変圧器 3、4 通電ロール 5 ブスバー 6 チョーク 7 巻線 8 接地 9 第1のチョーク 10 巻線 11 第2のチョーク 13 チョークのリアクタンス 14 巻線に接続される線路のインピーダンス 15 通電ロールの接地 16 被加熱材の接地 17 第1のチョークのリアクタンス 18 巻線に接続される線路のインピーダンス 19 第2のチョークのリアクタンス 21 鉄心 22 巻線 25 端子部分 26 スペーサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/62 C21D 1/40 H05B 3/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続的に走行する被加熱材を電源に接続
    する巻線を設けた変圧器の鉄心に貫通させ、前記変圧器
    の両側においてそれぞれ被加熱材に接触する通電ロール
    を設けてその間を導電材で結線した直接通電加熱装置に
    おいて、前記通電ロールのうちの一方の通電ロールを接
    地するとともに、前記被加熱材が貫通する窓を有する鉄
    心に巻回数1回の巻線が巻かれたチョークを他方の通電
    ロールの前記変圧器と反対側に設け、前記巻線に流れる
    電流によりチョークに発生した磁束によって被加熱材に
    誘起される電圧が被加熱材の対地電位を相殺する極性に
    巻線の両端を前記一方の通電ロールと他方の通電ロール
    とに接続したことを特徴とする走行する被加熱材の直接
    通電加熱装置。
  2. 【請求項2】 連続的に走行する被加熱材を電源に接続
    する巻線を設けた変圧器の鉄心に貫通させ、前記変圧器
    の両側においてそれぞれ被加熱材に接触する通電ロール
    を設けてその間を導電材で結線した直接通電加熱装置に
    おいて、前記通電ロールのうちの一方の通電ロールを接
    地するとともに、前記被加熱材が貫通する窓を有する鉄
    心に巻回数1回の巻線が巻かれた第1のチョークを他方
    の通電ロールの前記変圧器と反対側に設け、前記巻線に
    流れる電流によりチョークに発生した磁束によって被加
    熱材に誘起される電圧が被加熱材の対地電位を相殺する
    極性に巻線の両端を前記一方の通電ロールと他方の通電
    ロールとに接続し、さらに前記被加熱材が貫通する窓を
    有する鉄心よりなる第2のチョークを第1のチョークの
    前記他方の通電ロールと反対側に設けたことを特徴とす
    る走行する被加熱材の直接通電加熱装置。
  3. 【請求項3】 第1のチョークと第2のチョークとは、
    貫通する被加熱材の走行方向に積層された鉄心の積層厚
    さの一部分に巻線を設けて第1のチョークの部分とし、
    残りの積層厚さの部分を第2のチョークの部分とするこ
    とにより、一体になったものであることを特徴とする請
    求項2に記載の走行する被加熱材の直接通電加熱装置。
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