JP3493893B2 - 離型剤塗布の制御方法 - Google Patents

離型剤塗布の制御方法

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JP3493893B2 JP11941696A JP11941696A JP3493893B2 JP 3493893 B2 JP3493893 B2 JP 3493893B2 JP 11941696 A JP11941696 A JP 11941696A JP 11941696 A JP11941696 A JP 11941696A JP 3493893 B2 JP3493893 B2 JP 3493893B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、離型剤塗布の制御
方法に関し、とくに泡離型剤塗布の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ダイカスト等の金型鋳造法では、鋳造製
品を金型から離型しやすくするために、溶湯をキャビテ
ィに供給する前に金型の製品成形面(キャビティ面)に
離型剤を塗布する。従来の離型剤塗布は、金型から製品
を取り出した後、開状態にある金型の間に(固定金型と
可動金型との間に)スプレー装置を挿入し、液状離型剤
を金型製品成形面にスプレー塗布することにより行って
いる。しかし、スプレー塗布には、スプレーした離型剤
が飛散し作業環境を悪化させること、型合わせ面に離型
剤が付着して金型合わせ精度が悪化すること、離型剤を
金型製品成形面に均一に塗布することが難しいこと、ス
プレーした離型剤のうち金型製品成形面に付着しなかっ
た離型剤が無駄になること、などの問題があるため、最
近、型締めした状態で離型剤を塗布する方法が提案され
ている(たとえば、特開平4−138861号公報の離
型剤ミストの一定時間の吸引、塗布など)。この型締め
状態での離型剤塗布を含み従来の離型剤塗布は、事前の
試験鋳込みなどにより離型剤の条件と離型剤塗布条件
を、多少のばらつきを考慮し、管理幅をもたせて固定し
ている。また、離型剤劣化(離型剤リサイクルにより生
じる)による離型剤の交換時期は、定期的な濃度測定に
より判断して交換している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、型締めした状
態での離型剤塗布を含み従来の塗布には、未だつぎの問
題がある。(i) キャビティ面への離型剤付着状態を目視で確認でき
ないため、塗布量の過不足が生じやすい。(ii) また、塗布量はタイマなどによる一定塗布時間によ
って決まるため、塗布条件が必ずしも最適にはなってい
ない。本発明の目的は、繰返し行われる離型剤塗布サイ
クルにおいて離型剤塗布量、離型剤塗布条件を最適に近
づけることができる離型剤塗布の制御方法を提供するこ
とにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、つぎの通りである。 (1) 前鋳造サイクルで離型抵抗を検出し、前記検出
された離型抵抗に基づいて今回サイクルでの離型剤塗布
条件を決定する、離型剤が泡離型剤からなる離型剤塗布
の制御方法であって、前記検出された離型抵抗が予め定
めた設定範囲にあるときは、該検出された離型抵抗に基
づいて離型剤の濃度を決定するとともに、該検出された
離型抵抗に基づいて泡離型剤のガス/液比を決定し、つ
いで、離型剤の流量、流し時間を自動的に最小に近づけ
る、離型剤塗布の制御方法。 (2) 前記検出された離型抵抗が予め定めた設定範囲
から小さい側に外れているときは、今回サイクルでの離
型剤塗布を不要と決定する(1)記載の離型剤塗布の制
御方法。 (3) 前記検出された離型抵抗が予め定めた設定範囲
から大きい側に外れているときは、異常と判定して警報
を発する(1)記載の離型剤塗布の制御方法。
【0005】上記(1)の方法では、前サイクルの離型
剤塗布量を含み離型剤塗布条件が適切であったか否かを
前サイクルの離型抵抗に基づいて判定し、それに基づい
て今回サイクルの離型剤塗布条件を決定するようにした
ので、今回サイクルの離型剤塗布条件を適切なものに近
づけることができる。上記(1)の方法では、離型剤に
泡状離型剤が用いられる。上記(1)の方法では、前回
サイクルでの離型抵抗に基づいて今回サイクルでの離型
剤濃度を変えて制御する。これによって、濃度一定の場
合に比べて濃度をより適切なものに近づけることができ
る。また、定期的な濃度測定が不要となり、その分工数
が低減される。上記(1)の方法では、泡のガス/液比
を変えて制御することにより、泡の大きさを制御でき、
ひいては、離型抵抗の安定化、鋳造製品の品質の安定化
などをはかることができる。上記(1)の方法では、離
型剤の流量、流し時間を必要でかつ最小の値に近づける
ように制御するので、離型剤コストの低減、鋳造サイク
ルタイムの減少をはかることができる。上記(2)の方
法では、前サイクルの離型抵抗に基づいて今回サイクル
での離型剤塗布の要否を決定するので、離型剤塗布不要
の場合は、離型剤塗布不要の場合でも離型剤を塗布して
いた従来に比べて、離型剤塗布工数を低減でき、生産性
を向上できる。上記(3)の方法では、前回サイクルで
離型剤を塗布したにかかわらず離型抵抗が異常に大きい
ときは、離型剤が劣化していると考えられるので、警報
を発し、異常の発生を確認した後、必要なら離型剤を交
換することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例を説明す
る。図1は本発明実施例の方法を実施する装置の一例を
示している。図1において、固定ダイ21に固定金型1
が固定されたおり、可動ダイ22には可動金型2が固定
されている。金型1、2は閉じられたときに内部に製品
成形用空間(キャビティ)3を構成する。型締め状態に
おいて、離型剤(たとえば、泡離型剤)4がキャビティ
3に供給され、キャビティ面に塗布された後、離型剤の
自重あるいはエアブローにより余剰離型剤がキャビティ
3からリターンタンク20に排出され、ついで金属溶湯
がキャビティ3に充填され、凝固後、型開きして製品が
取り出される。再び型締めし、上記サイクルを繰り返
す。離型剤を泡状化してキャビティに供給する場合は、
(i) 発泡剤、たとえば脂肪酸塩(たとえば、ラウリン酸
ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムなど)を混入させ
る、(ii)界面活性剤(ノニオン系界面活性剤、たとえば
ポリオキシエチレンアルキエーテル)を混入させる、(i
ii) 重炭酸ソーダの粉末とエアを混合し離型剤液と反応
させる、(iv)高圧炭酸ガスを離型剤に吹き込む、(v)
型剤に揮発性アルコールをもつ発泡剤を圧入する、(vi)
二酸化炭素を離型剤液に低温で含有させておく、などに
より、起泡を容易にしておくことが望ましい。
【0007】リターンタンク20からの液状離型剤5
は、流量を流量制御弁35によって制御され、ポンプ3
6により離型剤タンク23に送られる。一方、水が制御
弁37によって流量を制御されて、離型剤タンク23に
送られる。制御装置32からの信号で制御弁35、37
を制御することにより、液状離型剤5の濃度が制御され
る。離型剤タンク23から一定量の液状離型剤5が、エ
アコンプレッサ25、エアハイドロユニット26、電気
制御バルブ27を作動させて、定量シリンダ28に送ら
れる。24は離型剤23を定量シリンダ28に送る圧入
ポンプであり、33はその経路に設けられた液状離型剤
流量を制御する流量制御弁であり、制御装置32により
制御される。
【0008】定量シリンダ28の内部にはエアノズル2
9が設けられている。エアノズル29には、圧縮エア源
31からの圧縮エア6が制御弁30を介して送られる。
エアノズル29からエアを出して離型剤を泡立て、この
泡離型剤4を定量シリンダ28にてキャビティ3に充填
する。定量シリンダ28内に入れられるエアの量と離型
剤5の量との比(ガス/液比)は、離型剤の流量制御弁
33とエアの制御弁30を制御装置32によって制御す
ることにより制御され得る。定量シリンダ28への離型
剤およびエアの吸い込み量は、定量シリンダ内に突出す
るストッパの突出量を突出量調整装置34により調整す
ることにより制御され、定量シリンダ28内の泡離型剤
4の押出時間(キャビティへの離型剤流し時間)は電気
制御バルブ27の開度を制御することにより制御でき
る。突出量調整装置34と電気制御バルブ27の制御
は、制御装置32によって行われる。
【0009】
38は離型抵抗検出装置であり、離
型抵抗検出装置38は、鋳造マシンにおける製品押出時
の押出力を検知することにより、あるいは金型に組み込
まれたスライド機構(図示せず)の作動時に使われる油
圧の変化を検知することにより、離型抵抗を検出する。
検出した離型抵抗信号は制御装置32に送られる。
【0010】つぎに、本発明実施例の方法を、図2の制
御フローチャートを参照して説明する。この制御ルーチ
ンは制御装置32に格納されており、制御装置32は離
型抵抗検出装置38からの信号を受けて図2の制御ルー
チンの演算を行い、各機器24、25、27、30、3
3、34、35、36、37の作動を制御する。図2に
おいて、ステップ101で前サイクルの離型抵抗を検知
する(前サイクルで検知し記憶しておいた離型抵抗を読
み込むことを含む)。この離型抵抗はステップ102に
示すように前サイクルの押出機構38の抵抗でもよい
し、あるいはステップ103に示すように前サイクルの
スライド機構の油圧等から検知した抵抗でもよい。ステ
ップ101からステップ104に進み、検出した前回サ
イクルの離型抵抗に基づいて今回サイクルの離型剤塗布
条件を決定する。この今回サイクルの離型剤塗布条件の
決定工程がステップ104〜ステップ120に示されて
いる。
【0011】さらに詳しくは、ステップ104にて、前
回サイクルの離型抵抗が予め定めた設定範囲内にあるか
否かを判定する。前回サイクルの離型抵抗が設定範囲か
ら小さい側に外れているときは、ステップ104からス
テップ105を介してステップ106に進み、今回サイ
クルでの離型剤塗布は不要と判定する。この時には、定
量シリンダ28を作動させない。従来のように離型剤供
給不要にもかかわらず供給していた場合に比べて、泡離
型剤の生成、供給の時間が不要になり、生産性が向上す
る。
【0012】前回サイクルの離型抵抗が設定範囲から大
きい側に外れているときは、離型剤を増やしても離型抵
抗が設定範囲におさまらず離型剤がリサイクルにより劣
化していることが予想されるので、ステップ104から
ステップ108を介してステップ109に進み、警報1
09を発し、ステップ110で離型剤の異常確認を行っ
て異常が確認された場合は、ステップ111に進み、離
型剤を交換する。
【0013】ステップ104において前回サイクルの離
型抵抗が設定範囲にあると判定された場合は、ステップ
107に進み、今回鋳造サイクルをスタートする。つい
で、ステップ112に進み、ステップ113で離型剤濃
度を制御するとともに、ステップ114で離型剤のガス
/液比を制御する。前回サイクルの離型抵抗が設定範囲
内の小さい値側にあるときには、離型剤濃度を薄くし離
型剤のガス/液比を低くし、前回サイクルの離型抵抗が
設定範囲内の中間近傍にあるときには、離型剤濃度を薄
くし離型剤のガス/液比を高くするか、あるいは離型剤
濃度を濃くし離型剤のガス/液比を低くし、前回サイク
ルの離型抵抗が設定範囲内の大きい値側にあるときに
は、離型剤濃度を濃くし離型剤のガス/液比を高くす
る。これによって、離型剤塗布における過不足が防止さ
れる。上記において、離型剤濃度は制御弁35、37に
より制御され、ガス/液比は制御弁30、33により制
御される。
【0014】ついでステップ115に進み、前回サイク
ルに比べてキャビティ3への泡離型剤供給量を一定量Δ
Vだけ少なくする。これはストッパ突出量調整装置34
の突出量を大にすることによって容易に行われる。ただ
し、少なくし過ぎると塗布不足が生じるので、ステップ
116で泡離型剤供給量が所定値以上かを判定し、所定
値以上でない場合はステップ117で少量Δv(<Δ
V)増やすことを繰り返して泡離型剤供給量を最小設定
値に近づける。これによって、泡離型剤の使用量が最小
に近くなって、コスト低減、離型剤の劣化抑制がはから
れる。
【0015】ついでステップ118に進み、前回サイク
ルに比べてキャビティ3への泡離型剤供給時間を一定時
間ΔTだけ少なくする。これはバルブ27の開度を調整
することによって容易に行われる。ただし、少なくし過
ぎると塗布不良が生じるので、ステップ119で泡離型
剤供給時間が所定値以上かを判定し、所定値以上でない
場合はステップ120で少量Δt(<ΔT)増やすこと
を繰り返して泡離型剤供給時間を最小設定値に近づけ
る。これによって、泡離型剤の供給時間が塗布不良を生
じない範囲において最小に近くなり、鋳造サイクルタイ
ムが短縮され、生産性が向上される。
【0016】
【発明の効果】請求項1の方法によれば、前サイクルの
離型剤塗布量を含み離型剤塗布条件が適切であったか否
かを前サイクルの離型抵抗に基づいて判定し、それに基
づいて今回サイクルの離型剤塗布条件を決定するように
したので、今回サイクルの離型剤塗布条件を適切なもの
に近づけることができる。請求項1の方法は、泡状離型
剤の場合に適用される。請求項1の方法によれば、前回
サイクルでの離型抵抗に基づいて今回サイクルでの離型
剤濃度を制御するので、濃度一定の場合に比べて濃度を
より適切なものに近づけることができる。また、定期的
な濃度測定が不要となり、その分工数が低減される。請
求項1の方法によれば、泡のガス/液比を変えて制御す
ることにより、泡の大きさを制御でき、ひいては、離型
抵抗の安定化、鋳造製品の品質の安定化などをはかるこ
とができる。請求項1の方法によれば、離型剤の流量、
流し時間を必要でかつ最小の値に近づけるよ うに制御す
るので、離型剤コストの低減、離型剤劣化の抑制、鋳造
サイクルタイムの減少をはかることができる。請求項2
の方法によれば、前サイクルの離型抵抗に基づいて今回
サイクルでの離型剤塗布の要否を決定するので、離型剤
塗布不要の場合は、離型剤塗布不要の場合でも離型剤を
塗布していた従来に比べて、離型剤塗布工数を低減で
き、生産性を向上できる。請求項3の方法によれば、前
回サイクルで離型剤を塗布したにかかわらず離型抵抗が
異常に大きいときは、離型剤が劣化していると考えられ
るので、警報を発し、異常の発生を確認した後、必要に
応じ離型剤を交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例に係る離型剤塗布の制御方法を実
施する装置の系統図である。
【図2】本発明実施例に係る離型剤塗布の制御方法の制
御ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
1、2 金型 3 キャビティ 4 泡状離型剤 5 液状離型剤 32 制御装置 38 離型抵抗検出装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−205230(JP,A) 特開 昭57−64440(JP,A) 特開 昭59−206138(JP,A) 特開 平9−164467(JP,A) 実開 平5−9915(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 17/20 B22D 17/32 B22C 3/00 B22C 23/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前鋳造サイクルで離型抵抗を検出し、 前記検出された離型抵抗に基づいて今回サイクルでの離
    型剤塗布条件を決定する、離型剤が泡離型剤からなる 離型剤塗布の制御方法であっ
    て、 前記検出された離型抵抗が予め定めた設定範囲にあると
    きは、 該検出された離型抵抗に基づいて離型剤の濃度を決定す
    るとともに、該検出された離型抵抗に基づいて泡離型剤
    のガス/液比を決定し、 ついで、離型剤の流量、流し時間を自動的に最小に近づ
    ける、 離型剤塗布の制御方法。
  2. 【請求項2】 前記検出された離型抵抗が予め定めた設
    定範囲から小さい側に外れているときは、今回サイクル
    での離型剤塗布を不要と決定する請求項1記載の離型剤
    塗布の制御方法。
  3. 【請求項3】 前記検出された離型抵抗が予め定めた設
    定範囲から大きい側に外れているときは、異常と判定し
    て警報を発する請求項1記載の離型剤塗布の制御方法。
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