JP3490021B2 - 金属材料のアルカリ脱脂処理液およびその使用方法 - Google Patents

金属材料のアルカリ脱脂処理液およびその使用方法

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JP3490021B2 JP9248999A JP9248999A JP3490021B2 JP 3490021 B2 JP3490021 B2 JP 3490021B2 JP 9248999 A JP9248999 A JP 9248999A JP 9248999 A JP9248999 A JP 9248999A JP 3490021 B2 JP3490021 B2 JP 3490021B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鋼板、亜鉛めっき鋼
板、アルミニウム材のような各種金属材料のためのアル
カリ脱脂剤、およびその使用方法、すなわち通常のリン
酸塩化成処理ラインでアルカリ脱脂工程と化成処理工程
の間で行われている水洗工程や後述する表面調整工程を
省略することができる、金属材料の脱脂および化成処理
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、各種金属材料の塗装後の耐食性、
密着性および潤滑性を向上させるために、その用途に応
じて種々なリン酸塩化成処理が行われている。一般的な
リン酸塩化成処理工程は、(1)アルカリ脱脂−(2)
水洗−(3)リン酸塩化成−(4)水洗−(5)乾燥の
順で行われているが、(2)および(4)の水洗工程は
必要に応じて多段処理にしたり、湯洗工程にする場合も
ある。また、これを塗装下地用に適応する場合には、均
一かつ緻密な化成皮膜結晶を形成させる目的で、(3)
の前工程として表面活性化処理(表面調整処理)が施さ
れている。なおリン酸塩処理が施される被処理金属材料
の表面には、油分が付着している場合がほとんどであ
り、この場合(1)の脱脂工程は必須工程となる。
【0003】通常、リン酸塩化成処理プロセスに用いら
れる前記脱脂工程では、界面活性剤とその脱脂性を確保
するために添加されるアルカリビルダーとを主成分とす
る処理液が用いられる。アルカリ脱脂処理液に用いられ
る界面活性剤は、油分に対する乳化性および油分の再付
着防止性が優れたタイプのものが使用される。脱脂処理
液中の界面活性剤は被処理金属材料に付着した油分を乳
化分散させて除去し、乳化分散した油分を金属表面に再
付着させない効果を有している。乳化分散させた油分の
金属表面への再付着防止の機構は、脱脂された金属表面
に界面活性剤が単分子レベルで吸着し、金属表面への油
分の再付着を防止していると考えられている。したがっ
て、金属表面に界面活性剤が吸着したまま、リン酸塩化
成処理液に接触させると、界面活性剤が化成反応の開始
反応である素地金属のエッチング反応を抑制し、化成反
応を阻害してしまうため、従来では、脱脂後に水洗工程
が必要となっていた。
【0004】また従来のアルカリ脱脂処理液は、硬水中
の、あるいは混入してくるCa2+、Mg2+等の多価カチ
オンをキレート化し、界面活性剤の不溶化を防ぐ目的で
多量のケイ酸塩や縮合リン酸塩等の無機ビルダー、ある
いは有機キレート化剤を含有している。前記成分がリン
酸塩化成処理液に混入されると、金属表面に吸着し、エ
ッチング反応が阻害されるばかりではなく、リン酸塩化
成処理液中のリン酸塩化成の皮膜形成の主成分であるZ
2+や、耐食性を向上させるためにリン酸塩化成処理液
中に添加されるNi2+およびMn2+等のカチオン成分ま
でキレート化され、リン酸塩化成皮膜結晶の析出を妨害
してしまう。
【0005】上記問題点を生じないようにするため、従
来化成処理ラインではアルカリ脱脂処理後には水洗工程
をかならず設置し、リン酸塩化成処理工程へ持ち込まれ
るアルカリ脱脂処理液濃度を、問題のないレベルまで希
釈する必要があった。そのためアルカリ脱脂処理後の水
洗工程は、常時新鮮な工水を給水し水質を一定に保つよ
うにする必要があった。また常時給水を行うとオーバー
フローした水洗水が排水処理設備へ送られるため、給水
および排水処理コストがかさみ、極めて不経済であっ
た。
【0006】また、従来多く用いられているアルカリ脱
脂処理液にはポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル
非イオン界面活性剤が含まれている。しかしポリオキシ
アルキレンアルキルフェニルエーテル非イオン界面活性
剤はエンドクリーン問題として世間の大きな関心を呼ん
でおり、それらに代る界面活性剤、しいては環境問題に
対応できる脱脂処理液の開発が望まれている。しかしな
がら、現状ではアルカリ脱脂後の水洗工程を省略でき、
その後のリン酸塩化成処理液中に持ち込まれても化成性
を妨害しないようなポリオキシアルキレンアルキルフェ
ニルエーテルでない界面活性剤は知られていないか、少
なくとも認識されておらず、またそれを使用する金属材
料の脱脂および化成処理方法は知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術で
は困難であったアルカリ脱脂工程とリン酸塩化成処理工
程の間に必ず行われていた水洗工程を省略し、その後の
リン酸塩化成処理液中にアルカリ脱脂液が持ち込まれて
も化成妨害や弊害が全くなく、かつ環境問題に対応し
た、金属材料のアルカリ脱脂処理液、およびその使用方
法、すなわちそれを用いた金属材料の脱脂および化成処
理方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点を解決するための手段について鋭意検討し、特定構造
の界面活性剤を含むアルカリ脱脂処理液を用いて、金属
表面を洗浄し、直ちにリン酸塩化成処理液と接触させれ
ば脱脂処理〜化成処理の工程を大幅に短縮することがで
きることを新たに見出して本発明を完成するに至った。
かかる本発明は、HLB12〜17のポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル0.5〜8g/L、アルカリ金属塩
およびアンモニウム塩の少なくとも1種、および水を含
有し、かつ全アルカリ度が1〜15ポイントでpHが8
〜13である金属材料のアルカリ脱脂処理液、および金
属材料を該アルカリ脱脂処理液に接触させた後、水洗せ
ずに、リン酸塩化成処理液と接触させて、リン酸塩皮膜
を形成させることを特徴とする、金属材料の脱脂および
化成処理方法に関する。
【0009】なお、該アルカリ脱脂処理液は、2価もし
くは3価の金属イオンのリン酸塩の少なくとも1種の粒
子であって、粒径が5μm以下の粒子をさらに含有する
のが好ましく、該アルカリ脱脂処理液が該リン酸塩の少
なくとも1種を0.01〜30g/L含有し、該2価も
しくは3価の金属イオンがZn2+、Ni2+、Mn2+、C
2+、Fe2+、Ca2+、Al3+およびFe3+から選ばれ
る少なくとも1種であることがさらに好ましく、また該
アルカリ脱脂処理液がチタンコロイドをチタンとして
0.001〜5g/L含有するのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】次に本発明の内容について詳細に
説明する。本発明で用いるアルカリ脱脂処理液の成分に
ついて説明する。まず第1の成分である界面活性剤につ
いて説明する。本発明に適用する界面活性剤は乳化性に
優れ、かつ次工程のリン酸塩化成処理液中に持ち込まれ
ても化成性を妨害しないという特性を持つものである。
また環境問題としてクローズアップされているエンドク
リーン問題を解決すべく、従来のアルカリ脱脂処理液中
に広く使われていたポリオキシエチレンノニルフェニル
エーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエ
ーテル非イオン界面活性剤を全く含まないタイプであ
る。本発明で用いる界面活性剤はポリオキシエチレンア
ルキルエーテルである必要があり、さらにポリオキシエ
チレンの付加モル数、アルキル基の炭素数によって決定
されるHLBが12〜17の範囲内であるポリオキシエ
チレンアルキルエーテルであることを必要とする。この
ものは、油分に対して強力な乳化分散性を有している反
面、被処理金属表面への吸着力が他のノニオン系界面活
性剤と比較して小さいことが見出された。
【0011】すなわち、同じHLBを示していても親油
基の分子量が大きい場合は、親水基を多く付加する必要
がある。例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエー
テルは、分子鎖中に親油基としてベンゼン環とノニル基
を有していることから、油分に対する親和力は強いが、
水溶液中に油分を乳化分散させるためには親油基に見合
った量のエチレンオキサイドを付加する必要がある。こ
こでポリオキシエチレン鎖が長くなると金属に対する吸
着能力が大きくなるため、脱脂処理後に水洗処理を行わ
ないと、リン酸塩化成処理反応を阻害すると考えられ
る。本発明で用いるポリオキシエチレンアルキルエーテ
ルは親油基としてアルキル基しか有しておらず、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル非イオン界面活
性剤に比べて親油基の分子量が小さく、エチレンオキサ
イドの付加モル数も少ないことから金属に対する吸着力
も小さいという特性がある。そのためアルカリ脱脂処理
液中で油分再付着防止効果を十分に発揮することがで
き、しかも金属表面に吸着したままリン酸塩化成処理を
施しても、化成液中のエッチング反応に際し容易に脱離
することができ、リン酸塩化成反応を何ら阻害しないと
考えられる。
【0012】親水基と親油基のバランスすなわちポリオ
キシエチレンの付加モル数とアルキル基の炭素数によっ
て決まるHLB値を特定範囲内にするため、アルキル基
の炭素数は6〜20であることが好ましく、8〜12で
あることがより好ましい。具体例としてはポリオキシエ
チレンヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンヘプチル
エーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリ
オキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンデ
シルエーテル、ポリオキシエチレンウンデシルエーテ
ル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル等が挙げられ
る。これらは単独で使用しても組み合わせて使用しても
良い。なお、この他にポリオキシエチレンプロピルエー
テル、ポリオキシエチレンブチルエーテル等の炭素数が
6未満のアルキル基のものが入っていても全体としての
HLBが所定範囲に入っていれば構わない。前記したご
とく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのHLBは
12〜17であることが必要である。HLBが12を下
回る場合は乳化分散能力が落ち脱脂性が低下する。また
HLBが17を超える場合は金属表面に吸着する能力が
高くなり、リン酸塩化成処理においてエッチング反応を
阻害し皮膜の析出ムラを生じる。
【0013】またアルカリ脱脂処理液の良好な脱脂性を
保持するために、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
の濃度は0.5〜8g/Lの範囲で調整する必要があ
り、1〜7g/Lに調整するのが好ましい。その濃度が
0.5g/L未満の場合は良好な脱脂性を確保すること
ができない。またその濃度が8g/Lを超える場合は処
理液と被処理物を接触させても脱脂性は変らないため、
経済的な無駄ばかりではなく、排水処理での処理負担が
大きくなるので好ましくない。
【0014】また本発明に用いているポリオキシエチレ
ンアルキルエーテルは、生分解性を持つものであり、環
境面に優れた界面活性剤である。
【0015】本発明のアルカリ脱脂処理液の第2の成分
であるアルカリ金属塩もしくはアンモニウム塩は一般の
アルカリ脱脂剤で用いられているもので構わない。アル
カリ金属塩もしくはアンモニウム塩の作用は以下に示す
通りと考えられる。 1)被処理物(金属材料)に付着している油分の表面張
力を低下させて界面活性剤の界面活性能を高める。 2)油分を微細に乳化分散させ、ミセル中に取り込み易
くする。 3)油分粒子を分散させ、被処理物への再付着を防止す
る。 4)カルシウム、マグネシウム等の多価のカチオン成分
をキレート化して界面活性剤の不溶化を防ぐ。 5)液をアルカリ性に保ち、油分が油脂である場合、こ
れを可溶化(ケン化)する。
【0016】これらの効果を示すアルカリ金属塩もしく
はアンモニウム塩であれば良く、例えば、リン酸塩(リ
ン酸水素塩も含む)、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩(硫酸
水素塩も含む)、ホウ酸塩、亜硝酸塩の形のものが挙げ
られる。なお、アルカリ金属としてはナトリウム、カリ
ウム、リチウムが挙げられる。アルカリ金属塩もしくは
アンモニウム塩の具体的に好適な例としては、リン酸ナ
トリウム(またはカリウムもしくはアンモニウム)、リ
ン酸水素二ナトリウム(またはカリウムもしくはアンモ
ニウム)、炭酸ナトリウム(またはカリウムもしくはア
ンモニウム)、重炭酸ナトリウム(またはカリウムもし
くはアンモニウム)、硫酸ナトリウム(またはカリウム
もしくはアンモニウム)、ホウ酸ナトリウム(またはカ
リウムもしくはアンモニウム)、亜硝酸ナトリウム(ま
たはカリウムもしくはアンモニウム)等が挙げられる。
【0017】また、上記アルカリ金属塩もしくはアンモ
ニウム塩と同様な作用を示すものとして、縮合リン酸ア
ルカリ塩(二リン酸ナトリウム、三リン酸ナトリウム等
のポリリン酸アルカリ塩、メタリン酸アルカリ塩等)お
よび/またはケイ酸アルカリ塩(ケイ酸ナトリウム等)
をリン酸塩化成処理液に持ち込まれても化成妨害性がな
い範囲の量で併用することができる。すなわち、本発明
のアルカリ脱脂処理液における縮合リン酸アルカリ塩お
よびケイ酸アルカリ塩の合計の濃度としては0〜5g/
Lが好ましく、0〜3g/Lがより好ましい。
【0018】アルカリ金属塩やアンモニウム塩の濃度に
関しては、本発明のアルカリ脱脂処理液のpHを8〜1
3に、全アルカリ度を1〜15ポイントに調整する必要
がある。なおアルカリ脱脂工程後の水洗工程を完全に省
略する場合は、全アルカリ度として1〜13ポイントが
好ましく、2〜10ポイントがより好ましい。pHが8
未満や全アルカリ度が1ポイント未満の場合は、満足す
る脱脂性が得られない。また、pHが13を超えるか全
アルカリ度が15ポイントを超える場合は、アルカリ脱
脂処理液がその後のリン酸塩化成処理液に持ち込まれる
と、酸性であるリン酸塩化成処理液の安定性を阻害し、
良好なリン酸塩皮膜析出反応が起こらないので好ましく
ない。ここでアルカリ脱脂処理液の全アルカリ度とはア
ルカリ脱脂処理液10mLを採取し、ブロムフェノール
ブルーを指示薬として加え、0.1規定の硫酸水溶液で
中和滴定を行い、青色から黄色に変色するまでに要した
滴定液のmL数を表したものである。例えば全アルカリ
度1ポイントとは上記mL数が1mLであることを意味
する。
【0019】本発明のアルカリ脱脂処理液の第3の成分
である水としては、純水や脱イオン水、水道水等を用い
ることができる。
【0020】アルカリ脱脂後、塗装下地用リン酸塩化成
皮膜を形成させる場合には、皮膜重量2〜5g/m2
度の薄膜タイプの均一かつ緻密なリン酸塩皮膜を析出さ
せることが好ましい。このため、従来から一般に、アル
カリ脱脂後、表面調整剤による表面調整処理を行った後
に塗装下地用リン酸塩化成処理を行っていたが、本発明
においては、表面調整剤を本発明のアルカリ脱脂処理液
中に添加併用すれば、脱脂効果と表面調整効果の両方を
満足させることができることが見出された。
【0021】表面調整剤としては、2価もしくは3価の
金属イオンのリン酸塩の少なくとも1種の粒子であっ
て、粒径が5μm以下の粒子を用いることができる。こ
こで2価もしくは3価の金属イオンとしては亜鉛イオン
(Zn2+)、ニッケル(II)イオン(Ni2+)、マン
ガン(II)イオン(Mn2+)、コバルト(II)イオ
ン(Co2+)、鉄(II)イオン(Fe2+)、カルシウ
ムイオン(Ca2+)、アルミニウムイオン(Al3+)お
よび鉄(III)イオン(Fe3+)の中から選ばれる少
なくとも1種が好ましい。2価もしくは3価の金属イオ
ンのリン酸塩の具体例としてはZn3(PO42、Zn2
Fe(PO42、Zn2Ni(PO42、Ni3(P
42、Zn2Mn(PO42、Mn3(PO42、Mn
2Fe(PO42、Ca3(PO42、Zn2Ca(P
42、Co3(PO42、AlPO4、FePO4等が
挙げられる。これらは水和していても良い。また粒径の
下限については特に制限はなく、むしろ一般に小さい方
が好ましいと考えられるが、製造の技術的側面、入手容
易性等から現実に入手し得る下限は0.1μm程度と考
えられる。表面調整剤としてはまた、チタンコロイドを
使用することもできる。
【0022】本発明のアルカリ脱脂処理液中の、使用す
る場合の表面調整剤の濃度としては、2価もしくは3価
の金属イオンのリン酸塩の少なくとも1種の場合には
0.01〜30g/Lであることが必要であり、0.0
3〜20g/Lであることが好ましく、0.05〜10
g/Lであることがより好ましく、0.1〜10g/L
であることがより一層好ましく、チタンコロイドの場合
にはチタンとして0.001〜5g/Lであることが必
要であり、0.005〜3g/Lであることが好まし
く、0.05〜3g/Lであることがより好ましい。各
表面調整剤が前記の下限値よりも低い濃度の場合は、表
面調整効果が得られず、均一かつ緻密なリン酸塩化成皮
膜は得られない。また各表面調整剤が前記上限濃度を超
える場合は、金属材料を表面調整剤含有のアルカリ脱脂
処理液と接触させても、表面調整効果は飽和に達するた
め経済的に不利である。
【0023】本発明で用いるアルカリ脱脂処理液中のポ
リオキシエチレンアルキルエーテルは、金属材料表面へ
の吸着能力が弱いために、表面調整剤と併用しても脱脂
が完了した部分から表面調整効果のある成分が吸着し、
優れた表面調整効果を発現できるものと推定される。
【0024】なお本発明のアルカリ脱脂処理液は、前記
成分の他に、洗浄作用を高める補助添加剤を含有してい
ても良い。例えば、工業用水中のカチオン成分(C
2+、Mg2+等)やアルカリ脱脂処理液中に溶出する被
処理金属材料成分(Zn2+、Al 3+等)をキレートす
る、アミノカルボン酸型、オキシカルボン酸型、ホスホ
ン酸型のキレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸
塩(ナトリウム塩等)、クエン酸塩(ナトリウム塩
等)、グルコン酸塩(ナトリウム塩等)、2−ホスホノ
ブタントリカルボン酸1,2,4等)や、界面活性剤等
によって一旦脱着した油分の被処理金属材料への再付着
を防止するカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセル
ロース等のセルロース誘導体等を含有していても構わな
い。これらの補助添加剤を使用するに当ってはその後の
リン酸塩化成処理液に持ち込まれても問題のない濃度範
囲で使用しなければならないが、正常なリン酸塩皮膜が
形成されれば配合量に制限はない。通常、本発明のアル
カリ脱脂処理液におけるキレート剤の濃度は1g/L以
下が好ましく、0.01〜1g/Lがより好ましく、そ
の後のリン酸塩化成処理液への持込みを考慮すれば、
0.01〜0.5g/Lがさらに一層好ましく、セルロ
ース誘導体の濃度は3g/L以下が好ましく、0.01
〜3g/Lがより好ましく、その後のリン酸塩化成処理
液への持込みを考慮すれば、0.01〜1g/Lがさら
に一層好ましい。
【0025】アルカリ脱脂処理液には、通常、洗浄作業
時の発泡による弊害を抑えるために消泡剤が含まれる
が、本発明のアルカリ脱脂処理液も消泡剤を含有してい
ても良い。この消泡剤は、通常慣用されているものから
適時選択して使用することができる。
【0026】本発明のアルカリ脱脂処理液はHLB12
〜17のポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルカ
リ金属塩およびアンモニウム塩の少なくとも1種、およ
び用いる場合の表面調整剤(2価もしくは3価の金属イ
オンのリン酸塩の少なくとも1種の粒子であって粒径が
5μm以下の粒子またはチタンコロイド)、および用い
る場合の、縮合リン酸アルカリ塩、ケイ酸アルカリ塩、
補助添加剤、消泡剤等を水に溶解または分散させること
によって調製することができる。混合はプロペラ攪拌等
を用いて行うことができる。なお、全アルカリ度および
pHの調整は、必要に応じ、水酸化ナトリウム、アンモ
ニア水、リン酸、硫酸等を用いて行うことができる。
【0027】本発明のアルカリ脱脂処理液は油分の付着
した金属材料の脱脂に使用することができる。一般にリ
ン酸塩処理が施される金属材料には、プレス、切削等の
前工程で使用された油分が付着している。付着油分の具
体例としては、マシン油、灯油、軽油、切削油剤、ター
ビン油、防錆油、プレス油、スピンドル油等が挙げられ
る。油分の付着量については特に制限はない。また、油
分以外に鉄粉やその他の汚れが混在して付着していても
良い。
【0028】本発明のアルカリ脱脂処理液が適用される
金属材料の種類については特に制限はなく、各種鉄鋼材
料、例えば鋼板(冷延鋼板、熱延鋼板等)、亜鉛めっき
鋼板(溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、アル
ミニウムを合金成分として含有する亜鉛系めっき鋼板
等)、並びに各種アルミニウム材料、例えばアルミニウ
ム板材およびアルミニウム合金(JIS 2000(A
l−Cu−Mg)、5000(Al−Mg)および60
00(Al−Mg−Si)系合金等)材料等が挙げられ
る。金属材料の形状にも特に制限はない。
【0029】本発明のアルカリ脱脂処理液は、30〜7
0℃の温度で30〜600秒、スプレーまたは浸漬法に
て、油分の付着した金属材料表面に適用するのが好まし
い。
【0030】脱脂処理(この脱脂処理には前述のごとく
表面調整処理も兼ねさせることができる)後、水洗を行
うことなく、リン酸塩化成処理を行うことができ、それ
によって本発明のアルカリ脱脂処理液の特長がもっとも
良く発揮される。また、本発明のアルカリ脱脂処理液を
用いて、アルカリ脱脂を行い、水洗を行わずに、表面調
整処理を行い、ついで水洗を行わずにリン酸塩化成処理
を行っても良く、これによっても本発明のアルカリ脱脂
処理液の特長が発揮される。しかしながら、従来のアル
カリ脱脂処理におけるアルカリ脱脂処理液の代りに本発
明のアルカリ脱脂処理液を用いても何等差支えない。す
なわち、本発明のアルカリ脱脂処理液を用いて、アルカ
リ脱脂を行い、水洗し、ついでリン酸塩化成処理を行っ
ても良いし、アルカリ脱脂を行い、水洗し、表面調整処
理を行い、ついで水洗を行わずにリン酸塩化成処理を行
っても良い。
【0031】本発明はまた本発明のアルカリ脱脂処理液
の使用方法、すなわち金属材料を上記した本発明のアル
カリ脱脂処理液に接触させた後、水洗せずに、リン酸塩
化成処理液と接触させて、リン酸塩化成皮膜を形成させ
ることを特徴とする金属材料の脱脂および化成処理方法
に関する。金属材料へのアルカリ脱脂処理液への接触の
方法、条件は既述の通りである。本発明においては、ア
ルカリ脱脂処理後、水洗を行うことなく、リン酸塩化成
処理を施すことができる。
【0032】リン酸塩化成処理は、一般に、公知もしく
は常用のリン酸塩化成処理液および処理条件(化成条
件)を用いて行うことができる。一例を挙げると、全般
的に公知もしくは常用であるかどうかは問わず、本発明
方法において用いられるリン酸塩化成処理液は、リン酸
亜鉛化成処理液、さらには基本的に亜鉛イオン0.5〜
20g/L、リン酸イオン10〜50g/Lおよび水を
含有し、遊離酸度0.5〜15ポイントであるリン酸亜
鉛化成処理液であることが好ましい。さらに詳しくは、
塗装下地用に用いる場合、要求される皮膜重量から、リ
ン酸塩化成処理液は亜鉛イオン0.5〜5g/L、リン
酸イオン10〜20g/Lおよび水を含有し、遊離酸度
0.5〜4.0ポイントであることが好ましく、潤滑下
地用または防錆皮膜用に用いる場合、要求される皮膜重
量から、リン酸塩化成処理液は亜鉛イオン5〜20g/
L、リン酸イオン10〜50g/Lおよび水を含有し、
遊離酸度4.0〜15ポイント、特に5.0〜13ポイ
ントであることが好ましい。ここで亜鉛イオンの供給源
としてはリン酸水溶液に可溶な亜鉛化合物、例えば酸化
亜鉛、リン酸亜鉛、硝酸亜鉛等が挙げられ、リン酸イオ
ンの供給源としてはリン酸(オルトリン酸)等が挙げら
れる。
【0033】上記で遊離酸度とは、2〜3程度の低いp
Hを精度良くかつ再現性良く測定することはpHメータ
ー(ガラス電極)では困難であるため、リン酸塩化成処
理液の酸性度を表すのにpHの代りに一般に用いられる
代用値であって、リン酸塩化成処理液10mLを採取
し、ブロムフェノールブルーを指示薬として、0.1規
定水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定を行い、黄色から
青色に変化するまでに要した滴定液のmL数のことであ
る。例えば遊離酸度1ポイントとは上記mL数が1mL
であることを意味する。
【0034】本発明方法において用いられるリン酸塩化
成処理液には、上記いずれの用途に用いられる場合で
も、酸のエッチング力を高め、化成反応を促進する化成
促進剤、金属表面の酸化膜を破壊し、エッチング反応を
補助するエッチング助剤、皮膜の密着性や酸、アルカリ
に対する化学的安定性を向上させるための他の金属イオ
ン等を含有させることができる。化成促進剤としては亜
硝酸イオン(亜硝酸ナトリウム等として供給)、ヒドロ
キシルアンモニウムイオン(硫酸ヒドロキシルアンモニ
ウム等として供給)、塩素酸イオン(塩素酸ナトリウム
等として供給)、ニトロベンゼンスルホン酸イオン(ニ
トロベンゼンスルホン酸ナトリウム等として供給)、過
酸化水素、有機過酸化物(エチルヒドロペルオキシド、
イソプロピルヒドロペルオキシド等特開平8−3024
77号公報のもの等)等が挙げられる。含有させる場合
の化成促進剤の濃度は一般に0.05〜2.0g/Lが
好ましい。
【0035】エッチング助剤としてはフッ化物イオン、
珪フッ化物イオン等が挙げられる。これらはナトリウム
塩、アンモニウム塩または遊離の酸(フッ化水素酸、珪
フッ化水素酸等)としてリン酸塩化成処理液中に含有さ
せることができる。含有させる場合のエッチング助剤の
濃度は0.1〜2.0g/Lが好ましい。他の金属イオ
ンとしては、主として皮膜の密着性を向上させるニッケ
ルイオン(Ni2+)、銅イオン(Cu2+)、コバルトイ
オン(Co2+)等および/または主として皮膜の化学的
安定性(耐酸性、耐アルカリ性)を向上させるマンガン
イオン(Mn2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、カ
ルシウムイオン(Ca2+)等を使用できる。これらは硝
酸塩、リン酸塩等としてリン酸塩化成処理液中に含有さ
せることができる。含有させる場合の他の金属イオンの
濃度は、銅イオンでは5〜50mg/L、その他の金属
イオンでは0.1〜3.0g/Lが好ましい。
【0036】本発明方法において用いられるリン酸塩化
成処理液の調製方法については特に制限はなく、通常単
に、リン酸イオン供給源、亜鉛イオン供給源、および必
要に応じ化成促進剤、エッチング助剤および/または他
の金属イオン供給源等を水に所定濃度になるように溶解
することによって調製できる。
【0037】調製されたリン酸塩化成処理液は、本発明
のアルカリ脱脂処理液によって処理された金属材料に、
水洗を行うことなく、適用する。該リン酸塩化成処理液
を用いて該金属材料を処理する場合の処理方法として
は、スプレー処理または浸漬処理が好ましい。この場合
の処理温度、処理時間および皮膜重量は皮膜用途によっ
て異なる。該リン酸塩化成処理液を塗装下地皮膜形成の
ために用いる場合には、皮膜重量2〜5g/m2程度の
薄膜タイプの均一緻密なリン酸亜鉛皮膜を析出させるこ
とが好ましい。処理時の処理液の温度は35〜60℃で
あることが好ましく、処理時間は30秒〜10分が好ま
しい。該リン酸塩化成処理液を潤滑下地皮膜形成のため
に用いる場合には、皮膜重量5〜20g/m2程度の厚
膜タイプのリン酸亜鉛皮膜を析出させることが好まし
い。処理時の処理液の温度は60〜90℃であることが
好ましく、処理時間は30秒〜10分が好ましい。
【0038】本発明の脱脂および化成処理方法を用いる
と、従来から行われている脱脂−水洗−(表面調整)−
化成処理−の一連の工程から得られたリン酸塩化成皮膜
と同様な外観、性能を持つリン酸塩化成皮膜を得ること
ができる。
【0039】リン酸塩化成処理後、金属材料は付着した
リン酸塩化成処理を除去するため水洗または湯洗に付さ
れる。その後、必要に応じ乾燥後、塗装が目的の場合に
は塗装処理を行い、潤滑が目的の場合には反応型の石鹸
処理や固体潤滑剤の塗布を行う。防錆が目的の場合には
乾燥後そのまま使用するか防錆油を塗布するのが一般的
である。
【0040】
【実施例】次に実際の処理について実施例と比較例を示
し、本発明の効果を具体的に説明する。なお、実施例
は、本発明の用途例を挙げたにすぎず、本発明の用途、
および適応素材を何ら限定するものではない。
【0041】1.試験材料 冷延鋼板(板厚:0.8mm、SPCC−SD)、両面
溶融亜鉛めっき鋼板(登録商標:シルバーアロイ、新日
本製鐵(株)製、板厚:0.8mm、めっき付着量:片
面45g/m2)、アルミニウム−マグネシウム合金板
(板厚:1.0mm、JIS−A5052)を用い、下
記実施例および比較例の処理を行った。なお、各試験材
料は市販の洗浄防錆油(登録商標:NOX RUST5
30−40、パーカー興産(株)製)を2g/m2塗布
し、油塗布板を100枚重ねてスタックして、トルクレ
ンチでトルク圧力70Kgf/cmで締め付け、60℃
相対湿度95%以上の湿潤ボックス内で、4日間放置し
た後に使用した。
【0042】実施例および比較例に用いたアルカリ脱脂
処理液組成は表1、表2にまとめた。なお、アルカリ脱
脂処理液を構成する水は表1、表2では記載を省略して
いるが、水としては水道水を使用した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】2.評価試験方法 2.1 皮膜重量 まず化成処理後の処理板の重量(W1[g]とする)を
測定し、続いてその化成処理板を下記に示す剥離液、剥
離条件を用いて皮膜剥離処理を施し、その重量(W2
[g]とする)を測定した。式(1)を用いて皮膜重量
を算出した。 皮膜重量[g/m2]=(W1−W2)/処理物の表面
積 剥離液、剥離条件 (1)冷延鋼板の場合 剥離液 :5重量%クロム酸水溶液 剥離条件:75℃、15分、浸漬剥離 (2)両面溶融亜鉛めっき鋼板の場合 剥離液 :重クロム酸アンモニウム2重量%+28%ア
ンモニア水 49重量%+純水49重量% 剥離条件:常温、15分、浸漬剥離 (3)アルミニウム−マグネシウム合金板の場合 剥離液 :5重量%クロム酸水溶液 剥離条件:常温、15分、浸漬剥離
【0046】2.2 素地被覆性 析出した皮膜結晶を走査型電子顕微鏡(SEM)を用い
て1500倍に拡大して観察した。この拡大像より、素
地金属の被覆性(素地の露出の有無)を以下の基準で評
価した。 評価基準 素地の露出が全くない →○(良好) 素地が若干露出している →△(やや不良) 素地が完全に露出している→×(不良)
【0047】2.3 目視外観 化成処理後の外観を以下の基準で評価した。 評価基準 均一な仕上りで化成ムラや化成不良部がない→○(良好) 化成ムラや化成不良部が若干ある →△(やや不良) 化成ムラや化成不良部が全体的にある →×(不良)
【0048】2.4 化成皮膜の結晶粒子径 SEMを用いて1500倍に拡大して求めた。
【0049】2.5 アルカリ脱脂液の脱脂性 試験材料をアルカリ脱脂処理液に所定温度で所定時間
(後述の各実施例、比較例におけると同一条件)接触さ
せ、直ちに水洗(スプレー、30秒)を行い、1分間垂
直放置した後、水濡れ面積の割合を目視にて観察し、脱
脂性を評価した。
【0050】実施例1 アルカリ脱脂処理液1を45℃に加温し、その中に冷延
鋼板を120秒間浸漬した。その後、水洗せずに、塑性
加工潤滑下地用リン酸塩化成処理液(パルボンド−18
1X;登録商標;日本パーカライジング(株))を90
g/Lになるように水道水に溶解して調製したリン酸塩
化成処理液に80℃で5分間浸漬した後、水洗および純
水洗を行い試験板を作製した。 実施例2 アルカリ脱脂処理液2を35℃に加温し、冷延鋼板に1
20秒間スプレーした。その後、水洗せずに、塑性加工
潤滑下地用リン酸塩化成処理液(パルボンド−421W
D;登録商標;日本パーカライジング(株))を50g
/Lになるように水道水に溶解して調製したリン酸塩化
成処理液に80℃で3分間浸漬した後、水洗および純水
洗を行い試験板を作製した。
【0051】実施例3 アルカリ脱脂処理液3を50℃に加温し、その中に冷延
鋼板を120秒間浸漬した。その後、水洗せずに、塗装
下地用リン酸塩化成処理液(パルボンド−L3020;
登録商標;日本パーカライジング(株))を50g/L
になるように水道水に溶解して調製したリン酸塩化成処
理液に43℃で2分間浸漬した後、水洗および純水洗を
行い試験板を作製した。 実施例4 アルカリ脱脂処理液4を30℃に加温し、その中に両面
溶融亜鉛めっき鋼板を120秒間浸漬した。その後、水
洗せずに、塗装下地用リン酸塩化成処理液(パルボンド
−L3020;登録商標;日本パーカライジング
(株))を50g/Lになるように水道水に溶解して調
製したリン酸塩化成処理液に43℃で2分間浸漬した
後、水洗および純水洗を行い試験板を作製した。
【0052】実施例5 アルカリ脱脂処理液5を60℃に加温し、その中にアル
ミニウム−マグネシウム合金板を60秒間浸漬した。そ
の後、水洗せずに、塗装下地用リン酸塩化成処理液(パ
ルボンド−L3020;登録商標;日本パーカライジン
グ(株))を50g/LおよびHFを100mg/Lに
なるように水道水に溶解して調製したリン酸塩化成処理
液に43℃で2分間浸漬した後、水洗および純水洗を行
い試験板を作製した。 実施例6 アルカリ脱脂処理液6を35℃に加温し、その中に冷延
鋼板を180秒間浸漬した。その後、水洗せずに、塗装
下地用リン酸塩化成処理液(パルボンド−L3020;
登録商標;日本パーカライジング(株))を50g/L
になるように水道水に溶解して調製したリン酸塩化成処
理液に43℃で2分間浸漬した後、水洗および純水洗を
行い試験板を作製した。 実施例7 アルカリ脱脂処理液5を40℃に加温し、その中に冷延
鋼板を120秒間浸漬した。その後、水洗を行い、塗装
下地用リン酸塩化成処理液(パルボンド−L3020;
登録商標;日本パーカライジング(株))を50g/L
になるように水道水に溶解して調製したリン酸塩化成処
理液に43℃で2分間浸漬した後、水洗および純水洗を
行い試験板を作製した。
【0053】実施例8 アルカリ脱脂処理液12を50℃に加温し、冷延鋼板に
90秒間スプレーした。その後、水洗せずに、塗装下地
用リン酸塩化成処理液(パルボンド−L3150;登録
商標;日本パーカライジング(株))を45g/Lにな
るように水道水に溶解して調製したリン酸塩化成処理液
を40℃で2分間スプレーした後、水洗および純水洗を
行い試験板を作製した。 実施例9 アルカリ脱脂処理液13を40℃に加温し、冷延鋼板に
90秒間スプレーした。その後、水洗せずに、塗装下地
用リン酸塩化成処理液(パルボンド−L3020;登録
商標;日本パーカライジング(株))を50g/Lにな
るように水道水に溶解して調製したリン酸塩化成処理液
を40℃で2分間スプレーした後、水洗および純水洗を
行い試験板を作製した。
【0054】比較例1 アルカリ脱脂処理液7を45℃に加温し、その中に冷延
鋼板を120秒間浸漬した。その後、水洗せずに、塑性
加工潤滑下地用リン酸塩化成処理液(パルボンド−18
1X;登録商標;日本パーカライジング(株))を90
g/Lになるように水道水に溶解して調製したリン酸塩
化成処理液に80℃で5分間浸漬した後、水洗および純
水洗を行い試験板を作製した。 比較例2 アルカリ脱脂処理液8を35℃に加温し、その中に冷延
鋼板を120秒間スプレーした。その後、水洗せずに、
塑性加工潤滑下地用リン酸塩化成処理液(パルボンド−
421WD;登録商標;日本パーカライジング(株))
を50g/Lになるように水道水に溶解して調製したリ
ン酸塩化成処理液に80℃で5分間浸漬した後、水洗お
よび純水洗を行い試験板を作製した。
【0055】比較例3 アルカリ脱脂処理液9を40℃に加温し、その中に冷延
鋼板を120秒間浸漬した。その後、水洗せずに、塗装
下地用リン酸塩化成処理液(パルボンド−L3020;
登録商標;日本パーカライジング(株))を50g/L
になるように水道水に溶解して調製したリン酸塩化成処
理液に43℃で2分間浸漬した後、水洗および純水洗を
行い試験板を作製した。 比較例4 アルカリ脱脂処理液10を30℃に加温し、その中に両
面溶融亜鉛めっき鋼板を120秒間浸漬した。その後、
水洗せずに、塗装下地用リン酸塩化成処理液(パルボン
ド−L3020;登録商標;日本パーカライジング
(株))を50g/Lになるように水道水に溶解して調
製したリン酸塩化成処理液に43℃で2分間浸漬した
後、水洗および純水洗を行い試験板を作製した。
【0056】比較例5 アルカリ脱脂処理液10を60℃に加温し、その中にア
ルミニウム−マグネシウム合金板を120秒間浸漬し
た。その後、水洗せずに、塗装下地用リン酸塩化成処理
液(パルボンド−L3020;登録商標;日本パーカラ
イジング(株))を50g/LおよびHFを100mg
/Lになるように水道水に溶解して調製したリン酸塩化
成処理液に43℃で2分間浸漬した後、水洗および純水
洗を行い試験板を作製した。 比較例6 アルカリ脱脂処理液11を40℃に加温し、その中に冷
延鋼板を120秒間浸漬した。その後、水洗せずに、塗
装下地用リン酸塩化成処理液(パルボンド−L302
0;登録商標;日本パーカライジング(株))を50g
/Lになるように水道水に溶解して調製したリン酸塩化
成処理液に43℃で2分間浸漬した後、水洗および純水
洗を行い試験板を作製した。
【0057】表3に実施例および表4に比較例における
化成皮膜の皮膜特性を示す。
【0058】その結果、本発明のアルカリ脱脂処理液お
よび脱脂および化成処理方法を適用した実施例1〜7
は、各種金属材料において、優れた脱脂性ならびにリン
酸塩化成処理性を得られることが確認された。また、表
面調整剤を含有している実施例3〜7は、表面調整効果
の阻害もなく、脱脂効果と表面調整効果の両性能を発現
できることも確認された。
【0059】これに対して、アルカリ金属塩もしくはア
ンモニウム塩を含有していない比較例1、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル濃度を下回る比較例2は、十分
な脱脂性が得られず、均一なリン酸塩化成皮膜が得られ
なかった。ポリオキシエチレンアルキルエーテルのHL
Bが範囲外の比較例3、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテルの配合量が上限を超え、表面調整成分濃度も低い
比較例4および5、ポリオキシエチレンノニルフェニル
エーテルを用いた比較例6は、皮膜外観が不均一であっ
た。
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【発明の効果】本発明の金属材料のアルカリ脱脂処理液
およびそれを用いる脱脂および化成処理方法は、従来ア
ルカリ脱脂工程とリン酸塩化成処理工程間に必要不可欠
であった水洗工程を省略することができる画期的な技術
である。また、本発明によれば、リン酸塩化成処理を塗
装下地形成のために行う場合には、通常行われる表面調
整処理をアルカリ脱脂処理と同時に行うことができると
いうメリットも生ずる。また本発明で使用される界面活
性剤は、生分解性があり、環境面においても優れてい
る。本発明技術を用いることにより、処理工程の短縮、
省スペース、生産性の向上、排水処理負担の低減等のメ
リットが期待できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C11D 7:10) (56)参考文献 特開 平5−222397(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/17 C11D 7/60 C23G 1/14 C11D 7:26 C11D 7:10

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 HLB12〜17のポリオキシエチレン
    アルキルエーテル0.5〜8g/L、アルカリ金属塩お
    よびアンモニウム塩の少なくとも1種、および水を含有
    し、かつ全アルカリ度が1〜15ポイントでpHが8〜
    13である金属材料のアルカリ脱脂処理液。
  2. 【請求項2】 2価もしくは3価の金属イオンのリン酸
    塩の少なくとも1種の粒子であって、粒径が5μm以下
    の粒子を含有する請求項1記載のアルカリ脱脂処理液。
  3. 【請求項3】 該リン酸塩の少なくとも1種を0.01
    〜30g/L含有し、該2価もしくは3価の金属イオン
    がZn2+、Ni2+、Mn2+、Co2+、Fe2+、Ca2+
    Al3+およびFe3+から選ばれる少なくとも1種である
    請求項2記載のアルカリ脱脂処理液。
  4. 【請求項4】 チタンコロイドをチタンとして0.00
    1〜5g/L含有する請求項1記載のアルカリ脱脂処理
    液。
  5. 【請求項5】 金属材料を、請求項1〜4のいずれかに
    記載のアルカリ脱脂処理液に接触させた後、水洗せず
    に、リン酸塩化成処理液と接触させて、リン酸塩皮膜を
    形成させることを特徴とする、金属材料の脱脂および化
    成処理方法。
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