JP3489693B2 - 抵抗溶接装置 - Google Patents

抵抗溶接装置

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JP3489693B2 JP27701094A JP27701094A JP3489693B2 JP 3489693 B2 JP3489693 B2 JP 3489693B2 JP 27701094 A JP27701094 A JP 27701094A JP 27701094 A JP27701094 A JP 27701094A JP 3489693 B2 JP3489693 B2 JP 3489693B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,抵抗溶接装置、特にパ
イプ形状金属部品又は異種金属材料からなる被溶接物を
も簡便に抵抗溶接できる溶接装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に金属材料の溶接のプロセスは、溶
接電流が被溶接物を通流する際にそれらの接触抵抗など
によって発熱し、その熱で金属材料が溶融して混ざり合
い、しかる後に硬化することにより溶接が完了するので
あるが、そのプロセスで金属材料が収縮したり、膨張し
たりする。良好な溶接結果を得るためには、そのような
金属材料の収縮または膨張に加圧機構が極力高速で応答
することが好ましいとされており、その具体的な機構に
ついて開示したものとして、特開昭61ー293680
号公報がある。この公報では、加圧機構の応答性を高め
るために、チューブ部材内を摺動するピストン部材の内
部に弾性部材を配設し、その弾性部材の先端部に長いロ
ッドの一端が固定され、そのロッドの他端に電極ホルダ
が取り付けられる。そして、抵抗溶接用電極はその電極
ホルダに装着される。しかし長いロッドは加圧機構によ
り上下方向に安定に動く必要があるので、周りの支持壁
と摺動するような構造にならざるを得ない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしこのような構造
をもつ従来の抵抗溶接装置では,弾性部材の先端に長い
ロッドと電極ホルダと抵抗溶接用電極とが取り付けられ
ているので、これらの重量の総和が負荷となると共に、
長いロッドが周りの支持壁に摺動する構造になっている
のでその摩擦力も弾性部材の負荷となるため、応答性に
優れているとは言えなかった。
【0004】本発明はこのような従来の問題点を解決
し,自動車部品のパワステアリングのようなパイプ形状
の部品をも、従来のようにパイプ内部に加圧力をその内
部から支える中心電極を必要とすることなく、一対の溶
接電極だけで良好な抵抗溶接を可能とする抵抗溶接装置
を提供することを目的としている。
【0005】
【問題を解決するための手段】前述のような問題を解決
するため,第1の発明では、加圧機構により被溶接物に
対して進退可能に保持された金属ブロックと、この金属
ブロックに固定された第1の支持部材と、前記金属ブロ
ックに一端側が固定された一対以上のフレキシブル部材
と、このフレキシブル部材の他端側に固定された第2の
支持部材と、前記第1の支持部材と前記第2の支持部材
との間に配置された弾性部材と、前記第2の支持部材に
取り付けられた上部溶接用電極とを備え、その高速応答
の可能な上部溶接用電極から被溶接物へ電流を流して抵
抗溶接することを特徴とする抵抗溶接装置を提供するも
のである。
【0006】前述のような問題を解決するため,第2の
発明では、加圧機構により被溶接物に対して進退可能に
保持された金属ブロックと、この金属ブロックに固定さ
れた第1の支持部材と、前記金属ブロックに一端側が固
定された一対以上のフレキシブル部材と、前記金属ブロ
ックに植設された複数のガイド部材と、このガイド部材
に沿って走行可能であって、かつ前記フレキシブル部材
の他端側に固定された直線駆動部材と、この直線駆動部
材に支持された第2の支持部材と、前記第1の支持部材
と前記第2の支持部材との間に配置された弾性部材と、
前記直線駆動部材に取り付けられた上部溶接用電極とを
備え、その高速応答の可能な上部溶接用電極から被溶接
物へ電流を流して抵抗溶接することを特徴とする抵抗溶
接装置を提供するものである。
【0007】前述のような問題を解決するため,第3の
発明では、前記被溶接物がパイプ形状部品であり、該パ
イプ形状部品を中芯電極で支持することなくそのパイプ
形状が変形しない程度の加圧力を該パイプ形状部品に与
えた状態で溶接することを特徴とする請求項1又は請求
項2に記載の抵抗溶接装置を提供するものである。
【0008】前述のような問題を解決するため、第4の
発明では、前記被溶接物が複数の被溶接物であってそれ
ぞれ異なる種類の金属製であることを特徴とする請求項
1ないし請求項3のいずれかに記載の抵抗溶接装置。
【0009】
【実施例】以下図面により本発明の実施例を説明する。
先ず図1により本発明の一実施例を説明すると,1はシ
リンダ装置のような加圧機構、2は加圧機構1の底部に
固定されて電極ホルダとしての役割を行う金属ブロッ
ク、3と4は左右対称のフレキシブル部材であり、それ
ぞれの一端側は金属ブロック2に固定されている。電気
絶縁材料からなる断面コの字状の第1の支持部材5は、
その底部中央には雌ねじが形成されており、雄ねじ6に
よって金属ブロック2に固定されている。黄銅のような
金属材料からなる第2の支持部材7は、フレキシブル部
材3と4によって支えられており、第1の支持部材5の
外径よりも幾分大きな内径部を持ち、第1の支持部材5
の一部分がその内部まで延びている位置関係にある。弾
性部材として用いられるスプリング8は第1の支持部材
5と第2の支持部材7との間に挟まれて支持されてお
り、加圧機構1からの下方向の加圧力はスプリング8を
通して第2の支持部材7に伝達される。上部溶接用電極
9は第2の支持部材7の底部中央に形成された雌ねじと
螺合させて固定される。10は下部溶接用電極11に載
置されたパイプ状被溶接物である。
【0010】次にこの抵抗溶接装置の動作を説明する
と、加圧機構1の作動により上部溶接用電極9がパイプ
状被溶接物10に当節し、次に直ぐに加圧機構1からの
加圧力が金属ブロック2、第1の支持部材5、スプリン
グ8、第2の支持部材7及び下部溶接用電極11を通し
てパイプ状被溶接物10を押圧する。その過程でスプリ
ング8が収縮し、第1の支持部材5の外壁が第2の支持
部材7の内壁に沿ってほとんど抵抗もなく降下する。そ
してその圧力が予め決められたレベルに達すると、給電
導体(図示せず)から金属ブロック2に供給される電流
は、フレキシブル部材3と4、第2の支持部材7及び上
部溶接用電極9を通してパイプ状被溶接物10に流れ、
さらに下部溶接用電極11に流れる。このとき第1の支
持部材5が電気絶縁材料からなるので、スプリング8を
通して電流が流れることはない。したがって、スプリン
グ8が電食したり、溶接されることがないのは勿論のこ
と、電流により温度上昇を起こしてその弾性力が変化す
ることもない。
【0011】ここで加圧力の予め決められたレベルは、
従来の加圧力の70〜80%程度の大きさである。従来
の加圧力の70〜80%程度の大きさの加圧力で加圧さ
れた状態において、自動車のパワステアリングのような
パイプ状被溶接物10とこれに溶接される他方の被溶接
物(図示せず)との溶接部分の金属は溶融を始める。こ
のように溶接部分の金属が溶融を始めるのに伴い、その
溶接部分の膨張をスプリング8及びフレキシブル部材3
と4で瞬時に吸収すると共に、加圧力が働いている状態
では、常時、スプリング8及びフレキシブル部材3と4
が溶接部分に加圧力を与えているので、溶接の進行に伴
う沈みに対しても極めて応答の速い加圧を与えることが
できる。つまり、スプリング8の応答性を問題にする場
合、その実質的な負荷となるのは第2の支持部材7と上
部溶接用電極9の重量だけであるので、従来に比べて軽
量であり、しかもフレキシブル部材3と4も共働する。
このことが従来の加圧力の70〜80%程度の大きさの
加圧力で十分に良好な溶接を行える理由であり、そして
従来加圧力の70〜80%程度に小さくできることが、
パイプ状被溶接物10の中に予め中芯電極を挿入せずと
もパイプ状被溶接物10が歪んだり、変形させることな
く抵抗溶接できる理由である。
【0012】次に図2により他の一実施例について説明
する。図1に示した記号と同一の記号は図1の部材に相
当する部材を示すものとする。この実施例は,図1に示
した抵抗溶接装置を変更したものであり,2本の円筒状
のガイド部材12A,12Bとこれに沿って走行し得る
一対の直線駆動部材13A,13Bを備えている。ガイ
ド部材12A,12Bはそれらの一端が金属ブロック2
の主面2Aに対して垂直になるよう植設されており、他
端は自由端となっている。一対の直線駆動部材13A,
13Bは同一構造であり、直線駆動部材13Aはガイド
部材12Aにガイドされて直線運動を行う通常のリニア
モーションベアリング部13A1とその外筒外面に設け
られた電気絶縁部材13A2とそれらリニアモーション
ベアリング部13A1と電気絶縁部材13A2とが嵌入
される電極支持ブロック部13A3とから構成される。
この電気絶縁部材13A2はリニアモーションベアリン
グ部13A1を電流が流れるのを防ぎ、それが溶接され
たり、電食されるのを防止するので、常時、リニアモー
ションベアリング部13A1はその運動時の抵抗が十分
に無視できる程小さく維持される。
【0013】第1の支持部材5は図1の実施例と同様に
電極ホルダの役割を行う金属ブロック2に螺合されてお
り、その先端側部分はスプリング8の内側、更には第2
の支持部材7の内壁面に沿って延びるように径が小さく
なっている。第2の支持部材7は電気絶縁材料からな
り、直線駆動部材13A,13Bの電極支持ブロック部
13A3、13B3に支持されている。したがって、ス
プリング8は第1の支持部材5と第2の支持部材7とに
より上側、下側及び内側が囲まれる形で支持される。上
部溶接用電極9は直線駆動部材13A,13Bの電極支
持ブロック部13A3、13B3に直接固定されてい
る。ここで、直線駆動部材13A,13Bの電極支持ブ
ロック部13A3、13B3は軽量化を図るためアルミ
ニウム材料から構成されている。これら部材が上部溶接
電極ヘッドを構成する。
【0014】加圧機構1が動作して下方向に動くと、こ
れに伴い上部溶接電極ヘッド全体が下降する。そして、
上部溶接用電極9が下部溶接用電極11に載置された被
溶接物10に当接し、上部溶接用電極9と第2の支持部
材7と直線駆動部材13A,13Bはその位置で停止す
るが、加圧機構1がさらに下降するのに伴い、スプリン
グ8が収縮すると同時に、フレキシブル部材3と4が撓
み、金属ブロック2と第1の支持部材5とガイド部材1
2A,12Bは加圧機構1と一緒に下降する。したがっ
て、上部溶接用電極9などが停止した後に金属ブロック
2などが降下した距離だけスプリング8が収縮し、かつ
フレキシブル部材3と4が撓む。つまり加圧機構1が加
圧している状態にある場合には、スプリング8及びフレ
キシブル部材3と4は下向きのエネルギーを蓄え、また
それらはあるレベル以上の上向きの力を吸収する作用を
行う。
【0015】従来の加圧力の70〜80%程度の所定の
加圧レベル達すると、加圧機構1が停止すると同時に電
流が、金属ブロック2→フレキシブル部材3と4→直線
駆動部材13A,13Bの電極支持ブロック部13A
3、13B3→上部溶接用電極9→溶接されるべき被溶
接物→下部溶接用電極11の経路で流れ、抵抗溶接が行
われる。この短時間の溶接の過程で、通常、被溶接物の
金属が溶融するのに伴い膨張し、直ぐに収縮を始める。
被溶接物のその膨張の過程で、スプリング8及びフレキ
シブル部材3と4は上方向の力を受けることにより、ス
プリング8は収縮すると同時に、フレキシブル部材3と
4は撓んでそれぞれ機械的エネルギを蓄える。そして被
溶接物の収縮時には加圧力に加えてその機械的エネルギ
を瞬時に上部溶接用電極9に印加することにより、被溶
接物の収縮に極めて高速に追従してバランスのとれた下
方向の加圧力を被溶接物に与えることができる。
【0016】ここで、前記実施例と同様にスプリング8
の応答性を問題にする場合、その実質的な負荷となるの
は第2の支持部材7と上部溶接用電極9と直線駆動部材
13A,13Bの重量だけであるので、従来に比べて抵
抗負荷が小さくなり、しかもフレキシブル部材3と4も
スプリング8と共働して、特に被溶接物の収縮時に大切
な加圧力を重畳する。このことが従来の加圧力の70〜
80%程度の大きさの加圧力で十分に良好な溶接を行え
る理由であり、そして加圧力を従来の70〜80%程度
に小さくできることが、パイプ状被溶接物10の中に予
め中芯電極を挿入せずともパイプ状の被溶接物が歪んだ
り、変形することなく抵抗溶接できる理由である。
【0017】なお,以上の実施例では弾性体をスプリン
グとして述べたが,通常の皿ばね、又は電磁力を利用し
たものでも良く、これらばねに合わせて第1の支持部材
と第2の支持部材の形状を変更するだけで、同様に実施
できる。また、以上の実施例では被溶接物をパイプ状の
ものとして述べたが,一般的な抵抗溶接及びプロジェク
ション溶接などは勿論のこと、異種金属材料からなる金
属板、あるいは線材を溶接する場合にも,本発明は効果
がある。つまり複数の被溶接物であってそれぞれ異なる
種類の金属製の材料からなる被溶接物の場合には、溶接
される被溶接物の溶融温度や溶け方などが異なるため
に、同種金属の溶接に比べてより一層の加圧力の高速追
従性が必要であるので、この発明によれば異種金属の溶
接も良好に行える。
【0018】
【発明の効果】以上述べたように,本発明によれば,弾
性体とフレキシブル部材とで被溶接物の溶接時における
その膨張と収縮に対する加圧力の追従性を十分に高くし
ているので、従来よりも低い加圧力で溶接が可能とな
り、したがって、一般的な抵抗溶接は良好に行えるのは
勿論のこと、従来では中芯電極が必要であった程度の強
度のパイプ状部品でも、中芯電極を使用することなく良
好な抵抗溶接が可能となり、また、異種金属材料の溶接
も良好に行えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抵抗溶接装置の一実施例を説明するた
めの図である。
【図2】本発明の抵抗溶接装置の他の一実施例を説明す
るための図である。
【符号の説明】
1・・・・加圧機構 2・・・・金
属ブロック 3、4・・・・フレキシブル部材 5・・・・第
1の支持部材 7・・・・第2の支持部材 8・・・・弾
性部材 9・・・・上部溶接用電極 10・・・・被
溶接物 11・・・・下部溶接用電極 12・・・・
ガイド部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 11/20 B23K 11/24 B23K 11/31

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加圧機構により被溶接物に対して進退可
    能に保持された金属ブロックと、 該金属ブロックに固定された第1の支持部材と、 前記金属ブロックに一端側が固定された一対以上のフレ
    キシブル部材と、 該フレキシブル部材の他端側に固定された第2の支持部
    材と、 前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との間に配置
    された弾性部材と、 前記第2の支持部材に取り付けられた上部溶接用電極
    と、を備え、高速応答の可能な該上部溶接用電極から被
    溶接物へ電流を流して抵抗溶接することを特徴とする抵
    抗溶接装置。
  2. 【請求項2】 加圧機構により被溶接物に対して進退可
    能に保持された金属ブロックと、 該金属ブロックに固定された第1の支持部材と、 前記金属ブロックに一端側が固定された一対以上のフレ
    キシブル部材と、 前記金属ブロックに植設された複数のガイド部材と、 該ガイド部材に沿って走行可能であって、かつ前記フレ
    キシブル部材の他端側に固定された直線駆動部材と、 該直線駆動部材に支持された第2の支持部材と、 前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との間に配置
    された弾性部材と、 前記直線駆動部材に取り付けられた上部溶接用電極と、
    を備え、高速応答の可能な該上部溶接用電極から被溶接
    物へ電流を流して抵抗溶接することを特徴とする抵抗溶
    接装置。
  3. 【請求項3】 前記被溶接物がパイプ形状部品であり、
    該パイプ形状部品を中芯電極で支持することなくそのパ
    イプ形状が変形しない程度の加圧力を該パイプ形状部品
    に与えた状態で溶接することを特徴とする請求項1又は
    請求項2に記載の抵抗溶接装置。
  4. 【請求項4】 前記被溶接物が複数の被溶接物であって
    それぞれ異なる種類の金属製であることを特徴とする請
    求項1ないし請求項3のいずれかに記載の抵抗溶接装
    置。
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