JP3484481B2 - ビームホモジナイザ及びそれを用いた半導体薄膜の製造方法 - Google Patents

ビームホモジナイザ及びそれを用いた半導体薄膜の製造方法

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JP3484481B2 JP16314797A JP16314797A JP3484481B2 JP 3484481 B2 JP3484481 B2 JP 3484481B2 JP 16314797 A JP16314797 A JP 16314797A JP 16314797 A JP16314797 A JP 16314797A JP 3484481 B2 JP3484481 B2 JP 3484481B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光線束の断面内強
度分布を制御するビームホモジナイザ、及びそれを用い
た半導体薄膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シリンダアレイ型のビームホモジナイザ
は、前段のシリンダアレイと後段のシリンダアレイ、及
びフォーカスレンズにより構成される。各シリンダアレ
イは、複数の等価な凸シリンドリカルレンズをその光軸
及び柱面の母線に垂直な方向に配列して構成される。前
段のシリンダアレイの各シリンドリカルレンズの光軸
が、後段のシリンダアレイの対応するシリンドリカルレ
ンズの光軸に一致するように配置される。本明細書にお
いて、シリンドリカルレンズの光軸とは、そのシリンド
リカルレンズの面対称な結像系の対称面に含まれ、かつ
柱面に直交する軸を意味するものとする。
【0003】前段のシリンダアレイにその光軸に平行な
光線束が入射すると、入射した光線束が各シリンドリカ
ルレンズにより収束される。収束された各光線束が、後
段のシリンダアレイの各シリンドリカルレンズにより再
度収束される。このようにして、2つのシリンダアレイ
により、入射光線束がシリンドリカルレンズの個数分の
小光線束に分割される。
【0004】得られた小光線束は、2つのシリンダアレ
イの相対位置によって、発散光、平行光、または収束光
になる。各小光線束をフォーカスレンズ群を用いてある
面上に重ね合わせることにより、照射領域の光強度分布
を均一に近づける(ホモジナイズする)ことができる。
【0005】このビームホモジナイザでホモジナイズさ
れたパルスレーザビームをアモルファスシリコン膜に照
射し、多結晶化する技術が知られている。以下、この多
結晶化技術について説明する。
【0006】この技術では、通常2対のシリンダアレイ
が用いられる。ホモジナイズ面内にXY直交座標系を考
えたとき、1対のシリンダアレイにより、ホモジナイズ
面内のX軸方向に関してホモジナイズし、他の1対のシ
リンダアレイによりY軸方向に関してホモジナイズす
る。各対のシリンダアレイの間隔を変化させることによ
り、ホモジナイズ面上の照射領域の大きさを変化させる
ことができる。
【0007】各対のシリンダアレイの間隔を調節してホ
モジナイズ面上の照射領域がX軸方向に長い長尺ビーム
を形成する。この照射領域をレーザ光のパルス的な照射
ごとにY軸方向に移動させることによって、広い範囲に
レーザ光を照射し、アモルファスシリコン膜の所望の領
域を多結晶化することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の方法により、ア
モルファスシリコン膜の多結晶化を行うと、多結晶シリ
コン膜に照射領域の長軸方向に沿った直線状の痕跡が残
る場合がある。
【0009】本発明の目的は、レーザ照射により多結晶
半導体薄膜を作製する際に、レーザ照射の痕跡を残しに
くいレーザビームを形成可能なビームホモジナイザ、及
びそれを用いた半導体薄膜の作製方法を提供することで
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の一観点による
と、xyz直交座標系を考えたとき、複数の第1のシリ
ンドリカルレンズが、各々の光軸をz軸に平行にし、柱
面の母線をx軸に平行にし、かつxy平面に平行な仮想
平面に沿って配列し、前記第1のシリンドリカルレンズ
の各々の球面収差が正になるような第1のシリンダアレ
イと、複数の第2のシリンドリカルレンズが、各々の光
軸を、対応する前記第1のシリンドリカルレンズの光軸
と共通にし、かつxy平面に平行な仮想平面に沿って配
列し、前記第1及び第2のシリンドリカルレンズを組み
合わせたレンズ系の球面収差が正になるような第2のシ
リンダアレイと、前記第1及び第2のシリンダアレイを
透過した光線束を収束する収束光学系とを有するビーム
ホモジナイザが提供される。
【0011】球面収差が正になるようなシリンドリカル
レンズを用いると、ホモジナイズ面上における光強度分
布の中央部が盛り上がり、裾野部分の面積が小さくなる
傾向がある。
【0012】本発明の他の観点によると、表面に半導体
薄膜を有する処理対象物の表面が、上記ビームホモジナ
イザのホモジナイズ面に一致するように該処理対象物を
配置する工程と、上記ビームホモジナイザによりホモジ
ナイズされたレーザ光を、前記半導体薄膜に照射して結
晶性を変化させる工程とを有する半導体薄膜の製造方法
が提供される。
【0013】ホモジナイズ面上における光強度分布の中
央部が盛り上がり、裾野部分の面積が小さいビームを照
射すると、半導体薄膜にビーム照射の痕跡が残りにくく
なる。
【0014】
【発明の実施の形態】アモルファスシリコン膜を多結晶
化する場合には、パルスレーザビームをホモジナイズす
ると共に線状のビーム形状にしてアモルファスシリコン
膜に照射する。レーザ光のパルス的な照射ごとに、線状
の照射領域をその長軸方向と直交する方向に、前回の照
射した領域と一部重なるように移動させることにより、
広い領域にレーザビームを照射して、所望の領域を多結
晶化する。従来、良好な多結晶シリコン膜を得るために
は、照射領域の光強度分布のトップフラット率を大きく
することが好ましいと考えられていた。ここで、トップ
フラット率は、光強度分布の最高値の90%以上の強度
を有する部分の幅をW0.9 、半値幅をW0.5 としたと
き、W0.9 /W0.5 で定義される。
【0015】ところが、レーザビーム照射によって多結
晶化したシリコン膜の評価を行ったところ、トップフラ
ット率を大きくした場合、多結晶シリコン膜に、レーザ
照射領域の長軸方向に沿った痕跡が残ることが判明し
た。多結晶薄膜を詳細に分析したところ、パルス照射毎
の照射領域の移動距離に同期して、結晶粒サイズ、結晶
化度、及び表面平滑度が変動していることがわかった。
この痕跡は、レーザ照射領域の短軸方向の光強度分布の
影響と考えられる。
【0016】図5(A)〜(E)は、レーザ照射領域の
短軸方向に関する光強度分布の例を示す。図中の横方向
の細線は、アモルファスシリコンを多結晶化するために
必要なレーザ光の強度のしきい値を示す。図5(A)
は、トップフラット率の高い強度分布の例、図5(B)
は、中央部分が窪んでいる例、図5(C)は、中央部分
が盛り上がり、しきい値以下の部分において強度が急激
に低下している例、図5(D)は、図5(C)の裾野の
部分がなだらかな例、図5(E)は、ガウシアン分布の
例を示す。
【0017】図5(A)及び5(B)は、しきい値近傍
における光強度分布の傾斜が大きい。このため、レーザ
照射時のシリコン薄膜の面内に関する温度勾配が急峻に
なり、溶融固化の際に多結晶薄膜内にストレス等による
欠陥が導入されると考えられる。この欠陥が痕跡となっ
て現れると考えられる。
【0018】図5(C)及び5(D)の場合には、しき
い値近傍における光強度分布の傾きが比較的緩やかであ
る。このため、レーザ光照射時のシリコン薄膜の面内に
関する温度勾配も緩やかであり、図5(A)、5(B)
の場合に比べて欠陥の発生が少ないと考えられる。
【0019】図5(C)と5(D)との相違は、光強度
分布の裾野の部分の大きさにある。すなわち、図5
(C)の場合は、光強度がしきい値を下回ると勾配が急
峻になり、裾野の部分がほとんど形成されない。これに
対し、図5(D)の場合は、光強度がしきい値を下回っ
ても勾配は緩やかなままであり、大きな裾野が形成され
ている。
【0020】光強度がしきい値よりも小さい部分は、シ
リコン薄膜の多結晶化にほとんど寄与しない。このた
め、図5(D)の場合は、エネルギロスが多くなる。レ
ーザ光を有効利用するためには、図5(C)のように裾
野の部分の面積を小さくすることが好ましい。
【0021】図5(E)の場合は、しきい値近傍におけ
る光強度分布の傾きが比較的急峻であり、かつ裾野部分
の面積も大きい。このため、シリコン薄膜の多結晶化の
ための光強度分布として好ましいものではない。
【0022】実施例によるビームホモジナイザは、図5
(C)のような光強度分布を得ることが可能なものであ
る。以下、実施例によるビームホモジナイザについて説
明する。
【0023】図1は、本発明の実施例によるビームホモ
ジナイザの概略断面図を示す。ビームホモジナイザに入
射する光線束の光軸に平行な方向をz軸とするxyz直
交座標系を考える。図1(A)は、xz面に平行な断面
図、図1(B)は、yz面に平行な断面図を示す。実施
例によるビームホモジナイザは、シリンダアレイ1A、
1B、2A、2B、収束レンズ3、及び相対位置調節機
構20を含んで構成される。
【0024】図1(A)に示すように、シリンダアレイ
2A及び2Bの各々は、等価な7本の凸シリンドリカル
レンズにより構成される。各シリンドリカルレンズの光
軸はz軸に平行であり、柱面の母線はy軸に平行であ
る。このように配置されたシリンドリカルレンズが、コ
バ面同士を密着させ、xy面に平行な仮想平面に沿って
配列している。シリンダアレイ2Aは光の入射側(図の
左方)に配置され、シリンダアレイ2Bは出射側(図の
右方)に配置されている。また、シリンダアレイ2Aの
各シリンドリカルレンズは、シリンダアレイ2Bの対応
するシリンドリカルレンズと光軸を共有するように配置
されている。
【0025】図1(B)に示すように、シリンダアレイ
1Aは、等価な7本の凸シリンドリカルレンズにより構
成され、シリンダアレイ1Bは、等価な7本の凹シリン
ドリカルレンズにより構成される。各シリンドリカルレ
ンズの光軸はz軸に平行であり、柱面の母線はx軸に平
行である。このように配置されたシリンドリカルレンズ
が、コバ面同士を密着させ、xy面に平行な仮想平面に
沿って配列している。シリンダアレイ1Aはシリンダア
レイ1Bの入射側に配置され、シリンダアレイ1Bはシ
リンダアレイ2Aの入射側に配置されている。また、シ
リンダアレイ1Aの各シリンドリカルレンズは、シリン
ダアレイ1Bの対応するシリンドリカルレンズと光軸を
共有するように配置されている。
【0026】シリンダアレイ1Aと1Bとの間隔、及び
シリンダアレイ2Aと2Bとの間隔は、相対位置調節機
構20により変えることができる。
【0027】シリンダアレイ2Bの出射側に、収束レン
ズ3が配置されている。収束レンズ3の光軸も、z軸に
平行である。
【0028】図1(A)を参照して、xz面内に関する
光線束の伝搬の様子を説明する。xz面内においては、
シリンドリカルレンズ1A及び1Bは単なる平板と等価
であるため、光線束の収束、発散に影響を与えない。z
軸に平行な光軸を有する平行光線束10がシリンダアレ
イ1Aに入射する。シリンダアレイ1A及び1Bを透過
した光線束12がシリンダアレイ2Aに入射する。入射
光線束は、シリンダアレイ2Aにより各シリンドリカル
レンズに対応した7つの光線束13に分割される。図1
(A)では、中央と両端の光線束のみを代表して示して
いる。シリンダアレイ2Aによって収束された各光線束
13は、シリンダアレイ2Bによりさらに収束され、光
線束14となる。
【0029】シリンダアレイ2Bにより収束された各光
線束14は、それぞれ収束レンズ3の前方で集光する。
この集光位置は、収束レンズ3の入射側焦点よりもレン
ズに近い。このため、収束レンズ3を透過した各光線束
15はそれぞれ発散光線束となり、ホモジナイズ面4
(収束レンズ3の焦平面)上において重なる。
【0030】ホモジナイズ面4を照射する各光線束15
のx軸方向の光強度分布は、それぞれ光線束10の対応
する部分の光強度分布と相似の関係にある。光線束10
の光強度は、通常、中心近傍において強く、周辺近傍に
おいて弱いが、この光線束10を小光線束15に分割
し、各光線束を重ね合わせることにより、照射領域の光
強度分布を均一に近づける(ホモジナイズする)ことが
できる。
【0031】図1(B)を参照して、yz面内に関する
光線束の伝搬の様子を説明する。入射光線束10がシリ
ンダアレイ1Aに入射する。平行光線束10がシリンダ
アレイ1Aにより各シリンドリカルレンズに対応した7
つの光線束11に分割される。各光線束11は、シリン
ダアレイ1Bに入射する。シリンダアレイ1Bに入射し
た各光線束は、それぞれ相互に等しいある出射角を持っ
た発散光線束12となり、収束レンズ3に入射する。y
z面内においては、シリンダアレイ2A及び2Bは単な
る平板と等価であるため、光線束の収束、発散に影響を
与えない。
【0032】収束レンズ3を透過した各光線束15はそ
れぞれ収束光線束となり、ホモジナイズ面4上において
重なる。ホモジナイズ面4を照射する各光線束のy軸方
向の光強度分布は、図1(A)の場合と同様に均一に近
づく。yz面内に関して各光線束15は収束光線束とな
るため、ホモジナイズ面4上における照射領域のy軸方
向の長さは、x軸方向の長さよりも短くなる。このた
め、ホモジナイズ面4上の光照射領域は、x軸方向に長
く、y軸方向に短い線状の形状を有することになる。
【0033】ホモジナイズ面におけるビーム幅、すなわ
ち光照射領域の幅Wは、収束レンズ3の焦点距離を
F 、シリンダアレイを構成するシリンドリカルレンズ
の合成焦点距離をfC 、シリンダアレイを構成する各シ
リンドリカルレンズのレンズ幅をdとして、W=(fF
/fC )dとなる。対応するシリンダアレイの間隔を調
節してシリンダアレイの合成焦点距離fC を変化させる
ことにより、光照射領域の幅を変化させることができ
る。
【0034】図1(A)及び1(B)に示すビームホモ
ジナイザの場合には、シリンダアレイ1Aと1Bとの間
隔を変えることにより、光照射領域の短軸方向の幅を変
化させ、シリンダアレイ2Aと2Bとの間隔を変えるこ
とにより、長軸方向の長さを変化させることができる。
【0035】次に、シリンドリカルレンズ系の球面収差
を考慮した場合の光強度分布について考察する。
【0036】図2(A)は、図1(B)のシリンダアレ
イ1Aと1Bの対応する1組のシリンドリカルレンズの
断面及び、それを透過する光線束を示す。シリンダアレ
イ1Aを構成するシリンドリカルレンズ1Aaの入射側
の面は、曲率半径48.56mmの凸円柱面であり、出
射側の面は平面である。シリンダアレイ1Bを構成する
シリンドリカルレンズ1Baの入射側の面は、曲率半径
58.28mmの凹円柱面であり、出射側の面は平面で
ある。
【0037】図2(B)は、図2(A)のレンズ系の球
面収差を表す。横軸は、球面収差を単位mmで表し、縦
軸は最大の光線高に対する相対光線高を表す。図2
(B)に示すように、正の球面収差を示している。
【0038】図2(C)は、図2(A)のレンズ系を用
いた場合のホモジナイズ面上の光強度分布のシミュレー
ション結果を示す。横軸は、ホモジナイズ面上における
光照射領域の中心からの距離を単位mmで表し、縦軸は
レーザ光の強度を相対目盛で表す。なお、レンズ1Aa
と1Baとの間隔を12.5mmとした。照射領域の中
央部が盛り上がり、裾野部分の少ない図5(C)と近似
した好適な分布が得られている。
【0039】図2(A)に示すレンズ系と比較するため
に、球面収差のほとんどない場合、及び負の球面収差を
有する場合について、光強度分布を求めた。
【0040】図3(A)は、球面収差がほとんどないレ
ンズ系の例を示す。入射側の凸シリンドリカルレンズ1
Abは、図2(A)に示す凸シリンドリカルレンズ1A
aと同じものであり、出射側の凹シリンドリカルレンズ
1Bbは、図2(A)に示す凹シリンドリカルレンズ1
Baの向きを逆にしたものである。
【0041】図3(B)は、図3(A)のレンズ系の球
面収差を示す。この場合の球面収差は、図2(B)の場
合の約1/100である。従来は、トップフラット率を
高くするために、レンズ系の球面収差が0になるように
設計されていた。
【0042】図3(C)は、図3(A)のレンズ系を用
いた場合のホモジナイズ面上の光強度分布を示す。横軸
及び縦軸は、図2(C)のそれと同様である。球面収差
がほとんどない場合には、図5(A)に示すようなトッ
プフラット率の高い光強度分布が得られる。
【0043】図4(A)は、負の球面収差を有するレン
ズ系の例を示す。入射側のシリンドリカルレンズ1Ac
及び出射側のシリンドリカルレンズ1Bcは、共に凸シ
リンドリカルレンズである。シリンドリカルレンズ1A
cと1Bcの相互に対向する面は平面であり、その反対
側の面は、共に曲率半径37.5mmの凸円柱面であ
る。
【0044】図4(B)は、図4(A)のレンズ系の球
面収差を示す。このレンズ系は、負の球面収差を有する
ことがわかる。
【0045】図4(C)は、図4(A)のレンズ系を用
いた場合のホモジナイズ面上の光強度分布を示す。横軸
及び縦軸は、図2(C)のそれと同様である。レンズ系
が負の球面収差を有する場合には、図5(B)に示すよ
うな中央部の窪んだ光強度分布が得られる。
【0046】図2〜図4の比較から、好適な光強度分布
を得るためには、正の球面収差を有するレンズ系を用い
ればよいと考えられる。なお、より好適な光強度分布を
得るためには、最大光線高における球面収差が0.01
以上となる構成とすることが好ましい。図1及び図2で
は、凸シリンドリカルレンズと凹シリンドリカルレンズ
を組み合わせて正の球面収差を有するレンズ系を構成し
たが、他の構成としてもよい。例えば、1つの凹シリン
ドリカルレンズのみで構成してもよいし、少なくとも1
つの凹シリンドリカルレンズを含む3種以上のシリンド
リカルレンズを用い、3種以上のシリンダアレイで構成
してもよい。なお、光照射領域の幅を可変とするために
は、2種以上のシリンドリカルレンズで構成することが
望ましい。
【0047】本発明の実施例によるビームホモジナイザ
を用いることにより、図5(C)に示すように、中央部
が盛り上がり、裾の部分の少ない強度分布を得ることが
できる。ただし、シリンドリカルレンズの球面収差を変
化させると強度分布の形状も変化し、図5(D)もしく
は図5(E)のような強度分布となり得るであろう。そ
こで、より好ましい強度分布の形状を規定することとす
る。
【0048】図5(C)の分布を図5(D)及び5
(E)の分布と比較したときの特徴的な点は、裾の部分
における幅と半値幅との比である。強度分布の半値幅W
0.5 とピーク高さの1/e2 となる幅W1/e2との比W
0.5 /W1/e2は、ガウシアン分布の場合に約0.6未満
である。従って、図5(C)の分布を、中央部が盛り上
がり、かつW0.5 /W1/e2が0.7以上であると規定す
ることができるであろう。
【0049】なお、アモルファス半導体薄膜を従来のホ
モジナイザのホモジナイズ面(収束レンズの焦平面)か
らずらして配置することにより、照射領域の光強度分布
を図5(C)の分布とすることも可能であろう。ただ
し、この場合には照射領域の幅が広くなってしまう。す
なわち、半導体薄膜表面におけるレーザ光のエネルギ密
度が低下してしまう。
【0050】本実施例によるビームホモジナイザを用い
る場合には、照射領域の幅を広くすることなく、光強度
分布を図5(C)に示す好適な分布とすることが可能に
なる。この場合には、半導体薄膜表面におけるエネルギ
密度が低下しないため、効果的にアモルファス半導体薄
膜を多結晶化することができる。なお、照射領域の幅を
狭く維持した状態でレーザ光の照射を行うためには、半
導体薄膜表面をホモジナイザの収束レンズの焦点を中心
とした焦点深度の範囲内に配置することが好ましい。
【0051】なお、本願発明者の実験によると、波長λ
が308nmのXeClレーザ光、焦点距離が200m
m、開口数NAが0.032のホモジナイザを用いたと
き、収束レンズの焦点から光軸方向に±1mm程度ずれ
ても良好な多結晶化を行うことができた。このとき、レ
ーザ光照射領域の線幅、及びエネルギ密度の変化量は±
2%以下であった。
【0052】一般に、焦点深度は、±κ×λ/NA2
表される。この式に、λ=308nm、NA=0.03
2を代入した結果が、実験により好適な範囲と考えられ
る±1mmとなるようにするためには、κ=3.3とす
ればよい。すなわち、半導体薄膜表面をホモジナイザの
収束レンズの焦点を中心として、光軸方向に関し±3.
3×λ/NA2 の範囲内に配置することが好ましい。
【0053】以上、アモルファスシリコン膜を多結晶化
する場合を例に説明したが、上記実施例によるビームホ
モジナイザは、その他のアモルファス半導体薄膜を多結
晶化する場合、または多結晶半導体薄膜の結晶性を改善
する場合にも適用可能である。
【0054】以上実施例に沿って本発明を説明したが、
本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種
々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に
自明であろう。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ホモジナイズ面上における光照射領域の光強度分布の中
央部が盛り上がり、裾野部分の面積の小さいレーザビー
ムを得ることができる。このレーザビームを半導体薄膜
に照射して結晶性を変化させると、半導体薄膜にレーザ
ビーム照射の痕跡が残りにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるビームホモジナイザの概
略断面図である。
【図2】図1に示すビームホモジナイザの1組のシリン
ダアレイの断面図、球面収差を示すグラフ、ホモジナイ
ズ面上における光強度分布を示すグラフである。
【図3】球面収差のほとんどないレンズ系の一例を示す
断面図、球面収差を示すグラフ、ホモジナイズ面上にお
ける光強度分布を示すグラフである。
【図4】負の球面収差を有するレンズ系の一例を示す断
面図、球面収差を示すグラフ、ホモジナイズ面上におけ
る光強度分布を示すグラフである。
【図5】ホモジナイズ面上における光強度分布の例を示
すグラフである。
【符号の説明】
1A、1B、2A、2B シリンダアレイ 1Aa、1Ba、1Ab、1Bb、1Ac、1Bc シ
リンドリカルレンズ 3 収束レンズ 4 ホモジナイズ面 10、11、12、13、14、15 光線束 20 相対位置調節機構
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−124776(JP,A) 特開 昭62−80617(JP,A) 特開 平9−129573(JP,A) 特開 平8−327942(JP,A) 特開 平10−312963(JP,A) 特開 平6−61172(JP,A) 特開 平9−105936(JP,A) 特開 昭63−6501(JP,A) 特開 昭55−153327(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/26 - 21/268 H01L 21/18 - 21/20 G02B 3/00 - 3/14

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 xyz直交座標系を考えたとき、複数の
    第1のシリンドリカルレンズが、各々の光軸をz軸に平
    行にし、柱面の母線をx軸に平行にし、かつxy平面に
    平行な仮想平面に沿って配列し、前記第1のシリンドリ
    カルレンズの各々の球面収差が正になるような第1のシ
    リンダアレイと、複数の第2のシリンドリカルレンズが、各々の光軸を、
    対応する前記第1のシリンドリカルレンズの光軸と共通
    にし、かつxy平面に平行な仮想平面に沿って配列し、
    前記第1及び第2のシリンドリカルレンズを組み合わせ
    たレンズ系の球面収差が正になるような第2のシリンダ
    アレイと、 前記第1及び第2のシリンダアレイを透過した光線束を
    収束する収束光学系とを有するビームホモジナイザ。
  2. 【請求項2】 前記第1のシリンドリカルレンズが凹シ
    リンドリカルレンズであり、前記第2のシリンドリカル
    レンズが凸シリンドリカルレンズである請求項に記載
    のビームホモジナイザ。
  3. 【請求項3】 さらに、前記第1のシリンダアレイと第
    2のシリンダアレイとの間隔が変化するように、前記第
    1及び第2のシリンダアレイの相対位置を変化させる相
    対位置調節機構を有する請求項1または2に記載のビー
    ムホモジナイザ。
  4. 【請求項4】 ホモジナイズ面におけるy軸方向におけ
    る光強度分布が、中央部が盛り上がり、かつ半値幅W
    0.5 とピーク高さの1/e2 をとる幅W1/e2との比W
    0.5 /W1/e2が0.7以上となるように、前記第1及び
    第2のシリンドリカルレンズを組み合わせたレンズ系の
    球面収差が決められている請求項1〜3のいずれかに記
    載のビームホモジナイザ。
  5. 【請求項5】 xyz直交座標系を考えたとき、複数の
    第1のシリンドリカルレンズが、各々の光軸をz軸に平
    行にし、柱面の母線をx軸に平行にし、かつxy平面に
    平行な仮想平面に沿って配列し、前記第1のシリンドリ
    カルレンズの各々の球面収差が正になるような第1のシ
    リンダアレイと、 前記第1のシリンダアレイを透過した光線束をホモジナ
    イズ面上にホモジナイズさせる収束光学系と を有し ホモジナイズ面におけるy軸方向における光強度分布
    が、中央部が盛り上がり、かつ半値幅W0.5 とピーク高
    さの1/e 2をとる幅W1/e2との比W0.5 /W1/e2
    0.7以上となるように、前記第1のシリンドリカルレ
    ンズの各々の球面収差が決められているビームホモジナ
    イザ。
  6. 【請求項6】 表面に半導体薄膜を有する処理対象物の
    表面が、請求項1〜5のいずれかに記載のビームホモジ
    ナイザのホモジナイズ面に一致するように該処理対象物
    を配置する工程と、 請求項1〜5のいずれかに記載のビームホモジナイザに
    よりホモジナイズされたレーザ光を、前記半導体薄膜に
    照射して結晶性を変化させる工程とを有する半導体薄膜
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記結晶性を変化させる工程において、
    前記半導体薄膜の表面が、前記収束光学系の焦点位置を
    中心とした焦点深度内に位置するように前記半導体薄膜
    を配置してレーザ光を照射する請求項に記載の半導体
    薄膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記結晶性を変化させる工程において、
    前記半導体薄膜の表面が、前記収束光学系の焦点位置を
    中心とし、光軸方向に関して±3.3×λ/NA2 (こ
    こでλはレーザ光の波長、NAはホモジナイザの開口数
    である。)の範囲内に位置するように前記半導体薄膜を
    配置してレーザ光を照射する請求項に記載の半導体薄
    膜の製造方法。
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