JP3482942B2 - 電波吸収体 - Google Patents

電波吸収体

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JP3482942B2
JP3482942B2 JP2000143792A JP2000143792A JP3482942B2 JP 3482942 B2 JP3482942 B2 JP 3482942B2 JP 2000143792 A JP2000143792 A JP 2000143792A JP 2000143792 A JP2000143792 A JP 2000143792A JP 3482942 B2 JP3482942 B2 JP 3482942B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電波障害を解消す
るために壁面などに施工されて用いられる電波吸収体に
関する。
【0002】
【従来の技術】携帯電話やPHSに代表される無線通信
機器の普及は目覚ましく、オフィス・店舗・工場・倉庫
などでも無線LANと言われる無線データ通信網で使用
される無線通信機器が急速に普及してきている。かかる
無線通信機器をオフィス等の特定の室内空間で用いる場
合には、室外からのノイズ電波の侵入を防いだり、室内
の情報が室外に漏洩することを防いだりするために、壁
面等に対して金属箔や金属メッシュ、導電性繊維などか
らなる電波遮蔽体の施工が行われる場合がある。また電
波遮蔽体の施工が行われない場合であっても、近年のオ
フィスは天井及び床面に金属製のデッキプレートが使用
されたり、床面に金属製の二重パネルが用いられる場合
が多く、天井及び床面は電波反射環境となるケースが多
い。また壁面についてもスチール製の家具建具が用いら
れるケースが多く、壁面が電波反射環境となるケースが
増えている。
【0003】しかし、かかる電波反射環境では、通信機
器から発信される電波が内壁や天井、床、スチール製の
家具建具によって反射され、受信端末に位相の異なる反
射波が到達したり、反射波が多重的に到達したりして、
受信器側で正常な信号として認識できず、通信時間が異
常に長くなったり通信不能となったりする問題が発生す
る。
【0004】そこで、これらの反射波による通信障害対
策としては、内装材に導電性繊維を含有させてなる電波
吸収体を施工することが有効であり、例えば特開平10
−107479号公報には、炭素繊維等の導電性繊維を
含有する石膏ボードに関する技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
導電性繊維を含有する石膏ボードは電波吸収性能が不十
分であったため、反射波による通信障害を効果的に抑制
することができなかった。
【0006】そこで本発明は、電波吸収性能に優れた電
波吸収体および内装材の施工方法を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記目的を達
成するため鋭意研究した結果、導電性繊維を含有する複
数の層からなる積層体を壁面等に対して施工した場合、
電波吸収性能が向上され、反射波による通信障害を効果
的に抑制することができることが分かった。これは、積
層体のそれぞれの層において電波が減衰されるだけでな
く、それぞれの層からの反射波が干渉し合い、位相と振
幅との関係で打ち消し合う、すなわち共振によっても減
衰されるからと考えられる。本発明は上記知見に基づい
てなされたものである。
【0008】すなわち本発明の電波吸収体は、それぞれ
導電性繊維を含有する少なくとも第1の層および第2の
層を有することを特徴とする。
【0009】この電波吸収体では、該電波吸収体に入射
した電波は、第1の層内および第2の層内を進行するこ
とにより減衰される。また、第1の層において反射され
た反射波と第2の層において反射された反射波とは、互
いに干渉して打ち消し合うことにより減衰される。この
ように、反射波同士が干渉することで電波吸収体の電波
吸収性能が向上される。
【0010】また本発明の電波吸収体では、第1の層お
よび第2の層は無機質材により構成されていることを特
徴としてもよい。このようにすれば、電波吸収体の耐火
性が向上される。
【0011】また本発明の電波吸収体では、第1の層は
ロックウールにより構成されており、第2の層は石膏に
より構成されていることを特徴としてもよい。このよう
にすれば、ロックウール側の第1の層によって吸音性の
向上、意匠性の向上が図られる。また、石膏は他の無機
質材と比べて軽量であるため、石膏側の第2の層によっ
て該電波吸収体を施工する際の作業性の向上が図られ
る。
【0012】また本発明の電波吸収体では、第1の層お
よび第2の層はロックウールにより構成されていること
を特徴としてもよい。このようにすれば、第1の層およ
び第2の層のロックウールによって吸音性の向上、意匠
性の向上が図られる。この場合、第1の層と第2の層と
で導電性繊維の含有量を異ならせるとより好ましい。
【0013】また本発明の電波吸収体では、導電性繊維
は炭素繊維であり、第1の層には該導電性繊維が0.0
05〜0.3g/l含まれており、第2の層には該導電
性繊維が0.1〜1.0g/l含まれていると好まし
い。このようにすれば、電波吸収体は高い電波吸収性能
を有する。
【0014】また本発明の電波吸収体では、第1の層の
厚みは1〜30mmであり、第2の層の厚みは1〜30
mmであると好ましい。第1の層の厚みが1mmよりも
小さい場合は、導電性繊維の分散が悪くなって電波吸収
性能の向上の効果があまり得られなくなる傾向にある。
また第1の層の厚みが30mmより大きい場合は、電波
吸収体の重量化につながって実用的でないばかりか、こ
れ以上の電波吸収性能の向上の効果が期待できない傾向
にある。また第2の層の厚みが1mmよりも小さい場合
は、導電性繊維の分散が悪くなって電波吸収性能の向上
の効果があまり得られなくなる傾向にある。また第2の
層の厚みが30mmより大きい場合は、電波吸収体の重
量化につながって実用的でないばかりか、これ以上の電
波吸収性能の向上の効果が期待できない傾向にある。
【0015】また本発明の電波吸収体では、第1の層は
無機質材により構成されており、第2の層は有機質材に
より構成されていることを特徴としてもよい。このよう
にすれば、第1の層が無機質材により構成されているた
め耐火性が向上されると共に、第2の層が有機質材によ
り構成されているため電波吸収体の軽量化が図られる。
【0016】また本発明の電波吸収体では、第1の層は
ロックウールにより構成されており、第2の層は前記第
1の層に導電性繊維を含有する有機系塗料を塗布して構
成されていることを特徴としてもよい。このようにすれ
ば、ロックウール側の第1の層によって吸音性の向上、
意匠性の向上が図られる。また、第1の層に対して有機
系塗料を塗布するだけで、第2の層を容易に形成するこ
とが可能となる。
【0017】また本発明の電波吸収体では、導電性繊維
は炭素繊維であり、第1の層には該導電性繊維が0.2
〜0.5g/l含まれており、第2の層には該導電性繊
維が該第2の層の全量100重量%に対して10〜25
重量%含まれていると好ましい。このようにすれば、電
波吸収体は高い電波吸収性能を有する。
【0018】また本発明の電波吸収体では、第1の層の
厚みは1〜30mmであり、第2の層を構成する有機系
塗料の塗布量は100〜3000g/m2であると好ま
しい。第1の層の厚みが1mmよりも小さい場合は、導
電性繊維の分散が悪くなって電波吸収性能の向上の効果
があまり得られなくなる傾向にある。また第1の層の厚
みが30mmより大きい場合は、電波吸収体の重量化に
つながって実用的でないばかりか、これ以上の電波吸収
性能の向上の効果が期待できない傾向にある。また第2
の層を構成する有機系塗料の塗布量が100g/m2
りも小さい場合は、導電性繊維の分散が悪くなって電波
吸収性能の向上の効果があまり得られなくなる傾向にあ
る。また第2の層を構成する有機系塗料の塗布量が30
00g/m2よりも大きい場合は、電波吸収体の重量化
につながって実用的でないばかりか、これ以上の電波吸
収性能の向上の効果が期待できない傾向にある。
【0019】また本発明の電波吸収体では、導電性繊維
の繊維長は0.1〜30mmであることを特徴としても
よい。導電性繊維の繊維長が0.1mmより小さい場合
は、導電性繊維が誘電体として働き電波の誘電損失を起
こす誘電損失効果が得られにくくなり、電波吸収性能の
向上の効果があまり得られなくなるからであり、また繊
維長が30mmより大きい場合は、導電性繊維の分散が
悪くなって電波吸収性能の向上の効果があまり得られな
くなるからである。
【0020】また本発明の内装材の施工方法は、導電性
繊維を含有する石膏ボードを下地として施工した後に、
該石膏ボードに対して導電性繊維を含有するロックウー
ルボードを積層することを特徴とする。
【0021】この内装材の施工方法によれば、石膏ボー
ドに対してロックウールボードを積層しているため、内
装材に入射した電波はロックウールボード内および石膏
ボード内を進行することにより減衰される。また、ロッ
クウールボードにおいて反射された反射波と石膏ボード
において反射された反射波とは、互いに干渉して打ち消
し合うことにより減衰される。このように、反射波同士
が干渉することで内装材の電波吸収性能の向上が図られ
る。また石膏ボードを下地として用い、その上にロック
ウールボードを施工することによって、内装材が施工さ
れる空間の意匠性の向上が図られる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施形態を説明する。なお、同一の要素には同一の符
号を附し、重複する説明を省略する。
【0023】図1は、第1実施形態にかかる電波吸収体
の構造を模式的に示す断面図である。図示の通り、本実
施形態の電波吸収体10はそれぞれ導電性繊維12を含
有する第1の層14および第2の層16を有している。
この第1の層14および第2の層16は無機質材により
構成されており、耐火性が向上されている。これら第1
の層14および第2の層16は接着剤等を用いて接合さ
れている。
【0024】ここで本明細書において「無機質材」と
は、非金属成分を主成分とする無機質材料を意味し、実
質的に金属単体、複数種の金属のみを含有する金属複合
材料、または合金類等の金属材料のみからなるものは含
まない。無機質材としては、例えば石膏、石灰、珪酸カ
ルシウム、各種セメント等の他、ロックウール、シラス
バルーン、グラスファイバー、グラスウール、パーライ
ト、水酸化アルミニウム、セビオライト、アタパルジャ
イトなどが挙げられる。
【0025】第1の層14および第2の層16を構成す
る無機質材は、同一のものであっても異なるものであっ
てもよいが、第1の層14をロックウールにより構成
し、第2の層16を石膏により構成すると好ましい。こ
のようにすれば、例えば石膏側の第2の層16を下地と
して裏面に用い、ロックウール側の第1の層14を表面
に用いることで、この電波吸収体が施工される室内空間
の意匠性の向上を図ることが可能となる。また、ロック
ウール側の第1の層14によって吸音性の向上を図るこ
とが可能となる。また第2の層16を構成する石膏は他
の無機質材と比べて軽量であるため、電波吸収体10の
施工に際して作業性の向上を図ることが可能となる。
【0026】ここで本実施形態の電波吸収体10では、
第1の層14の厚みは1〜30mmであり、第2の層1
6の厚みは1〜30mmであると好ましい。第1の層1
4の厚みが1mmよりも小さい場合は、導電性繊維12
の分散が悪くなって電波吸収性能の向上の効果があまり
得られなくなる傾向にある。また第1の層14の厚みが
30mmより大きい場合は、電波吸収体10の重量化に
つながって実用的でないばかりか、これ以上の電波吸収
性能の向上の効果が期待できない傾向にある。また第2
の層16の厚みが1mmよりも小さい場合は、導電性繊
維12の分散が悪くなって電波吸収性能の向上の効果が
あまり得られなくなる傾向にある。また第2の層16の
厚みが30mmより大きい場合は、電波吸収体10の重
量化につながって実用的でないばかりか、これ以上の電
波吸収性能の向上の効果が期待できない傾向にある。
【0027】第1の層14および第2の層16にそれぞ
れ含有される導電性繊維12としては、導電性を有する
繊維であれば特に限定されず、例えば炭素繊維、銅繊
維、アルミニウム繊維等が挙げられる。特に、軽量性の
観点からは導電性繊維12としては炭素繊維が好まし
い。炭素繊維としては、ピッチ系、PAN系のいずれを
用いてもよく、例えばコールタールピッチ、石油ピッ
チ、石炭液化物、ポリアクリロニトリル、セルロース等
を原料とした炭素繊維が挙げられる。
【0028】ここで、導電性繊維12の繊維長は0.1
〜30mm、特に2〜6mmであると好ましい。導電性
繊維12の繊維長が0.1mmより小さい場合は、導電
性繊維12が誘電体として働き電波の誘電損失を起こす
誘電損失効果が得られにくくなり、電波吸収性能の向上
の効果があまり得られなくなるからであり、また繊維長
が30mmより大きい場合は、導電性繊維12の分散が
悪くなって電波吸収性能の向上の効果があまり得られな
くなるからである。
【0029】なお、導電性繊維12の含有量は、導電性
繊維12として炭素繊維を用いた電波吸収体10では、
第1の層14には導電性繊維12が0.005〜0.3
g/l含まれており、また第2の層16には導電性繊維
12が0.1〜1.0g/l含まれていると好ましい。
このようにすれば、石膏板単独で電波吸収体を構成した
場合と比べて電波吸収性能の向上を図ることができる。
【0030】特に、第1の層14には導電性繊維12が
0.05〜0.1g/l含まれており、また第2の層1
6には導電性繊維12が0.2〜1.0g/l含まれて
いる場合は、電波吸収体10の電波吸収性能がより一層
向上され、例えばTVゴースト防止や船舶電波ゴースト
防止に必要な−14dB程度以上の電波吸収性能が得ら
れる。
【0031】かかる電波吸収体10は、別々に構成され
た第1の層14および第2の層16を工場などにおいて
接着剤等により接合して構成してもよいが、一般的には
別々に構成された第1の層14および第2の層16が施
工現場に別々に搬入され、下張りされた第2の層16の
上に第1の層14が積層されて本実施形態の電波吸収体
10が構成される。
【0032】次に、上記した本実施形態の電波吸収体の
作用効果について説明する。
【0033】本実施形態の電波吸収体10では、第1の
層14および第2の層16に含まれる導電性繊維12が
コンデンサのような機能を果たしており、電波吸収体1
0に入射した電波は第1の層14内および第2の層16
内を進行することにより電流に変換され、更に熱に変換
されて減衰される。また、第1の層14を透過して第2
の層16に到達した電波は、位相が遅れると共に各層の
インピーダンスの違いにより反射される。そして、第1
の層14において反射された反射波と第2の層16にお
いて反射された反射波とが互いに位相が異なる条件(各
層の誘電率と誘電損失、各層の厚み、電波の周波数の関
係で決まる)となったとき、互いに干渉して打ち消し合
って減衰される。このように、電波が第1の層14内お
よび第2の層16内を進行することにより減衰するだけ
でなく、第1の層14および第2の層16における反射
波同士の干渉によっても減衰するため、電波の反射量が
低減され、この干渉による減衰も含めて広い意味で電波
吸収体の電波吸収性能が向上される。よって、反射波に
よる通信障害を効果的に抑制することが可能となる。
【0034】特に、導電性繊維12の含有量を調整する
ことで、電波吸収性能のより一層の向上を図ることが可
能となる。
【0035】次期無線LANと言われている5GHz帯
や、さらに進んだ19GHz帯の無線LANでは、見通
し通信(送信側と受信側が見通せる、すなわち電波が一
直線に到達できる位置関係にある場合の通信形態で、送
信側と受信側との間に障害物があるため壁や天井などに
より電波を反射させて通信する形態の見通し外通信と異
なる)により通信が行われると言われている。したがっ
て、このように電波吸収性能に優れた電波吸収体10を
室内に施工することで、不要な反射波を除去することが
可能となり、通信速度の向上や通信の信頼性の向上を図
ることが可能となる。次期無線LANでは電波吸収性能
として−10〜−20dB程度の反射損失が要求される
が、本実施形態の電波吸収体10ではかかる電波吸収性
能を実現することも可能である。
【0036】また、TVゴースト防止や船舶電波ゴース
ト防止のためには、電波吸収性能として−10dB以
上、好ましくは−14dB〜−20dB程度の反射損失
が要求されるが、本実施形態の電波吸収体10ではかか
る電波吸収性能を実現することも可能である。
【0037】なお、本実施形態では第1の層14および
第2の層16が異なる無機質材により構成される場合に
ついて説明したが、第1の層14および第2の層16を
同一の無機質材、例えばロックウール同士により構成し
てもよい。このとき、第1の層14と第2の層16との
間で導電性繊維12の含有量を異ならせると好ましい。
かかる電波吸収体10は、別々に構成された第1の層1
4と第2の層16とを接着剤等により接合して構成して
もよいし、またロックウールの抄造の段階で導電性繊維
の含有量を異ならせるように第1の層14および第2の
層16を順次積層して構成してもよい。また、かかる電
波吸収体10を実際に施工する場合は、導電性繊維12
の含有量の低い側、すなわち電波の透過性の高い側を表
側にし、導電性繊維12の含有量の高い側、すなわち電
波の反射性の高い側を裏側として用いると好ましい。
【0038】また、本実施形態では第1の層14および
第2の層16の2層構造の電波吸収体10について説明
したが、電波吸収体は導電性繊維を含有するか否かを問
わず更に他の層を有していてもよい。
【0039】次に、本発明の電波吸収体の第2実施形態
について説明する。
【0040】本実施形態の電波吸収体10は、第1実施
形態の電波吸収体と同様に、図1に示すようにそれぞれ
導電性繊維12を含有する第1の層14および第2の層
16を有している。この第1の層14は無機質材により
構成されており、第2の層16は有機質材により構成さ
れている。このように、第2の層16を有機質材により
構成することで電波吸収体の軽量化10が図られ、施工
の際の作業性の向上を図ることが可能となる。
【0041】ここで第1の層14を構成する無機質材と
しては、上記した第1実施形態と同じものを使用するこ
とができる。
【0042】また、第2の層を構成する有機質材として
は、例えばエチレン樹脂、エステル樹脂、アクリル樹
脂、ウレタン樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、酢
酸ビニル樹脂、メラミン樹脂、エチレンビニルアクリル
樹脂、エポキシ樹脂、合成ゴム等およびそれらの樹脂の
発泡素材が挙げられる。
【0043】上述の通り、無機質材や有機質材としては
上記したものを用いることができるが、特に第1の層1
4はロックウールにより構成し、第2の層16は第1の
層14に導電性繊維12を含有する上記樹脂材を主成分
とする有機系塗料を塗布して構成すると好ましい。この
ようにすれば、有機系塗料側の第2の層16を下地とし
て裏面に用い、ロックウール側の第1の層14を表面に
用いることで、この電波吸収体10が施工される室内空
間の意匠性の向上が図られる。また、ロックウール側の
第1の層14によって吸音性の向上が図られる。また、
第1の層14に有機系塗料を塗布するだけで、第1の層
14の上に第2の層16を容易に形成することが可能と
なる。この有機系塗料としては酢酸ビニル系の塗料を好
適に用いることができ、具体的にはポリ酢酸ビニル、ポ
リビニルアルコール、ポリビニルアセタールなどを好適
に用いることができる。
【0044】ここで本実施形態の電波吸収体10では、
第1の層14の厚みは1〜30mmであり、第2の層1
6を構成する有機系塗料の塗布量は100〜3000g
/m 2であると好ましい。第1の層の厚みが1mmより
も小さい場合は、導電性繊維の分散が悪くなって電波吸
収性能の向上の効果があまり得られなくなる傾向にあ
る。また第1の層の厚みが30mmより大きい場合は、
電波吸収体の重量化につながって実用的でないばかり
か、これ以上の電波吸収性能の向上の効果が期待できな
い傾向にある。また第2の層を構成する有機系塗料の塗
布量が100g/m 2よりも小さい場合は、導電性繊維
の分散が悪くなって電波吸収性能の向上の効果があまり
得られなくなる傾向にある。また第2の層を構成する有
機系塗料の塗布量が3000g/m2よりも大きい場合
は、電波吸収体の重量化につながって実用的でないばか
りか、これ以上の電波吸収性能の向上の効果が期待でき
ない傾向にある。
【0045】第1の層14および第2の層16にそれぞ
れ含有される導電性繊維12としては、第1実施形態の
電波吸収体と同様に導電性を有する繊維であれば特に限
定されず、例えば炭素繊維、銅繊維、アルミニウム繊維
等が挙げられる。特に、軽量性の観点からは導電性繊維
12としては炭素繊維が好ましい。
【0046】ここで、導電性繊維12の繊維長は、第1
実施形態の電波吸収体と同様に0.1〜30mm、特に
第1の層14に含まれる導電性繊維12の繊維長が2〜
6mmであり、第2の層16に含まれる導電性繊維12
の繊維長が0.2〜2mmであると好ましい。導電性繊
維12の繊維長が0.1mmより小さい場合は、導電性
繊維12が誘電体として働き電波の誘電損失を起こす誘
電損失効果が得られにくくなり、電波吸収性能の向上の
効果があまり得られなくなるからであり、また繊維長が
30mmより大きい場合は、導電性繊維12の分散が悪
くなって電波吸収性能の向上の効果があまり得られなく
なるからである。
【0047】なお、導電性繊維12の含有量は、導電性
繊維12として炭素繊維を用いた電波吸収体10では、
第1の層14には導電性繊維12が0.2〜0.5g/
l含まれており、また第2の層16には導電性繊維12
が第2の層16の全量100重量%に対して10〜25
重量%含まれていると好ましい。このようにすれば、有
機系塗料単独で電波吸収体を構成した場合と比べて電波
吸収性能の向上を図ることができる。
【0048】特に、第1の層14には導電性繊維12が
0.25〜0.35g/l含まれており、また第2の層
16には導電性繊維12が第2の層16の全量100重
量%に対して18〜23重量%含まれている場合は、電
波吸収体の電波吸収性能がより一層向上され、例えばT
Vゴースト防止や船舶電波ゴースト防止に必要な−14
dB程度以上の電波吸収性能が得られる。
【0049】次に、上記した本実施形態の電波吸収体の
作用効果について説明する。
【0050】本実施形態の電波吸収体10では、第1の
層14および第2の層16に含まれる導電性繊維12が
コンデンサのような機能を果たしており、第1実施形態
の電波吸収体と同様に、電波吸収体10に入射した電波
は、第1の層14内および第2の層16内を進行するこ
とにより電流に変換され、更に熱に変換されて減衰され
る。また、第1の層14を透過して第2の層16に到達
した電波は、位相が遅れると共に各層のインピーダンス
の違いにより反射される。そして、第1の層14におい
て反射された反射波と第2の層16において反射された
反射波とが互いに位相が異なる条件(各層の誘電率と誘
電損失、各層の厚み、電波の周波数の関係で決まる)と
なったとき、互いに干渉して打ち消し合って減衰され
る。このように、電波が第1の層14内および第2の層
16内を進行することにより減衰するだけでなく、第1
の層14および第2の層16における反射波同士の干渉
によっても減衰するため、電波の反射量が低減され、こ
の干渉による減衰も含めて広い意味で電波吸収体10の
電波吸収性能が向上される。よって、反射波による通信
障害を効果的に抑制することが可能となる。
【0051】特に、上述の導電性繊維12の含有量を調
整することで、電波吸収性能のより一層の向上を図るこ
とが可能となる。
【0052】本実施形態の電波吸収体10は、例えば天
井板として利用する場合はTバー吊り工法などにより容
易に施工することができる。
【0053】なお、本実施形態では第1の層14および
第2の層16の2層構造の電波吸収体10について説明
したが、電波吸収体は導電性繊維を含有するか否かを問
わず更に他の層を有していてもよい。
【0054】次に、本発明の内装材の施工方法の一実施
形態について説明する。
【0055】本実施形態の内装材の施工方法は、導電性
繊維を含有する石膏ボードを下地として施工した後に、
該石膏ボードに対して導電性繊維を含有するロックウー
ルボードを積層することを特徴とする。
【0056】石膏ボードおよびロックウールボードが含
有する導電性繊維としては、導電性を有する繊維であれ
ば特に限定されず、例えば炭素繊維、銅繊維、アルミニ
ウム繊維等が挙げられる。特に、軽量性の観点からは導
電性繊維としては炭素繊維が好ましい。炭素繊維として
は、ピッチ系、PAN系のいずれを用いてもよく、例え
ばコールタールピッチ、石油ピッチ、石炭液化物、ポリ
アクリロニトリル、セルロース等を原料とした炭素繊維
が挙げられる。
【0057】さて、天井板の施工に本実施形態にかかる
内装材の施工方法を適用した場合の施工方法について説
明する。
【0058】まず、天井からボルトを吊り下げ、そのボ
ルトにCチャネルやMバーなどのスチール材を固定し、
井桁状に組み合わせて鉄骨下地をつくる。次に、鉄骨下
地に導電性繊維を含有する石膏ボードをビス止めして水
平な平面をつくる。そして、石膏ボードの下面に接着剤
とタッカーを併用して導電性繊維を含有するロックウー
ルボードを貼り詰めていく。
【0059】この内装材の施工方法によれば、ロックウ
ールボードおよび石膏ボードに含まれる導電性繊維がコ
ンデンサのような機能を果たすため、ロックウールボー
ドと石膏ボードとの積層体に入射した電波は、ロックウ
ールボード内および石膏ボード内を進行することにより
電流に変換され、更に熱に変換されて減衰される。ま
た、ロックウールボードを透過して石膏ボードに到達し
た電波は、位相が遅れると共に各ボードのインピーダン
スの違いにより反射される。そして、ロックウールボー
ドにおいて反射された反射波と石膏ボードにおいて反射
された反射波とが互いに位相が異なる条件(各層の誘電
率と誘電損失、各層の厚み、電波の周波数の関係で決ま
る)となったとき、互いに干渉して打ち消し合って減衰
される。このように、電波がロックウールボード内およ
び石膏ボード内を進行することにより減衰するだけでな
く、ロックウールボードおよび石膏ボードにおける反射
波同士の干渉によっても減衰するため、電波の反射量が
低減され、この干渉による減衰も含めて広い意味で電波
吸収性能が向上される。よって、反射波による通信障害
を効果的に抑制することが可能となる。また石膏ボード
を下地として施工した後にロックウールボードを積層し
ているため、ロックウールボード側が表面に現れて施工
空間の意匠性の向上が図られる。
【0060】以下、実施例、比較例により本発明の電波
吸収体を更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例
に限定されるものではない。
【0061】
【実施例】(使用材料)電波吸収体A :第1の層14をロックウールにより構成
し、第2の層16を石膏により構成した。そして、第1
の層14の厚みを12mmとし、第2の層16の厚みを
9mmとした。また、導電性繊維12としては繊維長が
6mmの炭素繊維を用いた。なお、電波吸収体Aは縦4
0cm×横40cmの板体とした。
【0062】電波吸収体B:電波吸収体Bは、第2の層
16の厚みを12mmとした以外は、電波吸収体Aと同
じ構成とした。
【0063】電波吸収体C:第1の層14をロックウー
ルにより構成し、第2の層16は第1の層14の片面の
全体に有機系塗料としてポリ酢酸ビニル(PVAc)を
塗布して構成した。そして、第1の層14の厚みを12
mmとし、第2の層16を構成するポリ酢酸ビニルの塗
布量は625g/m2とした。また、第1の層14に含
有される導電性繊維12としては繊維長が6mmの炭素
繊維を用い、一方第2の層16に含有される導電性繊維
12としては繊維長が0.7mmの炭素繊維を用いた。
なお、電波吸収体Cは縦40cm×横40cmの板体と
した。
【0064】(電波吸収性能測定方法) (1)反射損失 本実施例では、主として反射損失を指標として電波吸収
体の電波吸収性能を評価した。ここで反射損失とは、電
波を100%反射する金属板と比較して、試料からの反
射波がどの程度減衰したかを示すものである。
【0065】電波は電界と磁界とが互いに直交した波で
あり、電界と磁界の単位はそれぞれ[V/m]と[A/
m]である。伝送電力として捉えた場合の単位は[W]
である。反射損失には、電界から求めた反射損失と伝送
電力から求めた反射損失とがある。以下に、反射損失の
求め方を示す。
【0066】図2に示すように、送信アンテナ21から
放射された電波がある一定の距離(D1)だけ離れた位
置に置かれた金属板(試料)に入射角(θ1)で入射
し、反射角(θ2)で反射してある一定の距離(D2)
だけ離れた位置に置かれた受信アンテナ23に到達する
場合、図2(a)に示すように金属板25によって反射
されて受信アンテナ23に到達した電波の電界強度をE
0、エネルギーをP0、図2(b)に示すように試料2
7によって反射されて受信アンテナ23に到達した電波
の電界強度をE1、エネルギーをP1とすると、反射損
失Sは、 S[dB]=−10log(P0/P1) =−20log(E0/E1) から求められる。
【0067】逆に、エネルギーの減衰は、 P1/P0 = exp(S/10) から求められる。
【0068】ここで反射損失の測定に際し、電波は同心
球状に広がる性質があり、アンテナ間距離が短い場合は
電界強度の距離による変化が著しいため、送信アンテナ
21と試料27との距離(L)を離して測定することが
必要である(遠方界測定)。この距離(L)は、測定し
たい電波の波長(λ)とアンテナ方形開口寸法の長い方
の辺の長さ(D)によって、 L = 2D2/λ の式を用いて計算によって求めることができる。
【0069】電波の波長λは2.5GHzで12cmで
あり、EMCO社製ダプルリジットホーンアンテナ31
15のアンテナ方形開口寸法の長い方の辺の長さDは2
4.5cmであるため、遠方界とみなすことができる距
離Lは1.0mとなる。本実施例では、それより長い
1.2mをアンテナと試料との距離Lとした。
【0070】これにより、例えば金属板25によって反
射される電波のエネルギーP0が1[W]である条件
で、試料27からの反射波のエネルギーP1が0.3
[W]となった場合の反射損失Sは、 S=−10log(1/0.3)=−5.2[dB] となる。
【0071】また、−5[dB]の反射損失を持つ試料
27の場合、試料27からの反射波のエネルギーの減衰
は、 P1/P0 = exp(−5/10)=0.32 となって、金属板25からの反射波のエネルギーに対し
て32%に減衰することとなる。
【0072】なお、本実施例における反射損失測定条件
は、電波の周波数を2.45GHzとし、送信アンテナ
21と金属板25(試料27)との距離D1と、受信ア
ンテナ23と金属板25(試料27)との距離D2とを
共に1.2mとした。さらに、電波の入射角θ1と反射
角θ2とを共に20°とした。
【0073】(2)透過損失 本実施例では、上記した反射損失と共に透過損失を指標
として電波吸収体が実際の現場での施工に適しているか
否かを評価した。ここで透過損失とは、電波が試料を透
過する際に透過波がどの程度減衰したかを示すものであ
る。
【0074】図3に示すように、例えば実際のオフィス
環境における天井面に関する電波の反射モデルを考えた
場合、送信器31から天井板33に向けて放射された電
波は、天井板33で反射されて受信器37に戻ってくる
経路(ルートI)と、天井板33を透過してデッキプレ
ート35で反射(100%)され、さらに天井板33を
透過して受信器37に到達する経路(ルートII)との2
通りが考えられる。
【0075】ここで、そもそも天井板33による電波の
反射を低減しようとした場合、天井板33での反射量を
小さくするためには天井板33中に含有させる導電性繊
維の量を少なくする必要があるが、導電性繊維の含有量
を少なくすると天井板33による透過損失も小さくな
る。したがって、導電性繊維の含有量を少なくすると電
波の反射量は少なくなるが、逆に透過する電波の量が大
きくなってデッキプレート35で反射されて戻ってくる
ルートIIの方が電波の強度が大きくなってしまう。これ
では、天井板33による電波の反射を低減したことには
ならない。よって、ルートIIでの反射波の受信強度がル
ートIでの反射波の受信強度より大きくなる条件を求め
ておく必要がある。この条件は、天井板33の反射損失
と透過損失とを用いて、 (透過損失)×2 ≧ (反射損失) と表される(導出の詳細は省略する)。この条件を満た
す場合は、天井板33の透過性が大きすぎるため、かか
る電波吸収体は天井板33として実際の現場での施工に
適していないと判断することができる。このように、上
記した条件を基にして電波吸収体が実際の現場での施工
に適しているか否かを評価することが可能となる。
【0076】以下に、透過損失の求め方について示す。
【0077】透過損失については、垂直入射、斜入射の
2つの場合があるが、斜入射の場合は屈折現象も伴い複
雑になるので、本実施例では垂直入射の場合を想定し
た。
【0078】また、透過損失の測定方法には試料の表面
に送信アンテナを設置し、裏面に受信アンテナを設置し
た構造で測定する方法(アドバンテスト法による近傍界
測定)があるが、上記反射損失のところで述べたとおり
電波の強度変動が距離に対して安定する遠方界で測定す
るほうが望ましいため、送信アンテナと受信アンテナを
遠方界とみなせる距離だけ離した状態で測定した。遠方
界とみなせるアンテナ間距離は、上記反射損失のところ
で述べたとおり1.2mとした。
【0079】具体的な測定方法としては、まず図4
(a)に示すように、送信アンテナ41と受信アンテナ
43とを距離D3=1.2mだけ離した状態で向かい合
わせて電波を送信し、この際の受信アンテナ43に到達
した電波のエネルギーP0と、電界E0を測定する。次
に、図4(b)に示すように、受信アンテナ43の直前
に試料45を設置し、受信アンテナ43に到達した電波
のエネルギーP1と、電界E1を測定する。そして、透
過損失Tを、 T = −10log(P0/P1) の式から求める。
【0080】例えば、P0が0.2[W]でP1が0.
03[W]の場合、透過損失Tは、 T=−10log(0.2/0.03)=−8.23
[dB] となる。
【0081】[実施例1]実施例1では、電波吸収体A
について第1の層14を構成するロックウール内の炭素
繊維(CF)の量を0.005〜0.4g/lの間で変
化させると共に、第2の層16を構成する石膏内の炭素
繊維(CF)の量を0.1〜2g/lの間で変化させ、
その場合の電波吸収性能を測定した。
【0082】[実施例2]実施例2では、電波吸収体B
について第1の層14を構成するロックウール内の炭素
繊維(CF)の量を0.005〜0.4g/lの間で変
化させると共に、第2の層16を構成する石膏内の炭素
繊維(CF)の量を0.1〜1.5g/lの間で変化さ
せ、その場合の電波吸収性能を測定した。
【0083】[実施例3]実施例3では、電波吸収体C
について第1の層14を構成するロックウール内の炭素
繊維(CF)の量を0.005〜3g/lの間で変化さ
せると共に、第2の層16を構成するポリ酢酸ビニル1
00g内の炭素繊維(CF)の量を0.5〜30gの間
で変化させ、その場合の電波吸収性能を測定した。
【0084】[比較例1]比較例1では、実施例1の電
波吸収体Aに対する比較として、厚さ12mmのロック
ウール板について、ロックウール内の炭素繊維(CF)
の量を0.005〜0.4g/lの間で変化させた場合
のロックウール板単独での電波吸収性能を測定した。ま
た、厚さ9mmの石膏板について、石膏内の炭素繊維
(CF)の量を0.1〜2g/lの間で変化させた場合
の石膏板単独での電波吸収性能を測定した。
【0085】[比較例2]比較例2では、実施例2の電
波吸収体Bに対する比較として、厚さ12mmのロック
ウール板について、ロックウール内の炭素繊維(CF)
の量を0.005〜0.4g/lの間で変化させた場合
のロックウール板単独での電波吸収性能を測定した。ま
た、厚さ12mmの石膏板について、石膏内の炭素繊維
(CF)の量を0.1〜1.5g/lの間で変化させた
場合の石膏板単独での電波吸収性能を測定した。
【0086】[比較例3]比較例3では、実施例3の電
波吸収体Cに対する比較として、厚さ12mmのロック
ウール板について、ロックウール内の炭素繊維(CF)
の量を0.005〜0.4g/lの間で変化させた場合
のロックウール板単独での電波吸収性能を測定した。ま
た、導電性繊維を含有しない厚さ12mmのロックウー
ル板に塗布量625g/m2で塗布して構成したポリ酢
酸ビニルについて、ポリ酢酸ビニル100g内の炭素繊
維(CF)の量を0.5〜30gの間で変化させた場合
の電波吸収性能を測定した。
【0087】以上、実施例1および比較例1において得
られた結果を表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】表1に示すように、この電波吸収体Aでは
石膏板単独での反射損失より高い反射損失が得られてお
り、電波吸収性能が向上されている。特に、ロックウー
ル板(RW)内に含まれる炭素繊維(CF)が0.00
5〜0.3g/lであり、また石膏板内に含まれる炭素
繊維(CF)が0.1〜1.0g/lの場合は、−8d
B程度の高い電波吸収性能が得られる傾向にある。更
に、ロックウール板(RW)内に含まれる炭素繊維(C
F)が0.05〜0.1g/lであり、また石膏板内に
含まれる炭素繊維(CF)が0.2〜1.0g/lの場
合は、電波吸収体の電波吸収性能がより一層向上され、
例えばTVゴースト防止や船舶電波ゴースト防止に必要
な−14dB程度以上の電波吸収性能が得られる。
【0090】なお、表1に示す炭素繊維量の電波吸収体
では、全ての場合において上記した(透過損失)×2
≧(反射損失)の条件を満たしており、実際の現場での
施工に適していることが確認されている。
【0091】次に、実施例2および比較例2において得
られた結果を表2に示す。
【0092】
【表2】
【0093】表2に示すように、この電波吸収体Bでも
石膏板単独での反射損失より高い反射損失が得られてお
り、電波吸収性能が向上されている。特に、ロックウー
ル板(RW)内に含まれる炭素繊維(CF)が0.00
5〜0.3g/lであり、また石膏板内に含まれる炭素
繊維(CF)が0.1〜1.0g/lの場合は、−8d
B程度の高い電波吸収性能が得られる傾向にある。更
に、ロックウール板(RW)内に含まれる炭素繊維(C
F)が0.05〜0.1g/lであり、また石膏板内に
含まれる炭素繊維(CF)が0.1〜0.5g/lの場
合は、電波吸収体の電波吸収性能がより一層向上され、
例えばTVゴースト防止や船舶電波ゴースト防止に必要
な−14dB程度以上の電波吸収性能が得られる。
【0094】なお、表2に示す炭素繊維量の電波吸収体
では、全ての場合において上記した(透過損失)×2
≧(反射損失)の条件を満たしており、実際の現場での
施工に適していることが確認されている。
【0095】次に、実施例3および比較例3において得
られた結果を表3に示す。
【0096】
【表3】
【0097】表3に示すように、この電波吸収体Cでは
ポリ酢酸ビニル単独での反射損失より高い反射損失が得
られており、電波吸収性能が向上されている。特に、ロ
ックウール板(RW)内に含まれる炭素繊維(CF)が
0.2〜0.5g/lであり、またポリ酢酸ビニル10
0g内に含まれる炭素繊維(CF)量が10〜25gの
場合は−8dB程度の高い電波吸収性能が得られる傾向
にある。更に、ロックウール板(RW)内に含まれる炭
素繊維(CF)が0.25〜0.35g/lであり、ま
たポリ酢酸ビニル100g内に含まれる炭素繊維(C
F)量が18〜23gの場合は、電波吸収体の電波吸収
性能がより一層向上され、例えばTVゴースト防止や船
舶電波ゴースト防止に必要な−14dB程度以上の電波
吸収性能が得られる。
【0098】なお、表3においてCF濃度が少ない領域
で高い反射損失が得られているが、この領域はCF濃度
が極端に低いため電波が反射せず透過したためであり、
かかるCF濃度の電波吸収体では、透過性が大きすぎて
上記した(透過損失)×2≧(反射損失)の条件を満た
さないため、実際の施工に適していない。
【0099】
【発明の効果】本発明の電波吸収体によれば、それぞれ
導電性繊維を含有する少なくとも第1の層および第2の
層を有しているため、入射した電波は第1の層内および
第2の層内を進行することによって減衰されるだけでな
く、各層からの反射波同士が干渉することによっても減
衰される。したがって、電波の反射量が低減されて電波
吸収体の電波吸収性能の向上を図ることが可能となる。
【0100】また本発明の内装材の施工方法によれば、
導電性繊維を含有する石膏ボードに対して導電性繊維を
含有するロックウールボードを積層しているため、この
方法により施工された内装材に入射した電波はロックウ
ールボード内および石膏ボード内を進行することにより
減衰されるだけでなく、ロックウールボードにおいて反
射された反射波と石膏ボードにおいて反射された反射波
とが互いに干渉することによっても減衰される。したが
って、電波の反射量が低減されて内装材の電波吸収性能
の向上を図ることが可能となる。また石膏ボードを下地
として施工し、その上にロックウールボードを積層して
いるため、施工空間の意匠性の向上を図ることが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1および第2実施形態の電波吸収体の構造を
模式的に示す断面図である。
【図2】実施例における反射損失の測定方法を説明する
ための模式図である。
【図3】天井板における電波の反射の様子を示す模式図
である。
【図4】実施例における透過損失の測定方法を説明する
ための模式図である。
【符号の説明】
10…電波吸収体、12…導電性繊維、14…第1の
層、16…第2の層。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−120688(JP,A) 実開 平4−25114(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 E04B 1/92 H01Q 17/00 H05K 9/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれ導電性繊維として炭素繊維を含
    有する第1の層および第2の層を有する電波吸収体であ
    って、 前記第1の層はロックウールより構成され、前記第2の
    層は石膏により構成されており、 前記第1の層には前記導電性繊維が0.05〜0.1g
    /l含まれており、前記第2の層には前記導電性繊維が
    0.1〜1.0g/l含まれていることを特徴とする電
    波吸収体。
  2. 【請求項2】 それぞれ導電性繊維として炭素繊維を含
    有する第1の層および第2の層を有する電波吸収体であ
    って、 前記第1の層はロックウールより構成され、前記第2の
    層は該第1の層に導電性繊維として炭素繊維を含有する
    酢酸ビニル系塗料を塗布して構成されており、 前記第1の層には前記導電性繊維が0.25〜0.35
    g/l含まれており、前記第2の層には該導電性繊維が
    該第2の層の全量100重量%に対して18〜23重量
    %含まれていることを特徴とする電波吸収体。
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