JP3482236B2 - マルチプリズムアレイ及びマルチミラーアレイの製造方法 - Google Patents

マルチプリズムアレイ及びマルチミラーアレイの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マルチストライプアレ
イ半導体レーザ光の形状を変換するマルチプリズムアレ
イ及びマルチミラーアレイの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】比較的高出力が得られる半導体レーザ発
生素子として、マルチストライプアレイ半導体レーザが
知られている。これは10本〜100本のストライプ状
活性層が半導体チップに刻まれており、1次元上に破線
状に配列した10箇所〜100箇所の偏平な光源からレ
ーザ光が出射するようになっている。
【0003】多数の偏平な光源から発せられた各ストラ
イプ光のビーム放射角は、活性層に対する垂直成分は約
40度〜50度と大きく、水平成分は約10度と小さ
い。そして発光源の寸法は、垂直成分が0.1μm〜1
μmであり、水平成分が100μm〜200μmであ
る。このため、マルチストライプアレイ半導体レーザか
らの出射光をレンズを用いて集光して絞り込む場合、垂
直成分は容易に絞ることができるが、水平成分は光源の
全幅が広いために微小スポットに絞ることが困難であ
る。
【0004】このため、各光源に対して1対1でマイク
ロレンズを対応させて配列し、各々のストライプ光を集
光してコリメートした後にレンズで絞ることが考えられ
るが、絞り込んだビームスポット径は、マイクロレンズ
〜ビームスポット間距離とストライプ〜マイクロレンズ
間距離との比で決まる倍率をストライプの幅に掛けたス
ポット径となる。従って、マイクロレンズは、光源から
なるべく離して配置した方が良いが、ストライプ光の垂
直成分の放射角が大きいことを考えると、これは困難で
ある。
【0005】垂直成分と水平成分とを別々のレンズで集
光し、垂直成分集光用レンズは光源から至近距離に、水
平成分集光用レンズは光源から離間してそれぞれ配置す
ることも考えられるが、水平成分についても10度とい
う放射角があるため、ある一定以上の距離をおくと隣同
士のストライプ光が重なり合うので、その距離には限度
がある。
【0006】そこで、隣同士のストライプ光が互いに重
なり合わないようにするために、破線状に配列されたス
トライプ光を、各々見かけ上90度回転させて梯子状の
配列に変換するとその取扱いが容易になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、レーザ光学
系に用いられる光路変換器としては、レーザ光の進行方
向を変換するプリズムや、分光することが可能な分散プ
リズム等が知られているが、上記した偏平な光線の形状
を変換して90度の回転を与えるプリズムまたは同様な
働きを有するミラーを、マルチストライプアレイの多数
の光源に対応させて製造することはきわめて困難であ
り、その製造方法の開発が望まれていた。
【0008】本発明は、かかる状況に鑑みなされたもの
であり、その主な目的は、マルチストライプアレイ半導
体レーザから出射される発散角が大きい多数のビーム
を、通常のレンズ系を用いて一つのスポット状に絞り込
むことができるマルチプリズムアレイ及びマルチミラー
アレイの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的は、本発
明によれば、交線が互いに平行であり、かつ各面に直交
する面についての断面が正三角形をなす3つの全反射面
と、前記各全反射面のいずれかを下底面とし、該下底面
と平行であり、かつ残りの2面と前記正三角形断面の空
間に延在する上底面と、前記各面に対して所定の角度を
もって交差する互いに平行な入射面及び出射面とを有
し、前記入射面及び出射面に直交する方向から偏平な光
を入射して前記各全反射面で反射してその形状を変換す
る台形柱状の複数のマルチプリズムを、互いに隣接する
プリズム同士の前記下底面と前記上底面とが重なるよう
に重ね合わせてなるマルチプリズムアレイを製造するた
めの方法であって、基板上にレジストを前記入射面と前
記出射面との間の距離分だけ堆積させる過程と、前記レ
ジストを、前記光の光軸と直交する面についての前記孔
の断面形状に沿う開口を有するマスクで覆う過程と、前
記基板表面を前記入射面または出射面と平行な面とし
て、前記基板に対して所定の角度だけ傾く前記3つの全
反射面と平行な方向から前記レジストを露光し、更に現
像して前記形状の孔を形成する過程と、前記レジストを
型としてプリズムを形成する材料を前記形状の孔に堆積
させる過程とを有することを特徴とするマルチプリズム
アレイの製造方法及び交線が互いに平行であり、かつ各
面に直交する面についての断面が正三角形をなす3つの
反射面と、前記各反射面のいずれかを下底面とし、該下
底面と平行であり、かつ前記正三角形断面の空間に延在
する上底面とを有し、前記正三角形断面をなす各面の前
記下底面以外のいずれかの面に対して所定の角度をもっ
て偏平な光を入射して前記各反射面で反射してその形状
を変換する複数のマルチミラーを、互いに隣接するマル
チミラー同士の前記下底面と前記上底面とが重なるよう
に重ね合わせた形状の孔を有し、その内面が前記反射面
をなすようにミラーコーティングされたマルチミラーア
レイを製造するための方法であって、基板上にレジスト
を前記光の形状を変換するのに必要な距離分だけ堆積さ
せる過程と、前記レジストを、前記入射光の光軸と直交
する面についての前記孔の断面形状に沿う開口を有する
マスクで覆う過程と、前記基板表面を前記入射光の光軸
と直交する面と平行な面として、前記基板に対して所定
の角度だけ傾く前記3つの反射面と平行な方向から前記
レジストを露光し、更に現像して前記形状の孔を形成す
る過程と、前記孔に型材を堆積させて雄型を成形する過
程と、前記雄型の周りに前記マルチミラーアレイを形成
する材料を堆積させる過程と、前記マルチミラーアレイ
を形成する材料の孔の内面をミラーコーティングする過
程とを有することを特徴とするマルチミラーアレイの製
造方法を提供することによって達成される。
【0010】
【作用】本発明による製造方法によれば、全反射面また
は反射面に沿って、即ち基板に対して所定の角度で傾い
た方向から露光する以外は通常の半導体プロセスと同様
なプロセスでマルチプリズムアレイまたはマルチミラー
アレイを製造することができる。従って、プロセス管理
が容易であり、かつ1つ1つの要素の均一性も確保され
る。
【0011】
【実施例】以下に添付の図面に示された具体的な実施例
に基づいて本発明の構成について詳細の説明する。
【0012】図1は本発明に基づく方法により製造され
るマルチプリズムアレイのプリズム要素1を説明するた
めの斜視図である。このプリズム要素1は台形柱をな
し、半導体レーザ光の入射面となる台形の一側面2(A
i,Ai+1,Ei+1,Di)と該側面2に対向する出射面と
なる台形の側面3(Bi,Bi+1,Fi+1,Ci)とは、互
いに合同であり、かつ対応する4辺が互いに平行となっ
ている。また、これら側面2と側面3との互いに対応す
る頂点同士を結ぶことにより形成される互いに平行な一
対の対向面が下底面4(Ai+1,Bi+1,Fi+1,Ei+1)
及び上底面5(Ai,Bi,Ci,Di)をなし、互いに平
行でない一対の対向斜面を残りの側面6(Ci,Di,E
i+1,Fi+1)、側面7(Bi,Ai,Ai+1,Bi+1)をな
している。
【0013】ここで、下底面4、上底面5と側面2、3
とは互いに直交している。また、辺(Ai,Ai+1)と辺
(Di,Ei+1)とはその延長線上で互いに直交し、辺
(Bi,Bi+1)と辺(Ci,Fi+1)とはその延長線上で
互いに直交している。更に、辺(Ai+1,Bi+1)及び辺
(Fi+1,Ei+1)に直交する線(N,M)と側面6とは
60度の角度をなし、かつ線(N,M)と側面7とも6
0度の角度をなしている。即ち、下底面4と側面6と側
面7とを互いに交わるまで延長すると正三角柱をなすよ
うになっている。加えて、各底面4、5の各辺のなす角
は、角(Ai,Di,Ci)、角(Ai,Bi,Ci)、角
(Ai+1,Ei+1,Fi+1)、角(Ai+1,Bi+1,Fi+1)
は、角度θ=sin-11/√3(約35.26度)とな
っている。云うまでもなく角(Bi,Ci,Di)、角
(Di,Ai,Bi)、角(Bi+1,Fi+1,Ei+1)、角
(Ei+1,Ai+1,Bi+1)は上記角度を180度から減
じた角度となる。
【0014】上記したようなプリズム要素1では、マル
チストライプアレイ半導体からの偏平な光が、側面2に
対して該側面2と直交する方向から入射すると(P
Q)、図2に示すように、側面6(P'Q')、で全反射
し続いて下底面4(P''Q'')及び側面7(P'''
Q''')で全反射を繰り返し、入射光線の偏平の向きが
90度だけ回転した光(P''''Q'''')となって出射面
としての側面3から出射する。
【0015】上記したような複数のプリズム要素1を、
各プリズム要素1の側面2同士及び側面7同士を一致さ
せ、かつ辺(Ai,Ai+1)同士及び辺(Bi,Bi+1)同
士を一致させるように下底面4と上底面5とを互いに重
ね合わせて配列することにより、マルチストライプアレ
イ半導体の各素子にプリズム要素1を対応させたマルチ
プリズムアレイ10を図3に示す。ここで、各プリズム
要素1の辺(Ai,Ai+1)及び辺(Bi,Bi+1)の長さ
lとマルチストライプアレイ半導体レーザの活性層の配
列ピッチとが等しくなるように設定すると良い。
【0016】以下に、このマルチプリズムアレイ10の
製造手順について図4(a)〜図4(d)及び図5を参
照して説明する。本実施例ではシンクロトロン放射光を
用いたLIGAプロセスにより所望のレジストパターン
を得るようにしている。
【0017】まず、図4(a)に示すように、基板21
上にレジスト22を堆積させる。次に図4(b)に示す
ように、マルチプリズムアレイ10を各プリズム要素1
の側面2側から見たパターンのマスク23をレジスト2
2上にセットする。そして、図4(c)に示すように、
レジスト22の表面に対して所定の角度(θ=sin-1
1/√3)だけ傾いた方向から光を照射して露光し、図
4(d)に示すように現像することにより、図5に示す
ようなマルチプリズムアレイ10の形状をなす孔22a
が得られる。このレジスト22を型として孔22a内に
プリズムを形成する材料を堆積させることによりマルチ
プリズムアレイ10が得られる。
【0018】このようなマルチプリズムアレイ10は、
例えば図6に示すレーザ集光器に用いることができる。
このレーザ集光器は、マルチストライプアレイ半導体レ
ーザ11と、このマルチストライプアレイ半導体レーザ
11から出射された水平方向に偏平なビーム断面を有す
るレーザ光の垂直方向の広がりを収束させる円柱レンズ
12と、この円柱レンズ12から出射された偏平なレー
ザ光の形状を変換して90度の回転を与えるマルチプリ
ズムアレイ10と、このマルチプリズムアレイ10によ
って垂直方向に偏平な形状に変換されて出射されたレー
ザ光の垂直方向の広がりを収束させる半円柱形状の断面
を有するシリンドリカルレンズ13と、このシリンドリ
カルレンズ13から出射されたレーザ光を集光するフォ
ーカシングレンズ14と、導光用光ファイバ15とを備
えている。
【0019】図7は、本発明に基づく方法により製造さ
れ、図3のマルチプリズムアレイ10と同様な作用が得
られるマルチミラーアレイ31を示す斜視図である。こ
のマルチミラーアレイ31の各反射面は第1の実施例に
於ける側面2、3、下底面4、上底面5、斜面からなる
側面6及び側面7と同様な位置関係となっており、その
作用効果も同様であるので詳細な説明を省略する。
【0020】本実施例に於けるマルチミラーアレイ21
を製造するには、図4(a)〜図4(d)に示す手順と
同様な手順でようにレジスト22に孔22aを形成し、
この孔22a内に型材を堆積させ、レジスト22を除去
する。即ち、第1の実施例のマルチプリズムアレイ10
と同じ形状の雄型を作成する(図3と同じ形状であるの
でその図示を省略する)。そして、この雄型の周りにこ
のミラーアレイを形成する材料を堆積させ、更に内面を
ミラーコーティングすることによりマルチミラーアレイ
21が完成する。
【0021】尚、上記各実施例ではプリズムを重ね合わ
せたマルチプリズムアレイ及びミラー部材を重ね合わせ
たマルチミラーアレイに本発明を適用したが、プリズム
単体またはミラー単体をも上記同様の手順で製造できる
ことは云うまでもなく、このようにして製造されたプリ
ズム単体またはミラー単体をそのまま使用したり、これ
を重ね合わせて使用しても良い。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のマルチプ
リズムアレイ及びマルチミラーアレイの製造方法によれ
ば、基板上にレジストを堆積させ、所定の角度だけ傾く
方向から露光し、更に現像してこのレジストを型として
マルチプリズムアレイを成形したり、このレジストから
雄型を形成した後、この雄型によりマルチミラーアレイ
を成形することにより、通常の半導体プロセスと同様な
プロセスでマルチプリズムアレイまたはマルチミラーア
レイを製造することができ、プロセス管理が容易にな
る。また、各要素を同時に成形することから1つ1つの
要素の均一性も確保されるため、半導体レーザの活性層
ストライプを一次元的に配列したマルチストライプアレ
イ半導体レーザ光の形状を変換して90度の回転を与え
ることにより、通常のレンズ系を用いて複数ビームを高
効率に一つのスポット状に絞り込むことのできるマルチ
プリズムアレイ及びマルチミラーアレイを高精度に製造
する上に、多大な効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく方法で製造されたマルチプリズ
ムアレイのプリズム要素の斜視図。
【図2】プリズム要素の光路変換の様子を示す斜視図。
【図3】本発明に基づく方法で製造されたマルチプリズ
ムアレイの斜視図。
【図4】(a)部〜(d)部は本発明に基づく製造方法
の工程を示す断面図。
【図5】図4(d)のレジストを示す斜視図。
【図6】本発明に基づいて製造されたマルチプリズムア
レイを用いた集光器の構成を示す模式的側面図。
【図7】本発明に基づく方法により製造されたマルチミ
ラーアレイの斜視図。
【符号の説明】
1 プリズムアレイ 2、3 側面 4 下底面 5 上底面 6、7 斜面からなる側面 10 マルチプリズムアレイ 11 マルチストライプアレイ半導体レーザ 12 円柱レンズ 13 シリンドリカルレンズ 14 フォーカシングレンズ 15 光ファイバ 21 基板 22 レジスト 22a 孔 23 マスク 31 マルチミラーアレイ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−36605(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/04 G02B 27/09

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 交線が互いに平行であり、かつ各面に直
    交する面についての断面が正三角形をなす3つの全反射
    面と、前記各全反射面のいずれかを下底面とし、該下底
    面と平行であり、かつ残りの2面と前記正三角形断面の
    空間に延在する上底面と、前記各面に対して所定の角度
    をもって交差する互いに平行な入射面及び出射面とを有
    し、前記入射面及び出射面に直交する方向から偏平な光
    を入射して前記各全反射面で反射してその形状を変換す
    る台形柱状の複数のマルチプリズムを、互いに隣接する
    プリズム同士の前記下底面と前記上底面とが重なるよう
    に重ね合わせてなるマルチプリズムアレイを製造するた
    めの方法であって、 基板上にレジストを前記入射面と前記出射面との間の距
    離分だけ堆積させる過程と、 前記レジストを、前記光の光軸と直交する面についての
    前記孔の断面形状に沿う開口を有するマスクで覆う過程
    と、 前記基板表面を前記入射面または出射面と平行な面とし
    て、前記基板に対して所定の角度だけ傾く前記3つの全
    反射面と平行な方向から前記レジストを露光し、更に現
    像して前記形状の孔を形成する過程と、 前記レジストを型としてプリズムを形成する材料を前記
    形状の孔に堆積させる過程とを有することを特徴とする
    マルチプリズムアレイの製造方法。
  2. 【請求項2】 交線が互いに平行であり、かつ各面に直
    交する面についての断面が正三角形をなす3つの反射面
    と、前記各反射面のいずれかを下底面とし、該下底面と
    平行であり、かつ前記正三角形断面の空間に延在する上
    底面とを有し、前記正三角形断面をなす各面の前記下底
    面以外のいずれかの面に対して所定の角度をもって偏平
    な光を入射して前記各反射面で反射してその形状を変換
    する複数のマルチミラーを、互いに隣接するマルチミラ
    ー同士の前記下底面と前記上底面とが重なるように重ね
    合わせた形状の孔を有し、その内面が前記反射面をなす
    ようにミラーコーティングされたマルチミラーアレイを
    製造するための方法であって、 基板上にレジストを前記光の形状を変換するのに必要な
    距離分だけ堆積させる過程と、 前記レジストを、前記入射光の光軸と直交する面につい
    ての前記孔の断面形状に沿う開口を有するマスクで覆う
    過程と、 前記基板表面を前記入射光の光軸と直交する面と平行な
    面として、前記基板に対して所定の角度だけ傾く前記3
    つの反射面と平行な方向から前記レジストを露光し、更
    に現像して前記形状の孔を形成する過程と、 前記孔に型材を堆積させて雄型を成形する過程と、 前記雄型の周りに前記マルチミラーアレイを形成する材
    料を堆積させる過程と、 前記マルチミラーアレイを形成する材料の孔の内面をミ
    ラーコーティングする過程とを有することを特徴とする
    マルチミラーアレイの製造方法。
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JP2004273812A (ja) * 2003-03-10 2004-09-30 Matsushita Electric Ind Co Ltd レーザ装置
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