JP3478741B2 - 回転機のベアリング電流低減装置 - Google Patents

回転機のベアリング電流低減装置

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JP3478741B2 JP31739098A JP31739098A JP3478741B2 JP 3478741 B2 JP3478741 B2 JP 3478741B2 JP 31739098 A JP31739098 A JP 31739098A JP 31739098 A JP31739098 A JP 31739098A JP 3478741 B2 JP3478741 B2 JP 3478741B2
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康之 奥村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転機の軸受部に
流れるベアリング電流を低減する回転機のベアリング電
流低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、誘動機を始めとする回転機を回転
数制御する方法としてインバータ等の電力変換機によっ
て駆動するのが一般的となってきた。インバータ駆動の
方式として電圧形PWMインバータが最も良く知られて
いる。この種のインバータ駆動方式では、変調正弦波信
号の振幅に比例したパルス幅の一定キャリア周期を持つ
矩形波状の電圧パルス列を誘導機に印加して、誘導機の
固定子巻き線に流れる電流を変調正弦波信号の周波数に
等しい正弦波が流れるようにして誘導機を駆動する。
【0003】さて、最近の高速電力用半導体素子の発展
に伴って、電圧形PWMインバータのキャリア周波数の
高周波化が進み、インバータのスイッチング時に生じる
急峻な電圧変化に起因して発生する誘導機のベアリング
電流による軸受部の不具合が指摘されている。このベア
リング電流には、例えば、「PWMインバータによって
発生する誘導電動機のベアリング電流」(ショータン・
チェン、アイイーイーイー・トランザンクション・オン
・エナジーコンバージョン、11号1巻ナンバー1、1
996年3月) (Analysis of Induction Motor Beari
ng Currents Caused by PWM Inverters、IEEE Transact
ions on Energy Conversion.Vol.11,No.1,March
1996)に紹介されているように、振幅が最も大きく頻繁
に発生する放電モードのベアリング電流がある。この種
のベアリング電流は、インバータから誘導機の巻き線に
供給される立ち上がりの急峻なコモンモード電圧が、誘
導機の巻き線と固定子間の結合容量、巻き線と回転子間
の結合容量および固定子と回転子間のエアーギャップ容
量によって構成される閉じた回路系に印加されたときに
発生する応答電圧として、固定子と回転子間の静電容量
に蓄積された軸電圧の放電現象として発生するものであ
る。固定子と回転子間の静電容量に蓄積された軸電圧
が、軸受部の油膜を絶縁破壊させて軸受部を導通状態に
させ、軸受部を介して静電容量に蓄積された軸電圧を放
電させるとき流れる放電電流が放電モードのベアリング
電流である。
【0004】図7は従来のPWMインバータに駆動され
た誘導機の原理的回路図を示し、図8は従来のPWMイ
ンバータに駆動された誘導機の各部の波形を説明する説
明図である。図7、図8を併用して、PWMインバータ
が誘導機巻き線系にコモンモード電圧を供給するコモン
モード電圧の発生メカニズムを説明する。
【0005】図7において、インバータ101はスイッ
チング素子102〜107および直流電源108から成
り、インバータ101のR相、S相およびT相出力端子
109〜111は誘導機112の固定子巻き線113の
R相、S相およびT相タップ114〜116にそれぞれ
結線されている。誘導機112のフレームグランド端子
117は、インバータ101のフレームグランド端子1
18に接続され、さらに、フレームグランド端子118
は大地にアース接続されている。
【0006】図8の(a),(b),(c)はキャリア
波信号Vcと各相のインバータ指令値UR、US、UT
との比較により、インバータ101におけるON−OF
F制御信号の形成を説明するものである。図8におい
て、横軸を時間軸にとり、図8の(a),(b),
(c)の太線で図示された正弦波がインバータ101の
R,S,T各相のインバータ指令値(UR,US,U
T)を示す。同図上に三角波状の細線で示された波形が
キャリア波信号Vcである。キャリア波信号Vcがイン
バータ指令値UR,US,UTよりも低いときは、該当
するスイッチング素子102〜104側が導通し、スイ
ッチング素子105〜107側が非導通となる。逆に、
キャリア波信号Vcがインバータ指令値UR,US,U
Tよりも高いときは、該当するスイッチング素子102
〜104側が非導通となり、スイッチング素子105〜
107側が導通となる。
【0007】図8の(d),(e),(f)は図7に図
示されるスイッチング素子のアーム対(102,10
5),(103,106),(104,107)の中間
点と大地との間に形成される電圧VR,VS,VTを示
す。説明の簡略化のため図8の(a),(d)でR相に
おける関係について説明する。キャリア波電圧VCがイ
ンバータ指令値URより高いときは、スイッチング素子
105が導通しアーム対(102,105)と大地間の
電圧VRは零となる。尚、Edは直流電源108の両端
の電圧値である。次に、キャリア波電圧VCがインバー
タ指令値URより低いときは、スイッチング素子102
が導通しアーム対(102,105)と大地間の電圧V
Rは+Edとなる。
【0008】図8の(g)は巻き線113に印加される
コモンモード電圧の関係を示す。巻き線113の中性点
119の大地を基準とする電位、すなわち、中性点電位
VNOは、通常、上述の電圧VR,VS,VTの平均電
圧(数1)となる。
【0009】
【数1】
【0010】ゆえに、中性点電位VNOには、上述の電
圧VR,VS,VT三相分を重ね合わせたコモンモード
の電圧が発生している。すなわち、中性点電位VNOに
はPWMスイッチングパターン3相分を重ね合せた波形
が発生することになる。
【0011】図9は、従来のインバータ駆動された誘導
機のコモンモード等価回路図である。図に示すように、
誘導機112には、巻き線113と固定子120との間
に結合容量121が存在し、また、巻き線113と回転
子122との間にも結合容量123が存在している。さ
らに、固定子120と回転子122との間にはエアーギ
ャップ容量124が存在している。ここでは、誘導機が
適当な回転数で回転して軸受装置125が流体潤滑モー
ドとなっている場合について考える。この場合、軸受装
置125は非導通状態となるが、巻き線113、結合容
量121、結合容量123、および、エアーギャップ容
量124によって図示するような閉じた回路系126が
構成される。インバータ101から巻き線113と固定
子120との間にコモンモード電圧ei(t)が印加さ
れると、閉じた回路系126を介してエアーギャップ容
量124の両端に軸電圧vrs(t)が発生する。すな
わち、インバータ101が供給するコモンモード電圧e
i(t)に対する閉じた回路系126の応答電圧として
軸電圧vrs(t)が発生する。
【0012】図10は、従来のインバータ駆動された誘
導機の簡略化コモンモード等価回路図である。図に示す
ように、巻き線113は、抵抗127とインダクタンス
128の直列回路に置き換えられている。巻き線113
と固定子120との間の結合容量121は結合容量12
9,130に、巻き線113と回転子122との間の結
合容量123は結合容量131,132に簡略化されて
いる。固定子120と回転子122との間のエアーギャ
ップ容量124は、前述した巻き線113の抵抗127
とインダクタンス128と結合容量129〜132とで
閉じた回路系126を構成するように接続されている。
コモンモード電圧ei(t)が結合容量129の両端に
印加されると、閉じた回路系126を経てエアーギャッ
プ容量124の両端に軸電圧vrs(t)が発生する。
すなわち、インバータが供給するコモンモード電圧に対
する閉じた回路系126の応答電圧として軸電圧が発生
する。同図で図示するように、抵抗133、インダクタ
ンス134、およびスイッチ135は、軸受装置125
の等価回路を示すものである。誘導機112が停止また
は低速で回転しているとき、軸受装置125は境界潤滑
状態となりスイッチ135は常に導通状態となり、エア
ーギャップ容量124には軸電圧は発生しない。誘導機
112が適当な回転数で回転しているとき、軸受装置1
25は流体潤滑となりスイッチ135は普段は非導通状
態となるが、ときどき導通状態となる。ゆえに、軸受装
置125が流体潤滑となる場合では、軸受装置125が
非導通状態のとき、前述した理由からエアーギャップ容
量124に軸電圧が蓄積されるが、ときどき、軸受装置
125が導通状態となると、エアーギャップ容量124
に蓄積された軸電圧は、抵抗133、インダクタンス1
34およびスイッチ135を経て放電する。このとき、
抵抗133、インダクタンス134、およびエアーギャ
ップ容量124より成る直列共振回路が構成されるが、
エアーギャップ容量124に充電された軸電圧がこの直
列共振回路を経て流れる放電電流が放電モードのベアリ
ング電流となる。
【0013】図11は、コンピュータシミュレーション
を使って計算させた軸電圧の波形と、実際に測定した軸
電圧の波形を比較したタイムチャートである。
【0014】図11の(b)は、図10に示す簡略化コ
モンモード等価回路に適当な回路常数を設定し、図11
の(a)で示す振幅Ed/3の階段状波形をコモンモー
ド電圧とした場合において、コンピュータシミュレーシ
ョンを使って、エアーギャップ容量124の両端に応答
電圧として発生する軸電圧を計算させた波形を示す。図
11の(c)は、軸受装置125が常に非導通状態とな
る場合において、実際に測定した軸電圧の波形を示す。
図を見て明らかなように、コンピュータシミュレーショ
ンにより計算した軸電圧(b)は、実際に測定した軸電
圧(c)とほとんど同等であり、簡易化コモンモード等
価回路に基づきコンピュータシミュレーションを使って
計算した軸電圧波形が、実際の誘導機で測定される軸電
圧波形を良く再現していることがわかる。
【0015】図11の簡易型コモンモード等価回路にお
いて、コモンモード電圧ei(t)に対する、軸電圧v
rs(t)の応答を現す閉じた回路系126の伝達関数
をG(S)とすると、伝達関数G(S)は定義から以下
の(数2)で示す式となる。
【0016】
【数2】
【0017】ただし、Vrs(S),Ei(S)は、そ
れぞれ、vrs(t),ei(t)のラプラス変換式で
ある。
【0018】図10の簡易型コモンモード等価回路にお
いて、R1は抵抗127の抵抗、L1はインダクタンス
128のインダクタンス、C10は結合容量129の静
電容量、C11は結合容量130の静電容量、C20は
結合容量131の静電容量、C21は結合容量132の
静電容量、C3はエアーギャップ容量124の静電容量
とおいて回路方程式をたてた後、伝達関数G(S)につ
いて解くと、伝達関数G(S)は以下の(数3)で示す
式となる。
【0019】
【数3】
【0020】ここでζは減衰係数,ωnは角周波数,αは
係数,Aは係数で、それぞれ(数4),(数5),(数
6),(数7)で示す式のことである。
【0021】
【数4】
【0022】
【数5】
【0023】
【数6】
【0024】
【数7】
【0025】インバータより振幅Ed/3の階段状波形
が誘導機に印加された場合、すなわち、コモンンモード
電圧Ei(S)を(数8)としたとき
【0026】
【数8】
【0027】応答電圧として発生する軸電圧Vrs(S)
は(数3)および(数8)より(数9)となる。
【0028】
【数9】
【0029】(数9)の第1項は直流成分で、第2項は
2次遅れ要素だから、減衰係数ζの値が(数10)とな
るとき
【0030】
【数10】
【0031】軸電圧Vrs(S)は振動しつつ直流成分V
rs0に収束する。減衰係数ζの値が(数11)となる
とき
【0032】
【数11】
【0033】軸電圧Vrs(S)は非振動となり直流成分
Vrs0に収束する。ここで、直流成分Vrs0は(数
12)に示す式のことである。
【0034】
【数12】
【0035】ここで、(数12)に(数5)、(数
6)、(数7)を代入すると(数13)となる。
【0036】
【数13】
【0037】図12は、従来のインバータ駆動された誘
導機において、減衰係数ζの値の選び方によって変化す
る軸電圧の波形を説明した説明図である。
【0038】図12の(a)で示すような振幅Ed/3
の階段状波形がコモンモード電圧ei(At)として印
加された場合、閉じた回路系126の応答電圧として発
生する軸電圧Vrs(t)は、2次遅れ要素のインデシ
ャル応答としての挙動を示す。すなわち、減衰係数ζが
(数11)で示す範囲内にある場合、2次遅れ要素は過
制動または臨界制動となるから、図12の(b)で図示
するように、軸電圧Vrs(t)は非振動となり直流成
分Vrs0に収束する。次に、減衰係数ζが(数10)
で示す範囲内にある場合、2次遅れ要素は不足制動とな
るから、図12の(c)で図示するように、軸電圧Vr
s(t)は振動しつつ直流成分Vrs0に収束する。こ
の場合、減衰係数ζが1と比較して小さくなればなるほ
ど振動の程度も激しくなる。通常の誘導機では、減衰係
数ζは(数10)の範囲内となり、軸電圧は振動しつつ
直流成分Vrs0に収束する。
【0039】図13は、従来のインバータ駆動された誘
導機について、最も大きなベアリング電流が発生する瞬
間におけるコモンモード電圧、軸電圧およびベアリング
電流を説明した説明図である。
【0040】図13の(a)で示すような振幅Ed/3
の階段状波形がコモンモード電圧ei(t)として誘導
機に印加された場合、図12の(c)で説明したのと同
様に、軸電圧Vrs(t)は図13の(b)で図示する
ように、大きく振動しつつ直流成分Vrs0(測定結果
からVrs0=5V)に収束する。軸電圧Vrs(t)
が最大ピーク電圧Vrsmax(測定結果からVrsm
ax=42V)となる付近で軸受装置125が導通する
と、エアーギャップ容量124に充電された軸電圧は図
10の軸受装置125の抵抗133、インダクタンス1
34、およびスイッチ135を経て放電する。このとき
抵抗133、インダクタンス134およびエアーギャッ
プ容量124より成る直列共振回路が構成され、エアー
ギャップ容量に充電された軸電圧がこの直列共振回路を
経て放電するとき流れる電流がベアリング電流となる。
ベアリング電流ib(t)は、図13の(c)で図示し
たような減衰振動波となるが、ベアリング電流の最大ピ
ーク電流Ibmax(測定結果からIbmax=520
mA)は放電直前のエアーギャップ容量124に充電さ
れた軸電圧に比例する。すなわち、放電直前にエアーギ
ャップ容量124に充電される軸電圧が大きいほど大き
なベアリング電流が得られる。ゆえに、軸電圧Vrs
(t)が最大ピーク電圧Vrsmaxとなる付近で軸受
装置125が導通すると、放電直前でエアーギャップ容
量に蓄積される軸電圧も最大となるので、このとき最も
大きなベアリング電流が発生する。
【0041】以上で述べたように、PWMインバータに
駆動された通常の誘導機では、軸電圧が大きく振動し、
軸電圧が最大ピーク電圧Vrsmaxとなる付近で軸受
装置が導通すると軸電圧の放電現象として発生するベア
リング電流は最も大きな振幅となり、軸受の摩耗、回転
軸の損傷、潤滑油の風化を招き、場合によっては軸受を
損傷または破壊することがある。従って、このような障
害が発生しないように、回転機にベアリング電流低減装
置が用いられている。通常、このベアリング電流低減装
置としては、軸受部を絶縁する方法と回転軸を接地する
方法があるが、軸受部を絶縁する方法は、構造が複雑に
なり、組立工程に細心の注意を要し、工数が多くかか
り、かつ回転機によっては機械的構造上軸受部の絶縁が
できないものもあるので、通常は軸受部を絶縁するより
は簡単で、実施し易い回転軸を接地する方法が用いられ
ている。
【0042】従来、この種のベアリング電流を低減する
ベアリング電流低減装置は、特開昭58−78770号
公報、特開昭54−8801号公報、実開昭63−12
4057号公報、および実開昭58―78769号公報
に記載されたものが知られている。
【0043】以下、その従来のベアリング電流低減装置
について図14を参照しながら説明する。図に示すよう
に、従来の回転軸を接地する方式の軸電流低減装置13
6はアースブラシホルダ137、アースブラシホルダ支
え138およびアースブラシ組立体139から構成され
ている。アースブラシホルダ支え138は、導電材料の
板材を略L字状に曲げて作られ、その略L字状の垂直辺
の端部は、ベアリングブラケット140とベアリングブ
ラケット140に接合されたシールド玉軸受141より
成る軸受装置125のベアリングブラケット140の部
分にボルト142を介して取り付けられ、略L字状の水
平辺には後述するアースブラシホルダ137が取付けら
れている。ベアリングブラケット140は誘導機112
のフレーム143にボルト144を介して取付けられて
いる。アースブラシホルダ137はホルダシャンク14
5およびキャップ146より成り、ホルダシャンク14
5はアースブラシホルダ支え138の水平辺にねじまた
は半田付け等で固定され、その内側には後述するアース
ブラシ組立体139の取付け穴147が設けられてい
る。アースブラシ組立体139はアースブラシ148、
ばね149、ピグテール150およびピグテール支え1
51より成っている。従って、アースブラシホルダ13
7のホルダシャンク145の取付け穴147にアースブ
ラシ組立体139を挿入し、ホルダシャンク145にキ
ャップ146を取付ければ、アースブラシ148は、ば
ね149を介して回転軸152に押し付けられて接触
し、回転子軸152は、常にアースブラシ148、ピグ
テール150、ピグテール支え151、キャップ14
6、ホルダシャンク145、アースブラシホルダ支え1
38、ベアリングブラケット140およびフレーム14
3を介して接地される。
【0044】
【発明が解決しようとする課題】以上で述べたように、
従来のPWMインバータに駆動された誘導機では、イン
バータ101より誘導機112の巻き線113にR相、
S相およびT相のPWMスイッチングパターン三相分を
重ね合わせたコモンモード電圧が供給される。さらに、
巻き線113と固定子120との間の結合容量121、
巻き線113と回転子122との間の結合容量123、
および、固定子120と回転子122との間のエアーギ
ャップ容量によって閉じた回路系126が構成され、閉
じた回路系126の結合容量129に印加されるコモン
モード電圧に対する応答電圧として、エアーギャップ容
量124の両端に軸電圧が発生する。従来の誘導機で
は、閉じた回路系126のコモンモード電圧に対する軸
電圧の応答を現す伝達関数G(S)は2次遅れ要素を含
むが、実在する誘導機では、減衰係数ζが1に比較して
かなり小さな値となるため、インバータ101から立ち
上がりの急峻な階段状波形が印加されたとき、2次遅れ
要素は不足制動となるため軸電圧は激しく振動し、軸電
圧の最大ピーク電圧Vrsmaxが大きくなる。軸電圧
が最大ピーク電圧Vrsmaxとなる付近で軸受装置が
導通すると、軸電圧の放電現象として発生するベアリン
グ電流も大きくなり、軸受の摩耗、回転軸の損傷、潤滑
油の風化を招き、場合によっては軸受装置を損傷または
破壊するという問題があった。
【0045】また、このような問題を解決するための従
来のベアリング電流低減装置では、アースブラシ148
は、ばね149により回転子軸152に押し付けられて
いるので、回転子軸152の表面を摩耗、損傷させない
ように、カーボンを主成分とした非常に軟質の導電材料
で作られているため摩耗が早く、早いものは2〜3箇月
で、長くても6〜7箇月でアースブラシを交換しなけれ
ばならないという欠点があった。
【0046】以上述べたように、従来のPWMインバー
タにより駆動された誘導機では、軸電圧が激しく振動す
るので、軸電圧の放電電流として発生するベアリング電
流も大きくなってしまうという課題があり、ベアリング
電流を低減または消滅させて軸受部の摩耗、回転軸の損
傷、潤滑油の風化、軸受装置の損傷または破壊を防止す
ることが要求されている。
【0047】また、従来のベアリング電流低減装置で
は、ブラシの摩耗による保守を数箇月毎に行う必要があ
るという課題があり、長時間使用しても保守する必要な
くベアリング電流を低減できる低減方法が要求されてい
る。
【0048】本発明は、このような従来の課題を解決す
るものであり、ベアリング電流を低減させて軸受部の摩
耗、回転軸の損傷、潤滑油の風化、軸受装置の損傷また
は破壊を防止することができ、かつ、長時間使用しても
保守する必要なくベアリング電流を低減することができ
る回転機のベアリング電流低減装置を提供することを目
的としている。
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【課題を解決するための手段】 本発明の回転機のベアリ
ング電流低減装置は上記目的を達成するために、 回転機
のベアリング電流を低減するものにおいて、回転子軸に
対して垂直方向に回転子軸に取り付けられ回転子軸と同
じ大きさの円板部分を切り取った1枚以上の回転円環
と、内輪部を回転子軸に取付けた1個以上の軸受装置
と、回転子軸に対して垂直方向に前記軸受装置の外輪部
に取り付けられ前記軸受装置の外輪部と同じ大きさの円
板部分を切り取った前記軸受と同数の固定円環とを備
え、前記固定円環は隣接する固定円環間を導線を介して
接続し、固定円環の1つは導線を介して回転機フレーム
に固定し、前記回転円環と前記固定円環は、静電容量を
生ずるように非接触となる位置に交互に配置したことを
特徴とする回転機のベアリング電流低減装置としたもの
である。
【0054】本発明によれば、ベアリング電流を低減さ
せて軸受部の摩耗、回転軸の損傷、潤滑油の風化、軸受
装置の損傷または破壊を防止することができ、また、長
時間使用しても保守する必要なくベアリング電流を低減
することができる回転機のベアリング電流低減装置が得
られる。
【0055】また他の手段は、回転機のベアリング電流
を低減するものにおいて、回転子軸に対して垂直方向に
回転子軸に取り付けられ回転子軸と同じ大きさの円板部
分を切り取った回転支持円環と、回転子軸に対して同心
円状に前記回転支持円環に取り付けた半径の異なる1個
以上の回転円筒と、回転子軸に対して垂直方向に回転機
フレームに取り付けられ回転子軸の半径よりも大きな半
径を持つ円板部分を切り取った固定支持円環と、回転子
軸に対して同心円状に前記固定支持円環に取り付けた半
径の異なる1個以上の固定円筒を備え、前記固定円筒と
前記回転円筒間は、静電容量を生ずるように非接触とな
る位置に交互に配置したことを特徴とする回転機のベア
リング電流低減装置としたものである。
【0056】本発明によれば、ベアリング電流を低減さ
せて軸受部の摩耗、回転軸の損傷、潤滑油の風化、軸受
装置の損傷または破壊を防止することができ、また、長
時間使用しても保守する必要なくベアリング電流を低減
することができる回転機のベアリング電流低減装置が得
られる。
【0057】
【発明の実施の形態】本発明は、回転子軸に固定した回
転円環をフレームに固定した固定円環と非接触で接近し
た位置に配置させることにより、回転円環と固定円環と
の間で静電容量を形成させるか、または、回転子軸に固
定した回転円環をフレームに固定した固定中空円柱と非
接触で接近した位置に配置させることにより、回転円環
と固定中空円柱との間で静電容量を形成させるか、また
は、回転子軸に固定した回転円環を軸受装置を介して回
転子軸に取り付け導線を介してフレームに接続固定した
固定円環と非接触で接近した位置に配置させることによ
り、回転円環と固定円環との間で静電容量を形成させる
か、または、回転子軸に固定した回転円筒をフレームに
固定した固定円筒と非接触で接近した位置に配置させる
ことにより、回転円筒と固定円筒との間で静電容量を形
成させるようにしたものであって、これによって、誘導
機の巻き線と固定子との間の結合容量、巻き線と回転子
との間の結合容量および固定子と回転子との間のエアー
ギャップ容量によって構成される閉じた回路系のコモン
モード電圧に対する軸電圧の応答は、2次遅れ要素を有
する伝達関数として表現されるが、伝達関数の減衰係数
ζを1に比較して十分大きな値にとなるように、固定子
と回転子との間のエアーギャップ容量を十分大きな値に
設定すれば、閉じた回路系の伝達関数の2次遅れ要素を
過制動で動作させることができ、軸電圧を振動させずに
単調に増加させつつ直流成分に収束させることが可能と
なる。さらに、固定子と回転子との間のエアーギャップ
容量を十分大きな値とすることにより、軸電圧の収束値
となる直流成分も減少するので、放電直前の軸電圧を小
さく抑えることになり、軸電圧の放電現象として発生す
るベアリング電流を低減することができるという作用を
有する。
【0058】また、回転円板と固定円環、回転円板と固
定中空円柱、または、回転円筒と固定円筒とを非接触で
配置するようにしたものであり、従来のベアリング電流
低減装置のように軟質の導電材料で作られたアースブラ
シが回転軸に押し付けられて摩耗するような個所がない
ため、長時間使用しても保守する必要がないという作用
を有する。
【0059】以下、本発明の実施例について図面を参照
しつつ詳細に説明する。 (実施例1)図1に示すように、内径r2の円板部分を
切り取った外径r1の回転円環1(2)は、誘導機11
2の半径r2の回転子軸152に対して垂直方向に回転
子軸152に取付けられ、回転子軸152の半径r2よ
りも大きな内径r3の円板部分を切り取った外径r4の
固定円環3(4)は、回転子軸152に対して垂直方向
に回転円板1(2)から距離dの間隔を隔てて誘導機1
12の内径がr4のフレーム143の内壁に取付けられ
ている。回転円環1,2、固定円環3,4は、それぞ
れ、隣接する固定円環、回転円環との間で静電容量を生
ずるように非接触となるように間隔dを隔てて交互に配
置されている。回転子軸152の軸受装置125は、ベ
アリングブラケット140とこれに接合されたシールド
玉軸受141より成り、ベアリングブラケット140は
ボルト144を介してフレーム143に取り付けられて
いる。
【0060】回転円環1と固定円環3の重なり合う部分
の面積S1(m2)は(数14)で示す面積となる。
【0061】
【数14】
【0062】回転円環1と固定円環3との間の静電容量
をC1とおくと、C1は(数15)に示す値となる。
【0063】
【数15】
【0064】ここで、ε0は真空中の誘電率である。同
様に、固定円環3と回転円環2との間の静電容量、回転
円環2と固定円環4との間の静電容量はC1に等しくな
るので、全ての回転円環と固定円環との間で形成される
合成静電容量Czは(数16)で示す静電容量となる。
【0065】
【数16】
【0066】以上の(数14)、(数15)、(数1
6)から全ての回転円環と固定円環との間で形成される
合成静電容量Czは(数17)で示す静電容量となる。
【0067】
【数17】
【0068】実施例1の回転子と固定子との間のエアー
ギャップ容量C3’は、全ての回転円環と固定円環との
間で形成される合成静電容量Czと、誘導機112の固
定子120と回転子122との間のみで形成されるエア
ーギャップ容量C3とを合成した静電容量となる。ゆえ
に、実施例1のエアーギャップ容量C3’は(数18)
で示す静電容量となる。
【0069】
【数18】
【0070】実施例1のエアーギャップ容量を(数1
8)で示すC3’に設定した場合において、軸電圧が非
振動となるための条件は、従来例で述べたように(数
4)および(数11)より(数19)となる。
【0071】
【数19】
【0072】(数19)をC3’について解くと(数2
0)となる。
【0073】
【数20】
【0074】回転円環の外径r1,固定円環の内径r
3、回転円環と固定円環の間隔d、または、回転円環と
固定円環の段数を適当に選んで、全ての回転円環と固定
円環との間で形成される合成静電容量Czを十分大きな
静電容量に設定して、エアーギャップ容量C3’が(数
20)を満足できるようにすれば、減衰係数ζは1以上
となり、閉じた回路系126の伝達関数の2次遅れ要素
は過制動となり、軸電圧は振動せずに単調に増加しつつ
直流成分Vrs0に収束する。
【0075】さらに、エアーギャップ容量C3’を十分
大きな値に設定すると、(数13)で明らかなように、
軸電圧の収束値である直流成分Vrs0が小さく抑えら
れるので、放電直前の軸電圧は常に小さく抑圧され、軸
電圧の放電現象として発生するベアリング電流も小さく
抑えることができる。
【0076】図2は実施例1のベアリング電流低減装置
を備えたインバータ駆動の誘導機におけるコモンモード
電圧、軸電圧およびベアリング電流を図示したタイムチ
ャートである。図2では、全ての回転円環と固定円環と
の間で形成される合成静電容量をCz=480pFに設
定した場合について説明している。
【0077】図2の(a)で示すような階段状波形がコ
モンモード電圧として誘導機に印加されると、実施例1
では、軸電圧が非振動となる条件である(数20)を満
足する十分大きなエアーギャップ容量C3’が設定され
ているので、軸電圧は、図2の(b)で示すような非振
動で直流成分Vrs0に収束するような波形が得られ
る。エアーギャップ容量C3’が十分大きいと、従来例
で述べた(数13)で明らかなように、軸電圧の収束値
である直流成分Vrs0は小さく抑えられる。軸電圧
が、このような低レベルの直流成分Vrs0(測定結果
からVrs0=5V)で落ち着いている時、軸受がたま
たま導通すると、図2の(c)に示すようなベアリング
電流が流れるが、放電直前の軸電圧が小さいので振幅の
小さなベアリング電流(測定結果からベアリング電流の
最大波高値はIbmax=60mA)しか流れない。
【0078】図3は、ベアリング電流低減装置を備えた
インバータ駆動の誘導機における合成静電容量Czとベ
アリング電流の最大波高値Ibmaxとの関係を図示し
たグラフである。図3のグラフは、実施例1のベアリン
グ電流低減装置を備えた誘導機において、全ての回転円
環と固定円環との間で形成される合成静電容量を適当な
Czに設定したとき、軸受に流れるベアリング電流を観
測し、ベアリング電流の最大波高値Ibmaxを測定し
て、これらの関係を図示したものである。図3から明ら
かなように、ベアリング電流低減装置が無い場合、最大
波高値が530mA程度のベアリング電流が発生する
が、回転円環と固定円環との間で形成される合成静電容
量をCz=480pFに設定したベアリング電流低減装
置を備えた誘導機において、ベアリング電流の最大波高
値はその約十分の一程度に抑圧されており(Ibmax
=60mA)効果的にベアリング電流が低減されている
ことがわかる。
【0079】(実施例2)図4に示すように、内径r2
の円板部分を切り取った外径r1の回転円環1(2)
は、誘導機112の半径r2の回転子軸152に対して
垂直方向に回転子軸152に取付けられ、回転子軸15
2の半径r2よりも大きな内径r3の円柱部分を取り去
った外径r4の固定中空円柱5(6)は、回転子軸15
2に対して同心円状に回転円環1(2)から距離dの間
隔を隔てて誘導機112の内径がr4のフレーム143
の内壁に取付けられている。回転円環1,2、固定中空
円柱5,6は、それぞれ、隣接する固定中空円柱、回転
円環との間で静電容量を生ずるように非接触となるよう
に間隔dを隔てて交互に配置されている。回転子軸15
2の軸受装置125は、ベアリングブラケット140と
これに接合されたシールド玉軸受141より成り、ベア
リングブラケット140はボルト144を介してフレー
ム143に取り付けられている。
【0080】回転円環1と固定中空円柱5の重なり合う
部分の面積S2(m2)は(数21)で示す面積とな
る。
【0081】
【数21】
【0082】回転円環1と固定中空円柱5との間の静電
容量をC2とおくと、C2は(数22)に示す値とな
る。
【0083】
【数22】
【0084】ここで、ε0は真空中の誘電率である。同
様に、固定中空円柱5と回転円環2との間の静電容量、
回転円環2と固定中空円柱6との間の静電容量はC2に
等しくなるので、全ての回転円環と固定中空円柱との間
で形成される合成静電容量Czは(数23)で示す静電
容量となる。
【0085】
【数23】
【0086】以上の(数21)、(数22)、(数2
3)から全ての回転円環と固定円環との間で形成される
合成静電容量Czは(数24)で示す静電容量となる。
【0087】
【数24】
【0088】実施例2において、回転円環の外径r1,
固定中空円柱の内径r3,回転円環と固定中空円柱との
間隔d、または、回転円環と固定中空円柱の段数を適当
に設定して、全ての回転円環と固定中空円柱との間で形
成される合成静電容量Czを十分大きな静電容量に設定
して、固定子と回転子との間のエアーギャップ容量C
3’を(数20)を満足する範囲に設定すれば、実施例
1と同様の理由により、ベアリング電流を低減すること
ができる。以降、ベアリング電流を低減できる説明は実
施例1と同様の説明となるので省略する。
【0089】(実施例3)図5に示すように、内径r2
の円板部分を切り取った外径r1の回転円環1(2)
は、誘導機112の半径r2の回転子軸152に対して
垂直方向に回転子軸152に取付けられ、軸受装置7
(11)の内輪部8(12)は、半径r2の回転子軸1
52に取付けられ、半径r3の円板部分を切り取った半
径r4の固定円環9(13)は、回転子軸152に対し
て垂直方向に回転円環1(2)と距離dの間隔を隔てた
位置に軸受装置7(11)の外周面の半径がr3の外輪
部10(14)の外周面に取付けられている。回転円環
1,2、固定円環9,13は、それぞれ、隣接する固定
円環、回転円環との間で静電容量を生ずるように非接触
となるように間隔dを隔てて交互に配置されている。固
定円環9と固定円環13は導線15を介して接続され、
固定円環13は導線16を介して誘導機112のフレー
ム143の内壁に接続固定されている。回転子軸152
の軸受装置125は、ベアリングブラケット140とこ
れに接合されたシールド玉軸受141より成り、ベアリ
ングブラケット140はボルト144を介してフレーム
143に取り付けられている。
【0090】回転円環1と固定円環9の重なり合う部分
の面積S3(m2)は(数25)で示す面積となる。
【0091】
【数25】
【0092】回転円環1と固定円環9との間の静電容量
をC3とおくと、C3は(数26)に示す値となる。
【0093】
【数26】
【0094】ここで、ε0は真空中の誘電率である。同
様に、固定円環9と回転円環2との間の静電容量、回転
円環2と固定円環13との間の静電容量はC3に等しく
なるので、全ての回転円環と固定円環との間で形成され
る合成静電容量Czは(数27)で示す静電容量とな
る。
【0095】
【数27】
【0096】以上の(数25)、(数26)、(数2
7)から全ての回転円環と固定円環との間で形成される
合成静電容量Czは(数28)で示す静電容量となる。
【0097】
【数28】
【0098】実施例3において、回転円環の外径r1,
固定円環の内径r3,回転円環と固定円環との間隔d、
または、回転円環と固定中空円柱の段数を適当に設定し
て、全ての回転円環と固定中空円柱との間で形成される
合成静電容量Czを十分大きな静電容量に設定して、固
定子と回転子との間のエアーギャップ容量C3’を(数
20)を満足する範囲に設定すれば、実施例1と同様の
理由により、ベアリング電流を低減することができる。
以降、ベアリング電流を低減できる説明は実施例1と同
様の説明となるので省略する。
【0099】(実施例4)図6に示すように、半径r1
の円板部分を切り取った半径r1の回転支持円環17
は、誘導機112の回転子軸152に対して垂直方向に
回転子軸152に取付けられ、半径r2の外壁,半径r
3の内壁を持つ回転円筒18、および、半径r4の外
壁,半径r5の内壁を持つ回転円筒19は、回転子軸1
52に対して同心円状に回転支持円環17に取付けられ
ている。同様に、半径r6の円板部分を切り取った半径
r7の固定支持円環20は、誘導機112の回転子軸1
52に対して垂直方向にフレーム143の内壁に取付け
られ、半径r8の外壁および半径r9の内壁を持つ固定
円筒21、および、半径r10の外壁および半径r6の
内壁を持つ回転円筒22は、回転子軸152に対して同
心円状に固定支持円環20に取付けられている。回転円
環18,19、固定円筒21,22は、それぞれ、隣接
する固定円環、回転円筒との間で静電容量を形成するよ
うに非接触となる位置に交互に配置されている。回転子
軸152の軸受装置125は、ベアリングブラケット1
40とこれに接合されたシールド玉軸受141より成
り、ベアリングブラケット140はボルト144を介し
てフレーム143に取り付けられている。
【0100】回転円筒18(19)と固定円筒21(2
2)の軸方向に重なり合う部分の長さをLとすると、回
転円筒18と固定円筒21との間で形成される静電容量
C41は(数29)となる。
【0101】
【数29】
【0102】固定円筒21と回転円筒19との間で形成
される静電容量C42は(数30)となる。
【0103】
【数30】
【0104】回転円筒19と固定円筒22との間で形成
される静電容量C43は(数31)となる。
【0105】
【数31】
【0106】全ての回転円筒と固定円筒との間で形成さ
れる合成静電容量Czは(数32)で示す静電容量とな
る。
【0107】
【数32】
【0108】全ての回転円筒と固定円筒との間で形成さ
れる合成静電容量Czは(数29),(数30),(数
31),(数32)より(数33)で示す静電容量とな
る。
【0109】
【数33】
【0110】実施例4において、回転円筒と固定円筒の
内壁の半径r3,r9,r5、外壁の半径r8,r4,
r10、回転円筒18,19と固定円筒21,22の軸
方向に重なり合う部分の長さL、または、回転円筒と固
定円筒の段数を適当に選んで、全ての回転円筒と固定円
筒との間で形成される合成静電容量Czを十分大きな静
電容量に設定して、固定子と回転子との間のエアーギャ
ップ容量C3’を(数20)を満足する範囲に設定すれ
ば、実施例1と同様の理由により、ベアリング電流を低
減することができる。以降、ベアリング電流を低減でき
る説明は実施例1と同様の説明となるので省略する。
【0111】
【発明の効果】以上の実施例から明らかなように、本発
明によれば、実施例1の回転子軸に取り付けられた回転
円環とフレームに取り付けられた固定円環、実施例2の
回転子軸に取り付けられた回転円環とフレームに取り付
けられた固定中空円柱、実施例3の回転子軸に取り付け
られた回転円環と軸受装置を介して回転子軸に取付けら
れフレームに接続固定された固定円環、または、実施例
4の回転子軸に取り付けた回転円筒とフレームに取り付
けた固定円筒を非接触で接近させて静電容量を形成し、
固定子と回転子との間のエアーギャップ容量を大きく設
定することによって、インバータより誘導機に印加され
る立ち上がりの急峻なコモンモード電圧の応答電圧とし
て発生する軸電圧を非振動で動作させ、この時同時に、
軸電圧の収束値となる直流成分も小さくなるので、放電
直前の軸電圧を著しく小さく抑えることができ、軸電圧
の放電現象として発生するベアリング電流を低減するこ
とができ、軸受部の摩耗、回転軸の損傷、潤滑油の風
化、軸受装置の損傷または破壊を防止することがでとい
う効果のある回転機のベアリング電流低減装置を提供で
きる。
【0112】また、本発明によれば、実施例1の回転子
軸に取り付けた回転円環とフレームに取り付けた固定円
環、実施例2の回転子軸に取り付けた回転円環とフレー
ムに取り付けた固定中空円柱、実施例3の回転子軸に取
り付けた回転円環とフレームに取り付けた固定円環、ま
たは、実施例4の回転子軸に取り付けた回転円筒とフレ
ームに取り付けた固定円筒を非接触で接近させるだけで
ベアリング電流の低減が可能となるので、従来のベアリ
ング電流低減装置のように軟質の導電材料を回転軸に押
し付けているため、数ヶ月でブラシ交換を必要とするよ
うな保守の必要なもくベアリング電流を低減することが
できるという効果のある回転機のベアリング電流低減装
置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の回転機のベアリング電流低
減装置の側面図
【図2】同ベアリング電流低減装置を備えたインバータ
駆動の誘導機におけるコモンモード電圧、軸電圧および
ベアリング電流を図示したタイムチャート
【図3】同ベアリング電流低減装置を備えたインバータ
駆動の誘導機における合成静電容量Czとベアリング電
流の最大波高値Ibmaxとの関係を図示したグラフ
【図4】同実施例2の回転機のベアリング電流低減装置
の側面図
【図5】同実施例3の回転機のベアリング電流低減装置
の側面図
【図6】同実施例4の回転機のベアリング電流低減装置
の側面図
【図7】従来のPWMインバータに駆動された誘導機の
原理的回路図
【図8】同PWMインバータに駆動された誘導機の各部
の波形を説明する説明図
【図9】同インバータ駆動された誘導機のコモンモード
等価回路図
【図10】同インバータ駆動された誘導機の簡略化コモ
ンモード等価回路図
【図11】同インバータ駆動された誘導機において、コ
ンピュータシミュレーションを使って計算させた軸電圧
の波形と、実際に測定した軸電圧の波形を比較したタイ
ムチャート
【図12】同インバータ駆動された誘導機において、減
衰係数ζの値の選び方によって変化する軸電圧の波形を
説明した説明図
【図13】同インバータ駆動された誘導機について、最
も大きなベアリング電流が発生する瞬間におけるコモン
モード電圧、軸電圧およびベアリング電流を説明した説
明図
【図14】同ベアリング電流低減装置の側面図
【符号の説明】
1 回転円環 2 回転円環 3 固定円環 4 固定円環 5 固定中空円柱 6 固定中空円柱 7 軸受装置 8 内輪部 9 固定円環 10 外輪部 11 軸受装置 12 内輪部 13 固定円環 14 外輪部

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転機のベアリング電流を低減するもの
    において、回転子軸に対して垂直方向に回転子軸に取り
    付けられ回転子軸と同じ大きさの円板部分を切り取った
    1枚以上の回転円環と、内輪部を回転子軸に取付けた1
    個以上の軸受装置と、回転子軸に対して垂直方向に前記
    軸受装置の外輪部に取り付けられ前記軸受装置の外輪部
    と同じ大きさの円板部分を切り取った前記軸受と同数の
    固定円環とを備え、前記固定円環は隣接する固定円環間
    を導線を介して接続し、固定円環の1つは導線を介して
    回転機フレームに固定し、前記回転円環と前記固定円環
    は、静電容量を生ずるように非接触となる位置に交互に
    配置したことを特徴とする回転機のベアリング電流低減
    装置。
  2. 【請求項2】 回転機のベアリング電流を低減するもの
    において、回転子軸に対して垂直方向に回転子軸に取り
    付けられ回転子軸と同じ大きさの円板部分を切り取った
    回転支持円環と、回転子軸に対して同心円状に前記回転
    支持円環に取り付けた半径の異なる1個以上の回転円筒
    と、回転子軸に対して垂直方向に回転機フレームに取り
    付けられ回転子軸の半径よりも大きな半径を持つ円板部
    分を切り取った固定支持円環と、回転子軸に対して同心
    円状に前記固定支持円環に取り付けた半径の異なる1個
    以上の固定円筒を備え、前記固定円筒と前記回転円筒間
    は、静電容量を生ずるように非接触となる位置に交互に
    配置したことを特徴とする回転機のベアリング電流低減
    装置。
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